JP2018073842A - リチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】低内部抵抗、ピンホールや粉落ちが発生し難い、漏れ電流が少ないといった性能を兼ね備えたリチウムイオン電池用セパレータを提供する。【解決手段】少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、無機粒子の形状が不定形で、平板状であり、その外縁の一部に凹みのあるリチウムイオン電池用セパレータ。【選択図】図4
Description
本発明はリチウムイオン電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)に関する。
電気化学素子のひとつであるリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いという特徴を有する二次電池である。携帯電話、携帯型音楽プレーヤー、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯型電気機器の電源として広く利用されている。また、電気自転車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の大型機器にも、リチウムイオン電池を利用する動きが広がっている。そのため、リチウムイオン電池には高容量化、大電流での充放電特性といった性能が求められている。しかし、リチウムイオン電池は非水系電池であるため、水系電池と比較して、発煙、発火、破裂等の危険性が高いことが知られており、安全性の向上も要求されている。
リチウムイオン電池では、外熱による温度上昇、過充電、内部短絡、外部短絡等によって発煙等の危険性が高まる。これらは、外部保護回路によってある程度防ぐことが可能である。また、リチウムイオン電池用セパレータとして使用されているポリオレフィン系樹脂の多孔質フィルムが120℃付近で溶融し、孔が閉塞して電流やイオンの流れを遮断することによって、電池の温度上昇が抑制される。これは、シャットダウン機能と呼ばれている。しかし、外熱によって温度が上昇した場合や温度上昇によって電池内部で化学反応が起きた場合には、シャットダウン機能が働いても電池温度はさらに上昇する。そして、電池温度が150℃以上にまで達すると、多孔質フィルムが収縮して内部短絡が起こり、発火等が起きることがあった。
このように、セパレータのシャットダウン機能では電池の発火を抑制することができ難くなっている。また、電池の高容量化に伴って充放電における大電流化も進んでおり、その際に発生するジュール熱を抑制するために、電解液を含浸したセパレータの抵抗値そのものを下げることも必要になっている。そのため、ポリオレフィン系樹脂の多孔質フィルムよりも熱収縮温度を上げることによって、内部短絡を起こり難くして電池の発火を抑制すると共に、抵抗値を下げることを目的として、金属酸化物粒子を用いたセパレータが開発されている。このセパレータでは、金属酸化物粒子によって細孔径をコントロールし、内部短絡の抑制、耐熱性の向上、抵抗値の低下が可能となっている。
例えば、無機粒子である擬似ベーマイトとバインダーとを混合し、別に準備したフィルム上にコーティング後に乾燥及び剥離することによって、多孔質フィルムとして得られた微細多孔擬似ベーマイト層を有するセパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このセパレータは、熱収縮温度は向上しているものの、粉落ちやひび割れが起こり易いために、巻き取り状のセパレータとして単独で取り出すのが難しく、電池製造時のハンドリング性が悪いという問題があった。
また、不織布上及び不織布中に多孔性の無機被覆を有し、該無機被覆が、無機粒子であるアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び/又はジルコニウム(Zr)の酸化物粒子を有しているセパレータが提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。このセパレータは、基材として不織布を利用しているため、ハンドリング性が向上している。しかし、ゾルゲル法によって生成するシリカ粒子によって他の無機粒子を目止めしているために、衝撃や変形による粉落ちやひび割れが発生し易く、これがピンホールの生成につながって、微小な内部短絡に起因する漏れ電流の原因となり、有用なセパレータとはいい難かった。
不織布上及び不織布中に、無機粒子と有機バインダーを含有してなる多孔質体を設けたセパレータも提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。特許文献4では、無機粒子として、平板状のベーマイト粒子が提案されている。しかし、平板状のベーマイト粒子を用いた場合、漏れ電流の抑制効果は向上するものの、平板状の無機粒子がセパレータの細孔を塞ぐため、リチウムイオンの通過を妨げ、内部抵抗が上昇するといった問題があった。
また、特許文献5では、無機粒子として、一次粒子の連なった二次粒子構造を有するベーマイト粒子が提案されている。リチウムイオン電池において、より小さな電池体積により多くのエネルギーを貯蔵するためには、発電に直接寄与しないセパレータ等の部材はできる限り薄型化することが好ましい。しかし、このような無機粒子を基材上に塗工したセパレータにおいては、該無機粒子の分散状態や塗工方式によっては、ピンホールが発生する場合があり、セパレータを薄くした場合に、正極材料と負極材料の間の絶縁を十分に保つことができず、漏れ電流が増大する場合があった。
また、不織布上及び不織布中に、無機粒子と有機バインダーを含有してなる多孔質体を設けたセパレータにおいて、多孔質体の付与量(以下、「塗工量」と略記する場合がある)が少ない場合には、漏れ電流の小さな電池が得られないという問題があり、塗工量が多い場合には、厚みが薄くて内部抵抗の低いセパレータが得られないという問題がある。この問題を解決するため、細孔径の異なる2つの塗層を積層してなるセパレータが提案されているが(例えば、特許文献6参照)、漏れ電流と内部抵抗を高い水準で両立しているものではなかった。
本発明の課題は、少なくとも無機粒子を含有してなる耐熱性の高いリチウムイオン電池用セパレータにおいて、低内部抵抗、ピンホールや粉落ちが発生し難い、漏れ電流が少ないといった性能を兼ね備えたリチウムイオン電池用セパレータを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記発明を見出した。
(1)少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、該無機粒子の形状が不定形であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
(2)無機粒子が凹みのある形状を有する(1)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(2)無機粒子が凹みのある形状を有する(1)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(3)無機粒子がアルミナ水和物である(1)又は(2)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(4)少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、無機粒子が、その20質量%水分散物のpHが7.0以上8.3以下であり、該水分散物の粘度が50mPa・s以上2000mPa・s以下であるアルミナ水和物であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
(5)不織布基材を含有してなる(1)〜(4)のいずれか記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(6)少なくとも片面に、不織布基材の繊維が露出してなる(5)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(6)少なくとも片面に、不織布基材の繊維が露出してなる(5)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(7)不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されており、不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されており、反対面には不織布基材の繊維が露出してなることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
本発明では、少なくとも無機粒子を含有してなる耐熱性の高いリチウムイオン電池用セパレータにおいて、低内部抵抗、ピンホールや粉落ちが発生し難い、漏れ電流が少ないといった性能を兼ね備えたリチウムイオン電池用セパレータを提供することができる。
少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、該無機粒子の形状が不定形であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータにより、ピンホール及び粉落ちが少ないという効果を達成することができる。
また、無機粒子が凹みのある形状を有することにより、無機粒子で充填された状態でも、凹みにより、空隙が形成されやすくなるため、漏れ電流が少なく、かつ内部抵抗が低いという効果を達成することができる。
無機粒子がアルミナ水和物であることにより、セパレータの耐熱性が高くなり、かつこれを用いた電池の寿命も長くなるという効果を達成することができる。
少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、無機粒子が、その20質量%水分散物のpHが7.0以上8.3以下であり、該水分散物の粘度が50mPa・s以上2000mPa・s以下であるアルミナ水和物であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータにより、ピンホールが少ないという効果を達成することができる。
また、少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、さらに不織布基材を含有してなることにより、ハンドリング性に優れ、性能が均一で、引っ張り強度が高いセパレータが得られるという効果を達成することができる。
また、不織布基材を含有してなるセパレータの少なくとも片面において、不織布基材の繊維が露出してなることにより、漏れ電流が小さいという効果を達成することができる。
また、不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されており、不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されており、反対面には不織布基材の繊維が露出してなることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータによって、漏れ電流が小さく、厚みが薄く、かつ内部抵抗が低いという効果を達成することができる。
本発明のセパレータは、少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータである。多孔質体は、少なくとも無機粒子を多数集合させたものである。例えば、無機粒子のみが多数集合されてなる多孔質体、無機バインダー、有機バインダー等から選ばれる少なくとも一種と共に無機粒子が多数集合されてなる多孔質体等が挙げられる。本発明において、「少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体」とは、「空隙以外の部分の70体積%以上が無機粒子から構成されている多孔質体」を言う。
本発明のセパレータ(1)では、無機粒子の形状が不定形であることを特徴としている。図1は、形状が不定形である無機粒子のSEM写真である。図2及び図3は、定形の無機粒子のSEM写真である。図2は菱形柱状の無機粒子であり、図3はキューブ状の無機粒子である。図1は、平板状の粒子であるが、各粒子の形状が均一ではなく、不定形である。無機粒子の形状が不定形であることによって、多孔質体中で無機粒子がランダムな状態でありながら、密に充填され、複雑な配置となるため、粉落ちが防止され、ピンホールが抑制される。そして、低い漏れ電流を実現することができる。
不定形である無機粒子を作製する方法は、特に制限はない。例えば、無機粒子の結晶を成長させる段階で成長条件を操作することにより不定形とする方法、無機粒子を砕いて形成する方法が挙げられる。
本発明のセパレータ(2)のように、形状が不定形である無機粒子が凹みのある形状を有していることが好ましい。図4は、凹みのある形状を有する無機粒子のSEM写真である。図2、図3、図5及び図6は、凹みのない形状を有する無機粒子のSEM写真である。図5は不定形の平板状無機粒子である。図6は、定形の円柱状無機粒子である。図2は定形の菱形柱状の無機粒子である。図3は定形のキューブ状の無機粒子である。図4は、図5と同様に、不定形の平板状無機粒子であるが、その外縁の一部に凹みを有している(白色矢印部分)。この凹みが存在することによって、多孔質体中で無機粒子が密に充填された場合でも、空隙が形成される。密に充填されることで、漏れ電流を抑制することができ、凹みによる空隙の形成によって、内部抵抗を低くすることができる。
無機粒子の凹みを形成する方法は、特に制限はない。例えば、無機粒子の結晶を成長させる段階で成長条件を操作することにより凹みを形成させる方法、無機粒子を砕いて形成する方法等が挙げられる。
本発明において、無機粒子としては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ等のアルミナ;ベーマイト等のアルミナ水和物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物;シリカ;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;ケイ酸アルミニウム等の複合酸化物等が挙げられる。特に安定性の点から、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましく用いられる。また、本発明のセパレータ(3)のように、無機粒子がアルミナ水和物であることがより好ましい。アルミナ水和物としては、ギブサイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型、バイヤライト型、ジアスポア型の各種結晶型のものが挙げられる。本発明においては、耐熱性が高く、サイクル寿命の良好な電池が得られる点から、合成ベーマイトであることが好ましい。
本発明のセパレータ(4)は、無機粒子が、その20質量%水分散物のpHが7.0以上8.3以下であり、該水分散物の粘度が50mPa・s以上2000mPa・s以下であるアルミナ水和物であることを特徴としている。該水分散物の粘度は、より好ましくは100mPa・s以上500mPa・s以下である。
無機粒子の20質量%水分散物のpHは、電導率0.5μS/cm以下のイオン交換水を用い、20質量%に調製したアルミナ水和物粒子の水分散物における25℃でガラス電極pH計により測定されるpHである。
無機粒子の20質量%水分散物の粘度とは、JIS−Z8803に準じ、ブルックフィールド粘度計(B型粘度計)を用い、電導率0.5μS/cm以下のイオン交換水を用い、20質量%に調製したアルミナ水和物粒子の水分散物における25℃での測定値を表す。
本発明のセパレータ(4)において、アルミナ水和物としては、ギブサイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型、バイヤライト型、ジアスポア型の各種結晶型のものが挙げられる。本発明においては、耐熱性が高く、サイクル寿命の良好な電池が得られる点から、合成ベーマイトであることが好ましい。また、アルミナ水和物における粒子の形状については、特に制限はなく、略球状、ラグビーボール状、キューブ状などの粒状でもよく、鱗片状や針状、板状などでもよい。また、一次粒子が凝集し二次粒子となったものでも、非凝集粒子でも用いることができる。しかし、粒子の形状が不定形であることが好ましく、凹みのある形状を有することがより好ましい。
本発明において、無機粒子を接着させる目的で、バインダーを多孔質体に含有させてもよい。バインダーとしては、電気化学的に安定かつ非水電解液に対して安定であれば特に制限はなく、無機バインダーを使用してもよいし、有機バインダーを使用してもよい。
無機バインダーとしては、例えば、一般にはシランカップリング剤とも称され、脱水又は脱アルコール反応等を経て、無機酸化物と有機化合物とを化学結合させる、3−グリシジルオキシトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトシキシラン等の有機官能基を有するシリコン化合物と、シリカや酸化ジルコニウム等の無機酸化物ゾルとの混合物が、接着強度や耐熱性に優れるために好ましいが、これに限定されるものではない。
有機バインダーとしては、例えば、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリレート共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリレート共重合体、ポリウレタンなどの樹脂等の非水溶性バインダーが挙げられる。これらの樹脂の一部に、非水電解液への溶解を防止するために架橋構造を導入したものも用いることができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;でんぷん、ゼラチン及びそれらの変性物、カゼイン、アルブミン、アルギン酸及びその塩等の天然高分子等の水溶性バインダーを用いることができる。これらのバインダーは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、SBR、アクリレート共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が特に好ましい。
バインダーの添加量としては、セパレータに必要とされるイオンの透過性を維持する観点から、空隙を除く多孔質体の体積の30体積%未満である必要があり、20体積%未満であることが好ましい。また、多孔質体からの粉落ちを減らす観点からは、3体積%以上であることが好ましい。
本発明のセパレータは、多孔質体単独でセパレータとすることもできるが、セパレータとして必要な強度を持たせる観点からは、多孔質フィルム、織布、不織布、編物等の基材を含有することが好ましい。具体的には、多孔質フィルム上に多孔質体を有するセパレータ、織布、不織布、編物等の繊維状物からなる基材上又は基材内部の空孔内に多孔質体を有するセパレータ等が挙げられる。
多孔質体を形成する方法としては、例えば、剥離性能を有するフィルム等に無機粒子を含有する塗工液を塗工・乾燥した後、剥離して多孔質体を形成する方法、リチウムイオン電池用の正極又は負極上に無機粒子を含有する塗工液を塗工・乾燥して多孔質体を形成する方法、織布、不織布、編物、多孔質フィルム等の基材に無機粒子を含有する塗工液を塗工・乾燥して多孔質体を形成する方法などが挙げられる。
織布、不織布、編物、多孔質フィルム等の基材の構成材料は、電気化学的に安定かつ非水電解液に対して安定であれば特に制限はない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びそれらの誘導体、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどのポリエステル;ポリオレフィン;アクリルポリマー;ポリアセタール;ポリカーボネート;脂肪族ポリケトン、芳香族ポリケトンなどのポリケトン;脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミドなどのポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド;ポリベンゾイミダゾール;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール);ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール);ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。これらの構成材料から2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、融点が高く、また、電池に用いられる電解液への耐性が高いことから、ポリエステル又は芳香族ポリアミドが好ましい。
無機粒子の塗工液を塗工する方法に特に制限はなく、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、含浸コーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、スプレーコーター、ローターダンプニング等を用いた方法が挙げられる。
本発明において、塗工後に乾燥する方法は、特に限定されないが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
上記の方法において、より均一な多孔質体を作製するために、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、ぬれ剤、防腐剤等を適宜使用することができる。
本発明において、セパレータの坪量は10.0〜40.0g/m2が好ましく、15.0〜37.5g/m2がより好ましい。また、セパレータの厚みは10.0〜40.0μmが好ましく、15.0〜35.0μmがより好ましい。セパレータの密度としては0.4〜1.2g/cm3が好ましく、0.6〜1.0g/cm3がより好ましい。
本発明において、多孔質体の量としては、乾燥固形分で、1.0〜20.0g/m2が好ましく、さらに4.0〜17.5g/m2がより好ましい。多孔質体の量が1.0g/m2未満であると、細孔径が大きくなり、ショートが発生するなどして、良好な電池特性が発現しなくなる場合がある。一方、多孔質体の量が20.0g/m2を超えると、セパレータの薄膜化が困難となる場合がある。
本発明において、多孔質体表面の平坦化や厚みをコントロールする目的で、カレンダー処理や熱カレンダー処理により、セパレータの表面を平滑化してもよい。
本発明のセパレータが、多孔質フィルム、織布、不織布、編物等の基材を含有する場合、ハンドリング性に優れていること、性能が均一なセパレータが得られやすいこと、引っ張り強度を高くできることなどの理由から、不織布基材を含有させたセパレータ(5)であることがより好ましい。
不織布基材としては、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、その他の乾式法;湿式法;エレクトロスピニング法などの方法によって製造した不織布基材を使用することができる。
本発明において、不織布基材表面の平坦化や厚みをコントロールする目的で、カレンダー処理や熱カレンダー処理により不織布基材を平滑化してもよい。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータに用いる不織布基材としては、目付が5.0〜20.0g/m2であるのが好ましい。目付が20.0g/m2を超えると、不織布基材だけでセパレータの大半を占めることとなり、多孔質体による効果が得られにくい場合がある。5.0g/m2未満であると、不織布基材としての均一性を得ることが難しい場合がある。不織布基材の目付としては、7.0〜20.0g/m2がより好ましい。なお、目付はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定された方法に基づく坪量を意味する。
本発明のセパレータが不織布基材を含有してなる場合、多孔質体は、不織布基材の表面に独立して存在しても良いし、不織布基材の内部に浸透して不織布基材と混然一体になって存在しても良い。また、多孔質体の一部が不織布基材の内部に浸透し、多孔質体の残りの部分が不織布基材の表面に独立して存在しても良い。
本発明のセパレータが不織布基材を含有してなる場合、好ましくは、少なくともその1面において、不織布基材の繊維が、表面に露出してなるセパレータ(6)であることが好ましい。「不織布基材の繊維が露出してなる」とは、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野の面積の80%以下が多孔質体で被覆されていることを言う。不織布基材の両面が多孔質体によって被覆されている場合、漏れ電流を小さくすることが難しくなる場合がある。このような現象の理由は不明であるが、多孔質体で被覆されている面近傍での細孔径が相対的に小さく、反対面近傍での細孔径が相対的に大きいことが、漏れ電流を抑制する何らかの作用を及ぼすものと推定される。また、不織布基材の繊維が両面の表面に露出しているセパレータでも、多くの場合、両面の露出度合いには差が生じることから、このことによって生じる両面の細孔径差が、漏れ電流を抑制する何らかの作用を及ぼすものと推定される。
図7〜図11は、不織布基材を含有してなるセパレータ(5)の断面構造を示す概念図である。図7の(A)では、不織布基材1の内部に多孔質体3が浸透して、不織布基材1と多孔質体3とが混然一体となって存在している。そして、不織布基材1の両面において、不織布基材1の繊維が露出している。
(B)では、不織布基材1の片面に多孔質体3が独立して存在している。(C)では、多孔質体3の一部が不織布基材1の内部に浸透し、多孔質体3の残りの部分が不織布基材1の片面に独立して存在している。(B)及び(C)では、多孔質体3が独立して存在している面とは反対面では、不織布基材1の繊維が露出している。
図8の(D)では、多孔質体3の一部が不織布基材1の内部全体に浸透し、多孔質体3の残りの部分が不織布基材1の片面に独立して存在している。(D)では、不織布基材1の繊維は露出していない。
図9の(E)では、多孔質体3の一部が不織布基材1の内部全体に浸透し、多孔質体3の残りの部分が不織布基材1の両面に独立して存在している。(F)では、不織布基材1の両面に多孔質体3が独立して存在している。(G)では、多孔質体3の一部が不織布基材1の内部に浸透し、多孔質体3の残りの部分が不織布基材1の両面に独立して存在している。不織布基材1の断面中央部には、多孔質体3が浸透していない領域が存在している。
図10〜図11の(H)〜(M)は、多孔質体3、不織布基材1の他に、別の多孔質体2を含有してなるセパレータである。別の多孔質体2(以下、「多孔質体2」と略記する場合がある)は、セパレータ(1)〜(4)における無機粒子とは異なる無機粒子を主体とする多孔質体である。
(H)では、多孔質体2が不織布基材1の内部に浸透して、不織布基材1と混然一体になって存在している。多孔質体3の一部は不織布基材1の内部に浸透し、多孔質体3の残りの部分が不織布基材1の片面に独立して存在している。(I)では、多孔質体2と多孔質体3の両方が、この順で不織布基材1の片面に独立して存在している。(J)では、多孔質体2の一部が不織布基材1の内部に浸透し、多孔質体2の残りの部分が不織布基材1の片面に独立して存在している。多孔質体3は、不織布基材1の片面において、多孔質体2上に独立して存在している。(H)〜(J)において、多孔質体3が最表面に独立して存在している面とは反対面では、不織布基材1の繊維が露出している。
(K)では、多孔質体3が不織布基材1の内部に浸透して、不織布基材1と混然一体になって存在している。多孔質体2の一部は不織布基材1の内部に浸透し、多孔質体2の残りの部分が不織布基材1の片面に独立して存在している。(L)では、多孔質体3と多孔質体2の両方が、この順で不織布基材1の片面に独立して存在している。(M)では、多孔質体3の一部が不織布基材1の内部に浸透し、多孔質体3の残りの部分が不織布基材1の片面に独立して存在している。多孔質体2は、不織布基材1の片面において、多孔質体3上に独立して存在している。(K)〜(M)において、多孔質体2が最表面に独立して存在している面とは反対面では、不織布基材1の繊維が露出している。
多孔質体3、不織布基材1の他に、別の多孔質体2を含有してなるセパレータにおいて、より好ましい態様である本発明のセパレータ(7)を詳説する。
セパレータ(7)では、不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されており、不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されており、反対面には不織布基材の繊維が露出してなる。セパレータ(7)によって、漏れ電流が小さく、厚みが薄く、かつ内部抵抗が低いという効果を達成することができる。なお、「第1の多孔質体」が「別の多孔質体2」に相当し、「第2の多孔質体」が「多孔質体3」に相当する。
「不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されている」とは、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野の面積の95%以上が第2の多孔質体で被覆されていることを言う。「不織布基材の繊維が露出してなる」とは、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野の面積の80%以下が第1の多孔質体及び第2の多孔質体のいずれかで被覆されていることを言う。
無機粒子の「分散粒子径」は、多孔質体の形成に用いられる塗工液を、レーザー回折型粒度分布計で測定し、その50%値を示す。
第2の多孔質体における無機粒子の分散粒子径は、好ましくは0.80μm未満である。また、細孔径が小さすぎると、低い内部抵抗が得られない可能性があるので、0.10μm以上であることが好ましい。
無機粒子の凝集構造の有無は、走査型電子顕微鏡で観察される無機粒子の対角間距離の中央値が、上記分散粒子径の1/2未満である場合を「凝集構造あり」とし、1/2以上である場合を「凝集構造なし」として判断する。図3は、定形のキューブ状の無機粒子であるが、分散粒子径2.3μmであり、「凝集構造あり」の無機粒子である。図4は、不定形の平板状無機粒子であるが、分散粒子径は0.4μmであり、「凝集構造なし」の無機粒子である。
セパレータ(7)によって達成できる効果を得るためには、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されてなることが必須である。第1の多孔質体及び第2の多孔質体のいずれかを単独で用いた場合、第1の多孔質体及び第2の多孔質体のいずれかが異なる構成のものであった場合、積層の順番が異なるものであった場合、第2の多孔質体により不織布基材の片面が実質的に被覆されていなかった場合、反対面に不織布基材の繊維が露出していなかった場合等では、セパレータ(7)によって達成できる効果を得ることが難しい。以下、この点について詳説する。
不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体のみを設けた場合、漏れ電流を小さくするためには、厚みが10μmを超える第1の多孔質体を設ける必要がある。このため、厚みの薄いセパレータを製造することが難しい。また、不織布基材に、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体のみを設けた場合には、第2の多孔質体にピンホールが生じやすいことから、漏れ電流の小さなセパレータを製造するためには、不織布基材として、例えば微細な繊維を含有せしめる、厚みを厚くするなどにより、ピンホールを生じにくい不織布基材を選択する必要が生じる。そのため、ピンホールの生成しにくさ以外のコスト・強度等の観点から最適な不織布基材を選択することが難しくなる。
不織布基材に、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層された場合、内部抵抗の低いセパレータを製造することが難しい。
不織布基材に、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層された場合は、第1の多孔質体にピンホールが生じやすく、ピンホールの生成しにくさ以外のコスト・強度等の観点から最適な不織布基材を選択することが難しくなる。
第1の多孔質体と第2の多孔質体の界面では、第2の多孔質体の無機粒子が第1の多孔質体の粒子間の空隙に進入する場合がある。不織布基材に、分散粒子径が3.0μmを超え、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層された場合、粒子間の空隙に進入する第2の多孔質体における無機粒子の量が多くなり過ぎて目詰まりし、内部抵抗の低いセパレータを製造することが難しくなる。
不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、分散粒子径が1.0μm以上の無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層された場合、小さな漏れ電流を実現するためには、10.0g/m2を超える塗工量が必要となる場合があり、厚みの薄いセパレータを製造することが難しくなる。不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、凝集構造を有する無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層された場合も、同様に、小さな漏れ電流を実現するためには、10.0g/m2を超える塗工量が必要となる場合があり、厚みの薄いセパレータを製造することが難しくなる。
不織布基材に、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されてなるセパレータでは、第1の多孔質体にピンホールが生じやすく、このピンホールを閉塞して漏れ電流を小さくするために、10.0g/m2を超える塗工量の第2の多孔質体を設ける必要があることから、厚みの薄いセパレータを製造することが難しくなる。
不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されていないセパレータや、反対面において、不織布基材の繊維が露出していないセパレータでは、漏れ電流を小さくすることが難しくなる。このような現象の理由は不明であるが、実質的に第2の多孔質体で被覆されている面近傍での細孔径が相対的に小さく、反対面近傍での細孔径が相対的に大きいことが、漏れ電流を抑制する何らかの作用を及ぼすものと推定される。
セパレータ(7)は、不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体の塗工液と、形状が不定形であり、凹みのある形状を有し、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体の塗工液を、この順に塗工することで製造される。第1の多孔質体の塗工液を塗工後、第1の多孔質体の塗工液を乾燥させてから、第2の多孔質体の塗工液を塗工後、第2の多孔質体の塗工液を乾燥することもできる。また、第1の多孔質体の塗工液を塗工後、第1の多孔質体の塗工液を乾燥させずに第2の多孔質体の塗工液を塗工し、第1の多孔質体の塗工液と第2の多孔質体の塗工液を一緒に乾燥することもできる。第1の多孔質体の塗工液と第2の多孔質体の塗工液が乾燥前に混合した場合、第1の多孔質体が目詰まりし、内部抵抗が高くなることがあるため、第1の多孔質体の塗工液の揮発分を少なくとも部分的には乾燥除去した後に、第2の多孔質体の塗工液を塗工することが好ましい。
セパレータ(7)において、第1の多孔質体及び第2の多孔質体の塗工液を不織布基材に塗工する方法としては、上述した無機粒子の塗工液の塗工方法を用いることができる。より好ましい方法は、グラビアコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ロールコーター等を用いる方法である。特に、第1の多孔質体の塗工液の塗工には、グラビアコーター、ダイコーターを用いる方法が好ましい。これら2つの塗工方式は、塗工液を不織布基材中に浸入させるような動圧を生じにくく、第1の多孔質体にピンホールが生じにくいからである。
セパレータ(7)において、第1の多孔質体の塗工量は、乾燥固形分で、3.0g/m2以上10.0g/m2以下であることが好ましく、4.0g/m2以上8.0g/m2以下であることがより好ましい。第1の多孔質体の塗工量が少なすぎる場合、ピンホールが生じて漏れ電流が大きくなることがある。また、第1の多孔質体の塗工量が多すぎる場合、セパレータの厚みが厚くなり、また内部抵抗も高くなることがある。
セパレータ(7)において、第2の多孔質体の塗工量は、乾燥固形分で、2.0g/m2以上8.0g/m2以下であることが好ましく、3.0g/m2以上6.0g/m2以下であることがより好ましい。第2の多孔質体の塗工量が少なすぎる場合、漏れ電流が大きくなることがある。また、第2の多孔質体の塗工量が多すぎる場合、セパレータの厚みが厚くなり、また内部抵抗も高くなることがある。
セパレータ(7)の厚みは、好ましくは30μm未満であり、より好ましくは25μm未満である。これよりも厚いセパレータについては、セパレータ(7)のような構成でなくても、不織布基材の選択が著しく制限されることなく、漏れ電流の小さいセパレータを製造することができる。
セパレータ(7)に用いる不織布基材は、その直径が3.5μm以下の繊維を50質量%以上含むことが好ましい。これによって、多孔質体にピンホールが生じることをより確実に防止することができる。また、セパレータ(7)に用いる不織布基材の厚みは、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは15μm以上である。これによって、多孔質体にピンホールが生じることをより確実に防止することができる。一方、セパレータ(7)に用いる不織布基材の厚みが厚すぎる場合は、セパレータの厚みが厚くなり過ぎることから、不織布基材の厚みは好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。
以下、本発明の実施例を示す。なお、実施例において、百分率(%)及び部は、断りのない限り、全て質量基準である。()内に部数を示す場合は、液中の不揮発分(固形分)の部数を示す。また、塗工量は乾燥塗工量である。
≪第一の実験≫
<不織布基材1の作製>
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維45部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維15部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40部とを一緒に混合し、パルパーにより水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。円網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式法で抄き上げ、120℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付12.2g/m2の不織布とした。さらに、この不織布を金属ロール−金属ロールからなる1ニップの熱カレンダーを使用して、ロール温度185℃、線圧740N/cm、搬送速度20m/分で加熱処理を実施し、厚み21μmの不織布基材1を作製した。
<不織布基材1の作製>
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維45部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維15部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40部とを一緒に混合し、パルパーにより水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。円網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式法で抄き上げ、120℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付12.2g/m2の不織布とした。さらに、この不織布を金属ロール−金属ロールからなる1ニップの熱カレンダーを使用して、ロール温度185℃、線圧740N/cm、搬送速度20m/分で加熱処理を実施し、厚み21μmの不織布基材1を作製した。
(実施例1)
形状が不定形の無機粒子(図1、アルミナ水和物)を固形分換算で90部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度200mPa・s、エーテル化度0.65)を固形分換算で0.2部をホモジナイザーにて混合、撹拌し、次いでカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度7000mPa・s、エーテル化度0.7)を固形分換算で0.2部を混合、撹拌し、次にスチレンブタジエンゴムのラテックスを固形分換算で6部を混合、撹拌し、さらにイオン交換水を加えて、固形分濃度20%の多孔質体の塗工液を作製した。上記熱カレンダー処理後の不織布基材1に、グラビアコーターにて、乾燥固形分10.2g/m2となるように、不織布基材1の片面にこの塗工液を均一に塗工・乾燥して、厚み25.2μmのセパレータを得た。
形状が不定形の無機粒子(図1、アルミナ水和物)を固形分換算で90部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度200mPa・s、エーテル化度0.65)を固形分換算で0.2部をホモジナイザーにて混合、撹拌し、次いでカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度7000mPa・s、エーテル化度0.7)を固形分換算で0.2部を混合、撹拌し、次にスチレンブタジエンゴムのラテックスを固形分換算で6部を混合、撹拌し、さらにイオン交換水を加えて、固形分濃度20%の多孔質体の塗工液を作製した。上記熱カレンダー処理後の不織布基材1に、グラビアコーターにて、乾燥固形分10.2g/m2となるように、不織布基材1の片面にこの塗工液を均一に塗工・乾燥して、厚み25.2μmのセパレータを得た。
(比較例1)
無機粒子として、定形の菱形柱状の無機粒子(図2、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.6g/m2、厚み25.8μmのセパレータを得た。
無機粒子として、定形の菱形柱状の無機粒子(図2、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.6g/m2、厚み25.8μmのセパレータを得た。
(比較例2)
無機粒子として、定形のキューブ状の無機粒子(図3、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.1g/m2、厚み25.2μmのセパレータを得た。
無機粒子として、定形のキューブ状の無機粒子(図3、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.1g/m2、厚み25.2μmのセパレータを得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られたセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られたセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
[粉落ち評価]
作製したセパレータについて、50mm幅×200mmの短冊状に切り、上端をテープにて固定し、その上を50gの重りを載せた黒色の布を滑らせて、その時の黒色の布及びセパレータについて目視にて確認し、次の度合いで評価した。
作製したセパレータについて、50mm幅×200mmの短冊状に切り、上端をテープにて固定し、その上を50gの重りを載せた黒色の布を滑らせて、その時の黒色の布及びセパレータについて目視にて確認し、次の度合いで評価した。
○:黒色の布への多孔質体の付着及び多孔質体に剥がれも見られない。
×:黒色の布の表面に多孔質体がついており、多孔質体に剥がれが見られる。
×:黒色の布の表面に多孔質体がついており、多孔質体に剥がれが見られる。
[ピンホール評価]
作製したセパレータについて、透過光を用いて、10cm×10cmのセパレータにおけるピンホールの発生状況を目視で確認し、次の度合いで評価した。
作製したセパレータについて、透過光を用いて、10cm×10cmのセパレータにおけるピンホールの発生状況を目視で確認し、次の度合いで評価した。
○:全く透過光が観察されず、ピンホールの発生は見られない。
×:ピンホールの発生もしくはムラが見られる。
×:ピンホールの発生もしくはムラが見られる。
実施例1は、少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるセパレータにおいて、該無機粒子の形状が不定形であるため、ピンホール評価及び粉落ち評価ともに、良好な結果が得られた。比較例1及び2では、無機粒子が不定形ではないため、ピンホール評価又は粉落ち評価において、悪い結果となった。
≪第二の実験≫(実施例2)
無機粒子として、形状が不定形で、平板状で、凹みを有する無機粒子(図4、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様に塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.2g/m2、厚み25.2μmのセパレータを得た。
無機粒子として、形状が不定形で、平板状で、凹みを有する無機粒子(図4、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様に塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.2g/m2、厚み25.2μmのセパレータを得た。
(実施例3)
無機粒子として、形状が不定形で、平板状で、凹みがない無機粒子(図5、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.5g/m2、厚み26.0μmのセパレータを得た。
無機粒子として、形状が不定形で、平板状で、凹みがない無機粒子(図5、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.5g/m2、厚み26.0μmのセパレータを得た。
(比較例3)
無機粒子として、定形の円柱状の無機粒子(図6、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.2g/m2、厚み25.4μmのセパレータを得た。
無機粒子として、定形の円柱状の無機粒子(図6、アルミナ水和物)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.2g/m2、厚み25.4μmのセパレータを得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られたセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表2に示した。
実施例及び比較例で得られたセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表2に示した。
[リチウムイオン二次電池の作製]
正極活物質としてマンガン酸リチウム、負極活物質として人造黒鉛、電極液としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の炭酸エチレン/炭酸ジエチル/炭酸ジメチル混合溶媒(体積比1/1/1)溶液(1mol/L)、セパレータとして上記作製した各セパレータを用い、セパレータの塗工面を負極活物質側になるようにして、設計容量30mAhのパウチ型リチウムイオン電池を組み立てた。
正極活物質としてマンガン酸リチウム、負極活物質として人造黒鉛、電極液としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の炭酸エチレン/炭酸ジエチル/炭酸ジメチル混合溶媒(体積比1/1/1)溶液(1mol/L)、セパレータとして上記作製した各セパレータを用い、セパレータの塗工面を負極活物質側になるようにして、設計容量30mAhのパウチ型リチウムイオン電池を組み立てた。
[漏れ電流評価]
上記作製した各リチウムイオン二次電池を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)を行った時の充電容量を計測し、設計容量との比を計算して次の度合いで評価した。
上記作製した各リチウムイオン二次電池を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)を行った時の充電容量を計測し、設計容量との比を計算して次の度合いで評価した。
○:設計容量の125%未満
△:設計容量の125以上150%以下
×:設計容量の150%より多い
△:設計容量の125以上150%以下
×:設計容量の150%より多い
[内部抵抗評価]
上記作製した各リチウムイオン二次電池を用い、1Cで3サイクルのエイジング(慣らし充放電)を行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)を行い、次に0.2C及び1Cにて放電を行い、下記の式(1)から内部抵抗値(Ω)を算出した。
上記作製した各リチウムイオン二次電池を用い、1Cで3サイクルのエイジング(慣らし充放電)を行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)を行い、次に0.2C及び1Cにて放電を行い、下記の式(1)から内部抵抗値(Ω)を算出した。
式(1) 内部抵抗値(Ω)=(A−B)/C
A=0.2Cで放電し、1Cでの放電容量の9割の容量になる電圧
B=1Cで放電し、1Cでの放電容量の9割の容量になる電圧
C=(0.2Cの電流値)−(1Cの電流値)
B=1Cで放電し、1Cでの放電容量の9割の容量になる電圧
C=(0.2Cの電流値)−(1Cの電流値)
実施例2のセパレータは、少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなり、該無機粒子が、不定形で凹みのある形状を有するため、漏れ電流及び内部抵抗の評価ともに、良好な結果が得られた。
実施例3のセパレータは、形状が不定形であるが、凹みがない無機粒子であるため、実施例2のセパレータと比較すると、内部抵抗が上昇する傾向が見られたが、漏れ電流の評価では良好な結果が得られた。比較例1〜3では、無機粒子は定形で凹みのない形状を有しているため、漏れ電流の評価において悪化する傾向が見られた。また、内部抵抗の評価でも、比較例1及び3のセパレータでは、実施例2のセパレータと比較して、内部抵抗値が高かった。
≪第3の実験≫
<不織布基材2の作製>
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維45部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維15部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40部とを一緒に混合し、パルパーにより水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。円網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式法で抄き上げ、120℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付15.2g/m2の不織布とした。さらに、この不織布を金属ロール−金属ロールからなる1ニップの熱カレンダーを使用して、ロール温度185℃、線圧740N/cm、搬送速度20m/分で加熱処理を実施し、厚み27μmの不織布基材2を作製した。
<不織布基材2の作製>
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維45部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維15部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40部とを一緒に混合し、パルパーにより水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。円網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式法で抄き上げ、120℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付15.2g/m2の不織布とした。さらに、この不織布を金属ロール−金属ロールからなる1ニップの熱カレンダーを使用して、ロール温度185℃、線圧740N/cm、搬送速度20m/分で加熱処理を実施し、厚み27μmの不織布基材2を作製した。
(実施例4)
無機粒子として、pH7.8、粘度348mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、ナバルテック(Nabaltec)社製、商品名:APYRAL(登録商標)−AOH100XP)を固形分換算で90部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度200mPa・s、エーテル化度0.65)を固形分換算で0.2部をホモジナイザーにて混合、撹拌し、次いでカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度7000mPa・s、エーテル化度0.7)を固形分換算で0.2部を混合、撹拌し、次にスチレンブタジエンゴムのラテックスを固形分換算で9部を混合、撹拌し、さらにイオン交換水を加えて、固形分濃度20%の塗工液を作製した。上記熱カレンダー処理後の不織布基材2の片面に、グラビアコーターにて、多孔質体の乾燥固形分が10.2g/m2となるように、この塗工液を均一に塗工・乾燥して、厚み30.2μmのセパレータを得た。
無機粒子として、pH7.8、粘度348mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、ナバルテック(Nabaltec)社製、商品名:APYRAL(登録商標)−AOH100XP)を固形分換算で90部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度200mPa・s、エーテル化度0.65)を固形分換算で0.2部をホモジナイザーにて混合、撹拌し、次いでカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液B粘度7000mPa・s、エーテル化度0.7)を固形分換算で0.2部を混合、撹拌し、次にスチレンブタジエンゴムのラテックスを固形分換算で9部を混合、撹拌し、さらにイオン交換水を加えて、固形分濃度20%の塗工液を作製した。上記熱カレンダー処理後の不織布基材2の片面に、グラビアコーターにて、多孔質体の乾燥固形分が10.2g/m2となるように、この塗工液を均一に塗工・乾燥して、厚み30.2μmのセパレータを得た。
(比較例4)
無機粒子として、pH8.4、粘度2750mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、ナバルテック社製、商品名:ACTILOX(登録商標)−200SM)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.7g/m2、厚み31.2μmのセパレータを得た。
無機粒子として、pH8.4、粘度2750mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、ナバルテック社製、商品名:ACTILOX(登録商標)−200SM)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.7g/m2、厚み31.2μmのセパレータを得た。
(比較例5)
無機粒子として、pH7.9、粘度6mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、ナバルテック社製、商品名:APYRAL(登録商標)−AOH60)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.5g/m2、厚み31.0μmのセパレータを得た。
無機粒子として、pH7.9、粘度6mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、ナバルテック社製、商品名:APYRAL(登録商標)−AOH60)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.5g/m2、厚み31.0μmのセパレータを得た。
(比較例6)
無機粒子として、pH8.4、粘度47mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、大明化学工業社製、商品名:C20)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.1g/m2、厚み30.7μmのセパレータを得た。
無機粒子として、pH8.4、粘度47mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、大明化学工業社製、商品名:C20)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.1g/m2、厚み30.7μmのセパレータを得た。
(比較例7)
無機粒子として、pH9.3、粘度1720mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、大明化学工業社製、商品名:C06)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体2の乾燥固形分10.4g/m2、厚み31.0μmのセパレータを得た。
無機粒子として、pH9.3、粘度1720mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、大明化学工業社製、商品名:C06)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体2の乾燥固形分10.4g/m2、厚み31.0μmのセパレータを得た。
(比較例8)
無機粒子として、pH4.0、粘度9mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、サソール(SASOL)社製、商品名:DISPERAL(登録商標)−8F4)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.7g/m2、厚み31.2μmのセパレータを得た。
無機粒子として、pH4.0、粘度9mPa・sのアルミナ水和物(ベーマイト、サソール(SASOL)社製、商品名:DISPERAL(登録商標)−8F4)を用いた以外は、実施例4と同様にして、塗工液を調製、塗工・乾燥し、多孔質体の乾燥固形分10.7g/m2、厚み31.2μmのセパレータを得た。
<評価>
実施例及び比較例で作製したセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。
実施例及び比較例で作製したセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。
[ピンホール評価]
作製したセパレータのピンホールの状態について、透過光を用いて、A4サイズ1枚を目視にて確認し、次の度合いで評価した。
作製したセパレータのピンホールの状態について、透過光を用いて、A4サイズ1枚を目視にて確認し、次の度合いで評価した。
○:目視でのピンホールの発生は見られない。
△:うっすらと透過光が観察される部分が存在する。
×:明らかに透過光が多数観察される。
△:うっすらと透過光が観察される部分が存在する。
×:明らかに透過光が多数観察される。
実施例4のセパレータでは、無機粒子がその20質量%水分散物のpHが7.0以上8.3以下であり、粘度が50mPa・s以上2000mPa・s以下であるアルミナ水和物であるため、ピンホールが少ないという良好な結果が得られた。
水分散物のpHが8.3を超え、粘度も2000mPa・sを超える比較例4のセパレータ、粘度が50mPa・s未満である比較例5及び6のセパレータでは、ピンホールが実施例4のセパレータよりも多かった。また、pHが8.3を大きく超える比較例7のセパレータ、pHが7.0を大きく下回り、粘度も50mPa・s未満である比較例8のセパレータでは、ピンホールが著しく増加した。
≪第4の実験≫
<不織布基材3の作製>
繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維60部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、円網型抄紙機にて、湿式法で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維同士の交点及びバインダー用PET系短繊維と配向結晶化PET系短繊維の交点を接着させて不織布強度を発現させ、目付11g/m2の不織布を得た。さらに、この不織布を、誘導加熱ロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、厚み15μmの不織布基材3を作製した。
<不織布基材3の作製>
繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維60部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、円網型抄紙機にて、湿式法で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維同士の交点及びバインダー用PET系短繊維と配向結晶化PET系短繊維の交点を接着させて不織布強度を発現させ、目付11g/m2の不織布を得た。さらに、この不織布を、誘導加熱ロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、厚み15μmの不織布基材3を作製した。
<第1の多孔質体の塗工液(第1塗工液)の調製>
無機粒子として、分散粒子径2.3μm、比表面積3m2/gのアルミナ水和物100部を、1%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液(0.4部)に混合して十分撹拌した。次いで、1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液(0.3部)及び、バインダーとして、ガラス転移点−18℃、分散粒子径0.2μmのアクリル酸エステル樹脂エマルション(固形分濃度50%)(6部)を混合して撹拌し、第1の多孔質体の塗工液を作製した。
無機粒子として、分散粒子径2.3μm、比表面積3m2/gのアルミナ水和物100部を、1%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液(0.4部)に混合して十分撹拌した。次いで、1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液(0.3部)及び、バインダーとして、ガラス転移点−18℃、分散粒子径0.2μmのアクリル酸エステル樹脂エマルション(固形分濃度50%)(6部)を混合して撹拌し、第1の多孔質体の塗工液を作製した。
なお、図3は、使用したアルミナ水和物の走査型電子顕微鏡写真である。この走査型電子顕微鏡写真で観察される無機粒子の対角間距離の中央値は、上記分散粒子径の1/2よりも明らかに小さく、このアルミナ水和物は「凝集構造を有する」と判断される。表4には、無機粒子が「凝集構造を有する」場合、「凝集」と記した。
<第2の多孔質体の塗工液(第2塗工液)の調製>
無機粒子として、形状が不定形で、凹みを有し、分散粒子径0.4μm、比表面積11m2/gのアルミナ水和物100部を、1%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液(0.4部)に混合して十分撹拌した。次いで、1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液(0.3部)、バインダーとして、ガラス転移点−18℃、不揮発分濃度50%・分散粒子径0.2μmのアクリル酸エステル樹脂エマルション(6部)を混合して撹拌し、第2の多孔質体の塗工液を作製した。
無機粒子として、形状が不定形で、凹みを有し、分散粒子径0.4μm、比表面積11m2/gのアルミナ水和物100部を、1%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液(0.4部)に混合して十分撹拌した。次いで、1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液(0.3部)、バインダーとして、ガラス転移点−18℃、不揮発分濃度50%・分散粒子径0.2μmのアクリル酸エステル樹脂エマルション(6部)を混合して撹拌し、第2の多孔質体の塗工液を作製した。
なお、図4は、使用したアルミナ水和物の走査型電子顕微鏡写真である。この走査型電子顕微鏡写真で観察される無機粒子の対角間距離の中央値は、上記分散粒子径の1/2よりも明らかに大きく、このアルミナ水和物は「凝集構造を有さない」と判断される。表4には、無機粒子が「凝集構造を有さない」場合、「非凝集」と記した。
(実施例5)
キスリバース方式のグラビアコーターを用い、前記の不織布基材3上に、第1塗工液を塗工量が6.0g/m2となるように塗工し、熱風乾燥機で乾燥して、第1の多孔質体を形成した。次いで、キスリバース方式のグラビアコーターを用い、第1多孔質体の表面に、第2塗工液を塗工量が4.0g/m2となるように塗工し、熱風乾燥機で乾燥して、厚み(マイクロメーターで測定)22μmのセパレータを作製した。
キスリバース方式のグラビアコーターを用い、前記の不織布基材3上に、第1塗工液を塗工量が6.0g/m2となるように塗工し、熱風乾燥機で乾燥して、第1の多孔質体を形成した。次いで、キスリバース方式のグラビアコーターを用い、第1多孔質体の表面に、第2塗工液を塗工量が4.0g/m2となるように塗工し、熱風乾燥機で乾燥して、厚み(マイクロメーターで測定)22μmのセパレータを作製した。
(実施例6〜9、比較例9〜18)
第1塗工液及び第2塗工液の無機粒子の凝集構造、分散粒子径、各多孔質体の塗工量を表1のように変更した以外は、実施例5と同様にして、セパレータを作製した。表4には、各セパレータの厚みも示す。
第1塗工液及び第2塗工液の無機粒子の凝集構造、分散粒子径、各多孔質体の塗工量を表1のように変更した以外は、実施例5と同様にして、セパレータを作製した。表4には、各セパレータの厚みも示す。
(比較例19)
グラビアコーターの代わりにスクイズコーターを用いて第1塗工液、第2塗工液の塗工を行った以外は、実施例5と同様にして、厚み20μmのセパレータを作製した。
グラビアコーターの代わりにスクイズコーターを用いて第1塗工液、第2塗工液の塗工を行った以外は、実施例5と同様にして、厚み20μmのセパレータを作製した。
(比較例20)
実施例5のセパレータの第2塗工液が塗工された面と反対面に、もう1回第2塗工液を塗工量が6.0g/m2となるように塗工して第3の多孔質体を形成した以外は、実施例5と同様にして、厚み32μmのセパレータを作製した。
実施例5のセパレータの第2塗工液が塗工された面と反対面に、もう1回第2塗工液を塗工量が6.0g/m2となるように塗工して第3の多孔質体を形成した以外は、実施例5と同様にして、厚み32μmのセパレータを作製した。
(比較例21)
実施例5のセパレータの第2塗工液が塗工された面と反対面に、もう1回第1塗工液を塗工量が6.0g/m2となるように塗工して第3の多孔質体を形成した以外は、実施例5と同様にして、厚み32μmのセパレータを作製した。
実施例5のセパレータの第2塗工液が塗工された面と反対面に、もう1回第1塗工液を塗工量が6.0g/m2となるように塗工して第3の多孔質体を形成した以外は、実施例5と同様にして、厚み32μmのセパレータを作製した。
<評価>
[顕微鏡観察]
作製した各セパレータの表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例5〜9、比較例9〜18のセパレータについては、不織布基材の片面が第2の多孔質体で被覆されており、反対面には不織布基材の繊維が露出していた。比較例19のセパレータについては、いずれの面にも不織布基材の繊維が露出していた。比較例20のセパレータについては、片面が第2の多孔質体で被覆されており、反対面が第3の多孔質体(実施例5の第2塗工液使用)で被覆されており、いずれの面にも不織布基材の繊維は露出していなかった。比較例21のセパレータについては、片面が第2の多孔質体で被覆されており、反対面が第3の多孔質体(実施例5の第1塗工液使用)で被覆されており、いずれの面にも不織布基材の繊維は露出していなかった。
[顕微鏡観察]
作製した各セパレータの表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例5〜9、比較例9〜18のセパレータについては、不織布基材の片面が第2の多孔質体で被覆されており、反対面には不織布基材の繊維が露出していた。比較例19のセパレータについては、いずれの面にも不織布基材の繊維が露出していた。比較例20のセパレータについては、片面が第2の多孔質体で被覆されており、反対面が第3の多孔質体(実施例5の第2塗工液使用)で被覆されており、いずれの面にも不織布基材の繊維は露出していなかった。比較例21のセパレータについては、片面が第2の多孔質体で被覆されており、反対面が第3の多孔質体(実施例5の第1塗工液使用)で被覆されており、いずれの面にも不織布基材の繊維は露出していなかった。
[評価用電池の作製]
正極活物質にマンガン酸リチウム、負極活物質にメソカーボンマイクロビーズ、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の1mol/L炭酸ジエチル/炭酸エチレン(体積比7/3)混合溶媒溶液をそれぞれ用い、セパレータとして上記で作製した各セパレータを第2の多孔質体が負極に対向するようにして、設計容量30mAhのパウチ型のリチウムイオン電池を作製した。
正極活物質にマンガン酸リチウム、負極活物質にメソカーボンマイクロビーズ、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の1mol/L炭酸ジエチル/炭酸エチレン(体積比7/3)混合溶媒溶液をそれぞれ用い、セパレータとして上記で作製した各セパレータを第2の多孔質体が負極に対向するようにして、設計容量30mAhのパウチ型のリチウムイオン電池を作製した。
[漏れ電流の評価]
各評価用電池について、「30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(終止電流3mA)」のシーケンスで初回充電を行った際の充電容量を測定した。各セパレータを、充電容量により下記の3水準に区分した。充電容量が設計容量である30mAhを大幅に超過することは、電池内部で漏れ電流が生じていることを意味する。
各評価用電池について、「30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(終止電流3mA)」のシーケンスで初回充電を行った際の充電容量を測定した。各セパレータを、充電容量により下記の3水準に区分した。充電容量が設計容量である30mAhを大幅に超過することは、電池内部で漏れ電流が生じていることを意味する。
○:初回充電容量35mAh未満
△:初回充電容量35mAh以上40mAh未満
×:初回充電容量40mAh以上
△:初回充電容量35mAh以上40mAh未満
×:初回充電容量40mAh以上
[内部抵抗の評価]
漏れ電流評価後の各評価用電池について、「30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→30mAで定電流放電(終止電圧2.8V)」のシーケンスで、2サイクルのエイジング(慣らし充放電)を行った。次いで「30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)」で充電後、90mAで定電流放電を行った。放電開始480秒後(計算上の残り充電率60%)の電圧Eから、次の式(2)で内部抵抗を求めた。
漏れ電流評価後の各評価用電池について、「30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→30mAで定電流放電(終止電圧2.8V)」のシーケンスで、2サイクルのエイジング(慣らし充放電)を行った。次いで「30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)」で充電後、90mAで定電流放電を行った。放電開始480秒後(計算上の残り充電率60%)の電圧Eから、次の式(2)で内部抵抗を求めた。
式(2) 内部抵抗=(3.88V−E)/90mA
なお、3.88Vは、本評価用電池の残り充電率50%時の電池の開回路電圧であり、セパレータに依存せず、一定な値であることが確認されている。
○:内部抵抗4.0Ω未満
△:内部抵抗4.0Ω以上5.0Ω未満
×:内部抵抗5.0Ω以上
△:内部抵抗4.0Ω以上5.0Ω未満
×:内部抵抗5.0Ω以上
表4に記すように、不織布基材に、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されており、不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されており、反対面には不織布基材の繊維が露出してなる実施例5〜9のセパレータは、漏れ電流が小さく、厚みが薄く、内部抵抗が低い。
これに対し、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする多孔質体のみを積層してなる比較例9のセパレータは漏れ電流が大きかった。また、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする多孔質体を厚くして、積層してなる比較例10のセパレータでは、漏れ電流を抑制することができたが、厚みが厚く、内部抵抗も高かった。形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする多孔質体のみを積層してなる比較例11のセパレータは漏れ電流が大きかった。
第1の多孔質体が凝集構造を有さない無機粒子を主体とする比較例12のセパレータも、漏れ電流が大きかった。第1の多孔質体が、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体としてなる比較例13のセパレータは、内部抵抗が高かった。第1の多孔質体が、分散粒子径が3.0μmを超える凝集構造を有してなる無機粒子を主体としてなる比較例14のセパレータも、内部抵抗が高かった。
第2の多孔質体が凝集構造を有してなる無機粒子を主体としてなる比較例15のセパレータは、漏れ電流が大きかった。凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第2の多孔質体を厚くした比較例16のセパレータは、漏れ電流を抑制することができたが、厚みが厚く、内部抵抗も高かった。
第1の多孔質体が、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体としてなり、第2の多孔質体が、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体としてなる比較例17のセパレータは、漏れ電流が大きかった。第1の多孔質体が、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体としてなり、第2の多孔質体が、分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体としてなり、各多孔質体を厚くした比較例18のセパレータは、漏れ電流を抑制することができたが、厚みが厚く、内部抵抗も高かった。
分散粒子径が1.0μm以上3.0μm以下であり、凝集構造を有してなる無機粒子を主体とする第1の多孔質体と、形状が不定形であり、凹みのある形状であり、分散粒子径が1.0μm未満であり、凝集構造を有さない無機粒子を主体とする第2の多孔質体とが、この順に積層されているが、不織布基材の片面が実質的に第2の多孔質体によって被覆されておらず、セパレータの両面とも繊維が露出している比較例19のセパレータ、セパレータの両面が多孔質体によって被覆されていて、不織布基材の繊維が露出していないセパレータ20及び21では、漏れ電流が大きかった。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、リチウムイオン電池用途に用いられるものであるが、これ以外にも、マンガン乾電池、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、リチウム一次電池、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−亜鉛蓄電池、酸化銀−亜鉛蓄電池、リチウムポリマー電池、各種のゲル電解質電池、亜鉛−空気蓄電池、鉄−空気蓄電池、アルミニウム−空気蓄電池、燃料電池、太陽電池、ナトリウム硫黄電池、ポリアセン電池、電解コンデンサー、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシター等に利用できる。
1 不織布基材
2 別の多孔質体
3 多孔質体
2 別の多孔質体
3 多孔質体
Claims (5)
- 少なくとも無機粒子を主体とする多孔質体を含有してなるリチウムイオン電池用セパレータにおいて、該無機粒子の形状が不定形で、平板状であり、その外縁の一部に凹みのある形状を有することを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
- 無機粒子がアルミナ水和物である請求項1記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
- 無機粒子が、その20質量%水分散物のpHが7.0以上8.3以下であり、該水分散物の粘度が50mPa・s以上2000mPa・s以下であるアルミナ水和物である請求項1又は2記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
- 不織布基材を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
- 少なくとも片面に不織布基材の繊維が露出してなる請求項4記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
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