JP7248498B2 - 軟包装用ラミネート印刷インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に関する。
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性等の観点から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には消費者へアピールする意匠、メッセージ等の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そして包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷する表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルム裏面の印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネーション加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷では、各種汎用フィルム(ポリエステル、ナイロン)、アルミニウム箔、各種高機能フィルム(無機や有機のバリア材が塗布されたフィルム)等の各種フィルム上に色インキ、白インキを順次印刷後、該白インキの印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等によりヒートシールを目的にポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている。
裏刷り印刷で使用される軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物としては、バインダー樹脂として、ポリプロピレングリコール含有ポリウレタン樹脂および顔料分散性及び密着性を向上させるために使用している水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を必須成分とし含有する軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
提案されている軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物は、ポリプロピレンフィルム、各種高機能バリア性フィルム等のフィルムに対して密着性が不十分な場合があり、より高い密着性を有するインキが要求されるようになってきている。
これらの問題を解決するために、バインダー樹脂として、ウレア結合を有する重量平均分子量が10,000~100,000の範囲であるポリウレタン樹脂と、ウレア結合を有しない重量平均分子量が10,000~100,000の範囲であるポリウレタン樹脂、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を含有するリキッドインキ組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、近年、より高い性能が要求されるようになってきており、改善余地を有するものであった。
特開2005-298618号公報 特開2017-019991号公報
本発明は、経時安定性に優れ、植物由来の材料をさらに高い含有量となるように採用でき、かつ各種フィルム及び各種高機能バリア性フィルム等のフィルムに対する密着性の向上ができる軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に特定の組み合わせのポリウレタン樹脂と水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂とを含有させることにより、上記の課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.顔料、バインダー樹脂、有機溶剤を含むラミネート用印刷インキ組成物であって、バインダー樹脂が、ウレタン基濃度0.3~2.4mmol/gであり、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂(A)と、ウレタン基濃度が2.0~6.0mmol/gであるウレア結合を有しない質量平均分子量が1000~6000ポリウレタン樹脂(B)と水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、且つポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比率が95:5~50:50である包装用ラミネート印刷インキ組成物。
2.前記ポリウレタン樹脂(A)のウレタン基濃度が0.5~1.3mmol/gであり、前記ポリウレタン樹脂(B)のウレタン基濃度が3.5~5.5mmol/gである1に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
3.前記ポリウレタン樹脂(A)のアミン価が1.0~15.0mgKOH/gである1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
4.前記ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の合計と、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂と水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂の合計の質量含有比率が100/0~45/55である1~3のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
5.前記ポリウレタン樹脂(A)及び/又はポリウレタン樹脂(B)は、バイオマスポリウレタン樹脂である1~4のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
6.前記顔料が、中性カーボン、フタロシアニン顔料、PR146である1~5のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
7.密着性向上剤とブロッキング防止剤から選ばれる少なくとも1種を含有する1~6のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
8.密着性向上剤及びブロッキング防止剤を含有する7に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
9.密着性向上剤がロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、ブロッキング防止剤がシリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、硝化綿の中から選ばれる少なくとも1種である7又は8に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
10.前記有機溶剤は、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤の混合溶剤である1~9のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
11.更に、水を含有する1~10のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
12.更に、グリコールエーテル系有機溶剤を含有する1~11のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物は、経時安定性に優れ、植物由来の材料をさらに高い含有量となるように採用でき、かつ各種フィルム及び各種高機能バリア性フィルム等のフィルムに対する密着性の向上ができる軟包装用ラミネート印刷インキ組成物、印刷方法、印刷物及び積層体を得ることができる。
本発明は、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤を含む軟包装用ラミネート印刷インキ組成物であって、バインダー樹脂が、ウレタン基濃度が0.3~2.4mmol/g、好ましくは、0.5~1.3mmol/gであり、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂(A)と、ウレタン基濃度が3.0~6.0mmol/g、好ましくは、3.5~5.5mmol/gであるウレア結合を有しない質量平均分子量が1000~6000ポリウレタン樹脂(B)と、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有する軟包装用ラミネート印刷インキ組成物である。
以下、本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物について、具体的に説明する。
(顔料)
顔料としては、例えば、印刷インキで一般的に用いられている各種無機顔料、有機顔料あるいは体質顔料が使用できる。
上記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、体質顔料としては、シリカ粒子、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等を挙げることができる。なかでも白色顔料として酸化チタンを使用することが好ましい。
上記有機顔料としては、例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅等のフタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
本発明は、バインダー樹脂として、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を使用しているので、顔料分散が難しい、中性カーボン、フタロシアニン顔料、PR146等も顔料分散性が良好となり、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の経時安定も良好となる。
これら顔料のインキ組成物中での含有量は、通常1~50質量%程度である。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、ウレタン基濃度0.3~2.4mmol/g、好ましくは、ウレタン基濃度0.5~1.3mmol/gである、末端にアミノ基を有するポリウレタン樹脂である、下記のポリウレタン樹脂(A)と、ウレタン基濃度が3.0~6.0mmol/g、好ましくは、ウレタン基濃度3.5~5.5mmol/gであるウレア結合を有しないポリウレタン樹脂である。さらに下記のポリウレタン樹脂(B)と、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂とを含有する。
環境面からは、ポリウレタン樹脂(A)及び/又はポリウレタン樹脂(B)は、バイオマスポリウレタン樹脂が好ましい。
さらに、ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量含有比率が95:5~50:50の範囲であることが好ましく、90:10~70:30がより好ましく、92:8~65:35が更に好ましい。ポリウレタン樹脂(B)の比率が範囲外であると密着性が低下する傾向となる。
ウレタン基濃度及びウレア基濃度は下記の式により算出できる。
(ウレタン基濃度)
ウレタン基濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S)
式において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2~ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
(ウレア基濃度)
ウレア基濃度={(X1/M1+X2/M2+・・・+Xi/Mi)×2-(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)/56100}×1000/S
式において、記号は各々以下の通りである。
X1:ジイソシアネート化合物1の重量
M1:ジイソシアネート化合物1の分子量
X2:ジイソシアネート化合物2の重量
M2:ジイソシアネート化合物2の分子量
Xi:ジイソシアネート化合物iの重量
Mi:ジイソシアネート化合物iの分子量
W1:ポリオール1の重量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の重量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの重量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の重量
<ポリウレタン樹脂(A)>
ポリウレタン樹脂(A)としては、ウレタン基濃度0.3~2.4mmol/g、好ましくは、ウレタン基濃度0.5~1.3mmol/gである、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂である。ウレタン基濃度が、0.3mmol/g未満であると合成が困難となり、2.4mmol/gを超えると密着性が低下する傾向となる。
また、好ましくはウレア基濃度が0.30~2.00mmol/gであり、より好ましくは、0.30~1.50mmol/gであり、更に好ましくは、0.30~1.20mmol/gである。
また、ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量は、10,000~100,000が好ましく、より好ましくは15,000~80,000、さらに好ましくは20,000~50,000である。
また、ポリウレタン樹脂(A)は、分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上、特に分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有することが望ましく、更に水酸基を有することが好ましい。
また、上記ポリウレタン樹脂(A)のアミン価は、1.0~15.0mgKOH/gであることが好ましく、2.0~10.0mgKOH/gがより好ましく、2.5~7.0mgKOH/gが更に好ましい。上記アミン価が1.0mgKOH/g未満であると、本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物の経時安定性が低下する可能性、フィルムに対する接着性が低下する可能性、更に、ラミネート適性が低下する可能性があり、上記アミン価が15.0mgKOH/gを超えると、耐ブロッキング性が低下する可能性がある。
なお、本発明において、上記アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM-900、BURET B-900、TITSTATIONK-900)、平沼産業社製)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
ポリウレタン樹脂(A)としては、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を好適に使用できる。
上記有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの有機ジイソシアネート化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び芳香脂肪族ジイソシアネートがより好ましい。
上記高分子ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
更に上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を1種又は2種以上混合して併用することもできる。
なお、ポリウレタン樹脂の合成時において、後述する有機溶剤として、エステル系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤系を用いる場合には、高分子ジオール化合物としてポリエーテルジオール化合物、好ましくはポリプロピレングリコールを使用すると、得られるポリウレタン樹脂の溶解性が高くなる傾向があり、また、階調再現性、かぶり防止性等の印刷適性が良好となる傾向があり、必要とする性能に合わせて幅広くインキの設計が可能となる点で好ましい。
また、上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物とは、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、1より大きい範囲となるように反応させる。
上記鎖伸長剤としては、インキ用バインダーとしてのポリウレタン樹脂で利用される既知の鎖伸長剤を使用可能であり、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物が挙げられる。
更に、ポリウレタン樹脂がゲル化しない範囲で、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類を併用することができる。
ポリウレタン樹脂の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基を有する導入する反応停止剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等を例示できる。この中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等の第1級アミノ基を有するポリアミンが好ましい。
ポリウレタン樹脂に水酸基を導入する反応停止剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類が例示できる。また、既知の反応停止剤であるモノアミン化合物、モノアルコール化合物を使用可能であり、具体的には、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン等のモノアルキルアミン類、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類、エタノール等のモノアルコール類を例示することができる。
以上の合成成分を用いて本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に使用されるポリウレタン樹脂(A)を得るためには、ウレタン基濃度は0.3~2.4mmol/g、好ましくはウレア基濃度が0.3~2.0mmol/gとなるように、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させ末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た後、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤を反応させることにより得ることができる。
また、ポリウレタン樹脂(A)としては、環境面を考慮してバイオマスポリウレタン樹脂を有していてもよい。バイオマスポリウレタン樹脂について説明する。なお、バイオマスポリウレタン樹脂の説明のうち、上記したポリウレタン樹脂と共通する説明は適宜省略する。
バイオマスポリウレタン樹脂は、バイオマス由来(植物由来)の成分を含むポリウレタン樹脂である。バイオマスポリウレタン樹脂は、他の枯渇性資源を用いる場合と比較して地球温暖化防止や環境負荷低減により貢献できる点から、バイオポリオール成分イソシアネート成分との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるバイオマスポリウレタン樹脂であることが好ましく、イソシアネート成分が植物由来のバイオイソシアネートであることがより好ましい。
バイオポリオール成分は、炭素数が2~4の短鎖ジオール成分と、カルボン酸成分とを反応させたバイオポリエステルポリオールであることが好ましい。バイオポリオール成分は、短鎖ジオール成分およびカルボン酸成分のうち、少なくともいずれか一方が植物由来であることがより好ましく、両方が植物由来であることがさらに好ましい。
植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール成分は特に限定されない。一例を挙げると、短鎖ジオール成分は、以下の方法により植物原料から得られる、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等であってもよく、これらを併用してもよい。
1,3-プロパンジオールは、植物資源(たとえばトウモロコシ等)を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て、製造され得る。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3-プロパンジオール化合物は、EO製造法の1,3-プロパンジオール化合物と比較して、安全性の面から乳酸など有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能である。
1,4-ブタンジオールは、植物資源からグリコールを製造し発酵することによって得られたコハク酸を水添することにより製造され得る。また、エチレングリコールは、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造され得る。
植物由来のカルボン酸成分は特に限定されない。一例を挙げると、カルボン酸成分は、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グルタル酸、ダイマー酸等である。これらは併用されてもよい。これらの中でも、カルボン酸成分は、セバシン酸、コハク酸およびダイマー酸からなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。
バイオポリオール成分は、植物由来の短鎖ジオール成分と植物由来のカルボン酸成分とを、適宜縮合反応させることにより、100%植物由来のバイオポリエステルポリオールとして生成され得る。具体的には、植物由来のセバシン酸と、植物由来の1,3-プロパンジオールとを直接脱水縮合することにより、ポリトリメチレンセバケートポリオールが得られる。また、植物由来のコハク酸と、植物由来の1,4-ブタンジオールとを直接脱水縮合することにより、ポリブチレンサクシネートポリオールが得られ、これらは併用されてもよい。
以上の合成成分を用いて本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に使用されるバイオマスポリウレタン樹脂(A)を得るためには、ウレタン基濃度は0.3~2.4mmol/g、ウレア基濃度は0.3~0.7mmol/gとなるように、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させ末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た後、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤を反応させることにより得ることができる。
<ポリウレタン樹脂(B)>
ポリウレタン樹脂(B)としては、ウレタン基濃度が2.0~6.0mmol/gであり、好ましくは、ウレタン基濃度3.5~5.5mmol/gである。またアミン価を有さなくてもよい。質量平均分子量は1,000~6,000が好ましく、2,000~5,000がより好ましく、1,500~4,000がさらに好ましい。この質量平均分子量の範囲が範囲外であると密着性が低下する傾向がある。また、ウレア結合を有していないポリウレタン樹脂を選択して使用でき、密着性を高めるための必須成分である。
ポリウレタン樹脂(B)のウレタン基濃度が、2.0mmol/g未満であると製造が困難となり、6.0mmol/gを超えると密着性が低下する傾向である。
ポリウレタン樹脂(B)は、例えば、ジイソシアネート化合物、平均質量分子量1000以下の低分子量ポリオール化合物、及び水酸基を2個以上有する低分子量の化合物を反応させて得ることができる末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂である。
ここで、利用可能なジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4-シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができる。
平均質量分子量1,000以下の低分子量ポリオール化合物は、 例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等のジオール化合物を1種又は2種以上を混合して得ることができる。
上記水酸基を2個以上有する低分子量の化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール等の1種又は2種以上を例示できる。
以上の合成成分を用いて本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に使用されるウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)を得るためには、ウレタン基濃度が2.0~6.0mmol/g、好ましくは、ウレタン基濃度3.5~5.5mmol/g、質量平均分子量が1000~6000となるように、ジイソシアネート化合物と平均質量分子量1000以下の低分子量ポリオール化合物と、水酸基を2個以上有する低分子量の化合物とを末端が水酸基となるように反応させることにより得ることができる。
また、ポリウレタン樹脂(B)としては、環境面を考慮するとバイオマスポリウレタン樹脂を有していてもよい。バイオマスポリウレタン樹脂について説明する。なお、バイオマスポリウレタン樹脂の説明のうち、上記したポリウレタン樹脂と共通する説明は適宜省略する。
バイオマスポリウレタン樹脂は、バイオマス由来(植物由来)の成分を含むポリウレタン樹脂である。バイオマスポリウレタン樹脂は、他の枯渇性資源を用いる場合と比較して地球温暖化防止や環境負荷低減により貢献できる点から、例えば、ジイソシアネート化合物(バイオマスであるジイソシアネート化合物が環境面からより好ましい)、平均質量分子量1000以下のバイオマス低分子量ポリオール化合物を含有する低分子量ポリオール化合物、及び水酸基を2個以上有する低分子量の化合物(バイオマスである水酸基を2個以上有する低分子量の化合物が環境面からはより好ましい)を反応させて得ることができるバイオマスポリウレタン樹脂である。
平均質量分子量1,000以下のバイオマス低分子量ポリオール化合物を含有する低分子量ポリオール化合物を得るためには、バイオマスポリエステルポリオール単独、バイオマスポリエステルポリオール以外のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等のジオール化合物を1種又は2種以上を併用使用しても使用できる。
バイオマスポリエステルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類とを縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等の各種高分子ジオール化合物である。そしてこれらの化合物のうちの1種以上が植物由来の化合物である。
上記1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等は下記の方法により植物原料から得られた植物由来の短鎖ジオール成分であってもよい。これらは併用されてもよい。
1,3-プロパンジオールは、植物資源(たとえばトウモロコシ等)を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て、製造され得る。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3-プロパンジオール化合物は、EO製造法の1,3-プロパンジオール化合物と比較して、安全性の面から乳酸など有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能である。1,4-ブタンジオールは、植物資源からグリコールを製造し発酵することによって得られたコハク酸を得て、これを水添することにより製造され得る。
また、エチレングリコールは、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造され得る。
植物由来のジカルボン酸成分は特に限定されない。一例を挙げると、ジカルボン酸成分は、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グルタル酸、リンゴ酸、ダイマー酸等である。これらは併用されてもよい。これらの中でも、ジカルボン酸成分は、得られる接着剤組成物が軟包装にプリント又は塗布された際に、プリント物の耐ブロッキング性、ラミネート適性がさらに優れる観点から、セバシン酸、コハク酸、リンゴ酸およびダイマー酸からなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。
バイオマスポリエステルポリオールは、活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸を含んでもよい。なお、このような有機酸成分は特に限定されない。一例を挙げると、活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸成分は、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸等である。これらは併用されてもよい。活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸成分の使用量は、ジカルボン酸に対して3000ppm以下であることが好ましく、1000~3000ppmであることがより好ましい。活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸成分の使用量がジカルボン酸に対して1000ppm以上であることにより、より高い耐性が要求された場合、ブロッキング性、レトルト性が良好に発現しやすい。
バイオマスポリエステルポリオールは、植物由来の短鎖ジオール成分と植物由来のカルボン酸成分と、必要に応じて活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸成分とを、従来公知の方法で適宜縮合反応させることにより得ることができる。
上記低分子量の水酸基を2個以上有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール等の1種又は2種以上を例示できる。環境面からは、植物原料から得られる、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等が好ましい。
以上の合成成分を用いて本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に使用されるバイオマスポリウレタン樹脂(B)を得るためには、ウレタン基濃度が3.0~6.0mmol/g、好ましくは、ウレタン基濃度3.5~5.5mmol/g、質量平均分子量が1000~6000となるように、ジイソシアネート化合物(バイオマスであるジイソシアネート化合物が環境面からより好ましい)、平均質量分子量1000以下のバイオマス低分子量ポリオール化合物を含有する低分子量ポリオール化合物、及び水酸基を2個以上有する低分子量の化合物(バイオマスである水酸基を2個以上有する低分子量の化合物が環境面からはより好ましい)を末端がイソシアネート基となるように反応させることにより得ることができる。
<塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体>
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体を配合できる。その含有量としては顔料分散性及び接着性を考慮して、ポリウレタン樹脂(A)及び(B)の固形分合計100質量部に対して0~20質量部が好ましく、0~15質量部がより好ましい。
塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体としては、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを必須成分とし、必要に応じて、プロピオン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等の脂肪酸ビニルモノマー、水酸基等の官能基を有するモノマーを共重合成分として、公知の方法で製造したものが使用できる。
中でも、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、環境に配慮したインキの有機溶剤系においては、50~200の水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体が好適である。このような水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、酢酸エステル部分の一部をケン化すること、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを導入することにより得られる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、および酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の皮膜物性や溶解挙動が決定される。すなわち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂皮膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮したインキの有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 -CH-CHCl-
式2 -CH-CH(OCOCH)-
式3 -CH-CH(OH)-
このような塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は市販されたものでも良く、例えば、日信化学工業社製のソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL、C、CH、CN、CNL等を挙げることができる。
なお、本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物で使用する、後記の有機溶剤に対する溶解性や印刷適性の点から、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、分子内に各種官能基を有していても良い。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤が使用されるときは、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、50~200mgKOH/gの水酸基を有していることが好ましい。このような塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の市販品としても、例えば、ソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL等を使用することが好ましい。
<塩化ビニル・アクリル系共重合体>
本発明のラミネート用グラビア印刷インキ組成物には、塩化ビニル・アクリル系共重合体を配合できる。その含有量としては接着性を考慮して、ポリウレタン樹脂(A)及び(B)の固形分合計100質量部に対して0~20質量部が好ましく、0~15質量部がより好ましい。塩化ビニル・アクリル系共重合体は、塩化ビニルとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものであり、共重合体の形態は特に限定されない。例えば、アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良く、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフト共重合されていても良い。
アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するアクリルモノマー等を用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどが挙げられる。
水酸基を有するアクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
また、アクリルモノマーとして、水酸基以外の官能基を有するアクリルモノマーを用いることもできる。水酸基以外の官能基の例としてはカルボキシル基、アミド結合基、アミノ基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。
上記塩化ビニル・アクリル系共重合体樹脂は、質量平均分子量が1万~7万であることが好ましく、2万~5万であることがさらに好ましい。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤への溶解性、基材に対する接着性の点から、上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、50~200mgKOH/gの水酸基を有していることが好ましい。
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に含有される塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、及び/又は、塩化ビニル・アクリル系共重合体は、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)の合計量(以下ポリウレタン樹脂の合計量というときがある。)と(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)とを、ポリウレタン樹脂の合計量/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体と塩化ビニル・アクリル系共重合体の合計量)=100/0~45/55(質量比)で含有することができ、好ましくは95/5~70/30である。
なお、ポリウレタン樹脂の合計量/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体)では90/10~75/25の範囲としても良く、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・アクリル系共重合体)では95/5~85/15の範囲としても良い。
そして、この100/0~45/55の割合で、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)と塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体とを含有することにより、本発明のラミネート印刷インキ組成物は、顔料分散性に優れ、フィルムに対するさらに優れた印刷適性及び接着性を有することとなる。更に、ラミネート加工が行われる場合、より優れたラミネート適性を有することとなる。
上記ポリウレタン樹脂の合計量/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)が45/55を下回る場合、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)の割合が多くなり、本発明のインキ組成物を用いて形成する印刷物が硬くなり、やはり上記フィルムに対する接着性が不充分となる可能性がある。
そのため、本発明において、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)を含有させる場合、上記ポリウレタン樹脂の合計量/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)は、好ましくは100/0~45/55(質量比)である。
また、本発明のインキ組成物中の、上記ポリウレタン樹脂の合計量及び塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体を合わせた含有量は、5~30質量%が好適である。
また、本発明には、本発明の目的とする性能を低下させない範囲で、密着性向上剤及びブロッキング防止剤から選ばれる1種、好ましくは、密着性向上剤、ブロッキング防止剤を使用することが好ましい。
(密着性向上剤)
密着性向上剤としては、ロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂等が例示でき、ロジン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種以上、より好ましくは2種以上を含有させる。
<ロジン及びその誘導体>
ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。一般的にロジンは松から得られる琥珀色、無定形の樹脂であり、天然から得られるため混合物であるが、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸という構成成分ごとに単離して用いても良く、本発明ではこれらもロジンと定義する。
ロジン誘導体は、上記のロジンを変性してなる化合物であり、具体的に以下に列挙する。
(1)水素化ロジン:共役二重結合に水素を付加(水素添加)させて、耐候性を向上させたロジンである。
(2)不均化ロジン: 不均化とは、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子となる変性である。一般に水添ロジンよりは耐候性が劣るが、未処理のものよりは耐候性が向上する。
(3)ロジン変性フェノール樹脂:オフセット印刷のインキには、メインバインダーとしてロジン変性フェノール樹脂が使われることが多い。ロジン変性フェノール樹脂は公知の製造法で得ることができる。
(4)ロジンエステル:ロジンから誘導されるエステル樹脂であり、古くから粘着・接着剤の粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる。
(5)ロジン変性マレイン酸樹脂:ロジンに無水マレイン酸を付加反応させたもので、必要に応じてグリセリンなどの水酸基含有化合物を、無水酸基とエステル化させグラフトさせたものも含まれる。
(6)重合ロジン:天然樹脂のロジンから誘導される二量化された樹脂酸を含む誘導体である。
その他、公知のロジン、ロジン誘導体も用いることが可能であり、これらは単独だけでなく併用することができる。
さらに、ロジン及びそのロジン誘導体の酸価は120mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価が120mgKOH/g以上であると、ラミネート強度が向上する。さらに好ましくは酸価が160mgKOH/g以上である。また、ロジンおよびその誘導体を配合する際の合計使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物の固形分質量%で、0.1質量%~3.0質量%が好ましい。
<塩素化ポリプロピレン>
塩素化ポリプロピレンとしては、塩素化度が20~50のものが使用できる。塩素化度が20未満の塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤との相溶性が低下する傾向がある。一方、塩素化度が50を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、フィルムに対する接着性が低下する傾向がある。なお、本発明において、塩素化度は、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の質量%で定義される。また、塩素化ポリプロピレンは、質量平均分子量が5000~200000の変性されたまたは未変性の塩素化ポリプロピレンであることが好ましい。質量平均分子量が5000未満の場合、塩素化ポリプロピレンは、接着性が低下する傾向がある。一方、質量平均分子量が200000を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤への溶解性が低下する傾向がある。また、塩素化ポリプロピレンを配合する際の使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物の固形分質量%で、0.1質量%~3.0質量%が好ましい。
<ダンマル樹脂>
ダンマル樹脂は、ダマール、ダンマーとも表記され、植物由来の天然樹脂の一種である。詳細には、マレーシア、インドネシアなど東南アジアに生育するフタバガキ科またはカンラン科植物から得られる天然樹脂の一種である。使用する際には適当な有機溶剤に溶解させてワニスとする。ダンマル樹脂は塩素を含有しないため、印刷インキ組成物に塩素化ポリオレフィン樹脂を使用する場合に比べ、塩素を排除・低減することができる。また、ダンマル樹脂を配合する際の使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物の固形分質量%で、3.0質量%以下が好ましい。
(ブロッキング防止剤)
ブロッキング防止剤としては、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、硝化綿等が例示でき、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミドの1種以上、好ましくは2種以上を含有させることが好ましく、顔料の種類によって、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、硝化綿を更に含有させることが好ましい。
<シリカ粒子>
シリカ粒子は天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のものなどが挙げられる。シリカ粒子は、平均粒子径が1.0~5.0μmのものが好ましい(なおシリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる)。シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良いし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良いが、親水性のものが好ましく、親水性シリカ粒子を含むインキは重ね印刷時のインキの濡れ・広がりを促し、重ね印刷効果(以下「トラッピング性」と記載する場合がある)を向上させる効果も有する。シリカ粒子使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に0.0~3.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1~1.0質量%である。
<ポリエチレンワックス>
ポリエチレンワックスとしては平均粒子径が1.0~20μmの範囲のもの(なお、平均粒子径は、#1:Honeywell社製 Microtrac UPAにて測定した粒径を意味する)を使用する。ポリエチレンワックスの粒子径が1.0μmより小さいと、すべり性、ブロッキング性が低下し、粒子径が20μmより大きいとトラッピング性が低下する。また、ポリエチレンワックスの軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中の含有量は、0.1~1.5質量%の範囲が好ましい。含有量が0.1質量%より少ないと目的とする効果が得られず、含有量が1.5質量%より多いと、光沢が低下する傾向にある。
<硝化綿>
硝化綿としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿が使用できる。硝化綿としては、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本発明に使用される硝化綿としては、窒素量10~13%、平均重合度35~90のものが好ましく用いられる。具体例としては、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NCRS-2、(KOREA CNC LTD社製)等を挙げることができる。硝化綿の使用量は、顔料の種類により、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.1~2.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
<セルロースアセテートプロピオネート樹脂>
セルロースアセテートプロピオネート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、セルロースを酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後に加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が0.6~2.5重量%、プロピオニル化が42~46重量%、水酸基が1.8~5重量%である樹脂が市販されている。セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、顔料の種類により、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物成中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
<セルロースアセテートブチレート樹脂>
セルロースアセテートブチレート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートブチレート樹脂は、セルロースを酢酸および酪酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が2~30重量%、ブチリル化が17~53重量%、水酸基が1~5%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートブチレート樹脂の使用量は、顔料の種類により、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
<脂肪酸アミド>
脂肪酸アミドとしては、脂肪酸から酸基を除いた残基とアミド基を有するものであれば特に限定されない。脂肪酸アミドとしては、例えば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、およびエステルアミド等が挙げられ、耐ブロッキング性が向上するため、モノアミド、置換アミド、およびビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。脂肪酸アミドの使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.01~1質量%の範囲であることが好ましい。
・モノアミド:モノアミドは下記一般式(1)で表される。
一般式(1) R1-CONH
(式中、R1は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
モノアミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
・置換アミド:置換アミドは下記一般式(2)で表される。
一般式(2) R2-CONH-R3
(式中、R2およびR3は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良い。)
置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
・ビスアミド:ビスアミドは下記一般式(3)あるいは一般式(4)で表される。
一般式(3) R4-CONH-R5-HNCO-R6
一般式(4) R7-NHCO-R8-CONH-R9
(式中、R4、R6、R7、およびR9は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R5およびR8は炭素数1~10のアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
・メチロールアミド:メチロールアミドは下記一般式(5)で表される。
一般式(5) R10-CONHCHOH
(式中、R10は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
メチロールアミドの具体例としては、メチロールパルミチン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールオレイン酸アミド、メチロールエルカ酸アミド等が挙げられる。
・エステルアミド:エステルアミドは、下記一般式(6)で表される。
一般式(6) R11-CONH-R12-OCO-R13
(式中、R11およびR13は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R12は炭素数1~10のアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
エステルアミドの具体例としては、ステアリルアミドエチルステアレート、オレイルアミドエチルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アミドの融点は、50℃~150℃であることが好ましい。
また、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸および/または炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸および/または炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、トルエン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤が使用できる。
環境問題面からは、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤およびケトン系有機溶剤の混合溶剤、または、より環境問題への対応を進めたエステル系有機溶剤、およびアルコール系有機溶剤の混合溶剤を使用することが好ましい。
<水>
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、静電気による印刷不良の緩和、及び、版かぶりの防止やセル再現性の点より水を含有させることが好ましい。水の使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物中に10質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.1~5.0質量%の範囲である。
<グリコールエーテル系有機溶剤>
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、濡れ広がり性を向上させるために、グリコールエーテル系有機溶剤を有機溶剤100重量%中、グリコールエーテル系有機溶剤を0.1~20重量%含有させることが好ましい。グリコールエーテル系有機溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn‐プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn‐プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が例示できる。
<その他の材料>
本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物には、更に顔料分散剤、帯電防止剤、可塑剤等の各種添加剤を添加することができる。シランカップリング剤を含有させても良く、させなくても良い。
以上の構成材料を用いて軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を製造する方法としては、公知の方法が使用できる。具体的には、例えば、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤及び必要に応じて顔料分散剤等の混合物を、高速ミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター等を用いて練肉し、さらに所定の添加剤等の材料の残りを添加、混合することにより得ることができる。
(軟包装用ラミネート印刷インキ組成物を用いた印刷方法、及びそれにより得た積層体)
次に、本発明の軟包装ラミネート用印刷インキ組成物を用いて印刷を行い、積層体を得る方法について説明する。
その積層体は、例えば、各種樹脂フィルム及び各種高機能バリア性フィルム等のフィルムに、まず、白色以外の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で1回以上印刷を行う。次いで、これらの印刷により形成した着色インキ層の表面側(最終ラミネート後において、表層からみてより下層側)に、任意に軟包装用ラミネート白色印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で印刷を行い、ドライヤーにより乾燥させることにより得ることができる。
得られた印刷物の白色インキ組成物による層の側に、樹脂フィルム等を各種ラミネート加工法によるラミネート加工を施して、包装袋等用の積層体を得ることができる。
このラミネート加工法としては、印刷物の表面にアンカーコート剤を塗工した後、溶融ポリマーを積層させる押し出しラミネート法、印刷物の表面に接着剤を塗工した後、フィルム状ポリマーを貼合させるドライラミネート法が利用できる。上記押し出しラミネート法は、印刷物の表面に必要に応じて、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を塗工した後、既知の押し出しラミネート機によって、溶融ポリマーを積層させる方法であり、更に溶融樹脂を中間層として、他の材料とサンドイッチ状に積層することもできる。
上記押し出しラミネート法で使用する溶融ポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来使用されていた樹脂が使用できる。その中でも溶融の際に酸化されてカルボニル基の発生し易い低密度ポリエチレンとの構成において本発明の効果が高くなる。
また、上記ドライラミネート法は、白色インキ組成物による層の表面にウレタン系、イソシアネート系等の接着剤を塗工した後、既知のドライラミネート機によってフィルム状のポリマーを貼合する方法である。ドライラミネート法で使用するフィルム用の樹脂としては、ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン等が使用でき、特にレトルト用途で使用される包装材料では、基材と貼合される樹脂フィルムの間にアルミ箔をはさんでラミネートすることもできる。このようなラミネート加工物は、製袋して内容物を詰めた後、ボイル・レトルト用途に利用することもできる。そして、耐ボイル性、電気適性(ヒゲ、ミスチング)、セル再現性、版かぶり防止性にも優れる。
このとき使用される上記樹脂フィルムとしては、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等のポリエステルフィルム、ナイロン、ビニロンといった各種印刷用プラスチックフィルムや、それら各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルム等を使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
<ポリウレタン樹脂(A)>
ポリウレタン樹脂(A)の性質を表1に示す。
(ウレタン樹脂A-1)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量5000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート8.9質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させた。冷却後酢酸プロピル196質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール65部、イソホロンジアミン2.0部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.35部を加えたのちイソホロンジアミン0.51部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスA-1(固形分30%、理論質量分子量37,000ウレタン基濃度0.36mmol/g)を得た。
(ウレタン樹脂A-2)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量3000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート13質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させた。冷却後酢酸プロピル206質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール69部、イソホロンジアミン3.2部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.35部を加えたのちイソホロンジアミン0.5部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスA-2(固形分30%、理論質量分子量38,000、ウレタン基濃度0.57mmol/g)を得た。
(ポリウレタン樹脂A-3)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールの100質量部、イソホロンジイソシアネート42質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル274質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール91.4部、イソホロンジアミン13.3部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.5部を加えたのちイソホロンジアミン0.74部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスA-3(固形分30%、理論質量分子量35,000、ウレタン基濃度1.28mmol/g)を得た。
(ウレタン樹脂A-4)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコにセバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量1000の100質量部、イソホロンジイソシアネート42質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル274質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール91.4部、イソホロンジアミン13.3部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.5部を加えたのちイソホロンジアミン0.74部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスA-4(固形分30%、理論質量分子量35,000、ウレタン基濃度1.28mmol/g)を得た。
(ポリウレタン樹脂A-5)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量500の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート80質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させた。冷却後酢酸プロピル360質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール120部、イソホロンジアミン24.5部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.69部を加えたのちイソホロンジアミン1.0部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスA-5(固形分30%、理論質量分子量34,000ウレタン基濃度1.94mmol/g)を得た。
(ポリウレタン樹脂A-6)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量500の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート53.3質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル278質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール93部、イソホロンジアミン4.77部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.52部を加えたのちイソホロンジアミン0.76部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスA-6(固形分30%、理論質量分子量35,000ウレタン基濃度2.51mmol/g)を得た。
<ポリウレタン樹脂B>
ポリウレタン樹脂(B)の性質を表1に示す。
(ポリウレタン樹脂B-1)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール20質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール13.5質量部、モノエチレングリコール25質量部、プロピレングリコール41.5質量部、イソホロンジイソシアネート156質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル447質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール149質量部を加え、ポリウレタン樹脂ワニスB-1(固形分30%、理論質量分子量850, ウレタン基濃度7.84mmol/g)を得た。
(ポリウレタン樹脂B-2)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール60質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール13.5質量部、モノエチレングリコール20質量部、プロピレングリコール6.5質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル330質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール110質量部を加え、ポリウレタン樹脂ワニスB-2(固形分30%、理論質量分子量1,885, ウレタン基濃度5.30mmol/g)を得た。
(ポリウレタン樹脂B-3)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコにセバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量1000の60質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール13.5質量部、モノエチレングリコール20質量部、プロピレングリコール6.5質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル330質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール110質量部を加え、ポリウレタン樹脂ワニスB-3(固形分30%、理論質量分子量1,885, ウレタン基濃度5.30mmol/g)を得た。
(ポリウレタン樹脂B-4)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール75質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール10質量部、モノエチレングリコール5質量部、プロピレングリコール5質量部、イソホロンジイソシアネート42質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル248質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール83質量部を加え、ポリウレタン樹脂ワニスB-4(固形分30%、理論質量分子量2,260, ウレタン基濃度3.54mmol/g)を得た。
Figure 0007248498000001
(塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂)
塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体(ソルバインTA-3,日信化学工業社製)
(塩化ビニル・アクリル系共重合体)
塩化ビニル・アクリル系共重合体(塩化ビニル/アクリル酸2-ヒドロキシプロピル=84/16、重量平均分子量45000)を酢酸プロピルに溶解させ、固形分30質量%のワニスとした。
(顔料)
・中性カーボンブラック(粒子径56nm、DBP吸着量45ml/100g、比表面積45m/g、PH9
・PR146 (ピグメントレッド146)
・PB15:4(ピグメントブルー15:4)
・酸化チタン
(密着性向上剤)
<塩素化ポリプロピレン>
塩素化度40%、数平均分子量100000の塩素ポリプロピレン(固形分50%)40質量部とメチルシクロヘキサン60質量部を混合撹拌し、固形分20%の塩素化ポリプロピレンワニスを得た。
<ロジン及びその誘導体>
重合ロジン:酸価160mgKOH/g
(ブロッキング防止剤)
<シリカ粒子>
平均粒子径4.5μm
<ポリエチレンワックス>
平均粒子径:12μm
<脂肪酸アミド>
エチレンビスステアリン酸アミド
<混合液1、混合液2>
質量比で、酢酸エチル/酢酸プロピル/IPA(イソプロピルアルコール)=50/25/25
<フィルム用グラビア印刷墨色インキ組成物基材の製造例>
顔料(中性カーボンブラック)、ポリウレタン樹脂ワニス(A)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を、レッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらに、ポリウレタン樹脂ワニス(B)、密着性向上剤、ブロッキング防止剤、混合液1、水を加えて、表2に示した実施例、比較例の軟包装ラミネート用墨色インキ組成物を得た。
<軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物基材の製造例>
顔料(C.I.PB15:4)、ポリウレタン樹脂ワニス(A)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を、レッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらに、ポリウレタン樹脂ワニス(B)、密着性向上剤、ブロッキング防止剤、混合液1、水を加えて、表2に示した実施例の軟包装用ラミネート印刷藍色インキ組成物を得た。
<フィルム用グラビア赤色インキ組成物基材の製造例>
顔料(C.I.PR146)、ポリウレタン樹脂ワニス(A)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を、レッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらにポリウレタン樹脂ワニス(B)、密着性向上剤、ブロッキング防止剤、混合液1、水を加えて、表2に示した実施例の軟包装用ラミネート印刷赤色インキ組成物を得た。
(インキの保存安定性)
上記で得られた各フィルム用グラビア印刷インキ組成物基材をガラス瓶に採取し、60℃の雰囲気温度で14日間保存後、目視で確認した顔料の沈降の有無から、インキの保存安定性を評価した。
<積層体1の製造>
軟包装ラミネート用墨色インキ組成物、軟包装ラミネート用藍色インキ組成物、軟包装ラミネート用赤インキ組成物の各々100質量部に対し、表2の配合にしたがって混合液2で希釈し、粘度を離合社製ザーンカップ3号で15秒に調整した。各種フィルムの処理面にグラビア印刷機を利用して軟包装ラミネート用墨色インキ組成物、軟包装ラミネート用グラビア藍色インキ組成物、又は軟包装ラミネート用赤色インキ組成物を下記条件で印刷、乾燥して、ラミネート用印刷物を得た。印刷時に、ガイドロール取られの評価を行った。得られたラミネート印刷物を用いて、耐ブロッキング性、接着性、耐レトルト適性の評価を行った。具体的な評価方法を以下に示す。
(印刷方法・印刷条件)
印刷時部屋の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :グラビア印刷機
塗工速度:150m/min
刷版 :ダイレクト175線 28μm ベタ版
乾燥温度:55℃
<各種フィルム>
PET(フィルム):片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡(株)製、E-5101、厚さ12μm
OPP:コロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡(株)製 P-2161、厚さ25μm
NY:ナイロンフィルム、東洋紡(株)製、N-1102、厚さ15μm
ファインバリヤー:片面にアルミナ蒸着処理を施したPETフィルム(商品名:ファインバリヤーAT-R、麗光社製)
テックバリア:片面にシリカ蒸着処理を施したPETフィルム(商品名:テックバリアTXR、三菱樹脂社製)
A-OP:片面にポリビニルアルコールを塗布した延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:A-OPBH、三井化学東セロ社製)
エンブレム:片面にポリ塩化ビニリデンを塗布した延伸ナイロンフィルム(商品名:エンブレム-DC DCR、ユニチカ社製)
IB-PET(アルミ蒸着処理されたPETフィルム、商品名:IB-PET-PUB、大日本印刷社製)
ベセーラ:片面にアクリルポリマーを塗布したPETフィルム(商品名:ベセーラET140R、凸版印刷社製)
GL:片面にアルミナ蒸着処理を施したPETフィルム(商品名:GL-ARH、凸版印刷社製)
(接着性)
得られた各印刷物の印刷直後の印刷面を親指の腹部で2回こすった後にセロファンテープを貼り付けて、剥がしたときにインキ皮膜が被着体から剥がれる面積の比率から、接着性を評価した。
A:全く剥がれない
B:剥がれる面積が20%未満である
C:剥がれる面積が20%以上である
(耐ブロッキング性)
各試験インキを印刷後1日経過した各フィルム印刷物の印刷面と、各フィルム未処理面とを合わせ、15kg/cmの荷重をかけて40℃で12時間放置した後、各フィルムを剥がした時の様子から耐ブロッキング性を評価した。
A:フィルムを剥がす際に全く抵抗が無く、また、印刷面からインキが剥離しないもの
B:フィルムを剥がす際に抵抗はあるが、印刷面からインキが剥離しないもの
C:フィルムを剥がす際に抵抗があり、印刷面からインキが剥離するもの
(耐レトルト性)
印刷後1日経過した各印刷物に、固形分で2.0g/mとなる量のウレタン系接着剤(タケラックA-616/タケネートA-65、三井化学ポリウレタン社製)を塗布した後、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC-3、厚さ60μm、東セロ社製)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水90重量%、サラダ油10重量%の混合物を詰めて溶封後、PETフィルムの場合は135℃、PETフィルム以外のフィルムの場合は120℃の加圧熱水中に30分間浸漬した時のラミネートフィルムの浮きの有無から耐レトルト性を評価した。
A:全くラミ浮きが見られないもの
C:ピンホール状もしくは一部に細くて短いラミ浮きがみられるもの
-:印刷に使用したフィルム自体にレトルト適性がないため、レトルト適性試験を行なわず
Figure 0007248498000002
Figure 0007248498000003
Figure 0007248498000004
本発明に沿った例である実施例によれば、保存安定性、さらに広く各種フィルムに対する接着性、耐ブロッキング性及び耐レトルト性に優れたインキ組成物を得ることができた。
これに対して、ウレタン基濃度が高いポリウレタン樹脂(A)を含有する比較例1、及びポリウレタン樹脂(B)のウレタン基濃度がい比較例2によれば、接着性と耐レトルト性に劣るインキ組成物となった。さらにポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比率からみてポリウレタン樹脂(A)が多すぎる比較例3によれば、一部のフィルムに対する接着性、試験した全てのフィルムに対する耐ブロッキング性に劣る結果となった。
またポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比率からみてポリウレタン樹脂(B)が多すぎる比較例4によれば接着性と耐レトルト性に劣るインキ組成物となった。
さらにポリウレタン樹脂(B)を含有しない比較例5及び6によれば、一部の基材に対する接着性に劣ることとなった。

Claims (12)

  1. 顔料、バインダー樹脂、有機溶剤を含むラミネート用印刷インキ組成物であって、バインダー樹脂が、ウレタン基濃度0.3~2.4mmol/gであり、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂(A)と、ウレタン基濃度が2.0~6.0mmol/gであるウレア結合を有しない質量平均分子量が1,000~6,000ポリウレタン樹脂(B)と水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、且つポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比率が95:5~50:50である包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  2. 前記ポリウレタン樹脂(A)のウレタン基濃度が0.5~1.3mmol/gであり、前記ポリウレタン樹脂(B)のウレタン基濃度が3.5~5.5mmol/gである請求項1に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  3. 前記ポリウレタン樹脂(A)のアミン価が1.0~15.0mgKOH/gである請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  4. 前記ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の合計と、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂と水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂の合計の質量含有比率が100/0~45/55である請求項1~3のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  5. 前記ポリウレタン樹脂(A)及び/又はポリウレタン樹脂(B)は、バイオマスポリウレタン樹脂である請求項1~4のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  6. 前記顔料が、中性カーボン、フタロシアニン顔料、PR146である請求項1~5のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  7. 密着性向上剤とブロッキング防止剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1~6のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  8. 密着性向上剤及びブロッキング防止剤を含有する請求項7に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  9. 密着性向上剤がロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、ブロッキング防止剤がシリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、硝化綿の中から選ばれる少なくとも1種である請求項7又は8に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  10. 前記有機溶剤は、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤の混合溶剤である請求項1~9のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  11. 更に、水を含有する請求項1~10のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
  12. 更に、グリコールエーテル系有機溶剤を含有する請求項1~11のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
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