JP2014073432A - 濾材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、微細粒子の捕集効率、圧力損失といった性能をバランス良く発現した濾材を提供することにある。
【解決手段】液体の流れ方向において上流側に配置される細繊維層と、該細繊維層よりも濾目が細かく、下流側に配置される密層と、が積層されてなる濾材であって、前記密層は、合成樹脂繊維、フィブリル化したリヨセル繊維、熱融着性バインダー繊維とを必須成分として含有した不織布からなり、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であることを特徴とする濾材。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体中に含有される固体粒子を効率良く除去して清浄な液体を得るための細繊維層と密層を積層してなる2層構造の液体フィルタ用濾材に関するものである。
特許文献1には、粗層と密層を積層してなる2層構造のフィルタ用濾材が開示されている。このフィルタ用濾材(フィルタエレメント)は、流入側の層と流出側の層の2層を有しており、濾過精度が流れ方向において増大するように、流入側の層の方が流出側の層よりも目が粗く形成されている。すなわち、流入側の層が濾目の粗い粗層、流出側の層が粗層よりも濾目の細かい密層となっている。そして、流れ方向において、先ず大きな異物を粗層で捕捉し、粗層を通過した小さな異物を密層で捕捉することで、所定の濾過効率を確保しつつ、濾過寿命を向上するようにしている。
また、特許文献2には、天然繊維を叩解し、ろ水度(フリーネス)を500ml以下にフィブリル化した繊維を10質量%〜40質量%、フィブリル化していないセルロース繊維を90質量%〜60質量%として混抄し、抄造してなる燃料フィルタ用濾材が開示されている。
また、特許文献3には、上流側に配置される粗層と該粗層よりも濾目が細かく下流側に配置される密層とが積層され、密層には、繊維としてセルロース繊維を叩解し、ろ水度120ml以上180ml以下の範囲内にフィブリル化した叩解繊維を70〜85%、繊維直径が8μm以上13μm以下の叩解処理していない未叩解有機繊維とを含む燃料フィルタ用濾材を提案している。
燃料ポンプにより燃料タンクからエンジンへ液体燃料を送る経路の途中に設けられる燃料フィルタの濾材として適用する場合、特許文献1に示されるフィルタ用濾材では、パルプなどのセルロース繊維や合成繊維により形成される密層(濾紙)の濾目が大きいので、10μm未満の砂などの異物を効果的に捕捉することができず、濾過効率が不十分である。このように、2層構造の燃料フィルタ用濾材においては、濾目の細かい密層側の構成が濾過効率の点で特に重要である。
また、特許文献1のフィルタ用濾材では、密層として、セルロース含有の濾紙(フィルタペーパー)を採用しており、ポリエステルやガラス繊維などの合成繊維を50%まで有しても良い点が記載されている。このため、密層(下流側)に配合したガラス繊維中の金属成分が溶出又は流出して、燃料中の酸と反応し、金属塩等の堆積物(デポジット)がインジェクタ等の噴射系部品の摺動部などに付着して作動不良を引き起こす恐れがある。
特許文献2に示されるフィルタ用濾材では、フィブリル化した繊維を用いるものの、フィブリル化した繊維以外は天然繊維であり、断面形状が扁平であるために通液抵抗が高くなってしまう。特許文献3に示された燃料フィルタ用濾材は、密層中のフィブリル化した叩解繊維の比率が70〜85%と非常に多いために、濾過効率を高めることは可能であるが、圧力損失も高まってしまう。
特表2001−523562号公報 特開2000−153116号公報 特開2011−45825号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、液体燃料を濾過する液体フィルタ用の濾材として、濾過効率と濾過寿命に優れたものを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、
(1)液体の流れ方向において上流側に配置される細繊維層と、該細繊維層よりも濾目が細かく、下流側に配置される密層と、が積層されてなる濾材であって、前記密層は、合成樹脂繊維、フィブリル化したリヨセル繊維、熱融着性バインダー繊維とを必須成分として含有した不織布からなり、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であることを特徴とする濾材、
(2)フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する(1)記載の濾材、
(3)細繊維層は、繊維として、繊維径1〜8μmの合成樹脂短繊維と熱融着性バインダー繊維とを含み、細繊維層及び前記密層は、熱融着性バインダー繊維により一体化されている(1)又は(2)記載の濾材、
(4)密層のフィブリル化したリヨセル繊維配合率は、密層に対して5質量%超40質量%以下であり、密層の熱融着性バインダー繊維の配合率は、密層に対して10〜60質量%である(1)〜(3)のいずれかに記載の濾材、
を見出した。
本発明の濾材(1)は、上流側に配置される細繊維層と、該細繊維層よりも濾目が細かく、下流側に配置される密層と、が積層されてなる濾材であって、前記密層は、合成樹脂短繊維、フィブリル化したリヨセル繊維、熱融着性バインダー繊維とを必須成分として含有した不織布からなる。上流側に配置される細繊維層は、粒子径10μmを超える粒子を主に捕捉すると共に、粒子径5〜10μmの粒子も一部捕捉することができる。さらに、密層におけるフィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であることによって、フィブリル化したリヨセル繊維が合成樹脂短繊維と絡み合い、表面の平滑性が高く、均一性に優れるため、捕集効率、圧力損失のバランスが良くなり、粒子径10μm以下の粒子の捕捉を効率的に行うことができる。
また、密層中のフィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する濾材(2)は、濾材として必要な均一性がより優れているため、捕集効率、圧力損失のバランスがさらに良くなる。
本発明の濾材(3)は、細繊維層に繊維として、繊維径1〜8μmの合成樹脂短繊維と熱融着性バインダー繊維とを含むことにより細繊維層において粒子径10μm以上の粒子を効率的に捕捉すると共に、通液抵抗を低く抑えることが可能となる。また、前記細繊維層及び前記密層の両層に配合された熱融着性バインダー繊維により一体化することにより、両層の接着を線又は点で行うために、含浸樹脂等で一体化する方法と比較して、細繊維、密層の空隙を埋めることがなく、捕集効率を低下させずに通液性を維持できる。
本発明の濾材(4)では、密層中のフィブリル化したリヨセル繊維配合率が、密層に対して5質量%超40質量%以下であり、熱融着性バインダー繊維の配合率が、密層に対して10〜60質量%であることで、密層の捕集効率を維持しつつ、圧力損失を抑えるものである。
0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有するフィブリル化したリヨセル繊維[1]の繊維長分布ヒストグラムの例である。 最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有するフィブリル化したリヨセル繊維[2]の繊維長分布ヒストグラムの例である。
以下、本発明の濾材について詳説する。
本発明の濾材は、合成樹脂短繊維とフィブリル化したリヨセル繊維とを必須成分として含有した不織布からなり、図1に示したように、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上である。捕集効率を高めるという点において、繊維長分布ヒストグラムにおいて0.30〜0.70mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が55%以上であることが好ましい。1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合は高い方が望ましいが、75%程度あれば十分である。
本発明のフィブリル化したリヨセル繊維の繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じて、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。
また、本発明における「繊維長」及び「繊維長分布」とは、上記方法に従って、測定及び算出される「長さ加重繊維長」及び「長さ加重繊維長分布」を意味する。
フィブリル化したリヨセル繊維の「リヨセル」とは、ISO規格及び日本のJIS規格に定める用語で「セルロース誘導体を経ずに、直接、有機溶剤に溶解させて紡糸して得られるセルロース繊維」のことであり、「溶剤紡糸セルロース繊維」とも言う。
リヨセル繊維は、通常のパルプ繊維と同様に、ビーター、PFIミル、シングルディスクリファイナー(SDR)、ダブルディスクリファイナー(DDR)、また、顔料等の分散や粉砕に使用するボールミル、ダイノミル等の叩解・分散設備でフィブリル化が可能である。これら叩解・分散設備の種類、処理条件(繊維濃度、温度、圧力、回転数、リファイナーの刃の形状、リファイナーのディスク間のギャップ、処理回数等)の調整により、目的のリヨセルの繊維長及び繊維長分布を達成することが可能となる。
フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、図2に示したように、上記の最大頻度ピーク以外に、1.50〜3.50mmの間にピークを有することが好ましく、1.75〜3.25mmの間にピークを有することがより好ましく、2.00〜3.00mmの間にピークを有することがさらに好ましい。この範囲にピークを有することにより、濾材の捕集効率と強度が両立できるため好ましい。該ピークの繊維長が1.50mmより短い場合、濾材強度が若干不足する傾向が見られる場合がある。また3.50mmを超えると、濾材の捕集効率が若干向上しない場合がある。
フィブリル化したリヨセル繊維の変法濾水度は、0〜250mLであることがより好ましく、0〜160mLであることがさらに好ましい。変法濾水度が250mLより多いと、濾材の捕集効率が低下することがある。
本発明における変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。本発明における変法濾水度での測定値が250mLの場合、JIS P8121に準拠したカナダ標準濾水度での値は50mLに相当し、変法濾水度での測定値が70mLの場合、カナダ標準濾水度での値は0mLに相当する。さらに変法濾水度での測定値が0mLに近づくと、フィブリル化したリヨセル繊維がふるい板を通り抜けてしまうために、カナダ標準濾水度での値は0mLから上昇し、正確なカナダ標準濾水度の測定はできなくなる。
リヨセル繊維の場合、微細化が進むに従って、繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄いと、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、溶剤紡糸セルロース繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまう。つまり、微細化した溶剤紡糸セルロースの場合は、JIS P8121の測定方法では正確な濾水度が計測できない。より詳細に説明すると、リヨセル繊維は微細化処理によって繊維の長軸に平行に細かく分割されやすく、分割後の繊維1本1本における繊維径の均一性が高いため、平均繊維長が短くなるほど、繊維同士が絡みにくくなり、繊維ネットワークを形成しにくくなると考えられる。そこで、本発明では、リヨセル繊維の正確な濾水度を測定するために、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定する変法濾水度を用いた。
フィブリル化したリヨセル繊維の長さ加重平均繊維長は、0.20〜2.00mmであることが好ましく、0.40〜1.80mmがより好ましく、0.50〜1.50mmがさらに好ましい。長さ加重平均繊維長が0.20mm未満だと、繊維脱落、絡み不足により抄紙ワイヤーから繊維が離脱する場合がある。2.00mmより長いと、繊維同士が撚れてダマになり、濾材の均一性が低下する場合がある。
本発明の濾材において、密層中におけるフィブリル化したリヨセル繊維の配合率は、5質量%超40質量%以下が好ましく、6〜35質量%がより好ましく、7〜30質量%がさらに好ましい。熱融着性バインダー繊維の配合率は、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。合成樹脂短繊維が残りの配合率となる。フィブリル化したリヨセル繊維の配合率が5質量%以下の場合、均一性や捕集効率が向上しない場合がある。また、フィブリル化したリヨセル繊維の配合率が40質量%を超えると、圧力損失が高すぎる場合がある。熱融着性バインダー繊維の含有質量比率が10質量%未満の場合、強度不足や細繊維層と密層との接着力不足が起こる場合がある。また、60質量%を超えると、密度が高まり、通液抵抗が高まる場合や、捕集効率が低下する場合がある。
本発明の濾材において、細繊維層における合成樹脂短繊維の配合率は、20〜90質量%が好ましく、25〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。熱融着性バインダー繊維が残りの配合率となる。合成樹脂短繊維の配合率が20質量%未満の場合、粒子径10μmを超える粒子を主に捕捉すると共に、粒子径5〜10μmの粒子も一部捕捉することが困難となる場合がある。また、合成樹脂短繊維の配合率が90質量%を超えると、細繊維層の強度が不足して目開きがおこる場合がある。
本発明において、密層及び細繊維層に配合する合成樹脂短繊維を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルケトン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、アニリン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。このうち、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を使用すると、濾材の破損抑制効果が高く、均一性に優れた濾材を得ることができ、好ましい。
合成樹脂短繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる繊維(複合繊維)であっても良い。また、本発明の濾材に含まれる合成樹脂短繊維は、1種でも良いし、繊維径が異なる2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
密層に配合する合成樹脂短繊維の繊維径は、0.1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。合成樹脂短繊維の繊維径が20μmを超えた場合、濾材の均一性が確保できなくなる場合がある。また、合成樹脂短繊維の繊維径が0.1μm未満の場合、繊維の安定製造が困難になる。
細繊維層に配合する合成樹脂短繊維の繊維径は、0.1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、1〜8μmがさらに好ましい。合成樹脂短繊維の繊維径が20μmを超えた場合、粒子径10μm以上の粒子の捕捉ができない場合がある。また、合成樹脂短繊維の繊維径が0.1μm未満の場合、繊維の安定製造が困難になる。
両層に配合する合成樹脂短繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊維長としては、1mm以上15mm以下が好ましく、1mm以上10mm以下がより好ましく、1mm以上7mm以下がさらに好ましい。繊維長が15mmを超えた場合、地合不良となる場合がある。一方、繊維長が1mm未満の場合には、濾材の機械的強度が低くなる場合がある。
両層に用いる熱融着性バインダー繊維は、合成樹脂短繊維やフィブリル化したリヨセル繊維を点又は線で接着するために配合するものであり、合成樹脂短繊維やリヨセル繊維よりも融点が低いものである。熱融着性バインダー繊維は、融点が低い鞘部分と融点が高い芯部分からなる芯鞘型、融点が低い鞘部分と融点が高い芯部分が偏っている偏芯型、融点が低い鞘部分と融点が高い芯部分が半円づつ分かれているサイドバイサイド型、その他海島型、オレンジ型、多重バイメタル型の複合繊維、あるいは合成樹脂短繊維の製造工程の中で延伸工程をあえて行わずに未延伸状態で短繊維にカットして湿式抄紙した後の乾燥工程で軟化して他の繊維と接着する未延伸単繊維等が挙げられるが、濾材の強度を高めるという点から、特に、芯鞘型の熱融着性バインダー繊維を使用することが好ましい。熱融着性バインダー繊維は、JIS K7121に規定される示差走査熱量分析(以下、DSCという)で測定した融点が50〜170℃であることが好ましく、より好ましくは60〜140℃である。融点が50℃未満の場合、濾材が高温にさらされた場合に軟化して強度低下を招く場合がある。一方、170℃を超えた場合、熱融着機能を発現させるために、高温で加熱する必要があり、多くのエネルギーが必要となる場合がある。
本発明の濾材は、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー等の抄紙網を単独で設置されている抄紙機、または、長網や傾斜ワイヤー抄紙機で同一ワイヤー上に2つ以上のヘッドを有した2層以上の多層抄紙可能な抄紙機、またはこれらの抄紙網の同種または異種の2機以上がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機等により製造することができる。抄紙機で製造された湿紙は、エアードライヤー、ヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等のドライヤーで乾燥させる。
本発明の細繊維層と密層とを一体化した濾材は、エンジンオイル用、燃料用、油水分離用、油圧機器用等の液体濾過用フィルタ用濾材として好適となる。この場合、細繊維層を上流側として使用することにより、比較的粒子径の大きい粒子を細繊維層で捕捉し、粒子径の小さい粒子を密層で捕捉する。
本発明の濾材の目付けは、30〜150g/mが好ましく、40〜120g/mがより好ましく、50〜100g/mがさらに好ましい。150g/mを超えると、圧力損失が高くなりすぎたり、厚みが過剰となり、複合濾材とした場合には、複合化の効果が得られ難くなり、30g/m未満であると、折加工の際に倒れたり、通液の際の圧力で濾材が変形する場合がある。なお、目付けはJIS P8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定された方法に基づく坪量を意味する。
本発明の濾材の厚みは特に限定しないが、100〜800μmが好ましく、150〜600μmがより好ましく、200〜500μmがさらに好ましい。800μmを超えると、フィルタ内に規定量の濾材を折り込むことが難しくなる場合があり、100μm未満であると、折加工の際に倒れる場合や、通液の際の圧力で濾材が変形する場合がある。なお、厚みはJIS B7502に規定された方法により測定した値、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
本発明の濾材において、濾材の密度は、0.1〜0.8g/cmであることが好ましい。密度が0.1g/cm未満の場合、濾材層中に粒子が詰まりやすくなり、寿命が短くなる場合がある。逆に、0.8g/cmを超えると、圧力損失が大きくなる場合がある。
本発明の濾材には、必要に応じて濾材の特性を阻害しない範囲で、架橋剤、撥水剤、分散剤、歩留り向上剤、紙力剤、染料等の添加剤を適宜配合することができる。また、濾材及び複合濾材には、機械的強度、耐水性を付与するために熱可塑性樹脂を含有させることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、エポキシ系、合成ゴム系、ウレタン系、ポリエステル系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、ポリビニルアルコール系、澱粉系、フェノール樹脂等が挙げられ、これらを単独または2種類以上を併用できる。
濾材に含有せしめる熱可塑性樹脂の量としては、濾材に対して0.01〜10質量%が適当である。10質量%を超えると、濾材の圧力損失が大きくなる。また、0.01質量%未満では、熱可塑性樹脂を含有しない濾材と比較して、機械的強度や耐水性が向上しない。
濾材へ熱可塑性樹脂を含有させる状態は、密層のみ、密層及び細繊維層の両方、細繊維層のみのいずれの状態であっても良い。
熱可塑性樹脂を濾材に含有させる方法としては、特に限定はしないが、サイズプレス方式、タブサイズプレス方式、スプレー方式、内添方式、グラビア塗工方式等の方法が挙げられる。支持体層のみに含有させるためには、スプレー方式、グラビア塗工方式を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂を含有させた後に、エアードライヤー、ヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<フィブリル化したリヨセル繊維の物性値>
下記の例に用いたフィブリル化したリヨセル繊維について、
(1)1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合:「1.00mm以上の繊維割合」
(2)繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークの繊維長:「最大頻度ピークの繊維長」
(3)最大頻度ピーク以外のピークの繊維長:「第2ピークの繊維長」
(4)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
(5)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度:「濾水度」
として、表1に示す。
(細繊維層Aの作製)
繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維50部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)50部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて不織布強度を発現させ、坪量50g/mの細繊維層Aを作製した。
実施例1
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維50部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)32部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A18部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/mの濾材を作製した。
実施例2
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Bを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例3
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Cを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例4
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Dを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例5
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Eを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例6
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Fを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例7
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Gを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例8
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Hを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例9
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Iを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例10
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維62部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維E8部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量100g/mの濾材を作製した。
実施例11
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維60部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維E10部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/mの濾材を作製した。
実施例12
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)20部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維H40部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量20g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量70g/mの濾材を作製した。
実施例13
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)20部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維H50部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量20g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量70g/mの濾材を作製した。
実施例14
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維65部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維E5部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量100g/mの濾材を作製した。
実施例15
密層として、繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30部、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)10部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/mの濾材を作製した。
実施例16
密層として、繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維20部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)60部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/mの濾材を作製した。
実施例17
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維10部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)70部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/mの濾材を作製した。
実施例18
密層として、繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維35部、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)5部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/mの濾材を作製した。
実施例19
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径0.4μmのフィブリル化したアラミド繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例20
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径2.4μm、繊維長2mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例21
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径7.4μm、繊維長2mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
実施例22
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径8.6μm、繊維長2mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
(比較例1)
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Jを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
(比較例2)
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Kを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
(比較例3)
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Lを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した
(比較例4)
繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維50部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、坪量30g/mの濾材を作製した。
(比較例5)
濾過する際の流出側の層として、三菱製紙社製木材パルプ(NBKP)をパルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/mになるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、流出側の層を作製した。流入側となる層には、市販のポリプロピレンを主成分とした繊維径2〜8μmで坪量30g/mのメルトブロー不織布を用い、両層を重ね合わせて、トータル坪量80g/mの濾材を作製した。
(比較例6)
フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、カナダ標準濾水度が370mlになるようにダブルディスクリファイナーを用いて叩解してフィブリル化リヨセル繊維とした。別途、三菱製紙社製木材パルプ(NBKP)をカナディアン濾水度が600mlになるようにダブルディスクリファイナーを用いて叩解した。これらのフィブリル化リヨセル繊維10質量%、叩解木材パルプ90質量%の比率で、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量80g/mになるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、濾材を得た。
(比較例7)
粗層:平均直径10〜50μmの断面扁平形状(互いに直交する2方向において、一方が10μm、他方が50μmの断面長方形状)を有する木材パルプ25部と、直径5μmの断面略円形状(略真円形状)を有する配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート繊維75部とを配合して、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/mになるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、濾材の粗層を得た。
密層:直径13μmの断面略円形状を有するレーヨンを叩解し、カナダ標準濾水度150mlにフィブリル化した叩解繊維80部と、繊維直径13μmの断面略円形状を有する配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート繊維20部とを配合して、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量40g/mになるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、濾材の密層を得た。粗層と密層を重ねてフェノール樹脂を10g/m含浸し、乾燥させて坪量80g/mの濾材を作製した。
<評価>
実施例1〜22及び比較例1〜7で得られた濾材及び複合濾材について、下記の評価を行い、圧力損失、捕集効率、プリーツ加工性の評価結果を表2に示した。
[圧力損失](単位:Pa)
JIS B9908に準じて、面風速5.3cm/秒の条件で測定した。圧力損失は低いほど好ましく、150Pa未満であれば「◎」、150Pa以上200Pa未満であれば「○」、200Pa以上250Pa未満であれば「△」、250Pa以上を「×」とした。
[捕集効率](単位:%)
JIS B9908に準じて、面風速5.3cm/秒の条件で測定した。測定対象粒子は、大気塵を使用して、粒子径0.3〜0.5μmの粒子についての捕集効率をパーティクルカウンター(商品名「KC−11」、リオン社製)を使用して測定した。捕集効率は高いほど好ましく、90%以上であれば「◎」、70%以上90%未満であれば「○」、50%以上70%未満であれば「△」、50%未満であれば「×」とした。
[プリーツ加工性]
濾材及び複合濾材をマシンの流れ方向(MD)30cm、横方向20cmに裁断し、流れ方向を横切るように5cm毎に山折、谷折を繰り返し、畳んだ濾材の上に、直径5cm、長さ30cm、重さ3kgの円柱状金属ロールをゆっくり転がして折り目をつけ蛇腹状とする。折り目が明確で歪みがなく、折り目を押しても変形しなければ良好「○」とし、若干変形したが使用上問題ないレベルのものを「△」とし、それ以外を「×」とした。また、非常に硬く「○」よりも優れているものを「◎」とした。
[マルチパス試験捕集効率]
ISO16889のシートマルチパス試験方法を用いて、濾過面積529cm、試験オイルAEROSHELL FLUID41、試験流量20L/分、試験ダストISO12103−A2、試験ダスト濃度3mg/Lにて自動粒子カウンターで粒子径別粒子数を計測し、連続的に濾過効率を算出した。ここでの捕集効率は、試験開始10分後の粒子径5μmの捕集効率(%)を示す。マルチパス試験捕集効率は、実施例1、19〜22で得られた濾材について評価した。
[マルチパス試験ライフ]
ISO16889のシートマルチパス試験方法を用いて、濾過面積529cm、試験オイルAEROSHELL FLUID41、試験流量20L/分、試験ダストISO12103−A2、試験ダスト濃度3mg/Lにて自動粒子カウンターで粒子径別粒子数を計測し、連続的に濾過効率を算出した。ここでのライフは、圧力が初期圧から98kPa上昇するまでの時間を示す。時間が長いほどライフが長く良好である。マルチパス試験捕集効率は、実施例1、19〜22で得られた濾材について評価した。
実施例1〜18と比較例1〜3との比較から、実施例1〜18で得られた濾材は、密層が合成樹脂短繊維とフィブリル化したリヨセル繊維と熱融着性バインダー繊維を含有する不織布からなり、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であるため、表面の平滑性が高く、均一性に優れ、捕集効率、圧力損失のバランスが良好な結果が得られた。
これに対し、比較例1で得られた濾材では、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークが0.00〜1.00mmの間から外れているため、捕集効率が実施例より低い結果となった。また、比較例2で得られた濾材は、1.00mm以上の繊長を有する繊維の割合が50%より少ないため、圧力損失が実施例より大きい結果となった。さらに、比較例3で得られた濾材は、最大頻度ピークが0.00〜1.00mmの間から大きく外れているため、捕集効率が実施例より一層低い結果となった。
比較例4で得られた濾材は、2層構造の実施例1〜18の濾材と比較して、単層構造でありプリーツ加工性が悪い結果となった。
比較例5で得られた濾材は、流入側がメルトブロー不織布であり、流出側が木材繊維からなるセルロースからなる濾材を重ねた2層構造の濾材であるが、メルトブロー不織布の繊維径が太いために、捕集効率が悪い結果となった。また、熱融着性バインダー繊維を配合していないために、層間剥離を起こしやすかった。
比較例6で得られた濾材は、叩解したフィブリル化リヨセル繊維と木材繊維からなるセルロースを混合した単層の濾材であるが、フィブリル化リヨセル繊維の叩解度合いが不足しているために、捕集効率が低い結果となった。また、セルロース素材のみで構成しているために、水に浸したところ、すぐに破れてしまった。
比較例7で得られた濾材は、粗層と密層からなる2層構造の濾材であり、密層には叩解したフィブリル化したレーヨン繊維が80質量%配合されており捕集効率は良好であった。しかし、フィブリル化したレーヨン繊維が80質量%と非常に多く配合されていると共に、フェノール樹脂を含浸した際に密層の細孔を埋めてしまい、圧力損失が非常に高い結果となった。
実施例1〜9の比較から、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する場合、強度も高く、また、捕集効率も良好であった。最大頻度ピーク以外のピークの繊維長が1.50mmより短い実施例4では、プリーツ加工性において評価は「○」であったが、極僅か変形する傾向が見られた。また、最大頻度ピーク以外のピークの繊維長が3.50mmより長い実施例9では、捕集効率が若干悪化する傾向が見られた。
実施例1〜18の比較から、フィブリル化したリヨセル繊維の配合比率が50質量%の実施例13の濾材は、圧力損失がやや高めとなり、密層に配合されるフィブリル化したリヨセル繊維の配合比率が5質量%の実施例14の濾材は、捕集効率がやや低めであることから、密層中のフィブリル化したリヨセル繊維の配合比率が5質量%超40質量%以下であれば、良好な捕集効率と圧力損失のバランスが得られ、好ましいことが分かる。
実施例1〜18の比較から密層に配合される熱融着性バインダー繊維の配合比率が5質量%の実施例18の濾材は、プリーツ加工性がやや低めであり、熱融着性バインダー繊維の配合比率が70質量%の実施例17の濾材は、捕集効率がやや低めとなることから、密層中の熱融着性バインダー繊維の配合比率が10〜60質量%の場合に、プリーツ加工性と捕集効率のバランスが良いことが分かる。
実施例1、19〜22の比較から細繊維層に配合される合成樹脂短繊維の繊維径は、1μm未満の実施例19の濾材では、マルチパス試験のライフが短くなる傾向が確認された。また、8μmを超えた実施例22の濾材では、マルチパス試験捕集効率が低めとなる傾向が見られた。繊維径1〜8μmの場合に、マルチパス捕集効率とライフのバランスが良いことが分かる。
本発明の濾材は、液体濾過フィルタ用の濾材に好適に利用でき、特に燃料フィルタ用濾材に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 液体の流れ方向において上流側に配置される細繊維層と、該細繊維層よりも濾目が細かく、下流側に配置される密層と、が積層されてなる濾材であって、前記密層は、合成樹脂繊維、フィブリル化したリヨセル繊維、熱融着性バインダー繊維とを必須成分として含有した不織布からなり、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であることを特徴とする濾材。
  2. フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する請求項1記載の濾材。
  3. 細繊維層は、繊維として、繊維径1〜8μmの合成樹脂短繊維と熱融着性バインダー繊維とを含み、細繊維層及び前記密層は、熱融着性バインダー繊維により一体化されていることを特徴とする請求項1又は2記載の濾材。
  4. 密層のフィブリル化したリヨセル繊維配合率は、密層に対して5質量%超40質量%以下であり、密層の熱融着性バインダー繊維の配合率は、密層に対して10〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の濾材。
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