JP2015060769A - リチウムイオン二次電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】効率よく生産され、強度、均一性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供する。【解決手段】平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とし、脱気処理された繊維スラリーを使って湿式抄紙された多孔質シートであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。より好ましくは、多孔質シートが湿式抄紙される工程において発生する白水を脱気処理し、湿式抄紙する際に利用することを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池に関する。
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液(非水電解液)を使用するリチウムイオン二次電池が注目されてきた。このリチウムイオン二次電池の平均電圧は、アルカリ二次電池の約3倍の3.7Vであり、高エネルギー密度となるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。
リチウムイオン二次電池用セパレータとしては、ポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルムが多く使用されているが(例えば、特許文献1参照)、電解液の保液性が低いため、イオン伝導性が低く、内部抵抗が高くなる問題があった。
さらに、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、合成繊維からなる不織布セパレータ(例えば、特許文献2〜4参照)についても提案されているが、これらのセパレータは電解液の保液性が低く、内部抵抗が高くなる問題や、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率が高くなる、高レート特性や放電特性及びそのバラツキに劣るといった問題があった。
また、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維、合成繊維からなるセパレータが提案されているが(例えば、特許文献5参照)、これらのセパレータでは、セパレータ強度にまだ改善の余地があった。
上記のような機械的処理を受けてフィブリル化した繊維は、繊維の幹部から伸びた微細な繊維が、セパレータの微細な多孔質層を形成する共に、強度を発現させる。しかしながら、湿紙抄紙法でセパレータを製造する場合、微細な繊維のまわりには、繊維スラリー中に溶存する気体や泡を保持しやすく、これら気体や泡は、セパレータの均一性や強度を損なうと共に、セパレータ製造時の生産性を損なっていた。
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、効率よく生産され、強度、均一性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することにある。
(1)平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とし、脱気処理された繊維スラリーを使って湿式抄紙された多孔質シートであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(2)多孔質シートが湿式抄紙される工程において発生する白水を脱気処理し、湿式抄紙する際に利用することを特徴とする上記(1)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
を見出した。
(2)多孔質シートが湿式抄紙される工程において発生する白水を脱気処理し、湿式抄紙する際に利用することを特徴とする上記(1)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
を見出した。
平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とし、脱気処理された繊維スラリーを使って湿式抄紙された多孔質シートであることを特徴としている本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(1)は、従来のリチウムイオン二次電池用セパレータに比べて、効率よく生産され、強度、均一性に優れる。また、多孔質シートが湿式抄紙される工程において発生する白水を脱気処理し、湿式抄紙する際に利用する本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(2)は、より効率よく生産され、より強度、均一性が優れる。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータについて詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とし、脱気処理された繊維スラリーを使って湿式抄紙された多孔質シートであることを特徴とする。
本発明において、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の「平均繊維長」は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。本発明における「平均繊維長」とは、屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)を測定・算出した「長さ加重平均繊維長」である。フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の「ファイン分の比率」は、屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)が0.2mm以下の繊維が、測定された全繊維に対して占める比率(長さ加重平均ベースで計算)を意味する。
本発明において、平均繊維長が1.10mm以下でファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とする。フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の平均繊維長が1.10mmよりも長い場合には、湿式抄紙の際にフロック化しやすく、均一な多孔質シートを提供することができない。本発明のセパレータを製造する際のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の平均繊維長は、0.50〜1.00mmがより好ましく、0.65〜0.90mmがさらに好ましい。
フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維は、機械的処理を受けて、繊維表面から微細な繊維となってフィブリル化する。この機械的処理の際、同時に繊維の短繊維化、繊維表面から微細な繊維が脱離する。繊維長として0.2mm以下の微細な繊維は、「ファイン分」と定義される。ファイン分は、繊維スラリーの中では、泡を吸着しやすく、湿式抄紙の際にピンホールを発生しやすい。また、ワイヤーの目を詰めやすく、ワイヤーからフェルトへの湿紙の円滑な転写を阻害する。少なくとも、均一で強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供するためには、平均繊維長が1.10mm以下でファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とする繊維スラリーを調成し、湿式抄紙することが必要である。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータにフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維として含有する場合、その含有量は50質量%以上であることが好ましい。また、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の含有量は、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が50質量%未満の場合、電解液の保液性が不十分で内部抵抗が高くなったり、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率が高くなったりする。
溶剤紡糸セルロース繊維をフィブリル化させる方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、各種ホモジナイザー等が挙げられる。この中でも、特に、生産性の観点から、リファイナー、ビーターが使用される。ファイン分の比率を抑えながら、特定の平均繊維長のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を調成する手段としては、処理時の濃度、負荷動力、処理時の温度の調整、リファイナー、ビーターの刃型の選定といった条件を組み合わせることで達成することができる。
本発明において、セパレータは、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とする繊維を水に分散した後、段階的に希釈−分散を進め、ワイヤーパートに繊維スラリーを送り、ワイヤーパートにおいて、繊維スラリーから脱水を行い、湿紙抄紙によって製造される。その後、湿紙は、プレスパートで搾水され、ドライヤーパートで乾燥される。繊維スラリーに機械的作用を加え、水中に分散させる場合、空気が巻き込まれ、多くの気泡が発生する。これら気泡をなくすために、消泡剤・抑泡剤が添加されるが、比較的大きな泡を消すことができても、非常に小さな泡を消すことはできない。また、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とする繊維スラリーを送液したり、抄紙機のワイヤーパートで脱水したりする際には、繊維スラリーに減圧作用が加えられ、繊維スラリー中に存在する小さな気泡や繊維スラリー中に溶存されている気体が膨張し、新たな泡を発生させる。その結果、セパレータの中に泡由来のピンホールが発生し、セパレータの均一性が損なわれる。ピンホールを有したセパレータは、ピンホールの部分に応力・歪が集中しやすく、その結果、セパレータの機械的強度が劣る。
上記の課題を解決するためには、脱気処理された繊維スラリーを使って、多孔質シートを湿紙抄紙することで、強度、均一性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを、効率よく提供することができる。
本発明において、セパレータを製造する際に行う脱気処理は、繊維スラリーの調成工程の中で行われる。例えば、原料となる繊維の分散工程、繊維スラリーの希釈工程、抄紙機のワイヤーパートに原料を送液する工程で、単独又は組み合わせて行われる。脱気処理の程度としては、少なくとも、繊維スラリー中の溶存気体量が減少する程度の処理程度が望ましい。本発明における脱気処理の方法としては、繊維スラリーと水が混合された繊維スラリーを処理する方法と繊維スラリーと脱気処理した希釈水を混合する方法がある。脱気処理を行う装置としては、例えば、繊維と水が混合された繊維スラリーを脱気する装置としてデキュレーター(登録商標、アンドリッツ社製)、脱気処理した希釈水を混合する装置として、POMシステム(相川鉄工社製)、脱気ポンプ(横田製作所製)、真空脱気装置デアマイルド(登録商標、マツボー社製)などを適用することができる。
本発明において、セパレータを製造する際に、多孔質シートが湿式抄紙される工程において発生する白水を脱気処理し、湿式抄紙する際に利用することで、以下の理由より、強度、均一性がより良いセパレータを提供することができる。
(1)湿式抄紙工程の中で、最も水量が多いと考えられるのが循環する白水であり、白水中の溶存気体を減らすことは、セパレータのピンホールを減らす効果が大きい。
(2)泡を発生させやすい繊維に付着していた油剤、界面活性剤等が多く含まれていると考えられ、白水中の溶存気体を減らすことで泡の発生を抑えることができる。
(3)繊維スラリー全体を脱気処理する際に、繊維のヨレなどが発生する場合があり、繊維分の少ない白水を処理することで、繊維ヨレによる欠点発生を抑えることができる。
(1)湿式抄紙工程の中で、最も水量が多いと考えられるのが循環する白水であり、白水中の溶存気体を減らすことは、セパレータのピンホールを減らす効果が大きい。
(2)泡を発生させやすい繊維に付着していた油剤、界面活性剤等が多く含まれていると考えられ、白水中の溶存気体を減らすことで泡の発生を抑えることができる。
(3)繊維スラリー全体を脱気処理する際に、繊維のヨレなどが発生する場合があり、繊維分の少ない白水を処理することで、繊維ヨレによる欠点発生を抑えることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維以外に、合成繊維や溶剤紡糸セルロース繊維以外のセルロース繊維も適宜配合することができる。
合成繊維としては、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂からなる単繊維や複合繊維を挙げることができる。これらの合成繊維は、単独で使用しても良いし、2種類以上の組み合わせで使用しても良い。また、各種の分割型複合繊維を分割させたものを使用しても良い。この中でも、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが好ましく、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンがさらに好ましい。ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンを使用すると、他の合成繊維よりも各繊維とフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維とが均一に絡み合ってネットワーク構造を形成しやすいため、緻密性や機械強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを得ることができる。
合成繊維の平均繊維径は0.1〜20μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。平均繊維径が0.1μm未満では、繊維が細すぎて、セパレータから脱落する場合があり、平均繊維径が20μmより太いと、セパレータの厚みを薄くすることが困難になる場合がある。
合成繊維の繊維長は0.1〜15mmが好ましく、0.5〜10mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。繊維長が0.1mmより短いと、セパレータから脱落することがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータが合成繊維を含有している場合、その含有量は50質量%未満であることが好ましい。また、合成繊維の含有量は、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。合成繊維の含有率が50質量%を超える場合、電解液の保液性が不十分で内部抵抗が高くなったり、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率が高くなったりする。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維以外のセルロース繊維も併用することができる。例えば、平均繊維長0.20〜1.00mmのフィブリル化天然セルロース繊維を20質量%以下含有していることが好ましい。フィブリル化天然セルロース繊維の含有量は、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。フィブリル化天然セルロース繊維は、溶剤紡糸セルロース繊維に比べ、繊維1本の太さの均一性が劣る傾向にあるが、繊維間の物理的な絡みと水素結合力が強いという特徴を有する。フィブリル化天然セルロース繊維の含有率が20質量%を超えると、セパレータ表面にフィルムを形成し、イオン伝導性が阻害されることで、内部抵抗が高くなることや、放電特性が低くなることがある。
天然セルロース繊維をフィブリル化する方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等が挙げられる。この中でも、特に高圧ホモジナイザーが好ましい。
リチウムイオン二次電池用セパレータは、円網、長網、短網、傾斜型等の抄紙網を有する抄紙機、これらの抄紙網の中から同種又は異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて抄紙する抄紙法によって製造することができる。繊維スラリーには、原料となる繊維の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加し、5〜0.001質量%程度の固形分濃度に繊維スラリーを調製する。この繊維スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙する。抄紙して得られたリチウムイオン二次電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
リチウムイオン二次電池用セパレータの厚みは、6〜50μmが好ましく、8〜45μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。6μm未満では、十分な機械的強度が得られなかったり、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率、放電特性のバラツキが高くなったり、容量維持率やサイクル特性が悪くなったりする場合がある。50μmより厚いと、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。なお、本発明のセパレータの厚さはJIS B7502に規定された方法により測定した値、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
リチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、平均ポア径が0.10μm以上、かつ、最大ポア径が6.0μm以下であることが好ましい。平均繊維長0.40〜1.10mmの溶剤紡糸セルロース繊維が絡み合うことによって、この平均ポア径を達成することができる。平均ポア径が0.10μm未満では、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。最大ポア径が6.0μm超では、リチウムイオン二次電池の内部短絡不良率や放電特性のバラツキが大きくなる場合がある。平均ポア径が0.10μm以上、かつ、最大ポア径が4μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは平均ポア径が0.15μm以上、かつ、最大ポア径が3μm以下である。
リチウムイオン二次電池用セパレータの坪量は、5〜40g/m2が好ましく、7〜30g/m2がより好ましく、10〜20g/m2がさらに好ましい。5g/m2未満では、十分な機械的強度が得られない場合や、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率や放電特性のバラツキが高くなる場合がある。40g/m2を超えると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe2O3、WO2、Nb2O5、Li4/3Ti5/3O4等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウムイオン二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等が挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は、断りのない限り、すべて質量によるものである。
<フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の調成>
未処理の溶剤紡糸セルロース繊維(LENZING社製、1.7dtex繊維×カット長3mm品)を分散した後、株式会社サトミ製作所製コニカルリファイナーで表1記載のフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を調成した。
未処理の溶剤紡糸セルロース繊維(LENZING社製、1.7dtex繊維×カット長3mm品)を分散した後、株式会社サトミ製作所製コニカルリファイナーで表1記載のフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を調成した。
<多孔質シートの製造>
表2に示した原料と配合量と脱気処理に従って、繊維スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例1〜16及び比較例1〜3の坪量13g/m2、厚み18μmの多孔質シートからなるセパレータを作製した。坪量は、JIS P8124に準拠して坪量を測定した。厚みは、JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚みを測定した。
表2に示した原料と配合量と脱気処理に従って、繊維スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例1〜16及び比較例1〜3の坪量13g/m2、厚み18μmの多孔質シートからなるセパレータを作製した。坪量は、JIS P8124に準拠して坪量を測定した。厚みは、JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚みを測定した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたリチウムイオン二次電池用セパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。
実施例及び比較例で得られたリチウムイオン二次電池用セパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。
操業性:
実施例及び比較例において、多孔質シートを円網抄紙機で抄紙する際の加工性を下記の指標により評価を行った。実用上、「3」以上であれば使用可能と判断した。
「5」: 抄紙時に問題なく製造できる。毛羽は、確認されない。
「4」: 抄紙時に問題なく製造できる。毛羽は、ほとんど確認されない。
「3」: 抄紙時に製造可能。毛羽も確認される場合がある。
「2」: 抄紙時にワイヤーから湿紙が剥がれるが、湿紙が毛羽立っている。断紙も発
生する場合がある。
「1」: 抄紙時にワイヤーから湿紙が剥がれにくく、断紙も頻発する。
実施例及び比較例において、多孔質シートを円網抄紙機で抄紙する際の加工性を下記の指標により評価を行った。実用上、「3」以上であれば使用可能と判断した。
「5」: 抄紙時に問題なく製造できる。毛羽は、確認されない。
「4」: 抄紙時に問題なく製造できる。毛羽は、ほとんど確認されない。
「3」: 抄紙時に製造可能。毛羽も確認される場合がある。
「2」: 抄紙時にワイヤーから湿紙が剥がれるが、湿紙が毛羽立っている。断紙も発
生する場合がある。
「1」: 抄紙時にワイヤーから湿紙が剥がれにくく、断紙も頻発する。
均一性:
実施例及び比較例のセパレータの均一性は、幅150mm、長さ1000mmの面積のセパレータに関して、下記の指標により、目視評価を行った。実用上、「3」以上であれば使用可能と判断した。
「5」: ピンホールはなく、繊維のヨレによる欠点も見られない。
「4」: ピンホールはない。繊維のヨレによる欠点もほとんど見られない。
「3」: ピンホールが散見される。繊維のヨレによる欠点もたまに見られる。
「2」: ピンホールが多く見られる。
「1」: ピンホールが非常に多く見られる。
実施例及び比較例のセパレータの均一性は、幅150mm、長さ1000mmの面積のセパレータに関して、下記の指標により、目視評価を行った。実用上、「3」以上であれば使用可能と判断した。
「5」: ピンホールはなく、繊維のヨレによる欠点も見られない。
「4」: ピンホールはない。繊維のヨレによる欠点もほとんど見られない。
「3」: ピンホールが散見される。繊維のヨレによる欠点もたまに見られる。
「2」: ピンホールが多く見られる。
「1」: ピンホールが非常に多く見られる。
強度:
実施例及び比較例のセパレータを、50mm幅の短冊状に切り揃えた。試験片を卓上型材料試験機(商品名:STA−1150、(株)オリエンテック製)に据え付けた40mmφの固定枠に装着し、先端に丸み(曲率1.6)をつけた直径1.0mmの金属針((株)オリエンテック製)を試料面に対して直角に50mm/分の一定速度で貫通するまで降ろした。この時の最大荷重(g)を計測し、これを突刺強度とした。1試料について5ヶ所以上突刺強度を測定し、全測定値の中で最も小さい突刺強度について、1.0N以上であれば強度的に優れている、0.5以上1.0N未満であれば実用上使用可能、0.5N未満であれば強度的に弱いと考える。
実施例及び比較例のセパレータを、50mm幅の短冊状に切り揃えた。試験片を卓上型材料試験機(商品名:STA−1150、(株)オリエンテック製)に据え付けた40mmφの固定枠に装着し、先端に丸み(曲率1.6)をつけた直径1.0mmの金属針((株)オリエンテック製)を試料面に対して直角に50mm/分の一定速度で貫通するまで降ろした。この時の最大荷重(g)を計測し、これを突刺強度とした。1試料について5ヶ所以上突刺強度を測定し、全測定値の中で最も小さい突刺強度について、1.0N以上であれば強度的に優れている、0.5以上1.0N未満であれば実用上使用可能、0.5N未満であれば強度的に弱いと考える。
実施例1〜5と比較例1を比較することで、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維のファイン分が多く、10質量%を超えると、操業性が悪く、ファイン分に由来する欠点が多くなり、セパレータの均一性が損なわれることがわかる。
実施例1〜5と比較例2を比較することで、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維の平均繊維長が1.10mmを超えると、繊維同士の絡み合い、ヨレが強くなり、セパレータの均一性が損なわれることがわかる。
実施例4、6、7と比較例3を比較することで、平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とし、繊維を分散する工程(表1の脱気処理「原料」に相当)、繊維を希釈する工程(表1の脱気処理「希釈水」に相当)、ヘッドボックスに繊維を送液する工程(表1の脱気処理「全体」に相当)のいずれかの工程で脱気処理された繊維スラリーを使って湿式抄紙することで、操業性よく、均一性と強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することができることがわかる。
実施例2〜4と実施例8〜10、実施例4と実施例11を比較することで、溶剤紡糸セルロース繊維を機械的処理し、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を調成する際に、処理する際の濃度、処理する際に繊維に加える負荷(=回転数)を制御することで、平均繊維長とファイン分の比率を調整することができる。そして、比較的ファイン分の比率の少ないフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とすることで、操業性よく、均一性と強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することができる。
実施例4、12、13を比較することで、平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維を混合した繊維スラリーを脱気処理した後、湿式抄紙することで、操業性よく、均一性と強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することができる。
実施例2、3と実施例14、15を比較することで、多孔質シートが湿式抄紙される工程において抄紙機から発生する白水を脱気処理して、湿式抄紙の際に利用することで、繊維スラリー中での繊維のヨレを抑えながら、脱気処理できるため、操業性よく、強度、均一性により優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを提供できることがわかる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等のリチウムイオン二次電池に好適に使用できる。
Claims (2)
- 平均繊維長が1.10mm以下で、ファイン分の比率が10質量%以下のフィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維を主体繊維とし、脱気処理された繊維スラリーを使って湿式抄紙された多孔質シートであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 多孔質シートが湿式抄紙される工程において発生する白水を脱気処理し、湿式抄紙する際に利用することを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017123279A (ja) * | 2016-01-07 | 2017-07-13 | 三菱製紙株式会社 | リチウムイオン二次電池用セパレータ |
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