JP2018034436A - 生タイヤの温度シミュレーション方法及びタイヤの加硫方法 - Google Patents

生タイヤの温度シミュレーション方法及びタイヤの加硫方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 生タイヤを加硫する工程での生タイヤの温度を精度良く計算する。【解決手段】 生タイヤを加硫する工程での生タイヤの温度を、コンピュータを用いて計算するための方法である。この温度シミュレーション方法は、ドレインモデルを生タイヤモデルの内腔内に配置する工程S53、ドレインモデルにドレインの材料特性を入力する工程S4、コンピュータ1が、金型の温度、水蒸気を含む高圧の気体の温度及び熱伝達率、並びに、ドレインの温度に基づいて、生タイヤモデルの温度を計算する工程S7を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、生タイヤの温度や加硫量を計算するためのシミュレーション方法及びタイヤの加硫方法に関する。
従来、生タイヤの加硫する工程では、タイヤの外表面を成形する金型と、金型にセットされた生タイヤの内腔内で膨張するブラダーとが用いられている。生タイヤは、これらの金型とブラダーとの間で加熱、加圧されることにより、加硫及び成形される。
ブラダーの内部空間には、水蒸気を含む高圧の気体が供給される。ブラダーの内部空間の温度低下により、水蒸気の一部が凝縮し、ドレインとしてブラダーの内部空間に蓄えられる。ドレインは、気体よりも密度が大きいため、ブラダーの下方に溜まる。さらに、ドレインと、気体とは、熱の伝わり方が異なるため、加硫を妨げるという問題がある。従って、ドレインの影響を考慮して、生タイヤの温度を予測することが重要である。
下記特許文献1は、ドレインの影響を考慮して、生タイヤの熱伝導解析を行うシミュレーション方法が提案されている。このシミュレーション方法では、生タイヤをモデル化した生タイヤモデルと、ブラダーをモデル化したブラダーモデルと、ドレインをモデル化したドレインモデルとが用いられている。
特開2013−116583号公報
上記特許文献1では、生タイヤモデル、ブラダーモデル及びドレインモデルを一括して熱伝導解析するために、ドレインモデルに、ゴムの材料特性が入力されている。しかしながら、ドレインとゴムとは、材料特性が大きく異なる。このため、上記特許文献1のシミュレーション方法では、生タイヤの温度を精度良く計算できないという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、生タイヤの温度を精度良く計算することができる温度シミュレーション方法及びタイヤの加硫方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、タイヤの外表面を成形する金型と、水蒸気を含む高圧の気体の供給により前記金型にセットされた生タイヤの内腔内で膨張するとともに、前記水蒸気の一部が内部空間にドレインとして蓄えられるブラダーとを用いて前記生タイヤを加硫する工程での前記生タイヤの温度を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、前記コンピュータに、前記生タイヤを有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルを入力する工程、前記コンピュータに、前記ドレインを有限個の要素でモデル化したドレインモデルを入力する工程、前記ドレインモデルを前記生タイヤモデルの内腔内に配置する工程、前記生タイヤモデルの外表面に前記金型の温度を定義する工程、前記生タイヤモデルの内腔面に直接又は間接的に、前記気体の温度及び熱伝達率を定義する工程、前記ドレインモデルに前記ドレインの材料特性を入力する工程、前記ドレインモデルに前記ドレインの温度を定義する工程、並びに、前記コンピュータが、前記金型の温度、前記気体の温度、及び、前記ドレインの温度に基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記材料特性は、熱伝導率、密度又は比熱の少なくとも1つを含むのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記コンピュータに、前記ブラダーを有限個の要素でモデル化したブラダーモデルを入力する工程と、前記ブラダーモデルを前記生タイヤモデルの内腔内に配置する工程とを含むのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記ドレインモデルを配置する工程は、前記ドレインモデルを、前記ブラダーモデルの内部空間かつその内表面と接触するように配置するのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記気体の温度は、前記ブラダーモデルの前記内表面のうち前記ブラダーモデルの前記内部空間で露出する部分、及び、前記ドレインモデルの外表面のうち前記内部空間で露出する部分に設定されるのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記ブラダーモデルの内表面は、複数の領域に区分され、前記気体の温度は、前記領域毎に異なるのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記ドレインモデルを入力する工程に先立ち、前記コンピュータが、前記ドレインの発生量を計算する工程を含み、前記ドレインモデルを入力する工程は、前記発生量に基づいて、前記ドレインモデルの大きさを決定するのが望ましい。
本発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の生タイヤの温度シミュレーション方法で求められた前記生タイヤモデルの温度に基づいて、前記金型の温度、又は、前記気体の温度を制御することを特徴とする。
本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法は、ドレインモデルを生タイヤモデルの内腔内に配置する工程、生タイヤモデルの外表面に金型の温度を定義する工程、生タイヤモデルの内腔面に直接又は間接的に、水蒸気を含む高圧の気体の温度及び熱伝達率を定義する工程、ドレインモデルにドレインの材料特性を入力する工程、及び、ドレインモデルにドレインの温度を入力する工程を含んでいる。
さらに、本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法は、コンピュータが、金型の温度、気体の温度、及び、ドレインの温度に基づいて、生タイヤモデルの温度を計算する工程を含んでいる。このような本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法によれば、生タイヤを実際に加硫しなくても、ドレインの影響を考慮して、生タイヤの温度を計算することができる。
しかも、本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法は、ドレインモデルに、ドレインの材料特性が定義される。このため、本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法では、ドレインモデルにゴムの材料特性が定義された上記特許文献1のシミュレーション方法に比べて、ドレインの影響をより正確に考慮することができ、加硫中の生タイヤの温度や加硫量を精度良く計算できる。
本願の第2の発明のタイヤの加硫方法は、本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法で求められた生タイヤモデルの温度に基づいて、金型の温度、又は、気体の温度を制御している。本願の第1の発明の生タイヤの温度シミュレーション方法によれば、ドレインの影響を正確に考慮して、生タイヤの温度や加硫量を精度良く計算できる。従って、本願の第2の発明のタイヤの加硫方法では、ドレインの影響を考慮して、金型の温度又は生タイヤの温度を制御できるため、タイヤの加硫ムラを防ぐことができる。
本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータ1の一例を示す斜視図である。 評価対象のタイヤの一例を示す断面図である。 生タイヤを加硫する工程の一例を説明する断面図である。 本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態のシミュレーション方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル、ブラダーモデル及びドレインモデルの一例を示す図である。 本実施形態の配置工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の境界条件定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図5を簡略化した図である。 第1領域及び第2領域について、温度と時間との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態のシミュレーション方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル及びドレインモデルの一例を示す図である。 本発明のさらに他の実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 実験例のゲージ圧と加硫時間との関係を示すグラフである。 (a)は、実験例のセンター部の温度と加硫時間との関係を示すグラフ、(b)は、実施例のセンター部の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。 (a)は、実験例のタイヤ最大幅部の温度と加硫時間との関係を示すグラフ、(b)は、実施例のタイヤ最大幅部の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の生タイヤの温度シミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、生タイヤを加硫する工程での生タイヤの温度を、コンピュータを用いて計算するための方法である。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータ1の一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、評価対象のタイヤ2の一例を示す断面図である。本実施形態のタイヤ2は、例えば、重荷重用の空気入りタイヤとして構成される。タイヤ2は、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層7とが設けられている。
カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aで構成されている。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んでいる。この本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配されている。また、カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75〜90度の角度で配列されたカーカスコードを有している。
カーカス6の内面には、タイヤ2の内腔面をなすインナーライナゴム9が設けられている。このインナーライナゴム9は、例えば、耐空気透過性に優れるブチル系ゴムからなり、空気漏れを防止する。
ベルト層7は、例えば、スチール製のベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜70゜の角度で配列した4枚のベルトプライ7A〜7Dから構成される。これらのベルトプライ7A〜7Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けてられている。
このようなタイヤ2は、慣例に従い、未加硫の生タイヤが金型内で加硫及び成形されることによって製造される。図3は、生タイヤを加硫する工程(以下、単に「加硫工程」という。)の一例を説明する部分断面図である。
本実施形態の加硫工程では、タイヤ2の外表面を成形する金型11と、金型11にセットされた生タイヤ2Lの内腔内で膨張するブラダー12とが用いられている。生タイヤ2Lは、金型11とブラダー12との間で加熱、加圧されることにより、加硫及び成形される。これにより、図2に示したタイヤ2が製造される。
金型11は、例えば、サイドウォール成形面13sを有する一対のサイドウォール成形型13、13と、トレッドゴム成形面14sを有するトレッド成形型14と、生タイヤ2Lのビード部2cを保持しうる一対のビードリング15、15とを含んで構成されている。これらのサイドウォール成形型13、トレッド成形型14及びビードリング15が嵌め合わされることにより、タイヤ2の外表面2oを成形しうる成形面11sが形成される。また、金型11には、例えば、電気ヒータ等の加熱手段(図示省略)が配置されている。
ブラダー12は、膨張可能なゴム状弾性体で構成されている。このブラダー12の内部空間12sには、図示しない供給手段から水蒸気を含む高圧の気体17が供給される。水蒸気としては、水が蒸発して気体になった水蒸気だけでなく、水と水蒸気との間に平衡状態が成立している飽和水蒸気や、飽和水蒸気をさらに加熱した過熱水蒸気を含んでいる。これにより、ブラダー12が膨張し、金型11の成形面11sに生タイヤ2Lが押し付けられる。気体17としては、水蒸気に、例えば、窒素等の不活性気体の少なくとも1つ、又は、複数を混合して構成される混合気である場合もある。気体17の温度としては、例えば、約140〜220℃に設定される。
気体17に含まれる水蒸気は、ブラダー12の内面で冷やされることにより、その水蒸気の一部が凝縮し、ドレイン18としてブラダー12の内部空間12sに蓄えられる。ドレイン18は、気体17よりも熱伝達が低い(熱伝導を妨げる)ため、生タイヤ2Lの加硫を妨げる。本実施形態では、予め定められた一定量以上のドレイン18を排出する機構(図示省略)が設けられている。
本実施形態のシミュレーション方法では、ドレイン18の影響を考慮して、生タイヤ2Lの温度が計算される。図4は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、金型11を有限個の要素でモデル化した金型モデルが入力される(工程S1)。図5は、本実施形態のシミュレーション方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル、ブラダーモデル及びドレインモデルの一例を示す図である。
工程S1では、金型11(図3に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、金型11が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、金型モデル21が設定される。
本実施形態の金型モデル21は、サイドウォール成形型13(図3に示す)をモデル化した第1成形型モデル23、トレッド成形型14(図3に示す)をモデル化した第2成形型モデル24、及び、ビードリング15(図3に示す)をモデル化した第3成形型モデル25を含んでいる。第1成形型モデル23、第2成形型モデル24及び第3成形型モデル25が一体に組み合わされることにより、生タイヤモデル30の外表面30oを成形する成形面21sが形成される。
数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できる。本実施形態では、有限要素法が採用される。また、各要素F(i)としては、例えば、二次元モデルである場合は四辺形要素等が採用でき、また、三次元モデルである場合は4面体ソリッド要素等が採用できる。各要素F(i)には、複数個の節点が設けられる。各要素F(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、金型11(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。このような金型モデル21の設定(モデリング)には、例えば、市販のメッシュ化ソフトウエアが用いられる。金型モデル21は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、生タイヤ2L(図3に示す)を有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルが入力される(工程S2)。工程S2では、金型11(図3に示す)やタイヤ2(図2に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、生タイヤ2Lが、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素G(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、生タイヤモデル30が設定される。
要素G(i)としては、金型モデル21の要素F(i)と同様のものが採用される。各要素G(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、生タイヤ2L(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。生タイヤモデル30は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、ブラダー12(図3に示す)を有限個の要素でモデル化したブラダーモデルが入力される(工程S3)。工程S3では、ブラダー12の設計データ(例えば、CADデータ)等に基づいて、ブラダー12が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素H(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、ブラダーモデル22が設定される。図5において、他のモデルと区別しやすいように、ブラダーモデル22に色を付けて示している。
要素H(i)としては、金型モデル21の要素F(i)や生タイヤモデル30の要素G(i)と同様のものが採用される。各要素H(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、ブラダー12(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。ブラダーモデル22は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、ドレイン18を有限個の要素でモデル化したドレインモデルが入力される(工程S4)。工程S4では、図3に示した加硫工程において、ブラダー12の内部空間12sに蓄えられるドレイン18が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素J(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、ドレインモデル28が設定される。
要素J(i)としては、金型モデル21の要素F(i)等と同様のものが採用される。これにより、ドレインモデル28は、流動のない固体として定義される。また、各要素J(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、ドレイン18(図3に示す)の材料特性などの数値データが定義される。材料特性としては、熱伝導率、密度又は比熱の少なくとも1つ、本実施形態では熱伝導率、密度及び比熱の全てを含んでいる。これにより、後述の工程S7において、ドレイン18を考慮した計算を行うことができる。本実施形態では、その他の材料特性として、例えば、熱膨張係数等が含まれる。
ドレインモデル28の大きさは、図3に示した加硫工程でブラダー12の内部空間12sに蓄えられるドレイン18の発生量に基づいて設定されるのが望ましい。なお、本実施形態では、予め定められた一定量以上のドレイン18を排出する機構(図示省略)が設けられている。このため、ドレインモデル28の大きさは、この一定量に基づいて設定されるのが望ましい。これにより、本実施形態では、ドレインモデル28を流動のない固体として定義しても、計算精度が低下することもない。しかも、ドレイン18の増減を考慮する必要がないため、計算時間を短縮することができる。ドレインモデル28は、コンピュータ1に記憶される。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法は、金型モデル21の内部空間21iに、生タイヤモデル30、ブラダーモデル22、及び、ドレインモデル28が配置される(配置工程S5)。図6は、本実施形態の配置工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の配置工程S5では、先ず、生タイヤモデル30が、金型モデル21の内部空間21iに配置される(工程S51)。工程S51では、生タイヤモデル30の外表面30oを、金型モデル21の成形面21sに接触させている。生タイヤモデル30の外表面30oと金型モデル21の成形面21sとの間には、位置ずれ防ぐための拘束条件が定義されてもよい。
次に、本実施形態の配置工程S5では、ブラダーモデル22が、生タイヤモデル30の内腔30s内に配置される(工程S52)。工程S52では、ブラダーモデル22の外表面22oを、生タイヤモデル30の内腔面30iに接触させている。ブラダーモデル22の外表面22oと生タイヤモデル30の内腔面30iとの間には、位置ずれ防ぐための拘束条件が定義されてもよい。
次に、本実施形態の配置工程S5では、ドレインモデル28が、生タイヤモデル30の内腔30s内に配置される(工程S53)。本実施形態の工程S53では、ドレインモデル28を、ブラダーモデル22の内部空間22sに配置している。さらに、工程S53では、ドレインモデル28を、ブラダーモデル22の内表面22iと接触するように配置している。本実施形態では、図3に示したブラダー12の内部空間12sに蓄えられるドレイン18の実際の位置に基づいて、図において、内部空間22sの下方に配置されている。ドレインモデル28とブラダーモデル22の内表面22iとの間には、位置ずれを防ぐための拘束条件が定義されてもよい。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、生タイヤモデルの温度を計算するための境界条件が定義される(境界条件定義工程S6)。図7は、本実施形態の境界条件定義工程S6の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の境界条件定義工程S6では、先ず、生タイヤモデル30の外表面30oに、金型の温度が定義される(工程S61)。工程S61では、図3に示した加硫中の金型11の成形面11sでの温度が、図5に示した生タイヤモデル30の外表面30oに定義される。金型の温度は、コンピュータ1に記憶される。
金型の温度の設定は、このような態様に限定されない。例えば、図3に示した金型11の加熱手段(図示省略)に対応する位置に配置される金型モデル21の要素F(i)に、加熱手段の温度を定義してもよい。この場合、後述の工程S7において、金型モデル21の発熱が計算され、金型モデル21の成形面21sを介して、生タイヤモデル30の外表面30oに、金型の温度が定義される。このような金型の温度は、実際の金型11の加熱に基づいて計算されるため、計算精度を高めることができる。
次に、本実施形態の境界条件定義工程S6では、生タイヤモデル30の内腔面30iに直接又は間接的に、気体の温度及び熱伝達率が定義される(工程S62)。本実施形態の工程S62では、図3に示した加硫工程において、気体17が接する部分(即ち、ブラダー12の内表面12i及びドレイン18の外表面18o)を考慮して、気体の温度及び熱伝達率が定義される。
本実施形態の工程S62では、先ず、ブラダーモデル22の内表面22iのうち、ブラダーモデル22の内部空間22sで露出する部分41(即ち、ドレインモデル28や金型モデル21に覆われていない部分)に、気体の温度及び熱伝達率が設定される。次に、本実施形態の工程S62では、ドレインモデル28の外表面28oのうち内部空間22sで露出する部分42(即ち、ブラダーモデル22の内表面22iに接しない部分)に、気体の温度及び熱伝達率が設定される。これにより、工程S62では、ブラダーモデル22及びドレインモデル28を介して、生タイヤモデル30の内腔面30iに間接的に、気体の温度及び熱伝達率が定義される。気体の温度については、適宜設定することができる。本実施形態の気体の温度は、上述の範囲内で設定される。気体の熱伝達率ついても、適宜設定することができる。気体の熱伝達率は、水蒸気から液化する時の潜熱の発生から予測されてもよいし、実験的に求めても良い。通常、混合気中又は水蒸気が液化する時の熱伝達率は、80〜20000W/(m2・K)である。なお、気体の温度及び熱伝達率は、予め実施される気流シミュレーションによって、求められてもよい。
気体の温度及び熱伝達率は、内部空間22sで露出する部分41、42に均一設定することができる。なお、ブラダー12の内部空間22sにおいて、温度や密度が互いに異なる水蒸気と不活性気体とが混合される場合、上部に軽い気体が溜まり、かつ、下部に重い気体が溜まるため、ブラダー12の内表面12iの温度が一定にならない場合がある。このため、工程S62では、ブラダーモデル22の内表面22iのうち、ブラダーモデル22の露出する部分41を複数の領域に区分して、領域毎に気体の温度及び熱伝達率を異ならせてもよい。これにより、実際の加硫工程に基づいて、気体の温度及び熱伝達率を定義することができる。図8は、図5を簡略化した図である。図8では、要素のメッシュが省略して示されている。
図8に示されるように、本実施形態のブラダーモデル22の露出する部分41は、図において、上側の第1領域41aと、下側の第2領域41bとに区分されている。各領域41a、41bに設定される気体の温度及び熱伝達率は、加硫工程において、各領域41a、41bに対応するブラダー12の内表面12iの位置において測定された結果に基づいて設定されるのが望ましい。
図9は、第1領域41a及び第2領域41bに対応するブラダーの温度と時間との関係を示すグラフである。このグラフでは、第1領域41aの気体の温度が、第2領域41bの気体の温度よりも大きく設定されている。これにより、図3に示した実際の加硫工程に基づいて、気体の温度を定義することができるため、シミュレーション精度を高めることができる。気体の温度及び熱伝達率は、コンピュータ1に記憶される。
次に、図5及び図7に示されるように、本実施形態の境界条件定義工程S6では、ドレインモデル28に、ドレインの温度が定義される(工程S63)。本実施形態の工程S63では、ドレインモデル28を構成する各要素J(i)に、ドレインの温度が定義される。ドレインは、水蒸気から液化して溜まるが、液化直後は水蒸気の温度と同一である。このため、ドレインの初期温度は、気体(水蒸気)の温度と同一に設定されるのが望ましい。
また、図3に示した加硫中に蓄えられたドレイン18の測定結果や、気流シミュレーションの結果に基づいて設定されてもよい。ドレインの温度は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の境界条件定義工程S6では、金型モデル21、生タイヤモデル30、及び、ブラダーモデル22の初期温度が定義される(工程S64)。初期温度としては、適宜設定されうる。本実施形態の初期温度としては、例えば、40〜90度に設定される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、生タイヤモデル30の温度を計算する(工程S7)。工程S7では、境界条件定義工程S6で定義された金型の温度、気体の温度及び熱伝達率、並びに、ドレインの温度に基づいて、生タイヤモデル30の温度が計算される。
本実施形態のシミュレーション方法では、金型モデル21、生タイヤモデル30、ブラダーモデル22、及び、ドレインモデル28に、異なる材料特定が定義されている。このため、金型モデル21、生タイヤモデル30、ブラダーモデル22、及び、ドレインモデル28には、異なる熱伝導方程式が適用される。
そして、工程S7では、金型の温度、気体の温度及び熱伝達率、並びに、ドレインの温度に基づいて、金型モデル21、生タイヤモデル30、ブラダーモデル22、及び、ドレインモデル28の熱伝導解析が行われる。工程S7では、金型モデル21の要素F(i)の温度、生タイヤモデル30の要素G(i)の温度、ブラダーモデル22の要素H(i)の温度、及び、ドレインモデル28の要素J(i)の温度が、単位時間T(x)毎に計算される。これらの温度は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態の熱伝導解析は、従来と同様の方法が採用されている。熱伝導解析は、例えば、Dassault Systems社製のAbaqus、LSTC社製のLS-DYNA、又は、MSC社製のNASTRANなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。なお、単位時間Txについては、求められるシミュレーション精度によって、適宜設定することができる。
本実施形態のシミュレーション方法では、生タイヤモデル30の内腔30s内に、ドレインモデル28が配置されている。ドレインモデル28には、図3に示したドレイン18の材料特性及びドレイン18の温度(即ち、気体17の温度と同一か、気体17の温度よりも低い温度)が定義されている。これにより、本実施形態のシミュレーション方法では、実際の加硫工程と同様に、ドレインが存在する部分において、温度上昇が緩やか、かつ、加硫が進みにくい状態を計算することができる。
このように、本実施形態のシミュレーション方法によれば、生タイヤ2Lを実際に加硫しなくても、ドレイン18の影響を考慮して、生タイヤ2Lの温度を計算することができる。
しかも、ドレインモデル28には、ドレイン18の材料特性が定義されているため、例えば、ドレインモデル28にゴムの材料特性が定義された上記特許文献1のシミュレーション方法に比べて、ドレイン18の影響をより正確に考慮することができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、加硫中の生タイヤ2Lの温度を精度良く計算できる。
また、本実施形態のシミュレーション方法では、流動のない固体として定義されたドレインモデル、並びに、気体の温度及び熱伝達率の条件に基づいて、生タイヤモデル30の温度が計算される。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、例えば、ドレイン18や気体17を流体としてモデル化した流体シミュレーションを実施する必要がないため、計算時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態のシミュレーション方法では、ブラダーモデル22の内表面22iが区分された複数の領域41a、41bに、異なる気体の温度及び熱伝達率が設定されるため、より実際の加硫工程に基づいた気体の温度及び熱伝達率を定義することができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、加硫中の生タイヤ2Lの温度をより精度良く計算できる。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、予め定められた加硫終了時間が経過したか否かが判断される(工程S8)。工程S8において、加硫終了時間が経過したと判断された場合(工程S8で、「Y」)、次の工程S9が実施される。他方、加硫終了時間が経過していないと判断された場合(工程S8で、「N」)は、単位時間T(x)を一つ進めて(工程S10)、工程S7及び工程S8が再度実施される。これにより、加硫開始から加硫終了までの間、生タイヤモデル30の温度を計算することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、生タイヤモデル30の温度に基づいて、加硫条件(即ち、金型の温度、又は、気体の温度等の境界条件)が良好か否かを判断する(工程S9)。工程S9では、生タイヤモデル30(図5に示す)の温度から予測される加硫後のタイヤの品質や、生産性に基づいて、良好な加硫条件か否かが判断される。
工程S9において、加硫条件が良好であると判断された場合(工程S9で、「Y」)、シミュレーション方法の一連の処理が終了する。他方、加硫条件が良好でないと判断された場合、加硫条件を変更して(工程S11)、工程S7〜工程S10が再度実施される。これにより、本実施形態のシミュレーション方法は、生タイヤモデル30の温度に基づいて、良好な加硫条件を得ることができる。
本実施形態のシミュレーション方法では、生タイヤモデル30の内腔30s内に、ブラダーモデル22が配置されたものが例示されたが、このような態様に限定されない。図10は、本発明の他の実施形態のシミュレーション方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル及びドレインモデルの一例を示す図である。この実施形態において、前実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態では、生タイヤモデル30の内腔30s内に、ブラダーモデル22(図5に示す)を配置せずに、ドレインモデル28を生タイヤモデル30の内腔30s内に配置してもよい。この場合、ドレインモデル28は、生タイヤモデル30の内腔面30iと接触するように配置される。また、生タイヤモデル30の内腔面30iには、気体の温度及び熱伝達率が直接定義される。
このような加硫方法を再現するシミュレーション方法では、前実施形態と同様に、ドレイン18の影響を考慮して、生タイヤ2Lの温度を計算することができる。なお、この実施形態では、生タイヤモデル30の内腔面30iを複数の領域(図示省略)に区分して、領域毎に異なる気体の温度及び熱伝達率を定義してもよい。
これまでの実施形態では、ドレインモデル28の大きさが、ドレイン18が排出される一定量に基づいて設定されたが、このような態様に限定されない。例えば、コンピュータ1がドレイン18の発生量を予め計算し、その発生量に基づいて、ドレインモデルの大きさが決定されてもよい。図11は、本発明のさらに他の実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態において、前実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態のシミュレーション方法では、ドレインモデルを入力する工程S4に先立ち、コンピュータ1が、ドレインの発生量を計算する(工程S12)。ドレインの発生量は、気流シミュレーションによって計算してもよい。なお、気流シミュレーションは、従来と同様の方法で実施することができる。
この実施形態のドレインモデルを入力する工程S4は、工程S12で計算されたドレインの発生量に基づいて、ドレインモデル28の大きさが決定される。このように、この実施形態のシミュレーション方法では、図3に示した加硫工程で発生するドレイン18の実際の発生量に、ドレインモデル28の大きさを近似させることができる。従って、この実施形態のシミュレーション方法では、ドレイン18の影響をより正確に考慮することができ、加硫中の生タイヤの温度や加硫量を精度良く計算できる。
また、ドレインの発生量が時々刻々と変化する場合は、工程S7において、ドレインモデル28の大きさを変化させてもよい。これにより、ドレイン18の影響をさらに正確に考慮することができる。
次に、本実施形態のタイヤの加硫方法(以下、単に「加硫方法」ということがある。)について説明する。本実施形態の加硫方法では、これまでのシミュレーション方法で求められた生タイヤモデル30の温度に基づいて、金型の温度、又は、気体の温度が制御される。
本実施形態の加硫方法では、図4又は図11に示したシミュレーション方法で得られた良好な加硫条件に基づいて、金型の温度、又は、気体の温度が制御される。金型の温度の制御は、金型11の加熱手段(図示省略)に接続された制御手段(図示省略)によって行われても良いし、オペレータの手動によって行われてもよい。気体の温度の制御も、供給手段(図示省略)に接続された制御手段(図示省略)によって行われても良いし、オペレータの手動によって行われてもよい。
これにより、本実施形態の加硫方法では、ドレインの影響を考慮して、生タイヤ2Lの温度を良好に制御できるため、加硫ムラを防ぐことができる。従って、本実施形態の加硫方法では、タイヤ2の品質、及び、加硫工程の生産性を確実に高めることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3に示した金型及びブラダーを用いて、生タイヤが加硫及び成形された(実験例)。実験例では、図12に示されるゲージ圧と加硫時間との関係を示すグラフに基づいて、ブラダーの内部空間に、気体(水蒸気、窒素)が供給された。なお、加硫開始から5分間は、水蒸気のみが供給された。加硫開始5分以降は、窒素が供給された。
そして、図3に示したトレッド部のセンター部の測定位置51、52、ショルダー部の測定位置53、54、タイヤ最大幅部の測定位置55、56、ビードエーペックス端側の測定位置57、58、及び、ビード部の測定位置59、60において、加硫開始から加硫終了までの温度が測定された。また、実験例では、図3に示したブラダーにおいて、図8に示した第1領域及び第2領域に対応する部分の温度が測定され、図9に示した第1領域及び第2領域について、温度と時間との関係を示すグラフが求められた。
図4に示した処理手順に従って、生タイヤの温度が、コンピュータを用いて計算された(実施例)。実施例では、図5に示した金型モデル、生タイヤモデル、ブラダーモデル及びドレインモデルが用いられた。実施例のドレインモデルには、ドレインの材料特性が設定された。
実施例では、金型モデルに、下記の実験例の金型の温度が設定された。また、実施例の気体の温度として、図8に示したブラダーモデルの第1部分及び第2部分に、図9のグラフの温度が設定された。また、気体の熱伝達率としては、予め実施された気流シミュレーションに基づいて、ブラダーモデルの第1部分及び第2部分に、それぞれ設定された。ドレインモデルの露出する部分には、第2部分の温度が設定された。また、ドレインモデルには、下記のドレインの温度が設定された。そして、金型の温度、気体の温度及び熱伝達率、並びに、ドレインの温度に基づいて、生タイヤモデルの温度が測定された。生タイヤモデルの温度は、図3に示した実験例の測定位置51、52、55及び56に対応する位置において測定された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:9.00R20
金型の加熱温度:155℃
気体の熱伝達:
0〜5分(水蒸気):100W/(m2・K)
5分以降(水蒸気+窒素):80W/(m2・K)
ドレインの材料特性:
熱伝導率:0.661W/(m・K)
密度:1000g/cm3
比熱:4500J/K・g
ドレインの初期温度:200℃
テストの結果を図13及び図14に示す。図13(a)は、実験例のセンター部(測定位置51、52)の温度と加硫時間との関係を示すグラフであり、(b)は、実施例のセンター部の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。図14(a)は、実験例のタイヤ最大幅部(測定位置55、56)の温度と加硫時間との関係を示すグラフであり、(b)は、実施例のタイヤ最大幅部の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。
テストの結果、図13及び図14に示されるように、実施例のタイヤモデルの温度は、実験例のタイヤモデルの温度に近似することが確認できた。図13に示されるように、測定位置51、52の部分では、ドレインモデルが設定されていないため、それらの温度差が小さく計算された。他方、図14に示されるように、実施例のグラフでは、ドレインが蓄積される側の温度(測定位置56)の温度上昇速度が、反対側の温度(測定位置55)に比べて遅く計算された。従って、実施例は、ドレインの影響を考慮して、生タイヤの温度を精度良く計算することができた。
S4 ドレインの材料特性を入力する工程
S53 ドレインモデルを配置する工程
S7 生タイヤモデルの温度を計算する工程

Claims (8)

  1. タイヤの外表面を成形する金型と、水蒸気を含む高圧の気体の供給により前記金型にセットされた生タイヤの内腔内で膨張するとともに、前記水蒸気の一部が内部空間にドレインとして蓄えられるブラダーとを用いて前記生タイヤを加硫する工程での前記生タイヤの温度を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記生タイヤを有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記ドレインを有限個の要素でモデル化したドレインモデルを入力する工程、
    前記ドレインモデルを前記生タイヤモデルの内腔内に配置する工程、
    前記生タイヤモデルの外表面に前記金型の温度を定義する工程、
    前記生タイヤモデルの内腔面に直接又は間接的に、前記気体の温度及び熱伝達率を定義する工程、
    前記ドレインモデルに前記ドレインの材料特性を入力する工程、
    前記ドレインモデルに前記ドレインの温度を定義する工程、並びに、
    前記コンピュータが、前記金型の温度、前記気体の温度、及び、前記ドレインの温度に基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する工程を含むことを特徴とする生タイヤの温度シミュレーション方法。
  2. 前記材料特性は、熱伝導率、密度又は比熱の少なくとも1つを含む請求項1記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  3. 前記コンピュータに、前記ブラダーを有限個の要素でモデル化したブラダーモデルを入力する工程と、
    前記ブラダーモデルを前記生タイヤモデルの内腔内に配置する工程とを含む請求項1又は2記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  4. 前記ドレインモデルを配置する工程は、前記ドレインモデルを、前記ブラダーモデルの内部空間かつその内表面と接触するように配置する請求項3記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  5. 前記気体の温度は、前記ブラダーモデルの前記内表面のうち前記ブラダーモデルの前記内部空間で露出する部分、及び、前記ドレインモデルの外表面のうち前記内部空間で露出する部分に設定される請求項4記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  6. 前記ブラダーモデルの内表面は、複数の領域に区分され、
    前記気体の温度は、前記領域毎に異なる請求項5記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  7. 前記ドレインモデルを入力する工程に先立ち、前記コンピュータが、前記ドレインの発生量を計算する工程を含み、
    前記ドレインモデルを入力する工程は、前記発生量に基づいて、前記ドレインモデルの大きさを決定する請求項1乃至6のいずれかに記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の生タイヤの温度シミュレーション方法で求められた前記生タイヤモデルの温度に基づいて、前記金型の温度、又は、前記気体の温度を制御することを特徴とするタイヤの加硫方法。
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