JP5840990B2 - 電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子 - Google Patents

電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子 Download PDF

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Description

本発明は電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子に関する。
近年、電気機器の小型化や軽量化に伴い、その電源に対しても小型化や軽量化、かつ、高エネルギー密度化の要望が強い。例えば、リチウムイオン二次電池などエネルギー密度が高い電気化学素子は、このような要望を満足できる電池であり、ハイブリッド自動車や電気自動車、携帯電話などの情報機器端末、電動工具などの産業用途に使用されている。
特に、ハイブリッド自動車や電気自動車などの用途において、ハイレート放電に優れる電気化学素子が求められている。
その一方で、電気化学素子が発熱した場合あるいは加熱された場合、電気化学素子を構成する電極間に介在する電気化学素子用セパレータが収縮または溶融して電気化学素子に内部短絡(ショート)が発生することがあった。
そして、エネルギー密度が高くハイレート放電に優れる電気化学素子は、ショートの発生によって熱暴走し易いという問題を有していた。
ハイレート放電に優れると共に、ショートを発生し難い電気化学素子を調製可能な電気化学素子用セパレータとして、例えば、特開2009-123399号公報(特許文献1)には、不織布の空隙に無機粒子を充填してなるリチウムイオン二次電池用セパレータが開示されている。
特許文献1に開示されているリチウムイオン二次電池用セパレータは、不織布の空隙に充填された無機粒子の耐熱性によって、高温状態でリチウムイオン二次電池用セパレータが収縮または溶融するのを防ぐことができるため、ショートを発生し難いことが開示されている。
そして、特許文献1には、リチウムイオン二次電池用セパレータの調製方法として、エアレイ法などを用いて繊維と無機粒子を混合してなる粒子含有ウェブを形成した後に、繊維同士を結合させる方法が開示されており、特許文献1の実施例3には、芯鞘型複合極細繊維と親水性シリカ粒子とを混合し、エアレイ法によりコンベアネット上に無機粒子含有ウェブを形成した後、加熱によって芯鞘型複合極細繊維の鞘成分を熱融着させて、リチウムイオン二次電池用セパレータにおける粉体比率が39mass%の、リチウムイオン二次電池用セパレータを調製したことが開示されている。
更に、特許文献1には、リチウムイオン二次電池用セパレータの別の調製方法として、無機粒子と共にポリビニルアルコールなどの結合剤を混合して、ウェブに塗布できることが開示されている。また、リチウムイオン二次電池用セパレータはポリビニルアルコールを含み構成されていることによって、高温状態での電池電圧を下げ、電池反応の進行を阻害する効果を発揮して、リチウムイオン二次電池の熱暴走を防止できる、ことが開示されている。
特開2009-123399号公報(特許請求の範囲、0007、0010、0019、0025、0030-0031、0036-0037など)
しかし、特許文献1が開示しているような、エアレイ法などを用いて繊維と無機粒子を混合してなる粒子含有ウェブを形成した後に、繊維同士を結合させてなる電気化学素子用セパレータを、巻回あるいは加圧して電気化学素子を調製した場合、調製した電気化学素子にショートが発生することがあった。
電気化学素子にショートが発生した原因として、前記電気化学素子用セパレータでは繊維同士の結合部分に無機粒子が介在しており、繊維同士の結合が弱くなるため、電気化学素子用セパレータを巻回あるいは加圧した際、張力や圧力の作用によって電気化学素子用セパレータに破断が生じ易いためであると考えられた。
そこで、本発明者らは、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができる電気化学素子用セパレータを得るため、「繊維同士が結合した不織布、および、無機粒子とポリビニルアルコールを含み構成されており、前記不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる、電気化学素子用セパレータ」を検討した。
上述の電気化学素子用セパレータは、繊維同士の結合部分に無機粒子が介在することなく不織布における繊維同士が結合していることによって、繊維同士の結合の低下を防ぐことができる。そのため、張力や圧力の作用により電気化学素子用セパレータに破断が発生するのを防ぐことができ、ショートを発生し難い電気化学素子用セパレータであった。
そして、ポリビニルアルコールを含み構成されていることによって、熱暴走するのを防ぐことができる電気化学素子用セパレータであった。
しかし、上述の電気化学素子用セパレータは、高温状態で電気化学素子用セパレータが収縮または溶融してショートするのを更に防ぐため、電気化学素子用セパレータに担持する無機粒子の質量を増量した場合には、不織布の空隙が無機粒子によって閉塞して電気化学素子用セパレータのハイレート放電特性が低下し易くなるという問題があった。
本発明は、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子を調製可能な電気化学素子用セパレータ、及び、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子の提供を目的とする。
本発明は、
[1]「繊維同士が結合した不織布、および、羽毛状の無機粒子とポリビニルアルコールを含み構成されており、前記不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる、電気化学素子用セパレータであって、
前記不織布の空隙率が54%以上70%以下であると共に、
前記電気化学素子用セパレータ質量に占める前記無機粒子質量の百分率が55質量%以上71質量%以下であることを特徴とする、電気化学素子用セパレータ。」
[2]「請求項1に記載された電気化学素子用セパレータを用いた、電気化学素子。」
である。
本発明者らは検討を続けた結果、「繊維同士が結合した不織布、および、無機粒子とポリビニルアルコールを含み構成されており、前記不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる、電気化学素子用セパレータ」において、「電気化学素子用セパレータ質量に占める前記無機粒子質量の百分率が50質量%以上」となるように、無機粒子の担持質量を調整することで、無機粒子の耐熱性によって、高温状態で電気化学素子用セパレータが収縮または溶融するのを効果的に防ぐことができ、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができる、という効果が発揮されることを見出した。
更に、本発明者らは「電気化学素子用セパレータ質量に占める前記無機粒子質量の百分率が50質量%以上100質量%未満」となるように、無機粒子の担持質量を増量する場合であっても、「空隙率が50%以上100%未満」の「繊維同士が結合した不織布」を用いることによって、前記不織布の空隙が無機粒子によって閉塞し難くなり、電気化学素子用セパレータのハイレート放電特性が低下するのを防ぐことができる、という効果が発揮されることを見出した。
そのため、本発明の電気化学素子用セパレータは、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子を調製可能な電気化学素子用セパレータである。
また、本発明の電気化学素子用セパレータは、「不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる」ことによって、繊維同士の結合が低下するのを防いで張力や圧力の作用により破断が発生するのを防ぐことができ、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができる電気化学素子用セパレータであり、ポリビニルアルコールを含み構成されていることによって、熱暴走するのを防ぐことができる電気化学素子を調製できる電気化学素子用セパレータである。
そして、本発明の電気化学素子は、本発明の電気化学素子用セパレータを用いた電気化学素子であるため、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子である。
積層体の態様を示す、模式的側面図である。
以降、本発明の電気化学素子用セパレータ(以降、電気化学素子用セパレータと称する)、および、本発明の電気化学素子用セパレータを用いた電気化学素子の詳細について説明する。
電気化学素子用セパレータは、主として、繊維同士が結合した不織布、および、無機粒子とポリビニルアルコールを含み構成されている。
電気化学素子用セパレータは無機粒子を含み構成されているため、無機粒子の耐熱性によって高温状態で収縮または溶融するのを防ぐことができ、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができる。また、電気化学素子用セパレータはポリビニルアルコールを含み構成されているため、高温状態での電池電圧を下げ、電池反応の進行を阻害する効果を発揮することができ、電気化学素子の熱暴走を防止できる。なお、電気化学素子用セパレータを構成するポリビニルアルコールは、不織布を構成する繊維の繊維成分中、不織布を構成する繊維同士を接着するバインダ中、不織布を構成する繊維と無機粒子を接着するバインダ中のいずれかに存在している。
また、電気化学素子用セパレータは、繊維同士が結合した不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなるため、繊維同士の結合が低下するのを防いで張力や圧力の作用により破断が発生するのを防ぐことができ、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができる。
なお、本発明でいう「繊維同士が結合した不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在」しているとは、不織布を構成する繊維同士の結合部分に無機粒子が介在することなく存在する態様を意味している。
電気化学素子用セパレータは、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率が50質量%以上100質量%未満となるように、無機粒子を含み構成されている。
本発明者らは、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率が50質量%以上であることによって、無機粒子の耐熱性によって電気化学素子用セパレータが高温状態で収縮または溶融するのを効果的に防ぐことができ、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができることを見出した。
一方、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率が100質量%であると、電気化学素子用セパレータが不織布を備えていないものとなるため電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができなくなり、電気化学素子用セパレータがポリビニルアルコールを含み構成されていないものとなるため、電気化学素子の熱暴走を防止できなくなるおそれがある。そのため、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率は100質量%未満でなければならない。
電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率は、上述の範囲内であれば、特に限定されるべきものではないが、電気化学素子用セパレータが備えている無機粒子の質量が多いほど、無機粒子の耐熱性によって高温状態で収縮または溶融するのを防ぐことができ、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができる。
一方、電気化学素子用セパレータが備えている無機粒子の質量が多過ぎると、不織布の空隙が無機粒子によって閉塞し易くなり、電気化学素子用セパレータのハイレート放電特性が低下するおそれがある。
そのため、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率は、55質量%〜95質量%であるのが好ましく、60質量%〜90質量%であるのがより好ましく、65質量%〜85質量%であるのが最も好ましい。
なお、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率R(単位:質量%)は次の式から得られる値をいう。
R=(m/M)×100
ここで、Mは電気化学素子用セパレータの目付(単位:g/m)、mは電気化学素子用セパレータが備えている無機粒子の担持量(単位:g/m)をそれぞれ意味する。
なお、本発明では、目付とは主面における面積1mあたりの質量をいう。
電気化学素子用セパレータの目付は、特に限定されるべきものではないが、5〜60g/mであることができ、10〜50g/mであることができ、15〜40g/mであることができる。
電気化学素子用セパレータの厚さもまた、特に限定されるべきものではないが、厚さが薄い電気化学素子用セパレータはハイレート放電特性に優れる傾向があるものの耐ショート性に劣る傾向があり、一方、厚さが厚い電気化学素子用セパレータは耐ショート性に優れる傾向があるもののハイレート放電特性に劣る傾向がある。
そのため、電気化学素子用セパレータの厚さは、10〜80μmであるのが好ましく、20〜60μmであるのがより好ましく、25〜40μmであるのが最も好ましい。
なお、本発明では、厚さとは厚さ測定器(デジマチック標準外側マイクロメータ(MCC−MJ/PJ)1/1000mm (株)ミツトヨ)により計測した、500g荷重時測定値の5点の厚さの算術平均値をいう。
電気化学素子用セパレータを構成する各部材について、以下に詳細を説明する。
本発明でいう「繊維同士が結合した不織布」(以降、不織布と称する)とは、不織布を構成する繊維の繊維成分が溶融して繊維同士の少なくとも一部分が融着一体化してなる不織布、あるいは、不織布を構成する繊維同士の少なくとも一部分がバインダによって接着一体化してなる不織布を指す。
不織布を構成する繊維の繊維成分として、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)などの有機ポリマーを用いることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、またポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無はいかなるものでも、特に限定されるものではない。
更に、繊維は一種類あるいは複数種類の繊維成分を含み構成されてなるものでも構わない。複数種類の繊維成分を含む繊維として、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用することができる。また、複数の有機ポリマーを混合してなる繊維成分を含む繊維であっても良い。
不織布として、例えば、カード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせて不織布の態様とする乾式不織布、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き不織布の態様とする湿式不織布、直接法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、例えば特開2009-287138号公報に開示の方法など紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法)などを用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集してなる不織布を用いることができる。
また、このようにして調製される不織布における繊維の絡合の程度を調整するため、不織布をニードルパンチ装置や水流絡合装置に供することができる。
繊維同士の少なくとも一部分が融着一体化してなる不織布は、融点の高い有機ポリマーを含む繊維と繊維成分として融点の低い有機ポリマーを含む繊維を混ぜ合わせ絡合させた後、融点の低い有機ポリマーを含む繊維を融着させる、あるいは、融点の高い有機ポリマーと融点の低い有機ポリマーを含む複合繊維を絡合させた後、複合繊維中の融点の低い有機ポリマーを溶融させる、ことによって調製することができる。
繊維同士の少なくとも一部分がバインダによって接着一体化してなる不織布は、不織布にバインダを付与した後バインダを溶融させる、あるいは、不織布にバインダ溶液を付与した後バインダ溶液から溶媒を除去する、ことによって調製することができる。
使用できるバインダの種類は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリオレフィン、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、アクリル樹脂などを用いることができる。なお、これらを1種単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
特に、熱暴走するのを防ぐことができる電気化学素子を調製できる、電気化学素子用セパレータを調製できることから、バインダとしてポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
本発明の繊維同士が結合した不織布は、不織布の空隙率が50%以上である。本発明者らは、空隙率が50%以上の不織布を用いて構成される電気化学素子用セパレータは、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率が50質量%以上となるように、無機粒子の担持質量が増量された場合であっても、不織布の空隙が無機粒子によって閉塞し難くなり、電気化学素子用セパレータのハイレート放電特性を優れたものにできることを見出した。
一方、不織布の空隙率が100%であると、電気化学素子用セパレータが不織布を備えていないものとなるため、電気化学素子用セパレータに破断が発生し、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができなくなる。そのため、電気化学素子用セパレータを構成する不織布の空隙率は、100%未満でなければならない。
不織布の空隙率は、上述の範囲内であれば、特に限定されるべきものではないが、不織布の空隙率が高いほど、不織布の空隙が無機粒子によって閉塞し難くなりハイレート放電特性を更に優れたものにできる。
一方、不織布の空隙率が高過ぎると、得られる電気化学素子用セパレータの耐ショート性が低下するおそれがある。
そのため、不織布の空隙率は、51%〜99%であるのが好ましく、52%〜90%であるのがより好ましく、53%〜80%であるのがより好ましく、54%〜70%であるのがより好ましく、55%〜60%であるのが最も好ましい。
なお、不織布の空隙率P(単位:%)は次の式から得られる値をいう。
P={1−(Fr+Fr+・・+Fr)}×100
Frはセパレータを構成するn成分の充填率(単位:%)を示し、次の式から得られる値をいう。
Fr=(M×Pr)/(T×SG
そして、Mは不織布の目付(単位:g/m)、Tは不織布の厚さ(単位:μm)、Prは不織布におけるn成分の存在質量比率、SGは成分nの比重(単位:g/cm)をそれぞれ意味しており、例えば、不織布が繊維のみから構成されている場合には、不織布の空隙率P(単位:%)は次の式から得られる。
P={1−M/(T×SG)}×100
また、例えば、後述する塗工液を不織布に塗付し易くするなどの目的のために、不織布を親水化してもよい。不織布を親水化する方法は適宜調整するが、例えば、不織布をプラズマ処理に供する、不織布をスルホン化処理に供するなどすることができる。
不織布の表面および空隙に存在する無機粒子の種類は、適宜選択することができるため限定されるものではないが、例えば、酸化鉄、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、アルミナ−シリカ複合酸化物、TiO、SnO、BaTiO、ZrO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイトなどの粘土;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの鉱物資源由来物質またはそれらの人造物などを使用することができる。
特に、本発明の電気化学素子用セパレータを、マンガンあるいはマンガン化合物を含む電極を備える一次電池あるいは二次電池(例えば、二酸化マンガンリチウム電池など)用のセパレータとして使用する場合には、無機粒子が電極に含まれるマンガンあるいはマンガン化合物と反応して電池特性が変化するのを防止できることから、無機粒子としてアルミナ粒子やアルミナ−シリカ複合酸化物粒子など、アルミ酸化物の粒子を用いるのが好ましい。
使用する無機粒子の形状は限定されるものではなく、例えば、球状(略球状や真球状)、繊維状、針状、平板状、多角形立方体状、羽毛状などから適宜選択することができる。
なお、無機粒子として真球状の無機粒子を含んで構成される電気化学素子用セパレータであると、不織布の空隙に無機粒子が均一に分散した状態で存在することができることによって、無機粒子の耐熱性によって高温状態で収縮または溶融するのを効率よく防ぐという効果を奏することができ、好ましい。
真球状の無機粒子として、無機粒子を調製可能な原料の粉塵雲を、例えば空気、酸素、塩素、窒素などの反応ガス雰囲気下で爆燃させ、無機粒子を製造する方法(例えば、特開昭60-255602号公報に開示の方法など)により得られる無機粒子(以降、爆燃無機粒子と称する)を例示できる。
更に、爆燃無機粒子中に存在する水分量は少ないことが知られているため、爆燃無機粒子を含み構成された電気化学素子用セパレータを用いて調製された、例えば、リチウムイオン二次電池など非水系電解液を用いてなる電気化学素子は、電気化学素子の非水系電解液に水分が混入することに起因する、例えば、電気化学素子のショートの発生などの問題の発生を防ぐことができ、好ましい。
このような、爆燃無機粒子として、例えば、株式会社アドマテックス社のシリカ粒子(アドマファイン:登録商標、商品名:SO-E1、SO-E2、SO-E3、SO-E4、SO-E5、SO-E6、SO-C1、SO-C2、SO-C3、SO-C4、SO-C5、SO-C6)、株式会社アドマテックス社のアルミナ粒子(アドマファイン:登録商標、商品名:AO-802、AO-809、AO-820、AO-502、AO-509、AO-520)などを挙げることができる。
更に、無機粒子として羽毛状の無機粒子を含んで構成される電気化学素子用セパレータであると、電気化学素子のハイレート放電特性が低下するのを防ぐという効果を奏する傾向があると共に、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐという効果を奏する傾向があるため好ましい。
この理由は、完全には明らかになっていないが、羽毛状の無機粒子が存在することによって、無機粒子間の空隙、繊維間の空隙、無機粒子と繊維間の空隙を大きくすることができるため、電気化学素子のハイレート放電特性が低下するのを防ぐことができると考えられる。また、羽毛状の無機粒子が存在することによって、電気化学素子用セパレータの柔軟性が向上して、電気化学素子用セパレータの捲回時に破断が発生するのを防ぐことができるため、電気化学素子にショートが発生するのを防ぐことができると考えられる。
このような、羽毛状の無機粒子として、例えば、日産化学工業株式会社のアルミナ系化合物の無機粒子(アルミナゾル-100、アルミナゾル-200)などを挙げることができる。
本発明で使用できる無機粒子の粒子径は、特に限定されるべきものではないが、不織布の空隙に無機粒子が均一に分散した状態で存在することができることによって、無機粒子の耐熱性によって高温状態で収縮または溶融するのを効率よく防ぐことができるという効果を奏する電気化学素子用セパレータであるように、無機粒子の粒子径は、例えば、3μm以下とすることができ、2μm以下とすることができ、1μm以下とするのが好ましい。
無機粒子の粒子径の下限値は特に限定するものではないが、無機粒子の粒子径が小さすぎると、不織布の空隙が無機粒子によって閉塞し易くなり、ハイレート放電特性が低下した電気化学素子用セパレータとなるおそれがある。そのため、無機粒子の粒子径は0.1μm以上であるのが好ましく、0.2μm以上であるのがより好ましく、0.3μm以上であるのが最も好ましい。
なお、無機粒子の粒子径は、無機粒子を大塚電子(株)製FPRA1000(測定範囲3nm〜5000nm)に供して、動的光散乱法で3分間の連続測定を行い、散乱強度から得られた粒子径測定データから求める。つまり、粒子径測定を5回行い、その測定して得られた粒子径測定データを粒子径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したデータにおける無機粒子の累積値50%点の粒子径D50(以降、D50と略して称する)を、無機粒子の粒子径とする。なお、測定に使用する分散液は温度25℃に調整し、25℃の水を散乱強度のブランクとして用いる。
また、無機粒子の粒子径分布は、特に限定されるべきものではないが、無機粒子の粒子径分布が広過ぎると、不織布の空隙に無機粒子を均一に分散した状態で存在させることが困難となるおそれがある。
そのため、無機粒子の粒子径分布は(D50/2)以上(D50×2)以下の範囲内にあるのが好ましい。なお、無機粒子の粒子径分布は前述した動的光散乱法で測定し、測定強度から得られた粒子径測定データから求める。
電気化学素子用セパレータを構成するポリビニルアルコールとして、例えば、重合度が100〜10000、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜3000のものを使用できる。また、けん化度については限定されるものではないが、例えば、けん化度が60%以上、けん化度が70%以上、けん化度が80%以上、けん化度が90%以上、けん化度が100%のポリビニルアルコールなどを用いることができる。
なお、ポリビニルアルコールの含有量は限定されるものではないが、電池容量1mAhあたり0.1mg以上となるように、電気化学素子用セパレータに担持させるのが好ましく、その上限は特に限定するものではないが、100mg以下であるのが妥当である。
以下に本発明の電気化学素子用セパレータの製造方法について、詳細を説明する。
電気化学素子用セパレータの製造方法は、特に限定されるものではないが、無機粒子を溶媒に分散させてなる塗工液を不織布に塗付し、その後、塗工液を塗付した不織布から溶媒を除去することで製造することができる。
以下、塗工液を繊維同士が結合した不織布に塗付して、不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる電気化学素子用セパレータを製造する方法について説明する。
まず、塗工液を塗付する不織布として、上述した空隙率を有する不織布を用意する。
なお、不織布の空隙率を調整するため、例えば、以下に例示する方法を用いることができる。
1.不織布を構成する繊維質量やバインダなどの構成成分の質量を調整する方法。
2.不織布を構成する繊維同士の絡合の程度を、例えば、カード装置、ニードルパンチ装置、水流絡合装置などによって、調整する方法。
3.不織布を加熱することによって、不織布を構成する繊維成分やバインダなどの構成成分を溶融させる方法。
4.不織布を溶媒に浸漬することによって、不織布を構成する繊維成分中やバインダなどの構成成分中から、前記溶媒に可溶な成分を除去する方法。
5.例えば、ニップローラ装置、カレンダロール装置などの装置を用いる、あるいは、平板間で不織布を挟むなどの方法を用いることで、不織布に圧力を作用させ不織布の厚さを変化させる方法。
次いで、無機粒子を溶媒に分散させてなる塗工液を用意する。
塗工液を構成する溶媒の種類は特に限定するものではなく、例えば、水、アルコール類、エーテル類などを、単独あるいは混合して使用することができる。
また、塗工液には、例えば、界面活性剤(例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など)、上述したバインダ(例えば、ポリビニルアルコールなど)などを添加しても良く、添加量は適宜調整する。
なお、電気化学素子用セパレータに無機粒子の塗付ムラが存在する場合、調製される電気化学素子用セパレータの均一性が失われて、電気化学素子にショートを発生させる原因となる。特に、塗工液中で無機粒子が凝集した塗工液を不織布に塗付すると、調製される電気化学素子用セパレータに無機粒子の塗付ムラが発生し易いことが知られている。(例えば、国際公開第2009/096451号パンフレット、段落番号0011-0012など)
本発明者らは、水を含む溶媒にアルミナ粒子を分散させて塗工液を調製する場合、ポリビニルアルコールを添加した塗工液であると、塗工液中でアルミナ粒子が凝集するのを防いでアルミナ粒子が均一に分散した塗工液を調製できることを見出した。
更に、本発明者らは、水を含む溶媒にポリビニルアルコールを混合しアルミナ粒子を分散させた塗工液を用いることで、調製した電気化学素子用セパレータから無機粒子が粉落ちするのを防ぐことができることを見出した。この理由は明らかになっていないが、ポリビニルアルコールを介在させて不織布を構成する繊維にアルミナ粒子を強固に接着できるためであると考えられる。
そのため、水を含む溶媒にポリビニルアルコールを混合しアルミナ粒子を分散させた塗工液を用いることで、電気化学素子用セパレータに無機粒子の塗付ムラが発生するのを防ぐという効果、ならびに、電気化学素子用セパレータから無機粒子が粉落ちして電気化学素子用セパレータに無機粒子の不存在部分が生じてしまうのを防ぐという効果を奏することで、ショートを発生し難い電気化学素子用セパレータを調製でき好ましい。
そして、上述のようにして調製した塗工液を不織布へ塗付する。
塗工液を不織布へ塗付する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、不織布に塗工液をスプレーする方法、グラビアロールを用いたキスコータ法を用いて不織布に塗工液を塗布する方法、不織布を塗工液中に浸漬する方法など、公知の方法を使用することができる。
なお塗工液を不織布へ塗付する際、塗工液を加熱あるいは冷却した状態(換言すれば、無機粒子を加熱あるいは冷却した状態)にして、塗付することができる。このときの塗工液の温度は、例えば、5℃〜50℃とすることができ、20℃〜40℃とすることができる。
最後に、上述のようにして調製した塗工液が塗付された不織布から、塗工液中の溶媒を除去して電気化学素子用セパレータを製造する。
塗工液が塗付された不織布から溶媒を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、近赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、ハロゲンヒータなどの加熱により溶媒を除去する方法、あるいは、送風などにより溶媒を除去する方法、あるいは、加熱と送風を組み合わせた方法を使用することができる。また、塗工液が塗付された不織布を、例えば、室温(25℃)に放置する方法、減圧条件下に曝す方法、溶媒が揮発可能な温度以上の雰囲気下に曝す方法など、公知の方法を用いることができる。
塗工液中にバインダ(例えば、ポリビニルアルコールなど)が添加されている場合には、上述の塗工液が塗付された不織布から溶媒を除去する方法によって、溶媒を除去すると共に不織布を構成する繊維に前記バインダを介在させて無機粒子を接着できる。
以上に説明した、本発明の電気化学素子用セパレータは、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子を調製可能な電気化学素子用セパレータである。
そのため、本発明の電気化学素子用セパレータを用いてなる、例えば、リチウムイオン電池、マンガンあるいはマンガン化合物を含む電極を備える一次電池あるいは二次電池(例えば、二酸化マンガンリチウム電池など)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの電気化学素子は、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子である。
本発明の電気化学素子用セパレータを、例えば、リチウムイオン二次電池用のセパレータとして使用してリチウムイオン二次電池を調製する場合、正極として例えば、リチウムやナトリウム含有遷移金属化合物や硫黄系化合物のスラリーを集電材に担持させたもの等を使用することができ、負極として例えば、リチウム金属やリチウムと合金になる材料(例えば、スズ系合金、シリコン系合金などの材料)、及びリチウムを吸蔵、放出可能なポリアセン、炭素材料(例えば、カーボン、天然黒鉛や人造黒鉛など)、バナジウム系化合物、チタン酸リチウム系化合物を集電材に担持させたもの等を使用することができ、電解質として例えば、非水系電解液(例えば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒にLiPF6を溶解させた電解液)等を使用することができる。また、調製可能なリチウムイオン二次電池のセル構造も特に限定するものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型などであることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
1.不織布の調製方法
芯成分がポリプロピレン(融点:170℃)、鞘部がポリエチレン(融点:135℃)の芯鞘型複合繊維(繊度:0.8dtex、繊維長:10mm)67質量部と、ポリプロピレン極細繊維(融点:160℃、繊維径:2μm、繊維長:2mm)33質量部とを混合し、湿式抄造法により繊維ウェブを調製した。
その後、前記繊維ウェブを温度140℃の熱風で10秒間処理した後、80℃のカレンダーロールに供すると共に、繊維ウェブへかけるロール圧を調整して、不織布(空隙率:54%、厚さ:22μm、目付:10g/m)を調製した。
更に、調製した不織布をプラズマ処理に供することで、親水化処理した不織布を得た(空隙率:54%、厚さ:22μm、目付:10g/m)。
なお、不織布は繊維のみから構成されており、不織布を構成する繊維の平均比重は0.98g/cmであった。
2.塗工液の調製方法
塗工成分としてアルミナ粒子(昭和電工(株)製、AI-45-A、平均粒子径(D50):790nm)94.2質量部とアルミナゾル(日産化学工業(株)製、アルミナゾル-200)0.8質量部とポリビニルアルコール(PVA、和光純薬工業製、完全けん化、重合度500)5質量部を水に混合して、固形分濃度が60質量部の塗工液を調製した。
なお、塗工液中でアルミナ粒子は、凝集することなく均一に分散した。
3.塗工液の塗付方法
塗工成分の乾燥質量が14g/m2となるように、グラビアロールを用いたキスコータ法を用いて、親水化処理した不織布の表面全体に塗工液を塗付した。
4.乾燥方法
塗工液が塗付された不織布を、遠赤外線ヒータを備えた乾燥機に供することで、親水化処理した不織布に塗付された塗工液から水を除去して、電気化学素子用セパレータ(目付:24g/m2、厚さ:28μm)を調製した。
(実施例2)
実施例1の(3.塗工液の塗付方法)において、塗工成分の乾燥質量が20g/m2となるように、親水化処理した不織布の表面全体に塗工液を塗付したこと以外は、実施例1と同様にして電気化学素子用セパレータ(目付:30g/m2、厚さ:32μm)を調製した。
(実施例3)
実施例1の(3.塗工液の塗付方法)において、塗工成分の乾燥質量が25g/m2となるように、親水化処理した不織布の表面全体に塗工液を塗付したこと以外は、実施例1と同様にして電気化学素子用セパレータ(目付:35g/m2、厚さ:35μm)を調製した。
(実施例4)
実施例1の(3.塗工液の塗付方法)において、塗工成分の乾燥質量が29g/m2となるように、親水化処理した不織布の表面全体に塗工液を塗付したこと以外は、実施例1と同様にして電気化学素子用セパレータ(目付:39g/m2、厚さ:39μm)を調製した。
(実施例5)
実施例1の(1.不織布の調製方法)において、繊維ウェブへかけるロール圧を調整して、実施例1-4よりも空隙率の高い親水化処理した不織布(空隙率:59%、厚さ:25μm、目付:10g/m)を調製したこと以外は、実施例3と同様にして電気化学素子用セパレータ(目付:35g/m2、厚さ:37μm)を調製した。
(比較例1)
実施例1の(1.不織布の調製方法)において、繊維ウェブへかけるロール圧を調整して、実施例1-5よりも空隙率の低い親水化処理した不織布(空隙率:49%、厚さ:20μm、目付:10g/m)を調製したこと以外は、実施例3と同様にして電気化学素子用セパレータ(目付:35g/m2、厚さ:31μm)を調製した。
(比較例2)
実施例1の(3.塗工液の塗付方法)において、塗工成分の乾燥質量が10g/m2となるように、親水化処理した不織布の表面全体に塗工液を塗付したこと以外は、実施例3と同様にして電気化学素子用セパレータ(目付:20g/m2、厚さ:26μm)を調製した。
上述のようにして製造した、実施例1-5および比較例1-2の電気化学素子用セパレータにおける物性を表1にまとめた。また、親水化処理した不織布の空隙率(%)の算出値、および、電気化学素子用セパレータ質量に占める無機粒子質量の百分率を意味する担持割合(質量%)の値については、小数点以下を四捨五入した。
なお、実施例1-5および比較例1-2で調製したいずれの電気化学素子用セパレータも、繊維同士が結合した不織布の表面および空隙にのみアルミナ粒子が存在してなる、電気化学素子用セパレータであった。
Figure 0005840990

次いで、実施例1-5および比較例1-2の電気化学素子用セパレータの、各種物性について以下の方法を用いて評価した。
(アルミナ粒子担持状態の確認)
実施例1-5および比較例1-2で調製した各々の電気化学素子用セパレータの主面を、目視で確認することで、電気化学素子用セパレータの主面におけるアルミナ粒子の塗付ムラの有無を確認した。
また、実施例1-5および比較例1-2で調製した各々の電気化学素子用セパレータを、以下に説明する各種の測定に供している間に、電気化学素子用セパレータからアルミナ粒子が粉落ちしたかどうかを、目視で確認した。

その結果、実施例1-5および比較例1-2いずれの電気化学素子用セパレータの主面にも、アルミナ粒子の塗付ムラは認められず、また、アルミナ粒子の粉落ちは認められなかった。
(耐ショート性の測定)
短冊形状(長辺6cm、短辺3cm)のニッケルめっき不織布を用意した。そして、ニッケルめっき不織布における一方の長辺の中心部分に端子を溶接して、仮想電極を作製した。同様にして仮想電極を合計16枚作製した。
次いで、実施例1-5および比較例1-2に係る各電気化学素子用セパレータから、長辺50cm、短辺3.5cmの帯状試験片を各々切り取った。
上述のようにして用意した各仮想電極と各帯状試験片を、100℃の真空乾燥機に供して1時間真空乾燥した。

そして、上述のようにして乾燥し調製した帯状試験片と2枚の仮想電極を、仮想電極-帯状試験片-別の仮想電極の順番で重ねて積層体を調製した。
このとき、積層体の態様を、積層体の態様を示す模式的側面図である、図1の態様となるようにした。積層体(10)の態様について、図1を用いて説明する、なお、図1では、帯状試験片(1)よりも紙面上の奥側に存在する仮想電極(2)を破線で図示している。
つまり、帯状試験片(1)の各主面上から各仮想電極(2)を構成しているニッケルめっき不織布部分(3)がはみ出ることなく、帯状試験片(1)における短辺と各仮想電極(2)における短辺とが平行をなすと共に、帯状試験片(1)の各長辺側の各々に各仮想電極(2)の各端子(4)が存在するようにして、積層体(10)を調製した。
次いで、積層体(10)を長辺方向に捲回することで筒状の測定素子を作製した。このとき、捲回によって仮想電極(2)同士が接触しないように、積層体(10)の中心部分(図1では帯状試験片(1)の中心部分に相当)から帯状試験片(1)の各短辺方向に向かい捲回することで、仮想電極(2)同士の間に帯状試験片(1)が常に存在するようにして捲回して、筒状の測定素子を作製した
同様にして、各帯状試験片を備えてなる測定素子を各々作製した。
また、ブランクとして、2枚の仮想電極を各主面同士がはみ出ることがないようにして重ねて別の積層体を調製した。この時、各仮想電極に溶接された端子同士の距離が最も長くなるようにして各仮想電極を積層した。次いで、仮想電極のみからなる別の積層体を長辺方向に捲回することで筒状の測定素子(以降、ブランク測定素子、と称する)を作製した。
そして、作製した各測定素子を構成している仮想電極が備える端子間の抵抗値を、LCRメーターで測定(1kHz)することで各測定素子の抵抗値(Ω)を測定し、実施例1-5および比較例1-2で調製した各々の電気化学素子用セパレータの耐ショート性を評価した。
なお、ブランク測定素子の抵抗値(Ω)を測定した結果、ブランク測定素子の抵抗値(Ω)は0.03Ωであることが判明した。
ブランク測定素子における抵抗値(Ω)は、測定素子における端子間の最短距離における抵抗値(Ω)を意味しており、測定素子が示す最も低い抵抗値(Ω)である。
そのため、測定素子の抵抗値(Ω)を測定した結果が、ブランク測定素子の抵抗値である0.03Ωと同等の値を示す場合には、作製された測定素子を構成している帯状試験片の主面に破断あるいはピンホールが発生していることを意味することから、本測定では、作製した測定素子における抵抗値(Ω)の測定結果が0.05Ω以上である場合、測定素子を作製するのに使用した電気化学素子用セパレータは、耐ショート性に優れると評価した。
(ハイレート放電特性の測定)
(1)正極の作成
コバルト酸リチウム(LiCoO)粉末87質量部とアセチレンブラック6質量部、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)7質量部を、N−メチル−ピロリドン(NMP)に溶解させ、ポリフッ化ビニリデン濃度が13質量%の正極剤ペーストを作製した。次いで、このペーストを厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、乾燥した後にプレスして、厚さ90μmの正極を作製した。

(2)負極の作成
負極活物質として天然黒鉛粉末90質量部とポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部を、N−メチル−ピロリドン(NMP)に溶解させ、ポリフッ化ビニリデン濃度が13質量%の負極剤ペーストを作製した。このペーストを厚さ15μmの銅箔上に塗布し、乾燥した後にプレスして、厚さ70μmの負極を作製した。

(3)非水系電解液の用意
非水系電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(比率=50質量%:50質量%)に、LiPFを溶解させた1M溶液(キシダ化学(株)製)を用意した。

(4)リチウムイオン二次電池の作製
CR−2032型コインセルに負極(直径:12mm)、電気化学素子用セパレータ(直径:16mm)、正極(直径:12mm)の順に積層した後、非水電解液を注液し、スペーサーを介して蓋をした後、コイン電池用かしめ機でパッキングを行い、リチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。なお、正極と負極の質量比率は1:1.1とした。
上述のようにして、実施例1-5および比較例1-2に係る各電気化学素子用セパレータを用いて、各リチウムイオン二次電池を各々3個ずつ作製した。
作製した各リチウムイオン二次電池のそれぞれの容量をCと表した場合に、0.2Cで表される充電速度で6時間充電した後15分間放置し、その後、放電速度0.2C及び8Cにおいて電圧が0.8Vになるまで放電した。
この時の、各リチウムイオン二次電池における、放電速度0.2Cにおける放電容量と、放電速度8Cにおける放電容量とを測定した。
この測定を、各3個のリチウムイオン二次電池において行ない、得られた放電速度0.2Cにおける放電容量(Cp0.2)と、放電速度8Cにおける放電容量(Cp8)の各算術平均値を算出した。
そして、測定された各リチウムイオン二次電池における時間あたりの理論容量2.5(mAh)の値と、上述のようにして算出された放電速度0.2Cにおける放電容量(Cp0.2)と、放電速度8Cにおける放電容量(Cp8)の値を以下の式に代入することで、0.2C放電時の利用効率(%)と8C放電時の利用効率(%)を算出した。
0.2C放電時の利用効率(%)=(Cp0.2/2.5)×100
8C放電時の利用効率(%)=(Cp8/2.5)×100
なお、この利用効率(%)が100%に近いリチウムイオン二次電池であるほど、ハイレート放電特性に優れるリチウムイオン二次電池であることを意味する。そのため、本測定では、作製したリチウムイオン二次電池における8C放電時の利用効率(%)が10%よりも高い場合、リチウムイオン二次電池を作製するのに使用した電気化学素子用セパレータは、ハイレート放電特性に優れているものであると評価した。
上述のようにして評価した、実施例1-5および比較例1-2の電気化学素子用セパレータにおける各測定結果を表2にまとめた。
なお、0.2C放電時の利用効率(%)および8C放電時の利用効率(%)の算出値については、小数点以下を四捨五入した。
また、上述のようにして評価した、電気化学素子用セパレーに対する耐ショート性およびハイレート放電特性の評価について、結果が優れるものには○印を記載し、結果が劣るものには×印を記載した。
Figure 0005840990

以上の結果から、実施例1-5の電気化学素子用セパレータは、比較例1の電気化学素子用セパレータよりも、8C放電時の利用効率(%)が高いことが判明した。
そのため、実施例1-5の電気化学素子用セパレータは、比較例1の電気化学素子用セパレータよりも、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子用セパレータである。
また、実施例1-5の電気化学素子用セパレータは、比較例2の電気化学素子用セパレータよりも、測定素子の抵抗値(Ω)が高いことが判明した。
そのため、実施例1-5の電気化学素子用セパレータは、比較例2の電気化学素子用セパレータよりも、ショートを発生し難い電気化学素子用セパレータである。
以上から、本発明の電気化学素子用セパレータは、電気化学素子用セパレータ質量に占める前記無機粒子質量の百分率が50質量%以上であると共に、空隙率が50%以上の繊維同士が結合した不織布を用いてなる電気化学素子用セパレータであるため、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れるという効果を奏する電気化学素子用セパレータである。
また、本発明の電気化学素子用セパレータは、不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる、電気化学素子用セパレータであるため、張力や圧力の作用により電気化学素子用セパレータに破断が発生するのを防ぐことができ、ショートを発生し難い電気化学素子用セパレータであると共に、ポリビニルアルコールを含み構成されていることによって、熱暴走するのを防ぐことができる電気化学素子を調製できる電気化学素子用セパレータである。
そして、本発明の電気化学素子は、本発明の電気化学素子用セパレータを用いた電気化学素子であるため、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子である。
本発明によれば、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子を調製可能な電気化学素子用セパレータ、及び、ショートを発生し難く熱暴走するのを防ぐことができると共に、ハイレート放電特性に優れる電気化学素子を提供することができる。
そのため、本発明の電気化学素子用セパレータを用いることで、例えば、リチウムイオン二次電池などのエネルギー密度が高い電気化学素子を調製できる。
1・・・帯状試験片
2・・・仮想電極
3・・・ニッケルめっき不織布部分
4・・・端子
10・・・積層体

Claims (2)

  1. 繊維同士が結合した不織布、および、羽毛状の無機粒子とポリビニルアルコールを含み構成されており、前記不織布の表面および空隙にのみ無機粒子が存在してなる、電気化学素子用セパレータであって、
    前記不織布の空隙率が54%以上70%以下であると共に、
    前記電気化学素子用セパレータ質量に占める前記無機粒子質量の百分率が55質量%以上71質量%以下であることを特徴とする、電気化学素子用セパレータ。
  2. 請求項1に記載された電気化学素子用セパレータを用いた、電気化学素子。
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