JP2009238636A - 正極層形成用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させることにより、全固体リチウム二次電池とした場合に高出力化することができる正極層形成用材料を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である正極活物質と硫化物系固体電解質材料とからなる正極層形成用材料であって、上記正極活物質の平均粒径が1〜5μmの範囲内であり、かつ、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることを特徴とする正極層形成用材料を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させた正極層形成用材料に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として優れた二次電池、例えば、リチウム二次電池の開発が重要視されている。また、上記情報関連機器や通信関連機器以外の分野としては、例えば自動車産業界においても、低公害車としての電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量のリチウム二次電池の開発が進められている。
しかし、現在市販されているリチウム二次電池は、可燃性の有機溶剤を溶媒とする有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。
これに対し、液体電解質を固体電解質に変えて、電池を全固体化した、全固体リチウム二次電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
このような全固体リチウム二次電池には、電極層(正極層及び負極層)と、これらの間に配置される電解質とが備えられ、電解質は、固体によって構成される。従って、活物質のみを用いて粉末成形により電極層を構成する場合、電解質が固体であるため、電解質が電極層の内部へ浸透しにくく、活物質と電解質との界面が低減し、電池性能が低下してしまう。それゆえ、活物質の粉末と固体電解質の粉末とを混合した混合粉末を含有する正極合剤を用いて電極層とすることにより、界面の面積を増大させている。ここで、活物質が導電性を有する場合、特に、別途導電材を添加する必要が無いことから、電極層は固体電解質と活物質とからなるものとなる。そして、このような電極層においては、電子の移動が行われるために活物質粒子同士が電子的に接続されている必要があり、電極層中の固体電解質量が多くなった場合にはこの接続が失われるおそれがある。
このように、全固体リチウム二次電池では電極層中の固体電解質と活物質の混合比によってはイオン伝導経路が損なわれたり、あるいは電子伝導経路が阻害されたりする。このため電極のインピーダンスが高くなり、大電流での充放電が困難となり、活物質利用率が低いものとなるという問題があった。
そこで、例えば、特許文献1においては、全固体リチウム二次電池の電極として、平均粒径が0.1〜50μmの活物質粉末と平均粒径が0.1〜50μmの固体電解質粉末を、重量比で3.0:7.0〜9.5:0.5で配合してなる混合物を用いた全固体リチウム二次電池を開示している。これは、電極中のイオン伝導経路と電子伝導経路との双方が確保でき、活物質の利用率を高めることができるものである。
しかしながら、より高出力な電池を形成するために、例えば正極に、LiCoOのような電子伝導性の高い正極活物質を用いた場合、充放電反応はイオン伝導律速になりやすく、固体電解質材料の量(体積分率等)をより増加させる必要があるが、このように固体電解質材料の量を増加させると、活物質の量が減少して、活物質同士の接触ができなくなり、電子伝導性が低下し、容量が低下してしまうという問題が依然としてあった。
特開平8−195219号公報 特開2001−6674号公報 特開2005−228570号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させることにより、全固体リチウム二次電池とした場合に高出力化することができる正極層形成用材料を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明においては、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である正極活物質と硫化物系固体電解質材料とからなる正極層形成用材料であって、上記正極活物質の平均粒径が1〜5μmの範囲内であり、かつ、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることを特徴とする正極層形成用材料を提供する。
本発明によれば、上記正極活物質の平均粒径が1〜5μmの範囲内であることにより、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であったとしても、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させ、全固体リチウム二次電池とした際に高出力化することが可能な正極層形成用材料とすることができる。
また、本発明においては、上記正極層形成用材料で形成された正極層を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池を提供する。
本発明によれば、上述したような電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させて高出力化することができる正極層形成用材料で形成された正極層を用いることにより、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させて高出力化した全固体リチウム二次電池を得ることができる。
また、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方であり、平均粒径が1〜5μmの範囲内である正極活物質と、硫化物系固体電解質材料とを、上記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存するように粉砕混合する粉砕混合工程を有することを特徴とする正極層形成用材料の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記正極活物質凝集体が残存することにより、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、全固体リチウム二次電池とした際に高出力化することが可能な正極層形成用材料を得ることができる。
上記発明においては、上記正極活物質凝集体の平均凝集体径が、上記正極活物質の平均粒径の10〜100倍となるように粉砕混合工程が行われることが好ましい。より確実に、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、全固体リチウム二次電池とした際に高出力化することが可能な正極層形成用材料を得ることができるからである。
上記発明においては、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることが好ましい。正極活物質の量がこの程度であったとしても、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させることができるからである。
本発明においては、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させて高出力化することができる正極層形成用材料を得ることができるという効果を奏する。
本発明の正極層形成用材料、全固体リチウム二次電池、および正極層形成用材料の製造方法について、以下詳細に説明する。
A.正極層形成用材料
まず、本発明の正極層形成用材料について説明する。
本発明の正極層形成用材料は、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である正極活物質と硫化物系固体電解質材料とからなる正極層形成用材料であって、上記正極活物質の平均粒径が1〜5μmの範囲内であり、かつ、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることを特徴とするものである。
一般に、電子伝導性の高いLiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である正極活物質と硫化物系固体電解質材料とからなる正極層形成用材料においては、通常、上記正極活物質の平均粒径等にかかわらず、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が50vol%程度であれば、正極活物質同士が接触して電子伝導パスを形成することが可能である。従って、このような場合には、充放電反応はイオン伝導律速になるので、最終的に得られる全固体リチウム二次電池を高出力化するためには、硫化物系固体電解質材料の量をより増加させることが好ましい。
このため、例えば、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率を40vol%程度とし、硫化物系固体電解質材料の量をより増加させることにより、リチウムイオン伝導性を向上させることが考えられるが、これでは、上記正極活物質の量が減少して、上記正極活物質同士の接触ができなくなり、電子伝導性が低下し、結果的に容量が低下してしまうといった問題があった。
本発明においては、上記正極活物質の平均粒径を1〜5μmの範囲内とすることにより、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内である場合でも、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、全固体リチウム二次電池とした際に高出力化することが可能な正極層形成用材料とすることができる。
これは、すなわち、上記正極層形成用材料の平均粒径を1〜5μmの範囲内とすることにより、上記正極活物質からなる上記正極活物質凝集体が存在しやすくなるからであり、このような、正極活物質凝集体を有する上記正極層形成用材料を用いた正極層においては、上記正極活物質凝集体が、上記正極層中で後述するような房状等の形状を形成して正極活物質同士が接触しやすくなるものと推定される。これにより、上記正極活物質が島状等となり点在して接触しにくくなることを抑制することができる。このため、正極活物質の導電性に対する寄与率を高くすることができる。従って、上記正極層中の上記硫化物系固体電解質材料の割合が多い、上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内である場合であっても、正極活物質同士が接触して電子伝導パスを形成することが可能となり、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させることができるのである。
このような本発明の正極層形成用材料においては、少なくとも、上記正極活物質、および上記硫化物系固体電解質材料を有するものであれば特に限定されるものではない。
以下、本発明の正極層形成用材料について、構成ごとに詳細に説明する。
1.正極活物質
まず、本発明に用いられる正極活物質について説明する。本発明に用いられる正極活物質は、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である。これは、これらの正極活物質の電子伝導性が良好であり、これらの正極活物質を用いることにより、電子伝導性を向上させることができるからである。
すなわち、このような電子伝導性の高い正極活物質を用いた場合には、充放電反応がイオン伝導律速になりやすく、高出力電池を形成するためには、後述する硫化物系固体電解質材料の量を増やすことが有効である。しかしながら、上記硫化物系固体電解質材料の量を増加させると、上記正極活物質の量が減少するために、正極活物質同士の接触ができなくなり、電子伝導性が低下して容量が低下してしまうおそれがある。
本発明においては、このような電子伝導性の高い正極活物質を用いた場合でも、上記正極活物質の平均粒径を1〜5μmの範囲内とすることにより、上記正極層形成用材料中に、上記正極活物質からなる正極活物質凝集体が存在しやすくなるため、上記正極層形成用材料を用いた正極層において、上記正極活物質が房状等の形状を形成して正極活物質同士が接触しやすくなり、正極活物質の導電性に対する寄与率を高くすることができる。このため、上記正極層中の上記硫化物系固体電解質材料の割合を増やした、上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内である場合であっても、正極活物質同士が接触して電子伝導パスを形成することができる。従って、上記正極層形成用材料を、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させて、最終的に得られる全固体リチウム二次電池を高出力化することが可能なものとすることができるのである。
本発明に用いられる上記正極活物質の平均粒径は、1〜5μmの範囲内であるが、中でも1〜4μmの範囲内、特に1〜3μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さいと、正極活物質の一次粒子が、解砕しにくい二次凝集を形成してしまうため、上記正極層形成用材料を用いた上記正極層において、上記正極活物質が房状等の形状を形成できず、正極活物質同士が接触しにくくなり、正極活物質の導電性に対する寄与率を高くすることができないおそれがある。一方、上記範囲より大きいと、上記正極活物質の一次粒子が、上記正極層形成用材料を用いた上記正極層において、島状等となり点在しやすくなるため、正極活物質同士が接触しにくくなり、正極活物質の導電性への寄与率を高くすることができないおそれがあるからである。
なお、本発明において、上記正極活物質の平均粒径はSEM等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。
また、本発明においては、上述したように、通常、上記正極層形成用材料中に、平均粒径が1〜5μmの範囲内の上記正極活物質からなる正極活物質凝集体が存在している。このような正極活物質凝集体の平均凝集体径としては、上記正極層形成用材料を用いた上記正極層において、上記正極活物質が房状等の形状を形成する等して正極活物質同士が接触しやすくなり、正極活物質の導電性に対する寄与率を高くすることができる程度であれば良く、特に限定されるものではない。
なお、本発明において、上記正極活物質凝集体の平均凝集体径はSEM等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。
また、本発明においては、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内である。中でも38〜41vol%の範囲内、特に39〜40vol%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、上記正極層形成用材料を用いた後述する正極層内において、上記正極活物質同士が接触して電子伝導パスを形成することを可能とし、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させることができるからである。
2.硫化物系固体電解質材料
次に、本発明に用いられる硫化物系固体電解質材料について説明する。
本発明における上記硫化物系固体電解質材料は、酸化物系固体電解質材料等のその他の固体電解質材料と比較して、軟らかい。また、上記正極活物質と比べて軟らかい。このため、後述するような粉砕混合工程により、上記硫化物系固体電解質材料と上記正極活物質とを粉砕混合する際に、上記正極活物質からなる正極活物質凝集体を過剰に粉砕することなく、上述したような正極活物質凝集体の形成が可能となる。また、上記正極層形成用材料を用いて、プレス成形等して形成した正極層においても、上記正極活物質凝集体を維持しつつ、上記正極活物質が房状等の形状を形成できるため、正極活物質同士が接触しやすくなり、正極活物質の導電性への寄与率を高くすることができるのである。
上記硫化物系固体電解質材料の硬さとしては、上述したように、正極活物質凝集体を有する上記正極層形成用材料を用いた正極層において、上記正極活物質が房状等の形状を形成する等して、正極活物質同士が接触しやすくなり、正極活物質の導電性に対する寄与率を高くすることができる程度であれば良く、特に限定されるものではない。通常は、ビカース硬度が150HV程度である。
上記硫化物系固体電解質材料としては、具体的にはLi、A、Sからなる硫化物系固体電解質材料(Li−A−S)を挙げることができる。上記硫化物系固体電解質材料Li−A−S中のAは、P、Ge、B、Si、およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
このような硫化物系固体電解質材料Li−A−Sとしては、具体的にはLi11、LiS−P、LiGe0.250.75、LiS−SiS等を挙げることができる。中でも、イオン伝導度が高いことから、Li11が好ましい。
本発明に用いられる硫化物系固体電解質材料の製造方法としては、所望の硫化物系固体電解質材料を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、特開2005−228570号公報に記載された方法等を挙げることができる。
上記硫化物系固体電解質材料の平均粒径としては、上記正極層形成用材料を用いた後述する正極層において、上記正極活物質同士が接触して電子伝導パスを形成することを可能とし、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させることができるものであれば良く、特に限定されるものではない。例えば0.1〜100μmの範囲内、中でも0.5〜20μmの範囲内、特に0.5〜10μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明において、上記硫化物系固体電解質材料の平均粒径はSEM等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。
3.その他の材料
上記正極層形成用材料は、通常、上述した正極活物質、硫化物系固体電解質材料のみから形成されるものであるが、必要に応じて、その他の材料を含有していても良い。例えば、導電性を向上させるために、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の導電助剤を含有していても良い。
4.その他
(1)用途
本発明の正極層形成用材料の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、後述する自動車用全固体リチウム二次電池の正極層に用いられる正極層形成用材料として、用いることができる。
(2)製造方法
本発明の正極層形成用材料の製造方法としては、上記の正極層形成用材料を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、後述する「C.正極層形成用材料の製造方法」に記載される方法等を挙げることができる。
(3)その他
本発明の上記正極層形成用材料は、通常、粉末状のものであるが、取り扱いが容易であることから、プレス成形する等してペレット状としても良い。
B.全固体リチウム二次電池
次に、本発明の全固体リチウム二次電池について、以下詳細に説明する。
本発明の全固体リチウム二次電池は、上記正極層形成用材料で形成された正極層を用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、上述したような電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させた正極層形成用材料で形成された正極層を用いることにより、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させ、これにより高出力化した全固体リチウム二次電池を得ることができる。
次に、本発明の全固体リチウム二次電池について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の全固体リチウム二次電池の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。図1に示される全固体リチウム二次電池は、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させた正極層1、正極層1上に設置された硫化物系固体電解質層2、硫化物系固体電解質層2を正極層1と挟持するように設置された負極層3、を有し、通常、これらを挟持するように正極層1上に正極集電体4と、負極層3上に負極集電体5とが設けられており、さらに、側面を覆うように絶縁リング6が配されている。
このような本発明の全固体リチウム二次電池においては、少なくとも、上記正極層を有するものであれば特に限定されるものではないが、通常は、上述したように、負極層、正極集電体、負極集電体、絶縁リング等を有する。
以下、本発明の全固体リチウム二次電池について、構成ごとに詳細に説明する。
1.正極層
まず、本発明に用いられる正極層について説明する。本発明における正極層は、電子伝導性を良好に保持しつつ、リチウムイオン伝導性を向上させた上記正極層形成用材料で形成されたことを特徴とするものである。
上記正極層に用いられる上記正極層形成用材料については、上述した「A.正極層形成用材料」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明における上記正極層中においては、通常、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である上記正極活物質が、正極活物質凝集体として存在すること、そして、これらの少なくとも一部が房状等の形状を形成することにより、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれるような構造となっている。
具体的には、図2に例示する模式図のような構造である。このように、正極活物質7と硫化物系固体電解質材料8とからなる正極層中においては、正極活物質7が、正極活物質凝集体として存在したり、その一部分において、房状等の形状を形成したりしている。これにより、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれ、導電性を維持するものと推定される。
上記正極層の膜厚としては、特に限定されるものではなく、通常の全固体リチウム二次電池に用いられる正極層の厚さと同様の厚さとすることができる。
2.その他の構成
上記全固体リチウム二次電池において、上述した正極層以外の構成、例えば、負極層、正極集電体、負極集電体および絶縁リング等その他の構成について、以下詳細に説明する。
(1)負極層
本発明に用いられる上記負極層は、負極層としての機能を有するものであれば特に限定されるものではない。上記負極層に用いられる負極材料としては、一般的な全固体リチウム二次電池に用いられる材料と同様のものを使用することができる。例えば、負極としての機能を有する金属箔等の負極材料のみからなるもの、負極活物質と固体電解質材料とを混合して負極用合剤としたもの等を挙げることができる。また、必要に応じて、導電性を向上させるために、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の導電助剤を含有していても良い。
上記負極層の膜厚としては、特に限定されるものではなく、通常の全固体リチウム二次電池に用いられる負極層の厚さと同様の厚さのものを用いることができる。
(2)正極集電体
本発明に用いられる正極集電体は、上記正極層の集電を行うものである。上記正極集電体としては、正極集電体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではない。上記正極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、およびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。さらに、上記正極集電体は、緻密質集電体であっても良く、多孔質集電体であっても良い。
(3)負極集電体
本発明に用いられる負極集電体は、上記負極層の集電を行うものである。上記負極集電体としては、負極集電体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではない。上記負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばSUS、銅、ニッケル、およびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。さらに、上記負極集電体は、緻密質集電体であっても良く、多孔質集電体であっても良い。
(4)その他の構成
上述した部材以外のその他の構成、例えば、絶縁リング等について説明する。
上記絶縁リング等に関しては、特に限定されるものではなく、一般的な全固体リチウム二次電池と同様のものを用いることができる。
また、上記絶縁リングの代わりに電池ケース等を用いても良い。上記電池ケース、電池ケース等の封止に用いられる樹脂等に関しては、特に限定されるものではなく、一般的な全固体リチウム二次電池と同様のものを用いることができる。
具体的には、上記電池ケースとしては、一般的には、金属製のものが用いられ、例えばステンレス製のもの等が挙げられる。また、上記電池ケースは、集電体の機能を兼ね備えたものであっても良い。具体的には、SUS(ステンレス鋼)製の電池ケースを用意し、その一部を集電体として用いる場合等を挙げることができる。また、上記樹脂としては、吸水率の低い樹脂が好ましく、例えばエポキシ樹脂等が挙げられる。
3.その他
(1)全固体リチウム二次電池の製造方法
本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法としては、上記の全固体リチウム二次電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、硫化物系固体電解質材料をプレス成形して硫化物系固体電解質層を形成する硫化物系固体電解質層形成工程を行う。次に、負極集電体上に負極材料を圧着等して負極層を形成して負極層形成工程を行う。
次に、正極集電体上に、上記正極層形成用材料を設置した後プレス成形して正極層を形成する正極層形成工程を行う。次に、上記硫化物系固体電解質層上に、上記負極層を設置し、さらに、上記硫化物系固体電解質層を上記負極層と挟持するように上記正極層を設置する。さらに、これを例えばコイン型の電池ケース中に設置した後、樹脂パッキンにより封止することにより電池セルを形成する電池セル形成工程を行うことにより、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得る方法等を挙げることができる。
なお、上記硫化物系固体電解質層形成工程、上記負極層形成工程、上記正極層形成工程、上記電池セル形成工程は、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得ることができれば、各工程を同時に行ったり、各工程の順番を変更したりするなどしても良い。また、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得ることができれば、上述した工程以外のその他工程を有していても良い。
(2)用途
本発明の全固体リチウム二次電池の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車用の全固体リチウム二次電池等として、用いることができる。
(3)形状
本発明の全固体リチウム二次電池の形状は、コイン型、ラミネート型、円筒型、角型等を挙げることができ、中でも角型、ラミネート型が好ましく、特にラミネート型が好ましい。
C.正極層形成用材料の製造方法
次に、本発明の正極層形成用材料の製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の正極層形成用材料の製造方法は、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方であり、平均粒径が1〜5μmの範囲内である正極活物質と、硫化物系固体電解質材料とを、上記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存するように粉砕混合する粉砕混合工程を有することを特徴とする製造方法である。
本発明によれば、上記硫化物系固体電解質材料は、上記正極活物質と比べて軟らかいため、粉砕混合する際に、上記正極活物質からなる正極活物質凝集体を過剰に粉砕することなく、上記正極層形成用材料中に、平均粒径が1〜5μmの範囲内である正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体を残存させることができる。このため、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、最終的に全固体リチウム二次電池とした際に、高出力化することが可能な正極層形成用材料を得ることができる。
すなわち、上記正極層形成用材料を用いて、プレス成形等して形成した正極層においては、上記硫化物系固体電解質材料が上記正極活物質と比べて軟らかいため、上記正極活物質凝集体を維持しつつ、上記正極活物質が房状等の形状を形成する等して正極活物質同士が接触しやすくなり、正極活物質の導電性に対する寄与率を高くすることができる。このため、上述したように電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、最終的に全固体リチウム二次電池とした際に、高出力化することが可能な正極層形成用材料を得ることができるのである。
このような本発明の正極層形成用材料の製造方法においては、具体的には、次のような工程を経ることにより、正極層形成用材料を得ることができる。
例えば、粉砕混合工程において、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である平均粒径が1〜5μmの範囲内である正極活物質と、硫化物系固体電解質材料とを、上記正極活物質の体積分率が所定の量となるように、それぞれ秤量して、所定のミキサーポット内に添加する。次に、ミキサーポットをミキサー器に設置して、上記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存するように、回転速度、粉砕混合時間等の粉砕混合条件を調節して、粉砕混合する。このようにして、正極層形成用材料を得ることができる。
このような正極層形成用材料の製造方法は、少なくとも、上述した粉砕混合工程を有する製造方法であれば、特に限定されるものではない。
以下、本発明の正極層形成用材料の製造方法における、各工程について、詳細に説明する。
1.粉砕混合工程
本発明における粉砕混合工程とは、LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方であり、平均粒径が1〜5μmの範囲内である正極活物質と、硫化物系固体電解質材料とを、上記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存するように粉砕混合する工程である。
本工程を経ることにより、上述したように、上記正極層形成用材料中に、平均粒径が1〜5μmの範囲内である上記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存することができるため、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させることができる。
本工程において、粉砕混合して、上記正極層形成用材料を得る具体的な方法としては、上述したような正極層形成用材料を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ミキサー器を用いて、所定の回転速度で、所定の時間粉砕混合する方法等を挙げることができる。
本工程における上記粉砕混合とは、上記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存するように粉砕混合するものである。
このような粉砕混合とは、具体的には、上記正極層形成用材料を用いた正極層の断面を観察した場合に、その断面が図3の断面写真に例示されているような正極活物質凝集体が存在しないものとなるような粉砕混合ではなく、図4の断面写真に例示されているように正極活物質が上記房状等の形状を形成したり、上述したように正極活物質からなる所定の平均凝集体径を持つ上記正極活物質凝集体などが残存したりする等して、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれるものとなるような粉砕混合である。
上記粉砕混合を行う際の具体的な条件、例えば、ミキサー器を用いて粉砕混合する際の、回転速度、粉砕時間等の条件としては、上述したように、正極層形成用材料を用いた正極層において、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれるものとなるような条件であれば特に限定されるものではなく、予備実験等を行うことにより最適な条件を決定する等して、適宜設定することができる。
また、本発明においては、上記正極活物質凝集体の平均凝集体径が、上記正極活物質の平均粒径の10〜100倍、特に5〜15倍となるように粉砕混合工程が行われることが好ましい。上記範囲内であれば、上記正極層形成用材料を用いた正極層中で、上記正極活物質凝集体を維持しつつ、その一部を房状等の形状とすることが容易になり、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれやすくなる。このため、より確実に、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、最終的に全固体リチウム二次電池とした際に、高出力化することが可能な正極層形成用材料を得ることができるからである。
上記正極層形成用材料中の上記正極活物質凝集体の平均凝集体径等については、電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。また、上記正極層形成用材料を用いた正極層中に所定の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体などが残存しているか、上述したような房状等の形状を形成しているか等についても、電子顕微鏡等により観察して、確認することができる。
また、本発明においては、上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることが好ましい。上記正極層形成用材料中の上記正極活物質の量がこの程度であったとしても、より効果的に、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、最終的に全固体リチウム二次電池とした際に、高出力化することが可能な正極層形成用材料を得ることができるからである。
本工程に用いられる、正極活物質、硫化物系固体電解質材料、その他の材料については、上述した「A.正極層形成用材料」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
2.その他
本発明により得られる正極層形成用材料の用途については、上述した「A.正極層形成用材料」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(正極層形成用材料形成)
LiCoO正極活物質(平均粒径4μm)と、特開2005−228570号公報に記載された作り方により得られた硫化物系固体電解質材料Li11(粒径7μm)とをスクリュー瓶に入れ、LiCoO:Li11が体積比で4:6(LiCoO正極活物質の体積分率が40vol%)となるように、ミキサー器にて、正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体が残存するように回転速度1800rpmで10分混合して、正極層形成用材料を得た。
(電池セル形成)
正極層形成用材料形成で得られた正極層形成用材料を、成形冶具中に挿入して、プレス成形して、正極層を形成した。
次に、硫化物系固体電解質材料LiS−P粉末を、成形冶具中に挿入して、プレス成形して、硫化物系固体電解質層を形成した。
次に、硫化物系固体電解質層を正極層と、In箔負極層とで挟持して電池セルとした。
[実施例2]
実施例1の回転速度を正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体が大幅に減少するように、2500rpmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、電池セルを形成した。
[比較例1]
実施例1のLiCoO正極活物質に、平均粒径が10μmのものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電池セルを形成した。
[比較例2]
実施例1のLiCoO正極活物質に、平均粒径が20μmのものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電池セルを形成した。
[比較例3]
実施例1のLiCoO正極活物質の体積分率を50vol%としたこと以外は、実施例1と同様にして、電池セルを形成した。
[比較例4]
比較例1のLiCoO正極活物質の体積分率を50vol%としたこと以外は、比較例1と同様にして、電池セルを形成した。
[比較例5]
比較例2のLiCoO正極活物質の体積分率を50vol%としたこと以外は、比較例2と同様にして、電池セルを形成した。
[評価]
(放電容量測定)
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、および比較例5で得られた電池セルを用いて、放電容量を測定した。LiCoO正極活物質の体積分率が40vol%である実施例1、比較例1、および比較例2の放電容量の、LiCoO正極活物質の体積分率が50vol%である比較例3、比較例4、および比較例5の放電容量に対する百分率(LiCoO正極活物質の体積分率が50vol%から40vol%と変化した場合の放電容量の変化率)をLiCoO正極活物質の平均粒径に対してプロットしたグラフを図5に示す。
また、図5中には、回転速度を2500rpmとすることにより、正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体を大幅に減少させた実施例2の放電容量の、正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体が残存するように回転速度1800rpmとした実施例1の放電容量に対する百分率(回転数が1800rpmから2500rpmと変化した場合の放電容量の変化率)もプロットした。
(SEM写真観察)
実施例1、比較例1、比較例2、および実施例2と同様の方法で形成した正極層の断面をSEMにより観察した。得られたSEM写真を図4(実施例1)、図6(比較例1)、図7(比較例2)、および図3(実施例2)に示す。
図5に示すように、LiCoO正極活物質の平均粒径が、4μmの場合、LiCoO正極活物質の体積分率を50vol%(比較例3)から40vol%(実施例1)へ変化させると、放電容量の変化率(比較例3→実施例1)は100%を超えて、より良好な放電容量となった。一方、LiCoO正極活物質の平均粒径が、10μmの場合、LiCoO正極活物質の体積分率を50vol%(比較例4)から40vol%(比較例1)へ変化させると、放電容量の変化率(比較例4→比較例1)は80%より下となり、放電容量は小さくなった。同様に、LiCoO正極活物質の平均粒径が、20μmの場合には、LiCoO正極活物質の体積分率を50vol%(比較例5)から40vol%(比較例2)へ変化させると、放電容量の変化率(比較例5→比較例2)は、80%程度となり、放電容量は小さくなった。
また、図4に示されているように、実施例1に用いられる正極層においては、より明るいコントラストで表示されるLiCoO正極活物質(白色で観察されている部分)が房状等の形状を形成したり、正極活物質からなる正極活物質凝集体が存在したりして、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれていることが確認された。一方、図6および図7に示されているように、比較例1、および比較例2においては、粒径が大きいため、LiCoO正極活物質が房状等の形状を形成できず、正極活物質は島状に点在し、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれていないことが確認された。
図5に示されるように、LiCoO正極活物質の平均粒径が、4μmの場合において、ミキサー器で粉砕混合する際に、回転数を、1800rpm(実施例1)から2500rpm(実施例2)へと変化させて、正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体を大幅に減少させると、放電容量の変化率(実施例1→実施例2)は、85%程度となり、放電容量は小さくなったが、変化率(比較例4→比較例1)、および変化率(比較例5→比較例2)と同等か、それ以上の値を示した。
また、図3に示されているように、実施例2においては、実施例1と異なり、過剰に粉砕混合されるため、正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体は、ほぼ残存していなかった。さらに、LiCoO正極活物質が房状の形状も形成されていなかった。また、島状に点在した正極活物質等についても、観察されなかった。
以上の結果から、実施例においては、正極活物質の平均粒径を1〜5μmの範囲内とすることにより、正極層形成用材料中の正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内である場合でも、電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、全固体リチウム二次電池とした際に高出力化することが可能であった。
また、粉砕混合を、正極層中に正極活物質の平均粒径の10〜100倍の平均凝集体径を持つ正極活物質凝集体が残存するように行うことにより、正極層形成用材料を用いた正極層中で、正極活物質凝集体を維持しつつ、その一部を房状等の形状とすることが容易になり、正極活物質同士の接触が正極層全体で保たれやすくなる。このため、より確実に電子伝導性を良好に保持しつつ、硫化物系固体電解質材料の量を増加させてリチウムイオン伝導性を向上させ、高出力化できることが確認された。
本発明の全固体リチウム二次電池の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。 本発明における正極層中の構造を説明する模式図である 実施例2と同様の方法で形成した正極層の断面のSEM写真である。 実施例1と同様の方法で形成した正極層の断面のSEM写真である。 LiCoO正極活物質の体積分率が50vol%から40vol%と変化した場合の放電容量の変化率と、回転数が1800rpmから2500rpmと変化した場合の放電容量の変化率とをLiCoO正極活物質の平均粒径に対してプロットしたグラフである。 比較例1と同様の方法で形成した正極層の断面のSEM写真である。 比較例2と同様の方法で形成した正極層の断面のSEM写真である。
符号の説明
1 … 正極層
2 … 硫化物系固体電解質層
3 … 負極層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
7 … 正極活物質
8 … 硫化物系固体電解質材料

Claims (5)

  1. LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方である正極活物質と硫化物系固体電解質材料とからなる正極層形成用材料であって、前記正極活物質の平均粒径が1〜5μmの範囲内であり、かつ、前記正極層形成用材料中の前記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることを特徴とする正極層形成用材料。
  2. 請求項1に記載の正極層形成用材料で形成された正極層を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  3. LiCoOおよびLiNiOの少なくとも一方であり、平均粒径が1〜5μmの範囲内である正極活物質と、硫化物系固体電解質材料とを、前記正極活物質の凝集体である正極活物質凝集体が残存するように粉砕混合する粉砕混合工程を有することを特徴とする正極層形成用材料の製造方法。
  4. 前記正極活物質凝集体の平均凝集体径が、前記正極活物質の平均粒径の10〜100倍となるように粉砕混合工程が行われることを特徴とする請求項3に記載の正極層形成用材料の製造方法。
  5. 前記正極層形成用材料中の前記正極活物質の体積分率が37〜42vol%の範囲内であることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の正極層形成用材料の製造方法。
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