JP2014179279A - 電気化学素子用セパレータ - Google Patents

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Yasuhiro Ito
康博 伊藤
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Abstract

【課題】
本発明は、電気化学素子が熱暴走するのを防止できる、電気化学素子用セパレータの提供を目的とする。
【解決手段】
有機樹脂である低融点樹脂と高融点樹脂を含んでいる電気化学素子用セパレータが、低融点樹脂の融点よりも高く高融点樹脂の融点よりも低い温度範囲内にガラス転移温度を備える、有機樹脂である高ガラス転移温度樹脂を含んでいる。そのため、低融点樹脂の融点温度において電気化学素子用セパレータの収縮防止機能を発揮でき、そして、低融点樹脂の融点よりも高く高融点樹脂の融点よりも低い温度範囲内において電気化学素子用セパレータにおける主骨格の溶融防止機能を発揮できる電気化学素子用セパレータを提供できて、電気化学素子が熱暴走するのを防止できる。
【選択図】なし

Description

本発明は電気化学素子用セパレータに関する。
近年、電気機器の小型、軽量化に伴い、その電源である電池に対しても、小型化や軽量化あるいは大容量化の要望が強い。例えば、リチウムイオン二次電池などエネルギー密度が高い電気化学素子は、このような要望を満足できるものとして期待されている。
その一方で、電気化学素子が破損した場合には内部の電気化学素子用セパレータに貫通孔が形成されるなどして、電気化学素子に内部短絡が発生することがあった。そして、内部短絡の発生は電気化学素子の発熱を招き、電気化学素子が熱暴走して発火することがあり問題となっていた。
このような問題を解決できる電気化学素子用セパレータとして、例えば、特開2004−115980号公報(以降、特許文献1と称する)には、低融点樹脂と高融点樹脂からなる極細繊維を主体とする不織布を用いて構成されたリチウムイオン二次電池用セパレータが開示されている。
特許文献1の前記リチウムイオン二次電池用セパレータは、電気化学素子に内部短絡が発生して発熱した場合であっても、高融点樹脂によって不織布形状(換言すれば、リチウムイオン二次電池用セパレータの主骨格)を保持でき、低融点樹脂が溶け出して繊維間の微孔やリチウムイオン二次電池用セパレータに形成された貫通孔を閉塞する機能(シャットダウン機能)を発揮できるため、リチウムイオン二次電池の機能を停止して、熱暴走を防止できることが開示されている。
特開2004−115980号公報(特許請求の範囲、0006、0008など)
本願発明者らは、電気化学素子が熱暴走するのを防止するために、特許文献1が開示する電気化学素子用セパレータを検討した。しかし、特許文献1が開示する電気化学素子用セパレータを用いて組み立てた電気化学素子であっても、熱暴走を防止する効果が満足に発揮されずに発火することがあった。
この原因を調査したところ、本発明者らは、電気化学素子の発熱により電気化学素子用セパレータが低融点樹脂の融点温度になると、低融点樹脂が溶け出してシャットダウン機能を発揮できるようになると同時に電気化学素子用セパレータが収縮し、電気化学素子の電極間に電気化学素子用セパレータの不存在部分が形成されて、新たな内部短絡の発生を招く原因になっていることを見出した。
また、電気化学素子の発熱により電気化学素子用セパレータが高融点樹脂の融点温度になると、電気化学素子用セパレータの主骨格である高融点樹脂が溶け出して、新たな内部短絡の発生を招く原因になっていることを見出した。
本発明は、電気化学素子が熱暴走するのを防止できる、電気化学素子用セパレータの提供を目的とする。
本発明は、
「低融点樹脂と高融点樹脂および高ガラス転移温度樹脂を含んでいる、電気化学素子用セパレータであって、
前記低融点樹脂と前記高融点樹脂および前記高ガラス転移温度樹脂はいずれも有機樹脂であり、
前記高ガラス転移温度樹脂のガラス転移温度は、前記低融点樹脂の融点よりも高く前記高融点樹脂の融点よりも低い、電気化学素子用セパレータ。」
である。
本発明の電気化学素子用セパレータは、いずれも有機樹脂である低融点樹脂と高融点樹脂を含んでいるため、電気化学素子用セパレータが加熱された場合であっても、高融点樹脂によって電気化学素子用セパレータの主骨格を保持でき、低融点樹脂がシャットダウン機能を発揮することで、電気化学素子の機能を停止して熱暴走を防止できる。
そして、本発明者らは、上述の電気化学素子用セパレータが、低融点樹脂の融点よりも高く高融点樹脂の融点よりも低い温度範囲内にガラス転移温度を備える、有機樹脂である高ガラス転移温度樹脂を含んでいることによって、更に、電気化学素子が熱暴走するのを防止できることを見出した。
この理由は完全に明らかになっていないが、以下の効果が発揮されるためであると考えられる。

1.電気化学素子の発熱により電気化学素子用セパレータが低融点樹脂の融点温度になると、低融点樹脂が溶け出して流動性を持つ状態になる。その結果、電気化学素子用セパレータにおいて低融点樹脂により支えられていた部分の強度が弱くなり、剛性が急激に低下して電気化学素子用セパレータが収縮する原因となる。
それに対し、本発明の電気化学素子用セパレータは、低融点樹脂の融点よりも高い温度範囲内にガラス転移温度を備える、高ガラス転移温度樹脂を含んでいる。そのため、電気化学素子用セパレータが低融点樹脂の融点温度になった時でも、高ガラス転移温度樹脂は固体状態のままで電気化学素子用セパレータを支え続けることができる。
その結果、低融点樹脂がシャットダウン機能を発揮できるようになる際に、電気化学素子用セパレータが収縮するのを防止できると考えられる。

2.有機樹脂はガラス転移温度で、比熱が増大して吸熱効果を発揮できることが知られている。
本発明の電気化学素子用セパレータは、低融点樹脂の融点よりも高く高融点樹脂の融点よりも低い温度範囲内にガラス転移温度を備える、高ガラス転移温度樹脂を含んでいる。そのため、電気化学素子用セパレータが低融点樹脂の融点温度よりも高い温度になった時でも、高ガラス転移温度樹脂は高融点樹脂の融点よりも低い温度で吸熱効果を発揮できることから、電気化学素子用セパレータが高融点樹脂の融点温度になる前に前記吸熱効果が発揮され、電気化学素子用セパレータが高融点樹脂の融点になるのを防ぐことができる。
その結果、電気化学素子用セパレータの主骨格が溶融するのを防止できると考えられる。
以上から、本発明の電気化学素子用セパレータは、低融点樹脂の融点温度において電気化学素子用セパレータの収縮防止機能を発揮でき、そして、低融点樹脂の融点よりも高く高融点樹脂の融点よりも低い温度範囲内において電気化学素子用セパレータにおける主骨格の溶融防止機能を発揮できる。
そのため、本発明の電気化学素子用セパレータは、電気化学素子が熱暴走するのを防止できる。
本発明でいう低融点樹脂は、電気化学素子用セパレータに含まれている主要な有機樹脂のうち、最も低い融点を備える有機樹脂である。なお、本発明において電気化学素子用セパレータに含まれている主要な有機樹脂とは、電気化学素子用セパレータに含有されている有機樹脂の質量に占める質量の百分率が、20質量%以上の有機樹脂をいう。
また、本発明において「融点」とは、有機樹脂をJIS K7121−1987に規定されている示差熱分析へ供し、得られたDTA曲線から読み取った融解ピークの頂点の温度をいう。
低融点樹脂の種類は適宜調整するものであり限定されるものではないが、電気化学素子の内部温度が上昇する初期段階でシャットダウン機能を発揮できる電気化学素子用セパレータを得ることができるように、例えば、融点が150℃よりも低い低融点樹脂を用いるのが好ましく、融点が140℃以下の低融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が135℃以下の低融点樹脂を用いるのが最も好ましい。
本発明でいう高融点樹脂は、電気化学素子用セパレータに含まれている主要な有機樹脂のうち、前述した低融点樹脂よりも高い融点を備える有機樹脂である。

高融点樹脂の融点は適宜調整するものであり限定されるものではないが、電気化学素子の内部温度が上昇した場合であっても電気化学素子用セパレータの主骨格が溶融するのを防止できるように、例えば、融点が150℃よりも高い高融点樹脂を用いるのが好ましく、融点が160℃以上の高融点樹脂を用いるのがより好ましく、融点が165℃以上の高融点樹脂を用いるのが最も好ましい。
本発明でいう高ガラス転移温度樹脂(以降、高Tg樹脂、と称することがある)は、電気化学素子用セパレータに含まれている有機樹脂のうち、前述した低融点樹脂の融点よりも高く前述した高融点樹脂の融点よりも低い温度範囲内にガラス転移温度を備える有機樹脂である。なお、本発明において「ガラス転移温度」とは、有機樹脂をJIS K7121−1987に規定されている熱流束示差走査熱量測定へ供し、得られたDSC曲線から読み取ったガラス転移温度をいう。
なお、高Tg樹脂は融点を備える有機樹脂であっても、融点を備えない有機樹脂であっても良い。また、高Tg樹脂が電気化学素子用セパレータを支え続けることができるように、高Tg樹脂の熱分解する温度は高融点樹脂の融点以上の温度であるのが好ましい。
本発明の、低融点樹脂と高融点樹脂および高Tg樹脂を構成する有機樹脂の種類は、適宜選択できるため限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機ポリマーからなる有機樹脂であることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
上述した、低融点樹脂と高融点樹脂および高Tg樹脂の組み合わせは、適宜選択できるため限定されるものではないが、例えば、(低融点樹脂:ポリエチレン樹脂、高融点樹脂:ポリプロピレン樹脂、高Tg樹脂:メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー)、(低融点樹脂:ポリエチレン樹脂、高融点樹脂:ポリプロピレン樹脂、高Tg樹脂:イソブチレンー無水マレイン酸共重合体)、(低融点樹脂:ポリエチレン樹脂、高融点樹脂:ポリプロピレン樹脂、高Tg樹脂:アンモニア変性したイソブチレンー無水マレイン酸共重合体)、(低融点樹脂:ポリエチレン樹脂、高融点樹脂:ポリエステル樹脂、高Tg樹脂:ポリビニルピロリドン樹脂)、などが挙げられる。
なお、上述したメチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーとして、例えば、アイエスピ−・インベストメンツ・インコ−ポレ−テツドのGantrez(ガントレッズ:登録商標、商品名:AN−119、AN−139、AN−149、AN−169、CAS No.:9011−16−9)などを挙げることができる。
また、上述したイソブチレンー無水マレイン酸共重合体として、例えば、株式会社クラレのISOBAM(イソバン:登録商標、商品名:イソバン−04、イソバン−06、イソバン−10、イソバン−18、CAS No.26426−80−2)などを挙げることができ、また、上述したアンモニア変性したイソブチレンー無水マレイン酸共重合体として、例えば、株式会社クラレのISOBAM(イソバン:登録商標、商品名:イソバン104、イソバン−110、CAS No.52032−17−4)などを挙げることができる。
そして、上述したポリビニルピロリドン樹脂として、例えば、アイエスピ−・インベストメンツ・インコ−ポレ−テツド製のポリビニルピロリドン樹脂(グレードK−15、K−30,K−60,K−90、K−120)などを挙げることができる。
電気化学素子用セパレータは、例えば、不織布や織物や編物などの布帛、フィルムなどの素材を用いて構成することができる。また、これらの素材は単体で電気化学素子用セパレータを構成しても良いが、複数の素材を積層するなど組み合わせて電気化学素子用セパレータを構成しても良い。
布帛を構成する繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
布帛を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の繊維から構成されてなるものでも構わない。また、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用できる。
不織布の調製方法は適宜選択されるものであり限定されるものではないが、例えば、乾式法、湿式法などを用いてなる繊維ウェブを、絡合および/または一体化処理へ供して不織布を調製することができる。
繊維ウエブを構成する繊維同士を絡合および/または一体化する方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維同士をバインダで一体化する方法、あるいは、繊維ウエブが熱可塑性樹脂を備える繊維を含んでいる場合には、繊維ウエブを加熱処理することで前記熱可塑性樹脂を溶融して、繊維同士を一体化する方法を挙げることができる。なお、繊維ウエブを加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させる方法などを用いることができる。
あるいは、直接紡糸法を用いて紡糸された繊維を捕集することで、不織布を調製してもよい。
また、織物や編物の調製方法は適宜選択されるものであり限定されるものではないが、例えば、繊維を織るあるいは編むことで調製できる。
そして、フィルムの調製方法は適宜選択されるものであり限定されるものではないが、例えば、溶融状態の有機樹脂を型に流し込み成型、発泡処理するなど、公知の方法で調製できる。
なお、本発明では低融点樹脂と高融点樹脂および高Tg樹脂は、電気化学素子用セパレータにおいて、例えば、繊維形状、粒子形状、皮膜状などの不定形形状、フィルム形状などの形状として存在している。
電気化学素子用セパレータの態様として、例えば、低融点樹脂繊維と高融点樹脂繊維、又は、低融点樹脂と高融点樹脂を含んだ繊維からなる布帛の表面および空隙中に高Tg樹脂粒子が存在する態様、前記布帛を構成する繊維表面の一部あるいは全部を高Tg樹脂が皮膜状に被覆した態様、低融点樹脂と高融点樹脂を含んだフィルムの表面に高Tg樹脂粒子が存在する態様、前記フィルムの表面の一部あるいは全部を高Tg樹脂が皮膜状に被覆した態様などとすることができる。
特に、低融点樹脂繊維と高融点樹脂繊維、又は、低融点樹脂と高融点樹脂を含んだ繊維からなる布帛を備えた電気化学素子用セパレータは、高融点樹脂を含んだ繊維によって電気化学素子用セパレータの主骨格を保持できるため空隙率が高いにも関わらず強度(電気化学素子用セパレータの主骨格の保持性)に優れ、また、低融点樹脂を含んだ繊維によってシャットダウン性能が布帛全体で均一に発揮されることから、電気化学素子が熱暴走するのを効果的に防止できるため好ましい。
特に、低融点樹脂と高融点樹脂を含んだ繊維が、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維である場合、前記複合繊維からなる布帛を備えた電気化学素子用セパレータは、前記複合繊維において低融点樹脂が高融点樹脂に隣接して存在しているため、シャットダウン性能を効率良く発揮できるためより好ましい。
更に、前記布帛における繊維表面の一部あるいは全部を高Tg樹脂が皮膜状に被覆した態様の電気化学素子用セパレータは、高融点樹脂を含んだ繊維の外周が電気化学素子用セパレータ全体で均一かつ強固に高Tg樹脂によって支えられて保持されていることから、電気化学素子が熱暴走するのを効果的に防止できるため好ましい。
低融点樹脂と高融点樹脂を含んでなる布帛やフィルムなどの素材へ高Tg樹脂を添加して、電気化学素子用セパレータを調製する場合、その調製方法は適宜選択するものであり限定されるものではないが、例えば、
1.高Tg樹脂粒子を溶媒へ分散させ調製した分散液、又は、高Tg樹脂を溶媒へ溶解させ調製した溶液を、素材の一方の主面あるいは両主面へ、噴霧あるいは、既知のコーティング方法(例えば、グラビアロールを用いたキスコーティング法、ダイコーティング法など)を用いて塗工した後、素材に付着したスラリーから溶媒を除去する方法、
2.素材を上述のスラリーへ浸漬した後、スラリーから引き上げ、素材に付着したスラリーから溶媒を除去する方法、
などの公知の方法から適宜選択できる。
なお、素材へ高Tg樹脂を添加する際の温度(換言すれば、高Tg樹脂の温度)は適宜調整するが、例えば、5℃〜50℃であることが、20℃〜40℃であることができる。
また、素材に付着したスラリーから溶媒を除去する方法として、スラリーが付着した素材を室温(25℃)に放置する方法、スラリーが付着した素材を減圧条件下に曝す方法、スラリーが付着した素材を溶媒が揮発可能な温度以上の雰囲気下に曝す方法など、公知の方法を用いることができる。
電気化学素子用セパレータに占める高Tg樹脂の割合は、適宜調整するものであり、特に限定されるべきものではないが、多すぎると電気化学素子用セパレータに占める低融点樹脂および高融点樹脂の割合が低減することで、電気化学素子用セパレータが電気化学素子の機能を停止して熱暴走を防止できるという機能を発揮し難くなる傾向があることから、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であるのが最も好ましい。
本発明の電気化学素子用セパレータは、低融点樹脂と高融点樹脂および高Tg樹脂以外にも、無機粒子を含んでいてもよい。
電気化学素子用セパレータが無機粒子を含んでいる場合には、電気化学素子用セパレータの耐熱性が向上すると共に、低融点樹脂の融点温度以上の温度範囲内において、無機粒子が固体状態で電気化学素子用セパレータの主骨格を保持し続けることができるため、収縮防止機能が更に優れる電気化学素子用セパレータとなり好ましい。
無機粒子の種類は、適宜選択することができるため限定されるものではないが、例えば、酸化鉄、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、アルミナ−シリカ複合酸化物、TiO、SnO、BaTiO、ZrO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイトなどの粘土;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの鉱物資源由来物質またはそれらの人造物など、あるいは金属酸化物など無機成分の酸化物などを例示することができる。
電気化学素子用セパレータに無機粒子を担持する方法は適宜選択するものであり限定されるものではないが、例えば、上述した低融点樹脂と高融点樹脂を含んでなる布帛やフィルムなどの素材へ高Tg樹脂を添加して、電気化学素子用セパレータを調製する方法において、高Tg樹脂と無機粒子を含む組成のスラリーを用いる方法を採用できる。
なお、スラリーの調製方法は適宜選択するものであり限定されるものではないが、例えば、高Tg樹脂の分散液または溶液に無機粒子を分散させる方法、高Tg樹脂と無機粒子を溶媒に混合して調製する方法などを採用することができる。
電気化学素子用セパレータに含まれている無機粒子の質量は特に限定されるべきものではないが、電気化学素子用セパレータの耐熱性が効果的に向上し、収縮防止機能が優れるように、電気化学素子用セパレータに担持されている無機粒子の担持質量は、4g/m以上であるのが好ましく、8g/m以上であるのがより好ましく、12g/m以上であるのが最も好ましい。なお、電気化学素子用セパレータに担持されている無機粒子の担持質量の上限値は適宜調整するが、30g/m以下であるのが現実的である。
なお、本発明において粒子の粒子径は、測定対象となる粒子を大塚電子(株)製FPRA1000(測定範囲3nm〜5000nm)に供して、動的光散乱法で3分間の連続測定を行い、散乱強度から得られた粒子径測定データから求める。つまり、粒子径測定を5回行い、その測定して得られた粒子径測定データを粒子径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したデータにおける粒子の累積値50%点の粒子径D50(以降、D50と略して称する)を粒子径とする。なお、測定に使用する分散液は25℃に調整し、25℃の純水を散乱強度のブランクとして用いる。
電気化学素子用セパレータの目付、厚さなどの諸特性は、特に限定されるべきものではないが、無機粒子を備えていない態様の電気化学素子用セパレータの目付は、5〜40g/mであるのが好ましく、6〜15g/mであるのがより好ましい。また、無機粒子を備えていない態様の電気化学素子用セパレータの厚さは、10〜50μmであるのが好ましく、15〜40μmであるのがより好ましく、20〜30μmであるのが最も好ましい。
なお、本発明では、目付とは主面における1mあたりの質量をいい、本発明において主面とは、面積が広い部分の面をいう。また、本発明でいう「厚さ」は、高精度デジタル測定機(登録商標:ライトマチック(VL−50A) (株)ミツトヨ)により計測した、主面間方向に100g/5cmの荷重をかけた際に得られた測定値の、5点で測定された各主面間の距離の算術平均値をいう。
本発明の電気化学素子用セパレータを用いることで、電気化学素子を調製することができる。
電気化学素子は従来と同様の材料から構成することができ、具体的には、リチウムイオン二次電池の場合、正極として、例えば、リチウムやナトリウム含有遷移金属化合物や硫黄系化合物のスラリーを集電材に担持させたもの等を使用することができ、負極として、例えば、リチウム金属やリチウムと合金になる材料(例えば、スズ系合金、シリコン系合金などの材料)、及びリチウムを吸蔵、放出可能なポリアセン、炭素材料(例えば、カーボン、天然黒鉛や人造黒鉛など)、バナジウム系化合物、チタン酸リチウム系化合物を集電材に担持させたもの等を使用することができ、電解質として、例えば、非水系電解液(例えば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒にLiPFを溶解させた電解液)等を使用することができる。また、調製可能なリチウムイオン二次電池のセル構造も特に限定するものではなく、例えば、ラミネートセル型、円筒型、角型、コイン型などであることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
1.不織布の調製方法
芯成分がポリプロピレン樹脂(ガラス転移温度:−20℃、融点:165℃)、鞘部がポリエチレン樹脂(ガラス転移温度:−20℃、融点:135℃)の芯鞘型複合繊維(繊度:0.4dtex、繊維長:10mm、芯成分の質量:鞘成分の質量=50質量%:50質量%)67質量%と、ポリプロピレン極細繊維(ガラス転移温度:−20℃、融点:160℃、繊維径:2μm、繊維長:2mm)33質量%とを混合し、湿式抄造法により繊維ウェブを調製した。
その後、前記繊維ウェブに温度140℃の熱風を10秒間作用させた後、80℃のロールカレンダーへ供することで、不織布(厚さ:18μm、目付:8g/m)を調製した。
2.スラリーの調製方法
スラリーに添加する有機樹脂として、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー(ガラス転移温度:154℃、融点:なし、アイエスピ−・インベストメンツ・インコ−ポレ−テツド、商品名:Gantrez AN−119、以降、高Tg樹脂Aと称する)を選択し、前記有機樹脂を90℃の純水に溶解させて前記有機樹脂の濃度が15質量%の水溶液を調製した。その後、調製した前記水溶液を25℃まで冷却した。

上述のようにして調製した水溶液に、アルミナ粒子(昭和電工(株)、商品名:AL−45−A、平均粒子径(D50):400nm)とアルミナゾル(日産化学工業(株)、商品名:AI−200、平均粒子径(D50):20nm)および純水を混合し、ディスパータイプの攪拌翼を用いて1200rpmの条件で2時間攪拌し、その後開孔径が20μmのふるいにかけてスラリーを調製した。

なお、調製したスラリーの組成は以下のとおりであった。
・アルミナ粒子:47.6質量%
・アルミナゾル:0.4質量%
・スラリーに添加した有機樹脂:2質量%
・純水:50質量%
3.電気化学素子用セパレータの調製方法
グラビアロールを用いたキスコーター法によって、不織布の一方の主面へ、25℃に調整したスラリーをコーティングした。
その後、コーティングした不織布に付着したスラリーから純水を除去して、電気化学素子用セパレータ(厚さ:25μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m)を調製した。
(実施例2)
実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、スラリーに添加する有機樹脂として、イソブチレンー無水マレイン酸共重合体(ガラス転移温度:151℃、融点:なし、株式会社クラレ、商品名:イソバン104、以降、高Tg樹脂Bと称する)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:25μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m)を調製した。
(実施例3)
実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、スラリーに添加する有機樹脂として、高Tg樹脂Aと高Tg樹脂Bを等質量混合してなる有機樹脂混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:25μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m)を調製した。
(実施例4)
実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、スラリーに添加する有機樹脂として、高Tg樹脂Aと完全ケン化型ポリビニルアルコール樹脂(ガラス転移温度:84℃、融点:230℃、株式会社クラレ、以降、非高Tg樹脂Aと称する)を等質量混合してなる有機樹脂混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:25μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m)を調製した。
(実施例5)
実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、スラリーに添加する有機樹脂として、高Tg樹脂Bと非高Tg樹脂Aを等質量混合してなる有機樹脂混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:25μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m)を調製した。
(比較例1)
純水にアルミナ粒子(昭和電工(株)、商品名:AL−45−A、平均粒子径(D50):400nm)とアルミナゾル(日産化学工業(株)、商品名:AI−200、平均粒子径(D50):20nm)を混合し、ディスパータイプの攪拌翼を用いて1200rpmの条件で2時間攪拌し開孔径が20μmのふるいにかけてスラリーを調製した。

なお、調製したスラリーの組成は以下のとおりであった。
・アルミナ粒子:49.4質量%
・アルミナゾル:0.6質量%
・純水:50質量%

実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、上述のようにして調製したスラリーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:25μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.8g/m)を調製した。
(比較例2)
実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、スラリーに添加する有機樹脂として、非高Tg樹脂Aを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m))を調製した。
(比較例3)
実施例1の(2.スラリーの調製方法)において、スラリーに添加する有機樹脂として、ポリビニルピロリドン樹脂(ガラス転移温度:180℃、融点:なし、インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ、商品名:グレードK−90、以降、非高Tg樹脂Bと称する)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電気化学素子用セパレータ(厚さ:35μm、目付:25g/m、アルミナ粒子の担持質量:16.2g/m))を調製した。
上述のようにして調製した実施例および比較例の各電気化学素子用セパレータを、次に説明する測定方法へ供することで、各電気化学素子用セパレータの収縮率を評価した。
(収縮率の測定方法)
調製した電気化学素子用セパレータから、一辺20cmの正方形の切片(温度:25℃)を切り出した。そして、切片の両主面に耐熱性の離型紙を接触させ、露出している前記離型紙の主面にガラス板を接触させることで、ガラス板の間に耐熱性の離型紙を介して切片を保持してなる、測定サンプルを調製した。
次いで、調製した測定サンプルをドライヤー装置へ供し150℃で1時間加熱した後、測定サンプルをドライヤー装置から取り出し、室温(25℃)雰囲気下に放置して冷却した。 最後に、冷却した測定サンプルから切片(温度:25℃)を取り出し、前記切片における一方の主面の面積を測定して以下の数式に算入することで収縮率(%)を算出した。
A=100−(B/C)×100
A:収縮率(%)
B:加熱された後の、切片における一方の主面の面積(cm
C:加熱される前の、切片における一方の主面の面積(400cm
なお、収縮率が0%に近い電気化学素子用セパレータほど、収縮防止機能に優れることを意味する。
次いで、上述のようにして調製した実施例および比較例の各電気化学素子用セパレータを用いて、次に説明する方法でリチウムイオン二次電池を調製した。
(リチウムイオン二次電池の調製方法)
1.正極の調製
スピネルマンガン酸リチウム(LiMn)粉末87質量%と、アセチレンブラック6質量%とを混合し、そこに、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン、#1120、PVdF濃度:12質量%)を、PVdFの乾燥質量%が7質量%となるように添加して混合液を得た。その後、得られた混合液の粘度が2000cpとなるように混合液へN−メチル−2−ピロリドン溶液を加えて脱泡撹拌機で撹拌することで、正極材ペーストを調製した。
得られた正極材ペーストを、アルミ箔(厚さ:20μm)の一方の主面に塗付した後、80℃で2時間、減圧下にて温度150℃で6時間加熱することで塗付された正極材ペーストからN−メチル−2−ピロリドンを除去した。
そして、ロールプレス機を用いて線圧200Kgで、乾燥処理後の正極材ペーストを塗付したアルミ箔をプレスすることで、正極シート(厚さ:90μm)を調製した。
2.負極の調製
天然黒鉛粉末90質量%に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン、#9130、PVdF濃度:13質量%)を、PVdFの乾燥質量%が10質量%となるように添加した後、脱泡撹拌機で撹拌することで負極材ペーストを用意した。
得られた負極材ペーストを、銅箔(厚さ:15μm)の一方の主面に塗付した後、80℃で2時間加熱して乾燥し、減圧雰囲気下において温度150℃で6時間加熱することで塗付された負極材ペーストからN−メチル−2−ピロリドンを除去した。
そして、ロールプレス機を用いて線圧200Kgで、乾燥処理後の負極材ペーストを塗付した銅箔をプレスすることで、負極シート(厚さ:70μm)を調製した。
3.非水系電解液の調製
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比率が(50:50)となるように混合して調製した混合液に、LiPFを1モル/Lの濃度となるように溶解させて、非水系電解質溶液を調製した。
4.リチウムイオン二次電池の組み立て
実施例および比較例の各電気化学素子用セパレータから幅40mm、長さ2mのセパレータ片を各々切り出し用意した。
次いで、予め端子を溶接した正極シートと負極シートの間にセパレータ片を挟み、捲回することで、角筒形状の電極群を作成した。

作成した前記電極群を、前述の非水系電解液を満たしたアルミラミネート袋の内部へ挿入して、グローブボックス内にてアルミラミネート袋の口を真空ラミネートすることで、理論容量600mAhのラミネートセル型のリチウムイオン二次電池を調製した。

そして、実施例および比較例の各電気化学素子用セパレータごとに10個ずつ、上述のようにしてリチウムイオン二次電池を調製した。そして、調製した各リチウムイオン二次電池を、次に説明する評価方法へ供することで、各電気化学素子用セパレータの諸特性を評価した。
(評価電池の準備方法)
リチウムイオン二次電池を作製後、室温(25℃)で一日放置した。その後、10時間かけて終止電圧4.2Vまで定電流でリチウムイオン二次電池の充電を行ってから、10時間かけて電圧が3Vになるまで定電流放電を行った。このときの放電容量はおよそ500mAhであった。次いで、5時間かけて終止電圧4.2Vまで定電流でリチウムイオン二次電池の充電を行ってから、5時間かけて定電流放電を行った。この充放電を1サイクルとして5サイクル行い各種試験評価用リチウムイオン二次電池とした。
得られた評価用リチウムイオン二次電池を用いて、更に、1時間かけて終止電圧4.2Vまで定電流で充電し、その後、1時間かけて電圧が3Vになるまで定電流放電を行った。この充放電を1サイクルとして20サイクル行うことで、リチウムイオン二次電池として作動することを確認した。
なお、実施例1−5および比較例2−3の電気化学素子用セパレータを用いて調製したリチウムイオン二次電池は、上述の充放電処理を完了することができたのに対し、比較例1の電気化学素子用セパレータを用いて調製したリチウムイオン二次電池については、充放電の途中で内部短絡が発生したため上述の充放電処理を完了できなかった。
そのため、比較例1の電気化学素子用セパレータを用いて調製したリチウムイオン二次電池に対しては、後述する熱安全性の評価を行うことができなかった。
(熱安全性の評価方法)
上述した20サイクル後のリチウムイオン二次電池を用いて、5時間かけて終止電圧4.2Vまで定電流で充電して満充電状態にした。
その後、満充電状態にした各リチウムイオン二次電池の中央部部分に、直径2mmの針を8cm/secの速度で突き刺し貫通させた。次いで、リチウムイオン二次電池から針を引き抜いた後、室温(25℃)雰囲気下に放置した。そして、釘を刺した瞬間から2時間以内に発煙及び発火したリチウムイオン二次電池の個数を数えた。
なお、発火数が少ないほど、熱暴走の発生を防止できる機能に優れる電気化学素子用セパレータであることを意味する。
実施例および比較例の各電気化学素子用セパレータの構成と、各測定方法に供した結果を表1にまとめた。
Figure 2014179279
実施例1−5と比較例1−3を比較した結果から、実施例1−5の電気化学素子用セパレータは比較例1−3の電気化学素子用セパレータよりも収縮率が低いことが判明した。
そして、実施例1−5の電気化学素子用セパレータを用いて調製したリチウムイオン二次電池は、比較例2−3の電気化学素子用セパレータを用いて調製したリチウムイオン二次電池よりも発煙数、発火数とも少ないことが判明した。更に、実施例1−5の電気化学素子用セパレータを用いて調製したリチウム二次電池は、発火数がいずれも0個であり熱暴走は発生しなかったことが判明した。
以上から、本発明の電気化学素子用セパレータは、電気化学素子の熱暴走を防止できる。
本発明によれば、電気化学素子が熱暴走するのを防止できる、電気化学素子用セパレータを提供できる。
そのため、本発明の電気化学素子用セパレータによって、内部短絡や熱暴走が発生するのを防ぐ機能を有する、例えば、リチウムイオン一次電池用、リチウムイオン二次電池用などの、各種の電気化学素子用セパレータを提供できる。

Claims (1)

  1. 低融点樹脂と高融点樹脂および高ガラス転移温度樹脂を含んでいる、電気化学素子用セパレータであって、
    前記低融点樹脂と前記高融点樹脂および前記高ガラス転移温度樹脂はいずれも有機樹脂であり、
    前記高ガラス転移温度樹脂のガラス転移温度は、前記低融点樹脂の融点よりも高く前記高融点樹脂の融点よりも低い、電気化学素子用セパレータ。
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