JP2023132659A - 液体フィルタ用濾材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、プリーツ加工性、耐水圧、耐油圧に優れた液体フィルタ用濾材を提供することにある。【解決手段】メルトブロー不織布と、繊維径が5μm以上の繊維からなり、流れ方向(MD)の引張強度を幅方向(CD)の引張強度で除した引張強度比が1.2~4.0である湿式不織布とを積層してなる液体フィルタ用濾材であり、メルトブロー不織布の原料樹脂がポリプロピレン又はポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、液体フィルタ用濾材に関する。以下、「液体フィルタ用濾材」を「濾材」と略記する場合がある。
液体フィルタ用濾材は、主にプリーツ加工を施されて濾材の表面積を増大させてから所定の形状に成形して液体フィルタが作製され、他の部品と組み合わせて濾過機にセットして使用される。
濾材の製法としては、メルトブロー法、スパンボンド法、湿式抄紙法、エレクトロスピニング法、二軸延伸法、相分離法等が挙げられ、それぞれの特徴を生かした用途に使用されている。液体フィルタ用濾材としては、メルトブロー法で作製した濾材が好適に使用されている。しかし、メルトブロー法で作製した濾材は、非常に低密度であり、表面に繊維の毛羽立ちがあり、擦れ等により繊維の離脱が起こり易い。また、柔軟で剛直性が低いため、プリーツ加工性も低い。メルトブロー濾材を加熱したロールにて加圧処理することにより、毛羽立ち、繊維の離脱等の問題は解決されるが、濾材密度が高まり、空隙が小さくなることから、通液量の低下や濾過寿命の低下を招くという問題があった。
そのため、柔軟で剛直性が低いメルトブロー法で作製した濾材は、スパンボンド法で作製した剛直な基材と積層して用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、スパンボンド法で作製した基材は地合が悪いために、高い水圧や油圧が濾材に加わった際に、メルトブロー濾材がスパンボンド基材の空隙に食い込み、濾過性能を低下させる問題があった。
また、メルトブロー濾材を主濾過不織布とし、繊維径が4μm以下の極細繊維と、繊維径が8μm以上、20μm未満の接着性繊維とを含んだ湿式抄紙法で作製した不織布を補助濾過不織布として、主濾過不織布と前補助濾過不織布とが隣接して積層された状態で、多孔筒の周囲に配置されている筒状フィルタが、濾過寿命を長くすることや加工性良く製造できることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、補助濾過の機能を持たせるために、補助濾過不織布が剛直度の低い繊維径が4μm以下の極細繊維を含んでいることから、プリーツ加工した場合に、折り部をシャープに加工できない問題や形状維持が困難である問題があった。
また、熱可塑性樹脂を主成分とするメルトブロー不織布からなる不織布層Aと、熱可塑性樹脂を主成分とする短繊維不織布からなる不織布層Bを、少なくとも一層ずつ積層されてなる不織布積層体であって、前記不織布積層体の層間が繊維交点の融着により接着されており、かつ目付と通気量の積が1300(g/m)(cc/cm/sec)以上であり、かつ見かけ密度が0.10~0.40g/cmであることを特徴とする不織布積層体が、通気性、強度及び地合均一性に優れており、フィルタとして用いた際には、圧力損失が小さく、フィルタライフ(濾過寿命)の長い不織布積層体が得られることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、平均繊維径が10~1000nmの極細繊維で構成された繊維層I(実施例1:メルトブローン法によるポリプロピレン極細繊維不織布)と、平均繊維径が5~100μmの熱融着性複合繊維で構成された繊維層II(実施例1:繊維径が14μmのポリエチレンテレフタレート繊維と、繊維径が16μmの鞘/芯=共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートの鞘芯型熱融着性複合繊維との混繊比率=40/60(w/w)の混繊を使用した抄紙不織布)とを含む繊維積層体であり、繊維層IIを構成する熱融着性複合繊維の溶融によって、極細繊維と熱融着性複合繊維との接触点が融着し、形成された融着点によって、繊維層Iと繊維層IIとが積層一体化されてなる、繊維積層体が、極細の繊維径、高比表面積、微小孔径、高空隙率といった、極細繊維が持つ本来の特性の低下を最小限に抑えつつ、極細繊維で構成された繊維層Iの力学強度や剛性が低いという欠点を補うことが可能であることから、例えば、フィルタなどの製品への加工性を格段に向上させることができること、さらに、繊維積層体は、気体及び液体の透過性が高く、耐圧性及び耐久性に優れており、高性能かつ高寿命のフィルタ濾材として好適に使用することができることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、高い水圧や油圧が加わった際に、湿式不織布(短繊維不織布、抄紙不織布)に目開きが発生する問題や、プリーツ加工した場合、メルトブロー不織布に損傷が生じ、濾過性能が低下する問題があった。
特開2010-19151号公報 特開2001-321620号公報 特開2018-204133号公報 国際公開第2015/046564号パンフレット
本発明の課題は、プリーツ加工性、耐水圧、耐油圧に優れた液体フィルタ用濾材を提供することにある。
上記課題は、メルトブロー不織布と、繊維径が5μm以上の繊維からなり、かつ流れ方向(MD)の引張強度を幅方向(CD)の引張強度で除した引張強度比が1.2~4.0である湿式不織布とを積層してなる液体フィルタ用濾材によって、解決することができる。
本発明によれば、プリーツ加工性に優れ、高水圧、高油圧が濾材に加わっても、メルトブロー不織布に損傷が生じず、濾過性能が低下し難い液体フィルタ用濾材が得られる。
液体フィルタ用濾材の捕集効率を高める方法としては、繊維径の細いメルトブロー繊維からなるメルトブロー不織布を用いることが有効である。また、濾過寿命を高めるためには、メルトブロー不織布の低密度であるという特徴を維持することが重要となる。そのためには、低密度のメルトブロー不織布の毛羽立ちや繊維離脱の問題を解決し、プリーツ加工性を付与するとともに、高い水圧又は高い油圧に耐えうる濾材設計が求められる。
本発明の液体フィルタ用濾材は、これらの問題を解決し、諸適性を付与したものであり、メルトブロー不織布と、繊維径が5μm以上の繊維からなり、かつ流れ方向(MD)の引張強度を幅方向(CD)の引張強度で除した引張強度比が1.2~4.0である湿式不織布とを積層してなる液体フィルタ用濾材である。「流れ方向(MD)の引張強度を幅方向(CD)の引張強度で除した引張強度比」を「引張強度比」と略記する場合がある。
メルトブロー不織布の原料樹脂は、例えばポリエチレン(PE)の他、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビリニデン(PVdF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートが好適に用いられ、プリーツ加工性が向上することから、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートは、耐熱性が求められる用途にも適している。
メルトブロー不織布の繊維の平均繊維径は、好ましくは0.1~4μmであり、より好ましくは0.5~3μmである。平均繊維径が0.1μm未満の場合、通液抵抗が高くなり、液体フィルタの寿命が短くなる場合があり、4μmを超えた場合、濾過性能が不足する場合がある。
メルトブロー不織布の平均繊維径は、不織布の任意な5箇所を電子顕微鏡で撮影し、得られた5枚の写真について、写真1枚当たり20本の繊維の直径を測定し、合計100本の繊維径を平均することによって求めた。
メルトブロー不織布の坪量は、好ましくは5~100g/mであり、より好ましくは10~70g/mである。メルトブロー不織布の坪量が5g/m未満の場合、濾過性能が不足する場合があり、100g/mを超えた場合、通液抵抗が高くなり、液体フィルタの寿命が短くなる場合がある。
メルトブロー不織布の原料樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤、光安定剤等を添加してもよい。
メルトブロー不織布は、前記ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の原料樹脂を用いて、公知のメルトブロー不織布製法によって得られる。具体的には、原料樹脂を溶融し、紡糸ノズルから吐出するとともに、高温高圧ガスにさらされることにより、原料樹脂が細繊維化され、細繊維化された極細繊維を金網コンベア、多孔ドラムなどのコレクターに捕集して、堆積することによって、メルトブロー不織布を製造することができる。
メルトブロー不織布を製造する条件としては、例えば、紡糸ノズル孔径は、0.15~0.4mmであることが好ましく、紡糸温度は、200~340℃であることが好ましく、高温高圧ガスの温度は、紡糸温度以上、(紡糸温度+60℃)以下であることが好ましく、1m幅当たりの高温高圧ガスの速度(吐出風量)は2~30m/分/mであることが好ましく、ノズル紡糸口金の表面から金網コンベアまでの距離(DCD)は3~55cmであることが好ましく、金網コンベア、多孔ドラムなどのコレクターのメッシュは5~200メッシュであることが好ましい。
湿式不織布は、抄紙機を用いて主に繊維長が3~20mmの繊維を多量の水に均一に分散させた抄紙用スラリーから抄紙網上で脱水することによって製造される。そのため、繊維が均一に分散されていることから、湿式不織布の地合は、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布等の乾式不織布と比較して良好である。メルトブロー不織布と湿式不織布とを積層してなる液体フィルタ用濾材では、濾材に高い水圧や油圧が加わった際に、湿式不織布に押し付けられたメルトブロー不織布が均一な地合の湿式不織布で支えられることから、メルトブロー不織布が湿式不織布の空隙に食い込むことが抑制され、食い込みによる濾過性能の低下を抑制できる。また、湿式不織布が、繊維径が5μm以上の繊維からなり、かつ引張強度比が1.2~4.0であることにより、液体フィルタ用濾材の剛直度が高まり、優れたプリーツ加工性が得られるとともに、高水圧、高油圧が濾材に加わっても、メルトブロー不織布に損傷が生じず、濾過性能が低下し難い液体フィルタ用濾材が得られる。
剛直度を高める方法としては、湿式不織布の坪量を高くする方法がある。しかし、坪量を高くすることにより、通液性の低下を招くとともに、厚くなることから、フィルタユニットに組み込める濾材面積が少なくなるという問題がある。そのため、湿式不織布には、坪量に係わらず、剛直度が高いことが求められる。湿式不織布の剛直度を高めるためには、湿式不織布を構成する繊維の選定と組み合わせが重要となる。
湿式不織布を構成する繊維が太い場合、湿式不織布の剛直度を高めることができる。本発明では、湿式不織布を構成する繊維の繊維径は5μm以上であり、より好ましくは、7μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。繊維径が5μm未満の場合、通液性が低下する場合や、湿式不織布の剛直度が不足し、プリーツ加工性が低下する場合がある。
湿式不織布を構成する繊維の繊維径は、湿式不織布製造前に、湿式不織布を構成する繊維(材質、繊度、繊維長等がほぼ同一の繊維ごと、すなわち、購入単位ごと)に、電子顕微鏡で1000倍の写真撮影を行い、3枚の写真の中でピントが合っている繊維30本の繊維径を計測して平均することによって求めた。
「繊維径が5μm以上の繊維からなる湿式不織布」とは、湿式不織布を構成するすべての繊維の繊維径が5μm以上であることを言う。湿式不織布を構成する繊維としては、主体繊維及びバインダー繊維が挙げられる。
本発明での主体繊維とは、湿式不織布製造時の加熱処理(例えば、乾燥処理、熱カレンダー処理等)によって、溶融又は軟化し難い性質を有し、加熱処理後でも繊維形状を保つ繊維である。
主体繊維としての合成繊維としては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール(polychlal)、フェノール系などの繊維が挙げられる。天然繊維としては、皮膜の少ない麻パルプ、コットンリンター、リント;再生繊維としては、リヨセル繊維、レーヨン、キュプラ;半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス;無機繊維としては、アルミナ繊維、アルミナ・シリカ繊維、ロックウール、ガラス繊維、マイクロガラス繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナウィスカ、ホウ酸アルミウィスカなどの繊維が挙げられる。上記の繊維の他に、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類を使用することもできる。特に、ポリエステル系繊維、ビニロン系繊維は剛直度を高めるために好ましい。また、主体繊維の延伸度合が高いほど、剛直度を高めることができることから好ましい。
主体繊維の繊維径は、5μm以上であり、より好ましくは5~30μmであり、さらに好ましくは7~25μmである。主体繊維の繊維径が5μm未満の場合、湿式不織布の剛直度が低く、プリーツ加工性が得られず、また、通液抵抗が高くなる。一方、主体繊維の繊維径が30μmを超えると、湿式不織布の空隙が過大となり、濾材に高い水圧等が加わった際に、湿式不織布の空隙にメルトブロー不織布が食い込み、濾過性能が低下する場合がある。
主体繊維の繊維長によって引張強度比を調節することができ、引張強度比を1.2~4.0にするためには、繊維長が長いことが好ましい。本発明において、主体繊維の繊維長は、好ましくは3~20mmであり、より好ましくは5~15mmである。主体繊維の繊維長が3mm未満の場合、主体繊維が抄紙網から脱落する場合があり、主体繊維の繊維長が20mmを超えた場合は、地合が悪化する場合がある。
主体繊維の含有量は、湿式不織布を構成する全繊維に対して、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましく、40~60質量%であることがさらに好ましい。主体繊維の含有量が20質量%未満では、湿式不織布の空隙が不足し、通液抵抗が高まる場合がある。主体繊維の含有量が80質量%を超えると、バインダー繊維の含有量が相対的に低くなり、剛直度が不十分となるおそれがある。
湿式不織布の引張強度及び剛直度を高めるために、湿式不織布がバインダー繊維を含むことが好ましい。バインダー繊維同士の交点又はバインダー繊維と主体繊維との交点を接着することによって、湿式不織布の引張強度及び剛直度を高めることができる。本発明において、バインダー繊維とは、湿式不織布製造時の加熱処理(例えば、乾燥処理、熱カレンダー処理等)によって、溶融又は軟化する性質を持つ繊維である。
バインダー繊維としては、芯鞘(コアシェル)繊維、並列(サイドバイサイド)繊維、放射状分割繊維などの複合繊維;単繊維が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、湿式不織布の空間を保持したまま、強度を向上させることができる。芯鞘繊維の組み合わせ例としては、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)と酢酸ビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリエステル(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ等が挙げられる。単繊維の例としては、ポリエチレン繊維、プロピレン繊維、未延伸ポリエステル繊維等が挙げられる。不織布の引張強度及び剛直度を高めるという点から、特に、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせのポリエステル系芯鞘繊維を使用することが好ましい。また、ポリエチレン繊維等の低融点樹脂のみで構成される全融タイプの単繊維や、熱水可溶性ポリビニルアルコール系繊維のような熱水可溶性バインダー繊維は、加熱工程で皮膜を形成し易いが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。
バインダー繊維の繊維長によって引張強度比を調節することができ、引張強度比を1.2~4.0にするためには、繊維長が長いことが好ましい。バインダー繊維の繊維長は、好ましくは3~12mmであり、より好ましくは5~10mmである。バインダー繊維の繊維長が3mm未満の場合、抄紙工程で抄紙網より脱落しやすくなり、他の繊維との接着点が減少し、剛直度が低下する場合があり、バインダー繊維の繊維長が12mmを超えると、水分散性が損なわれ、地合が不均一となり、液体フィルタ用濾材として用いた場合に、高い水圧等が加わった際に、メルトブロー不織布が地合の悪い部分に食い込み、濾過性能が低下する場合がある。
バインダー繊維の繊維径は、5μm以上であり、より好ましくは5~20μmであり、さらに好ましくは7~18μmである。バインダー繊維の繊維径が5μm未満では、通液抵抗が高まる。一方、バインダー繊維の繊維径が20μmを超えると、他の繊維との接着点が少なくなり、剛直度が低下する場合がある。
バインダー繊維の含有量は、湿式不織布に含まれる全繊維に対して、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましく、40~60質量%であることがさらに好ましい。バインダー繊維の含有量が20質量%未満では、繊維間の接着が不十分となりやすく、剛直度が不十分となる場合がある。バインダー繊維の含有量が80質量%を超えると、通液抵抗が高くなり、実用上問題が発生する場合がある。
また、湿式不織布に配合する繊維の断面形状は、円形(真円、楕円等)以外にT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有できる。
本発明において、湿式不織布の坪量は、特に限定しないが、5~100g/mであることが好ましく、10~70g/mがより好ましい。5g/m未満では、十分な剛直度が得られない場合がある。一方、100g/mを超えると、通液抵抗が高まり、液体フィルタの寿命が低下する場合がある。
本発明において、湿式不織布の引張強度比は、1.2~4.0であり、より好ましくは1.5~3.5であり、さらに好ましくは2.0~3.0である。引張強度比が1.2未満では、湿式不織布の剛直度が低く、プリーツ加工性が得られず、変形が起こる。一方、引張強度比が4.0を超えると、湿式不織布の横強度が弱くなることによって、濾材に高い水圧等が加わった際に湿式不織布に割れが生じ、空隙にメルトブロー不織布が食い込み、濾過性能が低下する。湿式不織布の引張強度比を高める方法として、抄速を上げること、ジェット速度をワイヤー速度で除したジェットワイヤー比を下げること、繊維長を長くすること等が挙げられる。これらの方法を単独並びに併用することで湿式不織布の引張強度比1.2~4.0を達成できる。
本発明の湿式不織布は、湿式法(抄紙法)で製造された不織布である。湿式法では、長網、円網、傾斜ワイヤー等の抄紙網が単独で設置されている抄紙機、これらの抄紙網の中から選択される同種又は異種の2機以上がオンラインで設置されている複合式(コンビネーション)抄紙機などにより、湿式不織布を製造することができる。抄紙網で製造された湿紙(ウェブ)は、ドライヤーで乾燥される。乾燥させた後、場合によって、熱可塑性樹脂を含有させ、ドライヤーで乾燥させても良い。ドライヤーとしては、エアドライヤー、ヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等を使用することができる。
また、湿式不織布に熱可塑性樹脂を含有させることによって、湿式不織布の剛直度を向上させることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、エポキシ系、合成ゴム系、ウレタン系、ポリエステル系、塩化ビニリデン系、ポリビニルアルコール系、澱粉、フェノール樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用しても良いし、2種類以上で使用することもできる。熱可塑性樹脂は必須成分ではなく、繊維のみで十分な剛直度が得られる場合は、熱可塑性樹脂は不要である。
湿式不織布に熱可塑性樹脂を含有させる場合に、その含有量は、湿式不織布に対して、0.01~10質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が10質量%を超えると、湿式不織布の通液抵抗が大きくなり過ぎる場合がある。また、熱可塑性樹脂の含有量が0.01質量%未満では、熱可塑性樹脂を含有しない湿式不織布と比較して、剛直度が変わらない場合がある。
熱可塑性樹脂を湿式不織布に含有させる方法としては、特に限定はしないが、サイズプレス方式、タブサイズプレス方式、スプレー方式、内添方式、グラビア塗工方式などの方法が挙げられる。
メルトブロー不織布と湿式不織布の積層方法としては、例えば、超音波熱融着法、熱エンボスロールによる熱融着法、反応性接着剤を用いた接着法、ホットメルト樹脂を用いた熱ラミネート法等を用いることができ、積層後のメルトブロー不織布と湿式不織布の接着強度が高いことや接着剤溶出の懸念がないことから、超音波熱溶着法が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<メルトブロー不織布1>
メルトブロー不織布製造装置を用い、紡糸ノズル孔径0.2mm、ピッチ0.8mmで配置されたメルトブロー用のノズルダイを温度240℃に加熱し、ポリプロピレン樹脂(メルトフローレート(MFR):1200g/10分、測定樹脂温度:230℃)をダイに供給し、ノズルからポリプロピレン繊維を吐出し、ノズルの両側から吹き出す加熱エアー(260℃、8m/分/m)と伴に吐出し、DCD(紡糸口金の表面から金網コンベアまでの距離):150mmで移動する金網コンベアに吹き付けて、坪量:20g/m、平均繊維径:2.2μmのメルトブロー不織布1を得た。
<メルトブロー不織布2>
メルトブロー不織布製造装置を用い、紡糸ノズル孔径0.25mm、ピッチ0.8mmで配置されたメルトブロー用のノズルダイを温度280℃に加熱し、ポリブチレンテレフタレート樹脂(メルトフローレート(MFR):270g/10分、測定樹脂温度:275℃)をダイに供給し、ノズルからポリブチレンテレフタレート繊維を吐出し、ノズルの両側から吹き出す加熱エアー(300℃、8m/分/m)と伴に吐出し、DCD(紡糸口金の表面から金網コンベアまでの距離):110mmで移動する金網コンベアに吹き付けて、坪量:20g/m、平均繊維径:2.3μmのメルトブロー不織布2を得た。
<主体繊維1>
繊維径5.2μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル繊維を主体繊維1とした。
<主体繊維2>
繊維径14.3μm、繊維長5mmのビニロン繊維を主体繊維2とした。
<主体繊維3>
繊維径14.3μm、繊維長10mmのビニロン繊維を主体繊維3とした。
<主体繊維4>
海島型繊維として、ポリ-L-乳酸からなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により製造した繊維(繊度:1.65dtex、繊維長:3mm)を用意した。次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10mass%の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるポリ-L-乳酸を抽出除去して、ポリプロピレン繊維(繊維径:1.8μm、繊維長3mm)を主体繊維4とした。
<バインダー繊維1>
繊維径14.3μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエステル(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体(軟化点75℃)からなる芯鞘繊維をバインダー繊維1とした。
<バインダー繊維2>
繊維径14.3μm、繊維長10mmの、芯成分がポリエステル(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体(軟化点75℃)からなる芯鞘繊維をバインダー繊維2とした。
<バインダー繊維3>
繊維径11.8μm、繊維長10mmの芯成分がポリプロピレン(融点:158℃)からなり、鞘成分(接着成分)が高密度ポリエチレン(融点:131℃)からなる芯鞘繊維をバインダー繊維3とした。
(湿式不織布の作製)
2mの分散タンクに水を投入後、表1に示す比率で主体繊維とバインダー繊維を投入し、分散濃度0.2質量%で5分間分散して、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄紙用繊維スラリー(0.2%濃度)を調製した。傾斜ワイヤー抄紙機を用いてスラリーを多量の水で希釈と分散を行い、ワイヤー上で表1に示す抄速並びにジェットワイヤー(J/W)比で乾燥質量20g/mになるようにウェブを形成して、表面温度130℃のシリンダードライヤーでタッチロールを400N/cmの圧力で加圧しながら乾燥して湿式不織布(WL)1~11を得た。
(液体フィルタ用濾材の作製)
メルトブロー不織布(MB)1及び2並びに湿式不織布(WL)1~11を、表2に示す組み合わせで、湿式不織布/メルトブロー不織布/湿式不織布になるように3層重ね合わせた後に、超音波熱融着装置を用いて接合し、実施例1~9並びに比較例1~3の液体フィルタ用濾材を作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた、湿式不織布、メルトブロー不織布及び液体フィルタ用濾材について、下記の測定及び評価を行い、測定及び評価結果を表1及び表2に示した。
[引張強度測定]
湿式不織布を、流れ方向(MD)、幅方向(CD方向)それぞれを長辺として幅15mm×長さ160mmの短冊状にカットし、引張試験用試験片とした。JIS L 1913:2010に準拠して、定速緊張形引張試験機「シングルコラム型材料試験機、型番:STB-1225S」(エー・アンド・デイ社製)を用いて、つかみ間隔100mmに設定し、引張速度を100mm/分として、定速で引張試験用試料を引っ張り、引張試験用試料が破断した際の強度を測定して引張強度とした。流れ方向(MD)の引張強度を幅方向(CD)の引張強度で除して引張強度比を算出した。
[坪量](単位:g/m
坪量は、JIS P8124:2011(紙及び板紙-坪量測定法)に規定された方法に基づき測定した。
[厚さ](単位:μm)
厚さは、JIS P8118:2014(紙及び板紙-厚さ試験方法)に規定された方法に基づき測定した。
[圧力損失](単位:Pa)
JIS B9908:2011の形式1に準じて、面風速5.3cm/秒の条件で測定した。圧力損失は低いほど好ましく、50Pa未満であれば「◎」、50Pa以上100Pa未満であれば「〇」、100Pa以上200Pa未満であれば「△」、200Pa以上を「×」とした。
[捕集効率](単位:%)
JIS B9908:2011の形式1に準じて、面風速5.3cm/秒の条件で測定した。測定対象粒子は、大気塵を使用して、粒子径0.3~0.5μmの粒子についての捕集効率をパーティクルカウンター(商品名「KC-11」、リオン社製)を使用して測定し、下記数式1より、捕集効率を算出した。
(数式1)
η1=(1-C2/C1)×100
η1:捕集効率(%)
C1:濾材上流側の粒子濃度
C2:濾材下流側の粒子濃度
捕集効率は高いほど好ましく、50%以上であれば「〇」、30%以上50%未満であれば「△」、30%未満であれば「×」とした。
液体濾過効率及び液体濾過速度の測定にはJIS第8種粉体を0.05%濃度になるように純水に希釈し分散したものを試験用液体として用い、以下の方法で測定した。
[液体濾過効率](単位:%)
液体濾過効率は、液体フィルタ用濾材を純水で湿潤した後、減圧濾過装置を用いて、濾過面積14cmの濾過用ホルダーに液体フィルタ用濾材をセットし、試験用液体100mlを濾過用ホルダーに注いだ後に試験用液体を差圧△P=200mmHgで減圧濾過し、試験用液体を完全に濾過した後、同じホルダーに試験用液体100ml注ぎ、同条件で減圧濾過する。合計10回の減圧濾過を繰り返し、10回目の濾過前後の試験用液体の3~10μm粒子数をリオン(株)製の液中微粒子計数器(KL-01)で測定し、下記数式2より、液体濾過効率を算出した。
(数式2)
η2=(1-C2/C1)×100
η2:液体濾過効率(%)
C1:濾材上流側の粒子濃度
C2:濾材下流側の粒子濃度
液体濾過効率は高いほど好ましく、70%以上であれば「◎」、50%以上70%未満であれば「○」、30%以上50%未満であれば「△」、30%未満であれば「×」とした。
[液体濾過速度](単位:cc/cm/分)
液体濾過速度:上記液体濾過効率試験の10回目の濾過時間から液体濾過速度を得た。液体濾過速度は、値が大きいほど、濾材の目詰まりが少なく、濾過に要する時間が短いことを意味し、良好な濾材となる。
液体濾過速度は高いほど好ましく、15cc/cm/分以上であれば「◎」、10cc/cm/分以上15cc/cm/分未満であれば「○」、5cc/cm/分以上10cc/cm/分未満であれば「△」、5cc/cm/分未満であれば「×」とした。
[プリーツ加工性]
液体フィルタ用濾材を抄紙工程の流れ方向(MD)30cm、横方向(CD)20cmに裁断し、流れ方向を横切るように5cmごとに山折、谷折を繰り返し、畳んだ濾材の上に、直径5cm、長さ30cm、重さ3kgの円柱状金属ロールをゆっくり転がして折り目をつけ、蛇腹状とする。折り目が明確で歪みがなく、折り目を押しても変形しなければ良好「○」とし、若干変形したが使用上問題ないレベルのものを「△」とし、変形し、使用上問題があり不可を「×」とした。また、非常に硬く、「○」よりも優れているものを「◎」とした。
実施例及び比較例の液体フィルタ用濾材は、メルトブロー不織布と湿式不織布とを積層してなる液体フィルタ用濾材である。比較例1~3と実施例1~9の比較から、繊維径1.8μm(繊維径5μm未満)の主体繊維を含み、湿式不織布の密度が0.09g/cm(密度0.1g/cm未満)の湿式不織布を用いた比較例1の液体フィルタ用濾材は、繊維径5μm以上の繊維からなり、かつ引張強度比が1.2~4.0である湿式不織布を用いた実施例1~9の液体フィルタ用濾材と比較して、圧力損失が高く、剛直度が不足しているためにプリーツ加工性が悪く使用不可レベルであり、液体濾過速度も小さかった。また、引張強度比が1.1である湿式不織布を用いた比較例2の液体フィルタ用濾材は、剛直度が不足しているためにプリーツ加工性が悪く使用不可レベルであった。また、引張強度比が4.0を超える湿式不織布を用いた比較例3の液体フィルタ用濾材は、耐水圧性が不足しているために湿式不織布に割れが生じ、メルトブロー不織布が空隙に食い込み、目開きすることにより、液体濾過効率が低下し、使用不可レベルであった。
メルトブロー不織布の原料樹脂がポリブチレンテレフタレートである実施例6の液体フィルタ用濾材は、メルトブロー不織布の原料樹脂がポリプロピレンである実施例3と比較して、プリーツ加工性が良好であった。
本発明の液体フィルタ用濾材は、金属の型彫、切断加工などに使用されている放電加工機の加工液中に含まれる加工屑や、IC生産における基板のウエハの切断、研磨、エッチングなどの工程で使用される超純水中に含まれる加工屑を効率良く除去し清浄な液体を得るための液体フィルタ、自動車用エンジンオイル、燃料等用の液体フィルタ等に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. メルトブロー不織布と、繊維径が5μm以上の繊維からなり、流れ方向(MD)の引張強度を幅方向(CD)の引張強度で除した引張強度比が1.2~4.0である湿式不織布とを積層してなる液体フィルタ用濾材。
  2. メルトブロー不織布の原料樹脂がポリプロピレン又はポリブチレンテレフタレートである請求項1記載の液体フィルタ用濾材。
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