JP2024086082A - グラビア又はフレキソインキ、それを用いた印刷物及び包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ブロッキング性及び発色性の良好なグラビア又はフレキソインキを提供することを目的とする。更にはラミネート積層体である包装材に加工した場合に、当該包装材のリサイクル性が良好であり、当該包装材における残留溶剤の少ないグラビア又はフレキソインキを提供する。
【課題手段】ポリエステル系ウレタン樹脂及びセルロースアセテート樹脂を含むバインダー樹脂、並びに、脂肪酸アミドを含有するグラビア又はフレキソインキであって、
前記ポリエステル系ウレタン樹脂が、セバシン酸系ポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
前記バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有量が、0又は1000ppm以下である、グラビア又はフレキソインキ。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラビア又はフレキソインキ、それを用いた印刷物及び包装材に関する。
グラビア又はフレキソインキは、紙やプラスチック基材に美粧性、機能性を付与させる目的で広く用いられている。インキを包装材料、中でも食品包材等のパッケージに用いる場合には、プラスチックフィルム等の基材にインキを印刷してグラビア印刷物を得た後、得られたグラビア印刷物を他のプラスチックフィルムと貼り合わせてラミネート加工した包装材を用いる。そして、プラスチックフィルム等の基材やラミネート構成は、パッケージの内容物や使用目的に応じて、様々な種類の中から適宜選択されるため、基材種を問わず耐ブロッキング性の良好なグラビア又はフレキソインキが求められる。
通常、上記パッケージは開封後にはゴミとして廃棄されるが、リサイクルされる場合もある。パッケージをリサイクルする場合、まず、パッケージに含まれる樹脂の種類毎に分別し、不純物を除去、粉砕、洗浄したものを原料として溶融しペレットにする。そして、得られたペレットを加工して新たな製品とする場合がある。
しかしながら、上記リサイクル方法では、通常200℃以上の熱がかかる。この場合、パッケージに含まれるインキ層が、ハロゲン元素や1級芳香族アミンを多量に含む場合、ハロゲンガスや酸性ガスである塩化水素が発生し、経時でリサイクル設備を損傷する、又は人体に有害となる虞がある。
一方、特許文献1に記載されているように、従来のグラビア又はフレキソインキは、バインダー樹脂としてウレタン樹脂に、さらに塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂を併用して用いることが多い。しかしながら、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂を併用する主な目的は顔料分散性の向上であるので、ハロゲン元素を低減するために当該樹脂を除くと、顔料分散性が低下し、インキ特性の不具合を引き起こすと考えられる。
また、特許文献2に記載されているように、ウレタン樹脂と併用する樹脂として、ニトロセルロース等も候補として考えられるが、当該樹脂はNOガスの発生が懸念される。
また、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂を使用しない例として、特許文献3には、フレキソ印刷において、ポリビニルブチラール樹脂やセルロース系樹脂を使用する技術が開示され、特許文献4には、グラビア印刷において、ポリビニルブチラール樹脂やセルロース系樹脂を使用する技術が開示されているが、耐ブロッキング性や顔料分散性の不足等の懸念がある。
また、特許文献5には、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、及び脂肪酸アミドを併用することで優れた耐ブロッキング性及び印刷適性を発現する技術が開示されているが、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂を含有するため、パッケージのリサイクル時には塩素ガス発生による設備の損傷が懸念される。
特開2018-016708号公報 特開2019-123810号公報 特開2014-062138号公報 特開2022-139294号公報 特開2018-177854号公報
本発明は、耐ブロッキング性及び発色性の良好なグラビア又はフレキソインキを提供することを目的とする。更にはラミネート積層体である包装材に加工した場合に、当該包装材のリサイクル性が良好であり、当該包装材における残留溶剤の少ないグラビア又はフレキソインキを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を鑑みて、鋭意検討を行った結果、以下に記載のグラビア又はフレキソインキ、印刷物及び包装材を用いることで当該課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
本発明は、以下の[1]~[8]に関する。
[1]
ポリエステル系ウレタン樹脂及びセルロースアセテート樹脂を含むバインダー樹脂、並びに、脂肪酸アミドを含有するグラビア又はフレキソインキであって、
前記ポリエステル系ウレタン樹脂が、セバシン酸系ポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
前記バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有量が、0又は1000ppm以下である、グラビア又はフレキソインキ。
[2]
ラミネート用である、[1]に記載のグラビア又はフレキソインキ
[3]
セルロースアセテート樹脂が、水酸基含有率2~6質量%のセルロースアセテートプロピオネート樹脂である、[1]又は[2]記載のグラビア又はフレキソインキ。
[4]
セルロースアセテート樹脂と、脂肪酸アミドとの質量比率が、75:25~99:1である、[1]~[3]いずれか記載のグラビア又はフレキソインキ。
[5]
セバシン酸系ポリエステルポリオールが、セバシン酸を含む二塩基酸由来の構成単位とジオール由来の構成単位とからなり、前記ジオールが、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールを含む、[1]~[4]いずれか記載のグラビア又はフレキソインキ。
[6]
基材1上に[1]~[5]いずれか記載のグラビア又はフレキソインキからなる印刷層を有する、印刷物。
[7]
基材1上に[1]~[5]いずれか記載のグラビア又はフレキソインキからなる印刷層、及び基材2を順次有する、包装材。
[8]
基材1及び基材2がポリオレフィン基材であり、かつ、マテリアルリサイクル用である、[6]又は[7]に記載の包装材。
本発明により、耐ブロッキング性、発色性の良好なグラビア又はフレキソインキを提供することが可能となり、更にはラミネート積層体である包装材に加工した場合に、当該包装材のリサイクル性が良好であり、当該包装材における残留溶剤の少ないグラビア又はフレキソインキを提供することが可能となった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本明細書において、ポリエステル系ウレタン樹脂は、単に「ウレタン樹脂」と称呼する場合があるが、同義である。印刷層は、「インキ層」と表記する場合があるが同義である。「グラビア又はフレキソインキ」は単に「インキ」と称する場合があるが同義である。
以下の説明においてポリエステル系ウレタン樹脂とは、ポリエステル由来の構成単位を含むウレタン樹脂をいう。好ましくは更にウレア結合を有するウレタンウレア樹脂の形態である。
本発明において、ポリエステル系ウレタン樹脂及びセルロースアセテート樹脂を含むバインダー樹脂において、バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有量を0又は1000ppm以下にし、更に脂肪酸アミドを併用することにより、顔料分散性向上によるインキ発色性向上、厳しい条件下での耐ブロッキング性の向上、積層体のラミネート強度、残量溶剤性の向上及び優れたリサイクル性を達成した。
これは、ポリエステル系ウレタン樹脂、セルロースアセテート樹脂及び脂肪酸アミドが三位一体となり本願課題の解決に寄与したと考えられる。特にはセルロースアセテート樹脂による顔料分散性向上、セルロースアセテート樹脂と脂肪酸アミドとのコンビネーションによる耐ブロッキング性の向上、並びに、ポリエステル系ウレタン樹脂がセバシン酸系であることによるラミネート強度向上及び耐ブロッキング性向上の効果があったものと推測される。なお、上記のメカニズムは推論であってなんら本発明を限定するものではない。
(バインダー樹脂)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂とはグラビア又はフレキソインキに用いられる樹脂成分を指し、いわゆる結着樹脂である。そして、本発明におけるバインダー樹脂は、ポリエステル系ウレタン樹脂及びセルロースアセテート樹脂を含むものである。上記の樹脂を併用することで、顔料分散性、ラミネート強度が向上し、さらにインキの経時安定性が向上する。
また、本発明におけるバインダー樹脂は、後述するように、「バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有量が、0又は1000ppm以下」であることは、本インキ系において高温下での塩素発生を抑制する上で重要である。
まず、ポリエステル系ウレタン樹脂及びセルロースアセテート樹脂について説明する。
<ポリエステル系ウレタン樹脂>
本発明で用いられるポリエステル系ウレタン樹脂とは、ポリエステル由来の構成単位を有するウレタン樹脂であり、更に「セバシン酸系ポリエステルポリオール由来の構成単位を含む」ものである。当該セバシン酸系とはポリエステルポリオールの構成単位としての二塩基酸がセバシン酸を有しているという意味である。ポリエステルポリオールがセバシン酸系であることで、ラミネート強度、残量溶剤性や耐ブロッキング性に寄与する。
上記ポリエステル系ウレタン樹脂は、好ましくは更にウレア結合を有するものである。バインダー樹脂100質量%中、ポリエステル系ウレタン樹脂を、50~100質量%含むことが好ましく、70~100質量%含むことがなお好ましい。
また、ポリエステル系ウレタン樹脂総質量中にポリエステル由来の構成単位を40質量%以上有することが好ましく、50質量%以上有することがなお好ましく、60質量%以上有することが更に好ましく、65質量%以上有することが特に好ましい。
本発明において、ポリエステル系ウレタン樹脂は、セバシン酸その他のバイオマス由来原料に基づく構成単位を含むことが好ましい。バイオマス由来原料に基づく構成単位を含むことで、環境保全にも寄与する。ポリエステル系ウレタン樹脂において、後述するバイオマス度はカーボンニュートラルという概念から、40~100%であることが好ましく、45~100%であることがより好ましい。また、本発明における印刷層のバイオマス度は、5%以上であることが好ましく、7%以上であることが好ましく、10%であることがなお好ましい。
ポリエステル系ウレタン樹脂は、以下に限定されないが、例えば、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールを含むポリオールとを反応させて得られたウレタンプレポリマーに、さらにポリアミン(鎖伸長剤)と必要に応じて反応停止剤を反応させて得られるポリエステル系ウレタン樹脂が挙げられる。上記のようにポリオールとしてポリエステルポリオールを用いてウレタン樹脂を合成すること等により、ポリエステル由来の構成単位を得ることができる。このようなウレタン樹脂の製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報、特開2018-127545号公報、特開2013-213109号公報に記載の方法が挙げられる。
ポリエステル系ウレタン樹脂は、水酸基、アミノ基等の活性水素基を有することが好ましい。後述のイソシアネート系硬化剤との反応サイトを得るためである。
ポリエステル系ウレタン樹脂が水酸基を有する場合、その水酸基価は、0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましく、2~15mgKOH/gであることが更に好ましい。
ポリエステル系ウレタン樹脂がアミノ基を有する場合、そのアミン価は、0.1~15mgKOH/gであることが好ましく、1~12mgKOH/gであることがより好ましい。
一方で、ポリエステル系ウレタン樹脂の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ポリエステル系ウレタン樹脂の重量平均分子量は、20,000~100,000であることが好ましく、25,000~90,000であることがより好ましく、30,000~80,000であることが更に好ましい。印刷層を強固な皮膜とし、レトルトでの加熱に耐えうるためである。
なお、本発明において、ウレタン樹脂の重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。
また、ウレタンプレポリマーの合成過程や上記鎖延長反応において、ポリオール及びヒドロキシ酸の水酸基と、ポリイソシアネートのイソシアネート基との当量比率である、NCO/OH比率は、1.1~3が好ましく、1.2~3がより好ましく、1.3~2が更に好ましい。また、ポリアミンのアミノ基と、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基との当量比率である、アミノ基/NCO比率は、1.2~3が好ましい。さらに、分子量分布を制御するためには過剰な重合反応を防止する目的で重合停止剤を用いることが好ましい。重合停止剤としてはモノアルコールやモノアミンが好適に挙げられる。
(ポリオール)
ポリエステル系ウレタン樹脂を合成するためのポリオールは、セバシン酸を構成単位として含むセバシン酸系ポリエステルポリオールを必須とする。なお、ポリオールはポリエステルポリオール以外のポリオールを含んでよく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等も使用可能である。また、ウレタン樹脂にポリエステル由来の構成単位を導入する場合、ポリエステル構造の導入方法は特段限定されない。
(セバシン酸系ポリエステルポリオール)
上記セバシン酸系ポリエステルポリオールの数平均分子量は、500~10,000であることが好ましい。ここで、ポリオールの数平均分子量は水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って算出した値である。ポリエステルポリオールの数平均分子量が10,000以下であると、プラスチックフィルムに対する耐ブロッキング性に優れる。また、ポリエステルポリオールの数平均分子量が500以上であると、ウレタン樹脂被膜の柔軟性に優れプラスチックフィルムへの密着性に優れる。以上の理由より、より好ましいポリエステルポリオールの数平均分子量は1,000~5,000である。
セバシン酸系ポリエステルポリオールとしては、セバシン酸系ポリエステルジオールであることが好ましく、当該ポリエステルジオールとしては、ジオールと二塩基酸(セバシン酸を含む二塩基酸)との縮合物であるポリエステルジオールであることが好ましい。なお、環状エステル(ラクトン等)を開環反応させて得られるポリエステルジオールであってもよい。
当該ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。ジオールは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。ジオールは分岐ジオールを含むジオールであることが好ましく、当該ジオールの一部又は全部が、バイオマス由来であると好ましい。
当該二塩基酸としては、セバシン酸以外の二塩基酸を含んでよく、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシル二塩基酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が好適に挙げられ、本願の課題を解決するためには、セバシン酸のほかにアジピン酸及び/又はコハク酸を含むことが好ましい。ウレタン樹脂を構成する二塩基酸の全質量中、セバシン酸を35~100質量%含むことが好ましく、40~90質量%含むことがなお好ましく、50~80質量%含むことが更に好ましい。ラミネート強度と残留溶剤性が向上するためである。セバシン酸と、セバシン酸以外の二塩基酸の質量比率は35:65~100:0であることが好ましく、40:60~90:10であることがなお好ましく、50:50~80:20であることが更に好ましい。
さらに上記ポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
上記ポリエステルポリオールの好ましい具体例として、セバシン酸、並びに、アジピン酸及び/又はコハク酸を含む二塩基酸と、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールを含むジオールとの縮合物からなるポリエステルポリオールが挙げられる。これにより積層体におけるラミネート強度がより良好となる。ここで、直鎖状ジオールとは、原子数2以上であるジオールであり、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール等の、アルキレン基が置換基を有しないジオールをいう。また、分岐状ジオールとは、アルキレングリコールの炭化水素基の少なくとも1つの水素原子が水素原子以外で置換されたジオールをいう。
直鎖状ジオールは結晶性を付与し、分岐状ジオールは柔軟性を付与するので、そのバランスにより、バインダー樹脂としてポリエステル系ウレタン樹脂を含む印刷層がより強靭となり、高いラミネート強度を有する包装材が得られる。
分岐状ジオールとしては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(以下、BEPGとも記載する)と、2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、MPOとも記載する)、3メチル-1,5-ペンタンジオール(MPDとも記載する)、ネオペンチルグリコール(NPGとも記載する)、1,2-プロピレングリコール(以下、PGとも記載する)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、NPG、PGから選ばれる少なくとも一種の分岐状ジオールが特に好ましい。
直鎖状ジオールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、かかる化合物としては、エチレングリコール(EGとも記載する)、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール(1,3PDとも記載する)、1,4-ブタンジオール(1,4BDとも記載)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下の直鎖状ジオールが好ましく、EG、1,3PD、1,4BD、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、等が好ましい。さらに物性、及び、バイオマス度の観点からは、1,3PDが特に好ましい。
ジオールが分岐状ジオール及び直鎖状ジオールを含む場合、ラミネート強度の観点からポリエステルポリオールの全ジオール中の分岐状ジオール及び直鎖状ジオールの質量比(分岐状ジオール:直鎖状ジオール)は、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがなお好ましい。30:70~70:30であることが更に好ましい。
なお、分岐状ジオール単位と直鎖状ジオール単位はそれぞれをひとつのポリエステルポリオール中に存在させてもよいし、分岐状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールと、直鎖状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールを混合物原料として利用し、ポリエステル系ウレタン樹脂を合成してもよい。およそ同一の効果が得られる。
(ポリイソシアネート)
ポリエステル系ウレタン樹脂を合成するためのポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、かかる化合物としては、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種公知のジイソシアネートを使用することができ、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートが挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。中でもイソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、溶解性の観点からイソホロンジイソシアネートがさらに好ましい。
(ポリアミン)
ポリエステル系ウレタン樹脂の合成において、ウレタンプレポリマーと反応させる上記ポリアミンとしては、有機ジアミンが好ましく、以下に限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等が挙げられる。また、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン等分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの有機ジアミンは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、イソホロンジアミンが好ましい。さらに、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン等のアミノ基数が3以上の多官能アミンを、上記有機ジアミンと併用することもできる。
ポリエステル系ウレタン樹脂の合成に用いる上記反応停止剤は、ウレタン化工程のみで生成できるポリエステル系ウレタン樹脂の場合、モノアルコール又はモノアミンであることが好ましく、ウレタン化工程に加えてウレア化反応工程を行って生成するポリエステル系ウレタン樹脂の場合はモノアミンであることが好ましい。
当該モノアルコールとしては置換もしくは未置換のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール等が好適に挙げられる。当該モノアミンとしては置換もしくは未置換のモノアミンが好ましく、n-ブチルアミン、n-ジブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等が好適に挙げられる。また、前記反応停止剤としては、前記鎖伸長剤として挙げた化合物も利用でき、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のグラビア又はフレキソインキにおけるポリエステル系ウレタン樹脂とセルロースアセテート樹脂の固形分質量比は、99:1 ~70:30が好ましく、97:3~80:20であることがなお好ましい。95:5~85:15であることが更に好ましい。
この範囲であれば、発色性、印刷適性、耐ブロッキング性及びラミネート強度が良好となりやすい。
<セルロースアセテート樹脂>
セルロースアセテート樹脂はセルロースの水酸基を酸無水物でエステル化した、有機溶剤に可溶な繊維炭素系樹脂をいう。当該セルロースアセテート樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロースアルキネート樹脂が挙げられ、中でも、発色性、耐ブロッキング性、更には食品包装印刷物臭気の観点からセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。
セルロースアセテート樹脂は有機溶剤への溶解性向上及び基材への密着性の観点から、水酸基を含むものが好ましく、その場合の水酸基含有量は、1.5~6質量%であることが好ましく、2~6質量%であることがなお好ましく、2.5~6質量%あることが更に好ましく、3.5~6質量%であることが特に好ましい。
また、セルロースアセテート樹脂のガラス転移温度は、100℃~180℃であることが好ましい。なおここで、ガラス転移温度が高いほど、樹脂の硬さが向上するため、ガラス転移温度が上記範囲内であると、柔軟なポリエステル系ウレタン樹脂と併用することでバインダー樹脂としての硬さ/柔らかさを調整することができる。セルロースアセテート樹脂のガラス転移温度は、120℃~160℃であることがより好ましく、140℃~160℃であることが更に好ましい。
また、セルロースアセテート樹脂の重量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましい。10,000以上であると、印刷物における耐ブロッキング性と耐溶剤性の確保の観点から好ましく、100,000以下であると、溶剤への溶解性を維持し易く、印刷適性の観点から好ましい。当該重量平均分子量は、10,000~50,000であることがより好ましく、10,000~25,000であることが更に好ましい。
セルロースアセテート樹脂は、上記ポリエステル系ウレタン樹脂と上記質量比率で併用することにより、顔料分散性を更に向上させることができ、インキ発色性が向上する。さらに、適した水酸基を有するセルロースアセテート樹脂とポリエステル系ウレタン樹脂とを併用することで、印刷層を形成した際に基材への高い密着性が生じて強い被膜を形成し、耐ブロッキング性及びラミネート強度が向上する。なお、上記のメカニズムは推論であってなんら本発明を限定するものではない。
<塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂>
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は印刷インキに一般に用いられるものが対象であり、バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有率を0又は1000ppm以下とすることが必須である。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂は、リサイクル時にハロゲンガスや酸性ガスである塩化水素を発生させ設備が損傷する可能性や、セルロースアセテート樹脂との相溶性の観点から顔料分散性を阻害する可能性があるためである。当該含有率が1000ppmを超えると、塩素ガス発生の懸念が強まり、発色性としても十分でない。バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有率は、0又は800ppm以下であることが好ましく、0又は500ppm以下であることがなお好ましく、0又は300ppm以下であることが更に好ましい。
対象となる塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、例えば、重量平均分子量が、5,000~100,000であるもの、5,000~50,000であるものが挙げられる。塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、70~95質量%であるものが挙げられる。また、ガラス転移温度は、50℃~90℃であるものが挙げられる。塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、水酸基を有するものが挙げられる、その水酸基価は、10~200mgKOH/gであるものが挙げられる。当該水酸基は、ビニルアルコール単位又は水酸基を有するアクリルモノマーに由来するものが挙げられる。
(脂肪酸アミド)
脂肪酸アミドは、同分野で通常使用されるものであれば特に限定されない。脂肪酸アミドはグラビア又はフレキソインキ中では溶解、あるいは分散されているが、印刷後には印刷被膜の表面に配向し、滑り性を発現させて印刷ロールで重なる基材に対する耐ブロッキング性を向上させると考えられるが、本発明においては、特にセルロースアセテート樹脂と併用することでの相乗効果によって更に耐ブロッキング性が向上すると考えられる。
本発明のグラビア又はフレキソインキにおける前記セルロースアセテート樹脂と脂肪酸アミドとの固形分質量比は、99:1 ~65:35であることが好ましく、99:1~75:25であることがなお好ましく、90:10~80:20であることが更に好ましい。この範囲であれば、発色性、耐ブロッキング性、及びラミネート強度が良好となり、ラミネート積層体残量溶剤を低減させやすい。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ビスアミド、モノアミド、置換アミド、メチロールアミド、エステルアミドが挙げられ、耐ブロッキング性が向上するため、ビスアミド、モノアミド及び置換アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
<モノアミド>
モノアミドは下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
-CONH
(式中、Rは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
モノアミドとしては例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが挙げられる。
<置換アミド>
置換アミドは下記一般式(2)で表される。
一般式(2)
-CONH-R
(式中、R及びRは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
置換アミドとしては例えば、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドが挙げられる。
<ビスアミド>
ビスアミドは下記一般式(3)又は一般式(4)で表される。
一般式(3)
-CONH-R-HNCO-R
一般式( 4 )
-NHCO-R-CONH-R
(式中、R、R、R及びRは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていてもよく、R及びRは炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
ビスアミドとしては例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、 N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドが挙げられる。
なお、上記アリーレン基としてはフェニレン基、トルイレン基、m‐キシリレン基から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
脂肪酸アミドの融点は、50℃~150℃であることが好ましい。該当するものとしては、モノアミドとしては例えば、ラウリン酸アミド(融点87℃)、パルミチン酸アミド(融点100℃)、ステアリン酸アミド(融点101℃)、ベヘン酸アミド(融点110℃)、ヒドロキシステアリン酸アミド(融点107℃)、オレイン酸アミド(融点75℃)、エルカ酸アミド(融点81℃)が挙げられる。
置換アミドとしては例えば、N-オレイルパルミチン酸アミド(融点68℃)、N-ステアリルステアリン酸アミド(融点95℃、N-ステアリルオレイン酸アミド(融点67℃)、N-オレイルステアリン酸アミド(融点74℃)、N-ステアリルエルカ酸アミド(融点69℃)が挙げられる。
ビスアミドとしては例えば、メチレンビスステアリン酸アミド(融点142℃)、エチレンビスステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド(融点140℃)、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド(融点135℃)、エチレンビスオレイン酸アミド(融点119℃ )、エチレンビスエルカ酸アミド(融点120℃)、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド(融点110℃)、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド(融点141℃)、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド(融点136℃)、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド(融点118℃)、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド(融点113℃)が挙げられる。
上記の中でも、ラミネート強度を維持するために分子量が200~800のものが好ましい。更に好ましくは250~700である。
また、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~20の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪酸からなる脂肪酸アミドが最も好ましい。
(その他樹脂)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、上記バインダー樹脂以外に発明の作用効果に支障がない範囲で、更に樹脂成分を含むことができる(その他樹脂という)。その他樹脂は、例えば、ロジン系樹脂やアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、カゼイン等の天然樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができ、その含有量は、インキ組成物の固形分100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
(顔料)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、着色剤として顔料を含むことが好ましく、無機顔料又は有機顔料を含むことが好ましい。顔料としては、カラーインデックスに記載のC.I.ピグメントを適宜使用することができる。
<無機顔料>
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化クロム、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)等が挙げられる。着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から、白色顔料には酸化チタンが好ましく、さらに、顔料表面が塩基性である酸化チタンがより好ましい。アルミニウムは粉末又はペースト状であるが、取扱い性及び安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィング又はノンリーフィングいずれでもよい。硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムは体質顔料と呼ばれ、流動性、強度、光学的性質の改善のために増量剤として使用される。
<有機顔料>
有機顔料としては、以下の例には限定されないが、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノン系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系等の顔料が挙げられ、カラーインデックス記載のものを随時併用可能である。
顔料は、グラビア又はフレキソインキの濃度・着色力を確保するため、グラビア又はフレキソインキの総質量に対して3~55質量%の割合で含まれることが好ましく、5~50質量%で含まれることがより好ましく、8~45質量%で含まれることが更に好ましい。
(添加剤)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、添加剤として公知のものを適宜含むことができ、インキの製造においては必要に応じて公知の添加剤、例えば顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤等を使用することができる。
(有機溶剤)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、液状媒体として有機溶剤を含むことが好ましい。使用される有機溶剤としては、混合溶剤としての使用が好ましく、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、等のアルコール系有機溶剤等、公知の有機溶剤を使用できる。中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)がより好ましい。更に好ましくは芳香族系有機溶剤及び/ 又はメチルエチルケトン(以下「MEK」と表記する)等のケトン系有機溶剤を含まない有機溶剤であり、有機溶剤中にエステル系有機溶剤を主成分(50%以上)として含有することが好ましい。特にエステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含むものが好ましい。
(イソシアネート系硬化剤)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、イソシアネート系硬化剤を含むことが好ましい。その印刷物に、当該イソシアネート系硬化剤による架橋構造を付与し、ラミネート物性を向上させるためである。ポリエステル系ウレタン樹脂が水酸基やアミノ基その他の活性水素基を有する場合は当該活性水素基と架橋して、ポリエステル系ウレタン樹脂が当該活性水素基を有しない場合はイソシアネート系硬化剤のみで自己架橋することで、ラミネート強度が向上する。
以下にイソシアネート系硬化剤の実施形態として好ましい態様を示す。当該イソシアネート系硬化剤の重量平均分子量は、800~8000であることが好ましく、1000~4500であることがより好ましく、1500~4000であることが更に好ましい。
当該イソシアネート系硬化剤としては、アダクト型ポリイソシアネート(アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(ビウレット体)、イソシアヌレート型ポリイソシアネート(イソシアヌレート体)、2官能型ポリイソシアネート等を含むポリイソシアネートが好適であり、アダクト体、ビウレット体及びイソシアヌレート体は例えば、トリメチロールプロパンその他のポリオールとジイソシアネートとの反応から得られるアダクト体、ジイソシアネートが二量化してビウレット結合で繋がれたビウレット体、ジイソシアネートの環状三量化反応から得られるイソシアヌレート体等が挙げられる。当該ジイソシアネートとしては上記したジイソシアネートを任意に選択して使用してもよく、中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)等が好適に挙げられる。アダクト型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、イソシアヌレート型ポリイソシアネートは併用してもよく、更にその他のポリイソシアネートと併用してもよい。
また、ポリエステル系ウレタン樹脂とイソシアネート系硬化剤との質量比は、99:1~60:40であることが好ましく、98:2~65:35であることがより好ましく、95:5~70:30であることが更に好ましい。当該範囲であると、架橋、基材密着の効果が良好となり、ラミネート強度において十分な効果を発現すると考えられるためである。
(グラビア又はフレキソインキの製造)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、顔料、バインダー樹脂、を有機溶剤中に溶解及び/ 又は分散することにより製造することができる。具体的には、例えば有機顔料、セルロースアセテート樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、及び必要に応じて前記分散剤を混合し、有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、更にポリエステル系ウレタン樹脂、脂肪酸アミドあるいは必要に応じて他の樹脂や添加剤等を配合することによりグラビア又はフレキソインキを製造することができる。また、顔料分散体の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度等を適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミル等を用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子等が含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過等により取り除くことが好ましい。濾過に用いる濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキの粘度は、グラビア印刷法での高速印刷(50~300 m/分)に対応させるため、B型粘度計での25℃ における粘度が40~500cpsの粘度範囲であることが好ましい。より好ましくは50~400cp sである。この粘度範囲は、ザーンカップ#4での粘度が9秒~40秒程度に相当する。なお、インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えば有機顔料、バインダー樹脂、有機溶剤等の量を適宜選択することにより調整することができる。また、インキが有機顔料を含む場合、インキ中の有機顔料の粒度及び粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
<印刷物>
基材1上に、本発明のグラビア又はフレキソインキからなる印刷層を形成することで、印刷物を作製することができる。
(基材1)
基材1は、プラスチックフィルムが好ましい。印刷物を包装材に用いる場合、基材1は包装材の外層側にあたるものであり、印刷層を外観から視認できるように、光透過性を有する材料で構成されることが好ましい。
具体的には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。基材は、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂フィルムが積層された複合フィルムであってもよい。またシリカ、アルミナ等の金属酸化物が蒸着された形態であってもよい。
基材1は、ボイル、レトルト処理の観点から、耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れる基材を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂等が好適である。耐熱性に優れる基材の具体例としては、ポリエステルフィルムの単体、ナイロン等のポリアミドフィルムの単体、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上を含む複合フィルムが挙げられる。前記複合フィルムの例としては、PET/Ny/PET、外層側からPET/Nyの構成からなる共押出し延伸フィルムが挙げられる。また、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムから選ばれる一種以上と、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム及びポリ塩化ビニリデンフィルムから選ばれる一種以上とを組み合わせることも好ましい。
一実施形態として基材1は、ポリオレフィン基材であることが好ましい。ポリオレフィン基材としてはポリエチレン基材、ポリプロピレン基材が好適に用いられる。
基材1の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、5~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは10~30μmである。
基材1は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、基材は、JISK7136:2000のヘイズが1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
(印刷)
印刷層は任意の方法で形成が可能であるが、中でも、グラビア印刷又はフレキソ印刷であることが好ましく、グラビア版を用いたグラビア印刷であることがなお好ましい。
(グラビア版)
グラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻又は腐蝕・レーザーにて凹部が各色用に作製される。彫刻とレーザーは使用に制限は無く、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては100線~300線のものが適宜使用され、線数の大きいものほど目の細かい印刷が可能である。印刷版の版深としては、0.1μm~100μmが好ましい。
(グラビア印刷機)
グラビア印刷機において、一つの印刷ユニットには上記グラビア版及びドクターブレードを備えている。印刷ユニットは多数あり、有機溶剤系印刷インキ及び絵柄インキに対応する印刷ユニットを設定でき、各ユニットはオーブン乾燥ユニットを有する。印刷は輪転により行われ、巻取印刷方式である。版の種類やドクターブレードの種類は適宜選択され、仕様に応じたものが選定できる。
<フレキソ印刷>
(フレキソ版)
フレキソ印刷に使用される版としては、UV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版、又はダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。フレキソ版の画像部の形成方法に関わらず版のスクリーン線数において75lpi以上のものが使用される。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。
(フレキソ印刷機)
フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式が挙げることができ、適宜の印刷機を使用することができる。
<包装材>
また、基材1上に、本発明のグラビア又はフレキソインキからなる印刷層、及び基材2を順次有する積層体を作製し、包装材として用いることも好ましい。すなわち、ラミネート用としての形態であることが好ましい。当該形態の場合に上記課題に加え、ラミネート強度をも両立できる効果を有する。
包装材(積層体)は、上記印刷物に少なくとも一層のラミネート加工を施すことで得られ、例えば、上記印刷物上にラミネート加工を施すことで、接着剤層を介して基材2を貼り合わせて作製することができる。
より具体的には、上記印刷物の印刷層にイミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタン系等の各種アンカーコート剤を塗布後、溶融ポリエチレン樹脂を介してプラスチック基材を積層する通常のエクストルージョンラミネート( 押し出しラミネート)法、印刷された面にウレタン系等の接着剤を塗工し、その上にプラスチック基材を積層するドライラミネート法やノンソルベントラミネート法、また印刷面に直接溶融ポリプロピレンを圧着して積層するダイレクトラミネート法等、公知のラミネート工程により包装材を得ることができる。
(基材2)
基材2としては基材1と同様のものが好ましく挙げられ、同一でも異なっていてもよい。なお、基材2は、熱可塑性基材(シーラントと称する場合がある)であることが好ましく、無延伸ポリエチレン基材、無延伸ポリプロピレン基材、無延伸ポリエステル基材等が好ましい。
(包装材のリサイクル)
本発明のグラビア又はフレキソインキは、包装材のリサイクル用として好適である。包装材のリサイクルは通常の溶融混練、押出の装置を用いてペレットとして得ることができる。具体的には、特開2020-158698号公報、特開2020-158699号公報に記載された方法でリサイクルを行うことができる。当該包装材はポリオレフィン基材の積層体からなることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、以下の実施態様は本発明の一例であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
<アミン価の測定方法>
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。
試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式1)によりアミン価を求めた。
(式1)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mn)
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
<水酸基価の測定方法>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
<酸価の測定方法>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
[合成例1-1](ポリエステルポリオールA1の合成)
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、1,3-プロパンジオール(以下1,3-PDとも略す)26部、ネオペンチルグリコール(以下NPGとも略す)26部、アジピン酸24部、セバシン酸24部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15mgKOH/g以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、水酸基価56.1mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/g、バイオマス度60.4%のポリエステルポリオ-ル(A1)を得た。
[合成例1-2~1-7](ポリエステルポリオールA2~A7の合成)
表1に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例1-1と同様の方法で、ポリエステルポリオールA2~A7を得た。なお、表中に記載の略称は以下を表す。
NPG:ネオペンチルグリコール(植物由来 バイオマス度40%)
PG:1,2-プロピレングリコール(植物由来 バイオマス度100%)
1,3-PD:1,3-プロパンジオール(植物由来 バイオマス度100%)
上記において、NPGのバイオマス度はパーストープ社カタログ値に由来する。
・表中の二塩基酸は以下のバイオマス度である。
コハク酸:(バイオマス由来 バイオマス度100%)
アジピン酸:(石油由来 バイオマス度0%)
セバシン酸:(バイオマス由来 バイオマス度100%)
なお、バイオマス度とは化合物中に含まれる植物由来その他のバイオマス由来の割合をいう。
バイオマス度=100×該当化合物のバイオマス由来成分質量/該当化合物の総質量(%)
で表される。
ただし、該当化合物が、バイオマス由来原料と、バイオマス由来でない原料との反応物である場合、反応前の原料に換算して、計算する。例えば、二塩基酸とジオールとの反応物であるポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)の場合、
バイオマス度=100×(バイオマス二塩基酸+バイオマス由来ジオール)/(すべての二塩基酸+すべてのジオール)
「すべての二塩基酸+すべてのジオール」とは、バイオマス由来及びバイオマス由来でない二塩基酸、及びバイオマス由来及びバイオマス由来でないジオールの合計をいう。
[合成例2-1](ポリエステル系ウレタン樹脂B1の合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリエステルポリオ-ルA1を23.6部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)4.68部、酢酸エチル7.5部、2-エチルヘキサン酸スズ0.003部を仕込み、窒素気流下に120℃で6時間反応させ、酢酸プロピル7.5部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.60部、ジブチルアミン(以下DBAとも略す)0.12部、部酢酸エチル34部及びイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)21部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、質量平均分子量70000、アミン価4mgKOH/g、バイオマス度48%のポリエステル系ウレタン樹脂B1溶液を得た。
[合成例2-2~2-6](ポリエステル系ウレタン樹脂B2~B6の合成)
表2に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例2-1と同様の操作で、ポリエステル系ウレタン樹脂B2~B6を得た。樹脂の性状等を同表に示した。
[比較合成例2-A~2-B]
表2に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、合成例2-1と同様の方法で、ウレタン樹脂C1~C2を得た。樹脂の性状等を同表に示した。表中のポリエーテルポリオールは、数平均分子量2000のポリプロピレングリコールである。
[実施例1](インキD1の調製)
フタロシアニン顔料(トーヨーカラー株式会社製LIONOL BLUE FG-7330、C.I.Pigment Blue 15:3)10部、ウレタン樹脂B1溶液10部、セルロースアセテート樹脂溶液(CAP-504-0.2、EASTMAN CHEMICAL社製 セルロースアセテートプロピオネート、数平均分子量15000、ガラス転移温度159℃、固形分19.2%の酢酸エチル、イソプロパノール溶液)7部、混合溶剤(酢酸プロピル/IPA=70/30(質量比))10部を撹拌混合しサンドミルで分散した後、ウレタン樹脂(B1)30部、脂肪酸アミド(エチレンビス脂肪酸アミド)0.15部、混合溶剤(ノルマルプロピルアセテート/イソプロピルアルコール=70/30(質量比))33部を攪拌混合し、藍色印刷インキD1を得た。
[実施例2-17](インキD2~D17の調製)
表3に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インキD2~D17を得た。なお、表中の略称は以下を示す。
・ソルバインTA5R:日信化学工業社製、塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール= 88:1:11(固形分30%酢酸エチル溶液)
・CAP-482-0.5:EASTMAN CHEMICAL社製 セルロースアセテートプロピオネート、数平均分子量25000、ガラス転移温度142℃ 水酸基含有量2.6質量%(固形分19.2%の酢酸エチル、イソプロパノール溶液)
・カーボンブラック:三菱化学社製カーボンブラック MA14
[比較例1~6](インキE1~E6の調製)
表4に記載の原料及び仕込み比率に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インキE1~E6を得た。
[印刷物の製造]インキD1の印刷
インキD1の粘度を酢酸エチル/IPA混合溶剤(質量比80/20)で、ザーンカップ#3(離合社製)における粘度が15秒(25℃)となるように希釈調整し、版深20μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚さ20μm)に印刷した後、40~50℃ で乾燥し、印刷物を得た。基材を、片面コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)に変え、上記同様に基材違いの印刷物を作成した。
・片面コロナ処理延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム:フタムラ化学(株)社製ポリプロピレンフィルム(FOR、FOS)
・片面コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム:東洋紡社製ポリエステルフィルム(E5100)
(リサイクル性)
ロ-ル表面温度180℃設定の二本オ-プンロ-ルに上記包装材を100g入れ、10分間練りを行った。ロ-ル表面の溶融状態にブツ、泡、カスレ等外観の異常のない物をリサイクル性Aとし、外観にわずかに異常がある物をリサイクル性B、外観に明らかな異常がある物をリサイクル性Cとした。
なお実用レベルはA及びBである。
(発色性)
発色性は得られたOPPフィルム印刷物の光沢度を用いて判断した。光沢度は、JISZ8741:1997に準拠してBYK社製光沢計Micro-Tri-Gloss(測定角度60°)を用いて測定した。
(評価基準)
5:光沢度が以上25以上(優)
4:光沢度が20以上25未満(良)
3:光沢度が15以上20未満(可)
2:光沢度が10以上15未満(不可)
1:光沢度が10未満(劣)
なお実用レベルは3~5である。
(耐ブロッキング性)
得られた印刷物を4cm×4cm のサイズに切り出し、切り出したサンプルの印刷された面と、同じサイズの厚み20μmのポリプロピレンフィルム(OPP)のコロナ放電処理されていない面(未処理面という)、コロナ放電処理されている面(処理面という)それぞれと重ね合わせ用の基材とした。OPP未処理面基材とサンプルの印刷層を有する面を合わせて、温度50℃、相対湿度80%の雰囲気下で10kgfの荷重をかけ、72時間後フィルム間を剥がし、印刷面からのインキの剥離状態を目視で判断した。
OPP処理面基材とサンプルの印刷層を有する面を合わせて、温度40℃、相対湿度80%の雰囲気下で10kgfの荷重をかけ、24時間後フィルム間を剥がし、印刷面からのインキの剥離状態を目視で判断した。
(評価基準)
5:印刷面のインキ被膜が全く剥離せず、剥離抵抗の小さいもの(良好)
4:インキ被膜の剥離面積が1%以上5%未満であり、剥離抵抗の小さいもの(可)
3:インキ被膜の剥離面積が5%以上20%未満のもの(やや不可)
2:インキ被膜の剥離面積が20%以上50%未満のもの(不可)
1:インキ被膜が50%以上剥離するもの(劣)
なお実用レベルは4~5である。
(OPP/CPP構成)ラミネート強度
上記実施例及び比較例において得られたインキD1~D19(実施例)、E1~E6(比較例)のOPPフィルムの印刷物の印刷層上に、ドライラミネート機を用いてライン速度40m/分にてポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製 TM320/CAT13B)を固形分25重量%及び10重量%の酢酸エチル溶液として1.5g/m2となるように、印刷面に塗工・乾燥し、同時に未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ25μm、表面コロナ放電処理)と貼り合わせ、40℃で1日間保温し、印刷層を有するラミネート積層体を得た。
(ラミネート強度)
上記実施例及び比較例において得られたインキD1~D19(実施例)、E1~E6(比較例)のOPP/CPP構成積層構成の包装材について長さ150mm、幅15mmに切り出し、インキ/OPPフィルム界面で開き、引っ張り試験機を用いてT型剥離でラミネート強度を測定した。
(評価基準)
5:1.5N/15mm以上(優)
4:1.0N/15mm以上1.5N/15mm未満(良)
3:0.7N/15mm以上1.0N/15mm未満(可)
2:0.5N/15mm以上0.7N/15mm未満(不可)
1:0.5N/15mm未満(劣)
なお実用レベルは3~5である。
(PET/LLDPE構成)残留溶剤試験用
上記実施例及び比較例において得られたインキD1~D19(実施例)、E1~E6(比較例)のPETフィルムの印刷物の印刷層上に、エクストルジョンラミネート機を用いてライン速度80m/分にてウレタン系アンカーコート剤(主剤:東洋モートン社製 EL530A、硬化剤:東洋モートン社製 EL530B=1:1)を酢酸エチルで希釈した固形分8%の溶液を塗工し、塗工面に355℃ にて溶融した低密度ポリエチレン(スミカセンL417、住友化学社製) 重ねると同時に、更に上記低密度ポリエチレン上にポリエチレンフィルム( LL-XMTN、膜厚25μm、フタムラ化学社製)と貼り合わせて印刷層を有するラミネート積層体を得た。
(包装材の残留溶剤)
上記実施例及び比較例において得られたPET/LLDPE構成の包装材について、ラミネート加工後、ラミネート積層体を横20cm縦25cmのサイズに切り出し、20枚をナスフラスコに入れ密閉後、加温した。(温度:80℃、30分)その後、フラスコ内の空気を0.4ml抜き取り、ガスクロマトグラフィー(GC)にて分析し、溶剤成分量を確認した。
(評価基準)
5:残留溶剤合計量が、1mg/m未満であった。(優)
4:残留溶剤合計量が、1mg/m以上3mg/m未満であった。(良)
3:残留溶剤合計量が、3mg/m以上5mg/m未満であった。(可)
2:残留溶剤合計量が、5mg/m以上10mg/m未満であった。(不可)
1:残留溶剤合計量が、10mg/m以上であった。(劣)
なお、実用レベルは3~5である。

Claims (8)

  1. ポリエステル系ウレタン樹脂及びセルロースアセテート樹脂を含むバインダー樹脂、並びに、脂肪酸アミドを含有するグラビア又はフレキソインキであって、
    前記ポリエステル系ウレタン樹脂が、セバシン酸系ポリエステルポリオール由来の構成単位を含み、
    前記バインダー樹脂全質量中の塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の含有量が、0又は1000ppm以下である、グラビア又はフレキソインキ。
  2. ラミネート用である、請求項1に記載のグラビア又はフレキソインキ
  3. セルロースアセテート樹脂が、水酸基含有率2~6質量%のセルロースアセテートプロピオネート樹脂である、請求項1又は2記載のグラビア又はフレキソインキ。
  4. セルロースアセテート樹脂と、脂肪酸アミドとの質量比率が、75:25~99:1である、請求項1又は2に記載のグラビア又はフレキソインキ。
  5. セバシン酸系ポリエステルポリオールが、セバシン酸を含む二塩基酸由来の構成単位とジオール由来の構成単位とからなり、前記ジオールが、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールを含む、請求項1又は2に記載のグラビア又はフレキソインキ。
  6. 基材1上に請求項1又は2に記載のグラビア又はフレキソインキからなる印刷層を有する、印刷物。
  7. 基材1上に請求項1又は2に記載のグラビア又はフレキソインキからなる印刷層、及び基材2を順次有する、包装材。
  8. 基材1及び基材2がポリオレフィン基材であり、かつ、マテリアルリサイクル用である、請求項6に記載の包装材。
JP2022200990A 2022-12-16 グラビア又はフレキソインキ、それを用いた印刷物及び包装材 Pending JP2024086082A (ja)

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