JP2016171048A - リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】天然セルロースナノファイバーを含有し、生産性が高く、機械強度が強く、内部抵抗及び内部短絡不良率が低いリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することにある。【解決手段】フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロースを含んでなるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、該フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されてなり、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池に関する。
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液(非水電解液)を使用するリチウムイオン二次電池が注目されてきた。このリチウムイオン二次電池の平均電圧は、アルカリ二次電池の約3倍の3.7Vであり、高エネルギー密度であるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。
リチウムイオン二次電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)としては、ポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルムが多く使用されているが(例えば、特許文献1参照)、電解液の保液性が低いため、イオン伝導性が低く、内部抵抗が高くなる問題があった。
また、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、再生セルロース繊維の叩解物を主体とする紙製セパレータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。リチウムイオン二次電池においては、水分がわずかでも混入すると電池特性に悪影響を及ぼす。そのため、セパレータに含水分率の高い紙製セパレータを用いる場合、リチウムイオン二次電池製造の際に長時間の乾燥処理が必要となる。また、例えば、20.0μm未満の厚みにした場合、内部抵抗が高くなり、機械強度も極端に弱くなるため、セパレータを低厚みにできない問題があった。
さらに、近年では、電気・電子機器の小型化などにより、低厚化が要求され、ナノメーターサイズの繊維径を有するセルロース繊維(セルロースナノファイバー)が使用されている。しかし、セルロースナノファイバーで形成されたセパレータは、緻密となり、隔離性能などが向上する反面、透気度が大きくなる傾向がある。特に、ミクロフィブリル化されたセルロースナノファイバーは、水中での叩解によって水を介して水和性の高い繊維同士が絡み合って近接すると共に、乾燥によって繊維同士が水素結合を形成して密着する。そのため、ミクロフィブリル化されたセルロースナノファイバーを含むスラリーを抄紙してシート化して抄紙体を製造した場合、又は乾燥した場合に、強く収縮することがある。
セルロースナノファイバーを用いたセパレータの透気性を向上させる方法として、特許文献3には、繊維径1μm以下の微細なセルロースを原料とするセパレータの製造方法において、セルロース繊維間の空隙構造に保持された水を溶媒置換した後、乾燥することによって、湿紙に存在する空隙が保持され、多孔質で低密度であると共に、気密度が高いセパレータを得る方法が開示されている。特許文献3の実施例では、パルプをディスクリファイナーで叩解して、微細セルロースを調製している。
また、特許文献4には、最大繊維太さが1000nm以下であるセルロース繊維からなる蓄電デバイス用セパレータの製造方法として、微細セルロース繊維を水等の分散媒体へ高度に分散させた分散液を抄紙法や塗布法により製膜する方法や、静置培養により得られたバクテリアセルロースのゲルを乾燥させる方法において、乾燥の際に、水又は水が主体の分散媒体に対して、より疎水性の有機溶媒に置換した後に乾燥させる方法が開示されている。この文献の実施例では、超高圧ホモジナイザーを用いて、圧力175MPaで分散処理し、セルロースナノファイバーを調製している。
しかし、特許文献3及び4の方法では、溶媒置換を行うために工程が複雑となり、大量のエネルギーが必要である。さらに、環境に対する負荷も大きい上に、特定の透気度を有するセルロースナノファイバーの抄紙体を工業的に量産するは難しい。また、特許文献3では、セルロース原料であるパルプをディスクリファイナーで叩解しているため、繊維のフィブリル化の程度が低く、細孔径の大きい部分が発生し、セパレータとして利用すると、内部短絡が発生する場合があった。さらに、特許文献4では、セルロースナノファイバーが100MPaを超える高圧でホモジナイズされているため、生産性が著しく低く、繊維を均一にミクロフィブリル化するのが困難であった。
また、リチウムイオンイオン二次電池用セパレータとして、変法濾水度が0〜250mlの溶剤紡糸セルロースと合成繊維を含有する多孔性シートからなるセパレータが提案されている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5では、多孔質シートが、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロースを20質量%以下含有することも提案されている。このフィブリル化天然セルロースのミクロフィブリル化には改善の余地があり、多孔質シートの抵抗を更に低くすることが求められている。また、特許文献5の実施例では、リンターを高圧ホモジナイザーで叩解して、微細セルロースを調製しているため、生産性が低く、コストアップの要因となっていた。
特開2002−105235号公報 特許第3661104号公報 特許第3805851号公報 特許第4628764号公報 再公表WO2012/008559号公報
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、天然セルロースナノファイバーを含有し、生産性が高く、機械強度が強く、内部抵抗及び内部短絡不良率が低いリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、
(1)フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロースを含んでなるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されてなり、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(2)フィブリル化天然セルロースの繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上である上記(1)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(3)フィブリル化天然セルロースがコットン由来のセルロースである上記(1)又は(2)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(4)フィブリル化天然セルロースの割合が10質量%以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池、
を見出した。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化され、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分が85%以上含有する。石臼式麿砕機を用いているために、フィブリル化天然セルロースを高い生産性で製造することができる。
また、従来、リチウムイオン二次電池用セパレータの分野において、フィブリル化した天然セルロース繊維のフィブリル化状態は、濾水度、繊維径や繊維長の物性で規定されていた。本発明における検討の結果、これらの物性によって、フィブリル化の状態を管理しているだけでは不十分であり、機械強度がより強く、抵抗のより低いセパレータが得られるフィブリル化状態が存在することが判った。本発明では、フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されてなり、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることによって、溶剤紡糸セルロース繊維や合成繊維と、フィブリル化天然セルロースとがしっかりと絡み合い、低坪量・低厚みでありながら、引張強度等の機械強度を高めることができる。その結果、セパレータとしてのハンドリング性や内部短絡不良抑制効果を飛躍的に向上させることができる。さらに、リチウムイオン二次電池用セパレータが緻密でありながらも、内部抵抗を低く抑えることができ、放電特性やサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
さらに、フィブリル化天然セルロースの繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上であることによって、上記の効果がより発現しやすくなり、フィブリル化天然セルロースの割合が10質量%以下であるリチウムイオン二次電池用セパレータであっても、機械強度が強く、内部抵抗及び内部短絡不良率が低いリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明における溶剤紡糸セルロース繊維とは、従来のビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨンのように、セルロースを一旦セルロース誘導体に化学的に変換させたのち再度セルロースに戻す、いわゆる再生セルロース繊維と異なり、セルロースを化学的に変化させることなく、アミンオキサイドに溶解させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸してセルロースを析出させた繊維を指す。
溶剤紡糸セルロース繊維は、繊維長軸方向に分子が高度に配列しているため、湿潤状態で摩擦等の機械的な力が加えられると、繊維の表面から徐々にフィブリル化が進み、細くて長い微細繊維が、幹から枝分かれしたように生成する。フィブリル化とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。
フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を作製する方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等が挙げられる。この中でも特にリファイナーが好ましい。
溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化前の繊維径は、1.7dtex以下が好ましく、1.4dtex(約11.0μm)以下がより好ましく、1.25dtex(約9.5μm)以下が更に好ましい。
フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度は75〜220mlであることが好ましく、90〜175mlであることがより好ましく、90〜120mlであることが更に好ましい。変法濾水度が220mlより大きいと、セパレータの緻密性が不十分になり、内部短絡不良率が高くなる場合がある。
変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1質量%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
溶剤紡糸セルロース繊維の場合、微細化が進むに従って、繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄いと、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、溶剤紡糸セルロース繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまう。つまり、微細化した溶剤紡糸セルロースの場合は、JIS P8121の測定方法では正確な濾水度が計測できないのである。より詳細に説明すると、天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細かいフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークを形成しやすいのに対し、溶剤紡糸セルロース繊維は微細化処理によって繊維の長軸に平行に細かく分割されやすく、分割後の繊維1本1本における繊維径の均一性が高いため、平均繊維長が短くなるほど、繊維同士が絡みにくくなり、繊維ネットワークを形成しにくいと考えられる。そこで、本発明では、溶剤紡糸セルロース繊維の正確な濾水度を測定するために、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定する変法濾水度を用いた。
フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、0.2〜3.0mmが好ましく、0.5〜2.0mmがより好ましく、0.7〜1.1mmが更に好ましい。繊維長が0.2mmより短いと、セパレータから脱落する場合やセパレータの機械強度が低下する場合があり、3.0mmより長いと、繊維のフィブリル化が不十分となり、内部短絡不良率が高くなる場合や繊維がもつれてだまになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じて、繊維長測定装置(例えば、Hires Fiber Quality Analyzer Op Test Equpment Inc社製)で測定することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータに対するフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の割合は、50〜90質量%がより好ましく、60〜80質量%が更に好ましい。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の割合が50質量%未満の場合、低坪量としたときに、電解液の保液性が不十分で内部抵抗が高くなる場合がある。また、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率が高くなる場合がある。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の割合が90質量%を超える場合、合成繊維の含有量が減少するため、セパレータの機械強度が低下する場合がある。また、熱カレンダーによる厚さ調整において、フィブリル化した溶剤紡糸セルロースが空隙を埋めてしまい、保液性が低下して、内部抵抗が高くなる場合がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータに使用される合成繊維としては、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂からなる単繊維や複合繊維を挙げることができる。これらの合成繊維は、単独で使用しても良いし、2種類以上の組み合わせで使用しても良い。また、各種の分割型複合繊維を分割させたものを使用しても良い。この中でも、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが好ましく、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンが更に好ましい。ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンを使用すると、他の合成繊維よりも各繊維とフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維とが均一に絡み合ってネットワーク構造を形成しやすいため、表面の平滑性がより高く、緻密性や機械強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを得ることができる。
合成繊維の平均繊維径は0.1〜3.5μmが好ましく、1.5〜3.5μmがより好ましく、1.5〜2.5μmが更に好ましい。平均繊維径が0.1μm未満では、繊維が細すぎて、セパレータから脱落する場合があり、平均繊維径が3.5μmより太いと、セパレータの厚みを薄くすることが困難になる場合や緻密性が不十分となる場合があり、繊維本数が減るため、セパレータの機械強度が低下する場合がある。また、低厚さとした際に、最大細孔径が拡大し、内部短絡不良率が高くなる場合がある。平均繊維径は、セパレータ断面及び表面の走査型電子顕微鏡観察により、セパレータを形成する繊維の面積を計測し、真円に換算した繊維径を計測し、無作為に選んだ100本の平均値である。
合成繊維の繊維長は0.1〜10mmが好ましく、0.5〜5mmがより好ましく、1〜3mmが更に好ましい。繊維長が0.1mmより短いと、セパレータから脱落する場合ことがあり、10mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータに対して、合成繊維の割合は5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。合成繊維の割合が5質量%未満の場合、セパレータの機械強度が弱くなる場合があり、また、低厚さとした際に、抵抗を示すインピーダンスの上昇が大きくなる場合がある。合成繊維の割合が40質量%を超えた場合、低坪量とした際に、電解液の保液性が不十分で、内部抵抗が高くなる場合や、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率や放電特性のバラツキが高くなる場合がある。
フィブリル化天然セルロースの処理装置としては、リファイナー、ビーター、ミル、グラインダー式摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等が挙げられるが、この中では、特に石臼式摩砕機は、生産性の高さとそのフィブリル化状態及びその均一性の観点から最も優れている。
石臼式摩砕機(例えば、増幸産業社製のスーパーマスコロイダー(登録商標))での天然セルロース繊維のフィブリル化方法としては、天然セルロースの原料パルプを0.5質量%〜4.0質量%、好ましくは、0.8質量%〜3.0質量%、より好ましくは1.0質量%〜2.5質量%の固形分濃度となるように水に分散させ、微粉砕用の砥石(MKG−C)46を用いて、クリアランスを砥石同士が軽く接している状態を0.00(軽接点)mmとして、0.50mm〜0.00mmで数回程度通して天然セルロース繊維を解して流動性を上げた後、クリアランスを−0.05mm〜−0.15mmの間で徐々に狭め、フィブリル化を更に進めていく方法が挙げられる。より好ましくは、砥石を微粉砕用から超微細用(MKG−A)の80や120に変更し、クリアランスを−0.00〜−0.15mmの間で徐々に狭める処理を数回加えることで、よりフィブリル化が進行し、繊維長分布がシャープになる。
砥石の回転数は、特に制限されず、300〜2000rpmの広い範囲から選択でき、好ましくは600〜1500rpmである。
石臼式摩砕機による処理回数(パス回数)は10〜40回が好ましく、より好ましくは15〜30回であり、更に好ましくは20〜25回である。
本発明において、フィブリル化天然セルロースは、繊維長0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細かいフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して繊維同士が絡みやすく、蜘蛛の巣状の繊維ネットワークを形成しやすくなるため、該溶剤紡糸セルロース繊維や合成繊維ともしっかりと絡み合い、低坪量・低厚みであっても、引張強度等の機械強度を高めることができる。
一方、0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分が85%未満の場合、天然セルロース繊維のフィブリル化が進んでおらず、繊維同士が絡みにくくなり、セパレータの引張強度が低下すると共に、内部短絡不良率が悪化する。また、繊維の幹部分に太い部分が残るため、乾燥後、繊維の幹部分が被膜形成してしまい、電解液の分布が不均一になるため、内部抵抗が上昇しやすくなる。フィブリル化とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。フィブリル化された繊維の長さと巾のアスペクト比が約20〜約100000の範囲にあることが好ましい。
フィブリル化天然セルロースは、その繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有するファイン分の割合が75%以上であることが好ましい。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維や合成繊維との絡み合いによる引張強度の向上やセパレータの緻密性向上による細孔径の縮小や内部抵抗の低減という点から、より好ましくは、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.04〜0.08mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有するファイン分の割合が80%以上であることが好ましい。石臼式摩砕機を用いることにより、天然セルロース繊維を均一にフィブリル化させ、繊維長を短くすることにより、繊維本数を増やし、セパレータ全体に蜘蛛の巣状の繊維ネットワークを形成させることで、セパレータの引張強度が向上し、繊維の被膜化を防止し、内部抵抗の上昇を抑えることができる。
フィブリル化天然セルロースの繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、繊維に近赤外発光ダイオードを光源として当てて、拡散照明で投影された繊維の画像をCCDカメラで取り込んで繊維の輪郭から算出して求めることができ、市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。本発明では、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じて、繊維長測定装置(Hires Fiber Quality Analyzer Op Test Equpment Inc社製)を使用して測定した。フィブリル化した天然セルロース繊維の「繊維長」、「平均繊維長」、「繊維長分布」とは、上記に従って、測定・算出される「長さ加重繊維長」、「長さ加重平均繊維長」及び「長さ加重平均繊維長分布」を意味する。
本発明で使用されるフィブリル化天然セルロースの原料としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプと、コットンリンターパルプ、コットンパルプ、麻、バガス、ケナフ、竹、藁由来の非木材パルプを使用することができる。中でも、フィブリル化後の繊維強度や品質の安定性やセルロース純度の観点から、コットン由来のセルロースが好ましい。
リチウムイオン二次電池用セパレータに対して、フィブリル化天然セルロースの含有量は、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。フィブリル化天然セルロースは、溶剤紡糸セルロース繊維に比べ、繊維1本の太さの均一性が劣る傾向にあるが、繊維間の物理的な絡みと水素結合力が強いという特徴を有する。フィブリル化天然セルロースの含有率が10質量%を超えると、蜘蛛の巣状の繊維ネットワークが密になり過ぎ、イオン伝導性が阻害されることで、内部抵抗が高くなる場合や放電特性が低くなる場合がある。また、後述する抄紙方法を用いたセパレータの生産性が、脱水性の低下によって悪化することがある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、円網、長網、短網、傾斜型短網等の抄紙方式の中から1種の抄紙方式を有する抄紙機、同種又は異種の2種以上の抄紙方式を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて抄紙する方法によって製造することができる。原料スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加することができ、5〜0.001質量%程度の固形分濃度に原料スラリーを調製する。この原料スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙し、乾燥する。抄紙して得られたリチウムイオン二次電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
リチウムイオン二次電池用セパレータの坪量は、5.0〜15.0g/mが好ましく、6.0〜12.0g/mがより好ましく、7.0〜10.0g/mが更に好ましい。5.0g/m未満では、十分な機械強度が得られない場合があり、正極と負極との間の絶縁性が不十分となる場合や、内部短絡不良率やサイクル特性が低下する場合がある。15.0g/mを超えると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。本発明のセパレータの坪量は、JIS P8124に準拠して測定した値である。
リチウムイオン二次電池用セパレータの厚さは、6.0〜20.0μmが好ましく、7.0〜15.0μmがより好ましく、7.0〜10.0μmが更に好ましい。6.0μm未満では、十分な機械強度が得られない場合や、正極と負極との間の絶縁性が不十分となる場合や、内部短絡不良率、サイクル特性が悪くなる場合がある。20.0μmより厚いと、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。なお、本発明のセパレータの厚さはJIS B7502に規定された方法により測定した値、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
リチウムイオン二次電池用セパレータの引張強度は、200N/m以上であることが好ましく、300N/m以上であることがより好ましく、400N/m以上であることが更に好ましい。引張強度が200N/m未満では、捲回作業時において、セパレータの切断が発生する場合があり、400N/m未満では内部短絡不良が発生する場合がある。
リチウムイオン二次電池用セパレータのインピーダンスは、電池を組んだ際の内部抵抗と相関があり、0.50Ω以下であることが好ましく、0.45Ω以下であることがより好ましく、0.40Ω以下であることが更に好ましい。0.40Ω以下であれば、放電特性やサイクル特性に非常に優れる。0.50Ωを超えた場合、内部抵抗が高くなり、放電特性やサイクル特性が低下する場合がある。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe、WO、Nb、Li4/3Ti5/3等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。充放電を繰り返したときに負極表面に金属リチウムが析出する「リチウムデンドライト」という現象が発生し、このリチウムデンドライトは徐々に成長し、セパレータを貫通して正極に達し、内部短絡の原因になることがある。本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、このリチウムデンドライトが発生し難いチタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池に好適に使用される。
正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウムイオン二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等が挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維25部、リファイナーを用いて平均繊維径11.5μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させた変法濾水度90mlの溶剤紡糸セルロース繊維70部、コットンリンターパルプを増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%であるフィブリル化した天然セルロース繊維5部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な原料スラリー(0.5質量%濃度)を調製した。この原料スラリーを、傾斜型短網抄紙機を使用し、湿潤シートを得て、ヤンキードライヤー温度100℃で乾燥した後、カレンダー処理を施して、坪量9.3g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。なお、部数は質量基準である。
実施例2
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が90%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が84%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.2g/m、厚さ15.1μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例3
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が95%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が90%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.2g/m、厚さ15.1μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例4
PET系短繊維を20部、フィブリル化した天然セルロース繊維を10部とした以外は、実施例2と同様な方法で、坪量9.0g/m、厚さ14.9μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例5
フィブリル化させた変法濾水度90mlの溶剤紡糸セルロース繊維を72部、フィブリル化した天然セルロース繊維を3部とした以外は、実施例2と同様な方法で、坪量9.2g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例6
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.125mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が72%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.0g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例7
LBKPパルプをパルパーで離解した後、増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が87%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が80%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.2g/m、厚さ15.3μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例1
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が82%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が70%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.1g/m、厚さ15.2μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例8
PET系短繊維を20部、フィブリル化させた変法濾水度90mlの溶剤紡糸セルロース繊維を68部、フィブリル化した天然セルロース繊維を12部とした以外は、実施例2と同様な方法で、坪量9.2g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例2
コットンリンターパルプをパルパーで離解した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理し、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が84%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.125mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が70%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.1g/m、厚さ15.2μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例3
PET系短繊維を25部、フィブリル化させた変法濾水度90mlの溶剤紡糸セルロース繊維を75部、フィブリル化天然セルロースを0部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.0g/m、厚さ15.3μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例4
LBKPパルプをパルパーで離解した後、増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が80%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が74%であるフィブリル化天然セルロースを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.1g/m、厚さ15.1μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
<リチウムイオン二次電池>
[負極の作製]
負極活物質として、平均粒子径0.7μm、Li吸蔵電位が1.55Vであるスピネル構造のLiTi12で表されるチタン酸リチウムを95質量%、導電材としてアセチレンブラック2.5質量%と、ポリフッ化ビニリデン2.5質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン二次電池用負極を作製し、これを負極とした。
[正極の作製]
正極活物質として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)粉末を90質量%、アセチレンブラック3質量%、グラファイト3質量%及びポリフッ化ビニリデン4質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン二次電池用正極を作製し、これを正極とした。
[リチウムイオン二次電池の作製]
正極及び負極の集電体に端子をそれぞれ接続し、正極、セパレータ、負極、セパレータの順番に積層した後、この積層物を正極、負極の端子がセパレータの長手方向に対して直角になるように捲回した。続いて、この捲回物を90℃で加熱プレスすることにより、70×100mm、厚さ3.0mmの寸法を持つ扁平状電極群を作成した。続いて、両面にポリエチレンフィルムが積層された厚さ40μmのアルミニウム箔から構成された厚さ0.1mmのラミネートフィルムからなるパック(袋状外装材)を用意し、この袋状外装内に得られた電極群をその正極、負極の端子が外装材の開口部から外部に延出するように収納し、80℃で24時間真空乾燥を施した。次いで、前記の電極群を収納した袋状外装材内に、電解液として、エチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンの混合溶媒(体積比率25:75)に電解質として、1.5mol/Lの四フッ化ホウ酸リチウムを溶解したものを注入した後、袋状外装材の開口部をヒートシールにより完全密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、下記評価を行い、結果を表1に示した。
[坪量]
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
[厚さ]
JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚さを測定した。
[引張強度]
作製したセパレータについて、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−116750)を用いて、JIS P8113に準じて縦方向の引張強さを測定した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ具の間隔を100mm、引張速度を300mm/minとした。
[インピーダンス]
作製したセパレータについて、電解液(1M−LiPF/エチレンカーボネート(EC)+ジエチルカーボネート(DEC)+ジメチルカーボネート(DMC)(1:1:1、vol比))に浸した後、2つの略円筒形銅電極に挟み、LCRメーター(Instec社製、装置名:LCR−821)を使用して、200kHzにおける交流インピーダンスの抵抗成分を測定した。
[内部短絡不良率]
作製したセパレータをアルミニウム箔からなる電極間に介在して捲回することにより電極群を作製した後、電解液に含浸せずにテスターで電極間の導通を調べることによりショートの有無を確認した。短絡不良率は100個の電極群を検査して全電極群数に対するショート個数から算出した。
[サイクル特性]
各リチウムイオン二次電池を45℃環境下において、1Cレートで充放電サイクル試験を行い、1000サイクル目の放電容量を測定し、初期サイクル時の放電容量に対する放電容量維持率を算出した。
[変法濾水度]
変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
[長さ加重平均繊維長及び繊維長分布ヒストグラム]
フィブリル化した天然セルロース繊維の長さ加重平均繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、繊維長測定装置(Hires Fiber Quality Analyzer Op Test Equpment Inc社製)を使用して測定した。
Figure 2016171048
表1に示した通り、実施例1〜5のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されてなり、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上であるため、低坪量で、しかも低厚みでありながらも、機械強度が強く、内部短絡不良が少ない。また、抵抗成分を表すインピーダンスが低く、サイクル特性に優れている。
実施例6のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化天然セルロースの繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であるが、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.10mmを超えたところに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%未満であるため、実施例1〜5と比較して、引張強度が低下し、内部短絡不良率が高くなり、サイクル特性が悪化した。
実施例7のリチウムイオン二次電池用セパレータは、天然セルロース繊維の原料としてLBKPパルプを用いたため、フィブリル化する前に繊維長が短くなりやすかった。そのため、原料としてコットン由来のセルロースを用いた実施例1〜6、8のリチウムイオン二次電池用セパレータは、実施例7のリチウムイオン二次電池用セパレータと比較して、引張強度が高く、内部短絡不良率が低く、さらに、抵抗成分を表すインピーダンスも低くなり、サイクル特性も優れていた。
実施例8のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化した天然セルロース繊維の割合が10質量%を超えていて、該割合が10質量%である実施例4のセパレータと比較して、インピーダンスが高くなり、サイクル特性が低下した。また、湿式抄造法で抄紙する際に、脱水性が悪化し、抄速を下げる必要があった。
一方、比較例1のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されていて、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有するが、繊維長0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%未満であり、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%未満であるため、フィブリル化天然セルロースの原料がLBKPである実施例7を除く、実施例1〜8と比較して、セパレータの引張強度が低下し、内部短絡不良率が悪化し、さらに、インピーダンスが高くなるため、サイクル特性が低下した。
比較例2のリチウムイオン二次電池用セパレータは、天然セルロースを高圧ホモジナイザーで処理した場合であるが、処理時間が、マスコロイダー(登録商標)での処理よりも長くなり、生産性が悪化した上、さらに、フィブリル化天然セルロースの原料がLBKPである実施例7を除く、実施例1〜8と比較しても、引張強度が低下傾向で、インピーダンスが高くなるため、サイクル特性が低下した。
比較例3のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化天然セルロースを添加しなかった場合であるが、引張強度が低下し、内部短絡不良率が悪化した。
比較例4のリチウムイオン二次電池用セパレータは、天然セルロース繊維の原料としてLBKPパルプを用い、石臼式摩砕機を用いてフィブリル化され、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%未満であるフィブリル化天然セルロースを含有している。天然セルロース繊維の原料としてLBKPパルプを用い、石臼式摩砕機を用いてフィブリル化され、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であるフィブリル化天然セルロースを含有している実施例7のリチウムイオン二次電池用セパレータと比較して、比較例4のフィブリル化天然セルロースはフィブリル化が進んでいないため、セパレータの引張強度が著しく低下し、内部短絡不良率が悪化し、さらに、天然セルロースの部分的な皮膜化が起きるため、インピーダンスが高くなり、サイクル特性が低下した。
実施例と比較例を比較することで、天然セルロース繊維のフィブリル化された処理状態で、セパレータの強度やインピーダンスに影響が出て、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロースを含んでなるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、該フィブリル化天然セルロースがコットン系の原料で、石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されてなり、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることによって、生産性が高く、機械強度が強く、内部抵抗及び内部短絡不良率が低いという効果が得られることが判る。
本発明の活用例としては、リチウムイオン二次電池用セパレータ、リチウムイオンポリマー二次電池用セパレータが好適である。

Claims (5)

  1. フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロースを含んでなるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、該フィブリル化天然セルロースが石臼式摩砕機を用いてフィブリル化されてなり、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 該フィブリル化天然セルロースの繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  3. 該フィブリル化天然セルロースがコットン由来のセルロースである請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  4. 該フィブリル化天然セルロースの割合が10質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池。
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