JP2022040844A - リチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、不織布基材と、無機粒子として水酸化マグネシウムを含む塗層とから構成されるセパレータであって、厚みを薄くしても、耐熱性に優れたセパレータを提供することにある。【解決手段】不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材がフィブリル化されていない熱可塑性繊維を主体としてなり、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、フィブリル化されていない熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン電池用セパレータに関する。
リチウムイオン電池(以下、「リチウムイオン電池」を「電池」と略記する場合がある)には、正負極間の接触を防ぐためのリチウムイオン電池用セパレータ(以下、「リチウムイオン電池用セパレータ」を、「セパレータ」と略記する場合がある)が用いられている。
セパレータとして従来用いられているポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔性フィルムは、耐熱性が低く、安全上重大な問題を抱えている。すなわち、多孔性フィルムをセパレータとして用いた電池は、内部短絡等の原因により電池内部で局部的な発熱が生じた場合、発熱部位周辺のセパレータが収縮して内部短絡がさらに拡大し、暴走的に発熱して発火・破裂等の重大な事象に至ることがある。
このような問題に対し、不織布基材と無機粒子を含む塗層とを有する耐熱性の高いセパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなセパレータのうち、電解液の分解を誘発することのない有利なセパレータとして、無機粒子が、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムであるセパレータが提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
一方で、近年のリチウムイオン電池のエネルギー密度向上に伴い、とりわけ高い耐熱性を有するセパレータが望まれている。セパレータに求められる耐熱性とは、「メルトインテグリティ」と言われる、高温下でも、形状安定性が高く、電池の正負極を電気的に分離する機能を失わない性質である(例えば、非特許文献1参照)。
特許文献2又は3に示されるセパレータは、厚みを薄くした場合、高温下での形状安定性が低下し、耐熱性が不十分となるおそれがあった。
また、耐熱性繊維としてフィブリル化された全芳香族ポリアミド繊維を含有する不織布基材の表面に無機粒子を塗工することで、耐熱性の高いセパレータを得られることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4に示されるセパレータは、耐熱性の向上度合いに限界があった。
「エレクトロニクスシリーズ リチウムイオン電池の高安全技術と材料」普及版、株式会社シーエムシー出版、2014年9月9日発行、第145頁
本発明の課題は、不織布基材と、無機粒子として水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するセパレータであって、厚みを薄くしても、耐熱性に優れたセパレータを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記手段を見出した。
(1)不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材がフィブリル化されていない熱可塑性繊維を主体としてなり、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、フィブリル化されていない熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
(2)不織布基材の両面に塗層を有する(1)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(3)厚みが15~20μmである、(1)又は(2)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(4)不織布基材がフィブリル化繊維を含む、(1)~(3)のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
(5)フィブリル化繊維が全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維である、(4)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
本発明によれば、厚みを薄くしても、耐熱性に優れたセパレータを提供することができる。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材がフィブリル化されていない熱可塑性繊維(「フィブリル化されていない熱可塑性繊維」を「熱可塑性非フィブリル化繊維」と略記する場合がある)を主体としてなり、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0であることを特徴とする。この特徴により、厚みを薄くしても、耐熱性に優れたセパレータを得ることができる。
本発明において熱可塑性繊維とは、JIS K 7206:2016に規定されるビカット軟化点が300℃以下の樹脂からなる繊維である。
本発明者は、不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するセパレータにおける、熱溶融時の形状安定性の発現機構について検討し、不織布基材に含まれる熱可塑性非フィブリル化繊維が熱溶融した際に、熱溶融して液体となった熱可塑性非フィブリル化繊維が水酸化マグネシウムに吸収され、硬い油粘土状物を形成して流動性を失うことを見出した。さらに、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0である場合に、ピンホールが生じたり、内部抵抗が高くなったり等の、その他のセパレータ特性を損なうことなく、該作用が特に顕著に発現することも見出した。
本発明のセパレータにおいて、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65%未満である場合は、熱溶融して液体となった熱可塑性非フィブリル化繊維を水酸化マグネシウムが吸収し切れず、流動性が失われないことから、熱可塑性非フィブリル化繊維が熱溶融した場合の形状安定性に劣り、耐熱性に優れたセパレータが得られない。一方、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して95%を超える場合には、著しく塗層にピンホールが発生しやすくなる。塗層にピンホールが発生すると、漏れ電流が大きくなる場合が多く、非常に好ましくない。また、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して95%を超える場合には、熱溶融して液体となった不織布基材の構成材料と水酸化マグネシウムとの混合物は、脆いケーキ状であり、外力で容易に崩壊してしまう。そのため、熱可塑性非フィブリル化繊維が熱溶融した場合の形状安定性に劣り、耐熱性に優れたセパレータが得られない。さらに、電極のバリや電池内に混入した小異物がセパレータを貫通して導通することを防ぐ耐穿孔性も悪化する。不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率は、70~90%であることがより好ましい。
本発明のセパレータにおいて、不織布基材に含まれる熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8未満である場合、熱溶融して液体となった熱可塑性非フィブリル化繊維を水酸化マグネシウムが吸収し切れず、形状安定性に劣り、耐熱性に優れたセパレータは得られない。一方、熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が2.0よりも高い場合には、イオン透過性を阻害して内部抵抗が高くなる。熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比は、0.85~1.9であることがより好ましく、0.9~1.9であることがさらに好ましい。
本発明のセパレータは、不織布基材の両面に塗層を有することが好ましい。本発明のセパレータは、厚みが薄く、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65%以上と高く、不織布基材の主体となる熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比も0.8以上と高い。すなわち、本発明のセパレータは、薄い不織布基材に、大量の水酸化マグネシウムを、不織布基材の空隙に充填されるように、高度に浸透させたセパレータである。このようなセパレータにおいては、厚いセパレータ、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が低いセパレータ、不織布基材の主体となる繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が低いセパレータと比較して、塗層にピンホールが著しく発生しやすい。塗層にピンホールが発生すると、漏れ電流が大きくなる場合がある。不織布基材の両面に塗層を有することで、厚みが薄く、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して高く、不織布基材の主体となる熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が高いセパレータにおいても、問題となるような塗層へのピンホールの発生を抑制することができ、好ましい。
本発明において、不織布基材の両面に塗層を有する場合、不織布基材の両面に同じ塗工液を塗工することが好ましい。同じ塗工液を不織布基材の両面に同じ塗工液を塗工することにより、セパレータ表裏のポア径が同一となるため、内部抵抗と漏れ電流と両立しやすく、好ましい。
本発明のセパレータの厚みは、好ましくは15μm以上20μm以下であり、より好ましくは15μm以上18μm以下である。厚みが15μm未満の場合、耐熱性や耐穿孔性が低下するおそれがあり、また、ピンホールが発生しやすくなるおそれがある。一方、20μmを超える厚みにおいては、本発明を用いなくても熱可塑性非フィブリル化繊維が熱溶融した場合の形状安定性が高く、本発明の技術を採用する理由が乏しい。また、内部抵抗が高くなるおそれもある。
本発明のセパレータにおいて、セパレータの耐穿孔性が向上するため、不織布基材がフィブリル化繊維を含むことが好ましい。本発明におけるフィブリル化繊維とは、合成樹脂又はセルロースをフィブリル化したものを指す。フィブリル化とは、幹となる繊維から、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された繊維が分岐するように処理することで、少なくとも一部が繊維径1μm以下にすることを言い、これにより得られた繊維は、米国特許第5026456号明細書に記載されているようなフィブリッドとは異なる。
リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、せん断力又は切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて、合成樹脂又はセルロースを処理することによってフィブリル化を行うことができる。
本発明におけるフィブリル化繊維の変法濾水度は、0ml以上300ml未満であることが好ましく、より好ましくは0ml以上200ml未満であり、さらに好ましくは0ml以上100ml未満である。変法濾水度が300ml以上である場合、フィブリル化があまり進んでおらず、耐穿孔性を向上させる効果が得られないおそれがある。一方、変法濾水度が0ml未満である場合、熱可塑性非フィブリル化繊維で接合しなければならない細い繊維の本数が増えるため、不織布基材の表面が毛羽立ちやすくなり、塗工欠点が増えるおそれがある。「変法濾水度が0ml未満」とは、フィブリル化繊維のフィブリル化が進むことで、変法濾水度は下がり続け、変法濾水度が0mlに達した後さらにフィブリル化が進んだ状態である。この状態ではメッシュを通過する繊維が急激に増大し、変法濾水度が逆に上昇し始める。
本発明において、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121-2:2012に準拠して測定した値のことである。変法濾水度が0ml以上300ml未満のフィブリル化繊維の如く、非常に微細な繊維の濾水度を測定する場合、JIS P8121-2:2012の規定するふるい板では、無視できない量の繊維がふるい板の目を通過してしまうこと、またJIS P8121-2:2012の規定する試料濃度では、懸濁液の流動性が低くなり過ぎるため、水切れ性の大小によって繊維の微細化程度を示すと言う、濾水度測定の本来の意義は達成されない。よって、本発明では、繊維の微細化程度が濾水度に適切に反映されるように、ふるい板として、微細な繊維を保持できる線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を、微細な繊維の懸濁液であっても流動性が維持される、0.1%としている。
本発明において、不織布基材が不織布基材に含まれる全繊維成分に対して5.0質量%以上のフィブリル化繊維を含有する場合、内部抵抗の高いセパレータとなるおそれがある。この見地から、フィブリル化繊維の含有量は、不織布基材に含まれる全繊維成分に対して5.0質量%未満が好ましく、4.5質量%未満がより好ましく、4.0質量%未満がさらに好ましい。本発明において、不織布基材はフィブリル化繊維を含まなくても良いが、フィブリル化繊維を含むことによって耐穿孔性が向上するという効果を十分に得るためには、フィブリル化繊維の含有量が1.0質量%以上であることが好ましい。
本発明のセパレータにおいて、フィブリル化繊維としては、パラ系全芳香族ポリアミド、メタ系全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン等の合成樹脂;溶剤紡糸再生セルロース、再生セルロース等のセルロース繊維;等のフィブリル化繊維を用いることができる。これらの中でも、フィブリル化しやすく、かつ高い耐穿孔性が得られる点で、全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維が好ましく、パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維がより好ましい。
本発明のセパレータは、熱可塑性非フィブリル化繊維を主体とする不織布基材を有する。本発明における熱可塑性フィブリル化繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂からなる繊維が挙げられる。また、これらの樹脂の誘導体も使用できる。これらの樹脂の中で、塗層との接着性を高くするためには、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましく、特に、耐電解液性や耐熱性に優れるポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系、ポリエチレンナフタレート(PEN)系、ポリブチレンナフタレート(PBN)系、ポリエチレンイソフタレート系、等の樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の誘導体も使用できる。耐電解液性や塗層との接着性が良好という観点からは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニル等を共重合させたもの等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、ナイロンなどの脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドが挙げられる。
熱可塑性非フィブリル化繊維は、単一の樹脂からなる繊維であっても良いし、2種以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。また、不織布基材に含まれる熱可塑性非フィブリル化繊維は、1種でも良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が例示される。複合繊維を分割した繊維を使用しても良い。
熱可塑性非フィブリル化繊維の含有量は、不織布基材に含まれる全繊維成分に対して70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、本発明において、不織布基材が熱可塑性非フィブリル化繊維のみからなっていても良い。熱可塑性非フィブリル化繊維の含有量が70質量%よりも少ない場合、セパレータの強度が不十分となるおそれがある。
(熱可塑性)非フィブリル化繊維の平均繊維径は1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。熱可塑性非フィブリル化繊維の平均繊維径が1μm未満の場合、繊維が細すぎて、塗層が不織布基材内部に滲み込みにくくなり、セパレータの厚み増加を抑制することが難しくなる場合がある。平均繊維径が10μmより太い場合、不織布基材自体の厚みを薄くすることが困難になり、セパレータの厚み増加を抑制することが難しくなる場合がある。
本発明における平均繊維径とは、不織布基材断面の走査型電子顕微鏡写真より、不織布基材を構成する繊維について、繊維の長さ方向に対して垂直な断面又は垂直に近い断面の繊維を30本選択し、その繊維径を測定した値の加重平均である。熱可塑性非フィブリル化繊維は熱や圧力によって溶融する場合や変形する場合がある。その場合は、断面積を測定して、真円換算の繊維径を算出する。
(熱可塑性)非フィブリル化繊維の繊維長は1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上8mm以下がより好ましく、2mm以上5mm以下がさらに好ましい。熱可塑性非フィブリル化繊維の繊維長が1mmより短い場合、セパレータの強度が低下するおそれがある。繊維長が10mmより長い場合、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じることがある。
不織布基材は、上記した熱可塑性非フィブリル化繊維やフィブリル化繊維以外に、ビカット軟化点が300℃超の樹脂からなるフィブリル化されていない繊維(「フィブリル化されていない繊維」を「非フィブリル化繊維」と略記する場合がある)、フェノールやメラミン等の熱硬化性樹脂からなる非フィブリル化繊維、溶剤紡糸セルロースや再生セルロース等のセルロースからなる非フィブリル化繊維、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、麻パルプ、コットンリンター等の天然セルロース繊維を含有しても良い。
不織布基材の坪量は、好ましくは5g/m2以上12g/m2以下であり、より好ましくは6g/m2以上11g/m2以下であり、さらに好ましくは7g/m2以上10g/m2以下である。坪量が12g/m2を超える場合、セパレータの薄膜化が難しくなる場合がある。坪量が5g/m2未満の場合、十分な強度を得ることが難しい場合や、塗工液の裏抜けにより不均一なセパレータとなるおそれがある。なお、坪量はJIS P 8124:2011(紙及び板紙-坪量の測定方法)に規定された方法に基づき測定される。
不織布基材の厚みは、好ましくは8μm以上18μm以下であり、より好ましくは10μm以上16μm以下であり、さらに好ましくは11μm以上15μm以下である。厚みが18μmを超える場合、セパレータの薄膜化が難しくなる場合がある。厚みが8μm未満の場合、十分な強度が得られない場合や、塗工液の裏抜けにより不均一なセパレータとなるおそれがある。なお、厚みはJIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを使用して、5N荷重することにより測定された値を意味する。
不織布基材の製造方法としては、繊維ウェブを形成し、繊維ウェブ内の繊維を結合させて不織布を得る製造方法を用いることができる。得られた不織布は、そのまま不織布基材として使用しても良いし、複数枚の不織布からなる積層体を不織布基材として使用することもできる。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法等の乾式法;湿式抄紙法等の湿式法;静電紡糸法等が挙げられる。このうち、湿式法によって得られる繊維ウェブは均質かつ緻密であることから、湿式不織布を不織布基材として好適に用いることができる。湿式法は、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網式、長網式、傾斜ワイヤー式等の抄紙方式の少なくとも1つを有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る方法である。
繊維ウェブから不織布を製造する方法では、接着、融着及び絡合からなる群から選ばれる繊維結合方法によって、繊維を結合させる。繊維結合方法としては、水流交絡(スパンレース)法、ニードルパンチ法、バインダー接着法等を使用することができる。バインダー接着法には、繊維ウェブに付与したバインダーで繊維を結合させるケミカルボンド法、繊維ウェブに含まれるバインダー用熱可塑性繊維で繊維を結合させるサーマルボンド法等を使用することができる。特に、均一性を重視して前記湿式法を用いる場合、サーマルボンド法を施して、バインダー用熱可塑性繊維を接着することが好ましい。サーマルボンド法により、均一な繊維ウェブから均一な不織布が形成される。
本発明では、サーマルボンド法として、繊維ウェブを加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させる加熱・加圧処理(熱カレンダー処理)を施して繊維を結合させるとともに、厚さ・密度を調整することが好ましい。
本発明における、熱カレンダー処理時の金属ロール温度は、バインダー用熱可塑性繊維の融点又は軟化点のうち低い方の温度に対して-60~-10℃であることが好ましく、-50~-20℃であることがより好ましい。金属ロールの温度がバインダー用熱可塑性繊維の融点又は軟化点のうち低い方の温度に対して-60℃より低い場合では、バインダー用熱可塑性繊維の接着が不十分となりやすく、不織布基材の機械的強度の発現が不十分となる場合がある。一方、金属ロールの温度がバインダー用熱可塑性繊維の融点又は軟化点のうち低い方の温度に対して-10℃より高い場合には、不織布が金属ロールに貼り付きやすくなり、不織布基材の表面に欠陥が生じるおそれがある。
熱カレンダー処理時のニップのニップ圧(線圧)は、好ましくは19~180kN/mであり、より好ましくは39~150kN/mである。加工速度は、好ましくは5~150m/minであり、より好ましくは10~100m/minである。
本発明に用いられる水酸化マグネシウムを製造するための方法には特に制限はない。例えば、水酸化マグネシウムの製造方法としては、マグネシウム源である海水とアルカリを反応させる方法、酸化マグネシウムと水を反応させる方法、天然の鉱床から産出された鉱石を粉砕する方法などがあるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる水酸化マグネシウムのD50粒子径は、低い内部抵抗と小さい自己放電とを両立できる範囲として、0.3μm以上2.0μm未満が好ましく、0.4μm以上1.5μm未満がより好ましく、0.5μm以上1.2μm未満がさらに好ましい。本発明におけるD50粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。
本発明において、塗層の強度を高めるため、塗層は有機ポリマーバインダーを含むことが好ましい。有機ポリマーバインダーは、セパレータの塗層に好適なものであれば特に制限はされない。その例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリレート共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びその共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド(PAM)及びその共重合体、ポリウレタン(PU)などの樹脂が挙げられ、また、これらの樹脂の一部は、電解液への溶解を防止するために、架橋構造を導入した樹脂であっても良い。これらの有機ポリマーバインダーの1種を含んでも、2種以上を含んでもよい。これらの中でも、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、(メタ)アクリレート共重合体が特に好ましい。
有機ポリマーバインダーの含有量は、水酸化マグネシウム100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.7質量部以上8.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下がさらに好ましい。有機ポリマーバインダーの含有量が低すぎると、セパレータの塗層強度が弱くなる場合がある。逆に、有機ポリマーバインダーの含有量が高すぎると、セパレータの内部抵抗が高くなる場合がある。
本発明において、塗層には、水酸化マグネシウム、有機ポリマーバインダー以外に、ポリアクリル酸及びその共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC-Na)等の各種分散剤;ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩等の各種増粘剤;濡れ剤;防腐剤;消泡剤などの添加剤を、必要に応じ配合することもできる。
本発明の塗工液を調製するための媒体としては、水酸化マグネシウム、有機ポリマーバインダー及び添加剤を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、例えば、水;N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、トルエン、ヘキサン等の有機溶媒が例示される。
本発明のセパレータは、水酸化マグネシウムを含む塗工液を不織布基材に塗工して製造することができる。塗工液を不織布基材に塗工する方法としては、各種の塗工装置を用いることができる。塗工装置としては、ブレード、ロッド、リバースロール、リップ、ダイ、カーテン、エアーナイフ等各種の塗工方式、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア、インクジェット等の各種印刷方式、ロール転写、フィルム転写などの転写方式、ディッピング等の引き上げ方式等を、必要に応じて選択して用いることができる。
塗層の乾燥塗工量は、不織布基材の両面当たり、好ましくは5g/m2以上14g/m2以下であり、より好ましくは6g/m2以上13g/m2以下であり、さらに好ましくは7g/m2以上12g/m2以下である。塗工量が5g/m2未満の場合、ピンホールが発生しやすく、セパレータ性能が損なわれるおそれがある。一方、塗工量が14g/m2を超える場合、イオン透過性を阻害して内部抵抗が高くなるおそれがある。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であるセパレータは、不織布基材への塗工液の浸透を調整することで得ることができる。
不織布基材への塗工液の浸透を調整する方法としては以下のようなものがある。1つ目の方法として、不織布基材を構成する繊維径を調整する方法がある。この方法においては、繊維径の小さい繊維の配合率を低くすれば塗工液の浸透は向上し、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は高くなり、繊維径の小さい繊維の配合率を高くすれば、塗工液の浸透が抑えられ、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は低くなる。
また、不織布基材を構成する繊維の表面に付着する油剤や、湿式法にて不織布基材を形成する場合は分散剤や消泡剤などの界面活性剤の種類や量を調整することで、塗工液の浸透を調整できる。例えば、不織布基材への塗工液の浸透を進めるためには、親水性の油剤、分散剤等の不織布基材を構成する繊維への付着量を多くすれば良い。本発明において、不織布基材を構成する繊維への油剤等の付着量は、0.01~1質量%の範囲が好ましい。
2つ目の方法として、熱カレンダー処理時の金属ロール温度を調整する方法がある。この方法においては、金属ロールの温度を低くすれば、不織布基材表面の皮膜化が抑えられることにより塗工液の浸透は向上し、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は高くなり、金属ロールの温度を高くすれば、不織布基材表面の皮膜化が向上することにより塗工液の浸透が抑えられ、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は低くなる。
3つ目の方法として、不織布基材の繊維配向性を調整する方法がある。不織布基材の繊維配向性の指標としては、例えば、不織布基材を構成する両表層の繊維の平均配向角が挙げられる。本発明において、平均配向角とは、走査型電子顕微鏡を用い、不織布を構成する両表層の繊維を、その視野内の本数が15~25本になるような倍率で観察し、各繊維の配向方向が、不織布の長手方向(縦方向、製造方向)に対してなす角度(0~90度)を配向角とした場合の配向角の平均として求める。本発明において表層の繊維とは、他の繊維との交点の少なくとも1ヶ所において、他の繊維よりも表面側に位置しているか、不織布基材が熱処理の過程で変形し、表面側が平坦になっている繊維を指す。この方法においては、不織布基材の平均配向角を大きくすると、塗工液の浸透が向上し、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率が高くなる。本発明においては、不織布基材の両表層の平均配向角が、5~20度であることが好ましく、5~19度であることがより好ましい。
不織布基材の平均配向角を調整する方法としては、例えば、湿式法で不織布を製造する場合、長網式又は傾斜ワイヤー式の抄紙機を用い、抄造速度を速くするか、ワイヤー上に繊維分散スラリーを載せる際の、ヘッドボックスからのスラリーの噴射速度/抄紙速度の比を小さくすることにより、平均配向角を小さくすることができる。一方、円網式抄紙機等の、ワイヤーを、スラリーを満たした槽中に設置する抄造方式を用いることにより、平均配向角を大きくすることができる。
4つ目の方法として、塗工液の粘度を調整する方法がある。この方法において、塗工液の浸透を向上させるためには、塗工液の粘度を低くすれば良い。塗工液の粘度を調整する方法としては、塗工液の固形分濃度を調整する方法、増粘剤を添加する方法、塗工液の温度を調整する方法等がある。本発明において、塗工液のB型粘度は、50~1500mPa・sが好ましく、さらに好ましくは100~1000mPa・sの範囲である。
5つ目の方法として、塗工液の表面張力を調整する方法がある。この方法において、塗工液の浸透を向上させるためには、塗工液の表面張力を低くすればよく、塗工液の浸透を抑えるためには、塗工液の表面張力を高くすればよい。塗工液の表面張力を調整する方法としては、濡れ剤を添加する方法、濡れ剤の添加量を調整する方法、塗工液の温度を調整する方法等がある。本発明において、塗工液が水系の場合の表面張力は、20~70mN/mが好ましく、特に20~60mN/mが特に好ましい。
6つ目の方法として、塗工方法を選択する方法がある。この方法において、塗工液の浸透を向上させるためには、塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しやすい塗工方式を用いればよい。塗工液の浸透を抑えるためには、塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しにくい塗工方式を用いればよい。塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しやすい塗工方法の例としては、ブレードコーター、ロッドコーター等が挙げられる。塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しにくい塗工方法の例としては、ダイコーター、カーテンコーターが挙げられる。両者の中間的な塗工方法の例としては、グラビアコーターが挙げられる。本発明においては、グラビアロールの不織布基材への押付け圧を変化させることで浸透深さを容易に調整できることから、リバース方式のグラビアが好ましく用いられる。特に、グラビア径が150mm以下の小径グラビアがさらに好ましく用いられる。
7つ目の方法として、不織布基材にフィブリル化繊維を含有させる方法がある。この方法において、フィブリル化繊維の配合率を高くする、又は含有するフィブリル化繊維の変法濾水度を低くすることで塗工液の浸透を抑えることができる。また、フィブリル化物の配合率を少なくする、又は含有するフィブリル化物の変法濾水度を高くすることで塗工液の浸透性を向上させることができる。
これらの方法を適宜組み合わせることによって、不織布基材への塗工液の浸透を調整することができ、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であるセパレータを得ることができる。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率は、以下の方法により求める。
不織布基材の坪量をw1(g/m2)、厚みをt1(μm)、不織布基材を構成する繊維の平均密度をρ1(g/cm3)とし、以下の数式(1)により、不織布基材の1m2に占める空隙量(空隙体積)V(cm)を求める。
[数式(1)] V=t1-(w1/ρ1)
不織布基材に塗工する塗工液を、塗工液が浸透しない非多孔質のPETフィルムに塗工・乾燥し、塗工量w2(g/m2)と、塗工前後の厚みより算出した塗層の厚みt2(μm)から、以下の数式(2)にて、塗層密度ρ2(g/cm3)を求める。
[数式(2)] ρ2=w2/t2
セパレータの厚みをT(μm)、乾燥塗工量をW(g/m2)とし、以下の数式(3)により、不織布基材中の空隙体積に対する、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率X(%)を求めることができる。
[数式(3)] X=100×[{W/ρ2-(T-t1)}/V]
本発明において、リチウム二次電池とは、充放電において正負極間をリチウムイオンが移動する二次電池を言う。リチウム二次電池には、負極活物質としてリチウム吸蔵性の物質を用いたリチウムイオン二次電池、負極活物質として金属リチウムを用いた金属リチウム二次電池が含まれる。
リチウムイオン二次電池の負極活物質には、リチウム吸蔵性の物質が用いられる。リチウム吸蔵性の物質の例としては、炭素系材料、珪素系材料、遷移金属とリチウムの複合酸化物等が例示される。炭素系材料は、質量当たりのリチウム吸蔵可能量とリチウムの吸収・放出に伴う劣化のし難さとのバランスが良好である点で、好ましく使用される。炭素系材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン等の非晶性炭素;カーボンナノチューブ、グラフェン等のナノ炭素材料が例示される。珪素系材料は、質量当たりのリチウム吸蔵可能量が大きい点で、好ましく使用される。珪素系材料としては、珪素、一酸化珪素(SiO)、二酸化珪素(SiO2)が例示される。遷移金属とリチウムの複合酸化物の1種であるチタン酸リチウムは、リチウムの吸収・放出に伴う劣化が生じにくい点で、好ましく使用される。
リチウムイオン二次電池の負極としては、前記の負極活物質を含む負極材料を、金属箔上に塗工した電極が例示される。負極材料には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、スチレン-ブタジエン共重合体等のバインダー;カーボンブラック、ナノ炭素材料等の導電剤;分散剤;増粘剤等を混合することができる。金属箔に使用される金属としては、銅、アルミニウム等が例示される。
リチウム二次電池の正極活物質としては、遷移金属とリチウムの複合酸化物、遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩、硫黄等が例示される。遷移金属とリチウムの複合酸化物としては、コバルト、ニッケル、マンガンから選択される1種以上の遷移金属とリチウムの複合酸化物が例示される。これらの複合酸化物には、アルミニウム、マグネシウム等の典型金属;チタン、クロム等の遷移金属等をさらに複合することができる。遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩としては、鉄、マンガンから選択される1種以上の遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩が例示される。
リチウム二次電池の正極としては、前記の正極活物質を含む正極材料を、金属箔上に塗工した電極が例示される。正極材料には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、アクリル酸エステル共重合体等のバインダー;カーボンブラック、ナノ炭素材料等の導電剤;分散剤;増粘剤等を混合することができる。金属箔に使用される金属としては、アルミニウム等が例示される。
リチウム二次電池の電解液としては、極性溶媒にリチウム塩を溶解した溶液、イオン液体にリチウム塩を溶解した溶液が例示される。リチウム二次電池の電解液に用いられる極性溶媒としては、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル等の脂肪酸エステルが例示される。リチウム二次電池の電解液に用いられるリチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)が例示される。固体電解質又はゲル状電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーにリチウム塩又はリチウム塩と電解液を溶解させたものが用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例において百分率(%)及び部は、断りのない限り全て質量基準である。また、塗工量は乾燥塗工量(塗工量(絶乾))である。
<熱可塑性非フィブリル化繊維>
PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径2.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:240℃)
PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径3.0μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:240℃)
PET3:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径5.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:240℃)
PET4:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径4.3μm、繊維長3mmのバインダー用未延伸ポリエステル単繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:235℃)
AC1:繊維径3.1μm、繊維長3mmのアクリル単繊維(密度:1.20g/cm3、ビカット軟化点200℃)
PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径2.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:240℃)
PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径3.0μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:240℃)
PET3:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径5.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:240℃)
PET4:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径4.3μm、繊維長3mmのバインダー用未延伸ポリエステル単繊維(密度:1.38g/cm3、ビカット軟化点:235℃)
AC1:繊維径3.1μm、繊維長3mmのアクリル単繊維(密度:1.20g/cm3、ビカット軟化点200℃)
<フィブリル化繊維>
FA1:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに、高圧ホモジナイザーにて処理して得られた、変法濾水度50mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FA2:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに、高圧ホモジナイザーにて処理して得られた、変法濾水度100mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FA3:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られた、変法濾水度290mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FA4:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られた、変法濾水度320mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FC1:繊維径12μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られた、変法濾水度100mlのフィブリル化繊維(密度:1.50g/cm3、熱分解温度:約200℃)
FA1:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに、高圧ホモジナイザーにて処理して得られた、変法濾水度50mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FA2:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに、高圧ホモジナイザーにて処理して得られた、変法濾水度100mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FA3:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られた、変法濾水度290mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FA4:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られた、変法濾水度320mlのフィブリル化繊維(密度:1.45g/cm3、熱分解温度:約500℃)
FC1:繊維径12μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られた、変法濾水度100mlのフィブリル化繊維(密度:1.50g/cm3、熱分解温度:約200℃)
<不織布基材1~9の作製>
2m3の分散タンクに水を投入後、表1に示す繊維配合率(%)で配合し、分散濃度0.2%で5分間分散して抄紙用スラリー1~4を得た。この抄紙用スラリー1~4を用いて、表2に示す抄紙機、抄紙条件によってワイヤーに形成した湿紙を、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して繊維ウェブを作製した。この繊維ウェブを金属ロール-弾性ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、表2に示す条件で熱カレンダー処理を行い、不織布基材1~9を得た。
2m3の分散タンクに水を投入後、表1に示す繊維配合率(%)で配合し、分散濃度0.2%で5分間分散して抄紙用スラリー1~4を得た。この抄紙用スラリー1~4を用いて、表2に示す抄紙機、抄紙条件によってワイヤーに形成した湿紙を、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して繊維ウェブを作製した。この繊維ウェブを金属ロール-弾性ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、表2に示す条件で熱カレンダー処理を行い、不織布基材1~9を得た。
<平均配向角の測定>
不織布基材1~9の異なる3ヶ所から採取したサンプルについて、湿紙をワイヤーに形成した際に、ワイヤーに接した面をワイヤー面、その反対面を非ワイヤー面として、前記した方法により、不織布基材両表面の平均配向角を測定した。結果を表2に示す。
不織布基材1~9の異なる3ヶ所から採取したサンプルについて、湿紙をワイヤーに形成した際に、ワイヤーに接した面をワイヤー面、その反対面を非ワイヤー面として、前記した方法により、不織布基材両表面の平均配向角を測定した。結果を表2に示す。
<塗工液Aの調製>
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100部とポリカルボン酸型高分子界面活性剤0.4部、水100部とを混合して十分攪拌した。次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液67部(固形分1.0部)及び、カルボキシ変性スチレン-ブタジエン共重合体エマルション(固形分濃度50%、ガラス転移点-18℃、平均粒子径0.2μm)10部(固形分5部)を攪拌しながら順次添加し、最後に調整水を加えて、固形分濃度を30%に調整し、塗工液Aを調製した。東京計器社製B型粘度計にて、ローターNo.2を用い、回転数30rpm、液温25℃の条件で測定した塗工液Aの粘度は520mPa・sであった。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100部とポリカルボン酸型高分子界面活性剤0.4部、水100部とを混合して十分攪拌した。次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液67部(固形分1.0部)及び、カルボキシ変性スチレン-ブタジエン共重合体エマルション(固形分濃度50%、ガラス転移点-18℃、平均粒子径0.2μm)10部(固形分5部)を攪拌しながら順次添加し、最後に調整水を加えて、固形分濃度を30%に調整し、塗工液Aを調製した。東京計器社製B型粘度計にて、ローターNo.2を用い、回転数30rpm、液温25℃の条件で測定した塗工液Aの粘度は520mPa・sであった。
<塗工液Bの調製>
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径0.5μmの水酸化マグネシウムに変更し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を33部(固形分0.5部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Bを調製した。なお、塗工液Aと同様の方法で測定した塗工液Bの粘度は270mPa・sであった。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径0.5μmの水酸化マグネシウムに変更し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を33部(固形分0.5部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Bを調製した。なお、塗工液Aと同様の方法で測定した塗工液Bの粘度は270mPa・sであった。
<塗工液Cの調製>
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径1.8μmの水酸化マグネシウムに変更し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を100部(固形分1.5部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Cを調製した。なお、塗工液Aと同様の方法で測定した塗工液Cの粘度は1050mPa・sであった。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径1.8μmの水酸化マグネシウムに変更し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を100部(固形分1.5部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Cを調製した。なお、塗工液Aと同様の方法で測定した塗工液Cの粘度は1050mPa・sであった。
<塗工液Dの調製>
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を2部(固形分0.03部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Dを調製した。なお、塗工液Aと同様の方法で測定した塗工液Dの粘度は70mPa・sであった。
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を2部(固形分0.03部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Dを調製した。なお、塗工液Aと同様の方法で測定した塗工液Dの粘度は70mPa・sであった。
(実施例1-1)
不織布基材1上に、塗工液Aを、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材1のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-1のセパレータを得た。
不織布基材1上に、塗工液Aを、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材1のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-1のセパレータを得た。
(実施例1-2)
不織布基材2上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材2のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.5g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-2のセパレータを得た。
不織布基材2上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材2のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.5g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-2のセパレータを得た。
(実施例1-3)
不織布基材3上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-3のセパレータを得た。
不織布基材3上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-3のセパレータを得た。
(実施例1-4)
不織布基材3上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-4のセパレータを得た。
不織布基材3上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-4のセパレータを得た。
(実施例1-5)
不織布基材4上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-5のセパレータを得た。
不織布基材4上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-5のセパレータを得た。
(実施例1-6)
不織布基材4上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-6のセパレータを得た。
不織布基材4上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-6のセパレータを得た。
(実施例1-7)
不織布基材5上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材5のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-7のセパレータを得た。
不織布基材5上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材5のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-7のセパレータを得た。
(実施例1-8)
不織布基材6上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材6のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-8のセパレータを得た。
不織布基材6上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材6のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-8のセパレータを得た。
(実施例1-9)
不織布基材1上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が8.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-9のセパレータを得た。
不織布基材1上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が8.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例1-9のセパレータを得た。
(比較例1-1)
不織布基材7上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材7のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-1のセパレータを得た。
不織布基材7上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材7のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-1のセパレータを得た。
(比較例1-2)
不織布基材4上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-2のセパレータを得た。
不織布基材4上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-2のセパレータを得た。
(比較例1-3)
不織布基材8上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材8のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-3のセパレータを得た。
不織布基材8上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材8のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-3のセパレータを得た。
(比較例1-4)
不織布基材9上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材9のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-4のセパレータを得た。
不織布基材9上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材9のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-4のセパレータを得た。
(比較例1-5)
不織布基材3上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が7.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-5のセパレータを得た。
不織布基材3上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が7.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-5のセパレータを得た。
(比較例1-6)
不織布基材4上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-6のセパレータを得た。
不織布基材4上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例1-6のセパレータを得た。
実施例1―1~1-9及び比較例1-1~1-6のセパレータと、それを用いてなるリチウムイオン電池について、下記の評価を行い、その結果を表3に記載した。
<セパレータの厚み>
JIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを使用して、5N荷重することにより測定した。
JIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを使用して、5N荷重することにより測定した。
<充填率:不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率>
表2に示す、不織布基材の坪量をw1(g/m2)、厚みをt1(μm)、不織布基材を構成する繊維の平均密度をρ1(g/cm3)とし、以下の数式(1)により、不織布基材の1m2に占める空隙量を計算し、空隙体積V(cm)とした。
表2に示す、不織布基材の坪量をw1(g/m2)、厚みをt1(μm)、不織布基材を構成する繊維の平均密度をρ1(g/cm3)とし、以下の数式(1)により、不織布基材の1m2に占める空隙量を計算し、空隙体積V(cm)とした。
[数式(1)] V=t1-(w1/ρ1)
実施例及び比較例で用いる塗工液を、塗工液が浸透しない非多孔質のPETフィルムに塗工・乾燥し、塗工量w2(g/m2)と、塗工前後の厚みより算出した塗層の厚みt2(μm)から、以下の数式(2)にて、塗層密度ρ2(g/cm3)を計算した。なお、塗工前後の厚みは、JIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを用いて、測定力5Nで測定した。
[数式(2)] ρ2=w2/t2
セパレータの厚みをT(μm)、乾燥塗工量をW(g/m2)とし、以下の数式(3)により、不織布基材中の空隙体積に対する、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率X(%)を計算し、『充填率』とした。
[数式(3)] X=100×[{W/ρ2-(T-t1)}/V]
<無機粒子/繊維質量比:熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比>
熱可塑性非フィブリル化繊維に対する、実施例及び比較例のセパレータに含まれる水酸化マグネシウムの質量比を計算し、『無機粒子/繊維質量比』とした。
熱可塑性非フィブリル化繊維に対する、実施例及び比較例のセパレータに含まれる水酸化マグネシウムの質量比を計算し、『無機粒子/繊維質量比』とした。
<耐熱性評価>
実施例及び比較例のセパレータに、はんだリワーク用のホットエアー装置を用い、10℃ステップで変化させた種々の温度の熱風を吹きつけ、セパレータに孔が開く最低の温度を確認し、以下の基準で評価した。なお、本試験の熱風温度が高ければ高い程、セパレータに孔が開きやすい。より広範な温度条件において電池の正負極を電池的に分離するという機能を維持できるという観点から、より高温まで孔が開かないセパレータが、形状安定性に優れ、耐熱性の高いセパレータと言える。
実施例及び比較例のセパレータに、はんだリワーク用のホットエアー装置を用い、10℃ステップで変化させた種々の温度の熱風を吹きつけ、セパレータに孔が開く最低の温度を確認し、以下の基準で評価した。なお、本試験の熱風温度が高ければ高い程、セパレータに孔が開きやすい。より広範な温度条件において電池の正負極を電池的に分離するという機能を維持できるという観点から、より高温まで孔が開かないセパレータが、形状安定性に優れ、耐熱性の高いセパレータと言える。
A:セパレータに孔が開く最低の温度が350℃以上
B:セパレータに孔が開く最低の温度が300℃以上350℃未満
C:セパレータに孔が開く最低の温度が300℃未満
B:セパレータに孔が開く最低の温度が300℃以上350℃未満
C:セパレータに孔が開く最低の温度が300℃未満
<ピンホール評価>
実施例及び比較例の各セパレータ(A4サイズ:210mm×297mm)のピンホールについて、透過光を用いて目視にて確認し、次の評価基準で評価した。
実施例及び比較例の各セパレータ(A4サイズ:210mm×297mm)のピンホールについて、透過光を用いて目視にて確認し、次の評価基準で評価した。
A:局部的に強い透過光は見られない。
B:局部的に強い透過光が観察されるが、光源の照度よりは低い。
C:局部的に光源の照度並みの強い透過光が観察される。
B:局部的に強い透過光が観察されるが、光源の照度よりは低い。
C:局部的に光源の照度並みの強い透過光が観察される。
<リチウムイオン電池の作製>
実施例及び比較例のセパレータを用い、正極にニッケル・マンガン・コバルト複合化物のリチウム塩(NMC正極材)、負極にメソカーボンマイクロビーズ(mesocarbon microbead)、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の1mol/L炭酸エチレン(EC)/炭酸ジエチル(DEC)(体積比1/1)混合溶媒溶液を用いた設計容量30mAhのリチウムイオン電池を作製した。
実施例及び比較例のセパレータを用い、正極にニッケル・マンガン・コバルト複合化物のリチウム塩(NMC正極材)、負極にメソカーボンマイクロビーズ(mesocarbon microbead)、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の1mol/L炭酸エチレン(EC)/炭酸ジエチル(DEC)(体積比1/1)混合溶媒溶液を用いた設計容量30mAhのリチウムイオン電池を作製した。
<内部抵抗評価>
作製した各リチウムイオン電池について、「60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→60mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクル」のシーケンスにて、5サイクルの慣らし充放電を行った後、「60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→6mAで30分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧を測定(電圧a)→60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→90mAで2分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧(電圧b)の測定」を行い、「内部抵抗Ω=(電圧a-電圧b)/(90mA-6mA)」の式で内部抵抗を求め、以下の基準で評価した。
作製した各リチウムイオン電池について、「60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→60mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクル」のシーケンスにて、5サイクルの慣らし充放電を行った後、「60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→6mAで30分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧を測定(電圧a)→60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→90mAで2分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧(電圧b)の測定」を行い、「内部抵抗Ω=(電圧a-電圧b)/(90mA-6mA)」の式で内部抵抗を求め、以下の基準で評価した。
A:内部抵抗が4Ω未満
B:内部抵抗が4Ω以上5Ω未満
C:内部抵抗が5Ω以上
B:内部抵抗が4Ω以上5Ω未満
C:内部抵抗が5Ω以上
<漏れ電流評価>
作製した各リチウムイオン二次電池を用い、30mA、4.3Vで定電流定電圧充電(終止電流1mA)を行い、充電容量を計測した(初回充電容量)。次いで、30mA定電流放電(終止電圧2.7V)を行った後に、30mA、4,2V定電流定電圧充電(終止電流3mA)を行い、30mA定電流放電(終止電圧2.7V)を2サイクル行った。次いで、30mA、4.2Vで定電流定電圧(終止電流3mA)を行い、6mA定電流放電(終止電圧2.7V)を行った。さらに、30mA、4,2V定電流定電圧充電(終止電流3mA)を行い、充電容量を計測した(サイクル充電容量)。サイクル充電容量に対する初回充電容量の比率から、以下の基準で漏れ電流を評価した。
作製した各リチウムイオン二次電池を用い、30mA、4.3Vで定電流定電圧充電(終止電流1mA)を行い、充電容量を計測した(初回充電容量)。次いで、30mA定電流放電(終止電圧2.7V)を行った後に、30mA、4,2V定電流定電圧充電(終止電流3mA)を行い、30mA定電流放電(終止電圧2.7V)を2サイクル行った。次いで、30mA、4.2Vで定電流定電圧(終止電流3mA)を行い、6mA定電流放電(終止電圧2.7V)を行った。さらに、30mA、4,2V定電流定電圧充電(終止電流3mA)を行い、充電容量を計測した(サイクル充電容量)。サイクル充電容量に対する初回充電容量の比率から、以下の基準で漏れ電流を評価した。
A:初回充電容量がサイクル充電容量に対して125%未満
B:初回充電容量がサイクル充電容量に対して125%以上150%未満
C:初回充電容量がサイクル充電容量に対して150%以上
B:初回充電容量がサイクル充電容量に対して125%以上150%未満
C:初回充電容量がサイクル充電容量に対して150%以上
<耐穿孔性評価>
直径40mmの真ちゅう製円筒電極、50mm角に切り出したセパレータ、直径0.5mm・長さ5mmのニッケル線、直径25mmの真ちゅう製円筒電極をこの順で重ね、両電極に2.5Vの電圧を加えながら、荷重装置により徐々に荷重した。両電極間に10μAの電流が流れた時点をもって、セパレータが穿孔したものとし、その時の荷重から以下の基準で評価した。
直径40mmの真ちゅう製円筒電極、50mm角に切り出したセパレータ、直径0.5mm・長さ5mmのニッケル線、直径25mmの真ちゅう製円筒電極をこの順で重ね、両電極に2.5Vの電圧を加えながら、荷重装置により徐々に荷重した。両電極間に10μAの電流が流れた時点をもって、セパレータが穿孔したものとし、その時の荷重から以下の基準で評価した。
A:穿孔時の荷重が2000N以上
B:穿孔時の荷重が1500N以上2000N未満
C:穿孔時の荷重が1000N以上1500N未満
D:穿孔時の荷重が500N以上1000N未満
E:穿孔時の荷重が500N未満
B:穿孔時の荷重が1500N以上2000N未満
C:穿孔時の荷重が1000N以上1500N未満
D:穿孔時の荷重が500N以上1000N未満
E:穿孔時の荷重が500N未満
表3に示した通り、実施例1-1~1-9で作製したセパレータは、不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材がフィブリル化されていない熱可塑性繊維を主体としてなり、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、フィブリル化されていない熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0であることから、耐熱性に優れ、内部抵抗が低く、漏れ電流の少ないセパレータであった。
実施例1-1と実施例1-9との比較から、不織布基材の両面に塗層を形成した実施例1-1のセパレータは、実施例1-1と同じ不織布基材の片面のみに、実施例1-1と同塗工量の塗層を形成した実施例1-9のセパレータに対し、ピンホール評価及び漏れ電流評価において良好な結果を示した。
実施例1-1と実施例1-2との比較から、厚みが15μm以上である実施例1-1のセパレータは、厚みが15μm未満である実施例1-2のセパレータに対し、耐熱性と耐穿孔性に優れ、ピンホール評価及び漏れ電流評価においても良好な結果を示した。
実施例1-5と実施例1-7との比較から、厚みが20μm以下である実施例1-5のセパレータは、厚みが20μmを超える実施例1-7のセパレータに対し、内部抵抗評価において良好な結果を示した。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65%未満である比較例1-1及び比較例1-3のセパレータは、耐熱性に劣るセパレータとなった。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して95%を超える比較例1-2及び比較例1-4のセパレータは、耐熱性と耐穿孔性に劣り、ピンホール評価及び漏れ電流評価においても悪い結果を示した。
熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8未満である比較例1-6のセパレータは、耐熱性に劣るセパレータとなった。
熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が2.0を超える比較例1-5のセパレータは、内部抵抗が上昇する結果となった。
<不織布基材10~21の作製>
2m3の分散タンクに水を投入後、表4に示す繊維配合率(%)で配合し、分散濃度0.2%で5分間分散して抄紙用スラリー5~14を得た。この抄紙用スラリー5~14を用いて、表5に示す抄紙機、抄紙条件によってワイヤーに形成した湿紙を、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して繊維ウェブを作製した。湿式不織布を金属ロール-弾性ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、表5に示す条件で熱カレンダー処理を行い、不織布基材10~21を得た。
2m3の分散タンクに水を投入後、表4に示す繊維配合率(%)で配合し、分散濃度0.2%で5分間分散して抄紙用スラリー5~14を得た。この抄紙用スラリー5~14を用いて、表5に示す抄紙機、抄紙条件によってワイヤーに形成した湿紙を、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して繊維ウェブを作製した。湿式不織布を金属ロール-弾性ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、表5に示す条件で熱カレンダー処理を行い、不織布基材10~21を得た。
<平均配向角の測定>
不織布基材10~21の異なる3ヶ所から採取したサンプルについて、湿紙をワイヤーに形成した際に、ワイヤーに接した面をワイヤー面、その反対面を非ワイヤー面として、前記した方法により、不織布基材両表面の平均配向角を測定した。結果を表5に示す。
不織布基材10~21の異なる3ヶ所から採取したサンプルについて、湿紙をワイヤーに形成した際に、ワイヤーに接した面をワイヤー面、その反対面を非ワイヤー面として、前記した方法により、不織布基材両表面の平均配向角を測定した。結果を表5に示す。
(実施例2-1)
不織布基材10上に、塗工液Bを、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材10のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-1のセパレータを得た。
不織布基材10上に、塗工液Bを、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材10のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-1のセパレータを得た。
(実施例2-2)
不織布基材11上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材11のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-2のセパレータを得た。
不織布基材11上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材11のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-2のセパレータを得た。
(実施例2-3)
不織布基材12上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材12のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-3のセパレータを得た。
不織布基材12上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材12のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-3のセパレータを得た。
(実施例2-4)
不織布基材13上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材13のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-4のセパレータを得た。
不織布基材13上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材13のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-4のセパレータを得た。
(実施例2-5)
不織布基材14上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材14のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-5のセパレータを得た。
不織布基材14上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材14のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-5のセパレータを得た。
(実施例2-6)
不織布基材15上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材15のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-6のセパレータを得た。
不織布基材15上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材15のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-6のセパレータを得た。
(実施例2-7)
不織布基材16上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材16のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-7のセパレータを得た。
不織布基材16上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材16のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-7のセパレータを得た。
(実施例2-8)
不織布基材17上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材17のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-8のセパレータを得た。
不織布基材17上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材17のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-8のセパレータを得た。
(実施例2-9)
不織布基材18上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材18のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-9のセパレータを得た。
不織布基材18上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材18のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-9のセパレータを得た。
(実施例2-10)
不織布基材10上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が10.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-10のセパレータを得た。
不織布基材10上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が10.0g/m2となるように塗工・乾燥して、実施例2-10のセパレータを得た。
(比較例2-1)
不織布基材19上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材19のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-1のセパレータを得た。
不織布基材19上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材19のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-1のセパレータを得た。
(比較例2-2)
不織布基材20上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材20のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-2のセパレータを得た。
不織布基材20上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材20のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-2のセパレータを得た。
(比較例2-3)
不織布基材21上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材21のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が7.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-3のセパレータを得た。
不織布基材21上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材21のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が7.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-3のセパレータを得た。
(比較例2-4)
不織布基材12上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材12のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-4のセパレータを得た。
不織布基材12上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、不織布基材12のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/m2となるように塗工・乾燥して、比較例2-4のセパレータを得た。
実施例2―1~2-10及び比較例2-1~2-4のセパレータと、それを用いてなるリチウムイオン電池について、実施例1-1及び比較例1-1と同様の評価を行い、その結果を表6に記載した。
表6に示した通り、実施例2-1~2-10で作製したセパレータは、不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材がフィブリル化されていない熱可塑性繊維を主体としてなり、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、フィブリル化されていない熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0であることから、耐熱性に優れ、内部抵抗が低く、漏れ電流の少ないセパレータであった。また、実施例2-1~2―10で作製したセパレータは、不織布基材が、フィブリル化繊維を含有することから実施例1-1~1-9のセパレータより耐穿孔性に優れていた。
実施例2-1と実施例2-10との比較から、不織布基材の両面に塗層を形成した実施例2-1のセパレータは、実施例2-1と同じ不織布基材の片面のみに、実施例2-1と同塗工量の塗層を形成した実施例2-10のセパレータに対し、ピンホール評価及び漏れ電流評価において良好な結果を示した。
実施例2-1と実施例2-9との比較から、全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維を含む不織布基材を用いた実施例2-1のセパレータは、溶剤紡糸セルロースのフィブリル化繊維を含む不織布基材を用いた実施例2-9のセパレータに対し、耐穿孔性に優れていた。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して65%未満である比較例2-1のセパレータは、耐熱性に劣るセパレータとなった。
不布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して95%を超える比較例2-2のセパレータは、耐熱性と耐穿孔性に劣り、ピンホール評価及び漏れ電流評価においても悪い結果を示した。
熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が2.0を超える比較例2-3のセパレータは、内部抵抗が上昇する結果となった。
熱可塑性非フィブリル化繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8未満である比較例2-4のセパレータは、耐熱性に劣るセパレータとなった。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、リチウムイオン電池用以外にも、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ等にも利用でき、さらに、リチウム以外の金属を用いた金属イオン電池、金属イオンポリマー電池、金属イオンキャパシタ等にも利用できる。
Claims (5)
- 不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とを有するリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材がフィブリル化されていない熱可塑性繊維を主体としてなり、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が不織布基材中の空隙体積に対して65~95%であり、フィブリル化されていない熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8~2.0であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
- 不織布基材の両面に塗層を有する請求項1に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
- 厚みが15~20μmである請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
- 不織布基材がフィブリル化繊維を含む、請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
- フィブリル化繊維が全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維である、請求項4に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
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- 2020-08-31 JP JP2020145756A patent/JP2022040844A/ja active Pending
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