JP4997496B2 - 電極用複合粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電極用複合粉末及びその製造方法に関する。
近年の多様な機器やシステムの発展により、動力源としての電池(一次電池、二次電池、燃料電池、キャパシタ等)の高性能化の要求がますます高くなってきている。例えば、リチウム二次電池は、携帯通信機器、ノート型パソコン等の電子機器の電源を担う高エネルギー密度の二次電池として広く普及が進んでおり、また環境負荷低減の観点から自動車のモーター駆動用バッテリーとしても期待されている。このため、これら機器の高性能化に対応した高出力及び高エネルギー密度のリチウム二次電池の開発が求められている。
特に車載用としては、高電流密度での良好な充放電特性が求められるが、高電流密度で充放電を繰り返した際に容量劣化及びサイクル劣化が生じるという問題がある。例えば、車載用リチウム二次電池としては、アルミニウム添加ニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.8Co0.15 Al0.05)を正極活物質として用いるものが良く知られている。かかる車載用リチウム二次電池は理論容量が約260mAh/gと大きい。しかしながら、60℃の環境下、高電流密度で充放電を繰り返すと、正極の電気抵抗が増大してサイクル劣化を引き起こすという問題が指摘されている(非特許文献1)。
上記容量劣化及びサイクル劣化の原因としては、例えば、次の理由が考えられる。即ち、高電流密度で充放電を繰り返した際のリチウム脱離・挿入に伴う電極活物質の膨張・収縮によって導電材が電極活物質から剥離したり導電材どうしの導電ネットワークが切断したりすることにより、導電材の分布が不均一になると考えられる(非特許文献2)。
上記問題を改善するために、(1)電極活物質を微粒化して電極内のリチウムイオンの拡散距離を短くして活物質の利用率を上げる、(2)電極活物質に導電材を被覆又は接合して導電材の分布の不均一を緩和する、(3)導電材どうしの結合を強くして導電ネットワークを保持する、等の方法が考えられている。
例えば、特許文献1には、電極活物質と導電材を混合し、黒鉛型材を用いて50MPa程度までの加圧下、200〜800℃程度の温度で通電処理を行って電極活物質と導電材とを接合することが開示されている。この技術は上記(2)に対応するものであり、電極活物質と導電材とを接合して導電材の分布の不均一を緩和させている。
これまでに、高電流密度での充放電特性は徐々に改善されてきているが、各種機器の高性能化に追随すべく、高電流密度での充放電特性の更なる向上が求められている。かかる要求に応えるべく、電極活物質と導電材との接合強度を更に強くして導電ネットワークを更に強固なものとする技術の開発が望まれている。
特開2005−135723号公報 Y. Itou and Y. Ukyo, J. Power Sources, 146, 39 (2005). X.Zhang, P.N.Ross,Jr., R.Kostecki, F.Kong,S.Sloop, J.B.Kerr, K.Striebel, E.J.Cairns, and F.McLarnon, J.Electrochem. Soc., 148,A463(2001).
本発明は、重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させることなく、高電流密度での充放電特性が改善された電極を得ることができる、電極活物質と導電材との接合
強度が改善された電極用複合粉末及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導電材と電極活物質とを特定条件下において通電焼結させて両者を接合する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の電極用複合粉末及びその製造方法に関する。
1.電極活物質どうしが導電材を介して接合している構造を有する電極用複合粉末であって、電極活物質と導電材とを含有する原料混合物を、導電性を有する型に充填し、60MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電して前記原料混合物を焼結させることにより得られる、電極用複合粉末。
2.前記導電性を有する型は、タングステンカーバイドを含有する、上記項1に記載の電極用複合粉末。
3.150MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電する、上記項1又は2に記載の電極用複合粉末。
4.前記原料混合物に含まれる前記導電材は、タップ密度が0.15g/cm以上の高密度炭素の粉末である、上記項1〜3のいずれかに記載の電極用複合粉末。
5.前記高密度炭素は、高密度アセチレンブラックである、上記項4に記載の電極用複合粉末。
6.前記高密度アセチレンブラックは、加圧下において直流パルス電流を通電してアセチレンブラック粉末を焼結させることにより得られる、上記項5に記載の電極用複合粉末。
7.前記電極活物質は、1)オリビン型構造の含リチウム化合物、2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物、及び3)スピネル型構造の含リチウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種の正極活物質である、上記項1〜6のいずれかに記載の電極用複合粉末。
8.前記電極活物質は、リン酸鉄リチウム;コバルト、マンガン及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を固溶したリン酸鉄リチウム;リン酸コバルトリチウム;マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸コバルトリチウム;リン酸マンガンリチウム;ニッケルを固溶したリン酸マンガンリチウム;リン酸ニッケルリチウム;ニッケル酸リチウム;コバルト及びアルミニウムの少なくとも1種を固溶したニッケル酸リチウム;コバルト酸リチウム;鉄酸リチウム;チタン、マンガンの少なくとも1種を固溶した鉄酸リチウム;チタン酸リチウム;マンガン酸リチウム;及びクロムを固溶したマンガン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種の正極活物質である、上記項1〜6のいずれかに記載の電極用複合粉末。
9.前記電極活物質は、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−インジウム合金からなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質である、上記項1〜6のいずれかに記載の電極用複合粉末。
10.上記項1〜9のいずれかに記載の電極用複合粉末を含有する電極を備えた、一次電池、二次電池、燃料電池又はキャパシタ。
11.電極活物質どうしが導電材を介して接合している構造を有する電極用複合粉末の製造方法であって、電極活物質と導電材とを含有する原料混合物を、導電性を有する型に充填し、60MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電することによって前記原料混合物を焼結させる工程を有する、製造方法。

以下、本発明の電極用複合粉末及びその製造方法について詳細に説明する。
1.電極用複合粉末
本発明の電極用複合粉末は、電極活物質どうしが導電材を介して接合している構造を有する電極用複合粉末である。当該構造としては、例えば、導電材が表面に付着した又は導電材によって被覆された電極活物質どうしが接合している構造が挙げられる。
上記構造を有する本発明の電極用複合粉末は、電極活物質と導電材とを含有する原料混合物を、導電性を有する型に充填し、60MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電して前記原料混合物を焼結させることにより得られる。
本発明の電極用複合粉末は、原料混合物を60MPa以上の加圧下で通電焼結することにより得るため、電極活物質と導電材との接合強度が大きく、これにより電極活物質と導電材との導電ネットワークが強固である。このような電極用複合粉末は、高電流密度で充放電を繰り返した場合でも導電ネットワークが損なわれ難く、各種電池及びキャパシタに適用し得る電極粉末として有用である。本発明の電極用複合粉末は、とりわけリチウム二次電池に対して有用性が高い。
以下、本発明の電極用複合粉末について、リチウム二次電池の電極材料として適用する場合を例示しながら説明する。
≪電極活物質≫
電極活物質としては特に限定されず、従来、電池やキャパシタに適用されている正極・負極活物質が使用できる。
リチウム二次電池用電極活物質で具体例を挙げれば、正極活物質としては、例えば、
1)オリビン型構造の含リチウム化合物、
2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物、3)スピネル型構造の含リチウム化合物、
等が挙げられる。
具体的には、1)オリビン型構造の含リチウム化合物としては、例えば、リン酸鉄リチウム;コバルト、マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸鉄リチウム;リン酸コバルトリチウム;マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸コバルトリチウム;リン酸マンガンリチウム;ニッケルを固溶したリン酸マンガンリチウム、リン酸ニッケルリチウム等が挙げられる。
2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物としては、例えば、ニッケル酸リチウム;コバルト及びアルミニウムの少なくとも1種を固溶したニッケル酸リチウム;コバルト酸リチウム;鉄酸リチウム;チタン、マンガンの少なくとも1種を固溶した鉄酸リチウム;チタン酸リチウム等が挙げられる。
3)スピネル型構造の含リチウム化合物としては、例えば、マンガン酸リチウム;及びクロムを固溶したマンガン酸リチウム等が挙げられる。
これらの正極活物質は単独又は2種以上を混合して使用できる。本発明では、電極用複合粉末の製造条件を選択することにより、ニッケル、コバルト、マンガン等の高価数を採り得る遷移金属を活物質として用いる場合でも、その還元を抑制しつつ導電材と強固に接合して電極用複合粉末とすることができる。
負極活物質としては、例えば、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金等が挙げられる。負極活物質も単独又は2種以上で使用できる。
電極活物質は市販品を使用すればよいが、調製することもできる。例えば、コバルト酸リチウムは、炭酸コバルトと炭酸リチウムとを混合して800〜1000℃で焼成する方法などで調製できる。
電極活物質の平均粒子径(電極用複合粉末における平均粒子径)は限定的ではないが、0.1〜20μm程度が好ましく、0.5〜10μm程度がより好ましい。なお、電極活物質の平均粒子径は、通電焼結に供する前後においてほぼ同程度である。
≪導電材≫
導電材(電子伝導性粉末)としては、電子伝導性を有する材料であれば限定的ではなく、例えば、炭素、炭素基導電化合物、鉄、鉄を含む合金、銅、銅を含む合金、アルミニウム、アルミニウムを含む合金、酸化鉄、酸化鉄を端成分とする固溶体等が挙げられる。導電材としては、これらの材料の単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記の導電材のうち、炭素基導電化合物とは、主としてベンゼン骨格等の電子伝導経路を有し、炭素を主成分とする化合物である。例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン等が挙げられる。
合金のうち、鉄を含む合金としては、例えば、Fe−Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Mg合金等が挙げられる。銅を含む合金としては、例えば、Ni−Cu合金、Cu−Sn合金、Cu−Zn合金等が挙げられる。アルミニウムを含む合金としては、例えば、Al−Zn合金、Al−Cu合金、Al−Mg合金等が挙げられる。合金中の各成分の割合は特に限定されず、適宜設定できる。
酸化鉄を端成分とする固溶体としては、例えば、酸化鉄にZn、Mn、Ni、Al、Ti、Co等を固溶させたものが挙げられる。固溶量は特に限定されず、適宜設定できる。
本発明では、導電材として炭素材料が好ましく、特に高密度炭素が好ましい。詳細には、高密度炭素として高密度アセチレンブラックが好ましい。かかる観点から、本発明では、通電焼結に供する原料混合物に含まれる導電材として、炭素粉末が好ましく、特に高密度炭素の粉末が好ましい。高密度炭素の粉末としては、特にタップ密度0.15g/cm以上の高密度炭素の粉末が好適である。このような高密度炭素の粉末は、導電材どうしの導電ネットワークが強固であるため、導電材として用いることにより電極の重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を増大し、優れた充放電特性を長期間安定に維持することができる。
なお、本明細書におけるタップ密度は、約0.2gの試料(ここでは炭素粉末)を25mlのメスシリンダーに入れて100回タップを行った後、測定した密度である。
粉末のタップ密度の上限については限定的ではないが、1g/cm程度以下のタップ密度とすることが好ましい。タップ密度が1g/cm程度を上回る場合には、電極活物質との混合・接合が困難となり、充放電特性を高め難くなる場合がある。
上記高密度炭素は、原料である炭素粉末どうしが強固に接合されて高密度化したものであり、とりわけ高密度アセチレンブラックが好ましい。
以下、上記特性を有する高密度アセチレンブラックの調製方法について説明する。
高密度アセチレンブラックは、例えば、アセチレンブラック粉末を導電性を有する型に充填し、加圧下において直流パルス電流を通電してアセチレンブラック粉末を焼結させることによって得られる。
原料として用いるアセチレンブラック粉末については特に限定はなく、通常の市販品等を用いることができる。例えば、アセチレンを高温で熱分解させて得られる粉末、いわゆる爆発法によって得られる粉末など公知のアセチレンブラック粉末を使用できる。アセチレンブラック粉末の粒径については特に限定はないが、例えば5nm〜100nm程度の平均粒子径の粉末を用いればよい。
上記のアセチレンブラック粉末を導電性を有する型に充填し、圧粉体として、放電プラズマ焼結法、パルス通電焼結法、プラズマ活性化焼結法等と呼ばれる直流パルス電流を通電する通電焼結法によって該アセチレンブラック粉末を焼結させることによって、目的とする高密度アセチレンブラックを得ることができる。
具体的には、所定の形状の導電性を有する型に原料のアセチレンブラック粉末を充填し、加圧しながらパルス状のON−OFF直流電流を通電することによって、加圧下における通電焼結を行うことができる。
原料を充填するために用いる導電性を有する型の材料としては、電子伝導性の材料、例えば、炭素、鉄、酸化鉄、銅、アルミニウム合金(例えばAl−Cu−Mg系合金)やタングステンカーバイド(炭化タングステン)などの超硬合金、これらの混合物、これらに窒化ケイ素などの補強材を添加した混合物を適宜組み合わせて使用できる。
通電処理を行う装置としては、原料のアセチレンブラック粉末を加熱・冷却及び加圧することが可能であって、放電を起こすだけの電流を通電できるものであれば特に限定されず、例えば、市販の通電焼結装置(放電プラズマ焼結装置)を用いることができる。このような通電焼結装置及びその作動原理は、例えば特開平10−251070号公報などに開示されている。
以下に放電プラズマ焼結機の模式図を示した図3を参考にしながら、高密度アセチレンブラックの製造方法の具体例を説明する。
放電プラズマ焼結機1は、試料(アセチレンブラック粉末)2が装填されるダイ(型)3と上下一対のパンチ4及び5とを有する。パンチ4及び5は、それぞれパンチ電極6及び7に支持されており、このパンチ電極6及び7を介して、ダイ3に装填された試料2に必要に応じて加圧しながらパルス電流を供給することができる。
試料2に与える電流の種類としてはパルス電流が好ましい。パルス通電によって、試料2及びその近傍(ダイ3及び上下部パンチ4及び5)が加熱され、その加熱及びパルス電流の両方の効果により高密度アセチレンブラック粉末が得られる。
通電処理を行う際に、原料のアセチレンブラック粉末には5MPa程度以上、好ましくは10MPa程度以上の圧力を加える。5MPa未満の加圧力ではアセチレンブラック粒子間の接合が不十分となるため好ましくなく、10MPa程度以上の加圧力が好適である。圧力の上限については特に限定はないが、通常、500MPa程度とすればよく、300MPa程度とすることが好ましい。
通電処理の際の加熱温度は、原料とするアセチレンブラックの粒径やその表面状態などにより異なるが、通常500℃程度以上、好ましくは600℃程度以上とすればよい。加熱温度が500℃程度未満ではアセチレンブラック粒子間の接合が不十分となるため好ましくなく、600℃程度以上の加熱が好適である。加熱温度の上限については特に限定的ではないが、通常、1500℃程度とすればよく、1200℃程度とすることが好ましい。
加熱のために通電するパルス電流としては、例えばパルス幅2〜3ミリ秒程度で、周期が3Hz〜300kHz程度のパルス状のON−OFF直流電流を用いることができる。電流値は型材の種類、大きさ、昇温速度等により異なるので、型材の温度をモニターしながら電流値を増減させて、所定の温度になるよう電流値を制御すれば良い。例えば、内径15mm程度の黒鉛型材を用いて10℃/分で昇温させる場合には、100〜600A程度の電流値とすることが好ましく、内径100mm程度の型材を用いる場合には1000〜8000A程度の電流値とすることが好ましい。
通電焼結による焼結時間については、使用する原料の量、焼結温度などによって異なるので、一概に規定できないが、通常、上記した加熱温度範囲に1分〜2時間程度保持すればよい。
上記した方法によって直流パルス電流を通電して加圧下に通電焼結を行うことによって、充填されたアセチレンブラック粉末の粒子間隙に生じる放電現象を利用して、放電プラズマ、放電衝撃圧力等による粒子表面の浄化活性化作用および電場により生じる電界拡散効果やジュール熱による熱拡散効果、加圧による塑性変形圧力などがアセチレンブラック粒子接合の駆動力となって粒子間結合が促進され、高密度アセチレンブラックを得ることができる。得られた高密度アセチレンブラックは、冷却後、型から取り出し、例えば、乳鉢等で軽く粉砕することにより粒子間が強固に接合した高密度アセチレンブラック粉末として回収することができる。
尚、多量の通電処理を行う場合には、大きな型材を用いて、上記のプロセスをスケールアップして行えば良い。
導電材の平均粒子径(電極用複合粉末における平均粒子径)は限定的ではないが、0.005〜10μm程度が好ましく、0.01〜1μm程度がより好ましい。なお、かかる導電材の平均粒子径は、電極活物質との混合物に対して行う通電焼結の前後においてほぼ同程度である。また、電極用複合粉末中における導電材含有量は0.01〜30重量%程度が好ましく、0.02〜25重量%程度がより好ましい。
≪電極用複合粉末≫
本発明の電極用複合粉末は、前記電極活物質どうしが前記導電材を介して接合している構造を有する。例えば、導電材が表面に付着した又は導電材によって被覆された電極活物
質どうしが接合している構造が挙げられる。このような電極用複合粉末のタップ密度は限定的ではないが、0.8g/cm以上が好ましく、1g/cm以上がより好ましい。
本発明の電極用複合粉末は、電極活物質と導電材との関係において強固な接合強度(強固な導電ネットワーク)を有している。そして、電極活物質どうしは導電材を介して接合ている。この様な電極用複合粉末は、各種電池やキャパシタの電極材料として有用であり、重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させることなく、高電流密度での充放電特性を高めた電極を作製することができる。
具体的には、本発明の電極用複合粉末は、一次電池、二次電池、燃料電池、キャパシタ用の電極粉末として有用である。
例えば、有機電解液系電池に適用する場合には、金属箔(又は金属メッシュ)上に電極用複合粉末からなる層を形成して正極シート及び/又は負極シートを得た後、正極シート及び負極シートで電解液を染み込ませたセパレータを挟むことにより、高電流密度で高容量を示す充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を作製できる。尚、電極用複合粉末にバインダ(例えば、ポリビニリデンフルオライド等)を混練することにより、より容易に金属箔(又は金属メッシュ)上に電極用複合粉末層を形成できる。
例えば、有機電解液系リチウム二次電池を作製する場合には、電極用複合粉末とバインダ(例えば、ポリビニリデンフルオライドなど)と混錬して電極合剤を形成し、正極シート及び/又は負極シートを得た後、正極シート及び負極シートで電解液を染み込ませたセパレータを挟むことにより、高電流密度で高容量を示す充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を作製できる。
2.電極用複合粉末の製造方法
本発明の電極用複合粉末の製造方法は、電極活物質と導電材とを含有する原料混合物を、導電性を有する型に充填し、60MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電することによって前記原料混合物を焼結させる工程を有する。
原料混合物における電極活物質と導電材との混合比としては、導電材の量を、電極活物質及び導電材の合算量の0.01〜30重量%とすればよく、0.02〜25重量%が好ましい。導電材の量が0.01重量%未満では、電極活物質の電子伝導性の向上が不十分となり、良好な充放電サイクル特性が得られないおそれがある。30重量%以上では、電極活物質の重量比率及び体積比率の低下に伴って、電池の重量出力密度及び体積出力密度が低下するため好ましくない。
≪通電焼結法≫
通電焼結法(通電接合法)としては、例えば、放電プラズマ焼結法、放電焼結法、プラズマ活性化焼結法等と称される直流パルス電流を通電する加圧焼結法であればよい。即ち、特定の圧力条件を採用する以外は、通電焼結法としては、高密度アセチレンブラックの製造に関して説明した前記方法が利用できる。
以下、電極活物質及び導電材の混合粉末(原料混合物)を、電子伝導性型材内に充填後、60MPa以上の加圧下において通電焼結する手段について具体的に説明する。
通電処理に用いる電子伝導性型材としては、電子伝導性を有し、60MPa以上の圧力条件に耐え得るものであれば特に限定されない。例えば、タングステンカーバイド、鉄、銅、アルミニウム合金(例えばAl−Cu−Mg系合金)等を好適に使用できる。上記の型材の中でも特にタングステンカーバイド(WC)は超硬型材であるため耐圧性が高く、
しかも通電焼結時における電極活物質の還元を抑制し易い観点から好ましい。
電子伝導性型材に直流パルス電流を印加することにより、充填された原料混合物の粒子間隙に生じる放電現象を利用して、放電プラズマ、放電衝撃圧力等による粒子表面の浄化活性化作用及び電場により生じる電界拡散効果やジュール熱による熱拡散効果、加圧による塑性変形圧力等が粒子接合の駆動力となって電極活物質どうしが導電材を介して接合される。具体的には、パルス電流の印加により、導電材の一部が気化して電極活物質表面に付着(被覆)し、そこに粒子の状態の導電材が接着し、これらが連続して起こることで電極活物質が導電材を介して強固に接合する。電極活物質の焼結もごく一部で起こることも考えられるが、電極活物質どうしが隣接して焼結するよりも導電材を介して接合していく場合が殆どであると考えられる。
電流を供給する際の条件としては、原料混合物に60MPa以上の圧力をかけて(加圧下に)通電する。好ましくはパルス電流を供給することが望ましい。圧力としては、60MPa以上とするが、150MPa以上(例えば150〜1000MPa)、300MPa以上(例えば300〜1000MPa)がより好ましい。耐圧条件を備えれば500MPa以上(例えば500〜1000MPa)でもよい。電極活物質と導電材との接合を十分なものとするためには、高圧条件が望ましいが、50000MPa程度を上限とする。
また、原料混合物に電流を供給する際のダイ3(図3参照)の温度は、電極活物質及び導電材の種類や粒径などに応じて適宜選択することができるが、通常100〜800℃、好ましくは150〜700℃程度である。100℃未満では電極活物質と導電材との接合が不十分となる場合がある。800℃以上では導電材又は電子伝導性型材の還元による電極活物質の分解が起こり得るため好ましくない。従って、150〜700℃程度の加熱が好適である。
加熱のために印加するパルス電流は、例えばパルス幅2〜3ミリ秒程度で、周期は3Hz〜300kHz程度のパルス状ON−OFF直流電流を用いればよい。電流値は型材の種類及び大きさにより異なるが、例えば内径10mmのタングステンカーバイド型材を用いた場合には300〜1000A程度、内径20mmの型材を用いた場合には500〜3000A程度が好適である。処理時は、型材温度をモニターしながら電流値を増減させ、所定の温度を管理できるように電流値を制御するか、もしくは投入電気エネルギー量(Wh値)を制御すればよい。
このようにして得られた本発明の電極用複合材料は、電極用複合材料に対する導電材の重量比が、1:0.0001〜0.3程度、好ましくは1:0.0002〜0.25程度である。
所定の温度で通電焼結処理を行った混合粉は冷却後、型材から取り出し、乳鉢等で軽く粉砕することにより導電材が接合した電極活物質を回収することができる。多量の接合処理を行う場合には、大きな型材を用い、上記のプロセスをスケールアップすればよい。このようにして本発明の電極用複合粉末は得られる。
上記では、電極活物質及び導電材の混合粉末を通電焼結法で処理して電極用複合粉末を製造する方法について説明した。尚、1)上記した電極活物質及び導電材の混合粉末からなる層を金属箔(又は金属メッシュ)上に形成したシート、前記1)のシートを巻き取って得られるロール状物を通電焼結法で処理する場合には、本発明の電極用複合粉末が金属箔上に層状に付着した電極材料を効率的に製造できる。上記混合粉末にバインダ(例えば、ポリビリニデンフルオライド等)を添加した場合には、金属箔(又は金属メッシュ)上に電極用複合粉末層をより形成し易くなる。バインダの添加量は特に限定されず、電極活
物質及び導電材の種類等に応じて適宜調整すればよい。通常は、バインダは通電焼結により除去されるが、炭化した状態で残留した場合には、本発明における導電材と同様に取り扱えばよい。
本発明の電極用複合粉末は、原料混合物を60MPa以上の加圧下で通電焼結することにより得るため、電極活物質と導電材との接合強度が大きく、これにより電極活物質と導電材との導電ネットワークが強固である。このような電極用複合粉末は、高電流密度で充放電を繰り返した場合でも導電ネットワークが損なわれ難く、各種電池及びキャパシタに適用し得る電極粉末として有用である。本発明の電極用複合粉末は、とりわけリチウム二次電池に対して有用性が高い。
実施例1〜2及び比較例1〜2で作製したリチウム二次電池の0.2C及び1Cレートにおける初期放電特性を示す図である。 実施例1〜2及び比較例1〜2で作製したリチウム二次電池の0.2C及び1Cレートにおける放電容量のサイクル特性を示す図である。 放電プラズマ焼結機の概略図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1〜2及び比較例1〜2
初めに、使用する導電材について説明する。導電材としては、アセチレンブラック粉末(AB粉末)と高密度アセチレンブラック粉末(HDAB粉末)とを用意した。
AB粉末としては、市販品(タップ密度:0.03g/cm、BET表面積から見積もられる球体換算粒径:約20nm)を使用した。
HDAB粉末としては、上記AB粉末を通電焼結することによって調製した。詳細には、AB粉末約2gを内径25mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内にセットして約30MPaで加圧しながら約1200Aのパルス電流(パルス幅2.5ミリ秒のON−OFF直流電流、周期29Hz)を通電した。黒鉛型材近傍は約10℃/分の昇温速度で加熱されてパルス電流の通電開始80分後に800℃に到達した。この温度で1分間保持後、電流の通電と加圧を停止し、自然放冷させた。室温に冷却後、焼結体を型材より取り出し、メノウ乳鉢で粉砕して粉末状の生成物を回収した。
生成粉末は通電処理前のAB粉末と比較して大きく体積が減少しており、タップ密度は約6倍の0.17g/cmとなっており、HDAB粉末が得られたことが確認できた。
なお、HDAB粉末のBET表面積から見積もられる球体換算粒径は約20nmであり、AB粉(約20nm)とほぼ同じであった。このことからは、粒成長せずに粒子どうしのコンタクトが発達したことが分かる。
AB粉末とHDAB粉末との違いをタップ密度の観点から下記表1に示す。
Figure 0004997496
次いで、使用する正極活物質について説明する。正極活物質としては、LiCoOを用意した。
次いで、電極用粉末の調製方法について説明する。電極用粉末は、上記炭素粉末(AB粉末又はHDAB粉末)と正極活物質とを複合化(合金化)又は単純混合することにより調製した。
実施例1〜2及び比較例1〜2における電極用粉末の条件を下記表2に示す。
Figure 0004997496
以下、実施例・比較例ごとに分けて電極用粉末の調製手順を説明するとともに、電極用粉末をリチウム二次電池の正極材料として用いた場合の充放電特性について説明する。
実施例1
≪電極用粉末の調製≫
HDAB粉末とLiCoOとを1:9の重量比で混合して原料混合物を調製した。
原料混合物を内径10mmのWC型材に充填し、通電焼結機内にセットして約20Paまで減圧後、窒素ガスを大気圧になるまで導入した。
次いで、WC型材を約300MPaで加圧しながら約400Aのパルス電流(パルス幅2.5ミリ秒のON−OFF直流電流、周期29Hz)を通電した。
パルス電流の通電開始30分後に300℃に到達した。この温度で1分間保持した後、電流の通電と加圧を停止し、自然放冷させた。室温に冷却後、LiCoO/HDAB複合粉末(焼結体)を型材から取り出した。これにより、電極用粉末を得た。
複合粉末は黒色であり、X線回折パターンは、2θ=26°近傍にアセチレンブラック由来の幅広のハローが認められ、それ以外のピークは六方晶系の層状岩塩型コバルト酸リチウムの単位胞(空間群R3m)で指数付けできた。構造精密化プログラムRIETAN−2000により見積もられた複合粉末の格子定数は、a=2.81417(7)Å、c=14.0435(3)Åであり、通電処理前のLiCoOの値(a=2.81423(4)Å、c=14.0468(2)Å)と良い一致を示した。
≪充放電特性≫
電極用粉末をリチウム二次電池の正極材料として用い、負極にリチウム金属、集電体にアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPFをエチレンカルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを用いて、電流密度56mA/g(0.2C;1〜5及び11サイクル)及び274mA/g(1C;6〜10サイクル)、カットオフ3.2−4.2Vにおける定電流測定で充放電試験を行った。
図1にリチウム二次電池の充放電特性を示す。0.2Cで約137mAh/g、3.93V、1Cで約129mAh/g、3.80Vの放電容量、平均電圧が得られた。
0.2Cでの値は、比較例2(AB粉末とLiCoOとの単純混合)の結果(約133mAh/g、3.92V)とほぼ同等であったが、1Cでの値は比較例2の結果(約121mAh/g、3.78V)に比べて大きい。実施例1の結果は特に平均電圧が高いことが特徴であり、活物質−導電材、導電材−導電材の接合が良好で電子伝導性が十分に確保されていると考えられる。
図2にサイクル毎の放電容量を示す。5サイクル後の容量維持率は、0.2Cで約98.5%であり、比較例2(AB粉末とLiCoOとの単純混合)の結果(約98.9%)とほぼ同等であったが、1Cでは98.2%であり、比較例2の結果(97.3%)に比べ高い維持率を示した。これは、電極活物質が高密度化した導電材と強固に接合して電子伝導性が向上したことによるものと考えられる。
以上より、本発明の電極用複合粉末は、高電流密度で高エネルギー密度を示し、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池の正極材料として好適に使用できることが分かる。
実施例2
≪電極用粉末の調製≫
AB粉末とLiCoOとを1:9の重量比で混合して原料混合物を調製した。原料混合物を内径10mmのWC型材に充填し、通電焼結機内にセットして約20Paまで減圧後、窒素ガスを大気圧になるまで導入した。
次いで、WC型材を約150MPaで加圧しながら約400Aのパルス電流(パルス幅2.5ミリ秒のON−OFF直流電流、周期29Hz)を通電した。
パルス電流の通電開始30分後に300℃に到達した。この温度で1分間保持した後、電流の通電と加圧を停止し、自然放冷させた。室温に冷却後、LiCoO/AB複合粉末(焼結体)を型材から取り出した。これにより、電極用粉末を得た。
複合粉末は黒色であり、X線回折パターンは、2θ=26°近傍にアセチレンブラック由来の幅広のハローが認められ、それ以外のピークは六方晶系の層状岩塩型コバルト酸リチウムの単位胞(空間群R3m)で指数付けできた。構造精密化プログラムRIETAN−2000により見積もられた複合粉末の格子定数は、a=2.81501(4)Å、c=14.0488(2)Åであり、通電処理前のLiCoOの値(a=2.81423(4)Å、c=14.0468(2)Å)に比べやや大きく、還元が進行していることが示唆された。
≪充放電特性≫
電極用粉末をリチウム二次電池の正極材料として用い、負極にリチウム金属、集電体にアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPFをエチレンカルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを用いて、電流密度56mA/g(0.2C;1〜5及
び11サイクル)及び274mA/g(1C;6〜10サイクル)、カットオフ3.2−4.2Vにおける定電流測定で充放電試験を行った。
図1にリチウム二次電池の充放電特性を示す。0.2Cで約135mAh/g、3.93V、1Cで約128mAh/g、3.83Vの放電容量、平均電圧が得られた。0.2Cでの値は、比較例2(AB粉末とLiCoOとの単純混合)の結果(約133mAh/g、3.92V)とほぼ同等であったが、1Cでの値は比較例2の結果(約121mAh/g、3.78V)に比べて大きい。実施例2の結果は特に平均電圧が高いことが特徴であり、活物質−導電材、導電材−導電材の接合が良好で電子伝導性が十分に確保されていると考えられる。
図2にサイクル毎の放電容量を示す。5サイクル後の容量維持率は、0.2Cで約98.8%であり、比較例2(AB粉末とLiCoOとの単純混合)の結果(約98.9%)とほぼ同等であったが、1Cでは98.5%であり、比較例2の結果(97.3%)に比べ高い維持率を示した。これは、電極活物質が導電材と強固に接合して電子伝導性が向上したことによるものと考えられる。
以上より、本発明の電極用複合粉末は、高電流密度で高エネルギー密度を示し、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池の正極材料として好適に使用できることが分かる。
比較例1
≪電極用粉末の調製≫
HDAB粉末とLiCoOとを1:9の重量比で混合して原料混合物を調製した。
原料混合物を内径15mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内にセットして約20Paまで減圧後、窒素ガスを大気圧になるまで導入した。
次いで、黒鉛型材を約30MPaで加圧しながら約400Aのパルス電流(パルス幅2.5ミリ秒のON−OFF直流電流、周期29Hz)を通電した。
パルス電流の通電開始30分後に300℃に到達した。この温度で1分間保持した後、電流の通電と加圧を停止し、自然放冷させた。室温に冷却後、LiCoO/HDAB複合粉末(焼結体)を型材から取り出した。これにより、電極用粉末を得た。
複合粉末は黒色であり、X線回折パターンは、実施例1と同様のパターンが得られたが、見積もられた格子定数は、a=2.81478(3)Å、c=14.0501(2)Åと、通電処理前及び実施例1のLiCoOの値に比べて大きく、還元が進行していることが分かった。これは、実施例1に比べ、還元性のより強い黒鉛型材を用いたため、通電処理中に電極活物質が強く還元されたためと考えられる。
≪充放電試験≫
上記電極用粉末をリチウム二次電池の正極材料とした以外は実施例1と同様にして充放電試験を行った。
結果は図1及び図2に示す通り、0.2Cで約133mAh/g、3.93V、99.2%の放電容量、平均電圧、容量維持率を示し、実施例1と同等の充放電特性であったが、1Cにおいては約124mAh/g、3.81V、97.3%と実施例1に比べいずれも低い値であった。特に高電流密度で平均電圧、容量維持率が低かったことは、正極活物質LiCoOとHDAB粉末との接合強度が不十分であることを示しており、これは、
黒鉛型材を用いて約30MPa程度しか加圧しなかったことによるものと考えられる。
以上より、60MPa未満の加圧条件では、LiCoO/HDAB複合粉末を作製しても、電極活物質の還元を抑制しながら両者の接合を強化することはできず、高電流密度で高エネルギー密度を示し、優れた充放電特性を有するリチウム二次電池を作製することは困難であることが分かった。
比較例2
≪電極用粉末の調製≫
AB粉末とLiCoOとを1:9の重量比で混合して電極用粉末を調製した。
≪充放電試験≫
上記電極用粉末をリチウム二次電池の正極材料とした以外は実施例1と同様にして充放電試験を行った。
結果は図1及び図2に示す通り、0.2Cで約133mAh/g、3.92V、98.9%の放電容量、平均電圧、容量維持率を示し、実施例1とほぼ同等の充放電特性であったが、1Cにおいては約121mAh/g、3.78V、97.3%と実施例1に比べていずれも低い値であった。特に高電流密度で平均電圧、容量維持率が低かったことは、正極活物質LiCoOと炭素との接合強度が殆どないことを示している。
以上より、LiCoOとAB粉末を混合しただけでは両者の接合はほとんど形成されておらず、高電流密度で高エネルギー密度を示し、優れた充放電特性を有するリチウム二次電池を作製することは困難であることが分かった。

Claims (12)

  1. 電極活物質どうしが導電材を介して接合している構造を有する電極用複合粉末であって、電極活物質と導電材とを含有する原料混合物を、導電性を有する型に充填し、150MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電して前記原料混合物を焼結させることにより得られる、リチウム二次電池の電極用複合粉末。
  2. 前記導電性を有する型は、タングステンカーバイドを含有する、請求項1に記載の電極用複合粉末。
  3. 前記原料混合物に含まれる前記導電材は、タップ密度が0.15g/cm以上の高密度炭素の粉末である、請求項1又は2に記載の電極用複合粉末。
  4. 前記高密度炭素は、高密度アセチレンブラックである、請求項に記載の電極用複合粉末。
  5. 前記高密度アセチレンブラックは、加圧下において直流パルス電流を通電してアセチレンブラック粉末を焼結させることにより得られる、請求項に記載の電極用複合粉末。
  6. 前記電極活物質は、1)オリビン型構造の含リチウム化合物、2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物、及び3)スピネル型構造の含リチウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種の正極活物質である、請求項1〜のいずれかに記載の電極用複合粉末。
  7. 前記電極活物質は、リン酸鉄リチウム;コバルト、マンガン及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を固溶したリン酸鉄リチウム;リン酸コバルトリチウム;マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸コバルトリチウム;リン酸マンガンリチウム;ニッケルを固溶したリン酸マンガンリチウム;リン酸ニッケルリチウム;ニッケル酸リチウム;コバルト及びアルミニウムの少なくとも1種を固溶したニッケル酸リチウム;コバルト酸リチウム;鉄酸リチウム;チタン、マンガンの少なくとも1種を固溶した鉄酸リチウム;チタン酸リチウム;マンガン酸リチウム;及びクロムを固溶したマンガン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種の正極活物質である、請求項1〜のいずれかに記載の電極用複合粉末。
  8. 前記電極活物質は、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−インジウム合金からなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質である、請求項1〜のいずれかに記載の電極用複合粉末。
  9. 前記電極用複合粉末が、リチウム二次電池の正極材料に用いる電極用複合粉末である、請求項1〜8のいずれかに記載の電極用複合粉末。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の電極用複合粉末を含有する電極を備えた、リチウム二次電池。
  11. 電極活物質どうしが導電材を介して接合している構造を有する、リチウム二次電池の電極用複合粉末の製造方法であって、電極活物質と導電材とを含有する原料混合物を、導電性を有する型に充填し、150MPa以上の加圧下において直流パルス電流を通電することによって前記原料混合物を焼結させる工程を有する、製造方法。
  12. 前記電極用複合粉末が、リチウム二次電池の正極材料に用いる電極用複合粉末である、請求項11に記載の製造方法。
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