JP2023085976A - 金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金型と生タイヤとの間の伝熱を短時間で計算することが可能な方法を提供する。【解決手段】 溝又はサイプからなる溝状部を形成するための突起を有する金型と、金型に接触しかつ突起によって溝状部が形成されたトレッドゴムを有する生タイヤとの間での伝熱計算を行うための方法である。この方法は、金型を複数の要素で離散化した金型モデルを定義する工程S1と、少なくともトレッドゴムモデルを含む生タイヤモデルを定義する工程S2と、トレッドゴムモデルの要素に熱伝導率を定義する工程S5と、トレッドゴムモデルと金型モデルとの伝熱を計算する工程S5とを含む。金型モデルは、突起が省略された第1省略部を含み、トレッドゴムモデルは、第1省略部に対応する溝状部が非溝状部とされた第2省略部を含む。熱伝導率を定義する工程は、突起の熱伝導率と、トレッドゴムの熱伝導率とに基づいて、トレッドゴムモデルの熱伝導率を特定する工程を含む。【選択図】図5

Description

本開示は、金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法などに関する。
下記特許文献1には、金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法が記載されている。この方法では、コンピュータを使用して、生タイヤモデルと金型モデルとの接触面での伝熱を計算する工程が実施されている。この生タイヤモデルは、溝の部分を埋める第2部分を含んでおり、この第2部分の要素の熱伝導率が、生タイヤの対応する領域の熱伝導率よりも大きく定義されている。
特許第6871528号公報
上記の方法では、第2部分の熱伝導率を設定するために、第2部分を含む生タイヤモデルと、第2部分を含まない第2タイヤモデルとを用いたシミュレーションが繰り返し行われる。このため、特許文献1の方法は、多くの計算時間が必要であった。
本開示は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、金型と生タイヤとの間の伝熱を短時間で計算することが可能な方法を提供することを主たる目的としている。
本開示は、溝又はサイプからなる溝状部を形成するための突起を有する金型と、前記金型に接触しかつ前記突起によって前記溝状部が形成されたトレッドゴムを有する生タイヤとの間での伝熱計算を、コンピュータを用いて行うための方法であって、前記金型を複数の要素で離散化した金型モデルを、前記コンピュータに定義する工程と、前記生タイヤを複数の要素で離散化して、少なくともトレッドゴムモデルを含む生タイヤモデルを、前記コンピュータに定義する工程と、前記トレッドゴムモデルの前記要素に、予め定められた熱伝導率を定義する工程と、前記コンピュータが、前記熱伝導率に基づいて、前記トレッドゴムモデルと前記金型モデルとの接触面での伝熱を計算する工程とを含み、前記金型モデルは、前記突起の少なくとも一部が省略された第1省略部を含み、前記トレッドゴムモデルは、前記第1省略部に対応する溝状部が非溝状部とされた第2省略部を含み、前記熱伝導率を定義する工程は、前記突起の熱伝導率と、前記トレッドゴムの熱伝導率とに基づいて、前記トレッドゴムモデルの熱伝導率を特定する工程を含む、金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法である。
本開示の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法は、上記の工程を採用することにより、金型と生タイヤとの間の伝熱を短時間で計算することが可能となる。
本実施形態の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法を実行するためのコンピュータを示す斜視図である。 評価対象のタイヤを示す断面図である。 加硫工程中の金型、ブラダー及び生タイヤの部分断面図である。 図3の金型及び生タイヤのA-A断面図である。 本実施形態の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法の処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の伝熱計算方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル、及び、ブラダーモデルを示す図である。 図6の金型モデル及び生タイヤモデル(トレッドゴムモデル)のB-B断面図である。 熱伝導率定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の生タイヤの加硫方法の処理手順を示すフローチャートである。 (a)は、実施例及び実験例のトレッドゴムの温度と加硫時間との関係を示すグラフ、(b)は、実施例及び実験例の外側ベルトの外端位置の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。 (a)は、比較例及び実験例のトレッドゴムの温度と加硫時間との関係を示すグラフ、(b)は、比較例及び実験例の外側ベルトの外端位置の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、開示の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本開示の内容理解のためのものであって、本開示は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
本実施形態の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法(以下、単に「伝熱計算方法」ということがある)では、金型と生タイヤとの間での伝熱計算が、コンピュータを用いて行われる。
[コンピュータ]
図1は、本実施形態の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法を実行するためのコンピュータを示す斜視図である。本実施形態のコンピュータ1は、例えば、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態の伝熱計算方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
[タイヤ]
図2は、評価対象のタイヤ2を示す断面図である。本実施形態のタイヤ2は、例えば、乗用車用の空気入りタイヤとして構成されている。なお、タイヤ2は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや、自動二輪車用タイヤとして構成されていてもよい。本実施形態のタイヤ2は、ゴム部材3と、繊維部材4とを含んで構成されている。
本実施形態のゴム部材3には、例えば、トレッドゴム3a、サイドウォールゴム3b、クリンチゴム3c、ビードエーペックスゴム3d及びインナーライナーゴム3eが含まれる。トレッドゴム3aは、トレッド部2aにおいて、外側ベルト4cのタイヤ半径方向の外側に配されている。サイドウォールゴム3bは、サイドウォール部2bにおいて、カーカス4aのタイヤ軸方向の外側に配されている。クリンチゴム3cは、サイドウォールゴム3bのタイヤ半径方向内側に固定されている。ビードエーペックスゴム3dは、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびている。インナーライナーゴム3eは、カーカス4aの内面に配置されている。
本実施形態の繊維部材4には、例えば、カーカス4a、内側ベルト4b及び外側ベルト4cが含まれる。カーカス4aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に延びている。内側ベルト4b及び外側ベルト4cは、カーカス4aのタイヤ半径方向外側、かつ、トレッドゴム3aの内部に配されている。
本実施形態のトレッドゴム3a(トレッド部2a)の外面2oには、溝状部6が形成されている。溝状部6は、溝7又はサイプ8として構成されている。
本実施形態の溝7は、トレッド部2aをタイヤ周方向に連続して延びる少なくとも1本の周方向溝7Aが含まれている。これにより、本実施形態のトレッド部2aには、周方向溝7Aによって区分された複数の陸部9が形成されている。本実施形態の陸部9には、少なくとも1本、本実施形態では、複数本のサイプ8が設けられている。なお、陸部9には、周方向溝7Aと交わる方向に延びる複数本の横溝(図示省略)が設けられてもよい。
[加硫成形]
本実施形態のタイヤ(加硫後のタイヤ)2は、慣例に従い、未加硫のゴム部材3を含む未加硫のタイヤ(図3に示す)が加硫成形されることによって製造される。ここで、未加硫とは、完全な加硫に至っていない全ての態様を含むもので、いわゆる半加硫の状態は、この「未加硫」に含まれる。図3は、加硫工程中の金型11、ブラダー12及び生タイヤ2Lの部分断面図である。図4は、図3の金型11及び生タイヤ2LのA-A断面図である。
本実施形態の加硫工程では、例えば、タイヤ2(生タイヤ2L)の外面2oを成形するための金型11と、金型11にセットされた生タイヤ2Lの内腔内で膨張するブラダー12とが用いられている。
本実施形態の金型11は、例えば、サイドウォール成形面13sを有する一対のサイドウォール成形型13、13と、トレッド成形面14sを有するトレッド成形型14とを含んで構成されている。トレッド成形型14は、タイヤ周方向に分割されている。これらのサイドウォール成形型13及びトレッド成形型14が嵌め合わされることにより、タイヤ2の外面2oを成形しうる成形面11sが形成される。金型11には、例えば、電気ヒータ等の加熱手段(図示省略)が配置されている。
本実施形態の金型は、突起18を有している。突起18は、生タイヤ2Lのトレッドゴム3aに溝7又はサイプ8からなる溝状部6を形成するためのものである。本実施形態の突起18は、周方向溝7A(溝7)を形成するための第1突起18Aと、サイプ8を形成するための第2突起18B(本例では、ブレード)とを含んで構成されている。
本実施形態のブラダー12は、例えば、膨張可能なゴム状弾性体で構成されている。ブラダー12の内部空間12sには、例えば、図示しない供給手段から高圧流体(図示省略)が供給される。高圧流体には、例えば、水蒸気に、窒素等の不活性気体の少なくとも1つ、又は、複数の不活性気体を混合したものが用いられる。高圧流体の温度は、例えば、約140~220℃に設定される。
加硫工程では、金型11とブラダー12との間で、生タイヤ2Lが加熱及び加圧され、加硫成形されたタイヤ2(図2に示す)が製造される。生タイヤ2Lのトレッドゴム3aの外面2oは、金型11に接触し、金型11に設けられた突起18によって、溝状部6(本例では、周方向溝7A及びサイプ8)が形成される。
ところで、加硫工程において、生タイヤ2Lの溝状部6が形成される部分は、金型11の突起18が内部に食い込んでいるため、溝状部6が形成されない部分に比べて、金型11の熱が伝わりやすく、温度が高くなりやすい。従って、金型11と、生タイヤ2Lとの間での伝熱計算を、コンピュータ1(図1に示す)を用いて行うには、金型11の突起18及び生タイヤ2Lの溝状部6による熱の伝わりやすさを考慮することが重要である。
[金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法(第1実施形態)]
次に、本実施形態の伝熱計算方法が説明される。図5は、本実施形態の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態の伝熱計算方法では、先ず、金型11(図3に示す)を複数の要素で離散化した金型モデルが、コンピュータ1(図1に示す)に定義される(工程S1)。図6は、本実施形態の伝熱計算方法で利用される金型モデル21、生タイヤモデル32、及び、ブラダーモデル22を示す図である。図6において、生タイヤモデル32は、金型モデル21及びブラダーモデル22と区別しやすいように色を付けされている。
本実施形態の工程S1では、図6に示されるように、金型11(図3に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、金型11が、数値解析法により取り扱い可能な複数(有限個)の要素F(i)(i=1、2、…)で離散化(モデリング)される。これにより、金型モデル21が設定される。金型モデル21には、生タイヤモデル32を配置するための内部空間21iが形成されている。本実施形態の金型モデル21は、三次元モデルとして設定されている。なお、金型モデル21は、二次元モデルとして設定されてもよい。
数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できる。本実施形態では、有限要素法が採用される。各要素F(i)としては、例えば、4面体ソリッド要素等を採用できる。なお、二次元モデルである場合は、四辺形要素等を採用できる。
各要素F(i)には、複数個の節点34が設けられる。各要素F(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、金型11(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。このような金型モデル21は、例えば、市販のメッシュ化ソフトウェアを用いることにより、容易に設定(モデリング)できる。
本実施形態の金型モデル21は、一対のサイドウォール成形型13、13(図3に示す)をモデル化した一対の第1成形型モデル23、23、及び、トレッド成形型14(図3に示す)をモデル化した第2成形型モデル24を含んでいる。第1成形型モデル23、及び、第2成形型モデル24が一体に組み合わされることにより、生タイヤモデル32の外面32oを成形するための成形面21sが形成される。
本実施形態の金型モデル21には、突起18(図3に示す)をモデル化した突起部分28が定義されている。突起部分28は、図3に示した生タイヤ2Lの周方向溝7Aを形成するための第1突起18Aをモデル化したものである。この突起部分28は、第2成形型モデル24の成形面21sに定義されている。
図7は、図6の金型モデル21及び生タイヤモデル32(トレッドゴムモデル33)のB-B断面図である。図7では、金型モデル21及び生タイヤモデル32が分解して示されており、図6に示した要素F(i)及び要素G(i)が省略されている。
本実施形態の金型モデル21には、突起18(図3に示す)の少なくとも一部が省略された第1省略部31を含んで定義されている。本実施形態の第1省略部31は、図3に示した生タイヤ2Lのサイプ8を形成するための第2突起18Bが取り除かれたものである。この第1省略部31は、第2成形型モデル24の成形面21sに定義(本例では、成形面21sと連続する面となるように設定)されている。
このように、本実施形態の工程S1では、図3に示した突起18の一部(本実施形態では、第1突起18Aよりも形状が複雑な第2突起18B)が取り除かれた第1省略部31により、金型モデル21を簡略化して定義することができる。したがって、本実施形態では、金型モデル21を短時間で定義することができる。金型モデル21は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[生タイヤモデル(トレッドゴムモデル)を定義]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、図6に示されるように、生タイヤ2L(図3に示す)を複数の要素で離散化した生タイヤモデル32(トレッドゴムモデル33)が、コンピュータ1(図1に示す)に定義される(工程S2)。本実施形態の生タイヤモデル32は、少なくともトレッドゴムモデル33が含まれていれば、他のモデル(例えば、サイドウォールゴムモデル39等)が省略されてもよい。本実施形態の生タイヤモデル32には、トレッドゴムモデル33だけでなく、他のモデルが含まれている。
本実施形態では、例えば、金型11(図3に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、生タイヤ2L(図3に示す)が、数値解析法により取り扱い可能な複数(有限個)の要素G(i)(i=1、2、…)で離散化(モデル化)される。これにより、トレッドゴムモデル33を含む生タイヤモデル32が設定される。
本実施形態の生タイヤモデル32は、三次元モデルとして設定されている。なお、生タイヤモデル32は、金型モデル21が二次元モデルとして定義される場合、二次元モデルとして設定されてもよい。
要素G(i)としては、金型モデル21の要素F(i)と同様のものが採用される。各要素G(i)は、複数個の節点37を含んで構成されている。各要素F(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、生タイヤ2L(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。
本実施形態の生タイヤモデル32には、生タイヤ2Lのトレッドゴム3a(図3に示す)をモデリングしたトレッドゴムモデル33が含まれている。本実施形態のトレッドゴムモデル33には、生タイヤ2Lの溝状部6(図3に示す)をモデル化した溝部分35が定義されている。本実施形態の溝部分35は、周方向溝7A(図3に示す)をモデル化したものである。
図7に示されるように、本実施形態のトレッドゴムモデル33は、第1省略部31に対応する溝状部6が非溝状部とされた第2省略部36を含んでいる。本実施形態の第2省略部36は、金型11の第2突起18Bに対応するサイプ8(図3及び図4に示す)を埋めたもの(非溝状部)である。本実施形態の第2省略部36は、トレッドゴムモデル33の外面32oに定義(本例では、外面32oと連続する面となるように設定)されている。このような第2省略部36により、生タイヤモデル32が簡略化して定義されうるため、生タイヤモデル32を短時間で定義することができる。
図6に示されるように、本実施形態において、生タイヤモデル32の外面32oの輪郭は、金型モデル21の成形面21sの輪郭に一致している。生タイヤモデル32の外面32oと、金型モデル21の成形面21sとの間において、生タイヤモデル32の要素G(i)と金型モデル21の要素F(i)とは、節点34、37を共有させていない。これにより、生タイヤモデル32の外面32oと、金型モデル21の成形面21sとの間には、任意の境界条件を設定することができる。生タイヤモデル32は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[ブラダーモデルを入力]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、コンピュータ1(図1に示す)に、ブラダーモデル22が定義される(工程S3)。本実施形態では、例えば、図3に示した金型11やブラダー12の設計データ(例えば、CADデータ)等に基づいて、ブラダー12が、数値解析法により取り扱い可能な複数(有限個)の要素H(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、ブラダーモデル22が設定される。本実施形態のブラダーモデル22は、三次元モデルとして設定される。なお、ブラダーモデル22は、金型モデル21及び生タイヤモデル32が二次元モデルとして定義される場合、二次元モデルとして設定されてもよい。
要素H(i)としては、金型モデル21の要素F(i)や、生タイヤモデル32の要素G(i)と同様のものが採用される。各要素H(i)は、複数の節点38を含んで構成されている。各要素H(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、ブラダー12(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱又は熱膨張係数等)などの数値データが定義される。ブラダーモデル22は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[未加硫のタイヤモデル及びブラダーモデルの配置]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、金型モデル21の内部空間21iに、生タイヤモデル32及びブラダーモデル22を配置する(工程S4)。本実施形態の工程S4では、例えば、上記特許文献1の配置工程と同様の手順に基づいて、金型モデル21の内部空間21iに、生タイヤモデル32及びブラダーモデル22が配置されうる。
[トレッドゴムモデルの熱伝導率を定義]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、トレッドゴムモデル33の要素G(i)に、予め定められた熱伝導率が定義される(熱伝導率定義工程S5)。本実施形態の熱伝導率は、後述の伝熱を計算する工程S7において、トレッドゴムモデル33と金型モデル21との接触面での伝熱を計算するためのものである。図8は、熱伝導率定義工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
[トレッドゴムモデルの熱伝導率を特定]
本実施形態の熱伝導率定義工程S5では、先ず、図6及び図7に示したトレッドゴムモデル33の熱伝導率が特定される(工程S51)。
本実施形態の伝熱計算では、図7に示した突起18(第2突起18B)を省略した第1省略部31を含む金型モデル21と、第1省略部31に対応する溝状部6(サイプ8)が非溝状部とされた第2省略部36を含むトレッドゴムモデル33とが用いられる。このため、例えば、図3に示したトレッドゴム3aの熱伝導率に基づいて、金型モデル21とトレッドゴムモデル33との伝熱を計算した場合、金型11の突起18及び生タイヤ2Lの溝状部6による熱の伝わりやすさを考慮することは困難である。
本実施形態の工程S51では、突起18(図3に示す)の熱伝導率と、トレッドゴム3a(図3に示す)の熱伝導率とに基づいて、トレッドゴムモデル33(図6及び図7に示す)の熱伝導率が特定される。これにより、本実施形態の工程S51では、後述の伝熱計算において、突起18及び溝状部6による熱の伝わりやすさを考慮することが可能となる。なお、突起18及びトレッドゴム3aの熱伝導率等は、例えば、従来の手順に基づいて適宜取得されうる。
トレッドゴムモデル33の熱伝導率は、突起18(図3に示す)の熱伝導率と、トレッドゴム3a(図3に示す)の熱伝導率とに基づいて特定されれば、特に限定されない。本実施形態では、トレッドゴムモデル33の熱伝導率を特定可能な計算式が用いられている。以下、計算式の導出過程が説明される。
一般に、物体の熱抵抗は、物体の厚さを、物体の熱伝導率で除することで求めることができるため、トレッドゴム3aの熱抵抗Rnewは、下記式(3)で特定することができる。なお、本実施形態の熱抵抗Rnewは、例えば、予め定められた1ピッチあたりの熱抵抗である場合が例示されている。1ピッチは、特に限定されるわけではなく、例えば、トレッドパターンを構成する複数の模様構成単位に基づいて(例えば、任意の模様構成単位を1ピッチとして)特定されうる。
Figure 2023085976000002
ここで、
λnew:トレッドゴム3aの熱伝導率
p:1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さ
B:トレッドゴム3aのタイヤ半径方向の深さ
上記式(3)において、熱伝導率λnewに、1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さp(図4に示す)が乗じられることで、1ピッチあたりの熱伝導率λnewpが求められる。そして、トレッドゴム3aの深さBが、1ピッチあたりの熱伝導率λnewpで除されることにより、1ピッチあたりのトレッドゴム3a(図4に示す)の熱抵抗Rnewが計算される。
本実施形態のように、図4に示した金型11の突起18(第2突起18B)によって、溝状部6(サイプ8)が形成される場合、上記式(3)のトレッドゴム3aの熱伝導率λnewは、突起18の熱伝導率と、トレッドゴム3aの熱伝導率とを考慮する必要がある。本実施形態の工程S51では、この熱伝導率λnewが特定される。
ここで、トレッドゴム3aは、トレッドゴム3aの外面(踏面)2oから溝状部6のタイヤ半径方向の内端6iまでの第1領域51と、溝状部6の内端6iからトレッドゴム3aの内端20までの第2領域52とに区分することができる。このため、トレッドゴム3aの熱抵抗Rnewは、下記式(4)に示されるように、第1領域51の熱抵抗Rdと、第2領域52の熱抵抗Rd~Bとを足し合わせることで求められる。なお、本実施形態の熱抵抗Rd及び熱抵抗Rd~Bは、熱抵抗Rnewと同様に、例えば、予め定められた1ピッチあたりの熱抵抗である場合が例示されている。
Figure 2023085976000003
第1領域51の熱抵抗Rdは、下記式(5)で表すことができる。
Figure 2023085976000004

ここで、
λR:トレッドゴム3aの熱伝導率
λM:突起18の熱伝導率
p:1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さ
N:1ピッチあたりの突起18の総数
t:突起18のタイヤ周方向の厚さ
d:突起18のタイヤ半径方向の深さ
上記式(5)において、突起18(本例では、第2突起18B)のタイヤ周方向の厚さ(長さ)tに、1ピッチあたりの突起18の総数Nが乗じられることで、1ピッチあたりの突起18の厚さ(長さ)の合計値Ntが求められる。この合計値Ntに、突起18の熱伝導率λMが乗じられることで、1ピッチあたりの突起18の熱伝導率(すなわち、λMNt)が求められる。
上記式(4)において、1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さpから、1ピッチあたりの突起18の厚さ(長さ)の合計値Ntを減じることにより、1ピッチあたりのトレッドゴム3aのタイヤ周方向長さの合計値p-Ntが求められる。この合計値(1-Nt)に、トレッドゴム3aの熱伝導率λRが乗じられることで、1ピッチあたりのトレッドゴム3aの熱伝導率(すなわち、λR(1-Nt))が求められる。
これらの熱伝導率λMNt及びλR(1-Nt)が足し合わされることにより、第1領域51の1ピッチあたり熱伝導率が求められる。この熱伝導率で、溝状部6のタイヤ半径方向の深さ(突起18のタイヤ半径方向の深さ)dを除することにより、第1領域51の1ピッチあたりの熱抵抗Rdが求められる。
次に、第2領域52の熱抵抗Rd~Bは、例えば、以下の式(6)で表すことができる。
Figure 2023085976000005
ここで、
λR:トレッドゴム3aの熱伝導率
p:1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さ
d:突起18のタイヤ半径方向の深さ
B:トレッドゴム3aのタイヤ半径方向の深さ
上記式(6)において、トレッドゴム3aのタイヤ半径方向の深さBを、突起18(本例では、第2突起18B)のタイヤ半径方向の深さdで減じることにより、第2領域52(溝状部6の内端6iからトレッドゴム3aの内端20まで)の深さB-dが求められる。トレッドゴム3aの熱伝導率λRに、1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さpが乗じられることで、第2領域52の1ピッチあたりのトレッドゴム3aの熱伝導率λRpが求められる。この熱伝導率λRpで、深さB-dが除されることにより、第2領域52の1ピッチあたりの熱抵抗Rd~Bが計算される。
そして、上記式(3)のトレッドゴムモデル33の熱抵抗Rnew、上記式(5)の第1領域51の熱抵抗Rd、及び、上記式(6)の第2領域52の熱抵抗Rd~Bが、上記式(4)に代入される。そして、熱伝導率λnewについて解くことで、下記式(1)が求められる。
Figure 2023085976000006

λnew:トレッドゴムモデル33の熱伝導率
λR:トレッドゴム3aの熱伝導率
λM:突起18の熱伝導率
p:1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さ
N:1ピッチあたりの突起18の総数
t:突起18のタイヤ周方向の厚さ
d:突起18のタイヤ半径方向の深さ
B:トレッドゴム3aのタイヤ半径方向の深さ
上記式(1)では、トレッドゴム3aの熱伝導率λRと突起18の熱伝導率λMとの比λR/λM、1ピッチあたりの突起18のタイヤ周方向の割合Nt/p、及び、1ピッチあたりのトレッドゴム3aのタイヤ周方向の割合(1-Nt/p)が用いられる。さらに、トレッドゴム3aの深さBに対する第1領域51の深さ(突起18の深さ)dの割合d/B、及び、トレッドゴム3aの深さBに対する第2領域52の深さB-dの割合(1-d/B)が用いられている。
上記式(1)では、突起18の熱伝導率λMとトレッドゴム3aの熱伝導率λRとを含む上記パラメータが代入されることで、突起18及び溝状部6による熱の伝わりやすさを考慮することが可能なトレッドゴムモデル33の熱伝導率λnewが容易に特定される。トレッドゴムモデル33の熱伝導率λnewは、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[トレッドゴムモデルの熱伝導率を定義]
次に、本実施形態の熱伝導率定義工程S5では、特定されたトレッドゴムモデル33の熱伝導率λnewが、図6に示したトレッドゴムモデル33の各要素G(i)に定義される(工程S52)。工程S52では、トレッドゴムモデル33の全ての要素G(i)に設定される熱伝導率が、工程S51で特定されたトレッドゴムモデル33の熱伝導率λnewに更新される。更新された熱伝導率λnewは、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[境界条件の定義]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、コンピュータ1(図1に示す)に、生タイヤモデル32、金型モデル21及びブラダーモデル22の伝熱を計算するための境界条件が定義される(工程S6)。本実施形態の境界条件には、例えば、金型モデル21、生タイヤモデル32及びブラダーモデル22の初期温度、並びに、金型モデル21及びブラダーモデル22の加硫工程時の温度条件が含まれる。本実施形態の温度条件には、加熱過程及び冷却過程において、図3に示した金型11及びブラダー12の時系列の温度が含まれる。これらの境界条件は、例えば、上記特許文献1の境界条件定義工程と同様の手順に基づいて定義されうる。これらの境界条件は、コンピュータ1(図1に示す)に入力される。
[伝熱を計算]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、トレッドゴムモデル33と金型モデル21との接触面40での伝熱を計算する(工程S7)。本実施形態の工程S7では、金型モデル21の初期温度及び温度条件に基づいて、温度が上昇した金型モデル21が計算される。これにより、工程S7では、生タイヤモデル32(トレッドゴムモデル33)と金型モデル21との接触面40での伝熱が計算される。
さらに、本実施形態の工程S7では、ブラダーモデル22の初期温度及び温度条件に基づいて、温度が上昇したブラダーモデル22が計算される。これにより、工程S7では、生タイヤモデル32とブラダーモデル22との接触面42での伝熱が計算される。
このように、本実施形態の工程S7では、金型モデル21の温度及びブラダーモデル22の温度に基づいて、温度が上昇した生タイヤモデル32を計算することができる。これにより、本実施形態の工程S7では、図3に示した実際の加硫工程と同様に、加硫成形中(本例では、加熱過程及び冷却過程)に時々刻々と変化するゴム部材3(トレッドゴムモデル33)の温度を計算することができる。
本実施形態の工程S7では、上記特許文献1と同様に、予め定められた伝熱計算時間が経過するまでの間、シミュレーションの単位ステップ毎に、熱解析(伝熱計算)が行われる。熱解析は、例えば、Dassault Systems社製のAbaqus、LSTC社製のLS-DYNA、又は、MSC社製のNASTRANなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。
本実施形態では、図7に示されるように、第1省略部31を含む金型モデル21、及び、第2省略部36を含むトレッドゴムモデル33が用いられている。このため、例えば、第1省略部31を含まない金型モデル(図示省略)、及び、第2省略部36を含まないトレッドゴムモデル(図示省略)が用いられる場合に比べて、金型モデル21とトレッドゴムモデル33との接触面40での伝熱計算を簡素化できる。したがって、本実施形態では、計算時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態のトレッドゴムモデル33の熱伝導率は、突起18(図3に示す)の熱伝導率と、トレッドゴム3a(図3に示す)の熱伝導率とに基づいて定義されている。このため、本実施形態では、突起18及び溝状部6による熱の伝わりやすさを考慮した伝熱計算が可能となる。これにより、本実施形態では、例えば、特許文献1のように、第2省略部36の熱伝導率を設定するために、第2省略部36を含む生タイヤモデルと、第2省略部36を含まない第2タイヤモデル(図示省略)とを用いたシミュレーションが繰り返し行う必要がない。したがって、本実施形態では、金型11と生タイヤ2Lとの間の伝熱を短時間で計算することが可能となる。
さらに、本実施形態では、突起18及び溝状部6の寸法等を含むパラメータを用いた上記式(1)に基づいて、トレッドゴムモデル33の熱伝導率が定義されている。このため、本実施形態では、突起18及び溝状部6による熱の伝わりやすさを考慮した伝熱計算を、容易かつ高い精度で実施することが可能となる。
金型11(図3に示す)からの熱は、トレッドゴム3a(図3に示す)の厚さ方向の外側から内側に向って伝わっていくと考えられる。このため、工程S7では、トレッドゴムモデル33の厚さ方向の伝熱のみが計算されてもよい。これにより、厚さ方向とは異なる方向での伝熱計算が省略されるため、計算時間が短縮される。なお、厚さ方向は、トレッドゴムモデル33の外面32oの任意の位置において、その外面32oと直交する方向(タイヤ半径方向)として特定される。
本実施形態の工程S7では、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量が計算されるのが望ましい。このような物理量は、生タイヤ2Lの加硫状態の評価に用いられる。物理量は、生タイヤ2Lの加硫状態に関するものであれば、特に限定されない。本実施形態の物理量には、生タイヤ2Lの温度、等価加硫量、及び、加硫度の少なくとも一つが含まれる。
生タイヤの温度は、トレッドゴムモデル33(生タイヤモデル32)を構成する要素G(i)の節点37において、シミュレーションの単位ステップ毎に計算される。これにより、本実施形態の工程S7では、トレッドゴムモデル33(生タイヤモデル32)の時系列の温度データが取得される。
等価加硫量ECUは、例えば、生タイヤモデル32の温度(時系列の温度データ)と、特許文献1の式(2)とに基づいて計算することができる。加硫度は、未加硫の状態から加硫が進んだ割合を示すためのものであり、例えば、特許文献1の式(3)を用いて求められる。これらの物理量は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[物理量を出力]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量を出力する(工程S8)。物理量の出力形式は、特に限定されない。本実施形態の物理量は、コンピュータ1のディスプレイ装置1dや、プリンタ等の出力装置に出力される。本実施形態では、生タイヤ2Lの温度、等価加硫量、及び、加硫度が出力されるが、いずれか1つが出力されてもよい。
[物理量を評価]
次に、本実施形態の伝熱計算方法では、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量に基づいて、生タイヤ2Lの加硫状態が評価される(工程S9)。本実施形態の評価は、コンピュータ1(図1に示す)によって行われているが、オペレータによって行われてもよい。
加硫状態の評価は、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量に基づいて適宜実施されうる。本実施形態では、生タイヤ2Lの温度、等価加硫量、及び、加硫度に対して設定される予め定められた閾値に基づいて、加硫状態の良否が評価される。
工程S9において、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態が良好であると判断された場合(工程S9で「Yes」)、例えば、生タイヤ2Lの加硫条件や設計因子等に基づいて、タイヤ2(図2に示す)が製造される(工程S10)。
一方、工程S9において、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態が良好でないと判断された場合(工程S9で「No」)、生タイヤ2Lの加硫条件や設計因子等が変更されて(工程S11)、工程S1~工程S9が再度実施される。
このように、本実施形態の伝熱計算方法では、コンピュータ1(図1に示す)を用いたシミュレーションにより、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量を確認することができる。さらに、本実施形態の伝熱計算方法では、出力された物理量に基づいて、生タイヤ2Lの加硫状態を評価することができる。そして、本実施形態の伝熱計算方法では、加硫状態が良好でないと評価された場合に、出力された物理量に基づいて、生タイヤ2Lの加硫条件や設計因子等を変更することができる。これにより、本実施形態の伝熱計算方法では、生タイヤ2Lを良好な状態で加硫したタイヤ2を設計及び製造することが可能となる。
[金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法(第2実施形態)]
[トレッドゴムモデルの熱伝導率を特定]
これまでの実施形態では、図6に示したトレッドゴムモデル33の要素G(i)に、上記式(1)で特定された熱伝導率が定義されたが、このような態様に限定されない。例えば、図4に示されるように、突起18の体積に比べて、トレッドゴム3aの体積が大部分を占める場合には、上記式(1)を簡略化した数式が用いられてもよい。この実施形態では、下記式(2)に基づいて、熱伝導率が特定される。
Figure 2023085976000007
ここで、
λnew:熱伝導率
λR:トレッドゴムの熱伝導率
d:突起18のタイヤ半径方向の深さ
B:トレッドゴム3aのタイヤ半径方向の深さ
上記式(2)は、上記式(1)のトレッドゴム3aの熱伝導率λRと突起の熱伝導率λMとの比λR/λMがゼロに近似するとみなして、上記式(1)を簡略化したものである。このような上記式(2)は、トレッドゴムモデル33の熱伝導率を容易に定義することが可能となる。
なお、突起18の体積が大きい場合には、突起18の熱伝導率λMの影響が大きくなるため、上記式(2)を用いると、金型11と生タイヤ2Lとの間の伝熱を、精度よく計算することが困難となる。したがって、熱伝導率定義工程S5では、トレッドゴム3aの体積が、突起18の体積の70%以上である場合に、上記式(2)に基づいて、トレッドゴムモデル33の熱伝導率が特定されるのが好ましい。これにより、金型11と生タイヤ2Lとの間の伝熱の計算精度を維持しつつ、トレッドゴムモデル33の熱伝導率を容易に定義することができる。
[金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法(第3実施形態)]
これまでの実施形態では、図7に示されるように、金型11の第2突起18Bが取り除かれた第1省略部31を含む金型モデル21、及び、サイプ8が埋められた第2省略部36を含む生タイヤモデル32が定義されたが、このような態様に限定されない。例えば、図3に示した金型11の第1突起18A及び第2突起18Bの双方が取り除かれた第1省略部を含む金型モデル(図示省略)や、図2に示した周方向溝7A及びサイプ8の双方が埋められた第2省略部を含む生タイヤモデル(図示省略)が定義されてもよい。この場合、熱伝導率定義工程S5では、第1突起18A及び第2突起28Bの熱伝導率と、トレッドゴム3aの熱伝導率とに基づいて、トレッドゴムモデル33の熱伝導率が特定される。
この実施形態では、図6及び図7に示した金型モデル21及び生タイヤモデル32をより簡略化できるため、金型モデル21及び生タイヤモデル32を短時間で定義することができる。さらに、この実施形態では、金型モデル21と生タイヤモデル32との接触面40(図6に示す)での伝熱計算を、より簡素化することができるため、計算時間を短縮することができる。
[生タイヤの加硫方法]
これまでの実施形態の伝熱計算方法に基づいて計算される生タイヤの加硫状態に関する物理量は、生タイヤの加硫方法(以下、単に「加硫方法」ということがある。)に用いられてもよい。本実施形態の加硫方法には、コンピュータ1(図1に示す)が用いられる。
本実施形態の加硫方法では、これまでの実施形態の伝熱計算方法で取得される生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量を目的関数とし、生タイヤ2Lの加硫条件を設計因子として、目的関数を最適化する設計因子の最適解が求められる。そして、その最適解に基づいて、生タイヤ2Lが加硫される。加硫条件には、例えば、金型11(図3に示す)の設定温度や、設定温度毎の加硫時間等が含まれる。
設計因子の最適解は、コンピュータ1(図1に示す)を用いた最適化アルゴリズムに基づいて求められる。最適化アルゴリズムは、一定の制約条件のもとで、任意の目的関数を満足する最適な設計因子(例えば、上記パラメータ)を決定するためのものである。最適化アルゴリズムの一例としては、遺伝的アルゴリズム(GA(Genetic Algorithm))、及び、粒子群最適化(PSO(Particle Swarm Optimization))等が挙げられる。このような最適化アルゴリズムは、局所解に陥るのを防ぎつつ、広域最適解を探すのに適している。本実施形態の計算方法では、計算時間が比較的短い粒子群最適化(PSO)が採用されるが、遺伝子的アルゴリズム(GA)等が採用されてもよい。
粒子群最適化(PSO)では、複数の初期の条件(第1世代)を作成し、各条件の目的関数をそれぞれ求め、最も好ましい目的関数に近づくように各条件を更新(世代交代)することで最適化が行われる。各条件の更新には、乱数が用いられることにより、最適な条件が広域的に探索される。粒子群最適化(PSO)の詳細は、例えば、IEICE FundamentalsReview(電子情報通信学会) Vol.5 No.2、2011年8月「粒子群最適化と非線形システム」等の様々な文献等に記載されている。
[制約条件を入力]
図9は、本実施形態の生タイヤの加硫方法の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態の加硫方法では、先ず、コンピュータ1(図1に示す)に、予め定めされた制約条件が入力される(工程S21)。制約条件は、生タイヤ2L(図3に示す)を加硫する上で、必ず満たすべき条件(設計基準)である。本実施形態の制約条件には、金型11(図3に示す)の設定温度の範囲や、設定温度毎の加硫時間の範囲等が含まれる。このような制約条件は、例えば、生タイヤ2Lの仕様や構造等に応じて、適宜設定される。制約条件は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[生タイヤの加硫条件を入力]
次に、本実施形態の加硫方法では、コンピュータ1(図1に示す)に、生タイヤ2L(図3に示す)の予め定められた加硫条件(加硫条件の初期値)が入力される(工程S22)。加硫条件の初期値は、第1世代の設計因子として入力される。
本実施形態の加硫条件の初期値には、金型11(図3に示す)の設定温度、及び、設定温度毎の加硫時間が入力される。これらの設定温度及び加硫時間は、それぞれの制約条件の範囲内で決定される。
本実施形態では、金型11(図3に示す)の設定温度、及び、設定温度毎の加硫時間を含む加硫条件が、複数設定される。これらの加硫条件は、設定温度及び加硫時間の少なくとも一部が互いに異なっている。加硫条件の初期値は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[生タイヤの加硫状態に関する物理量を取得]
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、加硫条件に基づいて、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量を計算する(工程S23)。本実施形態の物理量は、これまでの実施形態の伝熱計算方法の処理手順に基づいて取得される。
本実施形態の工程S23では、先ず、加硫条件の初期値ごとに、図6及び図7に示したトレッドゴムモデル33と金型モデル21との接触面での伝熱が計算される。伝熱計算に用いられるトレッドゴムモデル33の熱伝導率は、図3に示した突起18の熱伝導率と、トレッドゴム3aの熱伝導率とに基づいて特定されている。
次に、本実施形態の工程S23では、図6に示したトレッドゴムモデル33と金型モデル21との接触面での伝熱計算に基づいて、生タイヤの加硫状態に関する物理量が計算される。物理量は、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関するものであれば、特に限定されない。本実施形態の物理量には、生タイヤ2Lの温度、等価加硫量、及び、加硫度の少なくとも一つが含まれる。これらの物理量は、上述の手順で取得されうる。
本実施形態の工程S23では、複数の加硫条件ごとに、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量(生タイヤ2Lの温度、等価加硫量、及び、加硫度)が計算される。これらの物理量は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[目的関数を判断]
次に、本実施形態の加硫方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、目的関数を満足しているか否かを判断する(工程S24)。本実施形態の目的関数には、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量が設定される。
本実施形態の工程S24では、先ず、複数の加硫条件のうち、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量が最も良好な加硫条件が選択される。そして、選択された加硫条件について、生タイヤ2Lの加硫状態に関する物理量が、予め定められた閾値を満たしている場合に、目的関数を満足していると判断される。閾値は、例えば、過加硫に伴う物性への悪影響の度合い等に基づいて、適宜設定される。
そして、目的関数を満足していると判断された場合(工程S24で「Yes」)、選択された加硫条件が、設計因子の最適解として決定される(工程S25)。そして、最適解として決定された加硫条件に基づいて、生タイヤ2L(図3に示す)が加硫される(工程S26)。
一方、目的関数を満足していないと判断された場合(工程S24において「No」)、最適化アルゴリズムに基づいて、設計因子(加硫条件)が更新され(工程S27)、工程S23~工程S24が再度実施される。
[設計因子を更新]
本実施形態の設計因子を更新する工程S27では、コンピュータ1(図1に示す)が、最適化アルゴリズムに基づいて、設計因子(加硫条件)を更新する。本実施形態の工程S27では、例えば、複数の加硫条件のうち、工程S24で選択された(すなわち、目的関数が最も良好な)加硫条件を除いて、その他の加硫条件が更新(世代交代)される。このような設計因子の更新(世代交代)は、粒子群最適化(PSO)に基づいて、上記論文等を参考に適宜実施することができる。更新された設計因子は、コンピュータ1に記憶される。
設計因子が更新された後は、目的関数が最も良好な加硫条件と、その他の加硫条件とに基づいて、工程S23~工程S24が再度実施される。したがって、本実施形態の加硫方法では、目的関数を満足する設計因子の最適解(本例では、加硫条件)に基づいて、生タイヤ2L(図3に示す)を加硫することができる。
本実施形態の設計方法では、生タイヤ2L(図3に示す)の加硫状態に関する物理量の計算に、これまでの実施形態の伝熱計算方法が用いられるため、各加硫条件の物理量を短時間で計算することができる。したがって、本実施形態の設計方法では、目的関数を満足する設計因子の最適解を短時間で求めることが可能となる。
以上、本開示の特に好ましい実施形態について詳述したが、本開示は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2及び図3に示した金型と生タイヤとの間の伝熱計算が実施された(実施例、比較例及び従来例)。実施例、比較例及び従来例では、金型モデル、生タイヤモデル及びブラダーモデルが定義された。金型モデルには、突起(第2突起)が省略された第1省略部を含むように定義された。トレッドゴムモデルは、第1省略部に対応する溝状部(サイプ)が非溝状部とされた第2省略部を含むように定義された。
次に、実施例、比較例及び従来例では、金型モデルの内部空間に、生タイヤモデル及びブラダーモデルが配置され、トレッドゴムモデルと金型モデルとの接触面での伝熱が計算された。そして、生タイヤの加硫状態に関する物理量として、トレッドゴムの温度、及び、外側ベルトのタイヤ軸方向の外端位置の温度が計算された。
実施例では、図8に示した処理手順にしたがい、突起の熱伝導率と、トレッドゴムの熱伝導率とに基づいて、トレッドゴムモデルの熱伝導率が特定された。熱伝導率の特定には、上記式(1)が用いられた。特定された熱伝導率は、トレッドゴムモデルの要素に定義された。
比較例では、トレッドゴムの熱伝導率が、トレッドゴムモデルの要素に定義された。従来例では、上記特許文献1の手順に基づいて、第2省略部を含む生タイヤモデルと、第2省略部を含まない第2タイヤモデルとを用いたシミュレーションが繰り返し行われて、トレッドゴムモデルの熱伝導率が特定された。
また、図2及び図3に示した金型と生タイヤとを用いて加硫工程が実施された(実験例)。そして、トレッドゴムの温度、及び、外側ベルトのタイヤ軸方向の外端位置の温度が計算された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:205/75R17.5
突起の深さd:2.0mm
トレッドゴムの深さB:10.5mm
図10(a)は、実施例及び実験例のトレッドゴムの温度と加硫時間との関係を示すグラフである。図10(b)は、実施例及び実験例の外側ベルトの外端位置の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。図11(a)は、比較例及び実験例のトレッドゴムの温度と加硫時間との関係を示すグラフである。図11(b)は、比較例及び実験例の外側ベルトの外端位置の温度と加硫時間との関係を示すグラフである。
テストの結果、実施例及び従来例は、比較例に比べて、実験例に近似する温度を計算することができた。また、実施例は、従来例とは異なり、第2省略部を含む生タイヤモデルと、第2省略部を含まない第2タイヤモデルとを用いたシミュレーションが繰り返し行う必要がないため、従来例に比べて、計算時間を50%短縮することができた。したがって、実施例は、金型と生タイヤとの間の伝熱を短時間かつ高い精度で計算することができた。
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
[本開示1]
溝又はサイプからなる溝状部を形成するための突起を有する金型と、前記金型に接触しかつ前記突起によって前記溝状部が形成されたトレッドゴムを有する生タイヤとの間での伝熱計算を、コンピュータを用いて行うための方法であって、
前記金型を複数の要素で離散化した金型モデルを、前記コンピュータに定義する工程と、
前記生タイヤを複数の要素で離散化して、少なくともトレッドゴムモデルを含む生タイヤモデルを、前記コンピュータに定義する工程と、
前記トレッドゴムモデルの前記要素に、予め定められた熱伝導率を定義する工程と、
前記コンピュータが、前記熱伝導率に基づいて、前記トレッドゴムモデルと前記金型モデルとの接触面での伝熱を計算する工程とを含み、
前記金型モデルは、前記突起の少なくとも一部が省略された第1省略部を含み、
前記トレッドゴムモデルは、前記第1省略部に対応する溝状部が非溝状部とされた第2省略部を含み、
前記熱伝導率を定義する工程は、前記突起の熱伝導率と、前記トレッドゴムの熱伝導率とに基づいて、前記トレッドゴムモデルの熱伝導率を特定する工程を含む、
金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
[本開示2]
前記熱伝導率を特定する工程は、下記式(1)に基づいて、前記熱伝導率を特定する、本開示1に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
Figure 2023085976000008
ここで、
λnew:トレッドゴムモデルの熱伝導率
λR:トレッドゴムの熱伝導率
λM:突起の熱伝導率
p:1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さ
N:1ピッチあたりの突起の総数
t:突起のタイヤ周方向の厚さ
d:突起のタイヤ半径方向の深さ
B:トレッドゴムのタイヤ半径方向の深さ
[本開示3]
前記熱伝導率を特定する工程は、前記トレッドゴムの体積が、前記突起の体積の70%以上である場合に、下記式(2)に基づいて、前記熱伝導率を特定する、本開示1に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
Figure 2023085976000009
ここで、
λnew:熱伝導率
λR:トレッドゴムの熱伝導率
d:突起のタイヤ半径方向の深さ
B:トレッドゴムのタイヤ半径方向の深さ
[本開示4]
前記伝熱を計算する工程は、前記生タイヤの厚さ方向の伝熱のみを計算する、本開示1ないし3のいずれかに記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
[本開示5]
前記伝熱を計算する工程は、前記生タイヤの加硫状態に関する物理量を計算し、
前記伝熱を計算する工程の後に、前記コンピュータが、前記物理量を出力する工程をさらに含む、本開示1ないし4のいずれかに記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
[本開示6]
前記物理量は、前記生タイヤの温度、等価加硫量、及び、加硫度の少なくとも一つを含む、本開示5に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
[本開示7]
生タイヤの加硫方法であって、
前記生タイヤの予め定められた加硫条件を、コンピュータに入力する工程と
前記コンピュータが、前記加硫条件と、本開示1ないし6のいずれかに記載の伝熱計算方法とに基づいて、前記生タイヤの加硫状態に関する物理量を計算する工程と、
前記コンピュータが、前記加硫条件を設計因子とし、前記物理量を目的関数として、予め定めされた制約条件の下での最適化アルゴリズムに基づいて、前記目的関数を最適化する前記設計因子の最適解を求める工程と、
前記最適解に基づいて、前記生タイヤを加硫する工程とを含む、
生タイヤの加硫方法。
S1 金型モデルを定義する工程
S2 生タイヤモデルを定義する工程
S5 トレッドゴムモデルの要素に熱伝導率を定義する工程

Claims (7)

  1. 溝又はサイプからなる溝状部を形成するための突起を有する金型と、前記金型に接触しかつ前記突起によって前記溝状部が形成されたトレッドゴムを有する生タイヤとの間での伝熱計算を、コンピュータを用いて行うための方法であって、
    前記金型を複数の要素で離散化した金型モデルを、前記コンピュータに定義する工程と、
    前記生タイヤを複数の要素で離散化して、少なくともトレッドゴムモデルを含む生タイヤモデルを、前記コンピュータに定義する工程と、
    前記トレッドゴムモデルの前記要素に、予め定められた熱伝導率を定義する工程と、
    前記コンピュータが、前記熱伝導率に基づいて、前記トレッドゴムモデルと前記金型モデルとの接触面での伝熱を計算する工程とを含み、
    前記金型モデルは、前記突起の少なくとも一部が省略された第1省略部を含み、
    前記トレッドゴムモデルは、前記第1省略部に対応する溝状部が非溝状部とされた第2省略部を含み、
    前記熱伝導率を定義する工程は、前記突起の熱伝導率と、前記トレッドゴムの熱伝導率とに基づいて、前記トレッドゴムモデルの熱伝導率を特定する工程を含む、
    金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
  2. 前記熱伝導率を特定する工程は、下記式(1)に基づいて、前記熱伝導率を特定する、請求項1に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
    Figure 2023085976000010

    ここで、
    λnew:トレッドゴムモデルの熱伝導率
    λR:トレッドゴムの熱伝導率
    λM:突起の熱伝導率
    p:1ピッチあたりのタイヤ周方向の長さ
    N:1ピッチあたりの突起の総数
    t:突起のタイヤ周方向の厚さ
    d:突起のタイヤ半径方向の深さ
    B:トレッドゴムのタイヤ半径方向の深さ
  3. 前記熱伝導率を特定する工程は、前記トレッドゴムの体積が、前記突起の体積の70%以上である場合に、下記式(2)に基づいて、前記熱伝導率を特定する、請求項1に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
    Figure 2023085976000011

    ここで、
    λnew:熱伝導率
    λR:トレッドゴムの熱伝導率
    d:突起のタイヤ半径方向の深さ
    B:トレッドゴムのタイヤ半径方向の深さ
  4. 前記伝熱を計算する工程は、前記生タイヤの厚さ方向の伝熱のみを計算する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
  5. 前記伝熱を計算する工程は、前記生タイヤの加硫状態に関する物理量を計算し、
    前記伝熱を計算する工程の後に、前記コンピュータが、前記物理量を出力する工程をさらに含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
  6. 前記物理量は、前記生タイヤの温度、等価加硫量、及び、加硫度の少なくとも一つを含む、請求項5に記載の金型と生タイヤとの間の伝熱計算方法。
  7. 生タイヤの加硫方法であって、
    前記生タイヤの予め定められた加硫条件を、コンピュータに入力する工程と
    前記コンピュータが、前記加硫条件と、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の伝熱計算方法とに基づいて、前記生タイヤの加硫状態に関する物理量を計算する工程と、
    前記コンピュータが、前記加硫条件を設計因子とし、前記物理量を目的関数として、予め定めされた制約条件の下での最適化アルゴリズムに基づいて、前記目的関数を最適化する前記設計因子の最適解を求める工程と、
    前記最適解に基づいて、前記生タイヤを加硫する工程とを含む、
    生タイヤの加硫方法。
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