JP2018058448A - 内装用表皮材 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 融点が150℃以上220℃以下の低融点繊維を7重量%以上30重量%以下含む繊維基材から構成され、
表面にエンボス柄を有し、
タテ方向及びヨコ方向の10%伸長時モジュラスが、それぞれ10N/5cm以上60N/5cm以下であり、
10%伸長時モジュラスのタテ方向/ヨコ方向比が、0.7以上2.0以下であることを特徴とする内装用表皮材。
[2] 明度が75以下の濃色繊維が、前記繊維基材100重量%中、50重量%以上含まれている[1]に記載の内装用表皮材。
[3] 前記濃色繊維として、明度が異なる2種以上の繊維が混綿されている[2]に記載の内装用表皮材。
[4] 明度が55以下の繊維を含む[2]または[3]に記載の内装用表皮材。
[5] エンボス率が5%以上60%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の内装用表皮材。
[6] 前記繊維基材がニードルパンチ跡を有し、
ニードルパンチ跡が790本/cm2以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の内装用表皮材。
以下、各構成について詳述する。
1−1.低融点繊維
繊維基材には、融点が150℃以上220℃以下の低融点繊維が7重量%以上30重量%以下含まれる。前記低融点繊維を用いると、エンボス加工時の加熱により低融点繊維が溶融するため、エンボス部と非エンボス部の界面がよりシャープになり、凹凸模様の輪郭は明瞭なものとなる。加えてエンボスロールの熱の影響によりエンボス部だけではなく非エンボス部も表面が平滑になるため、触感も改善し、耐スクラッチ性や耐摩耗性も良好なものとなる。繊維基材をニードルパンチ加工等の機械的絡合法による不織布とする場合には、更に、低融点繊維を用いると、加熱により一部または全部が溶融した低融点繊維が、繊維基材を構成する他の繊維と接合するため、ニードルパンチ加工の条件を変更して繊維の交絡を緩くでき、低モジュラスを実現できる上、ニードルパンチ加工によるパンチ跡も目立たなくなるため、意匠性がより向上するといった利点もある。
更に繊維基材には、前記低融点繊維よりも融点が30℃以上高い高融点繊維が含まれていることが好ましい。前記高融点繊維は、繊維基材の形状安定に寄与する。高融点繊維と低融点繊維の融点差が30℃未満であると、加熱条件によっては、高融点繊維及び低融点繊維の両方が溶融又は軟化して繊維基材が固化する虞があるため好ましくない。高融点繊維の融点は、低融点繊維の融点よりも60℃以上高いことがより望ましい。高融点繊維の融点は特に限定されるものではないが、好ましくは220℃超、より好ましくは235℃以上、更に好ましくは250℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、更に好ましくは270℃以下である。
非エンボス部の質感・触感を高め、内装用表皮材の低モジュラス化実現、更にはエンボスの凹凸模様の明瞭化のために、繊維基材には、中空繊維、捲縮繊維及び中空捲縮繊維から選ばれる少なくとも1種以上の嵩高繊維が含まれていてもよい。これらの嵩高繊維を混綿することにより、非エンボス部のボリューム感が向上して、エンボス部との厚さの差異が大きくなり、エンボスによる凹凸模様がより強調される。また成形時に非エンボス部が圧縮されにくいため、エンボスによる凹凸模様が消失しにくく、意匠性に優れた内装用表皮材となる。加えて、エンボス加工を施すことにより風合いは多少硬くなるが、非エンボス部のボリューム感によって緩和されるという効果もある。
中空率(%)=(中空部の断面積/繊維の断面積)×100
前記捲縮繊維は、顕在型、潜在型のどちらも使用可能である。
このような繊維であれば、捲縮構造がしっかりと維持されるため触感がよく、また成形時の圧力により凹凸模様の潰れを防止することができる。
繊維基材には、明度が75以下の濃い色の繊維(以降、「濃色繊維」と称する場合がある)が、繊維基材100重量%中、好ましくは50重量%以上含まれていることが望ましい。本発明に係る内装用表皮材は、その意匠性を高めるために表面にエンボス柄を有しており、型押された凹凸模様(以降、「エンボス部」と称する場合がある)を視認することでデザインを楽しむことができる。しかし本発明者が検討した結果、繊維基材中の濃色繊維の混綿率が低すぎる場合には、凹凸模様と型押しされていない部分(以降、「非エンボス部」と称する場合がある)における明度の高い繊維を、エンボス部よりも先に視覚が認識することで、エンボス部と非エンボス部との差がはっきりせずに、柄(凹凸模様)の輪郭がぼやけて視認されてしまうことが分かった。しかし、濃色繊維の混綿率を高めることで、柄ボケの現象を抑え、エンボスによる凹凸模様を明瞭にすることが可能となる。濃色繊維は柄ボケの点からは多いほど好ましく、濃色繊維の混綿率は、繊維基材100重量%中、より好ましくは68重量%以上、更に好ましくは75重量%以上、より更に好ましくは85重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
なお繊維の明度は、例えば、実施例に示す方法で測定できる。
明度10以上55以下の繊維から明度が異なる2種以上の繊維を混綿するとき、混綿率(明度10以上30以下の繊維:明度30超55以下の繊維)は、90:10〜10:90が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、60:40〜30:70が更に好ましく、45:55〜35:65が特に好ましい。
明度55超75以下の繊維から明度が異なる2種以上の繊維を混綿するとき、混綿率(明度55超71以下の繊維:明度71超75以下の繊維)は、90:10〜10:90が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、75:25〜50:50が更に好ましく、75:25〜55:45が特に好ましい。
繊維基材に含まれる繊維(前述した低融点繊維、高融点繊維及び嵩高繊維など)の平均繊度は、好ましくは1.0dtex以上、より好ましくは1.3dtex以上、更に好ましくは2.0dtex以上であり、好ましくは6.0dtex以下、より好ましくは5.0dtex以下、更に好ましくは4.5dtex以下である。繊度が1.0dtex未満では、通気性が低くなることにより吸音性が悪化するだけでなく厚さが薄くなって接着剤が染み出すため好ましくない。6.0dtexより大きくなると、特にエンボス部は薄いため成形する際に接着剤が染み出したり、圧密により平滑化されるため、繊維基材全体の明度に対して低い/高い繊維の繊維感が強くなりすぎるため好ましくない。
低融点繊維の平均繊度は、0.8〜6dtexが好ましく、1.5〜5dtexがより好ましい。低融点繊維の繊度が前記範囲内であれば、低融点繊維が溶融しやすく、加熱処理時間を短縮できる。
高融点繊維の平均繊度は、例えば、0.8〜6dtexが好ましく、より好ましくは1.5〜5dtexである。
嵩高繊維の平均繊度は、例えば、4〜8dtexが好ましく、より好ましくは5.5〜7.5dtexである。
なお、ニードルパンチ加工後の繊維基材はニードルパンチ跡を有しているが、通常確認できるニードルパンチ跡は、実際の打ち込み本数よりも少ない場合が多い。繊維基材に形成されるニードルパンチ跡は、例えば790本/cm2以下であり、好ましくは590本/cm2以下、より好ましくは490本/cm2以下、更に好ましくは390本/cm2以下であり、下限は特に限定されないが、好ましくは10本/cm2以上である。
エンボス加工する際の加熱・加圧により、エンボス部に光沢(テカリ)を発生させ、前記光沢により、エンボス部と非エンボス部との差を明瞭なものとし、凹凸模様をより立体的に見せるという視覚効果を発揮される目的で、繊維基材に樹脂加工を施すことも可能である。前記樹脂加工は、繊維基材の片面或いは両面に施すことが可能である。
本発明では、前述した方法で得られた繊維基材に、更にエンボス加工を施すことで意匠性及び成形性に優れた内装用表皮材が得られる。エンボス加工では、加熱及び加圧の条件下で、繊維基材に模様となる凹部を形成する。エンボス加工後の繊維基材の凹部は、繊維の圧密・平滑化と、熱溶融後の低融点繊維がフィルム様に固化することによるテカリにより、凸部よりも色が明るく(白っぽく)見える。
車用の内装材として成形する際には、基材上に接着材層と本発明の表皮を積層してなる成形材料を、上下の成形金型間に配置して加熱加圧するとよい。基材は、成形品の目的・用途等によって適宜選択されるが、成形工程において、熱と圧力、又は、圧力のみによって所定形状に賦形されるものが好ましく、通常、ポリウレタンやポリスチレンなどの発泡体、硬質・半硬質の合成樹脂材料、またはこれらの発泡体やガラス繊維等で補強された繊維強化合成樹脂等が用いられ、中でも厚さ3〜5mm程度のポリウレタン樹脂発泡体、ポリスチレン樹脂発泡体、または繊維強化合成樹脂板状体が好適である。
一定面積(S0)のエンボスロール上における凸部の面積(S1)の比率を用いて、下式によりエンボス率を算出する。
エンボス率(%)=S1/S0×100
混綿する前の繊維をカード機でカーディングして繊維ウエブを積層し、表面より打ち込み本数60本/cm2、針深さ8mm、次いで裏面より打ち込み本数90本/cm2、針深さ8mm、その後表面より打ち込み本数120本/cm2、針深さ8mmでニードルパンチ加工(ニードル:オルガン製「品番1−40」)をした目付100g/m2の不織布表面の明度を、高速分光光度計((株)村上色彩技術研究所製:型番CMS−500:試料窓寸法15.5mm×24mm、観測寸法8mm×16mm)により計測する。
JIS L1913 6.3に準じ、5cm×20cmの試料を採取し、タテ方向(製造工程における不織布の流れ方向;MD方向)・ヨコ方向(MD方向に直交する方向;CD方向)に対してつかみ間隔10cm、速度20cm/minで引張り、10%伸張時(1cm伸張時)のモジュラスを計測する。
現行使用している成形金型で成型し、深絞り部分にシワが発生するか目視で確認する。
○:シワが発生しなかった
△:小さいシワが発生した
×:大きいシワが発生した
成形前後の意匠性について下記の通り評価する。
成形前:外観、成形後:外観・柄の消失
・外観(柄) 柄が明瞭であるかを目視で確認する。
◎:柄が非常に明瞭に確認できる
○:柄が明瞭に確認できる
×:柄がはっきりせずぼやけている
・柄の消失 深絞り部分の柄が消失しているかを目視で確認する。
◎:柄の消失が無く意匠性に非常に優れている
○:やや柄の消失があるものの意匠性に優れている
×:柄の消失があり意匠性に優れていない
繊度3.3dtex、繊維長51mmの濃グレー色原着ポリエステル繊維(明度43)80重量%と、繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点200℃の白色原着低融点ポリエステル繊維(明度82)20重量%をそれぞれ計量、混綿、カーディング、クロス積層した繊維ウエブを、針本数320本/cm2、針深さ6mmで、ニードルパンチ加工を施した後、熱処理機で170℃・30秒間加熱して不織布を得た。
織り目柄の模様を凸部としてエンボス率が50%になるように形成されたエンボスロールを用いて、温度200℃、圧力90kg/cmの条件でエンボス加工を施して、表面に織り目柄の模様付けがされた内装用表皮材を得た。基材(ウレタン発泡体)、接着剤(イソシアネート系)、表皮材の順に積層して、自動車用天井となる成形金型を用いて温度150℃、プレス時間30秒の条件で成形した。
繊維構成、ニードルパンチ条件、熱処理温度、目付を表に示すとおりに変更する以外は、実施例1と同様にして内装用表皮材を得、その後成形した。なお10%伸長時モジュラスのタテ/ヨコ比率は、ニードルパンチ時のドラフト率を変更することにより調整した。
Claims (6)
- 融点が150℃以上220℃以下の低融点繊維を7重量%以上30重量%以下含む繊維基材から構成され、
表面にエンボス柄を有し、
タテ方向及びヨコ方向の10%伸長時モジュラスが、それぞれ10N/5cm以上60N/5cm以下であり、
10%伸長時モジュラスのタテ方向/ヨコ方向比が、0.7以上2.0以下であることを特徴とする内装用表皮材。 - 明度が75以下の濃色繊維が、前記繊維基材100重量%中、50重量%以上含まれている請求項1に記載の内装用表皮材。
- 前記濃色繊維として、明度が異なる2種以上の繊維が混綿されている請求項2に記載の内装用表皮材。
- 明度が55以下の繊維を含む請求項2または3に記載の内装用表皮材。
- エンボス率が5%以上60%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の内装用表皮材。
- 前記繊維基材がニードルパンチ跡を有し、
ニードルパンチ跡が790本/cm2以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の内装用表皮材。
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