JP5767222B2 - リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池に関する。
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液(非水電解液)を使用するリチウムイオン二次電池が注目されてきた。このリチウムイオン二次電池の平均電圧は、アルカリ二次電池の約3倍の3.7Vであり、高エネルギー密度となるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。
リチウムイオン二次電池用セパレータとしては、ポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルムが多く使用されているが(例えば、特許文献1参照)、電解液の保液性が低いため、イオン伝導性が低く、内部抵抗が高くなる問題があった。
また、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、再生セルロース繊維の叩解物を主体とする紙製セパレータ(例えば、特許文献2参照)が提案されている。リチウムイオン二次電池においては、水分がわずかでも混入すると電池特性に悪影響を及ぼすことから、セパレータに含水分率の高い紙製セパレータを用いる場合、リチウムイオン二次電池製造の際に長時間の乾燥処理が必要となる。また、セパレータ強度が弱いため、セパレータを薄くできない問題があった。
さらに、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、合成繊維からなる不織布セパレータ(例えば、特許文献3〜5参照)についても提案されているが、これらのセパレータは電解液の保液性が低く、内部抵抗が高くなる問題や、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率が高くなる、高レート特性や放電特性及びそのバラツキに劣るといった問題があった。
また、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、フィブリル化耐熱性繊維、フィブリル化セルロース、非フィブリル化繊維からなるセパレータが提案されているが(例えば、特許文献6〜8参照)、このセパレータでは、セパレータ強度にまだ改善の余地があった。
特開2002−105235号公報 特許3661104号公報 特開2003−123728号公報 特開2007−317675号公報 特開2006−19191号公報 国際公開第2005/101432号パンフレット 国際公開第1996/030954号パンフレット 特開2004−146137号公報
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、含水分率が低く、機械強度が強く、内部抵抗、内部短絡不良率、特に、高レートでの放電特性及びそのバラツキ、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオンに次電池を見出した。
(1)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度が0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる合成繊維を10〜90質量%含有する多孔質シートからなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(2)溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmである(1)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(3)溶剤紡糸セルロース繊維が、その長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が10%以上である(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(4)溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下である(3)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(5)溶剤紡糸セルロース繊維が、その長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が50%以上である(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(6)溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する(5)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(7)溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.50〜1.25mmであり、平均カール度が25以下である(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(8)さらに、多孔質シートが、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を20質量%以下含有してなる(1)〜(7)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(9)さらに、多孔質シートが、カルボキシメチルセルロースを含有してなる(1)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(10)多孔質シートが、合成繊維の少なくとも1種として、熱融着成分及び非熱融着成分からなる芯鞘型熱融着繊維を含有してなる(1)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(11)芯鞘型熱融着繊維の芯部がポリエチレンテレフタレートであり、鞘部がポリエステル共重合体である(10)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(12)多孔質シートが熱処理されてなる(10)又は(11)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(13)多孔質シートの平均ポア径が0.10μm以上、かつ、最大ポア径が6.0μm以下である(1)〜(12)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(14)多孔質シートにおいて、JIS B7502に規定された方法により測定した値(5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定されたシートの厚み)が6〜50μmである(1)〜(12)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
(15)多孔質シートの坪量が5〜40g/m2である(1)〜(12)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
16)合成繊維の平均繊維径が0.1〜20μmである(1)〜(15)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
17)多孔質シートが多層構造からなり、少なくとも二層以上が変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を必須成分として含有した層である(1)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
18)(1)〜(17)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とを含有した不織布からなる。変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とが絡み合うことにより、リチウムイオン二次電池用セパレータの電解液の保液性を良好なものにすることができ、その結果、内部抵抗を低くすることができ、特に高レートでの放電特性を優れたものにすることができる。さらに、リチウムイオン二次電池用セパレータを緻密にできることから、内部短絡不良率、放電特性のバラツキを抑えることができる。また、合成繊維を含有することにより、セパレータの含水分率を低く抑えることができ、電池製造時の乾燥処理時間をより短くすることができる。
さらに、合成繊維同士及び変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とが絡みやすく、繊維ネットワークが形成されることにより、セパレータ強度を強くすることができ、セパレータをより緻密かつ薄くすることができ、内部抵抗を低くすることができると共に、内部短絡不良率、放電特性のバラツキを抑えたものにすることができ、サイクル特性を優れたものにすることができる。
溶剤紡糸セルロース繊維[I]の長さ加重繊維長分布ヒストグラムである。 溶剤紡糸セルロース繊維[II]の長さ加重繊維長分布ヒストグラムである。 溶剤紡糸セルロース繊維[I]及び[II]の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合のグラフと近似直線を示した図である。 溶剤紡糸セルロース繊維[i]の長さ加重繊維長分布ヒストグラムである。 溶剤紡糸セルロース繊維[ii]の長さ加重繊維長分布ヒストグラムである。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と表記する場合もある)と、それを用いてなるリチウムイオン二次電池について詳説する。
本発明における溶剤紡糸セルロース繊維とは、従来のビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨンのように、セルロースを一旦セルロース誘導体に化学的に変換させたのち再度セルロースに戻す、いわゆる再生セルロース繊維と異なり、セルロースを化学的に変化させることなく、アミンオキサイドに溶解させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸してセルロースを析出させた繊維を指し、「リヨセル繊維」とも呼ばれる。溶剤紡糸セルロース繊維は、天然セルロース繊維やバクテリアセルロース繊維、レーヨン繊維に比べ、繊維長軸方向に分子が高度に配列しているため、湿潤状態で摩擦等の機械的な力が加えられると、微細化しやすく、細くて長い微細繊維が生成する。この微細繊維間に電解液を強固に保持するため、天然セルロース繊維、バクテリアセルロース繊維、レーヨン繊維の微細化物に比べ、微細化された溶剤紡糸セルロース繊維は、電解液の保液性に優れる。
本発明では、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維が用いられる。溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度は、0〜200mlであることがより好ましく、0〜160mlであることがさらに好ましい。変法濾水度が250mlより多いと、セパレータの緻密性が不十分になり、内部短絡不良率が高くなる。
本発明における変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
溶剤紡糸セルロース繊維の場合、微細化が進むに従って、繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄いと、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、溶剤紡糸セルロース繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまう。つまり、微細化した溶剤紡糸セルロースの場合は、JIS P8121の測定方法では正確な濾水度が計測できないのである。より詳細に説明すると、天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細かいフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークを形成しやすいのに対し、溶剤紡糸セルロース繊維は微細化処理によって繊維の長軸に平行に細かく分割されやすく、分割後の繊維1本1本における繊維径の均一性が高いため、平均繊維長が短くなるほど、繊維同士が絡みにくくなり、繊維ネットワークを形成しにくいと考えられる。そこで、本発明では、溶剤紡糸セルロース繊維の正確な濾水度を測定するために、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定する変法濾水度を用いた。ここに試料濃度(%)とは、濾水度測定のための試料の質量(g)を試料と希釈水との混合液の体積(ml)で除した値に100を掛けることにより得られるものである。
また、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は0.20〜3.00mmが好ましく、0.20〜2.00mmがより好ましく、0.20〜1.60mmがさらに好ましい。長さ加重平均繊維長が0.20mmより短いと、セパレータから脱落する場合があり、3.00mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
図1及び図2は、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムである。図1及び図2のように、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるリチウムイオン二次電池用セパレータ(3)は、繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークが形成されやすくなることから、セパレータ強度が強くなり、内部短絡率が低くなり、好ましい。内部短絡不良率の低下という点で、長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.30〜0.70mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が12%以上であることが、さらに好ましい。1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合はより高い方が好ましいが、50%程度あれば十分である。
リチウムイオン二次電池用セパレータ(3)の溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下であるリチウムイオン二次電池用セパレータ(4)は、セパレータの機械的強度が高く、放電容量のバラつきが小さくなり、さらに好ましい。本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(4)において、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合の傾きが−2.5以上−0.8以下であることがより好ましく、−2.0以上−1.0以下であることがさらに好ましい。傾きが−3.0より小さい場合、機械強度が低くなる場合がある。また傾きが−0.5を超えると放電容量のバラつきが大きくなる場合がある。図1及び図2に示すように、「傾きが大きい」とは、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布が広いことをいい、「傾きが小さい」とは、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布が狭く、長さ加重繊維長がより揃っている状態である。なお、図1の溶剤紡糸セルロース繊維[I]の傾きは、−2.9であり、図2の溶剤紡糸セルロース繊維[II]の傾きは、−0.6である。
なお、「1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾き」とは、図3に示したように、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合の値に対し、最小二乗法により近似直線を算出し、得られた近似直線の傾きを意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(5)のように、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が50%以上であることが好ましい。リチウムイオン二次電池用セパレータ(5)では、多孔質シートが緻密な構造を有し、セパレータ強度が強く、内部短絡不良率が低く、放電容量のバラつきを小さくすることができる。
図4は、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が50%以上である溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムである。機械強度の向上という点において、長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.30〜0.70mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が55%以上であることが好ましい。1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合は高い方が望ましいが、70%程度あれば十分である。
リチウムイオン二次電池用セパレータ(5)の溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、図5に示したように、上記の最大頻度ピーク以外に、1.50〜3.50mmの間にピークを有するリチウムイオン二次電池用セパレータ(6)は機械強度が強くなり、放電容量のバラつきが小さくなるため、好ましい。また、1.75〜3.25mmの間にピークを有することがより好ましく、2.00〜3.00mmの間にピークを有することがさらに好ましい。最大頻度ピーク以外のピークの長さ加重繊維長が1.50mmより短い場合、機械強度が低下することがある。また、3.50mmを超えると、放電容量のバラつきが大きくなることがある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(7)のように、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.50〜1.25mmであり、平均カール度が25以下であることが好ましい。長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とが絡み合うことにより、リチウムイオン二次電池用セパレータの電解液の保液性を良好なものにすることができ、その結果、内部抵抗を低くすることができ、特に高レートでの放電特性を優れたものにすることができる。さらに、リチウムイオン二次電池用セパレータを緻密にできることから、内部短絡不良率、放電特性のバラツキを抑えることができる。また、合成繊維同士及び長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とが絡みやすく、繊維ネットワークが形成されることより、セパレータ強度を強くすることができ、セパレータをより緻密かつ薄くすることができ、内部抵抗を低くすることができると共に、内部短絡不良率、放電特性のバラツキを抑えたものにすることができ、サイクル特性を優れたものにすることができる。
溶剤紡糸セルロース繊維の平均カール度は、20以下であることがより好ましく、15以下であることがさらに好ましい。溶剤紡糸セルロース繊維の平均カール度が、25よりも大きいと、セパレータの均一性が損なわれ、内部短絡不良率が高くなる場合や、セパレータの強度が弱くなる場合がある。なお、平均カール度の数値が小さいことは、溶剤紡糸セルロース繊維の屈曲度合いが小さい、即ち、より直線状に近付くことを示しており、このことから、平均カール度の下限に特に制限はない。
本発明の溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長及び長さ加重繊維長分布ヒストグラム、長さ加重平均繊維長、平均カール度は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じて、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。
KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)では、検出部を通過する個々の繊維について、屈曲した繊維の全体の真の長さ(L)と屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)を測定することができる。「長さ加重平均繊維長」とは、屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)を測定・算出した平均繊維長である。「平均カール度」とは、個々の繊維について、屈曲した繊維の全体の真の長さ(L)と屈曲した繊維の両端部の最短の長さ(l)を測定し、下式によって算出されたカール度を平均したものである。繊維の屈曲度合いが大きくなるにつれて、「カール度」は大きな値となる。
カール度=(L/l)−1 (式1)
変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維、変法濾水度0〜250mlであり、かつ長さ加重繊維長が0.20〜2.00mmである溶剤紡糸セルロース繊維、変法濾水度0〜250mlであり、長さ加重繊維長が0.50〜1.25mmであり、かつ平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維を作製する方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いる方法が挙げられる。この中でも特にリファイナーを用いる方法が好ましい。これら叩解・分散設備の種類、処理条件(繊維濃度、温度、圧力、回転数、リファイナーの刃の形状、リファイナーのディスク間のギャップ、処理回数等)の調整により、目的の変法濾水度、溶剤紡糸セルロース長さ加重繊維長及び長さ加重繊維長分布、平均カール度を達成することが可能となる。
変法濾水度0〜250ml、長さ加重繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度25以下の溶剤紡糸セルロース繊維を調成する方法としては、リファイナーの刃型、粉砕機のローター、ステーターの形状を適宜選択すること、分散濃度2.0質量%以下の低濃度の状態で、上記に挙げた装置で、叩解・粉砕を行うことが有効な手段である。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%含有する。該溶剤紡糸セルロース繊維の含有量は、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。該溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%未満の場合、電解液の保液性が不十分で内部抵抗が高くなったり、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率が高くなったりする。該溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が90質量%を超える場合、セパレータの機械強度が弱くなり、セパレータの含水分率が多くなる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、合成繊維を10〜90質量%含有する。合成繊維の含有量は、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。合成繊維の含有率が10質量%未満の場合、セパレータの強度が弱くなる。合成繊維の含有率が90質量%を超える場合、電解液の保液性が不十分で内部抵抗が高くなったり、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率や放電特性のバラツキが高くなったりする。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(8)のように、多孔質シートが、変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を20質量%以下含有していることが好ましい。フィブリル化天然セルロース繊維の含有量は、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。フィブリル化天然セルロース繊維は、溶剤紡糸セルロース繊維に比べ、繊維1本の太さの均一性が劣る傾向にあるが、繊維間の物理的な絡みと水素結合力が強いという特徴を有する。フィブリル化天然セルロース繊維の含有率が20質量%を超えると、セパレータ表面にフィルムを形成し、イオン伝導性が阻害されることで、内部抵抗が高くなることや、放電特性が低くなることがある。
フィブリル化とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。長さと巾のアスペクト比が約20〜約100000の範囲にあることが好ましい。さらに、長さ加重平繊維長が0.10〜2.00mmの範囲にあるものが好ましく、0.1〜1.5mmのものがより好ましく、0.10〜1.00mmのものがさらに好ましい。
天然セルロース繊維をフィブリル化する方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いる方法が挙げられる。この中でも、特に高圧ホモジナイザーを用いる方法が好ましい。
合成繊維としては、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂からなる単繊維や複合繊維を挙げることができる。これらの合成繊維は、単独で使用しても良いし、2種類以上の組み合わせで使用しても良い。また、各種の分割型複合繊維を分割させたものを使用しても良い。この中でも、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが好ましく、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンがさらに好ましい。ポリエステル、アクリル、ポリオレフィンを使用すると、他の合成繊維よりも各繊維とフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維とが均一に絡み合ってネットワーク構造を形成しやすいため、表面の平滑性がより高く、緻密性や機械強度に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを得ることができる。
合成繊維の平均繊維径は0.1〜20μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。平均繊維径が0.1μm未満では、繊維が細すぎて、セパレータから脱落する場合があり、平均繊維径が20μmより太いと、セパレータの厚みを薄くすることが困難になる場合がある。平均繊維径は、セパレータの走査型電子顕微鏡写真より、セパレータを形成する繊維の繊維径を計測し、無作為に選んだ100本の平均値である。
合成繊維の繊維長は0.1〜15mmが好ましく、0.5〜10mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。繊維長が0.1mmより短いと、セパレータから脱落することがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維、変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、天然セルロース繊維、天然セルロース繊維のパルプ化物、合成樹脂からなるフィブリッド、合成樹脂からなるパルプ化物、合成樹脂からなるフィブリル化物、無機繊維、変法濾水度が250ml超の溶剤紡糸セルロース繊維、変法濾水度400ml超のフィブリル化天然セルロース繊維等が挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(9)のように、多孔質シートがカルボキシメチルセルロースを含有することが好ましい。リチウムイオン二次電池用セパレータ形成時に、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維及び合成繊維にカルボキシメチルセルロースを含有させることで、カルボキシメチルセルロースがこれら繊維、特にセルロース繊維に吸着して繊維の分散性が向上すると共に繊維よれが抑止され、セパレータとした際の地合が向上すると共に機械強度が強くなる。さらに、繊維の脱水性を適度に調節できるのでセパレータシートの細孔のコントロールが容易になり、所望のポア径分布に近づけることができ、セパレータを緻密かつ均質にできることから、内部短絡不良率、放電特性のバラツキを抑えることができる。
また、合成繊維同士及び変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維とが絡みやすく、それをカルボキシメチルセルロースが向上させるので、一層均質な繊維ネットワークが形成されることより、セパレータ強度を強くすることができ、セパレータをより緻密かつ薄くすることができ、内部抵抗を低くすることができると共に、内部短絡不良率、放電特性のバラツキを抑えたものにすることができ、サイクル特性をより優れたものにする秀逸な効果を有する。
カルボキシメチルセルロースは、木材パルプ、リンターパルプなどを原料とし、モノクロロ酢酸などを反応させて合成されたセルロース誘導体であり、工業的には水媒法、溶媒法などの公知の製造方法で得られるものである。カルボキシメチルセルロースは、使用するパルプ繊維の性状や製造方法により様々な重合度のものが製造可能であるが、1質量%水溶液の粘度が5〜16,000mPa・s(0.1N−NaCl溶媒、25℃、B型粘度計)、平均重合度が100〜4,500、平均分子量が2万〜100万の範囲のものである。本発明に係るカルボキシメチルセルロースは、殆どがカルボン酸ナトリウム塩あるいはカリウム塩であり、正確に記せば、カルボキシメチルセルロースナトリウムあるいはカルボキシメチルセルロースカリウムであるが、慣用上ナトリウムやカリウムの記載は省略し、単にカルボキシメチルセルロースと表示する。本発明には、安価で本発明の効果が得やすいカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を用いることが好ましい。
カルボキシメチルセルロースを含む繊維スラリーの調製に当たっては、予めカルボキシメチルセルロースを溶媒、通常は水に溶解させた溶液中に、繊維を順次若しくは同時に添加分散させる方法、予めカルボキシメチルセルロースを溶解させた溶液中に、1種以上の繊維を投入し、他で調製した別種の繊維スラリーと混合する方法、又は1種以上の繊維を含むスラリーにカルボキシメチルセルロースを添加する方法等が挙げられる。このうち、カルボキシメチルセルロースを溶解させた溶液中で繊維スラリーを調製する方法が好ましい。予めカルボキシメチルセルロースを溶解させた溶液中に、繊維を順次若しくは同時に添加分散させる場合は、繊維を高濃度スラリーとしてから添加しても良い。
また、繊維スラリーへカルボキシメチルセルロースを添加する場合は、予めカルボキシメチルセルロースを溶解させた溶液を添加することが好ましい。その際、カルボキシメチルセルロースの濃度が高すぎると、粘性が高く、繊維スラリーへの拡散が悪くなるため、カルボキシメチルセルロースの濃度は0.5〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。また、カルボキシメチルセルロースを溶解するにあたっては、カルボキシメチルセルロースが安定に溶解する範囲で、必要に応じて水と相溶性のある有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール等)を水に対して10〜30質量%の割合で混合してもよい。さらに、カルボキシメチルセルロースが安定する範囲で、芒硝などの電解質などの他の物質を混合してもよい。
カルボキシメチルセルロースは溶剤紡糸セルロース繊維やフィブリル化天然セルロース繊維などのセルロース系繊維の分散に殊に効果を発揮するため、繊維スラリー調製用の液にカルボキシメチルセルロースを予め添加しておく場合であっても、繊維スラリー調製中に添加する場合であっても、少なくともセルロース系繊維と併用することが好ましい。
カルボキシメチルセルロースの添加率は、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータに用いる全繊維質量に対して0.5〜2.0質量%が好ましく、0.8〜1.5質量%がさらに好ましい。カルボキシメチルセルロースの添加率が0.5質量%未満では、地合などの向上効果が認められない場合がある、逆に、カルボキシメチルセルロースの添加率が2.0質量%を超えると、カルボキシメチルセルロースの保水性のため、より長時間の乾燥処理が必要となる場合や、リチウムイオン二次電池用セパレータの含水分率が高くなって、電池特性に悪影響を及ぼす場合がある。さらに、濾水性を低下させるため、抄紙時の生産性が低下する場合がある。
上述したように、カルボキシメチルセルロースは、パルプ原料にモノクロロ酢酸などを反応させて合成されるが、極性のカルボキシル基がセルロースを可溶化し、化学的に反応しやすくする。このとき、セルロースに対するモノクロロ酢酸などの導入率は、「エーテル化度」で表される。本発明に係る繊維、特にセルロース系繊維にカルボキシメチルセルロースが吸着して繊維の分散性を向上させることができるが、カルボキシメチルセルロースにおけるエーテル化度は高い方が繊維の分散性がより向上して好ましい。カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、0.5以上のものが好ましく、0.7以上のものがより好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ(10)のように、合成繊維の少なくとも1種として、芯部に非熱接着成分、鞘部に熱接着成分を配した芯鞘型熱融着繊維を含有することが好ましい。芯鞘型熱融着繊維を含有することにより、繊維同士を芯鞘型熱融着繊維で接着させることができ、その結果、高電圧に充電された状態で長期保存された際に発生する自己放電を抑制することができるため、電圧維持率特性に優れたセパレータを得ることができる。また。芯鞘型熱融着繊維によって、合成繊維同士及び変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維との絡みや、溶剤紡糸セルロース間の水素結合によって形成された繊維ネットワークを、多孔質構造を損なうことなく熱接着し、セパレータ強度をより強くすることもができる。
熱融着繊維としては、芯鞘型、偏芯型、分割型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型の複合繊維、あるいは単一成分からなる繊維(単繊維)などが挙げられるが、芯鞘型熱融着繊維は、芯部の繊維形状を維持しつつ、鞘部のみを軟化、溶融又は湿熱溶解させて繊維同士を熱接着させるため、セパレータの多孔質構造を損なわず繊維同士を接着させるのに好適である。加熱又は湿熱加熱により、芯鞘型熱融着繊維の鞘部を軟化、溶融又は湿熱溶解させて、繊維同士を熱接着させることによって、高電圧に充電された状態で長期保存された際に発生する自己放電を抑制することができるため、電圧維持率特性に優れたセパレータを得ることができる。
芯鞘型熱融着繊維の芯部と鞘部を構成する樹脂成分は特に制限はなく、繊維形成能のある樹脂であればよい。例えば、芯部/鞘部の組み合わせとしては、ポリエチレンテレフタレート/ポリエステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、高融点ポリ乳酸/低融点ポリ乳酸などが挙げられる。芯部の樹脂成分の融点、軟化点又は湿熱溶解温度が鞘部の樹脂成分の融点又は軟化点よりも20℃以上高いことが、不織布製造を容易に行える点から好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータに用いる芯鞘型熱融着繊維としては、芯部:ポリエチレンテレフタレート/鞘部:ポリエステル共重合体の組み合わせが、セパレータ強度がより高くなり好ましい。鞘部に用いるポリエステル共重合体としては、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、ジエチルグリコール、1,4−ブタジオール等から選ばれた1種あるいは2種以上の化合物を共重合したものが好ましい。
芯鞘型熱融着繊維は、繊度が0.007〜1.7dtexであることが好ましく、0.02〜1.1dtexがより好ましく、0.05〜0.5dtexがさらに好ましい。繊度が0.007dtex未満の場合、細すぎてセパレータから脱落する場合があり、繊度が1.7dtexを超えた場合、フィブリル化された溶剤紡糸セルロース繊維と絡みにくくなり、必要とする緻密性が確保できなくなる場合がある。
芯鞘型熱融着繊維の繊維長は0.1〜15mmが好ましく、0.5〜10mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。繊維長が0.1mmより短いと、セパレータから脱落することがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
芯鞘型熱融着繊維本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータでは、芯鞘型熱融着繊維の含有率は、5〜40質量%であることが好ましく、8〜30質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることがさらに好ましい。含有率が5質量%未満だと、セパレータの電圧維持率特性や機械的強度が不十分となるおそれがある。40質量%を超えると、セパレータ表面にフィルムを形成し、イオン伝導性が阻害されることで、内部抵抗が高くなることや、放電特性が低くなることがある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、傾斜型抄紙機、これらの中から同種又は異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて湿式抄紙する湿式法によって製造することができる。原料スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加し、5〜0.001質量%程度の固形分濃度に原料スラリーを調製する。この原料スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙する。抄紙して得られたリチウムイオン二次電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
また、芯鞘型熱融着繊維を配合して抄紙して得られたリチウムイオン二次電池用セパレータに熱処理を施すと、機械的強度がより高くなり好ましい。熱処理方法としては、熱風乾燥機、加熱ロール、赤外線(IR)ヒーターなどの加熱装置を用い、連続的に加熱処理又は加圧しながら加熱処理する方法が挙げられる。熱処理温度としては、芯鞘型熱融着繊維の鞘部が溶融又は軟化する温度以上で、芯鞘型熱融着繊維の芯部及びその他の含有繊維が溶融、軟化又は分解する温度未満とすることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの厚みは、6〜50μmが好ましく、8〜45μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。6μm未満では、十分な機械的強度が得られなかったり、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率、放電特性のバラツキが高くなったり、容量維持率やサイクル特性が悪くなったりする場合がある。50μmより厚いと、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。なお、本発明のセパレータの厚さはJIS B7502に規定された方法により測定した値、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、平均ポア径が0.10μm以上、かつ、最大ポア径が6.0μm以下であることが好ましい。変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維が合成繊維と絡み合うことによって、このポア径を達成することができる。平均ポア径が0.10μm未満では、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。最大ポア径が6μm以上では、リチウムイオン二次電池の内部短絡不良率や放電特性のバラツキが大きくなる場合がある。平均ポア径が0.10μm以上、かつ、最大ポア径が4.0μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは最小ポア径が0.15μm以上、かつ、最大ポア径が3.0μm以下である。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの坪量は、5〜40g/mが好ましく、7〜30g/mがより好ましく、10〜20g/mがさらに好ましい。5g/m未満では、十分な機械的強度が得られない場合や、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率や放電特性のバラツキが高くなる場合がある。40g/mを超えると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの層構成に特に限定はなく、単層構造であっても良いし、二層、三層といった多層構造であっても良いが、微小孔(ピンホール)発生抑制の観点から、二層、三層といった多層構造がより好ましい。多層構造の場合、各層の積層方法には、特に制限はないが、層間での剥離もないことから、湿式法による抄き合わせ法を好適に用いることができる。湿式法による抄き合わせ法とは、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網、長網、傾斜式等のワイヤーを少なくとも2つ以上を有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る方法である。また、例えば、表層、裏層からなる二層構造とした場合、各層は同じ配合組成であっても良いし、異なっていても良いが、少なくとも各層が変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を必須成分として含有した層であることが好ましい。変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を含有しない層が存在すると、層間の剥離強度に劣り、十分な機械的強度が得られなかったり、電解液の保液性が不十分で、内部抵抗が高くなったり、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率が高くなったりする場合がある。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe、WO、Nb、Li4/3Ti5/3等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウムイオン二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等が挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
≪実施例1〜24、比較例1〜10≫
<繊維A1>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度0mlの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A1とした。
<繊維A2>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度120mlの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A2とした。
<繊維A3>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A3とした。
<繊維A4>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度260mlの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A4とした。
<繊維A5>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度350mlの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A5とした。
<合成繊維B1>
平均繊維径3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート繊維を合成繊維B1とした。
<合成繊維B2>
平均繊維径5μm、繊維長3mmのアクリル繊維を合成繊維B2とした。
<合成繊維B3>
平均繊維径4μm、繊維長3mmのポリプロピレン繊維を合成繊維B3とした。
<合成繊維B4>
平均繊維径10μm、繊維長5mmの芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着繊維を合成繊維B4とした。
<合成繊維B5>
平均繊維径20μm、繊維長5mmのポリエチレンテレフタレート繊維を合成繊維B5とした。
<合成繊維B6>
平均繊維径22μm、繊維長5mmのポリエチレンテレフタレート繊維を合成繊維B6とした。
<合成繊維B7>
平均繊維径0.1μm、繊維長2mmのポリエチレンテレフタレート繊維を合成繊維B7とした。
<合成繊維B8>
平均繊維径0.08μm、繊維長2mmのポリエチレンテレフタレート繊維を合成繊維B8とした。
<フィブリル化天然セルロース繊維C1>
高圧ホモジナイザーを用いてリンターを処理し、変法濾水度0mlのフィブリル化天然セルロース繊維C1を作製した。
<フィブリル化天然セルロース繊維C2>
高圧ホモジナイザーを用いてリンターを処理し、変法濾水度270mlのフィブリル化天然セルロース繊維C2を作製した。
<フィブリル化天然セルロース繊維C3>
高圧ホモジナイザーを用いてリンターを処理し、変法濾水度400mlのフィブリル化天然セルロース繊維C3を作製した。
<フィブリル化天然セルロース繊維C4>
高圧ホモジナイザーを用いてリンターを処理し、変法濾水度500mlのフィブリル化天然セルロース繊維C4を作製した。
<繊維D1>
リファイナーを用いて平均繊維径10μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミドを処理し、変法濾水度500mlのフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維を繊維D1とした。
<繊維E1>
平均繊維径7μmの麻繊維を繊維E1とした。
Figure 0005767222
表1において、合成繊維及びその他の繊維の「種類」は、下記のとおりである。
「PET」:ポリエチレンテレフタレート繊維
「AA」:アクリル繊維
「PP」:ポリプロピレン繊維
「PET/PEs−C」:ポリエステル系芯鞘型熱融着繊維
「PA」:フィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維
実施例1〜24及び比較例1〜10
<セパレータ>
表1に示した原料と含有量に従って、抄紙用スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例1〜24及び比較例1〜9のセパレータを作製した。厚みは室温でカレンダー処理して調整した。また、多孔性ポリエチレンフィルム(厚み22μm、空孔率40%)を比較例10のセパレータとした。
<リチウムイオン二次電池A>
[負極1の作製]
天然黒鉛97質量%、ポリフッ化ビニリデン3質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み15μmの銅箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用負極を作製し、これを負極1とした。
[正極1の作製]
LiMnを95質量%、アセチレンブラック2質量%、ポリフッ化ビニリデン3質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用正極を作製し、これを正極1とした。
[リチウムイオン二次電池Aの作製]
負極1と正極1とを、それぞれ実施例1〜24及び比較例1〜7、9のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと150℃で10時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、実施例1〜24及び比較例1〜7、9のリチウムイオン二次電池Aを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
負極1と正極1とを、それぞれ比較例8のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと110℃で24時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、比較例8のリチウムイオン二次電池Aを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
また、負極1と正極1とを、比較例10のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと80℃で10時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、比較例10のリチウムイオン二次電池Aを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池B>
[負極2の作製]
メソカーボンマイクロビーズ81質量%、アセチレンブラック14質量%、ポリテトラフルオロエチレン5質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み15μmの銅箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用負極を作製し、これを負極2とした。
[正極2の作製]
LiMnを95質量%、アセチレンブラック2質量%、ポリテトラフルオロエチレン3質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用正極を作製し、これを正極2とした。
[リチウムイオン二次電池Bの作製]
実施例1〜24及び比較例1〜7、9のセパレータ、正極2、負極2の順に張り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を140℃で10時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Bを作製した(電池容量=30mAh相当)。
比較例8のセパレータ、正極2、負極2の順に張り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を110℃で24時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Bを作製した(電池容量=30mAh相当)。
比較例10のセパレータ、正極2、負極2の順に張り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を80℃で15時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Bを作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、下記評価を行い、結果を表2及び表3に示した。
[坪量]
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
[厚み]
JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚みを測定した。
[ポア径測定]
作製したセパレータについて、PMI社製、商品名:パームポロメーターCFP−1500Aを用いて、JIS K3832、ASTM F316−86、ASTM E1294−89に準じて測定を行い、各基材の最大ポア径、平均ポア径を測定した。
[セパレータ含水分率]
温度20℃、湿度55%の条件で2日放置したセパレータの試料質量を測定した後、105℃で4時間乾燥する。次いで、デシケータ中で放冷した後、質量を測定することで乾燥減量を求め、次式によりセパレータ含水分率を算出した。
セパレータ含水分率(%)=(乾燥減量(g)/試料質量(g))×100
[セパレータ強度]
先端に曲率1.6の丸みをつけた直径1mmの金属針を卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名:STA−1150)に装着し、試料面に対して直角に1mm/sの一定速度で貫通するまで降ろした。このときの最大荷重(g)を計測し、これをセパレータ強度とした。
Figure 0005767222
[内部抵抗]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池A各100個を1Cで30分間充電した後、交流1kHzで内部抵抗を測定し、各平均値を算出した。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池A各100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池B各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて、定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量の各平均値を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量のバラツキ)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池B各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量を次の基準で評価した。
◎:放電容量の差が、平均値に対して1.0%以下である。
○:放電容量の差が、平均値に対して1.0%を超えて2.5%以下である。
△:放電容量の差が、平均値に対して2.5%を超えて5.0%以下である。
×:放電容量の差が、平均値に対して5.0%を超えている。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池B各20個を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、1Cの条件で定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、100サイクル後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)の平均値を算出した。
Figure 0005767222
表2に示したとおり、実施例1〜24のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有しているため、含水分率が低く、機械強度が強く、優れていた。
即ち、実施例1〜24のリチウムイオン二次電池用セパレータは、合成繊維を10〜90質量%含有しているため、比較例8の溶剤紡糸セルロースと麻繊維からなる紙製セパレータに比べ、含水分率を低く抑えることができた。さらに、繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークが形成されやすくなることから、セパレータの強度は強くなった。一方、比較例1のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が90質量%より多く、セパレータに含有する合成繊維が10質量%より少ないため、含水分率が高く、セパレータ強度は弱くなった。比較例4のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける合成繊維の含有率が10質量%より少ないため、セパレータ強度は弱くなった。比較例9のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化耐熱性繊維を含有しているが、溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が250mlを超えているため、セパレータ強度は弱くなった。
表3に示したとおり、実施例1〜24のリチウムイオン二次電池は、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有する多孔質シートからなるセパレータを用いているため、内部抵抗、内部短絡不良率、特に高レートでの放電特性及びそのバラツキ、サイクル特性に優れていた。
即ち、実施例1〜24のリチウムイオン二次電池は、セパレータが変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%含有しているため、電解液の保液性が良く、イオン伝導性を良好なものにすることができることから、低い内部抵抗を示すと共に、特に高レートでの放電特性、サイクル特性に優れていた。一方、比較例2及び3のリチウムイオン二次電池は、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%より少ないため、比較例6、7、10のリチウムイオン二次電池は、セパレータが変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を含有していないため、電解液の保液性に劣り、内部抵抗が高い値を示した。
実施例1〜24のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%含有しているため、セパレータを緻密なものにすることができることから、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが低く、優れていた。一方、比較例2、3のリチウムイオン二次電池は、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%より少なく、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが高くなった。比較例5のリチウムイオン二次電池は、セパレータにおける溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が0〜250mlより大きく、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率が若干高くなった。比較例6、7のリチウムイオン二次電池は、セパレータが変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を含有していないため、セパレータの緻密性が不十分であり、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが高くなった。多孔性ポリエチレンフィルムを使用した比較例10のリチウムイオン二次電池は、内部抵抗が高く、高レートの放電容量が劣っていた。
実施例8のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を5質量%含有させている。実施例9〜12のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を10質量%含有させている。実施例13のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を20質量%含有させている。そのため、セパレータをより緻密かつ薄くすることができ、実施例1〜7、15〜18のリチウムイオン二次電池よりも、実施例8〜13のリチウムイオン二次電池は内部抵抗が低く、高レートの放電容量が高い値を示した。
実施例9〜12のリチウムイオン二次電池は、同一の坪量、同一の厚みで、それぞれ変法濾水度の異なるフィブリル化天然セルロース繊維C1〜C4を配合したセパレータを用いている。変法濾水度が400mlより大きいフィブリル化天然セルロース繊維C4を配合したセパレータを用いた実施例12のリチウムイオン二次電池は、セパレータの厚みを薄くした際の緻密性が若干足りなくなり、変法濾水度が0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維C1〜C3を配合したセパレータを用いた実施例9〜11のリチウムイオン二次電池よりも、内部短絡不良率が若干高くなった。
実施例14のリチウムイオン二次電池は、セパレータにおける変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維の含有率が20質量%より多いため、セパレータが若干緻密になりすぎて、イオン伝導性が若干悪くなり、実施例1〜13、15〜17、19、20のリチウムイオン二次電池よりも、内部抵抗が若干高い値を示し、高レートの放電容量が若干低い値を示した。
実施例18のリチウムイオン二次電池は、坪量が若干大きく、セパレータの厚みが若干厚く、平均ポア径が若干小さいため、実施例1〜13、15〜17、19、20のリチウムイオン二次電池より内部抵抗が若干高い値を示し、高レートの放電容量が若干低い値を示した。
実施例20のリチウムイオン二次電池は、坪量が若干小さく、セパレータの厚みが若干薄く、最大ポア径が若干大きいため、実施例1〜11、13〜19のリチウムイオン二次電池より内部短絡不良率、放電容量のバラツキが若干高くなった。
実施例22のリチウムイオン二次電池は、使用している合成繊維の平均繊維径が若干太いため、実施例21のリチウムイオン二次電池より、セパレータ強度が若干弱く、放電容量のバラツキが若干高くなった。
実施例24のリチウムイオン二次電池は、使用している合成繊維の平均繊維径が若干細いため、実施例23のリチウムイオン二次電池より、セパレータ強度が若干弱く、サイクル特性が若干劣った。
≪実施例25〜59、比較例11〜18≫
<溶剤紡糸セルロース繊維>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、表4及び表5の物性を持つ溶剤紡糸セルロース繊維を作製した。
<溶剤紡糸セルロース繊維の物性値>
上記の方法で作製した溶剤紡糸セルロース繊維について
(1)1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合:「1.00mm以上の繊維割合」
(2)長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークの長さ加重繊維長:「最大頻度ピークの繊維長」
(3)長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合の傾き:「割合の傾き」
(4)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
(5)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1質量%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度:「変法濾水度」
として、表4に示す。
Figure 0005767222
上記の方法で作製した溶剤紡糸セルロース繊維について
(1)1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合:「1.00mm以上の繊維割合」
(2)長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークの長さ加重繊維長:「最大頻度ピークの繊維長」
(3)最大頻度ピーク以外のピークの長さ加重繊維長:「第2ピークの繊維長」
(4)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
(5)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1質量%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度:「変法濾水度」
として、表5に示す。
Figure 0005767222
<フィブリル化天然セルロース繊維>
高圧ホモジナイザーを用いてリンターを処理し、変法濾水度0ml、270ml、400ml、500mlのフィブリル化天然セルロース繊維を作製した。
<セパレータ>
表6及び表7に示した原料と含有量に従って、抄紙用スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例及び比較例のセパレータを作製した。厚みは、室温でカレンダー処理して調整した。
Figure 0005767222
Figure 0005767222
表6及び表7において、合成繊維1〜3の「種類」は、下記のとおりである。
「PET」:ポリエチレンテレフタレート
「AA」:アクリル繊維
「PP」:ポリプロピレン繊維
「NY」:ナイロン66繊維
「PET−B1」:未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(融点130℃)
<リチウムイオン二次電池C>
負極1と正極1とを、それぞれ実施例及び比較例のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと110℃で15時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池Cを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池D>
実施例及び比較例のセパレータ、正極2、負極2の順に張り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を110℃で15時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Dを作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、坪量、厚み、最大ポア径、平均ポア径、セパレータ強度、内部短絡不良率、5C放電容量、容量維持率、放電容量のバラつきの評価を行い、結果を表8に示した。
[保液率]
10cm角に裁断した実施例及び比較例のセパレータをプロピレンカーボネートに1分間浸漬した後、垂直に吊るして15分間保持した。
保液率(%)=(プロピレンカーボネート浸漬前のセパレータ質量/15分間保持後のセパレータ質量)×100
として保液率を算出し、次の基準で評価した。
◎:保液率が、200%以上である。
○:保液率が、150%以上200%未満である。
△:保液率が、50%以上150%未満である。
×:保液率が、50%未満である。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池C各100個用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を100サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量)(放電容量のバラつき)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池D各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)し、5Cで定電流放電試験(2.8Vカット)を行った。放電容量の平均値を算出した。また、放電容量のバラつきを算出し、次の基準で評価した。
(放電容量のバラつき)
◎:放電容量の差が、平均値に対して1.0%以下である。
○:放電容量の差が、平均値に対して1.0%を超えて2.5%以下である。
△:放電容量の差が、平均値に対して2.5%を超えて5.0%以下である。
×:放電容量の差が、平均値に対して5.0%を超えている。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池C各10個を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、1Cの条件で定電流放電試験(2.8Vカット)を行った。100サイクル後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)の平均値を算出した。
Figure 0005767222
表8に示したとおり、実施例26〜59のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度が0〜250mlであり、かつ長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmである溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有しているため、繊維同士が絡みやすく繊維ネットワークが形成されやすくなることから、保液率が高く、セパレータの強度が強くなった。また、実施例26〜59のリチウムイオン二次電池は、変法濾水度が0〜250mlであり、かつ長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmである溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有するセパレータを用いているため、セパレータの電解液の保液率が高く、イオン伝導性を良好なものにすることができることから、特に高レートでの放電特性、サイクル特性に優れていた。また、セパレータを緻密なものにすることができることから、内部短絡不良率、放電容量のバラつきが低く、優れていた。
一方、実施例25のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける溶剤紡糸セルロース繊維の平均繊維長が0.20mmよりも短いため、セパレータ強度が若干弱くなった。実施例25のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける溶剤紡糸セルロース繊維の加重平均繊維長が0.20mmよりも短いため、繊維同士が絡みにくく、繊維ネットワークが形成されにくくなることから、内部短絡不良率、放電容量のバラつきが若干高目となった。
比較例11及び12のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が250mlを超え、平均繊維長が2.00mmを超えているため、セパレータの緻密性が不十分となり、比較例11及び12のリチウムイオン二次電池は、内部短絡不良率、放電容量のバラつきが高くなった。比較例13〜16のリチウムイオン二次電池用セパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維を含有していないため、保液率が低くなった。また、比較例13〜16のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維を含有していないセパレータを用いているため、セパレータの緻密性が不十分となり、内部短絡不良率が高くなった。比較例17のリチウムイオン二次電池は、90質量%を超えて合成繊維を含有してなるため、十分な緻密性が得られず、内部短絡不良率が高く、保液率が低くなった。比較例18のリチウムイオン二次電池は、合成繊維の含有率が10質量%未満であるため、セパレータ強度が弱くなった。
実施例26〜39を比較すると、実施例36及び39のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピークが0.00〜1.00mmよりも長いため、セパレータの緻密性が不十分となり、実施例26〜35と比較して内部短絡不良率が若干高くなり、放電容量のバラつきが大きくなった。実施例37及び38のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%未満であるため、セパレータ強度が若干弱くなり、実施例26〜35と比較して5C放電容量が若干低くなった。
実施例26〜35を比較すると、実施例26〜29、31〜34のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下であるため、セパレータ強度が高く、放電容量のバラつきが小さくなった。実施例30のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以下であるため、実施例26〜29、31〜34と比較して、セパレータ強度が若干低く、放電容量のバラつきが大きくなった。傾きが−0.5超である実施例35のリチウムイオン二次電池は、実施例26〜29、31〜34と比較して、放電容量のバラつきが大きくなった。
実施例40〜50を比較すると、実施例40〜48のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であるため、緻密な構造を有し、セパレータ強度が強く、内部短絡不良率が低く、放電容量のバラつきが小さくなった。実施例49のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピークが0.00〜1.00mmよりも長いため、内部短絡率がやや劣った。実施例50のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有するが、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%未満であるため、実施例40〜48と比較して、セパレータ強度が弱くなった。
実施例40〜48を比較すると、実施例40〜42、44〜47のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有するため、より繊維ネットワークが形成されやすくなることから、セパレータ強度が強く、内部短絡不良率が低く、放電容量のバラつきが小さくなった。実施例43のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外のピークが1.50mmより小さいため、実施例40〜42、44〜47と比較して、セパレータ強度が若干弱く、放電容量のバラつきが若干大きくなった。実施例48のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外のピークが3.50mmより大きいため、実施例40〜42、44〜47と比較して、内部短絡不良率が若干高く、放電容量のバラつきが若干大きくなった。
実施例26〜54のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を20質量%以下含有させているため、セパレータをより緻密にすることができ、実施例58及び59のリチウムイオン二次電池よりも、内部短絡不良率が低くなった。実施例55のリチウムイオン二次電池は、変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維が20質量%より多いセパレータを用いているため、セパレータが若干緻密になりすぎて、イオン伝導性が若干悪くなり、高レートの放電容量及び100サイクル後の容量維持率が若干低い値を示した。実施例56のリチウムイオン二次電池は、フィブリル化天然セルロース繊維の変法濾水度が400mlより大きいために、セパレータの緻密性が若干下がり、実施例40及び53と比較して、セパレータ強度が低下した。
≪実施例60〜88、比較例19〜21≫
<溶剤紡糸セルロース繊維>
平均繊維径10μm、繊維長4mmの未処理の溶剤紡糸セルロース繊維を表9記載の叩解濃度で分散した後、相川鉄工社製ダブルディスクリファイナーで処理時間を変えて、叩解処理を行った。各処理された溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長と平均カール度を表9に示す。
Figure 0005767222
<フィブリル化天然セルロース繊維>
東邦特殊パルプ社製綿パルプを高圧ホモジナイザーで処理回数を変えて、表10記載の長さ加重平均繊維長のフィブリル化天然セルロース繊維を調成した。
Figure 0005767222
<セパレータ>
表11に示した原料と含有量に従って、抄紙用スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例60〜88及び比較例19〜21のセパレータを作製した。厚みは室温でカレンダー処理して調整した。
Figure 0005767222
表11において、合成繊維の「種類」は、下記のとおりである。
「PET」:ポリエチレンテレフタレート繊維
「AA」:アクリル繊維
「PP」:ポリプロピレン繊維
「PET/PEs−C」:ポリエステル系芯鞘型熱融着繊維
<リチウムイオン二次電池E>
負極1と正極1とを、それぞれ実施例60〜88及び比較例19〜21のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと150℃で10時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、実施例60〜88及び比較例19〜21のリチウムイオン二次電池Eを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池F>
実施例及び比較例のセパレータ、正極2、負極2の順に張り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を110℃で15時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Fを作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、坪量、厚み、セパレータ含水分率、セパレータ強度、最大ポア径、平均ポア径、内部抵抗、内部短絡不良率、放電容量、放電容量のバラツキ、容量維持率の評価を行い、結果を表11及び表12に示した。
[内部抵抗]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池E各100個を1Cで30分間充電した後、交流1kHzで内部抵抗を測定し、各平均値を算出した。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池E各100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電F各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて、定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量の各平均値を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量のバラツキ)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池F各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量を次の基準で評価した。
◎:放電容量の差が、平均値に対して1.0%以下である。
○:放電容量の差が、平均値に対して1.0%を超えて2.5%以下である。
△:放電容量の差が、平均値に対して2.5%を超えて5.0%以下である。
×:放電容量の差が、平均値に対して5.0%を超えている。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池F各20個を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、1Cの条件で定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、100サイクル後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)の平均値を算出した。
Figure 0005767222
表11に示したとおり、実施例60〜86のリチウムイオン二次電池用セパレータは、長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が2.5以下の溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有しているため、含水分率が低く、機械強度が強く、優れていた。
実施例61、69〜71と比較例20、21を比較することで、長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有することで、セパレータの含水分率を低く抑えることができた。また、繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークが形成されやすくなることからセパレータの強度が強くなった。
実施例60〜65と実施例87、88を比較することで、溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.50〜1.25mmであることで、繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークが形成されやすくなり、セパレータ強度が強くなることがわかる。溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.50mm未満の場合(実施例87)、セパレータ製造時に繊維が抄紙機のワイヤーから脱落しやすくなり、セパレータの強度が若干発現しにくい。溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が1.25mm超の場合(実施例88)には、セパレータの質量の均一性が損なわれやすくなり、セパレータの強度が若干小さくなり、セパレータの最大ポア径が若干大きくなる。
実施例61、66〜68と比較例19を比較することで、溶剤紡糸セルロース繊維の平均カール度が25以下であることで、繊維同士の絡みやすく繊維ネットワークが形成されやすく、セパレータの最大ポア径も小さめに調整されることがわかる。
表12に示したとおり、実施例60〜86のリチウムイオン二次電池は、長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有する多孔質シートからなるセパレータを用いているため、内部抵抗、内部短絡不良率、特に高レートでの放電特性及びそのバラツキ、サイクル特性に優れていた。
即ち、実施例60〜86のリチウムイオン二次電池は、長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%含有しているため、電解液の保液性が良く、イオン伝導性を良好なものにすることができることから、低い内部抵抗を示すと共に、特に高レートでの放電特性、サイクル特性に優れていた。一方、比較例20のリチウムイオン二次電池は、長さ加重平均繊維長0.50〜1.25mm、平均カール度が25以下の溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%より少ないため、電解液の保液性に劣り、内部抵抗が高い値を示した。比較例19のリチウムイオン二次電池は、溶剤紡糸セルロース繊維の平均カール度が25よりも大きい結果、セパレータの質量の均一性が損なわれ、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが高くなった。
実施例80〜83のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を10質量%含有させている。このように、セパレータに変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロースを含有させることで、セパレータの強度を上げ、セパレータをより薄くすることができ、実施例61、79、84のリチウムイオン二次電池よりも、実施例80〜83のリチウムイオン二次電池は、内部抵抗が低く、高レートの放電容量が高い値を示した。
実施例86のリチウムイオン二次電池は、セパレータに長さ加重平均繊維長0.20〜1.00mmのフィブリル化天然セルロース繊維の含有率が20質量%より多いため、セパレータが若干緻密になりすぎて、平均ポア径も小さくなり、イオン伝導性が若干悪くなり、実施例81、実施例85のリチウムイオン二次電池よりも、内部抵抗が若干高い値を示し、高レートの放電容量が若干低い値を示した。
実施例60〜65、69〜71の比較から、実施例64、65、69のリチウムイオン二次電池は、最大ポア径が6.0μmより大きいため、実施例60〜63、70〜71のリチウムイオン二次電池より内部短絡不良率、放電容量のバラツキが若干高くなった。
実施例76のリチウムイオン二次電池は、使用している合成繊維の平均繊維径が若干太いため、実施例75のリチウムイオン二次電池より、セパレータ強度が若干弱く、放電容量のバラツキが若干高くなった。
実施例78のリチウムイオン二次電池は、使用している合成繊維の平均繊維径が若干細いため、実施例77のリチウムイオン二次電池より、セパレータ強度が若干弱く、サイクル特性が若干劣った。
≪実施例89〜103、比較例22〜23≫
<カルボキシメチルセルロース(CMC1)>
エーテル化度が0.5のカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬社製、商品名:セロゲン(登録商標)PL−15)をCMC1とした。
<カルボキシメチルセルロース(CMC2)>
エーテル化度が0.7のカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製、商品名:1205)をCMC2とした。
<CDS(カチオン澱粉系紙力増強剤)>
カチオン澱粉系の紙力増強剤(星光PMC社製、商品名:DD4280)をCDSとした。
<GGS(グァーガム紙力増強剤)>
グァーガム紙力増強剤(メイホールケミカル社製、商品名:メイプロイド2066)をGGSとした。
Figure 0005767222
表13において、合成繊維の「種類」は、下記のとおりである。
「PET」:ポリエチレンテレフタレート繊維
<セパレータ>
表13に示した原料と配合量(全繊維量基準)に従って、抄紙用スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例89〜103及び比較例22〜23のセパレータを作製した。厚みは室温でカレンダー処理して調整した。
<リチウムイオン二次電池G>
負極1と正極1とを、それぞれ実施例89〜103及び比較例22〜23のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと150℃で10時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、実施例89〜103及び比較例22〜23のリチウムイオン二次電池Gを作製した。電解液には、エチレンカーボネート(EC)30質量%、ジエチルカーボネート(DEC)70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池H>
実施例89〜103及び比較例22〜23のセパレータ、正極2、負極2の順に貼り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を140℃で10時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Hを作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、坪量、厚み、最大ポア径、平均ポア径、セパレータ含水分率、セパレータ強度、内部抵抗、内部短絡不良率、放電容量、放電容量のバラツキ、容量維持率の評価を行い、結果を表14に示した。
[内部抵抗]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池G各100個を1Cで30分間充電した後、交流1kHzで内部抵抗を測定し、各平均値を算出した。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池G各100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池H各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて、定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量の各平均値を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量のバラツキ)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池H各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量を次の基準で評価した。
◎:放電容量の差が、平均値に対して1.0%以下である。
○:放電容量の差が、平均値に対して1.0%を超えて2.5%以下である。
△:放電容量の差が、平均値に対して2.5%を超えて5.0%以下である。
×:放電容量の差が、平均値に対して5.0%を超えている。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池H各20個を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、1Cの条件で定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、100サイクル後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)の平均値を算出した。
Figure 0005767222
表14に示したとおり、実施例89のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度0mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり10質量%、合成繊維を全繊維あたり90質量%、かつエーテル化度0.5のカルボキシメチルセルロースを1質量%含有しているため、カルボキシメチルセルロースを含有していない表1の実施例1に比べて、セパレータ強度に優れていた。
実施例90のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度120mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり50質量%、合成繊維を全繊維あたり50質量%、かつエーテル化度0.5のカルボキシメチルセルロースを1質量%含有しているため、最大ポア径が小さくなり、内部抵抗及び内部短絡不良率の減少が見られ、さらに放電容量のバラツキが改善されており、カルボキシメチルセルロースを含有していない表1の実施例3に比べてセパレータ強度に優れていた。
実施例91のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり90質量%、合成繊維を全繊維あたり10質量%、かつエーテル化度0.5のカルボキシメチルセルロースを1質量%含有しているため、実施例90と同様に、ポア径や内部抵抗が改善されており、カルボキシメチルセルロースを含有していない表1の実施例3に比べてセパレータ強度に優れていた。
実施例92のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度120mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり50質量%、合成繊維を全繊維あたり50質量%、かつエーテル化度0.7のカルボキシメチルセルロースを1質量%含有しているため、実施例90と比較して、ポア径やセパレータ強度がさらに改善されていた。また、実施例92のリチウムイオン二次電池用セパレータは、エーテル化度0.7のカルボキシメチルセルロースを1質量%含有しているため、カチオン澱粉系紙力増強剤やグァーガム紙力増強剤を各1質量%含有している実施例102及び実施例103のリチウムイオン二次電池用セパレータと比べて、セパレータ強度により優れるだけでなく、高レートでの放電容量及び放電容量のバラツキにも優れることがわかる。
実施例93〜96のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度120mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり50質量%、合成繊維を全繊維あたり50質量%、かつエーテル化度0.5のカルボキシメチルセルロースを含有しており、セパレータ含水分率、セパレータ強度及び電池特性等は満足できるものであった。しかし、実施例93のように、カルボキシメチルセルロースの含有量が全繊維質量に対して0.2質量%であると、抄紙時の地合改善効果が小さく、セパレータ強度が若干低めで、ポア径も若干大きくなる傾向にあった。また、実施例96のように、カルボキシメチルセルロースの含有量が全繊維質量に対して3.0質量%であると、各セパレータ性能が頭打ちとなるため、コスト面で不利となり、同時に、抄紙時の脱水性が不十分となることから、生産効率の点でも芳しくない結果であった。
実施例97〜101のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータに変法濾水度120mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり45〜25質量%、合成繊維を全繊維あたり50質量%、カルボキシメチルセルロースを全繊維質量に対して1.0質量%含有し、さらに、変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を全繊維あたり5〜25質量%含有している。そのため、低い坪量であっても高いセパレータ強度を出すことができ、それにより、セパレータをより緻密かつ薄くすることができるので、実施例90のリチウムイオン二次電池用セパレータよりも、実施例97〜101のリチウムイオン二次電池用セパレータは内部抵抗が低く、高レートの放電容量が高い値を示した。実施例100のリチウムイオン二次電池は、セパレータにおける変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維の含有率が全繊維あたり20質量%より多いため、セパレータが若干緻密になりすぎて、イオン伝導性が若干悪くなり、実施例97〜99のリチウムイオン二次電池よりも、内部抵抗が若干高い値を示し、高レートの放電容量が若干低い値を示した。
実施例101のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータに変法濾水度120mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり40質量%、合成繊維を全繊維あたり50質量%、かつエーテル化度0.7のカルボキシメチルセルロースを全繊維質量に対して1.0質量%含有し、さらに、変法濾水度270mlのフィブリル化天然セルロース繊維を全繊維あたり10質量%含有している。よって、実施例98より最大ポア径が小さくなり、セパレータ強度も増加していた。
比較例22のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにカルボキシメチルセルロースを含有しているものの、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が全繊維あたり90質量%より多く、合成繊維が全繊維あたり10質量%より少ないため、含水分率が高く、セパレータ強度は弱くなった。比較例23のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにカルボキシメチルセルロースを含有しているものの、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が全繊維あたり10質量%より少なく、合成繊維が全繊維あたり90質量%より多いため、最大ポア径が大きくなり、内部短絡不良率が極端に増加した。
≪実施例104〜126、比較例24〜31≫
<熱融着繊維M1>
繊度0.5dtex、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着繊維を熱融着繊維M1とした。
<熱融着繊維M2>
繊度1.1dtex、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着繊維を熱融着繊維M2とした。
<熱融着繊維M3>
繊度0.8dtex、繊維長5mmの、芯部がポリプロピレン(融点165℃)、鞘部が高密度ポリエチレン(融点135℃)のポリオレフィン系芯鞘型熱融着繊維を熱融着繊維M3とした。
<熱融着繊維M4>
繊度1.1dtex、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がエチレン−ビニルアルコール共重合体(湿熱溶融温度100℃)のポリエステル/エチレン−ビニルアルコール系芯鞘型熱融着繊維を熱融着繊維M4とした。
<熱融着繊維M5>
繊度1.1detx、繊維長5mmの、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(融点130℃)を熱融着繊維M5とした。
<熱融着繊維M6>
繊度0.5dtex、繊維長5mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(熱圧溶融温度200℃)を熱融着繊維M6とした。
<熱融着繊維M7>
繊度0.8dtex、繊維長5mmのポリビニールアルコール繊維(湿熱溶融温度100℃)を熱融着繊維M7とした。
<熱融着繊維M8>
繊度2.2dtex、繊維長5mmの、ポリプロピレン(融点165℃)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(湿熱溶融温度100℃)からなる分割型複合繊維(16分割)を熱融着繊維M8とした。
表15に示した原料と含有量に従って、0.1%濃度の抄造用スラリーを調製した。
Figure 0005767222
表15において、合成繊維、熱融着繊維及びその他の繊維の「種類」は、下記のとおりである。
「PET」:ポリエチレンテレフタレート繊維
「AA」:アクリル繊維
「PP」:ポリプロピレン繊維
「PET/PEs−C」:ポリエステル系芯鞘型熱融着繊維
「PP/PE」:ポリオレフィン系芯鞘型熱融着繊維
「PET/EvOH」:ポリエステル/エチレン−ビニルアルコール系芯鞘型熱融着繊維
「PET−B1」:未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(融点130℃)
「PET−B2」:未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(熱圧溶融温度200℃)
「PVA」:ポリビニールアルコール繊維
「PP−EvOH」:ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール系分割型熱融着繊維
「PA」:フィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維
<セパレータ>
実施例104〜119
抄造用スラリー1〜16を円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、140℃のシリンダードライヤーによって、熱融着繊維を熱接着させて不織布を作製した。次に、スーパーカレンダー処理を行い、実施例104〜119のリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
実施例120、121
抄造用スラリー17、18を円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、140℃のシリンダードライヤーによって、熱融着繊維を熱接着させて不織布を作製した。次いで、200℃に加熱した直径1.2mの熱ロールに、速度20m/minで、不織布を接触させて熱処理した。次に、スーパーカレンダー処理を行い、実施例120、121のリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
(実施例122〜124、比較例24〜29)
抄造用スラリー19〜27を円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、140℃のシリンダードライヤーによって、熱融着繊維を熱接着させて不織布を作製した。次に、スーパーカレンダー処理を行い、実施例122〜124、比較例24〜29のリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
(実施例125)
抄造用スラリー28を円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、140℃のシリンダードライヤーによって乾燥して不織布を作製した。次に、200℃に加熱した直径1.2mの熱ロールを用い、圧力2MPa、速度10m/minで加圧熱処理し、熱融着繊維を熱接着させて、実施例125のリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
(実施例126、比較例30、31)
抄造用スラリー29〜31を円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、140℃のシリンダードライヤーによって乾燥して不織布を作製した。次に、スーパーカレンダー処理を行い、実施例126、比較例30、31のリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
<リチウムイオン二次電池I>
負極1と正極1とを、それぞれ実施例104〜126及び比較例24〜31のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと110℃で24時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、実施例102〜124及び比較例24〜31のリチウムイオン二次電池Iを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池J>
実施例及び比較例のセパレータ、正極2、負極2の順に張り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を110℃で15時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Jを作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、坪量、厚み、最大ポア径、平均ポア径、セパレータ含水分率、セパレータ強度、内部抵抗、内部短絡不良率、放電容量、放電容量のバラツキ、容量維持率、電圧維持率の評価を行い、結果を表16及び表17に示した。
Figure 0005767222
[内部抵抗]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池I各100個を1Cで30分間充電した後、交流1kHzで内部抵抗を測定し、各平均値を算出した。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池I各100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池J各50を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて、定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量の各平均値を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量のバラツキ)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池J各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量を次の基準で評価した。
◎:放電容量の差が、平均値に対して1.0%以下である。
○:放電容量の差が、平均値に対して1.0%を超えて2.5%以下である。
△:放電容量の差が、平均値に対して2.5%を超えて5.0%以下である。
×:放電容量の差が、平均値に対して5.0%を超えている。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池J20個を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、1Cの条件で定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、100サイクル後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)の平均値を算出した。
[電圧維持率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池J50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、0.2C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)したリチウムイオン二次電池について、60℃に設定した恒温槽内に30日間保存した後、リチウムイオン二次電池の電圧を測定し、保存前後の電圧維持率の平均値を算出した。電圧維持率を次の基準で評価した。
○:電圧維持率が、95%以上である。
△:電圧維持率が、95%未満で90%以上である。
×:電圧維持率が、90%未満である。
Figure 0005767222
表16に示したとおり、実施例104〜121のリチウムイオン二次電池用セパレータは、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有していることから含水分率が低く、合成繊維の少なくとも1種として、熱融着成分及び非熱融着成分からなる芯鞘型熱融着繊維を含有しているため、セパレータ強度が強く、優れていた。
即ち、実施例104〜121のリチウムイオン二次電池用セパレータは、合成繊維を10〜90質量%含有しているため、比較例31の溶剤紡糸セルロース繊維と麻繊維からなる紙製セパレータに比べ、含水分率を低く抑えることができた。さらに、繊維同士が絡みやすく繊維ネットワークが形成され、それを芯鞘型熱融着繊維で強固に熱接着するため、セパレータ強度は強くなった。
また、実施例110及び111、112の比較から、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部がポリエステル共重合体である芯鞘型熱融着繊維を用いると、セパレータ強度が強くなる傾向が見られた。熱処理を施した実施例120及び121のリチウムイオン二次電池用セパレータは、さらに強度が強くなる傾向が見られた。実施例122〜125のリチウムイオン二次電池用セパレータは、芯鞘型以外の熱融着繊維を用いたため、実施例124のリチウムイオン二次電池用セパレータは、芯鞘型熱融着繊維を含有しないため、セパレータ強度が若干弱くなった。
一方、比較例24及び25のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が90質量%より多く、セパレータに含有する合成繊維が10質量%より少ないため、含水分率が高く、セパレータ強度は弱くなった。比較例31のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セパレータにおける合成繊維の含有率が10質量%より少ないため、セパレータ強度は弱くなった。
表17に示したとおり、実施例104〜121のリチウムイオン二次電池は、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、合成繊維を10〜90質量%含有し、合成繊維の少なくとも1種として、熱融着成分及び非熱融着成分からなる芯鞘型熱融着繊維を含有する多孔質シートからなるセパレータを用いているため、内部抵抗、内部短絡不良率、特に高レートでの放電特性及びそのバラツキ、サイクル特性、電圧維持率特性に優れていた。
即ち、実施例104〜121のリチウムイオン二次電池は、セパレータが変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%含有しているため、電解液の保液性が良く、イオン伝導性を良好なものにすることができることから、低い内部抵抗を示すと共に、特に高レートでの放電特性、サイクル特性に優れていた。一方、比較例26及び27のリチウムイオン二次電池は、変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%より少ないため、比較例28のリチウムイオン二次電池は、セパレータが変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を含有していないため、電解液の保液性に劣り、内部抵抗が高い値を示した。
実施例104〜121のリチウムイオン二次電池は、セパレータに変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%含有しているため、セパレータを緻密なものにすることができることから、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが低く、優れていた。一方、比較例26及び27のリチウムイオン二次電池は、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%より少なく、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが高くなった。比較例28のリチウムイオン二次電池は、セパレータが変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を含有していないため、セパレータの緻密性が不十分であり、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが高くなった。比較例29のリチウムイオン二次電池は、セパレータにおける溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が0〜250mlより大きく、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率、放電容量のバラツキが若干高くなった。
実施例104〜121のリチウムイオン二次電池は、合成繊維を10〜90質量%含有し、合成繊維の少なくとも1種として、熱融着成分及び非熱融着成分からなる芯鞘型熱融着繊維を含有し、繊維ネットワークの緻密な構造を損なうことなく繊維同士を熱接着させるため、低い内部抵抗を維持すると共に、高い電圧維持率を示した。一方、実施例122〜125のリチウムイオン二次電池は、セパレータに芯鞘型熱融着繊維以外の熱融着繊維を用いているため、熱接着の際に熱融着繊維の形状が喪失することにより、セパレータの多孔質性が局部的に阻害されるため、内部抵抗の値が若干高く、高レートの放電容量が若干低い値を示した。実施例126のリチウムイオン二次電池は、セパレータに芯鞘型熱融着繊維を含有しないため、電圧維持率が若干低い値を示す結果となった。
≪実施例127〜132、比較例32〜34≫
<繊維A18>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A18とした。
<繊維A19>
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長10mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、繊維径2.5μm、繊維長6mmの溶剤紡糸セルロース繊維を繊維A19とした。
<合成繊維B9>
繊維径2.5μm、繊維長6mmのポリエチレンテレフタレート繊維を合成繊維B9とした。
Figure 0005767222
<セパレータ>
表18に示した原料と含有量に従って、抄紙用スラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、実施例127〜132及び比較例32〜34のセパレータを作製した。厚みは室温でカレンダー処理して調整した。
<リチウムイオン二次電池K>
負極1と正極1とを、それぞれ実施例及び比較例のセパレータが電極間に介するように巻回し、アルミニウム合金製の円筒型容器に収納して、リード体の溶接を行った。次いで、円筒型容器ごと110℃で15時間真空乾燥した。これを真空中で室温まで放冷した後、電解液を注入して密栓し、実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池Kを作製した。電解液には、エチレンカーボネート30質量%、ジエチルカーボネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPFを1.2Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池L>
実施例127〜132及び比較例33〜34のセパレータ、正極2、負極2の順に、A層が負極側に、B層が正極側になるように貼り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を140℃で10時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF6/EC+DEC(3:7vol%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池Lを作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ並びにリチウムイオン二次電池について、坪量、厚み、最大ポア径、平均ポア径、セパレータ含水分率、セパレータ強度、内部抵抗、内部短絡不良率、放電容量、放電容量のバラツキ、容量維持率の評価を行い、結果を表19に示した。
[内部抵抗]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池K各100個を1Cで30分間充電した後、交流1kHzで内部抵抗を測定し、各平均値を算出した。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池K各100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池L各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて、定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量の各平均値を算出した。
[Cレート放電試験(放電容量のバラツキ)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池L各50個を用い、1Cで3サイクルエイジングを行った後、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、0.2C、0.5C、1C、3C、5Cと電流値を変えて定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、0.2Cと5C時の放電容量を次の基準で評価した。
◎:放電容量の差が、平均値に対して1.0%以下である。
○:放電容量の差が、平均値に対して1.0%を超えて2.5%以下である。
△:放電容量の差が、平均値に対して2.5%を超えて5.0%以下である。
×:放電容量の差が、平均値に対して5.0%を超えている。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池L20個を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)した後、1Cの条件で定電流放電試験(2.8Vカット)を行い、100サイクル後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)の平均値を算出した。
Figure 0005767222
表19に示したとおり、実施例127と実施例132を比較すると、実施例127のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であり、各層に変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり60質量%、合成繊維を全繊維あたり40質量%含有しているため、5C放電容量及び容量維持率に優れていた。
実施例128のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であり、A層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり6質量%、合成繊維を全繊維あたり40質量%含有しており、B層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり100質量%含有しているため、実施例125に比較して、セパレータ強度が若干劣るものの、最大ポア径が小さくなり、内部抵抗が若干改善されていた。
実施例129のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であり、A層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり60質量%、合成繊維を全繊維あたり40質量%含有しており、B層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり90質量%、合成繊維を全繊維あたり40質量%含有しているため、実施例125に比較して、セパレータ強度が若干劣るものの、最大ポア径が小さくなり、内部抵抗が若干改善されていた。
実施例130のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であり、A層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり60質量%、合成繊維を全繊維あたり40質量%含有しており、B層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり10質量%、合成繊維を全繊維あたり90質量%含有しているため、実施例125に比較して、セパレータ強度が若干改善されるものの、5C放電容量及び容量維持率が若干劣っていた。
実施例131のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であり、A層は変法濾水度125mlの溶剤紡糸セルロース繊維を全繊維あたり60質量%、合成繊維を全繊維あたり40質量%含有しており、B層は合成繊維を全繊維あたり100質量%含有しているため、実施例125に比較して、セパレータ強度が若干改善されるものの、5C放電容量及び容量維持率が若干劣っていた。
比較例32のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であるものの、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が全繊維あたり90質量%より多く、合成繊維が全繊維あたり10質量%より少ないため、含水分率が高く、セパレータ強度は弱くなった。比較例33のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であるものの、セパレータにおける変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が全繊維あたり10質量%より少なく、合成繊維が全繊維あたり90質量%より多いため、最大ポア径が大きくなり、内部短絡不良率が極端に増加した。比較例34のリチウムイオン二次電池用セパレータは、二層構造であるものの、繊維径2.5μm、繊維長6mmの溶剤紡糸セルロース繊維を使用しているため、内部短絡不良率が極端に増加し、高レートでの放電容量も大きく劣った。
本発明の活用例としては、リチウムイオン二次電池用セパレータ、リチウムイオンポリマー二次電池用セパレータが好適である。

Claims (18)

  1. ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度が0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を10〜90質量%、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる合成繊維を10〜90質量%含有する多孔質シートからなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmである請求項1記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  3. 溶剤紡糸セルロース繊維が、その長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が10%以上である請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  4. 溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の長さ加重繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下である請求項3記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  5. 溶剤紡糸セルロース繊維が、その長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の長さ加重繊維長を有する繊維の割合が50%以上である請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  6. 溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する請求項5記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  7. 溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.50〜1.25mmであり、平均カール度が25以下である請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  8. さらに、多孔質シートが、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度0〜400mlのフィブリル化天然セルロース繊維を20質量%以下含有してなる請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  9. さらに、多孔質シートが、カルボキシメチルセルロースを含有してなる請求項1記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  10. 多孔質シートが、合成繊維の少なくとも1種として、熱融着成分及び非熱融着成分からなる芯鞘型熱融着繊維を含有してなる請求項1記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  11. 芯鞘型熱融着繊維の芯部がポリエチレンテレフタレートであり、鞘部がポリエステル共重合体である請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  12. 多孔質シートが熱処理されてなる請求項10又は11記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  13. 多孔質シートの平均ポア径が0.10μm以上、かつ、最大ポア径が6.0μm以下である請求項1〜12のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  14. 多孔質シートにおいて、JIS B7502に規定された方法により測定した値(5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定されたシートの厚み)が6〜50μmである請求項1〜12のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  15. 多孔質シートの坪量が5〜40g/m2である請求項1〜12のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  16. 合成繊維の平均繊維径が0.1〜20μmである請求項1〜15のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  17. 多孔質シートが多層構造からなり、少なくとも二層以上が変法濾水度0〜250mlの溶剤紡糸セルロース繊維を必須成分として含有した層である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池。
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