JP2018206671A - リチウムイオン電池セパレータ用基材及びリチウムイオン電池セパレータ - Google Patents

リチウムイオン電池セパレータ用基材及びリチウムイオン電池セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、リチウムイオン電池セパレータ用基材と無機粒子を含む塗層との接着性が高く、厚みを薄くすることができ、引張強度と断裁性に優れたリチウムイオン電池セパレータ基材及び該リチウムイオン電池セパレータ用基材を使用したリチウムイオン電池セパレータを提供することにある。【解決手段】変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維と合成樹脂短繊維とを含有してなるリチウムイオン電池セパレータ用基材において、該耐熱性繊維がパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドであり、その含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下であることを特徴とするリチウムイオン電池セパレータ用基材。変法濾水度:ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池セパレータ用基材(以下、「基材」と略記する場合がある)及びリチウムイオン電池セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)に関する。
近年、リチウムイオン電池の用途が、従来からの携帯機器に加え、電気自動車等の用途に拡大している。電気自動車等の用途では、携帯機器と比較して大型のリチウムイオン電池が採用されている。
リチウムイオン電池セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンからなる多孔性フィルムが多く使用されている。ポリオレフィンからなる多孔性フィルムには、電池内部の温度が130℃近傍になった場合、溶融して微多孔を塞ぐことで、リチウムイオンの移動を防ぎ、電流を遮断させる熱ヒューズ機能(シャットダウン機能)がある。しかし、何らかの状況により、温度が更に上昇した場合、ポリオレフィン自体が溶融してショートし、熱暴走する可能性がある。大型のリチウムイオン電池では、熱暴走の被害が甚大になる。そこで、耐熱性セパレータが注目されている。
耐熱性セパレータとして、ポリエステル不織布を内包し、電解液に膨潤する有機高分子からなる多孔膜からなるセパレータ(例えば、特許文献1参照)、融点が80〜130℃の樹脂、加熱により電解液を吸収して膨潤する樹脂の少なくとも1種の樹脂と多孔質基体とフィラー粒子(無機粒子)とを含む多孔質膜からなり、多孔質基体が不織布である電気化学素子用セパレータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。これらのセパレータは、不織布である基材と、有機高分子からなる多孔膜、無機粒子を含む多孔膜(塗層)とを併用していて、多孔膜は塗工によって基材に設けられている。
また、不織布である基材と、多孔膜とを併用しているセパレータにおいて、芳香族ポリアミド((ポリ)アラミド)、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド等の耐熱性繊維を含有する基材によって、耐熱性を更に高めたセパレータが提案されている。例えば、フィブリル化耐熱性繊維と合成短繊維とを必須成分として含有してなる湿式不織布からなり、フィブリル化耐熱性繊維:合成短繊維の好ましい質量比率が7:1〜1:19である基材(例えば、特許文献3参照)、ポリアラミド繊維を有する基材であり、少なくとも1の更なるポリマーからの繊維と結合していて、(ポリアラミド繊維):(更なるポリマーの繊維)の好ましい混合比が10:1〜1:10である基材(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
また、合成樹脂短繊維とフィブリル化リヨセル繊維とを必須繊維として含有した不織布からなり、さらに、不織布がフィブリル化耐熱性繊維を含有してなり、その好ましい含有率が5〜60質量%である基材(例えば、特許文献5参照)、配向結晶化ポリエステル系繊維を30質量%以上含有する不織布であり、フィブリル化耐熱性繊維を含むことが更に好ましく、その好ましい含有量が、全繊維に対して5〜60質量%である基材(例えば、特許文献6参照)が開示されている。
特許文献3〜6に開示されている基材では、耐熱性繊維の好ましい含有率における最低値は5質量%である。すなわち、耐熱性繊維の含有率が5質量%以上である基材が好ましいことが開示されている。しかしながら、耐熱性繊維は剛直であることが多いため、その含有率が5質量%以上である場合には、基材が潰れにくく、基材の厚みを薄くすることが難しいという問題があった。あえて、熱や荷重を掛けて基材を潰した場合、セパレータの抵抗が高くなる問題、所定幅に断裁してセパレータとして使用する際にスリット工程で断裁し難い問題、電極の積層工程において、溶断カットし難くなる問題があった。さらに、耐熱性繊維間及び耐熱性繊維と他の繊維間の結合力が低いため、耐熱性繊維の含有率が5質量%以上である場合には、基材の引張強度が低くなり、塗工操作において特段の配慮を有する必要があった。
また、特許文献3では、不織布内部に無機粒子が充填されて、基材内部の空孔を閉塞することによって、電解液保持性が悪く、セパレータの内部抵抗が高くなるという問題を解決するために、フィブリル化耐熱性繊維を必須成分とした基材が開示され、実施例では、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が20〜60質量%の基材を製造している。しかし、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が多い基材は、無機粒子が基材表面に集中的に積層されるため、基材と塗層との接着性が悪くなる問題が生じる場合があった。
また、無機粒子を含む塗層を設けるための基材において、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を含有し、PET繊維由来のX線回折強度が特定の範囲内であることによって、塗液の塗工性や後加工性に優れている基材が開示されている(例えば、特許文献7参照)。特許文献7では、PET繊維以外の繊維を配合することができ、PET繊維とPET繊維以外の繊維の含有比率は、質量基準で100:0〜70:30であることが好ましいことが記載されている。そして、実施例では、ろ水度300mlのアラミド繊維を20質量%含む基材が記載されている。しかし、特許文献7では、「品質と生産性を損なわない範囲で、PET繊維以外の繊維を配合することができる」と記載されていて、PET繊維以外の繊維を入れることによって得られる効果については何ら検討されていない。
特開2005−293891号公報 特開2007−157723号公報 特開2012−3873号公報 特表2013−501082号公報 国際公開第2011/046066号パンフレット 特開2012−134024号公報 特開2013−179034号公報
本発明の課題は、リチウムイオン電池セパレータ用基材と無機粒子を含む塗層との接着性が高く、厚みを薄くすることができ、引張強度と断裁性に優れたリチウムイオン電池セパレータ基材及び該リチウムイオン電池セパレータ用基材を使用したリチウムイオン電池セパレータを提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記発明を見出した。
(1)変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維と合成樹脂短繊維とを含有してなるリチウムイオン電池セパレータ用基材において、該耐熱性繊維がパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドであり、その含有率が1.0質量%以上4.0質量%以下であることを特徴とするリチウムイオン電池セパレータ用基材。
変法濾水度:ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値。
(2)該基材に含まれる全繊維成分に対して、合成樹脂短繊維の含有率が90.0質量%以上99.0質量%以下である(1)記載のリチウムイオン電池セパレータ用基材。
(3)該基材に含まれる全繊維成分に対して、合成樹脂短繊維の含有率が96.0質量%以上99.0質量%以下である(1)記載のリチウムイオン電池セパレータ用基材。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン電池セパレータ用基材と無機粒子を含む塗層とを有していることを特徴とするリチウムイオン電池セパレータ。
本発明のリチウムイオン電池セパレータ用基材は、厚みを薄くすることができ、引張強度と断裁性に優れる。また、本発明のリチウムイオン電池セパレータ用基材と無機粒子を含む塗層とを有する、本発明のリチウムイオン電池セパレータは、基材と塗層との接着性が高いという効果を達成できる。
パラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを含むリチウムイオン二次電池セパレータ用基材の電子顕微鏡写真である。 パラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用基材の電子顕微鏡写真である。
本発明のリチウムイオン電池セパレータ用基材は、変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維と合成樹脂短繊維とを含有してなるリチウムイオン電池セパレータ用基材であり、該耐熱性繊維がパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドであり、その含有率が1.0質量%以上4.0質量%以下であることを特徴とする。
本発明において、リチウムイオン電池セパレータ用基材とは、無機粒子を含む塗層、有機粒子を含む塗層、多孔性フィルム、固体電解質及びゲル状電解質の群からなるいずれか1種の複合化物と組み合わせることによってリチウムイオン電池セパレータになるものであり、リチウムイオン電池セパレータの前駆体シートである。すなわち、本発明の基材は、基材単独ではリチウムイオン電池セパレータとならない。なお、耐熱性の点において、基材と無機粒子を含む塗層とを有するセパレータが最も好ましい。
本発明において、無機粒子としては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ等のアルミナ;ベーマイト等のアルミナ水和物;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物を用いることができる。これらの中でも、リチウムイオン電池に用いられる電解質に対する安定性が高い点で、α−アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウムが好ましく用いられる。
有機粒子フィラーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−ビニルモノマー共重合、ポリオレフィンワックスなどが挙げられる。
多孔性フィルムとしては、フィルムを形成できる樹脂であれば、特に制限はないが、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と言ったポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂単独だけでなく、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン系樹脂と他のポリオレフィン系樹脂との混合物等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンとプロピレンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられる。基材と多孔性フィルムとを組み合わせる処理としては、熱ラミネートによる積層一体化処理及び接着剤を使用した積層一体化処理が挙げられる。
本発明におけるリチウムイオン電池とは、充放電において正負極間をリチウムイオンが移動する二次電池を言う。例えば、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池が挙げられる。リチウムイオン電池には、負極活物質としてリチウム吸蔵性の物質を用いたリチウムイオン二次電池、負極活物質として金属リチウムを用いた金属リチウム二次電池が含まれる。
リチウムイオン電池は、部材として、正極、セパレータ及び負極を含有する。そして、一般に、正極、セパレータ及び負極をこの順に積層した構造を有する。正極、負極及びセパレータには、それぞれ電解液が吸収されている。積層構造の種類としては、各部材を積層した後にロール状に捲回する円筒型、円筒型を押し潰して、2面の平面と曲線状の両端部を形成させた捲回平型、九十九折にしたセパレータの間に、枚葉に切り出した電極を挿入した九十九折型、枚葉に切り出したセパレータと、枚葉に切り出した電極を積層した枚葉積層型等が例示される。
リチウムイオン電池の負極活物質には、リチウム吸蔵性の物質が用いられる。リチウム吸蔵性の物質の例としては、炭素系材料、珪素系材料、遷移金属とリチウムの複合酸化物等が例示される。炭素系材料は、質量当たりのリチウム吸蔵可能量とリチウムの吸収・放出に伴う劣化のし難さとのバランスが良好である点で、好ましく使用される。炭素系材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン等の非晶性炭素;カーボンナノチューブ、グラフェン等のナノ炭素材料が例示される。珪素系材料は、質量当たりのリチウム吸蔵可能量が大きい点で、好ましく使用される。珪素系材料としては、珪素、一酸化珪素(SiO)、二酸化珪素(SiO)が例示される。遷移金属とリチウムの複合酸化物の1種であるチタン酸リチウムは、リチウムの吸収・放出に伴う劣化が生じ難い点で、好ましく使用される。
リチウムイオン電池の負極としては、前記の負極活物質を含む負極材料を、金属箔上に塗工した電極が例示される。負極材料には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエン共重合体等のバインダー;カーボンブラック、ナノ炭素材料等の導電剤;分散剤;増粘剤等を混合することができる。金属箔に使用される金属としては、銅、アルミニウム等が例示される。
リチウムイオン電池の正極活物質としては、遷移金属とリチウムの複合酸化物、遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩、硫黄等が例示される。遷移金属とリチウムの複合酸化物としては、コバルト、ニッケル、マンガンから選択される1種以上の遷移金属とリチウムの複合酸化物が例示される。これらの複合酸化物には、アルミニウム、マグネシウム等の典型金属;チタン、クロム等の遷移金属等を更に複合することができる。遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩としては、鉄、マンガンから選択される1種以上の遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩が例示される。
リチウムイオン電池の正極としては、前記の正極活物質を含む正極材料を、金属箔上に塗工した電極が例示される。正極材料には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、アクリル酸エステル共重合体等のバインダー;カーボンブラック、ナノ炭素材料等の導電剤;分散剤;増粘剤等を混合することができる。金属箔に使用される金属としては、アルミニウム等が例示される。
リチウムイオン電池の電解液としては、極性溶媒にリチウム塩を溶解した溶液、イオン液体にリチウム塩を溶解した溶液が例示される。リチウム二次電池の電解液に用いられる極性溶媒としては、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル等の脂肪酸エステルが例示される。リチウム二次電池の電解液に用いられるリチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)が例示される。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
本発明において、変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維は、パラ系芳香族ポリアミドポリマーからなるフィブリッド(以下、「フィブリッド」と略記する場合がある)である。フィブリッドとは、微小なフィブリルを有する薄葉状若しくは鱗片状の小片であり、繊維の結晶構造が強固に形成されることなく、非結晶状態で水分子又は水分が結晶構造内に存在する微細な耐熱性繊維を指す。図1は、パラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッド1を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用基材の電子顕微鏡写真であり、フィブリッド1は薄葉状である。図2は、パラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維2を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用基材の電子顕微鏡写真であり、フィブリル化耐熱性繊維2は、薄葉状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細く分割された微小繊維である。
上述したフィブリッドとしては、繊維形成性高分子重合体溶液を水系凝固浴に導入して得られた形成物を、乾燥することなく回収し、必要に応じて叩解等のフィブリル化をすることにより得られる。例えば、ポリマー重合体溶液をその沈殿剤とせん断力の存在する系において混合することにより製造されるフィブリッドや、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から形成した分子配向性を有する非晶質含水形成物であり、必要に応じて叩解処理を施すことができる。
叩解処理としては、フィブリッドをリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて処理することによって得ることができる。
本発明において、フィブリッドは結晶構造内に存在する水分が加熱・減圧などにより除去される際に大きく収縮し、繊維ネットワークを強固にするため、基材の強度特性を向上させる効果がある。
本発明におけるフィブリッドの変法濾水度は0〜300mlであり、好ましくは0〜200mlであり、更に好ましくは0〜100mlである。変法濾水度が300mlを超えると、フィブリッドの繊維幅が太くなり、基材の内部抵抗が高くなる場合がある。また、基材の地合(濃淡ムラ)が悪化し、基材の機械的強度が低くなって、塗層を形成する際に基材が破損する場合がある。さらに、基材の断裁性も悪化する場合がある。
本発明において、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値である。
フィブリッドの質量加重平均繊維長は、0.30mm以上1.00mm以下であることが好ましい。また、フィブリッドの長さ加重平均繊維長は、0.10mm以上0.50mm以下であることが好ましい。平均繊維長が好ましい範囲よりも短い場合、基材からフィブリッドが脱落する場合がある。平均繊維長が好ましい範囲よりも長い場合、基材の地合が悪化し、基材の内部抵抗が高くなる場合がある。
フィブリッドが、上記の質量加重平均繊維長と長さ加重平均繊維長を持つ場合、基材に含まれるフィブリッドの含有率が少ない場合でも、フィブリッド間やフィブリッドと合成樹脂短繊維との間において、繊維による緻密なネットワーク構造が形成され、断裁性を損なうことなく、引張強度が高く、厚みの薄い基材が得られ易くなる。
本発明において、フィブリッドの質量加重平均繊維長と長さ加重平均繊維長は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して、投影繊維長(Proj)モードにおいて測定した質量加重平均繊維長(L(w))と長さ加重平均繊維長(L(l))である。
フィブリッドの平均繊維幅は、3.0μm以上40.0μm以下が好ましく、5.0μm以上35.0μm以下がより好ましく、10.0μm以上30.0μm以下が更に好ましい。平均繊維幅が40.0μmを超えた場合、基材の内部抵抗が高くなりやすく、厚みを薄くし難くなる場合や断裁性が悪化する場合がある。一方、平均繊維幅が3.0μm未満の場合、フィブリッドを叩解する処理時間が長くなり、生産性が著しく低下する。
本発明において、フィブリッドの平均繊維幅は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した繊維幅(Fiber Width)である。
本発明において、合成樹脂短繊維としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ジエン、ポリウレタン、フェノール、メラミン、フラン、尿素、アニリン、不飽和ポリエステル、フッ素、シリコーン、これらの誘導体等の合成樹脂からなる、フィブリル化されていない短繊維(ステープル)が挙げられる。合成樹脂短繊維を含むことによって、基材の引張強度や突刺強度を強くすることができる。
合成樹脂短繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。また、本発明の基材に含まれる合成樹脂短繊維は、1種でも良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。
合成樹脂短繊維の繊度は、0.01dtex以上0.6dtex以下が好ましく、0.02dtex以上0.3dtex以下がより好ましい。合成樹脂短繊維の繊度が0.6dtexを超えた場合、厚さ方向における繊維本数が少なくなるため、基材の細孔径分布が広くなり、その結果として、漏れ電流が大きくなる。また、厚みを薄くし難くなり、強度特性が低下し易くなる。合成樹脂短繊維の繊度が0.01dtex未満の場合、繊維が非常に高価になり、繊維の安定製造が困難になる場合や、湿式抄紙法により基材を製造する場合、脱水性が低下する場合がある。
合成短繊維の繊維長としては、1mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましい。繊維長が10mmを超えた場合、地合不良となることがある。一方、繊維長が1mm未満の場合、基材の機械的強度が低くなって、塗層を形成する際に基材が破損する場合がある。
本発明の基材に含まれる全繊維成分に対して、フィブリッドの含有率は、1.0質量%以上4.0質量%以下である。2.0質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上が更に好ましい。フィブリッドの含有率が4.0質量%を超えた場合、基材の内部抵抗が高くなりやすく、特に厚みを薄くした場合、内部抵抗の上昇がより大きくなる。また、塗層が基材に浸透し難くなるため、塗層の接着性が悪化する。一方、フィブリッドの含有率が1.0質量%未満である場合、基材の漏れ電流の改良効果が低くなる。また、基材の坪量を下げた場合、塗液が浸透し易くなるため、塗液が裏抜けして、走行ロールを汚すことやセパレータの面質が悪化する場合がある。
本発明の基材は、変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維と合成樹脂短繊維以外の繊維を配合しても良い。例えば、セルロース繊維、セルロース繊維のパルプ化物やフィブリル化物、合成樹脂からなるフィブリッド、合成樹脂からなるパルプ化物、無機繊維が挙げられる。無機繊維としては、ガラス、アルミナ、シリカ、セラミックス、ロックウールが挙げられる。セルロース繊維は、天然セルロース、再生セルロースのいずれでも良い。
本発明の基材に含まれる全繊維成分に対して、合成樹脂短繊維の含有率は90.0質量%以上が好ましく、92.0質量%以上がより好ましく、94.0質量%以上が更に好ましく、95.0質量%超が特に好ましい。また、99.0質量%以下が好ましく、98.0質量%以下がより好ましく、97.0質量%以下が更に好ましい。合成樹脂短繊維が99.0質量%超の場合、セパレータの引張強度が強くなるものの、漏れ電流の改良効果が低くなる場合がある。一方、合成樹脂短繊維が90.0質量%未満の場合、基材の坪量を低くした場合、機械的強度が低くなって、無機粒子を含む塗層を形成する際に基材が破損する場合がある。
本発明において、最も好ましい基材は、繊維成分が変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維と合成樹脂短繊維である基材である。その場合、本発明の基材に含まれる全繊維成分に対して、合成樹脂短繊維の含有率は96.0質量%以上99.0質量%以下である。そして、98.0質量%以下がより好ましく、97.0質量%以下が更に好ましい。また、96.5質量%以上がより好ましい。
本発明の基材の厚みは、6μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。また、20μm以下が好ましく、18μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。基材の厚みを上記の範囲とした場合においても、本発明の基材では、内部抵抗を低く抑えることができ、塗工工程や電極の積層工程で必要な引張強度を維持できるため、基材の抄造性も含め、各工程での作業性を損なうことがない。基材の厚みが20μmを超えると、セパレータの内部抵抗が高くなり過ぎる場合がある。また、電池を高容量にすることができなくなる場合がある。基材の厚みが6μm未満であると、基材の強度が弱くなり過ぎて、基材の取り扱い時や塗工時に破損する恐れがある。
本発明のリチウムイオン電池セパレータ用基材の密度は、0.40g/cm以上が好ましく、0.45g/cm以上がより好ましく、また、0.75g/cm以下が好ましく、0.70g/cm以下がより好ましい。密度が0.40g/cm未満である場合、基材の強度が弱くなり過ぎて、基材の取り扱い時や塗工時に破損する恐れがあり、0.75g/cmを超えた場合、セパレータの内部抵抗が高くなり過ぎる場合がある。
本発明のリチウムイオン電池セパレータ基材は、湿式抄造法によって製造される湿式不織布であることが好ましい。湿式抄造法は繊維を水に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを抄紙機で漉きあげて湿式不織布を製作する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、これらの複合機が挙げられる。湿式不織布を製造する工程において、必要に応じて水流交絡処理を施しても良い。湿式不織布の加工処理として、熱処理、カレンダー処理、熱カレンダー処理などを施しても良い。
本発明において、無機粒子の粒子径は、0.02μm以上4.00μm以下が好ましく、0.10μm以上3.00μm以下がより好ましい。粒子径が大き過ぎると、塗層を適切な厚みで形成することが困難となる場合や、表面の凹凸が大きくなる場合がある。一方、粒子径が小さ過ぎると、無機粒子を分散しにくくなることや無機粒子がセパレータ基材から脱落し易くなることや、脱落を防ぐためにバインダーを増量する必要があり、内部抵抗が悪化する場合がある。なお、本発明で言う粒子径とは、レーザー回折散乱法によって測定される体積分布のD50(メジアン径)を表す。
本発明において、塗層はバインダーを含むことができる。バインダーとしては、各種の有機ポリマーを用いることができる。その例としては、スチレン−ブタジエン共重合エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエン共重合エラストマー、(メタ)アクリル酸エステル重合体エラストマー、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル重合体エラストマー、ポリフッ化ビニリデン重合体等の各種有機ポリマーが使用可能である。
本発明において、塗層に含まれるバインダーの含有率は、無機粒子の総量に対して、2質量%以上200質量%以下が好ましい。特に5質量%以上50質量%以下が好ましい。バインダーの量が少な過ぎると、無機粒子が基材から脱落し易くなる場合がある。また、バインダーの量が多過ぎると、塗層が緻密になり過ぎて、イオン透過性が低下する場合がある。
基材と無機粒子を含む塗層を有するセパレータは、基材の少なくとも一方の面に塗層を形成することによって製造することができる。塗層を基材の少なくとも一方の面に形成する方法としては、塗層を構成する各成分を水や有機溶剤等の媒体中に分散又は溶解させた塗層形成用のスラリー(塗液)を調製し、これを基材上に塗工する方法が挙げられる。
塗層形成用のスラリーを調製するための媒体としては、バインダーや無機粒子を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水等を必要に応じて用いることができる。また、使用する媒体は、基材を膨張させない媒体又は基材を溶解しない媒体が好ましい。
塗層を形成するために、塗液を基材に塗工する装置としては、各種の塗工装置を用いることができる。例えば、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ロールコーター、キスタッチコーター、ディップコーター等の各種コーターを用いることができる。
塗層の塗工量は、基材にもよるが、基材の片面当たりの乾燥塗工量として、1g/m以上30g/m以下が好ましく、3g/m以上20g/m以下がより好ましく、5g/m以上15g/m以下が更に好ましい。塗層の塗工量が少な過ぎる場合には、塗層を形成した際に、塗液が基材の中に浸透してしまい、基材の表面に塗層を形成できないことがある。また、塗工量が多過ぎる場合には、基材の細孔を埋め過ぎてしまうことにより、イオン透過性を阻害して、電池特性が悪くなることがある。
本発明の塗層には、前記無機粒子及びバインダーの他に、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の各種分散剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキサイド等の各種増粘剤、各種の濡れ剤、防腐剤、消泡剤等の各種添加剤を、必要に応じて添加することもできる。一般に、媒体として有機溶剤を使用した非水系塗液は表面張力が低く、媒体として水を用いた水系塗液の表面張力は高い。本発明の基材は、塗液の受理性が高いため、非水系塗液も水系塗液も、両方共に問題無く塗工することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において百分率(%)及び部は、断りのない限り全て質量基準である。また、塗工量は乾燥塗工量である。
実施例1
<基材の作製>
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系合成樹脂短繊維56.0質量部と繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40.0質量部と、耐熱性繊維として、あらかじめ高速ホモジナイザーを用いて離解及び叩解し、変法濾水度88mlとしたパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを4.0質量部とを、パルパーにより水中に分散し、濃度0.1質量%の均一な抄紙スラリーを調製し、傾斜型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、シートを得た。得られたシートを、片方のロールがクロムメッキされた鋼製ロール、他方のロールが硬度ショアーA92の樹脂ロール、鋼製ロールの表面温度が195℃、線圧が100kN/mの熱カレンダー装置により、カレンダー処理し、坪量が10g/m、厚さ15μmの基材1を作製した。
<塗液の作製>
D50粒子径0.9μm、比表面積5.5m/gのベーマイト100部を、その1質量%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液120部に混合し十分撹拌し、次いで、その1質量%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液300部、リチウムイオン電池用スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー(JSR株式会社製、商品名:TRD2001)(固形分濃度48%)10部を混合、撹拌して塗液を調製した。
<セパレータの作製>
前記基材1の片面上に、キスリバース方式のグラビアコーターにて塗工量が12g/mとなるように塗液を塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例2
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を59.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維を40.0質量部、パラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを1.0質量部とした以外、セパレータ基材1と同様な方法で坪量10g/m、厚さ15μmの基材2を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例3
実施例1の抄紙スラリーを用いて、基材1と同様な方法で坪量8g/m、厚さ11μmの基材3を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様な方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例4
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を56.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)を40.0質量部、高速ホモジナイザーを用いて変法濾水度260mlとしたパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを4.0質量部とした以外、基材1と同様な方法で、坪量8g/m、厚さ11μmの基材4を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
比較例1
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を60.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)を40.0質量部とした以外、基材1と同様な方法で、坪量8g/m、厚さ11μmの基材5を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
比較例2
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を55.5質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)を40.0質量部、実施例1で用いた変法濾水度88mlのフィブリッドを4.5質量部とし、セパレータ基材の厚さを揃えるため、鋼製ロールの表面温度を195℃、線圧を110kN/mの熱カレンダー条件とした以外、基材1と同様な方法で、坪量8g/m、厚さ11μmの基材6を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
比較例3
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を50.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)を40.0質量部、実施例1で用いた変法濾水度88mlの耐熱性繊維を10.0質量部とし、セパレータ基材の厚さを揃えるため、鋼製ロールの表面温度を195℃、線圧が150kN/mの熱カレンダー条件とした以外、坪量8g/m、厚さ11μmの基材7を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例5
実施例1の抄紙スラリーを用いて、熱カレンダー条件の線圧を95kN/mとした以外、基材1と同様な方法で坪量7g/m、厚さ10μmの基材8を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様な方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
比較例4
比較例1の抄紙スラリーを用いて、基材1と同様な方法で坪量7g/m、厚さ10μmの基材9を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様な方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例6
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を56.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)を40.0質量部、高速ホモジナイザーを用いて変法濾水度60mlとしたパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを4.0質量部とし、熱カレンダー条件の線圧を90kN/mとした以外、基材1と同様な方法で、坪量6g/m、厚さ9μmの基材10を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例7
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を50.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維を40.0質量部、実施例1で用いたフィブリッドを4.0質量部、リファイナーを用いて平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を微細化し、変法濾水度90mlに叩解された溶剤紡糸セルロース繊維を6.0質量部とした以外、基材1と同様な方法で坪量8g/m、厚さ11μmの基材11を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例8
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を49.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維を40.0質量部、実施例1で用いたフィブリッドを4.0質量部、変法濾水度90mlに叩解された溶剤紡糸セルロース繊維を7.0質量部とした以外、基材11と同様な方法で坪量8g/m、厚さ11μmの基材12を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例9
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を56.5質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維を40.0質量部、実施例1で用いたフィブリッドを3.5質量部とした以外、基材1と同様な方法で坪量7g/m、厚さ10μmの基材13を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例10
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を57.5質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維を40.0質量部、実施例1で用いたフィブリッドを2.5質量部とした以外、基材1と同様な方法で坪量7g/m、厚さ10μmの基材14を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
比較例5
比較例1の抄紙スラリーを用い、基材1と同様な方法で坪量6g/m、厚さ9μmの基材15を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様な方法で、塗工量12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
比較例6
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化PET系合成樹脂短繊維を56.0質量部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系合成樹脂短繊維(軟化点120℃、融点230℃)を40.0質量部、家庭用ミキサーを用いて変法濾水度310mlとしたパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドを4.0質量部とし、熱カレンダー条件の線圧を105kN/mとした以外、基材1と同様な方法で、坪量8g/m、厚さ11μmの基材16を作製した。次いで、実施例1で用いた塗液を、実施例1と同様の方法で、12g/mとなるように塗工・乾燥し、セパレータを作製した。
実施例及び比較例のリチウムイオン電池セパレータ用基材及びリチウムイオン電池セパレータについて、下記物性の測定と評価を行い、結果を表1及び表2に示した。
<基材の坪量及び塗層の塗工量>
JIS P8124に準拠して、基材及びセパレータの坪量を測定した。塗層の塗工量はセパレータの坪量から基材の坪量を差し引いて算出した。
<基材及びセパレータの厚さ>
JIS B7502に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚さを測定した。
<基材と塗層の接着性>
各セパレータから幅方向100mm×流れ方向100mmサイズの試験片を5枚切り出し、幅10mm×長さ50mmのセロハンテープを、流れ方向と幅方向に、セパレータの塗層の上から軽く貼り付けて、1kgのステンレス製の円柱を2往復させた。その後、セロハンテープを塗層から剥がし、セパレータを目視にて観察し、次の評価基準で評価した。
○:基材面に塗層が残っている。
△:塗層の約半分が基材から剥がれている。
×:塗層の殆ど全部分が基材から剥がれている。
<セパレータの断裁性>
各セパレータを幅方向50mm×流れ方向200m×8丁取りでスリット加工し、両コバ面を目視にて観察し、次の評価基準で評価した。
○:両コバ面に毛羽が無い。
△:両コバ面にわずかに毛羽が見られる。
×:両コバ面に毛羽が目立つ。
<評価用電池の作製>
各セパレータを用い、正極にマンガン酸リチウム、負極にメソカーボンマイクロビーズ、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウムの1mol/L炭酸ジエチル/炭酸エチレン(容量比7/3)混合溶媒溶液を用い、各セパレータの無機粒子を含む塗層を負極に対向するようにして、設計容量30mAhの評価用パウチ型リチウムイオン電池を作製し、下記の内部抵抗と漏れ電流の評価に供した。
<内部抵抗の評価>
各電池について、60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→60mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクルのシーケンスにて、5サイクルの慣らし充放電を行った後、60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→6mAで30分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧を測定(電圧a)→60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→90mAで2分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧(電圧b)を測定、を行い、内部抵抗Ω=(電圧a−電圧b)/(90mA−6mA)の式で内部抵抗を求めた。結果を表1と表2に記す。
○:内部抵抗4.0Ω未満
△:内部抵抗4.0Ω以上5.0Ω未満
×:内部抵抗5.0Ω以上
<漏れ電流の評価>
各評価用電池について、30mA定電流充電→4.2V定電圧充電(終止電流3mA)のシーケンスで初回充電を行った際の充電容量を測定した。各セパレータを、充電容量により下記3水準に区分した。充電容量が設計容量である30mAhを大幅に超過することは、電池内部で漏れ電流が生じていることを意味する。
○:初回充電容量35mAh未満
△:初回充電容量35mAh以上40mAh未満
×:初回充電容量40mAh以上
<引張強度の評価>
各基材につき、長辺が流れ方向になるように、流れ方向250mm×幅方向50mmのサンプル片を切り出し、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P8113に準じて、引張速度200mm/minで引張試験を行った。引張応力の最大値をもって引張強度とした。一般に、引張強度は高い方が好ましく、これが低い場合、塗工時や電池製造時に、基材にかかる張力を精密に制御する必要が生じ、かかる制御に必要な装置が大掛かりになる問題がある。
○:引張強度800N/m以上
△:引張強度400N/m以上800N/m未満
×:引張強度400N未満
表1に示した通り、実施例1〜10で作製した基材は、変法濾水度300ml以下のパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドと合成樹脂短繊維とを含有し、該基材に含まれる全繊維成分に対して、フィブリッドの含有率が1.0質量%以上4.0質量%以下である。実施例1〜10の基材と無機粒子を含む塗層とを有しているセパレータは、基材と塗層の接着性が高く、断裁性に優れていた。また、内部抵抗が低く、漏れ電流が少なく、基材が15μm以下という薄さであるにもかかわらず、強度特性に優れていた。特に、実施例6の基材はフィブリッドの叩解をより進めて使用することで、繊維同士のネットワークが増え、坪量が6g/mと低いにも関わらず、漏れ電流を抑えつつ、強度特性を維持することができた。
実施例7及び8の基材は、フィブリッドと合成樹脂短繊維以外の繊維を含有している。実施例7と実施例8の比較から、合成樹脂短繊維の含有量が90.0質量%以上である実施例7の基材の方が、強度特性に優れていた。また、実施例5及び実施例9〜10を比較した場合、いずれも強度特性に優れていたが、合成樹脂短繊維の含有量が高い方が、同坪量で比較した場合、強度特性に優れており、塗工時や電池製造時の張力を制御しやすかった。
比較例1及び比較例4〜5の基材はフィブリッドを含まないため、基材の坪量を下げた場合、漏れ電流が生じ易い傾向が見られた。また、強度特性が低下した。
比較例2及び3の基材は、変法濾水度300ml以下のフィブリッドと合成樹脂短繊維とを含有し、該基材に含まれる全繊維成分に対して、フィブリッドの含有率が4.0質量%を超えた基材である。そのため、塗液が基材に浸透し難くなることから、基材と塗層の接着性が低下した。また、断裁性の評価においても、コバ面に毛羽が多く残った。さらに、熱カレンダー処理によって基材を所定の厚みに調整する時に、線圧を上げる必要があり、基材を薄くし難いことがわかった。その結果、電池の内部抵抗が悪化した。フィブリッドの含有量が10質量%の場合、強度特性がやや悪化した。
比較例6の基材は、フィブリッドの変法濾水度が300mlを超えているため、断裁性が悪く、コバ面にわずかに毛羽が見られた。また、内部抵抗が大幅に悪化した。
本発明のリチウムイオン電池セパレータ基材及びリチウムイオン電池セパレータは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等、リチウムイオン二次電池に好適に使用できる。
1 フィブリッド
2 フィブリル化耐熱性繊維

Claims (4)

  1. 変法濾水度300ml以下の耐熱性繊維と合成樹脂短繊維とを含有してなるリチウムイオン電池セパレータ用基材において、該耐熱性繊維がパラ系芳香族ポリアミドからなるフィブリッドであり、その含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下であることを特徴とするリチウムイオン電池セパレータ用基材。
  2. 該基材に含まれる全繊維成分に対して、合成樹脂短繊維の含有率が90.0質量%以上99.0質量%以下である請求項1記載のリチウムイオン電池セパレータ用基材。
  3. 該基材に含まれる全繊維成分に対して、合成樹脂短繊維の含有率が96.0質量%以上99.0質量%以下である請求項1記載のリチウムイオン電池セパレータ用基材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池セパレータ用基材と無機粒子を含む塗層とを有していることを特徴とするリチウムイオン電池セパレータ。
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