JP5850687B2 - 電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子 - Google Patents

電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子 Download PDF

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Description

本発明は電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子に関する。
近年、電気機器の小型、軽量化に伴い、その電源である電池に対しても、小型、軽量、かつ、高エネルギー密度化の要望が強い。例えば、リチウムイオン二次電池などエネルギー密度が高い電気化学素子は、このような要望を満足できる電池として期待されている。
その一方で、電気化学素子の外部短絡や電気化学素子を構成する電極間での短絡(内部短絡)等が発生して、電気化学素子へ異常な大電流が流れると電気化学素子が発熱し、電解質溶液の分解が発生するなど電池特性が変化することで、電気化学素子の更なる温度上昇を招き(熱暴走)、可燃性ガスの発生、電気化学素子の破裂や発火を引き起こすおそれがあった。
例えば、リチウムイオン二次電池が150℃以上に加熱された状態になると、電解質溶液の分解が発生して熱暴走へ繋がることが知られている(非特許文献1)。
そのため、電気化学素子には、150℃以上に加熱され熱暴走が発生する前にセパレータを介したイオン透過が阻害あるいは停止される性能(シャットダウン性能)が備わっていることが望まれている。
シャットダウン性能を備える電気化学素子を調製する方法として、低密度エチレン樹脂などの低融点樹脂を含んでなるセパレータ(特許文献1)を用いて電気化学素子を調製する方法が提案されている。
特許文献1の発明に係るセパレータは、電気化学素子が発熱して内部温度が特定温度まで上昇する前に、低融点樹脂が溶融してセパレータの微孔を閉塞することでシャットダウン性能を発揮することができる。
しかし、電気化学素子の小型化や薄膜化、高出力化などを目的として、特許文献1の発明に係るセパレータを薄膜化して調製すると、セパレータの微孔を閉塞しきれなくなり、シャットダウン性能が低下するという問題があった。
また、電気化学素子に急激な発熱が発生した場合には、溶融した低融点樹脂によるセパレータの微孔の閉塞が間に合わず、熱暴走の発生前にシャットダウン性能を発揮することができないことがあるばかりか、セパレータの微孔の閉塞がなされる前に低融点樹脂が完全に溶融した場合にはセパレータの機能が働かなくなり、電極間で短絡を発生させることがあった。
そのため、シャットダウン性能が更に優れる、電気化学素子用セパレータが必要とされている。
Convertech JAPAN / 新機能性材料展 / 環境電池製造展 、テクニカルセミナー2011「環境電池製造展開催記念フォーラム-リチウムイオン二次電池の基礎と要素技術-」配布冊子、第34頁下スライド、2011年2月17日(木)配布、CTI加工技術研究会編纂 特開2004-285509号公報(特許請求の範囲、0007-0008、0013、0025など)
本発明は、シャットダウン性能に優れる電気化学素子用セパレータ、及び、電気化学素子の性能が変化する前に電気的な機能を停止できると共に熱暴走を抑制できる電気化学素子の提供を目的とする。
請求項1に係る発明は、
「融点が150℃未満の樹脂を含んでなる、目付が5〜15g/m の不織布の微孔に、無機粒子が充填され、バインダで接着して担持してなる電気化学素子用セパレータであり、
前記無機粒子の形状は、前記微孔質シートへの担持温度および前記樹脂の融点温度で、走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られる平面画像におけるアスペクト比が1〜1.3の形状であり、前記無機粒子の担持質量が4〜30g/m であることを特徴とする、電気化学素子用セパレータ。」
である。
請求項2に係る発明は、
「請求項1に記載された電気化学素子用セパレータを用いてなる、電気化学素子。」
である。
本発明の請求項1の発明に係る電気化学素子用セパレータは、「融点が150℃未満の樹脂を含んでなる微孔質シートに、無機粒子を担持してなる電気化学素子用セパレータ」であると共に、「前記無機粒子の形状は、前記微孔質シートへの担持温度および前記樹脂の融点温度で、走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られる平面画像におけるアスペクト比が1〜1.3の形状であることを特徴とする」ため、無機粒子は凹凸が少なくなめらかな表面を備える傾向があり、微孔質シートの微孔に無機粒子を担持する時に無機粒子同士および無機粒子と微孔質シートとの接触面積が小さいことから、微孔質シートに無機粒子を担持させる時に微孔へ無機粒子を効率よく充填して担持させることができると共に、電気化学素子が発熱して内部温度が150℃以上の温度となる前に、溶融した樹脂が無機粒子と微孔質シートの間の空隙、あるいは、無機粒子同士の間の空隙を効率よく閉塞することができるため、熱暴走の発生前にセパレータの微孔を閉塞することが容易な、シャットダウン性能に優れる電気化学素子用セパレータである。
本発明の請求項2の発明に係る電気化学素子は、本発明の請求項1の発明に係る電気化学素子用セパレータを用いてなるため、電解質溶液の分解が発生するなど電池特性が変化する前に、電気的な機能を停止して熱暴走を防ぐことのできる電気化学素子である。
実施例1に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 実施例2に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 実施例3に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 実施例4に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 実施例5に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 実施例6に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 比較例1に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 比較例2に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。 比較例3に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。
本発明に係る電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子について説明する。
本発明に係る「融点が150℃未満の樹脂」(以降、低融点樹脂と称する)について説明する。
本発明において「融点」とは、樹脂をJIS K7121に規定されている示差熱分析に供することで得られる、示差熱分析曲線(DTA曲線)における融解ピークの頂点の温度をいう。
低融点樹脂は150℃未満の温度で溶融して変形するという特徴を備えているため、低融点樹脂を含んでなる後述する微孔質シートを用いて調製した電気化学素子用セパレータは、電池が150℃以上の温度となる前に、微孔質シートを構成している低融点樹脂が溶融して、微孔質シートの微孔を閉塞することで、優れたシャットダウン性能を発揮できる。
このような低融点樹脂として、例えば、ポリエチレン樹脂、低融点ポリエステル、変性ポリオレフィン樹脂など、公知の樹脂を使用することができる。
なお、低融点樹脂は、直鎖状ポリマー樹脂または分岐状ポリマー樹脂のいずれを含んでなるものでも構わず、またポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、またポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも良く、特に限定されるものではない。
更には、ポリマー樹脂を混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
融点が低い低融点樹脂を使用することで、電気化学素子の内部温度が上昇する初期段階でシャットダウン性能を発揮でき、更にシャットダウン性能が優れる電気化学素子用セパレータを得ることができる。
そのため、更に熱暴走を防ぎ安定性が向上した電気化学素子を調製しようとする場合には、電気化学素子用セパレータを構成する低融点樹脂として、例えば、融点が140℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が135℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が130℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が120℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が110℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が100℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が90℃以下の低融点樹脂を用いるのが最も好ましい。
また、電気化学素子の内部温度が上昇する以前に電気化学素子がシャットダウンしないように、低融点樹脂として40℃以上の融点を備える樹脂を使用するのが好ましい。電気化学素子用セパレータを構成する低融点樹脂の種類は電気化学素子の種類や用途によって適宜選択するが、低融点樹脂として、例えば、50℃以上の融点を備える樹脂を使用することができ、60℃以上の融点を備える樹脂を使用することができ、70℃以上の融点を備える樹脂を使用することができ、80℃以上の融点を備える樹脂を使用することができる。
本発明に係る「微孔質シート」について説明する。
「微孔質シート」は、表面および内部にイオンが通過可能な微孔を備えたシートを意味しており、例えば、不織布や織物や編物などの布帛、微孔フィルムや発泡体など通気性を備える素材から構成することができる。また、これらの素材は単体で微孔質シートとして使用できるが、複数の素材を積層するなど組み合わせて微孔質シートとして使用することもできる。
微孔質シートは、上述した低融点樹脂のみから構成されていても良いが、電気化学素子が発熱した時に、微孔質シートが完全に溶融してしまい電気化学素子用セパレータがシャットダウン性能を発揮できなくなることを防ぐため、微孔質シートは低融点樹脂が溶融する温度で溶融あるいは消失しない成分(以降、耐熱成分と称する)を含んで構成されているのが好ましい。微孔質シートの質量に占める耐熱成分の質量百分率は、適宜調整することができるが、例えば、5質量%〜50質量%とすることができ、10質量%〜40質量%とすることができ、15質量%〜30質量%とすることができ、20質量%〜25質量%とすることができる。
耐熱成分として、例えば、セルロース、セルロース変成体(カルボキシメチルセルロースなど)、ポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの樹脂(以降、耐熱樹脂と称する)や、ガラス、アルミナ、シリカなどの無機化合物(無機酸化物)などを使用することができる。
なお、耐熱樹脂は、直鎖状ポリマー樹脂または分岐状ポリマー樹脂のいずれを含んでなるものでも構わず、またポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、またポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。
更には、耐熱樹脂はポリマー樹脂を混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
微孔質シートが布帛から構成されている場合、布帛を構成する繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
前記布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を、織るあるいは編むことで微孔質シートを調製することができる。
前記布帛が不織布である場合、不織布として例えば、カード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせて不織布の態様とする乾式不織布、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き不織布の態様とする湿式不織布、直接法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法など)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集してなる不織布などとすることによって、微孔質シートを調製することができる。また、このようにして製造された不織布における繊維の絡合の程度を調整するため、不織布をニードルパンチ装置や水流絡合装置に供することができる。
布帛を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の樹脂成分から構成されてなるものでも構わない。複数種類の樹脂成分を含んでなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用することができる。
微孔質シートが備える微孔の周囲に低融点樹脂が存在することで、微孔の周囲から溶融した低融点樹脂によって微孔が閉塞され易いものとなるように、複合繊維を用いて布帛を構成する場合、表面に低融点樹脂の一部が露出した形状を有する複合繊維を使用して微孔質シートを調製するのが好ましい。
表面に低融点樹脂の一部が露出した形状を有する複合繊維として、例えば、鞘成分が低融点樹脂を含んでなると共に芯成分が耐熱樹脂を含んでなる芯鞘型複合繊維や、海成分が低融点樹脂を含んでなると共に島成分が耐熱樹脂を含んでなる海島型複合繊維を挙げることができる。
また、低融点樹脂を含んでなる繊維と耐熱樹脂を含んでなる繊維を混合して、布帛を調製しても構わない。
このように低融点樹脂を含んでなる布帛を加熱処理へ供することによって、バインダを使用することなく繊維同士が部分的に一体化してなる、微孔質シートを調製することができる。
微孔質シートが微孔フィルムや発泡体である場合、例えば、溶融状態の低融点樹脂を含む樹脂を型に流し込み成型したり、発泡処理するなど、公知の方法へ供することで微孔質シートを調製することができる。
微孔質シートにおける微孔の直径は特に限定されるべきものではないが、微孔が後述する本発明に係る無機粒子によって充填され易いように、微孔の直径は本発明に係る無機粒子の粒子径よりも大きいのが好ましい。また、微孔の直径の上限値は特に限定するものではないが、微孔の直径が大きすぎると、後述する本発明に係る無機粒子が微孔に十分に充填された電気化学素子用セパレータを得ることが困難になるため、微孔の直径は30μmよりも小さいのが好ましく、20μmよりも小さいのがより好ましく、10μmよりも小さいのが最も好ましい。
なお、微孔質シートにおける微孔の直径とは、微孔質シートをPMI社製Perm-Porometer装置に供しバブルポイント法(ASTMF316-86,JIS K3832)に基づき測定して得られる値をいう。つまり、測定を5回行い、その測定して得られた個々の細孔径分布を細孔径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したプロットデータにおける累積値50%点の孔径分布の累積値D50を、微孔質シートにおける微孔の直径とする。
微孔質シートの目付、厚さなどの諸特性は、特に限定されるべきものではないが、微孔質シートの目付は、5〜15g/mであるのが好ましく、6〜13g/mであるのがより好ましく、8〜12g/mであるのが最も好ましく、微孔質シートの厚さは、10〜50μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがより好ましく、20〜25μmであるのが最も好ましい。
なお、本発明では、目付とは面積1mあたりの質量をいい、厚さとは厚さ測定器(デジマチック標準外側マイクロメータ(MCC−MJ/PJ)1/1000mm (株)ミツトヨ)により計測した、500g荷重時の5点の厚さの算術平均値をいう。
本発明に係る無機粒子(以降、無機粒子と称することがある)の形状が、「走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られる平面画像におけるアスペクト比が1〜1.3の形状」(以降、アスペクト比が1〜1.3の形状、と称する)であるかどうかは、次のようにして判断する。
まず、無機粒子などの粒子の走査型電子顕微鏡写真を撮ることで平面画像を得る。そして、得られた平面画像から1つの粒子を選出し、選出した粒子の外周内において最も長くとることのできる直線の長さ(Ll)を、前記直線と直交する直線のうち最も長くとることのできる直線の長さ(Lp)で割り、アスペクト比(=Ll/Lp)を算出する。
同様に、前記平面画像から他にも999個の粒子を選出し、各粒子においてもアスペクト比を算出する。このようにして算出された合計1000個の粒子のアスペクト比のうち、900個以上の粒子におけるアスペクト比が、1〜1.3の範囲内である場合、粒子の形状はアスペクト比が1〜1.3の形状であると判断する。
なお、本発明に係る無機粒子が、微孔質シートへの担持温度および低融点樹脂の融点温度でアスペクト比が1〜1.3の形状を保つ無機粒子であるかどうかは、無機粒子を担持温度および低融点樹脂の融点温度に加熱した状態のまま走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られた平面画像において、上述と同様にアスペクト比を算出することで判断できる。
本発明に係る無機粒子を構成する無機化合物として、例えば、酸化鉄、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、アルミナ−シリカ複合酸化物、TiO、SnO、BaTiO、ZrO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイトなどの粘土;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの鉱物資源由来物質またはそれらの人造物などが挙げられる。なお、本発明では金属酸化物など無機成分の酸化物も無機化合物とみなす。
2種類以上の素材を併用して無機粒子を調製する場合、2種類以上の素材を混合して無機粒子を調製する、あるいは、一方の素材にもう一方の素材を被覆して無機粒子を調製することができる。
本発明に係る無機粒子を用いることで、シャットダウン性能に優れる電気化学素子用セパレータを調製できる理由は、完全に明らかになっていないが、
1.本発明に係る無機粒子は微孔質シートへの担持温度でアスペクト比が1〜1.3の形状をなしているため、無機粒子は凹凸が少なくなめらかな表面を備える傾向があり、微孔質シートの微孔に無機粒子を担持する時に無機粒子同士および無機粒子と微孔質シートとの接触面積が小さいことから、微孔質シートの微孔に無機粒子が充填され易い、そして、
2.本発明に係る無機粒子は低融点樹脂の融点温度でアスペクト比が1〜1.3の形状をなしているため、低融点樹脂が溶融する温度に加熱されても、微孔質シートの微孔に担持された無機粒子の態様が保たれ易い、
という2つの要因のため、微孔質シートの微孔に無機粒子が効率よく充填され、担持されていることで、微孔質シートの微孔を少ない体積の低融点樹脂で閉塞することが容易となって、本発明に係る電気化学素子用セパレータはシャットダウン性能に優れると考えられる。
本発明に係る無機粒子として、無機粒子を調製可能な原料の粉塵雲を、例えば空気、酸素、塩素、窒素などの反応ガス雰囲気下で爆燃させ、無機粒子を製造する方法(例えば、特開昭60-255602号公報に開示の方法など)により得られる無機粒子(以降、爆燃無機粒子と称する)を用いるのが好ましい。
爆燃無機粒子はアスペクト比が1に近い形状となることが知られており、無機粒子同士および無機粒子と微孔質シートとの接触面積がより小さくなるため、微孔質シートの微孔に爆燃無機粒子を更に効率よく担持させることができ、微孔質シートの微孔を閉塞するのに必要となる低融点樹脂の体積を更に少なくできると考えられる。
また、リチウムイオン二次電池など非水系電解液を用いてなる電気化学素子用セパレータを調製する場合、微孔質シートに担持する無機粒子として爆燃無機粒子を用いるのが好ましい。爆燃無機粒子中に存在する水分量は少ないことが知られており、非水系電解液に水分が混入することで生じる内部短絡の発生を防ぐことができる。
このような、爆燃無機粒子として、例えば、株式会社アドマテックス社のシリカ粒子(アドマファイン:登録商標、商品名:SO-E1、SO-E2、SO-E3、SO-E4、SO-E5、SO-E6、SO-C1、SO-C2、SO-C3、SO-C4、SO-C5、SO-C6)、株式会社アドマテックス社のアルミナ粒子(アドマファイン:登録商標、商品名:AO-802、AO-809、AO-820、AO-502、AO-509、AO-520)などを挙げることができる。
本発明に係る無機粒子の粒子径は特に限定されるべきものではないが、無機粒子の粒子径が大き過ぎると、微孔質シートの微孔へ無機粒子を均一に充填できなくなる恐れがあり、無機粒子の粒子径が小さ過ぎると、溶融した低融点樹脂の粘度によっては、無機粒子が充填された微孔質シートの微孔へ低融点樹脂が侵入し難くなることで微孔が閉塞し難くなる恐れがある。
そのため、本発明に係る無機粒子の粒子径は、0.2μm〜3μmの範囲内にあるのが好ましく、0.2μm〜2μmの範囲内にあるのがより好ましく、0.2μm〜0.5μmの範囲内にあるのが最も好ましい。
なお無機粒子の粒子径は、無機粒子を大塚電子(株)製FPRA1000(測定範囲3nm〜5000nm)に供して、動的光散乱法で3分間の連続測定を行い、散乱強度から得られた粒子径測定データから求める。つまり、粒子径測定を5回行い、その測定して得られた粒子径測定データを粒子径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したデータにおける粒子の累積値50%点の粒子径D50(以降、D50と略して称する)を、無機粒子の粒子径とする。なお、測定に使用する分散液は温度25℃に調整し、25℃の水を散乱強度のブランクとして用いる。
また、本発明に係る無機粒子の粒子径分布は特に限定されるべきものではないが、無機粒子の粒子径分布が広過ぎると、微孔質シートの微孔へ無機粒子を均一に充填できなくなる恐れがある。そのため、微孔質シートの微孔へ無機粒子を均一に充填できるように、本発明に係る無機粒子の粒子径分布は(D50/2)以上(D50×2)以下の範囲内にあるのが好ましい。なお無機粒子の粒子径分布は前述した動的光散乱法で測定し、測定強度から得られた粒子径測定データから求める。
微孔質シートに本発明に係る無機粒子を充填することで、微孔質シートの微孔に本発明に係る無機粒子を担持させる方法として、
1.本発明に係る無機粒子を溶媒へ分散させたスラリーを、微孔質シートの一方の主面あるいは両主面へ噴霧又は塗工した後、微孔質シートに付着したスラリーから溶媒を除去する方法、
2.微孔質シートを上述のスラリーへ浸漬した後、微孔質シートに付着したスラリーから溶媒を除去する方法、
3.微孔質シートに泡立てた上述のスラリーを一方の主面あるいは両主面へ付与した後、微孔質シートに付着したスラリーから溶媒を除去する方法、
4.微孔質シートを既知のコーティング方法(例えば、グラビアロールを用いたキスコーティング法、ダイコーティング法など)を採用して、微孔質シートに上述のスラリーを一方の主面あるいは両主面へ付与した後、微孔質シートに付着したスラリーから溶媒を除去する方法、
5.微孔質シートを構成する低融点樹脂の融点以上の高い温度に加熱した本発明に係る無機粒子を、微孔質シートの一方の主面あるいは両主面へ接触させることで担持させる方法(特開2004-3070号公報に開示の担持方法など)、
などの公知の方法から適宜選択することができる。
微孔質シートに本発明に係る無機粒子を担持させる温度は、適宜調整することができる。
無機粒子を含むスラリーを微孔質シートへ付与して担持させる場合、加熱あるいは冷却したスラリーを用いることで無機粒子を加熱あるいは冷却した状態にして、微孔質シートの微孔に無機粒子を充填し、担持させることができる。このときのスラリーの温度(換言すれば、無機粒子の温度)は、例えば、5℃〜50℃とすることができ、20℃〜40℃とすることができる。
また、微孔質シートを構成する低融点樹脂の融点以上の高い温度に加熱した無機粒子を微孔質シートへ接触させ担持させる場合、このときの無機粒子の温度は、例えば、低融点樹脂の融点より0℃〜20℃高い温度とすることができ、低融点樹脂の融点より10℃〜15℃高い温度とすることができる。
また、微孔質シートに付着したスラリーから溶媒を除去する方法として、スラリーが付着した微孔質シートを室温(25℃)に放置する方法、スラリーが付着した微孔質シートを減圧条件下に曝す方法、スラリーが付着した微孔質シートを溶媒が揮発可能な温度以上の雰囲気下に曝す方法など、公知の方法を用いることができる。
スラリーにはバインダを混合することができるが、混合するこのできるバインダとして、電気化学的に安定且つ電解液に対して安定で、良好に接着できるものであればよく、例えば、ポリオレフィン、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、PVDF、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、アクリル樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
微孔質シートに担持する本発明に係る無機粒子の担持質量は特に限定されるべきものではないが、微孔質シートの微孔へ無機粒子を十分に充填できると共に、低融点樹脂による微孔質シートの微孔が効率よく閉塞できて、電気化学素子用セパレータとした時の充放電特性など諸機能が高められるように、微孔質シートに担持されている無機粒子の担持質量は、4g/m〜30g/mの範囲内にあるのが好ましく、8g/m〜25g/mの範囲内にあるのがより好ましく、12g/m〜20g/mの範囲内にあるのが最も好ましい。
微孔質シートには、低融点樹脂の溶融温度で溶融する溶融粒子、または、電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する膨潤粒子を添加することが可能であり、シャットダウン機能が更に向上した電気化学素子用セパレータを調製することができる。
溶融粒子を構成する材料として、ポリオレフィン樹脂[ポリエチレン、共重合ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリオレフィン誘導体(塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなど)]、ポリオレフィンワックス、石油ワックス、カルナバワックスなどを例示することができる。
膨潤粒子を構成する材料として、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂(架橋ポリメチルメタクリレートなど)、架橋フッ素樹脂(架橋ポリフッ化ビニリデンなど)を例示することができる。
なお、添加する溶融粒子または膨潤粒子の形状や大きさは適宜調整するのが好ましいが、微孔質シートに溶融粒子または膨潤粒子を添加し易くなることから、アスペクト比が1〜1.3の形状であるのが好ましく、溶融粒子または膨潤粒子の粒子径は、0.2μm〜3μmの範囲内にあるのが好ましく、0.2μm〜2μmの範囲内にあるのがより好ましく、0.2μm〜0.5μmの範囲内にあるのが最も好ましい。
微孔質シートに溶融粒子や膨潤粒子を添加する方法として、本発明に係る無機粒子を担持した微孔質シートに上述の粒子を担持しても、本発明に係る無機粒子と上述の粒子を混合してから微孔質シートに担持してもよい。
以上のようにして調製した本発明に係る無機粒子を担持した微孔質シートを、本発明に係る電気化学素子用セパレータとして使用することができる。
電気化学素子用セパレータの目付、厚さなどの諸特性は、特に限定されるべきものではないが、電気化学素子用セパレータの目付は、9〜45g/mであるのが好ましく、13〜38g/mであるのがより好ましく、17〜35g/mであるのが最も好ましい。また、電気化学素子用セパレータの厚さは、10〜50μmであるのが好ましく、20〜40μmであるのがより好ましく、25〜35μmであるのが最も好ましい。
本発明に係る電気化学素子用セパレータは、電気化学素子が発熱して内部温度が150℃以上の温度となる前に、溶融した低融点樹脂が微孔質シートの微孔を効率よく閉塞することができるため、シャットダウン性能に優れる。
本発明に係る電気化学素子用セパレータはシャットダウン性能に優れる。そのため、本発明に係る電気化学素子用セパレータを用いてなる、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの電気化学素子は、電解質溶液の分解が発生するなど電池特性が変化する前に、電気的な機能を停止して熱暴走を防ぐことのできるという機能を発揮することができる。
本発明の電気化学素子は、上述の電気化学素子用セパレータを用いていること以外は、従来と同様の材料から構成することができる。具体的には、リチウムイオン二次電池の場合、正極として、例えば、リチウムやナトリウム含有遷移金属化合物や硫黄系化合物のスラリーを集電材に担持させたもの等を使用することができ、負極として、例えば、リチウム金属やリチウムと合金になる材料(例えば、スズ系合金、シリコン系合金などの材料)、及びリチウムを吸蔵、放出可能なポリアセン、炭素材料(例えば、カーボン、天然黒鉛や人造黒鉛など)、バナジウム系化合物、チタン酸リチウム系化合物を集電材に担持させたもの等を使用することができ、電解質として、例えば、非水系電解液(例えば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒にLiPFを溶解させた電解液)等を使用することができる。また、調製可能なリチウムイオン二次電池のセル構造も特に限定するものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型などであることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
芯成分がポリプロピレン(融点:170℃)、鞘部がポリエチレン(融点:135℃)の芯鞘型複合繊維(繊度:0.8dtex、繊維長:10mm)70重量部と、ポリプロピレン極細繊維(融点:160℃、繊維径:2μm、繊維長:2mm)30重量部とを混合し、湿式抄造法により繊維ウェブを調製した。
その後、前記繊維ウェブに温度140℃の熱風で10秒間処理した後、80℃のロールカレンダーに供することで、微孔質シート(微孔径(D50):12μm、厚さ:25μm、目付:10g/m)を調製した。
次いで、無機粒子としてシリカ粒子(アドマテックス(株)社製、SO-C2、D50=450nm、形状:25℃および135℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)98重量部と、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(日本ゼオン(株)社製 BM-400)2重量部を水に分散させた、固形分濃度が65重量部のスラリーを用意した。
そして、グラビアロールを用いたキスコーター法によって、上述のようにして調製した微孔質シートの一方の主面へ、25℃に調整した前記スラリーをコーティングした後、コーティングした微孔質シートに付着したスラリーから溶媒を除去して、微孔質シートの空隙に無機シリカ粒子が充填され、担持された電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(実施例2)
無機粒子としてシリカ粒子(アドマテックス(株)社製、SO-C1、D50=250nm、形状:25℃および135℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m、を製造した。
(実施例3)
無機粒子としてシリカ粒子(アドマテックス(株)社製、SO-C3、D50=800nm、形状:25℃および135℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(実施例4)
無機粒子としてシリカ粒子(アドマテックス(株)社製、SO-C5、D50=1200nm、形状:25℃および135℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(実施例5)
無機粒子としてシリカ粒子(アドマテックス(株)社製、SO-C6、D50=1500nm、形状:25℃および135℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(実施例6)
無機粒子としてシリカ粒子(アドマテックス(株)社製、SO-C2、D50=450nm、形状:25℃および135℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)93重量部と、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(日本ゼオン(株) BM-400)2重量部と、溶融粒子であるPEビーズ(三井化学株式会社製、登録商標:ケミパール、型番:W900、D50=600nm、融点:132℃、形状:25℃で、アスペクト比が1〜1.3の形状)5重量部とを水に分散させた、固形分濃度が65重量部のスラリーを用意した。
このようにして調製したスラリーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維(融点:250℃、繊度:0.8dtex、繊維長:10mm)70重量部と、低融点ポリエチレンテレフタレート繊維(融点:220℃、繊度:0.8dtex、繊維長:10mm)30重量部とを混合し、湿式抄造法により繊維ウェブを調製した。
その後、前記繊維ウェブに温度140℃の熱風で10秒間処理した後、80℃のロールカレンダーに供することで、不織布(厚さ:25μm、目付:10g/m)を調製した。
このようにして調製した不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(比較例2)
比較例1で調製した不織布と、実施例6で用意したスラリーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。
(比較例3)
無機粒子として、D50=1200nmの破砕シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:35g/m)を製造した。

なお、上述の破砕シリカ粒子を25℃に加熱した際の、走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られた平面画像から選出された、合計1000個の各粒子のアスペクト比を算出した結果、アスペクト比が1〜1.3の範囲内にある無機粒子が、900個以上存在していなかった。また上述の破砕シリカ粒子を135℃に加熱した際の、走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られた平面画像から選出された、合計1000個の各粒子のアスペクト比を算出した結果も同様に、アスペクト比が1〜1.3の範囲内にある無機粒子が、900個以上存在していなかった。
そのため、上述の破砕シリカ粒子は、25℃および135℃でアスペクト比が1〜1.3の形状をなす無機粒子ではなかった。
上述のようにして製造した実施例および比較例の各電気化学素子用セパレータから、直径18mmの円形の試験片を各々採取し、試験片を用いて以下の方法でリチウム二次電池を作製した。
(リチウムイオン二次電池の作製)
1.正極の作製
スピネルマンガン酸リチウム(LiMn)粉末87質量部と、アセチレンブラック6質量部とを混合し、そこに、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(呉羽化学株式会社製、#1120、PVdF濃度:12質量%)を、PVdFの乾燥重量部が7質量部となるように添加して混合液を得た。その後、得られた混合液の粘度が2000cpとなるように混合液へN−メチル−2−ピロリドン溶液を加えて脱泡撹拌機で撹拌することで、正極材ペーストを用意した。
得られた正極材ペーストを、アルミ箔(厚さ:20μm)の一方の主面に塗布した後、80℃で2時間、減圧下、温度150℃で6時間加熱することで塗布された正極材ペーストからN−メチル−2−ピロリドンを除去した。
そして、ロールプレス機を用いて線圧200Kgで、乾燥処理後の正極材ペーストを塗布したアルミ箔をプレスすることで、正極シート(厚さ:90μm)を調製した。
2.負極の作製
天然黒鉛粉末90質量部に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(呉羽化学株式会社製、#9130、PVdF濃度:13質量%)を、PVdFの乾燥重量部が10質量部となるように添加した後、脱泡撹拌機で撹拌することで負極材ペーストを用意した。
得られた負極材ペーストを、銅箔(厚さ:15μm)の一方の主面に塗布した後、80℃で2時間、減圧下、温度150℃で6時間加熱することで塗布された負極材ペーストからN−メチル−2−ピロリドンを除去した。
そして、ロールプレス機を用いて線圧200Kgで、乾燥処理後の負極材ペーストを塗布した銅箔をプレスすることで、負極シート(厚さ:70μm)を調製した。
3.非水系電解液の作製
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比率が(50:50)となるように混合して調製した混合溶媒に、LiPFを1モル/Lの濃度となるように溶解させて、非水系電解質溶液を調製した。
4.リチウムイオン二次電池の組み立て
採取した各々の試験片を、上述のようにして調製した非水系電解質溶液に浸漬した。
次いで、正極シートの正極材ペーストを塗布した主面側に、電解液に含浸した試験片を積層すると共に、負極シートの負極材ペーストを塗布した主面側へ電解液に浸漬した試験片が面するようにして積層することで、各試験片を用いてなるリチウムイオン二次電池(2030型コインセル)を作製した。
上述のようにして作成した、各リチウムイオン二次電池(2030型コインセル)を以下の測定方法へ供することで、各実施例および各比較例に係るセパレータのシャットダウン性能を測定した。
(シャットダウン性能の測定方法)
1.リチウムイオン二次電池の充電方法
リチウムイオン二次電池を作製後、室温(25℃)で一日放置してから、5時間かけて終止電圧4.2Vまで定電流でリチウムイオン二次電池の充電を行った後、5時間かけて定電流放電を行った。
この充放電を1サイクルとして3サイクル行った後、5時間かけて終止電圧4.2Vまで定電流で充電して、満充電状態のリチウムイオン二次電池を得た。
2.リチウムイオン二次電池の加熱方法
得られた満充電状態のリチウムイオン二次電池を、昇温速度5℃/分の条件下で加熱した際の、リチウムイオン二次電池の温度(Temperature、単位:℃)における1KHzで±0.025Vの交流電池抵抗値(Resistance、単位:Ω)を測定して、図1〜図9にまとめた。
図1〜図6のグラフは、実施例1〜実施例6に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフであり、図7〜図9のグラフは、比較例1〜比較例3に係る電気化学素子用セパレータを用いて製造された、リチウム二次電池を昇温した際の電池抵抗の変化を測定し、まとめたグラフである。
なお、測定においてリチウムイオン二次電池の温度が上昇するのに伴い電池抵抗値が上昇することは、リチウム二次電池におけるセパレータを介したイオン透過が阻害されていることを意味しており、加熱に伴い電池抵抗値が上昇し易いリチウムイオン二次電池は、優れたシャットダウン性能を備えていることを意味する。
また、測定においてリチウム二次電池の電池抵抗値が0Ωとなることは、リチウムイオン二次電池を加熱したことによって、リチウムイオン二次電池で内部短絡が生じたことを意味する。
実施例1〜6に係る電気化学素子用セパレータを用いて調製されたリチウムイオン二次電池は、加熱に伴い電池抵抗値が50Ωを超えたことから、加熱に伴い電池抵抗値が上昇し易いという特徴を備えていることが判明した。一方、比較例1〜3に係る電気化学素子用セパレータを用いて調製されたリチウムイオン二次電池は、加熱に伴い電池抵抗値が50Ωを超えることがなかったことから、加熱に伴い電池抵抗値が上昇し難いものであることが判明した。
このことから、実施例1〜6に係る電気化学素子用セパレータを用いて調製されたリチウムイオン二次電池は、優れたシャットダウン性能を備えていることが判明した。
また、実施例1〜6に係る電気化学素子用セパレータを用いて調製されたリチウムイオン二次電池は、電池抵抗値が0Ωにならなかったことから、加熱中に電極間の短絡を生じなかった。一方、比較例1〜3に係る電気化学素子用セパレータを用いて調製されたリチウムイオン二次電池は、加熱中に電極間の短絡を生じた。
このことから、実施例1〜6に係る電気化学素子用セパレータを用いて調製されたリチウムイオン二次電池は、加熱に伴い生じる電極間の短絡を防ぐことができるという、更なる特徴を備えていることが判明した。
そして、本発明に係る電気化学素子用セパレータは優れたシャットダウン機能を示すことから、本願発明に係る電気化学素子用セパレータを用いてなる電気化学素子は、電池特性が変化する前に電気的な機能を停止して熱暴走を防ぐことのできる電気化学素子であることが判明した。
本発明によれば、シャットダウン性能に優れる電気化学素子用セパレータ、及び、電気化学素子の性能が変化する前に電気的な機能を停止できると共に熱暴走を抑制できる電気化学素子を提供することができる。

Claims (2)

  1. 融点が150℃未満の樹脂を含んでなる、目付が5〜15g/m の不織布の微孔に、無機粒子が充填され、バインダで接着して担持してなる電気化学素子用セパレータであり、
    前記無機粒子の形状は、前記微孔質シートへの担持温度および前記樹脂の融点温度で、走査型電子顕微鏡写真を撮ることで得られる平面画像におけるアスペクト比が1〜1.3の形状であり、前記無機粒子の担持質量が4〜30g/m であることを特徴とする、電気化学素子用セパレータ。
  2. 請求項1に記載された電気化学素子用セパレータを用いてなる、電気化学素子。
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