JP2018085310A - 全固体電池用正極および全固体電池 - Google Patents
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Abstract
Description
前記正極合材層は、正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子の表面に付着した酸化物粒子とを含む複合粒子、および固体電解質を含み、
前記正極活物質粒子は、下記式:
Li1+x(MeyM1−y)1−xO2
(式中、Meは、第1金属元素であり、Mは、第1金属元素より平均価数の低い第2金属元素であり、xおよびyは、それぞれ、0<x≦1/3および0.5≦y≦0.8を充足する。)
で表される固溶体を含み、
前記酸化物粒子は、Zrを含む金属酸化物を含む、全固体電池用正極に関する。
Li1+x(MeyM1−y)1−xO2
(式中、Meは、第1金属元素であり、Mは、第1金属元素より平均価数の低い第2金属元素であり、xおよびyは、それぞれ、0<x≦1/3および0.5≦y≦0.8を充足する。)
で表される固溶体を含む。酸化物粒子は、Zrを含む金属酸化物を含む。
複合粒子と、固体電解質とを混合して、正極合材を調製し、
正極合材を成膜し、圧縮成形することにより得ることができる。
以下に、本実施形態に係る全固体電池用正極および全固体電池についてより詳細に説明する。
本実施形態に係る全固体電池用正極は、正極合材層を含む。正極合材層は、正極活物質粒子と、正極活物質粒子の表面に付着した酸化物粒子とを含む複合粒子を含む。正極におけるイオン伝導性を高める観点から、正極合材層は、複合粒子とともに、固体電解質を含んでいる。正極合材層は、これらの成分に加え、全固体電池で正極合材層に使用される公知の成分を含んでもよい。なお、正極合材とは、複合粒子と固体電解質と必要により添加剤などとを含む混合物である。
Li1+x(MeyM1−y)1−xO2
(式中、Meは、第1金属元素であり、Mは、第1金属元素よりも平均価数の低い第2金属元素であり、xおよびyは、それぞれ、0<x≦1/3および0.5≦y≦0.8を充足する。)
で表される固溶体を含む。固溶体とは、元素Meおよび元素Mの一方と、Liとの複合酸化物の結晶構造に、元素Meおよび元素Mの他方が部分的に入り込み、複数の金属元素が交じり合って均一に分布した状態を言う。正極活物質粒子は、固溶体の相を含んでいればよいが、イオン伝導性や導電性を確保する観点から、固溶体の粒子を正極活物質粒子として利用することが好ましい。
第1金属元素の平均価数は、金属酸化物を、バインダ等を用いて薄く伸ばし、第1金属元素のK吸収端のX線吸収スペクトルを測定し、このX線吸収スペクトルと、価数既知の第1金属元素の標準物質のX線吸収スペクトルとを比較することにより求めることができる。
第2金属元素の平均価数は、金属酸化物を、バインダ等を用いて薄く伸ばし、第2金属元素のK吸収端のX線吸収スペクトルを測定し、このX線吸収スペクトルと、価数既知の第2金属元素の標準物質のX線吸収スペクトルとを比較することにより求めることができる。
yは、0.5≦y≦0.8であればよく、0.6≦y≦0.8であることが好ましい。yがこのような範囲である場合、容量と電気化学的活性とのバランスがとり易い。
上記固溶体としては、例えば、Li2MnO3−LiMO2などが挙げられ、具体例としては、Li1+x(Ni0.3Co0.1Mn0.6)1-xO2、Li1+x(Ni0.2Co0.1Mn0.7)1-xO2、Li1+x(Ni0.2Co0.2Mn0.6)1-xO2などが挙げられる。
正極活物質粒子の平均粒子径d1は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される体積基準の粒度分布におけるメディアン径(D50)である。
固体電解質は、一種を単独で用いてもよく、必要に応じて、二種以上を併用してもよい。
正極集電体は、正極活物質層を形成する際に、波打ったり、破れたりしない強度を有するものが望ましい。
正極集電体の厚みは、例えば、5〜300μmの範囲から適宜選択できる。
正極の厚みは、例えば、50〜200μmである。
正極を作製する際には、このような圧力が正極合材の膜に加わるようにすればよく、正極のみを成形する場合や固体電解質層上に正極を作製する際に、このような圧力を加えてもよい。また、電極群を作製する際に、このような圧力が正極合材の膜に加わるように電極群を加圧し、電極群内で正極を完成させてもよい。このような圧力を正極合材の膜や電極群に加えることで、正極に含まれる固体電解質が塑性変形して複合粒子と固体電解質とが密着し、界面抵抗を低減することができる。
負極は負極活物質を含む。負極活物質としては、リチウムイオンを挿入および脱離することができる限り、特に制限されず、全固体電池で使用される公知の負極活物質が利用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを挿入および脱離可能な炭素質材料の他、リチウムイオンを挿入および脱離可能な金属や半金属の単体、合金、または化合物などが挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛など)、ハードカーボン、非晶質炭素などが例示できる。金属や半金属の単体、合金としては、リチウム金属や合金、Si単体、SiOなどが挙げられる。化合物としては、例えば、酸化物、硫化物、窒化物、水化物、シリサイド(リチウムシリサイドなど)などが挙げられる。酸化物としては、チタン酸化物、ケイ素酸化物などが挙げられる。負極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ケイ素酸化物と炭素質材料とを併用してもよい。
負極は、負極活物質または負極合材と、必要に応じて負極集電体とを用いて、正極の場合に準じて作製できる。負極を圧縮成形する際の圧力は、例えば、100〜400MPaである。圧縮成形は、このような圧力を膜に一度だけ加えることで行なってもよく、複数回加えることにより行なってもよい。
正極と負極との間に介在する固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を示す固体電解質を含む。このような固体電解質としては、正極について例示した固体電解質が挙げられ、硫化物が好ましい。
固体電解質層は、公知の方法により成形することにより形成できる。固体電解質(または固体電解質および添加剤を含む混合物)を乾式成膜することにより固体電解質層を形成することが好ましい。固体電解質層は、必要に応じて圧縮成形してもよい。固体電解質層を圧縮成形する際の圧力は、例えば、100〜400MPaである。圧縮成形は、このような圧力を膜に一度だけ加えることで行なってもよく、複数回加えることにより行なってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)複合粒子の作製
リチウムエトキシドとジルコニウム(IV)プロポキシドをエタノールとアセト酢酸エチルとイソプロピルアルコールの混合溶液中で混合した。次いで、この混合溶液中にLi1+x(Ni0.2Co0.2Mn0.6)1-xO2(x=0.26)(平均粒子径d1(D50):8μm)からなる正極活物質粒子とLi2ZrO3との合計に対するLi2ZrO3の被覆量が0.1mol%となるように添加し、混合溶液を50℃に加熱して、撹拌しながら、溶媒を蒸発させた。この時、混合溶液には超音波をかけながら、撹拌させた。溶媒を完全に蒸発した後、正極活物質粒子表面に被覆されたLi2ZrO3前駆体を酸素雰囲気下において300〜400℃で3時間加熱した。このようにして、正極活物質粒子の表面にLi2ZrO3が被覆された複合粒子(Li2ZrO3の被覆量:0.1mol%)を得た。
下記の手順で図1に示すような全固体電池を作製した。
(a)固体電解質層3の作製
冷間ダイス鋼(SKD)製の円筒金型(内径10mm、高さ30mm)を立てて設置し、円筒金型の底部に底板となる短ピンを差し込んだ。この状態で、リチウムイオン伝導性の固体電解質であるLi2S(70mol%)−P2S5(30mol%)固溶体(組成:Li7P3S11)50mgを円筒金型内に層状に充填した。そして、円筒金型の内径に合わせたサイズの円柱状の長ピンを、円筒金型の頂部から内部に差し込み、層の厚み方向に188MPaの圧力で1回加圧プレスすることにより、固体電解質層3を作製した。
黒鉛、およびLi2S(75mol%)−P2S5(25mol%)固溶体を、6:4の質量比で用いて、乳鉢内で十分に混合した。得られた混合物21mgを、(a)で作製した、円筒金型内の固体電解質層3上に層状に充填した。そして、層の厚み方向に、3回加圧プレスすることにより、負極合材層4aを作製した。加圧プレスの圧力は、毎回188MPaとした。
複合粒子と、リチウムイオン伝導性の固体電解質であるLi2S(70mol%)−P2S5(30mol%)固溶体(組成:Li7P3S11、平均粒子径d2(D50):6μm)を、7:3の質量比で混合することにより混合物を得た。
混合物20mgを、円筒金型内の固体電解質層3上に層状に充填し、層の厚み方向に、それぞれ、376MPa、752MPa、および1050MPaの順で3回加圧プレスすることにより正極合材層2aを作製した。
(a)〜(c)のようにして形成された正極合材層2aと負極合材層4aとで固体電解質層3を挟持した状態の積層体6を、円筒金型から取り出した。
負極集電体4bとしての銅箔(縦20mm×横20mm、厚み100μm)の一方の表面上に、中央に孔を有する絶縁体5(内径11mm、高さ50μm)を配置した。そして、積層体6(外径10mm)を、負極合材層4aが負極集電体4bに接するように絶縁体5の孔内に収容した。次いで、積層体6の正極合材層2a上に正極集電体2bとしてのアルミニウム箔(縦20mm×横20mm、厚み20μm)を配置することにより電極群1を作製した。なお、絶縁体5は、負極合材層4aおよび負極集電体4bと、正極合材層2aおよび正極集電体2bとの接触を抑制するように配される。
負極リードおよび正極リードを有するラミネートセルに、電極群1を収容し、セル内のガスを真空ポンプで吸引しながら密封した。このようにして、全固体LIBを作製した。
全固体LIBの放電容量および容量維持率を下記の手順で求めた。
全固体LIBを、恒温槽内において60℃で維持し、58.8MPaで加圧した。この状態で、0.01mA/cm2の電流で、充電終止電圧4.7Vまで充電し、次いで、0.01mA/cm2の電流で、放電終止電圧2.0Vまで放電した。このときの充電容量および放電容量(初回放電容量)を求めた。
上記の充電および放電を10サイクル繰り返して、10サイクル目の放電容量を求め、初回放電容量に対する容量維持率(%)を求めた。
Li2ZrO3で被覆していない正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、正極および全固体電池を作製し、評価を行った。
Li2ZrO3の被覆量がそれぞれ、0.3、0.5、1.0、1.5mol%となるように原料の添加量を調整して、複合粒子を作製し、得られた複合粒子を用いた。これら以外は、実施例1と同様にして、正極および全固体電池を作製し、評価を行った。
Claims (9)
- 正極合材層を含み、
前記正極合材層は、正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子の表面に付着した酸化物粒子とを含む複合粒子、および固体電解質を含み、
前記正極活物質粒子は、下記式:
Li1+x(MeyM1−y)1−xO2
(式中、Meは、第1金属元素であり、Mは、前記第1金属元素より平均価数の低い第2金属元素であり、xおよびyは、それぞれ、0<x≦1/3および0.5≦y≦0.8を充足する。)
で表される固溶体を含み、
前記酸化物粒子は、Zrを含む金属酸化物を含む、全固体電池用正極。 - 前記金属酸化物は、Zrを含むリチウム含有複合金属酸化物を含む、請求項1に記載の全固体電池用正極。
- 前記正極合材層は、導電助剤を含まない、請求項1または2に記載の全固体電池用正極。
- 前記固体電解質は、LiおよびPを含む硫化物系固体電解質を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体電池用正極。
- 前記酸化物粒子またはその前駆体を付着させた前記正極活物質粒子を加熱することにより前記複合粒子を作製し、
前記複合粒子と、前記固体電解質とを混合して、正極合材を調製し、
前記正極合材を成膜し、圧縮成形することにより得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体電池用正極。 - 前記正極合材は、導電助剤を含まない、請求項5に記載の全固体電池用正極。
- 前記正極活物質粒子の平均粒子径d1および前記固体電解質の平均粒子径d2が、d1>d2を充足する、請求項5または6に記載の全固体電池用正極。
- 前記平均粒子径d2は、0.01〜10μmである、請求項7に記載の全固体電池用正極。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するリチウムイオン伝導性の固体電解質層とを含む、全固体電池。
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