JP7286891B1 - 軟包装用ラミネート印刷インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そして包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷する表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルム裏面の印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネーション加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷で使用される軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物としては、バインダー樹脂として、ポリプロピレングリコール含有ポリウレタン樹脂、及び水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を密着性向上のために必須成分とし含有する軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来のポリウレタン樹脂に、ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を併用させる場合は、製造時、印刷時に、泡が発生する問題が発生する問題を有していた。
1.顔料、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂(A)と、ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有するバインダー樹脂、消泡剤としてブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体をインキ組成物中に0.002~0.80質量%、及び有機溶剤を含有する軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
2.前記ポリウレタン樹脂(B)の質量平均分子量が1000~6000である1に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
3.前記ポリウレタン樹脂(A)及び/又は前記ポリウレタン樹脂(B)は、バイオマスポリウレタン樹脂である1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
4.前記有機溶剤は、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含有する混合溶剤である1~3のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
5.更に、水を含有する1~4のいずれかに記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
以下、本発明の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物について具体的に説明する。
顔料は、一般に有機溶剤を含有するインキ組成物で使用され得る無機着色顔料、有機着色顔料および体質顔料が例示される。無機着色顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が例示される。有機着色顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が例示される。体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等が例示される。
顔料の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、顔料は、インキ組成物中に0.5~50質量%となるよう含有され得る。中でも着色顔料の含有量が0.5質量%未満である場合、発色が不充分となる傾向がある。一方、顔料の含有量が50質量%を超える場合、印刷適性が不充分となる傾向がある。
バインダー樹脂としては、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂(A)と、ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有するバインダー樹脂を含有する。
環境面からは、ポリウレタン樹脂(A)及び/又はポリレタン樹脂(B)は、バイオマスポリウレタン樹脂が好ましい。
また、ポリウレタン樹脂(A)は、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂である。また、ポリウレタン樹脂(A)は、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ分子末端及び分子末端以外の部位に水酸基を含有するポリウレタン樹脂であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)の顔料分散性の点よりアミン価が1.0~13.0mgKOH/gであることが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂(B)は、質量平均分子量が1000~6000であることが好ましい、
さらに、ポリウレタン樹脂(A)と(ポリウレタン樹脂(B)+水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂+水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂)の質量含有比率が97:3~50:50の範囲であることが好ましく、95:5~70:30がより好ましい。(ポリウレタン樹脂(B)+水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂+水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂)の比率が範囲外であると密着性が低下する傾向となる。
(ウレタン基濃度)
ウレタン基濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S)
式において、記号は各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2~ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
ウレア基濃度={(X1/M1+X2/M2+・・・+Xi/Mi)×2-(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)/56100}×1000/S
式において、記号は各々以下の通りである。
複数種ジイソシアネートを使用する場合、各々ジイソシアネート1、ジイソシアネート2~ジイソシアネートiとして算出する。
X1:ジイソシアネート化合物1の重量
M1:ジイソシアネート化合物1の分子量
X2:ジイソシアネート化合物2の重量
M2:ジイソシアネート化合物2の分子量
Xi:ジイソシアネート化合物iの重量
Mi:ジイソシアネート化合物iの分子量
W1:ポリオール1の重量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の重量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの重量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の重量
ポリウレタン樹脂(A)としては、末端にアミノ基を有するウレア結合を有する従来から軟包装用ラミネート印刷インキ組成物に使用されているポリウレタン樹脂が使用される。
また、ポリウレタン樹脂(A)としては、ウレタン基濃度0.30mmol/g以上が好ましく、0.35mmol/g以上がより好ましく、0.50mmol/g以上が更に好ましく、0.80mmol/g以上が最も好ましい。また2.40mmol/g以下が好ましく、以下が好ましく、2.00mmol/g以下がより好ましく、1.70mmol/g以下が更に好ましく、1.30mmol/g以下が最も好ましい。ウレタン基濃度が、0.30mmol/g未満のものは比較的一般的なものではなく、2.40mmol/gを超えるとバリア性フィルムに対する密着性が低下する傾向となる。また、好ましくはウレア基濃度が0.30~2.00mmol/gであり、より好ましくは、0.30~1.50mmol/gであり、更に好ましくは、0.30~1.20mmol/gである。
中でも、印刷インキ組成物の保存安定性の点からみて、末端にアミノ基を有する(アミン価を有する)ポリウレタン樹脂が好ましい。このようなアミノ基を有するポリウレタン樹脂の中でも、分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上、特に分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタン樹脂がより好ましい。
更に好ましくは、水酸基を有し、及び分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタン樹脂である。
ポリウレタン樹脂は、上記アミノ基のような特定の官能基を有することで、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物が優れた保存安定性を有することになる。
なお、本発明において、上記アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM-900、BURET B-900、TITSTATION K-900)、平沼産業社)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
また、ポリウレタン樹脂(A)は、再溶解性の点から分子末端及び分子末端以外の部位に水酸基を有することが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)としては、ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)、及び/又はポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A-2)が好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)は、有機ジイソシアネート成分と高分子ジオール成分から得たウレタンプレポリマーを、鎖伸長及び/又は末端停止させてポリウレタンポリウレア樹脂としたものである。
そして、ケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A-2)は、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤として、a.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を、ウレタンプレポリマーと反応させて得られたポリウレタンポリウレア樹脂、b.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を、ウレタンプレポリマーに加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂、のa及び/又はbを使用することにより軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物のアミン臭気が低下し、保存安定性が優れる。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)は、分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有する。
更に好ましくは、水酸基を有し、及び分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタンポリウレア樹脂である。
これらのポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)としては、下記の有機ジイソシアネート化合物と、下記の高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに下記の鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるポリウレタンポリウレアを好適に使用できる。
上記有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート(水添MDI)等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの有機ジイソシアネート化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物及び芳香脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましい。
その他の有機ジイソシアネート化合物を併用する場合には、全有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基数の合計に対して、その他の有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の数が50%以下となるように併用できるが、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下である。
又は全有機ジイソシアネート化合物100質量部中、その他の有機ジイソシアネート化合物を50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
上記高分子ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
更に上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を1種又は2種以上混合して併用することもできる。
また、上記高分子ジオール化合物としては、数平均分子量が1,000~8,000のものが好ましく、1,000~5,500のものがより好ましく、1,000~4,000のものが更に好ましい。
また、上記高分子ジオール化合物としては、3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを含有するものを選択できる。
3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール以外の高分子ジオール化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上とを縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物、更に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物を、単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記の中でも、アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールを縮合反応させて得られた数平均分子量が1,000~8,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールが好ましく、更に数平均分子量1,000~4,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールが好ましい。
又は全高分子ジオール化合物100質量部中、その他の高分子ジオール化合物を50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
なお、有機溶剤として後述するエステル系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤系(以下場合により「混合溶剤」という。)を用いる場合には、高分子ジオール化合物としてポリエーテルジオール化合物、好ましくはポリプロピレングリコールを使用すると、得られるポリウレタン樹脂の溶解性が高くなる傾向がある。また、これらの溶剤を調整して、階調再現性、かぶり防止性等の印刷適性を制御することができ、必要とする性能に合わせて幅広く印刷インキ組成物の設計が可能となる点で好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)としては、環境面を考慮するとバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)を含有していてもよい。バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)について以下に説明する。なお、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)の説明のうち、上記したポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)と共通する説明は適宜省略する。
バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)は、バイオマス由来(植物由来)の成分を含むバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)である。バイオマスポリウレタン樹脂は、他の枯渇性資源を用いる場合と比較して地球温暖化防止や環境負荷低減の点で貢献できる。そして、バイオポリエステルポリオール化合物と有機ジイソシアネート化合物との反応によりバイオマスウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)であることが好ましく、イソシアネート化合物が植物由来のバイオイソシアネートであることがより好ましい。
上記ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)で説明した有機ジイソシアネート以外に植物油由来のジイソシアネートを使用できる。植物油由来の有機ジイソシアネート化合物としては、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化、還元することで末端アミノ基に変換し、更に、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。植物由来のバイオポリイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リジンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
以下、バイオポリエステルポリオール化合物(バイオマスポリエステルポリオール)について説明する。
植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール化合物は特に限定されない。一例を挙げると、短鎖ジオール化合物は、以下の方法により植物原料から得られる、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等であってもよい。これらは併用されてもよい。
1,3-プロパンジオールは、植物資源(たとえばトウモロコシ等)を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て、製造され得る。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3-プロパンジオール成分は、EO製造法の1,3-プロパンジオール成分と比較して、安全性の面で優れており、乳酸等有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能である。1,4-ブタンジオールは、植物資源からグリコールを製造し発酵することによってコハク酸を得て、これを水添することにより製造され得る。また、エチレングリコールは、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造され得る。
てもよい。これらの中でも、カルボン酸化合物は、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。また、活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸を含んでもよい。なお、このような有機酸成分は特に限定されない。
バイオポリエステルポリオール化合物は、植物由来の短鎖ジオール化合物と植物由来のカルボン酸とを、適宜縮合反応させて、100%植物由来のバイオポリエステルポリオールとして生成される。具体的には、植物由来のセバシン酸と、植物由来の1,3-プロパンジオールとを直接脱水縮合させて、ポリトリメチレンセバケートポリオールが得られる。また、植物由来のコハク酸と、植物由来の1,4-ブタンジオールとを直接脱水縮合して、ポリブチレンサクシネートポリオールが得られる。
これらの各バイオポリエステルポリオール化合物を1種以上使用してもよい。
次に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)、上記バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)で使用する鎖伸長剤及び反応停止剤について説明する。
上記鎖伸長剤としては、印刷インキ組成物用バインダーとしてのポリウレタンポリウレア樹脂で利用される既知の鎖伸長剤が利用可能であり、例えば、ポリアミン化合物の中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物が挙げられる。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基を導入する反応停止剤としては、ポリアミン化合物として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等を例示できる。この中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等の第1級アミノ基を有するポリアミンが好ましい。
上記ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)の製造方法としては、上記材料を用いて、公知のポリウレタン樹脂の製造方法がそのまま使用できる。また、それぞれの成分の質量平均分子量や化学構造、また当量比が異なると、得られるポリウレタン樹脂の硬さも異なることから、これら成分を適宜組み合わせることによって、印刷適性やラミネート適性を調節することが可能である。
また、上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物を反応させる際の、それぞれの使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、通常、1.2:1.0~3.0:1.0、より好ましくは1.3:1.0~2.0:1.0となる範囲である。上記のイソシアネートインデックスが1.2より小さくなると、柔軟なポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)になる傾向があり、この場合、他の硬質の樹脂と併用することが必要となる場合がある。
中でも有機金属系化合物を使用することが好ましく、このような有機金属系化合物として、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、及びブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン化合物、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫アセテート、トリブチル錫クロライド、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫トリクロロアセテート、及び2-エチルヘキサン酸錫等の錫化合物、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、及びナフテン酸鉛等の鉛化合物、更に、2-エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネート、安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム等がある。そして、これらの中でもテトラブチルチタネート等のチタン化合物が好ましい。
上記ポリウレタンポリウレア樹脂(A-1)、上記バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)の質量平均分子量としては、10,000~70,000であることが好ましく、更に20,000~60,000であることがより好ましい。
ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A-2)、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-2-1)は、上記の鎖伸長剤及び/又は反応停止剤のうち、ポリアミン化合物を予め過剰量のケトン化合物によりケチミン化してなるケチミン化合物を使用し、c.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用して、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーと反応させることにより、d.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用して、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーに加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行うことによりポリウレタンポリウレア樹脂(A-2)、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-2-1)を製造して得る。特に、上記の鎖伸長剤及び反応停止剤のなかから、イソホロンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン及びエチレンジアミンから選ばれる1種以上を採用することが好ましい。
また、使用するケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトンが好ましい。
このケチミン化反応においてはケトン化合物以外の溶媒を使用しないことが好ましい。
但し、ケトン化合物以外の溶媒として、アルコール化合物を使用できる。なかでもイソプロピルアルコールを使用できる。
この、ケトン化合物以外の溶媒を使用しないことは、無溶剤条件下でケチミン化すると定義する。なお、その後の鎖伸長反応や、ウレタンポリウレア樹脂(A-2)及びバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-2-1)が臭気を有しないという点を阻害しない範囲で、無溶剤条件下ではなく、極性有機溶媒を配合しても良い。
なお、ケチミン化されたアミン等は鎖伸長剤として使用してもよく、反応停止剤として使用してもよく、鎖伸長剤と反応停止剤の双方として使用してもよい。
有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応により得られたウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーに対して、ポリアミン化合物を予め過剰量のケトン化合物によりケチミン化してなるケチミン化合物を使用し、e.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用し、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーと反応させることにより、f.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用し、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーに加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行うことにより、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A-2)、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-2-1)を得ることができる。
反応の際に溶媒を使用するときには、エステル系溶媒及び/又はアルコール系溶媒が好ましく、エステル系溶媒とアルコール系溶媒の混合物がより好ましく、酢酸プロピルとイソプロピルアルコールが更に好ましく、質量比で、酢酸プロピル:イソプロピルアルコール=1:1~5:1の範囲が最も好ましい。
これらの植物由来の成分を使用して得られたバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-1-1)とバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂(A-2-2)との合計使用量は、全ポリウレタンポリウレア樹脂(A)中、固形分換算で、10質量%以上含まれても良く、40質量%以上含まれても良い。
ポリウレタン樹脂(B)としては、ウレア結合を有していないポリウレタン樹脂であり、ウレタン基濃度は2.0mmol/g以上が好ましく、2.5mmol/g以上がより好ましく、3.0mmol/g以上がさらに好ましく、3.5mmol/g以上が最も好ましい。また、6.0mmol/g以下が好ましく、5.7mmol/g以下がより好ましく、5.5mmol/g以下が更に好ましい。
ポリウレタン樹脂(B)のウレタン基濃度が、2.0mmol/g未満のものは比較的一般的なものではなく、6.0mmol/gを超えると密着性が低下する傾向である。
ポリウレタン樹脂(B)は、例えば、ジイソシアネート化合物、平均質量分子量1000以下の低分子量ポリオール化合物、及び水酸基を2個以上有する低分子量の化合物を反応させて得ることができる末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂である。
ここで、利用可能なジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4-シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができる。
以上の合成成分を用いて本発明中のラミネート用印刷インキ組成物に使用されるウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)を得るためには、ジイソシアネート化合物と低分子量ポリオール化合物と低分子量の水酸基を2個以上有する化合物とを末端が水酸基となるように反応させることにより得ることができる。
また、ポリウレタン樹脂(B)としては、環境面を考慮するとバイオマスポリウレタン樹脂(B-1)を有していてもよい。
バイオマスポリウレタン樹脂(B-1)について説明する。なお、バイオマスポリウレタン樹脂(B-1)の説明のうち、上記したポリウレタン樹脂と共通する説明は適宜省略する。バイオマスポリウレタン樹脂(B-1)は、バイオマス由来(植物由来)の成分を含むポリウレタン樹脂である。バイオマスポリウレタン樹脂(B-1)は、他の枯渇性資源を用いる場合と比較して地球温暖化防止や環境負荷低減により貢献できる点から、例えば、ジイソシアネート化合物(バイオマス由来であるジイソシアネート化合物が環境面からより好ましい)、平均質量分子量1000以下のバイオマス低分子量ポリオール化合物を含有する低分子量ポリオール化合物、及び低分子量の水酸基を2個以上有する化合物(バイオマスである低分子量の水酸基を2個以上有する化合物が環境面からはより好ましい)を反応させて得ることができるバイオマスポリウレタン樹脂(B-1)である。
バイオマスポリエステルポリオール成分は、植物由来の短鎖ジオール成分と植物由来のカルボン酸成分と、必要に応じて活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸成分とを、従来公知の方法で適宜縮合反応させることにより得ることができる。上記水酸基を2個以上有する低分子量の化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール等の1種又は2種以上を例示できる。環境面からは、植物原料から得られる、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等が好ましい。
以上の合成成分を用いて本発明中のラミネート用印刷インキ組成物に使用されるバイオマスポリウレタン樹脂(B―1)を得るためには、ポリウレタン樹脂(B)(ウレタン基濃度が3.0~6.0mmol/g、好ましくは、ウレタン基濃度3.5~5.5mmol/g、質量平均分子量が1000~6000)、ジイソシアネート化合物(バイオマスであるジイソシアネート化合物が環境面からより好ましい)、平均質量分子量1000以下のバイオマス低分子量ポリオール化合物を含有する低分子量ポリオール化合物、及び低分子量の水酸基を2個以上有する化合物(バイオマスである水酸基を2個以上有する低分子量の化合物が環境面からはより好ましい)を末端がイソシアネート基となるように反応させて得ることができる。
<塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体>
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に配合しても良い塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体としては、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを必須成分とし、必要に応じて、プロピオン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等の脂肪酸ビニルモノマー、水酸基等の官能基を有するモノマーを共重合成分として、公知の方法で製造したものが使用できる。
水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、酢酸エステル部分の一部をケン化すること、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを導入することにより得られる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、及び酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の皮膜物性や溶解挙動が決定される。すなわち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂皮膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮した印刷インキ組成物の有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 -CH2-CHCl-
式2 -CH2-CH(OCOCH3)-
式3 -CH2-CH(OH)-
なお、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物で使用する、後記の有機溶剤に対する溶解性や印刷適性の点から、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、分子内に各種官能基を有していても良い。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤が使用されるときは、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、50~200mgKOH/gの水酸基を有していることが好ましい。このような塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の市販品としては、例えば、ソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL等を使用することが好ましい。
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に配合できる塩化ビニル・アクリル系共重合体は、塩化ビニルとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものであり、共重合体の形態は特に限定されない。例えば、アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフト共重合されていても良い。
アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するアクリルモノマー等を用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
水酸基を有するアクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。
また、アクリルモノマーとして、水酸基以外の官能基を有するアクリルモノマーを用いることもできる。水酸基以外の官能基の例としてはカルボキシル基、アミド結合基、アミノ基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。
上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、質量平均分子量が10,000~70,000であることが好ましい。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤への溶解性、基材に対する接着性の点から、上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、50~200mgKOH/gとなるように水酸基を有していることが好ましい。
一方、上記(ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B))/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)が45/55を下回る場合、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)の割合が多くなり、印刷インキ組成物を用いて形成する印刷物が硬くなり、やはり上記フィルムに対する接着性が不十分となる可能性がある。
また、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中の、上記(ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B))及び塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び塩化ビニル・アクリル系共重合体を合わせた含有量は、5~30質量%が好適である。
消泡剤としては、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有するアクリル系共重合体を採用する。また、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成制単位を有するアクリル系共重合体の使用量は、軟包装用ラミネート印刷インキ組成物にインキ組成物中に0.002質量%以上含有することが好ましく、0.01質量%以上含有することがより好ましい。また0.8質量%以下含有することが好ましく、0.15質量%以下含有することが好ましい。。含有量が少ないと消泡性及びレベリング性が低下する傾向となり、含有量が多いとインキの保存安定性、耐レトルト性が低下して、レトルトでの浮きなどが発生する傾向となる。
例えばビニル系消泡剤のように、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有するアクリル系共重合体ではない消泡剤を使用すると、消泡性及びレベリング性が低下する傾向になる。
また、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物には、本発明の目的とする性能を低下させない範囲で、密着性向上剤及びブロッキング防止剤から選ばれる1種以上を含有でき、好ましくは、密着性向上剤とブロッキング防止剤を併用することが好ましい。
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に配合できる密着性向上剤としては、ロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂等が例示でき、ロジン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種以上、より好ましくは2種以上を含有させることが望ましい。
ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。一般的にロジンは松から得られる琥珀色、無定形の樹脂であり、天然から得られるため混合物であるが、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸という構成成分ごとに単離して用いても良く、本発明ではこれらもロジンと定義する。
ロジン誘導体は、上記のロジンを変性してなる化合物であり、具体的に以下に列挙する。
(1)水素化ロジン:共役二重結合に水素を付加(水素添加)させて、耐候性を向上させたロジンである。
(2)不均化ロジン:不均化とは、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子へとなる変性である。一般に水素化ロジンよりは耐候性が劣るが、未処理のものよりは耐候性が向上する。
(3)ロジン変性フェノール樹脂:メインバインダーとしてロジン変性フェノール樹脂が使われることがある。ロジン変性フェノール樹脂は公知の製造法で得ることができる。
(4)ロジンエステル:ロジンから誘導されるエステル樹脂であり、古くから粘着・接着剤の粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる。
(5)ロジン変性マレイン酸樹脂:ロジンに無水マレイン酸を付加反応させたもので、必要に応じてグリセリン等の水酸基含有化合物を、無水酸基とエステル化させグラフトさせたものも含まれる。
(6)重合ロジン:天然樹脂のロジンから誘導される二量化された樹脂酸を含む誘導体である。
その他、公知のロジン、ロジン誘導体も用いることが可能であり、これらは単独だけでなく併用することができる。
更に、ロジン及びそのロジン誘導体の酸価は120mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価が120mgKOH/g以上であると、ラミネート強度が向上する。更に好ましくは酸価が160mgKOH/g以上である。また、ロジン及びその誘導体を配合する際の合計使用量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の全固形分に対して、0.1~3.0質量%が好ましい。
塩素化ポリプロピレンとしては、塩素化度が20~50のものが使用できる。塩素化度が20未満の塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤との相溶性が低下する傾向がある。一方、塩素化度が50を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、フィルムに対する接着性が低下する傾向がある。なお、本発明において、塩素化度は、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の質量%で定義される。また、塩素化ポリプロピレンは、質量平均分子量が5,000~200,000の変性された又は未変性の塩素化ポリプロピレンであることが好ましい。質量平均分子量が5,000未満の場合、塩素化ポリプロピレンは、接着性が低下する傾向がある。一方、質量平均分子量が200,000を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤への溶解性が低下する傾向がある。また、塩素化ポリプロピレンを配合する際の使用量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の全固形分に対して、0.01~3.0質量%が好ましい。
ダンマル樹脂は、ダマール、ダンマーとも表記され、植物由来の天然樹脂の一種である。詳細には、マレーシア、インドネシア等東南アジアに生育するフタバガキ科又はカンラン科植物から得られる天然樹脂の一種である。使用する際には適当な有機溶剤に溶解させてワニスとする。ダンマル樹脂は塩素を含有しないため、印刷インキ組成物に塩素化ポリプロピレンを使用する場合に比べ、塩素を排除・低減することができる。また、ダンマル樹脂を配合する際の使用量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の全固形分に対して、3.0質量%以下が好ましい。
ブロッキング防止剤としては、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、硝化綿等が例示でき、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミドの1種以上、好ましくは2種以上を含有させることが好ましく、顔料の種類によって、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、硝化綿を更に含有させることが好ましい。
シリカ粒子は天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のもの等が挙げられる。シリカ粒子は、平均粒子径が1.0~5.0μmのものが好ましい(なおシリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる)。シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良いし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良いが、親水性のものが好ましく、親水性シリカ粒子を含む印刷インキ組成物は重ね印刷時の印刷インキ組成物の濡れ・広がりを促し、重ね印刷効果(以下「トラッピング性」と記載する場合がある)を向上させる効果も有する。シリカ粒子使用量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に0.0~3.0質量%が好ましく、更に好ましくは0.1~1.0質量%である。なお、0.0質量%は、シリカ粒子を含有しない場合を示す。
ポリエチレンワックスとしては平均粒子径が3.0~10.0μmの範囲のもの(なお、平均粒子径は、Honeywell社「Microtrac UPA」にて測定した粒径を意味する)を使用することが好ましい。ポリエチレンワックスの粒子径が3.0μmより小さいと、すべり性、ブロッキング性が低下し、粒子径が10.0μmより大きいとトラッピング性が低下する可能性がある。また、ポリエチレンワックスの軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中の含有量は、0.1~2.0質量%の範囲が好ましい。含有量が0.1質量%より少ないと目的とする効果が得られず、含有量が2.0質量%より多いと、光沢が低下する可能性がある。
硝化綿としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿を使用できる。硝化綿としては、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本発明に使用される硝化綿としては、窒素量10~13%、平均重合度35~90のものが好ましく用いられる。具体例としては、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NCRS-2、(KOREA CNC LTD社)等を挙げることができる。硝化綿の使用量は、顔料の種類により、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に、0.1~2.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、セルロースを酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後に加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が0.6~2.5重量%、プロピオニル化が42~46重量%、水酸基が1.8~5重量%である樹脂が市販されている。セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、顔料の種類により、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
セルロースアセテートブチレート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートブチレート樹脂は、セルロースを酢酸及び酪酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が2~30質量%、ブチリル化が17~53質量%、水酸基が1~5質量%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートブチレート樹脂の使用量は、顔料の種類により、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
脂肪酸アミドとしては、脂肪酸から酸基を除いた残基とアミド基を有するものであれば特に限定されない。脂肪酸アミドとしては、例えば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、及びエステルアミド等が挙げられ、耐ブロッキング性が向上するため、モノアミド、置換アミド、及びビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。脂肪酸アミドの使用量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に、0.01~1.0質量%の範囲であることが好ましい。
・モノアミド:モノアミドは下記一般式(1)で表される。
一般式(1) R1-CONH2
(式中、R1は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
モノアミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
・置換アミド:置換アミドは下記一般式(2)で表される。
一般式(2) R2-CONH-R3
(式中、R2及びR3は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良い。)
・ビスアミド:ビスアミドは下記一般式(3)あるいは一般式(4)で表される。
一般式(3) R4-CONH-R5-HNCO-R6
一般式(4) R7-NHCO-R8-CONH-R9
(式中、R4、R6、R7、及びR9は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R5及びR8は炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
一般式(5) R10-CONHCH2OH
(式中、R10は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
メチロールアミドの具体例としては、メチロールパルミチン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールオレイン酸アミド、メチロールエルカ酸アミド等が挙げられる。
・エステルアミド:エステルアミドは、下記一般式(6)で表される。
一般式(6) R11-CONH-R12-OCO-R13
(式中、R11及びR13は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R12は炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
エステルアミドの具体例としては、ステアリルアミドエチルステアレート、オレイルアミドエチルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アミドの融点は、50~150℃であることが好ましい。
また、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
印刷層を形成させる軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物は油性ものでもよい。その際に使用する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール等のアルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系溶剤及びこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
環境問題の面からは、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤及びケトン系有機溶剤の混合溶剤、又は、より環境問題への対応を進めたエステル系有機溶剤、及びアルコール系有機溶剤の混合溶剤を使用することが好ましい。
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物には、静電気による印刷不良の緩和、及び、版かぶりの防止やセル再現性の点より水を含有させることが好ましい。水の使用量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に10質量%以下が好ましく、更に好ましくは、0.1~5.0質量%の範囲である。
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物には、更に顔料分散剤、帯電防止剤、可塑剤等の各種添加剤を添加することができる。
以上の構成材料を用いて印刷インキ組成物を製造する方法としては、公知の方法が使用できる。具体的には、例えば、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤及び必要に応じて顔料分散剤等の混合物を、高速ミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター等を用いて練肉し、更に、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体、所定の添加剤等の材料の残りを添加、混合することにより得ることができる。
また、金属のテトラアルコキシド及び/又はヒドロキシ酸を含有させても良く、含有させなくても良い。
次に、本発明の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を用いてラミネート印刷物を得る方法について説明する。
ラミネート印刷物を得る方法には、少なくとも下記印刷方法を含む。
例えば、樹脂基材として、公知のラミネート用の基材となる樹脂フィルムに、本発明の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で印刷を行い、ドライヤーにより乾燥させる。
本発明における樹脂基材として、従来からラミネート印刷で使用されている公知の樹脂からなる基材フィルムを採用できる。そのような樹脂基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム、ナイロン等のポリアミドフィルム等の樹脂フィルム、アルミニウム等の金属層を有する上記樹脂フィルム、透明蒸着層を有する上記樹脂フィルムが例示できる。
上記押出ラミネート法は、印刷インキ組成物による層を含む印刷物の表面に、必要に応じて、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を塗工した後、又は塗工せずに、既知の押出ラミネート機によって、溶融ポリマーを積層させる方法であり、更に溶融樹脂を中間層として、他の材料とサンドイッチ状に積層することもできる。
上記押出ラミネート法で使用する溶融ポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来使用されていた樹脂が使用できる。その中でも溶融の際に酸化によってカルボニル基が発生し易い低密度ポリエチレンとの構成において本発明の効果が高くなる。
このとき使用される上記樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の延伸及び無延伸ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ビニロン等を挙げることができる。更にこれら樹脂フィルムについては、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込み等の加工をして得られるフィルムも使用することが可能である。
また、それら樹脂フィルムとして、各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルム等を使用することができる。
<ポリウレタン樹脂(A)>
(ポリウレタン樹脂A1の製造方法)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量5000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート8.9質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル197質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール66部、イソホロンジアミン2.0部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.35部を加えたのちイソホロンジアミン1.5部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂A1ワニス(固形分30%、質量平均分子量18,000、アミン価3.31mgKOH/g、ウレタン基濃度0.36mmol/g、ウレア基濃度0.36mmol/g)を得た。
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量3000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート13質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル207質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール69部、イソホロンジアミン3.2部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.35部を加えたのちイソホロンジアミン1.5部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂A2ワニス(固形分30%、質量平均分子量15,000、アミン価4.98mgKOH/g、ウレタン基濃度0.57mmol/g、ウレア基濃度0.43mmol/g)を得た。
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール100質量部、イソホロンジイソシアネート42質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル276質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール92部、イソホロンジアミン13.3部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.5部を加えたのちイソホロンジアミン1.7部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂A3ワニス(固形分30%、質量平均分子量22,000、アミン価2.13mgKOH/g、ウレタン基濃度1.27mmol/g、ウレア基濃度1.13mmol/g)を得た。
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコにセバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量1000を100質量部、イソホロンジイソシアネート42質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で5時間反応させる。冷却後酢酸プロピル276質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール91.4部、イソホロンジアミン13.3部を加えて鎖伸長を行い、さらにモノエタノールアミン0.5部を加えたのちイソホロンジアミン1.7部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂A4ワニス(固形分30%、質量平均分子量22、000、アミン価2.13mgKOH/g、ウレタン基濃度1.27mmol/g、ウレア基濃度1.13mmol/g)を得た。
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量4000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール400部、イソホロンジイソシアネート33.3部及びテトラブチルチタネート0.04部を仕込み、窒素ガスを導入しながら90~100℃で6時間反応させた。酢酸プロピル810部、イソプロピルアルコール201部を加えた後、室温近くまで冷却し、モノエタノールアミン0.3部を加え15分撹拌後、更に、下記ケチミン溶液1を29.30部加えて20分間撹拌し反応させ、さらに水を3部加えて15分間撹拌し、ポリウレタン樹脂ワニスA5(固形分30質量%、質量平均分子量44,000、ウレタン基濃度0.45mmol/g)を得た。
<ケチミン溶液1の製造方法>
イソホロンジアミン35.12質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン21.36質量部、ジエチレントリアミン3.12質量部及びアセトン174.8質量部を混合し、室温で1時間撹拌してケチミン溶液1を得た。
(ポリウレタン樹脂B1の製造方法)
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール60質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール13.5質量部、モノエチレングリコール20質量部、プロピレングリコール6.5質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル330質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール110質量部を加え、ポリウレタン樹脂B1ワニス(固形分30%、理論質量分子量1,885、ウレタン基濃度5.30mmol/g)を得た。
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコにセバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量1000のポリエステル60質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール13.5質量部、モノエチレングリコール20質量部、プロピレングリコール6.5質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル330質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール110質量部を加え、ポリウレタン樹脂B2ワニス(固形分30%、理論質量分子量1,885、ウレタン基濃度5.30mmol/g)を得た。
撹拌機、温度計、ジムロートおよび窒素ガス導入管を備えた四口フラスコに平均分子量1000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール75質量部、平均分子量400のポリプロピレングリコール10質量部、モノエチレングリコール5質量部、プロピレングリコール5質量部、イソホロンジイソシアネート42質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら95~105℃で3時間反応させた。冷却後酢酸プロピル248質量部を加えて均一に溶解させ、イソプロピルアルコール83質量部を加え、ポリウレタン樹脂B3ワニス(固形分30%、理論質量分子量2,260、ウレタン基濃度3.54mmol/g)を得た。
塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体(ソルバインTA-3,日信化学工業社製)
塩化ビニル/アクリル酸2-ヒドロキシプロピル=84/16(重量平均分子量45000)30質量部を酢酸プロピル70質量部に溶解させ、固形分30質量%のワニスとした。
下記の各消泡剤は、濃度20質量%の溶液で使用した。表中の値は溶液としての含有量である。
消泡剤(A)(アクリル系消泡剤)
ブチルアクリレートに由来する構成単位を有するアクリルポリマー
消泡剤(B)(アクリル系消泡剤)
ブチルアクリレート及びイソボルニルアクリレートに由来する構成単位を有するアクリルポリマー
消泡剤(C)(ビニル系消泡剤(ブチルアクリレートに由来する構成単位を有しない))
酸化チタン:(ルチル型酸化チタン、シリカアルミナ処理、平均粒子径0.3μm)
ピグメントイエロー14
質量比で、酢酸エチル/酢酸プロピル/IPA(イソプロピルアルコール)=50/25
/25
顔料、ポリウレタン樹脂ワニス(A)をレッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらに、ポリウレタン樹脂ワニス(B)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂消泡剤から選ばれる少なくとも1種、混合溶剤、水を加えて、表1及び2に示した実施例、参照例、比較例の軟包装ラミネート用印刷インキ組成物を得た。
上記で得られた各軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物をガラス瓶に採取し、60℃の雰囲気温度で14日間保存した時のインキの保存安定性を目視評価した。
A:インキ成分の分離が見られない。
B:インキ成分の分離がわずかに見られる。
C:インキ成分の分離が見られる。
各希釈インキを、グラビア印刷機を用いて、速度200m/minにて60分間アイドリング運転後の、インキの泡立ちを目視評価した。
A:インキパン中に、泡立ちがない。
B:インキパン中に、泡立ちが少量発生する。
C:インキパン中に、泡立ちが多量発生する。
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の各々100質量部に対し、表の配合にしたがって混合溶剤で希釈し、粘度を離合社製ザーンカップ3号で15秒に調整した。下記PETフィルムの処理面、及びNYフィルムの被印刷面に、グラビア印刷機を利用して軟包装ラミネート用印刷インキ組成物を下記条件で印刷、乾燥して、ラミネート用印刷物を得た。得られたラミネート印刷物を用いて積層体を作製し、レトルト適性の評価を行った。具体的な評価方法を以下に示す。
印刷時部屋の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :グラビア印刷機
塗工速度:150m/min
刷版 :ダイレクト175線 28μm ベタ版
乾燥温度:55℃
PET:片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡(株)製、E-5101、厚さ12μm
OPP:コロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡(株)製、P-2161、厚さ25μm
NY:ナイロンフィルム、東洋紡(株)製、N-1102、厚さ15μm
上記条件にて得られた印刷物の外観を目視にて評価した。
A:インキ抜けや泳ぎなどが見られない。
B:インキ抜けや泳ぎなどが一部に見られる。
C:インキ抜けや泳ぎなどが見られる。
印刷後1日経過したPETフィルム、NYフィルムの各印刷物に、固形分で2.0g/m2となる量のウレタン系接着剤(タケラックA-616/タケネートA-65、三井化学ポリウレタン社製)を塗布した後、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC-3、厚さ60μm、東セロ社製)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物(積層体)を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水90重量%、サラダ油10重量%の混合物を詰めて溶封後、PETフィルムの場合は135℃、PETフィルム以外のフィルムの場合は120℃の加圧熱水中に30分間浸漬した時のラミネートフィルムの浮きの有無から耐レトルト性を評価した。
A:全くラミ浮きが見られないもの。
B:ピンホール状もしくは一部に細くて短いラミ浮きがみられるもの。
C:長い筋状のラミ浮きが全面にみられるもの。
これに対して、消泡剤を含有させなかった比較例1によれば、レベリング性及び消泡性に劣っていた。消泡剤を過剰に含有させた比較例2によれば、インキの保存安定性及び各フィルムを使用したときの耐レトルト性に劣っていた。消泡剤としてブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体を使用せず、ビニル系消泡剤を使用した比較例3~7によれば、レベリング性及び消泡性に劣っていた。
なお参照例は、ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)を使用せず、消泡剤を使用しない例で有り、この印刷インキ組成物を使用する場合は泡立ちがないことがわかり、ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有させることにより消泡剤が発生することがわかる。
Claims (5)
- 顔料、末端にアミノ基を有するウレア結合を有するポリウレタン樹脂(A)と、ウレア結合を有しないポリウレタン樹脂(B)、水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有するバインダー樹脂、消泡剤としてブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体をインキ組成物中に0.002~0.80質量%、及び有機溶剤を含有する軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂(B)の質量平均分子量が1000~6000である請求項1に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂(A)及び/又は前記ポリウレタン樹脂(B)は、バイオマスポリウレタン樹脂である請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
- 前記有機溶剤は、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含有する混合溶剤である請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
- 更に、水を含有する請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート印刷インキ組成物。
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