JP2014192061A - 全固体電池用材料及び全固体電池用材料の製造方法 - Google Patents

全固体電池用材料及び全固体電池用材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池性能の高い全固体電池用材料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の全固体電池用材料は、硫化物系無機固体電解質1と電極活物質2とを含む全固体電池用材料であって、硫化物系無機固体電解質1の粉体と電極活物質2の粉体を造粒した混合材の平均粒子径が10〜50μmであり、混合材の粒子は、複数の電極活物質2の粒子を含み、電極活物質2の粒子同士が互いに隣接するとともに、電極活物質2の粒子の間に硫化物系無機固体電解質1の粒子が配置された構造を有することを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池用材料及びこれを製造する製造方法に関する。
従来の全固体電池用材料の例として、全固体リチウム二次電池の電極に、平均粒子径が0.1〜50μmの活物質粉末と平均粒子径が0.1〜50μmの固体電解質粉末の混合物を用いるものがある。(例えば、特許文献1参照)
特開平8−195219
上記、従来の全固体電池用材料は、固体電解質及び活物質の平均粒子径と混合率とをそれぞれ規定し、活物質の利用率を高めるものであるが、活物質の粉末と固体電解質の粉末とが加圧成形される際に、活物質と固体電解質との界面にて結着が良好でない箇所(結着不良箇所)が一定割合で発生し、イオン伝導パスが十分に形成されず、電池性能が低下する。
本発明は上記問題点を解決して、電池性能の高い全固体電池用材料及びこれを製造する製造方法を提供することを目的とする。
本発明の全固体電池用材料は、硫化物系無機固体電解質と電極活物質とを含む全固体電池用材料であって、前記硫化物系無機固体電解質の粉体と前記電極活物質の粉体とを造粒した混合材の平均粒子径が10〜50μmであり、
混合材の粒子は、複数の電極活物質の粒子を含み、前記電極活物質の粒子同士が互いに隣接するとともに、前記電極活物質の粒子の間に硫化物系無機固体電解質が配置された構造を有することを特徴とするものである。
また、電極活物質の粉体の平均粒子径が20μm以下であることが好ましく、さらに電極活物質の粉体の平均粒子径は、硫化物系無機固体電解質の粉体の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。
そして、本発明の全固体電池用材料の製造方法は、硫化物系無機固体電解質の粉体と電極活物質の粉体とを含む全固体電池用材料の製造方法であって、
リチウムイオン伝導性の硫化物系無機固体電解質の粉体と電極活物質の粉体とを混合して混合粉体を得る工程と、
当該混合粉体を加圧成形して成形体を得る工程と、
当該成形体を粉砕する工程と、
平均粒子径が10〜50μmの混合材を分級して得る工程と、を備えることを特徴とするものである。
さらには、成形体を得る工程において、混合粉体を98MPa以上の圧力で加圧成形することが好ましい。
本発明の全固体電池用材料は、硫化物系無機固体電解質の粉体と電極活物質の粉体とを造粒した混合材を平均粒子径が10〜50μmとなるように粉砕し分級したもので、硫化物系無機固体電解質と電極活物質の粉体が加圧造粒されたことにより、硫化物系無機固体電解質と電極活物質が結着し両物質界面のイオン伝導パスが良好に形成されるため、電池性能が向上する。また、混合材に平均粒子径が10〜50μmの範囲のものを用いることより造粒粉体の流動性が向上し、組み立て装置内への付着が抑制され生産性が向上する。
本発明の全固体電池材料の内部構造を示す模式図であり、(a)は混合粉体のバルクの模式図であり、(b)は成形体のバルクの模式図であり、(c)は造粒粉体の粒子構造を示す模式図である。 同全固体電池材料を用いた全固体電池の概略構成を示す断面図である。 同全固体電池の組み立て用装置の断面図である。 同全固体電池の実施例1及び比較例1の充放電曲線をそれぞれ示すグラフである。
まず、本発明に係る全固体電池用材料の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
本発明に係る全固体電池用材料は、硫化物系無機固体電解質1と電極活物質2とを含む電極合材である。
本実施の形態において、硫化物系無機固体電解質1は、リチウムイオン伝導性の固体電解質であり、具体的には、LiS−P系、LiS−GeS系、LiS−Ge系、LiS−GeS−P系、LiS−GeS−ZnS系、LiS−SiS系等のガラスセラミックスなどが挙げられる。一般に硫化物系無機固体電解質1は可撓性に優れ且つ電極活物質2に比べて硬度が低いが、本実施の形態においては、硫化物系無機固体電解質が圧力により潰れて変形して活物質表面に結着、又は相互に結着するという作用機構から、特に可撓性に優れ、且つイオン伝導率の高い材料が好ましく、LiS−P系ガラスセラミックスがより好ましい例として挙げられる。なお、この硫化物系無機固体電解質は、市販されているものを粉砕して用いればよい。
本実施の形態において、電極活物質2は、平均粒径が20μm以下の粉体を採用する。電極活物質2には正極活物質と負極活物質がある。正極活物質としては、例えば、リチウム・ニッケル複合酸化物(LiNi1-x、ただし、MはCo、Al、Mn、V、Cr、Mg、Ca、Ti、Zr、Nb、Mo及びWのうち少なくとも1つの元素)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等の層状酸化物、オリビン構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO)、スピネル構造を持つマンガン酸リチウム(LiMn、LiMnO、LiMO)等の固溶体やそれらの混合物、更に硫黄(S)、硫化リチウム(LiS)等が挙げられる。いわゆるリチウムイオン電池正極活物質として分類される物質であれば特に限定はされない。また、負極活物質としては例えば天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素などの炭素材料、チタン酸リチウム(LiTi12)等の金属酸化物等が挙げられる。これもリチウムイオン電池負極活物質として分類される物質であれば特に限定はされない。また、正極活物質及び負極活物質の表面に、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、チタン酸リチウム(LiTi12)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、炭素(C)等をそれぞれコーティングしたものを用いることもできる。
本実施の形態において、全固体電池用材料は、硫化物系無機固体電解質1及び正極活物質、又は硫化物系無機固体電解質1及び負極活物質から成る。以下、前者を正極合材、後者を負極合材と称することがある。
本実施の形態に係る全固体電池材料、すなわち上記の電極合材の製造方法は、硫化物系無機固体電解質1の粉体と電極活物質2の粉体とを混合して混合粉体を得る工程(工程a)と、混合粉体を加圧成形して成形体を得る工程(工程b)と、成形体を粉砕する工程(工程c)と、平均粒子径が10〜50μmの混合材を分級して得る工程(工程d)と、を備える。工程aにより得られる混合粉体のバルクの模式図を図1(a)に、工程bにより得られる成形体のバルクの模式図を図1(b)に、工程c及び工程dにより得られる造粒粉体3の粒子構造の模式図を図1(c)に、それぞれ示す。本実施の形態においては、正極合材及び負極合材の粒子構造は同じである。
上記の工程a〜dを経て得られる混合材(以下、造粒粉体3という。)の粒子は、図1(c)に示すように、複数の電極活物質2の粒子を含み、電極活物質2の粒子同士が互いに隣接するとともに、電極活物質2の粒子の間に硫化物系無機固体電解質1が配置(充填)された、いわゆる「海島構造」と呼ばれる微細構造を有する。加圧成形される際に可撓性の高い硫化物系無機固体電解質1の粒子は変形し相互に結着するので出発物質である硫化物系無機固体電解質1の粒子形状は消失する。電極活物質2の粒子が隣接することにより電子伝導パスが形成され、図1(b)及び(c)に示すような硫化物系無機固体電解質1の連続相11の生成によりイオン伝導パスが形成される。このような構造を実現するため、工程aにおける電極活物質2と硫化物系無機固体電解質1の混合割合は、電極活物質2の粒径、粒径分布、粒子形状、真比重および硫化物系無機固体電解質1の真比重によって適宜選択される。例えば、工程aにおいて混合する硫化物系無機固体電解質1の体積が、電極活物質2を最密充填した場合の空隙体積より小さい場合、電極活物質2間の空隙を埋め切れずボイドを生じイオン伝導性が低下する場合がある。また、例えば、工程aにおいて混合する硫化物系無機固体電解質1の体積が大き過ぎる場合、電極活物質2の粒子が隣接しにくくなり、電子伝導性が低下する場合がある。したがって、本実施の形態においては、電極活物質2と硫化物系無機固体電解質1との混合比率は、電極活物質2が50〜90重量%、硫化物系無機固体電解質1の割合が10〜50重量%でそれぞれ混合されていることが好ましい。なお、図1(c)に示すように、造粒粉体3の1つの粒子に複数の電極活物質2の粒子が含まれるようにするため、本実施の形態においては電極活物質2の平均粒子径を20μm以下の範囲内ものを用いている。
本実施の形態においては、加圧工程(工程b)によって、図1(b)に示すように、固体電解質が押し潰されて電極活物質2の空隙に充填されるために、一般に可撓性に優れ、且つ電極活物質2に比べて硬度の低い硫化物系無機固体電解質1を電極合材に採用することにより、加圧により硫化物系無機固体電解質1のみを選択的に変形させている。加圧成形(工程b)にて、硫化物系無機固体電解質1が変形し電極活物質2と結着させるため、おおむね98MPa(1000kgf/cm)以上の圧力を加えることが好ましい。工程bにより得られる成形体の形状は、その後工程cにより粉砕するので限定されず、ペレット状でも、ローラーコンパクターなどを使用して連続加圧成形した帯状でもよい。
また、出発原料の硫化物系無機固体電解質1の粒子は、加圧成形(工程b)の際に押し潰されてしまうため、粒子径は特に限定されない。加圧工程(工程b)で電極活物質2の粒子間に硫化物系無機固体電解質1が充填され易くする観点から、混合工程(工程a)において電極活物質2の粒子間に硫化物系無機固体電解質1の粒子が収まるように、出発原料の硫化物系無機固体電解質1の平均粒子径は電極活物質2の平均粒径よりも小さい方が好ましい。具体的には、1次粒子で1〜5μm、1次粒子が凝集して成る2次粒子で10μm前後であることがよい。
本実施の形態においては、工程cにおける粉砕方法についても特に限定はなく、一般的な方法が適用できる。造粒粉体3の平均粒子径が10〜50μmの範囲であることから、この範囲に適した方法が好ましい。用いられる粉砕装置としては、粒子径の大きさをコントロール可能であればどの方式を用いても良い。また、粉砕工程(工程c)の後に分級工程(工程d)があるので、例えば実験室スケールであれば乳鉢で粉砕しても良い。工程dにおける分級の方法についても特に限定されず、篩による分級、気流分級、3次元振動分級等の分級に通常用いられる方法を用いることができる。
本実施の形態に係る全固体電池用材料が電池用材料として機能するためには各電極合材層の中に電子伝導パスとイオン伝導パスがそれぞれ形成されるとともに電極活物質2と硫化物系無機固体電解質1との界面におけるイオン伝導性を有する必要がある。硫化物系無機固体電解質1中のイオン伝導パスを通ったイオンが電極活物質2に挿入脱離可能となるように、両物質は分子レベルで接近していなければならない。すなわち電極活物質2と硫化物系無機固体電解質1が結着している必要がある。しかし、一般に、電極活物質2と硫化物固体電解質1との間に結着不良箇所が存在し、それが有効接触面積を減少させ全体としてイオン伝導の界面抵抗を増大させることが多い。このことは、特に正極4において顕著である。
これに対して、本実施の形態に係る全固体電池材料によれば、硫化物系無機固体電解質1と電極活物質2との混合粉体を造粒したことにより、硫化物系無機固体電解質1と電極活物質2が結着し両物質界面のイオン伝導パスが良好に形成される。さらに混合粉体の成形体を粉砕することにより両物質間の結着不良箇所を優先的に剥離させたのち、再度加圧成形して造粒粉体を製造するため、結着不良箇所において硫化物系無機固体電解質1の再結着が行われて、両物質界面のイオン伝導パスがより良好に形成される。
また、本実施の形態に係る全固体電池材料によれば、混合材に平均粒子径が10〜50μmの範囲のものを用いることにより造粒粉体の流動性が向上し、組み立て装置内への付着が抑制され生産性が向上する。
また、本実施の形態に係る全固体電池用材料の製造方法によれば、工程aにおいて電極活物質2と硫化物系固体電解質1とが一旦加圧成形される際、電極活物質2と硫化物固体電解質1との界面にて一定割合で発生する結着が良好でない箇所(結着不良箇所)が、工程bの粉砕により、優先的に剥離して粉体となる。そして、工程cの得られた粉体を加圧成形することにより、結着不良箇所に再度硫化物系無機固体電解質1の結着が行われる。すなわち結着不良箇所に対して結着のやり直しが行われる。このように、結着不良箇所において選択的に結着のやり直しが行われることにより、結着不良箇所が減少し、界面抵抗も減少し、結果として電池性能が向上する。
次に、本実施の形態に係る全固体電池材料を用いた全固体電池について、図2を用いて説明する。図2に示すように、全固体電池は、正極4及び負極5として機能する一対の電極と、その間に固体電解質層6を有する。各電極4,5は電極合材層42,52及び集電体41,51をそれぞれ備える。すなわち、図2に示すように、固体電解質層6の表面に正極合材層42が隣り合うように配置され、固体電解質層6の表面に対向する裏面に負極合材層52が隣り合うように配置され、両集電体41,51が最も外側に位置するように配置される。
集電体41,51としては、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、リチウム(Li)、錫(Sn)、又はこれらの合金等から成る板状体、箔状体又は粉体が用いられる。
電極合材層42,52は上記の造粒粉体3を加圧成形することにより得られる。
固体電解質層6は、その材料は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、電極合材と同様にリチウムイオン伝導性の固体電解質、特にLiS−P系ガラスセラミックスを採用している。また、その平均粒子径は、1次粒子で1〜5μm、2次粒子で10μmである。
本実施の形態に係る電極合材は、正極合材、負極合材及び両極合材に適用され得る。電池性能向上にとっては両極合材に適用するのが好ましいが、いずれか一方に用いる場合でもその効果は得られ、特に正極合材に適用した場合、よりよい効果を奏する。
また、本実施の形態に係る電池用材料の他の効果として、平均粒子径が10〜50μmの範囲の造粒粉体3を用いることから、造粒粉体3の流動性を向上させ、組み立て装置内への付着を抑制することが挙げられる。
以下、本実施の形態に係る全固体電池材料を用いた全固体電池の実施例1〜3及び比較例1について、図3及び図4を用いて説明する。
[実施例1]
露点が−80℃以下に管理された環境下において、正極活物質として平均粒子径6μmのリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05、以下NCAと略称する)、硫化物系無機固体電解質1としてLiS(70mol%)−P(30mol%)を用い、1.4gの正極活物質の粉体と0.6gの硫化物系無機固体電解質1の粉体とを乳鉢で十分に混合して混合粉体を調製した。この混合粉体0.1gを図3に示す内径10mmの円筒金型7に充填し、油圧プレス機を用いて980MPa(10000kgf/cm)で加圧してペレットを作製した。これを繰り返して10個のペレットを作製した。これらのペレットを乳鉢上にて粗粉砕し、目開き53μmの篩にかけ、粒子径53μm未満の粉体を採集した。さらに目開き20μmの超音波振動篩にかけて粒子径20μm未満を除去して、粒子径20〜53μmの正極合材の造粒粉体3を得た。なお、当然ながら、この造粒粉体3の平均粒子径は50μm以下である。
負極活物質として平均粒子径17μmの黒鉛、硫化物系無機固体電解質1としてLiS(70mol%)−P(30mol%)を用い、60mgの負極活物質と40mgの固体電解質を乳鉢で十分に混合して負極合材(造粒なし)を調製した。
図3に示す円筒金型7に硫化物系無機固体電解質1を50mg充填し、円筒金型7の両方の開口端部に一対のプレスピン8,9を挿入し、油圧プレス機を用いて176.4MPa(1800kgf/cm)で加圧した。一方のプレスピン8を外して負極合材15mgを充填し、再度プレスピン8を装着して176.4MPa(1800kgf/cm)で加圧した。他方のプレスピン9を外して20mgの正極合材の造粒粉体3を充填し、再度プレスピン9を装着して980MPa(10000kgf/cm)で加圧した。形成された成形体を取り出して、正極集電体41として錫箔、負極集電体51として銅箔、及び絶縁体10として内径10mmの穴の開いたポリ塩化ビニルフィルムにて電池を組み立て、それを構造支持体としてのステンレス板2枚で挟み、電気取り出し用のタブを具備した熱融着性ラミネートで封止して電池を構成した。
この電池を加圧治具を用いて5.8N(600kgf)の力で加圧しながら30℃にて充電上限電圧4.2V、放電下限電圧2Vにて電流密度0.1mA/cmの定電流充放電を行った。放電比容量は155mAh/gであった。実施例1の充放電曲線を図4に示す。
[比較例1]
実施例1と同じ正極活物質及び硫化物系無機固体電解質1を用いて、70mgの正極活物質の粉体と30mgの硫化物系無機固体電解質1の粉体とを乳鉢で十分に混合して正極合材(造粒なし)を調製した。この正極合材を使用する以外は全て実施例1と同様の工程で電池を組み立て、同様の評価を行った。放電比容量は141mAh/gであった。比較例1の充放電曲線を図4に示す。
図4に示す充電曲線について、比較例1に比べて、実施例1は同一の比容量を充電するために必要な電圧が低減されていることが確認できた。また、放電曲線について、同一の電圧において放電される比容量が大きいことが確認できた。すなわち、正極合材に造粒したものを用いることで十分に効果が得られることがわかった。
[実施例2]
負極活物質として平均粒子径17μmの黒鉛、硫化物系無機固体電解質1としてLiS(70mol%)−P(30mol%)を用い、1.2gの負極活物質の粉体と0.8gの硫化物系無機固体電解質1の粉体とを乳鉢で十分に混合して混合粉体を調製した。この混合粉体を用いて実施例1と同様に、粒子径20〜53μm(平均粒子径50μm以下)の負極合材の造粒粉体3を得た。
比較例1と同じ正極合材(造粒なし)及び作製した負極合材の造粒粉体3を用いて実施例1と同様に電池を組み立て充放電特性を評価した。放電比容量は150mAh/gであった。
[実施例3]
実施例1と同じ正極合材の造粒粉体3と実施例2と同じ負極合材の造粒粉体3を用いて実施例1と同様に電池を組み立て充放電特性を評価した。放電比容量は160mAh/gであった。
実施例1〜3及び比較例1の実験条件及び放電比容量の結果を下記の表1にまとめて示す。下記の表1に示すように、放電比容量について比較例1においては141mAh/gであったのに対して、実施例1においては155mAh/g、実施例2においては150mAh/g、実施例3においては160mAh/gと、いずれも向上した。また、実施例1と実施例2とを比較すると、本発明に係る電極合材は、負極5よりも正極に適していることがわかる。さらに、実施例1〜3の比較から、両電極合材への適用が最も高い効果を発揮することがわかる。
Figure 2014192061
[変形例]
上記実施例においては、金型を使用した加圧成型によってペレットの作製を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、押出造粒、流動造粒、混合造粒等の造粒に通常用いられる方法を用いることができる。また、乳鉢により粉砕を行ったが、この代わりとして、破砕機等を用いることができる。そして、篩による分級を行ったが、この代わりとして、例えば気流分級や3次元振動分級等の分級に通常用いられる方法を用いることができる。また、造粒後の試料を整粒機により整粒してもよい。
より粉体内のイオン伝導パス又は電子伝導パスを良好に形成することを目的として、造粒工程にて加熱する作業を加えることも可能である。具体的には、ペレット作製時に熱を加えて粉体同士の接触面積を拡大させてもよい。または、作製したペレットを加熱し、粉体同士の接触を図ってもよい。
また、各電極合材に導電助材を含んでいてもよく、導電助材としてはカーボンブラック、気相法により合成された炭素繊維(VGCF:登録商標)、金属等が挙げられる。
さらに、固体電解質層6についても、電極合材と同様に物質と硫化物系無機固体電解質1の造粒したものを用いてもよい。この構成により、電極合材と同様、固体電解質層6の粉体の流動性を向上させ、組み立て装置内への付着を抑制することができる。
1 硫化物系無機固体電解質
11 硫化物系無機固体電解質の連続相
2 電極活物質
3 造粒粉体
4 正極
41 正極集電体
42 正極合材層
5 負極
51 負極集電体
52 負極合材層
6 固体電解質層
7 円筒金型
8 プレスピン
9 プレスピン
10 絶縁体

Claims (5)

  1. 硫化物系無機固体電解質と電極活物質とを含む全固体電池用材料であって、
    前記硫化物系無機固体電解質の粉体と前記電極活物質の粉体とを造粒した混合材の平均粒子径が10〜50μmであり、
    混合材の粒子は、複数の電極活物質の粒子を含み、前記電極活物質の粒子同士が互いに隣接するとともに、前記電極活物質の粒子の間に硫化物系無機固体電解質の粒子が配置された構造を有することを特徴とする全固体電池用材料。
  2. 電極活物質の粉体の平均粒子径が20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の全固体電池用材料。
  3. 電極活物質の粉体の平均粒子径は、硫化物系無機固体電解質の粉体の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の全固体電池用材料。
  4. 硫化物系無機固体電解質の粉体と電極活物質の粉体とを含む全固体電池用材料の製造方法であって、
    リチウムイオン伝導性の硫化物系無機固体電解質の粉体と電極活物質の粉体とを混合して混合粉体を得る工程と、
    当該混合粉体を加圧成形して成形体を得る工程と、
    当該成形体を粉砕する工程と、
    平均粒子径が10〜50μmの混合材を分級して得る工程と、を備えることを特徴とする全固体電池用材料の製造方法。
  5. 成形体を得る工程において、混合粉体を98MPa以上の圧力で加圧成形することを特徴とする請求項4に記載の全固体電池用材料の製造方法。
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