JP7002905B2 - 軟包装用ラミネート印刷インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に関し、より詳しくは、印刷適性、耐ブロッキング性、圧胴汚れ、ラミネート適性等が良好な軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に関する。
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性などの機能から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には消費者へアピールする意匠性、メッセージ性の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そして用途の包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネーション加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷では、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔等の各種フィルム上に色インキ、白インキを順次印刷後、該白インキの印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等によりヒートシールを目的にポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている。
この軟包装用ラミネート印刷インキ組成物のポリウレタン樹脂に使用されているポリイソシアネートとしては、実施例等を見ると、イソホロンジイソシアネートが主に使用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、近年、より性能が高い軟包装用ラミネート印刷インキ組成物が要求されるようになってきている。
特許第5848837号公報 特開2016-094548号公報
従って、本発明の目的は、従来の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物より印刷適性、耐ブロッキング性、圧胴汚れ、ラミネート適性等が良好な軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、バインダー樹脂のポリウレタン樹脂として、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートを含むポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させてなるポリウレタン樹脂を使用することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1.顔料、バインダー樹脂及び有機溶剤を主成分とする軟包装用ラミネート印刷インキ組成物であって、バインダー樹脂が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートを含むポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させてなるポリウレタン樹脂であって、ポリウレタン樹脂が下記の条件(1)~(3)を満足するポリウレタン樹脂である軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
条件(1)
ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート以外のポリイソシアネートの質量比率が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート/ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート以外のポリイソシアネート=100/0~5/95である。
条件(2)
ポリイソシアネートと高分子ポリオールの使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比率(イソシアネートインデックス)が、1.2~2.3となる範囲である。
条件(3)
ポリウレタン樹脂がアミン価を有するものである。
2.ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート以外のポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネートであることを特徴とする1記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
3.ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートの質量比率が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート/イソホロンジイソシアネート=95/5~10/90であり、高分子ポリオールがポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの併用である1又は2記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
4.ポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するポリウレタン樹脂であることを特徴とする1~3のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
5.軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、さらに、水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、硝化綿及び/又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする1~4のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
6.有機溶剤は、エステル系有機溶剤、及びアルコール系有機溶剤の混合溶剤である1~5のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
従来の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物より、印刷適性、耐ブロッキング性、圧胴汚れ、ラミネート適性等が良好な軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を提供することができる。
本発明において、「末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するポリウレタン樹脂」とは、ポリウレタン樹脂の主鎖及び側鎖の全て又は一部の末端に、上記第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有することを意味する。
以下、本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物についてより詳しく説明する。
<顔料>
顔料としては、印刷インキで一般的に用いられている各種無機顔料、有機顔料等が使用できる。上記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料、アクリル樹脂で表面処理したアルミニウム粒子を含有するアルミペースト、表面に酸化チタンと酸化スズと酸化ジルコニウムとがコーティングされたマイカ等のパール顔料を挙げることができる。上記有機顔料としては、例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物における顔料の含有量は、インキ組成物中に、5~60質量%の範囲であることが好ましい。ラミネート印刷インキ組成物中の顔料の含有量が上記の範囲より少なくなると、インキ組成物としての着色力が低下し、上記の範囲より多くなると、インキ組成物の粘度が高くなり、印刷物が汚れやすくなる。
<バインダー樹脂>
(ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートを含むポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させてなる、アミン価が1~13mgKOH/gであるポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂は、顔料分散性、接着性、ラミネート適性等からアミン価が1~13mgKOH/gのポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(水添MDI)とジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート以外のポリイソシアネートの質量比率が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート/ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート以外のポリイソシアネート=100/0~5/95、より好ましくは、80/20~20/80となるように使用する。
ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートの割合が、5より少ないと被膜物性が低下する傾向となる。
ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート以外のポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物を、単独又は2種以上混合して得られたものを使用できる。ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートの異性体であるジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネートも使用できる。なかでも、被膜物性及び印刷適性の点から、イソホロンジイソシアネートを使用することが好ましい。
ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートの質量比率が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート/イソホロンジイソシアネート=95/5~10/90となる範囲が好ましい。
(高分子ポリオール)
高分子ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等アルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上とを縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等の各種高分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して使用できる。
これらの高分子ポリオールの中でも、ラミネート適性等の点から、高分子ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの併用したものを使用することが好ましい。
さらに、上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して併用することもできる。
また、上記ポリイソシアネートと上記高分子ポリオールの使用比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比率(イソシアネートインデックス(I.I.))が、1.2~2.3となる範囲である。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂は、上記ポリイソシアネートと上記高分子ポリオールを公知の方法で反応させプレポリマーを得た後、鎖伸長剤、必要に応じて反応停止剤を公知の方法で反応させたものが使用できる。
なかでも、顔料分散性、接着性、ラミネート適性等の点から、上記高分子ポリオールと有機ポリイソシアネート化合物を成分として含有する末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン価を有するポリウレタン樹脂、好ましくはアミン価が1~13mgKOH/gのポリウレタン樹脂が好ましい。
末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミノ基を有するポリウレタン樹脂は、下記の(1)~(4)のいずれかの方法により得ることができる。
(1)高分子ポリオール及びポリイソシアネートを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を加えて鎖伸長を行い、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物以外の反応停止剤を反応させ、次いで、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物である反応停止剤を反応させ、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有する、アミン価を有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(2)高分子ポリオール及びポリイソシアネートを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を加えて鎖伸長を行い、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、反応停止剤として、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物である反応停止剤と、別の両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物である反応停止剤を同時に加えて反応させ、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有する、アミン価を有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(3)高分子ポリオール及びポリイソシアネートを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を加えて鎖伸長を行い、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物である反応停止剤を反応させ、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有する、アミン価を有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(4)高分子ジオール及びポリイソシアネートを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物を反応させて鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有する、アミン価を有するポリウレタン樹脂を得る方法。
上記(1)~(3)で使用する鎖伸長剤としては、インキ用バインダーとしてのポリウレタン樹脂で利用される既知の鎖伸長剤が利用可能であり、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物を例示することができる。
上記(1)、(2)の方法で使用する反応停止剤としては、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物、モノアミン化合物及び/又はモノアルコール化合物等の反応停止剤を例示できる。
上記(3)の方法で使用する反応停止剤としては、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物を例示できる。
上記(4)の方法で使用する鎖伸長と反応停止を同時に行う化合物としては、上記鎖伸長剤だけでもよいし、鎖伸長剤と反応停止剤を併用してもよい。
上記アミノ基を有するポリウレタン樹脂は、保存安定性や顔料分散性の点からアミン価1~13mgKOH/gとなるように、両末端が第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基であるポリアミン化合物で反応停止されていることが好ましい。
両末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等を例示できる。この中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等の第1級アミノ基を有するポリアミンが好ましい。
両末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するポリアミン化合物と併用される反応停止剤としては、インキ用バインダーとしてのポリウレタン樹脂で利用される既知の反応停止剤であるモノアミン化合物、モノアルコール化合物が利用可能であり、具体的には、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン等のモノアルキルアミン類、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エタノール等のモノアルコール類を例示することができる。
本発明では、上記材料を用いて、公知のポリウレタン樹脂の製造方法を採用して末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン価を有するポリウレタン樹脂、好ましくはアミン価1~13mgKOH/gのポリウレタン樹脂を得ることができる。
そして、本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物における末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン価を有するポリウレタン樹脂は、質量平均分子量が5000~60000であることが好ましく、10000~60000であることがより好ましい。
また、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン価を有するポリウレタン樹脂の含有量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に、5~20質量%が好ましい。
(併用可能なバインダー樹脂)
上記ポリウレタン樹脂と共に併用可能なバインダー樹脂としては、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂及びその他のバインダー樹脂の1種以上である。
(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体)
ポリウレタン樹脂だけでは、顔料分散が難しい場合、金属蒸着フィルム等の接着性やラミネート適性を向上させる場合に、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体を使用する。使用する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの共重合体が使用できる。
なかでも、環境に配慮したインキの有機溶剤系においては、水酸基を有する、50~200の水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体が好適である。この様な水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、例えば、酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得ることができる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、および酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の被膜物性や溶解挙動が決定される。
即ち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮したインキの有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 ‐CH2-CHCl-
式2 ‐CH2-CH(OCOCH3)-
式3 ‐CH2-CH(OH)-
このような水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体の具体例としては、日信化学工業(株)製のソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL、C、CH、CN、CNL等を挙げることができる。
末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン価1~13mgKOH/gのポリウレタン樹脂と塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体との合計の含有量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に、5~20質量%であることが好ましい。
(硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂)
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、耐ブロッキング性を向上させるために、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂を併用することができる。
このとき、硝化綿の使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成中に、0.1~2.0質量%、セルロースアセテートプロピオネート樹脂の使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成中に、0.1~3.0質量%含有させることが好ましい。
<硝化綿>
硝化綿としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿が使用できる。
硝化綿としては、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本発明に使用される硝化綿としては、窒素量10~13%、平均重合度35~90のものが好ましく用いられる。具体例としては、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NC RS-2、(KCNC、KOREA CNC LTD社製)等を挙げることができる。
<セルロースアセテートプロピオネート樹脂>
セルロースアセテートプロピオネート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されているセルロースアセテートプロピオネート樹脂が使用できる。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、セルロースを酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後に加水分解して得られる。一般的にはアセチル基は0.6~2.5重量%、プロピオネート基は42~46重量%、水酸基は1.8~5重量%である樹脂が市販されている。具体例としては、関東化学(株)製のセルロースアセテートプロピオネート等を挙げることができる。
<他のバインダー樹脂>
さらに、本発明では、その他のバインダー樹脂として、性能が低下しない範囲で、さらにコストを考慮して、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂や粘着性樹脂等を補助的に添加することができる。
<有機溶剤>
軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に使用される有機溶剤としては、トルエン、ケトン系有機溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル系有機溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルなど)、アルコール系有機溶剤(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、炭化水素系溶剤(トルエン、メチルシクロヘキサンなど)が利用できる。
なお、環境問題への対応と、インキの印刷適性や乾燥性などを考慮して、中でも印刷時の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物の有機溶剤として、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合溶剤を、エステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=50/50~95/5の範囲、好ましくはエステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=60/40~85/15の範囲となるように使用することが好ましい。
さらに、インキの印刷適性の点から、印刷時の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に酢酸プロピルを5質量%以上、好ましくは15質量%以上含有させることが好ましい。
<添加剤>
上記軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、さらに粘着付与剤、架橋剤、滑剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を添加することができる。
<本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物の製造方法>
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物は、上述の各種材料を従来一般的に使用されている各種の分散・混練装置を使用して製造することができる。
そして、各固形分材料の含有量や、バインダー樹脂と有機溶剤との組み合わせなどを調整することにより、粘度を10~1000mPa・sとする。グラビア印刷時に使用する場合は、印刷時の雰囲気温度において、印刷条件に応じて適切な粘度となるように、具体的にはザーンカップ3号の流出秒数が12~23秒/25℃、高速印刷では14~16秒/25℃程度となるまで有機溶剤で希釈することが好ましい。
<本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を使用したグラビア印刷方法>
上記軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を印刷する方法としては、一般的なグラビア印刷方式が利用できる。また、印刷用基材としては特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等のポリエステルフィルム、ナイロン、ビニロンといった各種印刷用プラスチックフィルムや、それら各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルムを対象とするものである。もちろん、本発明の主旨からして、通常のフィルムであっても、熱収縮フィルムであってもよく、印刷後にラミネートや収縮処理等の後加工を行うこともできる。
また、使用する印刷版としては、従来の印刷版(通常のグラビア製版方式によって作られる凹版で、その製版方式は、彫刻グラビア等が例示できる)、従来の印刷版より浅いセルを形成(浅版化)した印刷版が利用できる。
上記グラビア印刷方法においては、上記軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を、上記印刷版を用いて印刷することにより、さらに、上記の方法で得られた印刷物を、各種ラミネート加工法によりラミネート加工を施して、包装袋、ラミネート缶等に利用することができる。上記包装袋でのラミネート加工法としては、印刷物の表面にアンカーコート剤を塗工した後、溶融ポリマーを積層させる押し出しラミネート法、印刷物の表面に接着剤を塗工した後、フィルム状ポリマーを貼合させるドライラミネート法が利用できる。
上記押し出しラミネート法は、印刷物の表面に必要に応じて、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を塗工した後、既知の押し出しラミネート機によって、溶融ポリマーを積層させる方法であり、さらに溶融樹脂を中間層として、他の材料とサンドイッチ状に積層することもできる。
上記押し出しラミネート法で使用する溶融樹脂としては、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来使用されていた樹脂が使用できる。
また、上記ドライラミネート法は、印刷物の表面にウレタン系、イソシアネート系等の接着剤を塗工した後、既知のドライラミネート機によってフィルム状のポリマーを貼合する方法である。ドライラミネート法で使用するフィルム状のポリマーとしては、ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン等が使用でき、特にレトルト用途で使用される包装材料では、基材と貼合されるプラスチックフィルムの間にアルミ箔をはさんでラミネートすることもできる。このようなラミネート加工物は、製袋して内容物を詰めた後、ボイル・レトルト用途に利用することもできる。
上記ラミネート缶用途でのラミネート加工法としては、印刷物表面に接着剤を塗工した後、金属板と貼り合わせる方法が利用できる。
具体的には、印刷物の表面に、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング等の公知の塗装手段にて接着剤を塗布し、150~200℃の温度で乾燥させ、得られた印刷インキ層、接着剤層を有する印刷用基材を金属板と貼り合わせ、約100~250℃の温度で短時間加熱ラミネートすることによって、印刷物を金属板と貼り合わせることができる。
上記接着剤としては、例えば、1液型又は2液型のポリエステル樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等が挙げられる。
上記金属板としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄-亜鉛合金メッキ鋼板、亜鉛-アルミニウム合金メッキ鋼板、ニッケル-亜鉛合金メッキ鋼板、ニッケル-錫合金メッキ鋼板、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ターンメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板等の各種メッキ鋼板、ステンレススチール、ティンフリースチール、アルミニウム板、鋼板、チタン板等の金属素材や、必要に応じて、これらの金属素材に、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化膜処理等の化成処置を行ったもの等を用いることができる。
本発明で得られたラミネート缶は、レトルト処理後の印刷物の接着性に優れたものとなる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
<ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオール使用系>
ポリウレタン樹脂ワニスA:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスB:I.I.=1.6、IPDI/水添=0/100、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスC:I.I.=1.6、IPDI/水添=25/75、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスD:I.I.=1.6、IPDI/水添=75/25、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスE:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適より小さいもの
ポリウレタン樹脂ワニスF:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適より大きいもの
ポリウレタン樹脂ワニスG:I.I.=1.5、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスH:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が0のもの
ポリウレタン樹脂ワニスI:I.I.=1.6、IPDI=100、アミン価が最適なもの
<ポリウレタン樹脂ワニスAの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル400質量部、イソプロピルアルコール171質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスA(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスBの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及び水添MDI41.8質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル412質量部、イソプロピルアルコール177質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスB(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスCの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート8.8質量部、水添MDI31.3質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル409質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスC(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスDの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート26.5質量部、水添MDI10.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル404質量部、イソプロピルアルコール173質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスD(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスEの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル405質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.7質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン0.65質量部、ジエチレントリアミン0.39質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスE(固形分30質量%、アミン価1.5)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスFの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル407質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、その後イソホロンジアミン1.6質量部、ジエチレントリアミン1.0質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスF(固形分30質量%、アミン価5.4)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスGの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート16.7質量部、水添MDI19.7質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル400質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン6.8質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.3質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.2質量部、ジエチレントリアミン0.5質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスG(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスHの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル406質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン9.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.7質量部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスH(固形分30質量%、アミン価0)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスIの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート35.2質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル402質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスI(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリエステルポリオール使用系>
ポリウレタン樹脂ワニスJ:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスK:I.I.=1.6、IPDI/水添=0/100、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスL:I.I.=1.6、IPDI/水添=25/75、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスM:I.I.=1.6、IPDI/水添=75/25、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスN:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適より小さいもの
ポリウレタン樹脂ワニスO:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適より大きいもの
ポリウレタン樹脂ワニスP:I.I.=1.5、IPDI/水添=50/50、アミン価が最適なもの
ポリウレタン樹脂ワニスQ:I.I.=1.6、IPDI/水添=50/50、アミン価が0のもの
ポリウレタン樹脂ワニスR:I.I.=1.6、IPDI=100、アミン価が最適なもの
<ポリウレタン樹脂ワニスJの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル400質量部、イソプロピルアルコール171質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスJ(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスKの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及び水添MDI41.8質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル412質量部、イソプロピルアルコール177質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスK(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスLの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート8.8質量部、水添MDI31.3質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル409質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスL(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスMの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート26.5質量部、水添MDI10.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル404質量部、イソプロピルアルコール173質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスM(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスNの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル405質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.7質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン0.65質量部、ジエチレントリアミン0.39質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスN(固形分30質量%、アミン価1.5)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスOの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル407質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、その後イソホロンジアミン1.6質量部、ジエチレントリアミン1.0質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスO(固形分30質量%、アミン価5.4)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスPの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート16.7質量部、水添MDI19.7質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル400質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン6.8質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.3質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.2質量部、ジエチレントリアミン0.5質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスP(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスQの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート17.6質量部、水添MDI21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル406質量部、イソプロピルアルコール175質量部を加えた後、イソホロンジアミン9.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.7質量部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスQ(固形分30質量%、アミン価0)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニスRの製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200質量部、及びイソホロンジイソシアネート5.2質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル402質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスR(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
<軟包装用ラミネート用白色インキ組成物の製造例>
顔料(酸化チタンR-960、デュポン社製)、上記ポリウレタン樹脂ワニスA~R、塩化ビニル-酢酸ビニル系樹脂(ソルバインTA-3、日信化学工業(株)製)を、レッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらに溶媒(該ペイントコンディショナーと溶媒を合わせて混合液とした。)を加えて、表1に示した実施例1~10、12~18、比較例1~4の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物を得た。
<軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の製造例>
顔料(フタロシアニンブルーC.I.Pigment Blue 15:4)、ポリウレタン樹脂ワニスA、J、塩化ビニル-酢酸ビニル系樹脂(ソルバインTA-3、日信化学工業(株)製)を、レッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらに溶媒(該ペイントコンディショナーと溶媒を合わせて混合液とした。)を加えて、表1に示した実施例11、19の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物を得た。
(評価)
上記で得られた実施例1~10、12~18、比較例1~4の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、19の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の性能評価を下記方法にて行い、評価結果を表1に示す。
<インキ組成物の性能評価>
(インキの保存安定性)
上記で得られた実施例1~10、12~18、比較例1~4の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、19の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の各々をガラス瓶に採取し、60℃の雰囲気温度で14日間保存した時の顔料の沈降の有無から、インキの保存安定性を評価した。
A:沈降が見られず、インキの保存安定性は良好である
B:沈降が見られ、インキの保存安定性は不良である
(印刷評価1の印刷条件)
実施例1~10、12~18、比較例1~4の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、19の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の各々100質量部に対し、さらに表1の配合にしたがって混合溶剤で希釈し、粘度を離合社製ザーンカップ3号で15秒に調整した後、彫刻版(印刷刷版、ヘリオ175線/inch)を備えたグラビア印刷機にて、OPP、PET、NYの処理面に印刷速度150m/分で印刷を行った。
(印刷評価2の印刷条件)
実施例1~10、12~18、比較例1~4の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、19の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の各々100質量部に対し、さらに表1の配合にしたがって混合溶剤で希釈し、粘度を離合社製ザーンカップ3号で15秒に調整した後、彫刻版(印刷刷板、ヘリオ175線/inch)を備えたグラビア印刷機にて、OPP、PET、NYの処理面に印刷速度100m/分で印刷を行った。
<フィルムについて>
PET:片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡(株)製、E-5101、厚さ12μm
OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡(株)製 P-2161、厚さ30μm
NY:ナイロンフィルム、東洋紡(株)製、N-1102、厚さ15μm
<印刷適性(カスレ)>
印刷適性については、印刷終了時の印刷部分における、版にインキが詰まったことに起因するカスレの面積の割合から印刷適性を評価した。
なお、この評価だけは、印刷評価1及び2それぞれにて行った。
A:カスレが全くみられない
B:カスレが少しみられる
C:カスレが多くみられる
<ガイドロール取られ>
下記の方法から、印刷後、ガイドロールにインキが付着するかどうか(ガイドロール取
られ)試験を行い、印刷適性を評価した。なお、一旦、ガイドロールに付着したインキが
、印刷面に再転移して汚れが発生するため、「ガイドロール取られ」が発生する場合は、
美粧印刷物を得るのに対して悪影響を及ぼす。
グラビア印刷機のガイドロールによる印刷物インキ塗膜の脱落の有無を目視により評価
した。
A:無いもの
C:有るもの
(接着性)
得られた各印刷物の印刷面にセロファンテープを貼り付けて、剥がしたときにインキ被膜が被着体から剥がれる面積の比率から、接着性を評価した。
A:全く剥がれない
B:剥がれる面積が20%未満である
C:剥がれる面積が20%以上である
<耐ブロッキング>
各印刷物の印刷面と、各フィルムのコロナ放電処理面とを重ね合わせ、3kg/cmの荷重をかけて、温度45℃で1日放置した。その後、インキ面とフィルム面を剥がし、インキ被膜のフィルム面への移行を評価した
A:抵抗なく剥がれてインキ被膜の移行が全くないもの
B:抵抗はあるがインキ被膜の移行が全くないもの
C:50%未満のインキ被膜の移行が認められたもの
D:50~100%のインキ被膜の移行が認められたもの
(レトルト適性)
ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロン(NY)に印刷後1日経過した各印刷物に、固形分で2.0g/mとなる量のウレタン系接着剤(タケラックA-616/タケネートA-65、三井化学SKCポリウレタン社製)を塗布した後、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC-22、厚さ60μm、三井化学東セロ社製)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水90重量%、サラダ油10重量%の混合物を詰めて溶封後、PETに印刷したものは135℃の加圧熱水中に60分間浸漬した時のラミ浮きの有無からレトルト適性を評価した。NYに印刷したものは120℃で同様の試験評価を行った。この評価によって、ラミネート適性を確認できる。
A:全くラミ浮きが見られないもの
B:ピンホール状もしくは一部に細くて短いラミ浮きがみられるもの
C:長い筋状のラミ浮きが全面にみられるもの
Figure 0007002905000001
本発明に沿った実施例の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物によれば、インキの保存安定性、印刷適性に優れ、ガイドロール取られが無く、接着性、耐ブロッキング性及びレトルト適性に優れる結果となった。
なお実施例5及び13については、印刷速度100m/分で印刷を行ったときにカスレが少し見られた。
これに対して、ポリウレタン樹脂がアミン価を有しない比較例1及び3によれば、接着性、耐ブロッキング性及びレトルト適性に劣ることになり、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(水添MDI)を使用しなかった比較例2及び4によれば、ガイドロール取られが発生し、耐ブロッキング性も悪化した。

Claims (5)

  1. 顔料、バインダー樹脂及び有機溶剤を主成分とする軟包装用ラミネート印刷インキ組成物であって、
    バインダー樹脂が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させてなるポリウレタン樹脂であって、ポリウレタン樹脂が下記の条件(1)~(3)を満足するポリウレタン樹脂である軟包装用ラミネート印刷インキ組成物(但し、ジイソシアネート中にキシリレンジイソシアネートを30~70モル%含有する場合を除く)
    条件(1)
    ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートの質量比率が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート/イソホロンジイソシアネート=95/5~10/90である。
    条件(2)
    ポリイソシアネートと高分子ポリオールの使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比率(イソシアネートインデックス)が、1.2~2.3となる範囲である。
    条件(3)
    ポリウレタン樹脂がアミン価を有するものである。
  2. 高分子ポリオールがポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの併用である請求項に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  3. ポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  4. 軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、さらに、水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、硝化綿及び/又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  5. 有機溶剤は、エステル系有機溶剤、及びアルコール系有機溶剤の混合溶剤である請求項1~4のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
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