JP2006205452A - 加硫条件の決定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最適な加硫条件を高精度かつ高効率に導出する、加硫条件の決定方法を提供する。
【解決手段】タイヤ加硫システムモデル、およびタイヤの各構成材料を忠実に再現するタイヤモデルを生成し、このタイヤ加硫システムモデルおよびタイヤモデルに与える境界条件である、タイヤ加硫条件パラメータの値を、予め設定した許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更された条件を与えて再現される加硫処理解析を自動的に実行し、加硫処理解析の結果から、変更すべき加硫条件パラメータの値の許容範囲内で所望の最適条件を満足する加硫条件パラメータの組み合わせを見いだして、自動的に加硫条件の設計案を算出する。
【選択図】図8

Description

本発明は、例えばタイヤなどの被加硫材料の加硫処理において、被加硫材料を所望の加硫状態に加硫する加硫条件の決定方法に関する。
従来、タイヤの構造、材料、形状、及びパターン設計等のタイヤ設計方法は、実験及び計算機を用いた数値実験の繰り返しによる試行錯誤的な経験則から成り立っていた。このため、開発に必要な試作・試験の件数が膨大なものとなり、開発コストがアップし、開発期間もなかなか短縮できなかった。
また、タイヤはゴム製品であり、所望する材料特性のタイヤを製造するには、タイヤの原型となる生タイヤの加硫処理を、適切な条件で行う必要がある。すなわち、タイヤの設計においては、タイヤの構造、材料、形状、及びパターンの設計に加え、製造条件である加硫条件の設計も重要である。
従来では、実際に複数本のタイヤを種々の加硫条件で加硫して、加硫条件と加硫状態量(加硫の状態を表す物理量)の関係を求め、この関係に基づいて加硫条件が設計されていた。このような、実際にタイヤを加硫して加硫条件を探索する実験的な設計方法では、加硫条件の探索に多大な時間を要していた。
このような問題を解決する手段として、タイヤモデルを用いてシミュレーションを行い、実際に使用するタイヤ性能を予測しつつ、数理計画法や、遺伝的アルゴリズムを用いた最適化設計手法や、ニューラルネットワーク(自律学習系手法)などを用い、タイヤの形状や構造の設計・開発を短時間で高効率に行う空気入りタイヤ設計方法が、例えば下記特許文献1に提案されている。
また、数値計算により、加硫処理の最中のタイヤ内部の温度を予測し、予測したタイヤ内部の温度に基いてタイヤ内部の加硫度を予測して、予測した加硫度の結果から加硫処理時間を制御してタイヤの加硫を最適に制御する加硫制御方法が、例えば特許文献2および特許文献3に記載されている。
特開2001−50848号公報 特開平06−297460号公報 特開平07−40355号公報
特許文献1記載の空気入りタイヤの設計方法では、タイヤ断面形状やタイヤ構造やパターン形状、またはタイヤの材料定数などの設計変数を所定の値に設定してタイヤ設計案とし、この設計案からタイヤモデルを作成している。そして、路面モデル作成とともに摩擦係数などの路面状態を入力し、タイヤの角速度を初期条件として設定し、このタイヤが路面に接地して転動する際のタイヤの挙動をシミュレーションしている。特許文献1記載の空気入りタイヤの設計方法では、このシミュレーションに基づいてタイヤの形状および構造を設計している。すなわち、設計変数を変化させて、それに応じてモデルを生成し、生成したモデルを用いてシミュレーションを行ってタイヤ性能を予測し、予測したタイヤ性能に基づいて設計変数の変化量の予測値を求め、目的関数の値が予測値に収束したときの設計変数を抽出することで、タイヤの形状や構造などの設計案を決定している。
このような特許文献1記載の空気入りタイヤの設計方法によって、所望の特性を有するタイヤの形状や構造の設計案を決定しても、この設計案に基づいて製造されたタイヤの材料特性がシミュレーションにおいて想定された材料特性と異なる場合、所望する特性を有するタイヤを得ることはできない。
タイヤの材料特性は、タイヤの製造時の加硫処理の条件に大きく依存しており、タイヤの製造条件、特に加硫条件を適切な条件に設定することは、所望の特性を有するタイヤを製造するに際して重要である。
特許文献1記載の空気入りタイヤの設計方法は、タイヤモデルの形状や構造、材料特性等に関するパラメータを種々変更して、タイヤの形状や構造などの設計案を探索するのみであり、加硫工程における適切な加硫処理条件については考慮されていない。
また、特許文献2および特許文献3に記載の加硫制御方法では、タイヤ等の被加硫材料に隣接するモールドやブラダ等の部材、または、被加硫材料や被加硫材料に隣接する部材を構成要素とした解析モデル(例えば、モールド、タイヤ及びブラダを含むモデル)を用いている。特許文献2では、この部材近傍の温度を時系列的に計測し、計測された温度に応じてFEMによる熱伝導解析を行なって被加硫材料における内部温度を予測している。そして、予測した内部温度に基づいて被加硫材料内部の加硫反応状態を予測し、予測した加硫反応状態量の結果から加硫処理時間を制御している。
加硫処理の条件としては、タイヤを加熱するための加熱源の温度など種々の条件があるが、特許文献2および特許文献3では、加硫処理時間以外の加硫条件の決定方法については一切記載されていない。
図12は、特許文献2で解析に用いられる解析モデル100の概略図である。解析モデル100は、加硫処理するタイヤの一部であるハンプ部(ショルダー部)を再現するタイヤモデル102、加硫処理するタイヤ表面にトレッド溝や刻印を形成するためのモールドを再現するモールドモデル104、および、加硫処理するタイヤをモールドに押し付けるためのブラダを再現するブラダモデル106の各部材をそれぞれ1つの要素としてFEM解析するための有限要素モデルである。
特許文献2では、このように、各部材(モールド、タイヤ、ブラダ)をそれぞれ簡略化して表した有限要素モデルを用いている。タイヤは複数の材料で構成された複合構造であり、特許文献2では、予め温度の関数として求めた各材料の熱拡散係数aから各要素間の熱伝導率λを求め、この熱伝導率を用いてタイヤ内部の温度を求めている。
しかし、タイヤ内部の構造は複雑であり、特に、上述のハンプ部は複数のベルト端が集中し、各構成材料が複雑に配置されている。このようなハンプ部では、各構成材料が積層されるタイヤの厚さ方向の熱伝導状態に比べて、タイヤの断面横方向(タイヤの厚さ方向および周方向のそれぞれと直交する方向)への熱伝導は複雑である。
上述の特許文献2では、各構成材料が複雑に配置されているハンプ部を1つの大きな有限要素で再現している。しかし、このような1つの大きな有限要素を用いてFEMによる熱伝導解析を行なっても、各構成材料が複雑に配置されたハンプ部の熱伝導を詳細に再現することはできない。このため、タイヤにおける内部温度を高精度に予測することができず、タイヤ内部の加硫反応状態を正確に予測して、最適な加硫条件を高精度に導出することもできない。
本発明は、上述の問題を解決すべくなされたものであり、最適な加硫条件を高精度かつ高効率に導出する、加硫条件の決定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、加硫システムによって被加硫材を加熱して加硫する加硫処理工程において、前記被加硫材の加硫状態を最適化する加硫条件の決定方法であって、前記被加硫材を再現する被加硫材モデル、および前記加硫システムを再現する加硫システムモデルを生成するモデル生成ステップと、前記被加硫材の加硫処理の再現のために、前記被加硫材モデルおよび前記加硫システムモデルに与える加硫条件パラメータを設定するパラメータ設定ステップと、前記加硫条件パラメータの値の許容範囲と、前記被加硫材の所望の加硫状態を表す加硫状態量が満たすべき最適条件とを少なくとも設定する条件設定ステップと、前記加硫条件パラメータの前記許容範囲内の値に基いて、前記加硫システムによる前記被加硫材の加硫処理を再現して、前記被加硫材モデルが再現する前記被加硫材の前記加硫状態量を求める演算・評価ステップと、前記加硫条件パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、この変更の度に、この変更による加硫条件パラメータの値について、前記演算・評価ステップを実行する繰り返しステップと、この繰り返しステップによって求められた複数の加硫状態量のうち、前記加硫状態量が前記最適条件をみたすときの前記加硫条件パラメータの値を求める最適化ステップと、を有することを特徴とする加硫条件の決定方法を提供する。
なお、本発明では、前記被加硫材モデルとして、ゴム部材を積層したタイヤ未加硫組立体を再現する有限要素モデルであり、少なくとも、前記タイヤ未加硫組立体のベルト部材を再現するベルトモデル、トレッドゴム部材を再現するトレッドゴムモデル、カーカス部材を再現するカーカスモデル、インナーライナー部材を再現するインナーライナーモデルを含むモデルを用いることができる。
なお、この場合、前記加硫システムは、ジャケット流路、プラテンおよびブラダを加熱源として、ジャケットに装着された加硫金型を熱することで、この熱せられた加硫金型に前記タイヤ未加硫組立体を配置して加硫するタイヤ加硫システムであり、前記加硫システムモデルは、前記ジャケットを再現するジャケットモデル、前記加硫金型を再現する金型モデル、および前記ブラダを再現するブラダモデルを少なくとも含んで構成されており、前記パラメータ設定ステップにおいて設定される前記加硫条件パラメータは、前記ジャケットモデルの前記ジャケット流路に対応する部分の温度、前記プラテンに対応する部分の温度、および前記ブラダモデルの温度であることが好ましい。また、前記金型モデルは、前記タイヤ未加硫組立体表面のトレッドパターン形状を規定する凹凸が設けられたモデルであることが更に好ましい。
また、前記演算・評価ステップにおいて再現する加硫処理は、前記加熱源による前記被加硫材の加熱の過程に加え、前記加熱源による加熱の終了後の、前記被加硫材からの放熱の過程も含むことが好ましい。
また、前記最適化ステップにおいて、前記被加硫材の加硫状態量の分布を、前記被加硫材の表面から内部に向かって求め、この分布において加硫状態量の標準偏差が最小となる加硫条件パラメータの値を前記最適条件を満たすときの加硫条件パラメータの値として抽出することが好ましい。
また、前記最適化ステップにおいて求められた、前記加硫状態量が前記最適条件をみたすときの前記加硫条件パラメータを基準として、再度、前記モデル生成ステップ、前記パラメータ設定ステップ、前記条件設定ステップ、前記演算・評価ステップ、前記繰り返しステップ、前記最適化ステップを行い、前記条件設定ステップで設定される加硫条件パラメータの値の許容範囲が、先に設定された許容範囲よりも狭く設定されて加硫条件が決定されることが好ましい。
本発明の加硫条件の決定方法によると、被加硫材料を加硫処理する加硫システムにおいて、被加硫材料の所望の加硫状態を最適化する加硫条件を、短時間かつ高精度に導出することができる。
以下、本発明の加硫条件の設計方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の加硫条件の設計方法を実施する加硫条件設計装置の一例である、設計装置10(以降、装置10とする)の概略を示したブロック図である。
装置10は、加硫処理するタイヤ(タイヤ未加硫組立体)を再現するタイヤモデル(被加硫材モデル)、および、このタイヤを加硫する加硫システムのうちの一部(詳しくは、後述するジャケット、モールド、プラテン、およびブラダ)を再現する加硫システムモデルを生成する。そして、タイヤモデルおよび加硫システムモデルに境界条件を与えて加硫処理を行った際の、タイヤシステムモデルおよびタイヤモデル内部の温度変化を算出して、この内部温度からタイヤモデル内の各領域の加硫反応量を求める。そして、この解析結果を用いて、タイヤモデルの加硫状態を表す等価加硫度が最適条件を満たす、タイヤ加硫システムにおけるタイヤ加硫条件を自動的に抽出して出力する装置である。
まず、このような装置10において再現される、タイヤ加硫システムによるタイヤ加硫処理工程について説明する。
図2は、装置10において再現されるタイヤ加硫処理工程を実施するタイヤ加硫システム30、および、このタイヤ加硫システム30で加硫処理されるタイヤ50の概略断面図である。図2は、タイヤ加硫システム30にタイヤ50が装着された状態で、タイヤ50の周方向(タイヤ50が車両に装着された際の回転方向)に直交する平面で、タイヤ加硫システム30およびタイヤ50を切断した際の断面を示す。
タイヤ加硫システム30は、モールドユニット32と、変形可能なブラダ34と、プラテン36とを有する。モールドユニット32は、モールド38とジャケット40とを有している。モールド38は、タイヤ50の表面を整形し、トレッドパターンやサイドウォールの刻印などを形成するための金型である。モールド38はジャケット40の所定位置に固定されている。ジャケット40には、それぞれ異なる種々のトレッドパターンや刻印をタイヤに形成する、種々のモールド38が固定可能となっている。
ジャケット40には、図2中の上側にジャケット流路である通路42が設けられており、この通路42を加熱流体(例えば、蒸気やガス)が流動する構成となっている。この通路42内を流動する加熱流体によって、ジャケット40の通路42の通路内面43が加熱されてジャケット40内部に熱が伝達することでジャケット40全体が加熱される。そして、加熱されたジャケット40によってモールド38が加熱される。この加熱されたモールド38によって、モールド38に接するタイヤ50の表面のうち、主にトレッド部50aおよびショルダー部50bの表面が加熱される。タイヤ50については後に詳述する。
また、ジャケット40の左右(図2中の左右)の側面37には、加熱可能なプラテン36が配設されている。プラテン36が加熱されることでジャケット40の側面37が加熱されて、ジャケット40に接するタイヤ50の表面のうち、主にサイドウォール部50c、およびビード部50dの表面が加熱される。
ブラダ34は袋状のゴム部材であり、内部に蒸気やガスおよび温水などの加熱流体が循環されて全体が加熱される。ブラダ34はタイヤの内面側に配置され、このブラダ34が膨らむことで、タイヤ50の外面側の表面がモールド38およびジャケット40に押し付けられ(図2中の矢印方向に押し付けられ)、タイヤ50の表面が、モールド38およびジャケット40に応じた形状に成型される。
ブラダ34は加熱流体によって全体が加熱されており、この加熱されたブラダ34によってタイヤの内側表面51全体が加熱される。
装置10では、タイヤ加硫システム30の所定部位(通路内面43、側面37、ブラダ34)の温度を加硫条件パラメータとして種々変更して設定する。そして、設定した加硫条件パラメータそれぞれを与えた際の、タイヤ加硫システム30によるタイヤ50の加硫処理の過程における、タイヤ50内部の各部の温度の変化をシミュレーションによって再現する。そしてシミュレーションによって得られた、タイヤ50内部の各部の温度の変化から、タイヤモデルの加硫状態を表す後述の等価加硫度を算出する。そして、この等価加硫度に基づいて、最適条件を満たす際の加硫条件パラメータの値を自動的に抽出して出力する。
装置10は、最適化制御部12、モデル生成部14、加硫解析演算部16、および評価部18を有し、この他に、上記各部位の演算や処理のタイミングを制御して各部位の管理を行うCPU(中央処理ユニット)22、および、各部位で算出された結果を記憶保持するメモリ24、および図示しない入力装置を有する。また、装置10にはモニタ26が接続されている。
なお、装置10は、プログラムを実行することで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
モデル生成部14は、図示しない入力装置から入力されて設定されたモデル設計案の値に応じて、解析可能な加硫システムモデル60、および、タイヤモデル80を生成する部位である。すなわち、モデル生成部14は、設定されたモデル設計案に応じた解析可能な有限要素モデルである、加硫システムモデル60およびタイヤモデル80を生成する。
加硫システムモデル60およびタイヤモデル80は、各有限要素の幾何学形状の情報とメッシュ分割により生成された各節点の位置情報とが設定されることによって作成され、さらに、各有限要素の材料定数が設定されて計算可能な有限要素モデルとなる。すなわち、有限要素モデルは、実質的には、各節点の座標値と、各節点を番号化して各有限要素の形状を規定した番号の組と、各有限要素によって表される構成部材の材料定数の数値データとによって構成されたものである。したがって、有限要素モデルの生成とは、各節点を表した番号と対応づけられた節点の座標値と、各有限要素の形状を表す上記節点の番号の組と、材料定数の数値データとが一つのファイルとしてメモリ24に記憶されることをいう。
図3は、モデル生成部14において作成される、タイヤ加硫システム30およびタイヤ50を再現する、タイヤ加硫システムモデル60(以降、システムモデル60とする)およびタイヤモデル80を示す図である。
図2に示すように、タイヤ加硫システム30およびタイヤ50の断面は、図2中にX−X’で示す鎖線を中心線とした対称形状となっている。
モデル生成部14においては、加硫解析シミュレーションにおける計算時間の短縮を目的に、中心線を境にした一方の側の形状のみ(図3に示す例では右側のみ)を再現するモデルを生成する。
後述の加硫解析シミュレーションにおいては、対称形状で省略されている側の部分、すなわち、中心線を境にした一方の側(図3に示す例では左側)の影響も考慮して熱解析が行われる。例えば、省略された部分から伝搬される熱エネルギーが、中心線に対応する境界線から平均的にモデルに再現された部分に供給されていると想定して加硫解析シミュレーションが行われる。
図3に示すシステムモデル60は、図2に示すタイヤ加硫システム30の一部を再現したモデルである。システムモデル60は、ブラダ34を再現するブラダモデル64、モールド38を再現するモールドモデル68、ジャケット40を再現するジャケットモデル70を有する。ブラダモデル64、モールドモデル68、およびジャケットモデル70は、それぞれのモデルが再現する部材の材料特性に応じた材料特性の値(比熱、密度、熱拡散係数など)が設定されている。
タイヤモデル80は、タイヤ加硫システム30によって加硫処理されるタイヤ50を再現するモデルである。タイヤモデル80は、タイヤ50の断面形状や構造を忠実に再現する。
図4(a)は、図2に示す、加硫システム30によって加硫処理されるタイヤ50の一部(図2中のX−X’線よりも右側の部分)を拡大して示す図である。また、図4(b)は、図3に示す各モデルのうち、タイヤモデル80のみを拡大して示す図である。(図4(a)は、図4(b)に示すタイヤモデル80に対応する部分について示している)。
タイヤ50は、例えばトラック用タイヤであり、例えば、トレッドラバー52、サイドウォールラバー54、カーカス55、インナーライナー56、ビードワイヤー57、ベルト部材58(1番ベルト1B,2番ベルト2B、3番ベルト3B、4番ベルト4Bの4本のベルトで構成されている)等の複数の構成材料が積層されて構成されている。トレッド部50aの表面にはトレッド溝59が設けられている。
タイヤ50は、トレッド部50a、ショルダー部50b、サイド部50c、ビード部50dといった複数の部分に分けられる。各部分は、各部分毎にそれぞれの機能を有し、各部分毎に形状や各構成材料の積層構造がそれぞれ異なっている。
タイヤモデル80は、モデルトレッド部80a、モデルショルダー部80b、モデルサイド部80c、およびモデルビード部80dといった複数の部分に分けられ、タイヤ50のトレッド部50a、ショルダー部50b、サイド部50c、ビード部50dの形状および構造をそれぞれ忠実に再現している。タイヤモデル80は、トレッドラバーモデル82、サイドウォールラバーモデル84、カーカスモデル85、インナーライナーモデル86、ビードワイヤーモデル87、ベルトモデル88等から構成されており、モデルトレッド部80aの表面には、トレッド溝59を忠実に再現するモデルトレッド溝89が設けられている。
図5は、タイヤモデル80のモデルショルダー部80b周辺を拡大して示す図であり、また、図6は、タイヤモデル80のモデルビード部80dの周辺を拡大して示す図である。
タイヤモデル80は、図5および図6に示すように、ショルダー部80bおよびビード部80dそれぞれにおいて、例えば、トレッドラバーモデル82、ベルトモデル88(1番ベルトモデル1Bm、2番ベルトモデル2Bm、3番ベルトモデル3Bm、および4番ベルトモデル4Bm)、カーカスモデル85、インナーライナーモデル86、サイドウォールラバーモデル84、ビードワイヤーモデル87等の構成材料をそれぞれ再現する複数の構成材料モデルによって構成されている。なお、ベルト部材58は、それぞれ、スチールベルト部材にゴム部材がコーティングされて構成されている(スチールベルト部材およびゴム部材は図示せず)。ベルトモデル88は、ベルト部材58全体の形状をそれぞれ再現し、スチールベルト部材およびゴム部材とで構成されるベルト部材58全体の特性に基づいて各有限要素の材料特性が設定されている。
このようなタイヤモデル80を構成する各構成材料モデルは、形状(各構成材料の厚さ、配置状態など)、材料定数(密度、比熱、熱拡散係数)などをモデル設計パラメータとして自由に変更することができる。これらモデル設計パラメータの値を変更することで、形状や構造、および特性(熱伝導特性や熱伝達特性)の異なる種々のタイヤを再現することができる。
最適化制御部12は、キーボードやマウス等の図示されない操作系を用いて入力された条件に基づいて、タイヤモデル80および加硫システムモデル60に与える変更すべき加硫条件パラメータ、変更すべき加硫条件パラメータの値の許容範囲、制約条件、最適条件、シミュレーション演算条件および目的関数等の各種条件や関数を設定する。さらに、加硫解析の演算結果から得られた加硫状態量を用いて最適条件を満たすときの加硫条件パラメータの値を、最適設計案における加硫条件パラメータとして取り出し出力する部位でもある。最適化制御部12の作用については後述する。
なお、制約条件、評価関数、最適条件はどのようなものであってもよく、制限されない。制約条件としては、例えば、各構成材料モデルの加硫状態量の平均値と、所定の構成材料モデルの目標とする加硫状態量との差の大きさが満たすべき範囲、および、各構成材料モデルの加硫状態量の最大値と最小値の差の大きさが満たすべき範囲が設定される。また、目的関数としては、例えば、各構成材料モデルの加硫状態量の標準偏差を求める関数が設定される。また、最適条件としては、目的関数が、タイヤモデルの複数の部分の加硫状態量の標準偏差を求める関数の場合、例えば種々の加硫条件パラメータを与えて加硫解析を行い、標準偏差の値が最小となるものを、最適条件を満たす加硫条件パラメータとする。
一定の加硫温度でゴムを加硫処理する加硫工程において、加硫されるゴムの引張強さは加硫時間の増加に伴い、図7に示すグラフのように変化することがよく知られている。すなわち、一定の加硫温度で加硫時間を増して加硫反応量が増加していくと、加硫されたゴムの引張強さは初めは漸増するがやがて最高に達し、その後はまたしだいに減少する(反応初期ほど急激には変化しない)。
このように、加硫反応が進行するにつれて、この構成材料の弾性は増加していき、所定の材料特性に達する。すなわち、引張強さが最適となる。これ以上に加硫反応が進んでも、引張強さは減少してしまう。
このように、各構成材料毎に、材料特性を最適とする加硫反応量がある。すなわち、各構成材料毎に、加硫によって得られる材料特性が最適となる加硫反応量の値がある。
タイヤを構成する各構成材料それぞれは、この材料特性が最適となる程度の加硫反応量となることが好ましいといえる。
所定の基準温度において、複数の構成材料それぞれについて所望の材料特性が得られる加硫時間がほぼ同じ時間である場合などは、複数の構成材料それぞれの目標値を全て同一の値に設定しても、複数の構成材料それぞれについて良好な材料特性が得られる。
この場合、制約条件として、例えば、各構成材料モデルの加硫反応量の平均値と、所定の構成材料モデルの目標とする加硫反応量との差の大きさが満たすべき範囲、および、各構成材料モデルの加硫反応量の最大値と最小値の差の大きさが満たすべき範囲を設定すればよい。このように制約条件を設定することで、各構成材料の加硫反応量それぞれが目標値から大きく離れることなく、平均的に各構成材料それぞれが目標値に近い加硫反応量となるように加硫される加硫条件パラメータの値を抽出することができる。
制約条件の基準となる目標値について、好ましくは、各構成材料毎にそれぞれ異なる目標値を求めておき、各構成材料毎にそれぞれ最適な値を目標値として設定しておくことが好ましい。
また、加硫処理を再現するための境界条件としては、図示しない入力装置によって、最適化制御部12にシステムモデル60における所定部位の温度データが入力されて、この入力されたデータが境界条件として設定される。
入力されたデータが境界条件として設定されるとは、入力された温度データに応じて、システムモデル60のジャケットモデル70の所定部位の温度、すなわち、ジャケットモデル70を構成する節点のうちの所定の節点の温度データが設定されることである。
上述のように、図2に示すタイヤ加硫システム30のジャケット40において、通路42を加熱流体(例えば、蒸気やガス)が流動することで、通路42の内面43が加熱される。また、プラテン36が加熱されることでジャケット40のプラテン36と接する側面37が加熱される。また、ブラダ34は加熱流体が循環されることで全体が加熱される。
加硫システム30によるタイヤ50の加硫処理工程を再現する際の境界条件としては、システムモデル60の、内面43に対応するモデル内面73の節点(図3中に黒丸で示す)、側面37に対応するモデル側面67の節点(図3中に×印で示す)、およびブラダモデル64表面の節点(タイヤモデル80およびジャケットモデル70との共通節点を含む全ての節点)が、それぞれ所定の温度に設定される。
境界条件として、さらに、システムモデル60およびタイヤモデル80それぞれの初期温度が設定される。すなわち、上述の加熱源となる節点を除いたシステムモデル60およびタイヤモデル80の各節点の、加硫解析を開始する時点での温度が設定される。
また、本発明のタイヤ加硫条件の決定方法では、タイヤ加硫システム30によるタイヤ50の加硫処理工程として、タイヤ加硫システム30によるタイヤ50の加熱過程に加え、タイヤ50の加熱過程の後、タイヤ50をタイヤ加硫システム30から取り外した後の冷却過程における加硫反応も再現することも可能である。この場合、冷却過程の解析のために、境界条件として、タイヤ50表面から周囲流体(空気)への熱伝達率、および周囲流体の温度が境界条件として設定される。
加硫解析演算部16は、境界条件をシステムモデル60またはタイヤモデル80に与えたときの、システムモデル60によるタイヤモデル80の加熱過程における熱伝導状態を解析し(熱伝導解析)、さらに、加熱後のタイヤモデル80から周囲の空気への熱伝達状態を解析して(熱伝達解析)、タイヤモデル80内部の温度の時間履歴を算出する。加硫解析演算部16は、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能する。
本発明の加硫条件の決定方法では、上述のように、タイヤ加硫システム30の、内面43や側面37、およびブラダ34など、各部の節点の温度を、想定される加硫処理工程の条件に応じて任意に設定できる。
加硫解析演算部16にこのような境界条件が設定されて公知の有限要素ソルバーによる熱伝導解析および熱伝達解析が行われ、タイヤモデル80の各構成材料の時間−温度履歴が求められる。
評価部18は、加硫解析演算部16において算出された、システムモデル60およびタイヤモデル80内部の温度から、タイヤモデル80内部の加硫状態を表す等価加硫度を求める。
すなわち、加硫解析演算部16において求めたタイヤモデル80内部の温度履歴から、タイヤモデル80を構成する複数の構成材料モデルそれぞれの加硫状態量を表す等価加硫度を求める。
ここで、等価加硫度とは、予め設定された基準材料を予め設定された基準温度で加硫する基準加硫反応における、反応時間と加硫反応量の関係に基づいて、所定の加硫反応における加硫反応量の程度を表した値である。
本実施形態においては、等価加硫度として、特公平3−40686号広報に記載の等価加硫度を用いる。本実施形態において等価加硫度とは以下のような値である。
加硫反応に限らず、化学反応における化学反応速度(反応速度定数)は、化学反応それぞれの活性化エネルギーと反応温度に応じて求まり、化学反応における反応量は、アレーニウスの式に基づいて、反応温度−時間履歴によって定量的に評価できる。
すなわち、所定の加硫反応における活性化エネルギーが既知であれば、この加硫反応における加硫反応量は、アレーニウスの式に基づいて、反応温度−時間履歴によって定量的に評価できる。
本実施形態において等価加硫度とは、所定の加硫反応における加硫反応量を評価する際の基準となる値であり、所定の加硫反応における加硫中の温度−時間履歴によって定量される加硫反応量を、この加硫反応量と同等の加硫反応量を得るために必要な、所定の基準温度Tにおける加硫反応時間で表した値である。
このように、所定の基準温度Tにおける加硫反応時間によって等価加硫度を表すことで、異なる温度−時間履歴で反応させた種々の加硫反応それぞれにおける加硫反応量を、基準温度における反応時間と反応量の関係を基準に定量的に比較評価することができる。
タイヤを形成する複数の構成材料の多くはゴムであり、加熱されることで加硫されて材料特性が変化する。各構成材料の加硫反応量を、等価加硫度によって定量的に評価することで、各構成材料の加硫度の材料特性の変化の度合いを比較評価できる。求められた等価加硫度は、メモリ24に記憶された後、最適化制御部12に供給される。
最適化制御部12では、種々の設計パラメータの値に応じて、システムモデル60およびタイヤモデル80に境界条件を与えて得られる等価加硫度のうち、予め設定された制約条件を満たす等価加硫度を選別し、さらに、選別された等価加硫度を用いて、最適条件を満たす加硫条件パラメータの値を抽出する。こうして抽出された最適条件を満たす設計パラメータの値を、最適設計案における設計パラメータの値として出力する。
上述のように、制約条件としては、例えば、各構成材料モデルの加硫状態量の平均値と、所定の構成材料モデルの目標とする加硫状態量との差の大きさが満たすべき範囲、および、各構成材料モデルの加硫状態量の最大値と最小値の差の大きさが満たすべき範囲が設定される。また、目的関数として、例えば、各構成材料モデルの加硫状態量の標準偏差を求める関数が設定されている。
モニタ26は、基準案や各種条件の入力を行うための入力操作画面を表示し、各部位で得られた結果、例えば、タイヤモデル80の各部位の温度や等価加硫度を表示して出力する。また、最適条件を満足する際の、加硫条件パラメータの値であるプラテン温度、ジャケット流路温度、およびブラダ温度のそれぞれを、設計案の温度として表示して出力もする。
このような装置10を用いて行われるタイヤ加硫条件の決定方法を、以下詳細に説明する。図8は、本発明の第1の実施形態である、タイヤ加硫条件の決定方法の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明のタイヤ加硫条件の決定方法について詳細に説明する。
まず、装置10において、図示されない操作系から、加硫工程を再現するタイヤ50およびタイヤ加硫システム30それぞれを再現するモデル設計案が設定される(ステップ100)。
この設計データは、タイヤを構成する各構成材料の厚さや形状を忠実に再現するCADデータなどの形状データに加えて、カーカスやベルトやゴム層などの材料定数(例えば、密度や比熱)等のデータを含んでいる。
これらの設定は、装置10に付随して接続されているマウスやキーボード等の図示しない操作系を用いた入力に基づいて行なわれる。または、例えば、所定の記録媒体に入力されたモデル設計案の情報が、図示しない所定の読取装置によって読み取られてモデル生成部に送信されることで行なわれてもよく、ネットワークを介して外部からモデル生成部に直接送られてもよい。
次に、モデル設計案から、モデル生成部14において、タイヤ加硫システム30を再現する加硫システムモデル60、およびタイヤ50を再現するタイヤモデル80を生成する(ステップ102)。
モデルが生成されて完成するとは、加硫システムモデル60およびタイヤモデル80の要素の形状を規定する座標値と、これらの要素の材料定数の情報とが1つのファイルに書き込まれてファイルが生成されることをいう。
次に、タイヤモデル80および加硫システムモデル60に付与する初期温度条件、および、タイヤモデル80および加硫システムモデル60に与える変更すべき加硫条件パラメータが設定され、この加硫条件パラメータの割り付けが行なわれる(ステップ104)。
初期温度条件とは、熱伝導解析を開始する時点での、タイヤシステムモデル60およびタイヤモデル80の各部位の温度であり、上述のように、システムモデル60およびタイヤモデル80の各節点の、加硫解析を開始する時点での温度が設定される。
変更すべき加硫条件パラメータとしては、具体的には、タイヤモデル80および加硫システムモデル60に与える境界条件であるプラテン温度T、ジャケット流路温度T、およびブラダ温度Tが設定され、これら3つの設計パラメータを指示入力するとともに、この加硫条件パラメータの値の許容範囲をそれぞれ所望の範囲に設定する。
割り付けとは、最適な加硫条件パラメータを見出すために、タイヤ加硫システムモデル60およびタイヤモデル80に境界条件として付与する加硫条件パラメータの値を、定められた方法によって種々設定することをいう。
加硫条件パラメータの値の許容範囲の設定と割り付けの方法の具体的形態としては、種々の形態がある。第1の加硫条件パラメータの割り付け形態としては、既存の加硫条件パラメータの値を基準とした所定の範囲を、それぞれの加硫条件パラメータの許容範囲として設定し、非線形計画法などの最適化手法を用いて加硫条件パラメータの割り付けを行う方法である。
このような、既存の加硫条件パラメータの値の近傍の、比較的狭い変更範囲において各加硫条件パラメータの値の割り付けを行う第1の割り付け方法によれば、比較的少ない計算回数で、既存の加硫条件パラメータの値の近傍における最適な加硫条件パラメータの値を得ることができる。
既存の加硫条件パラメータの値は、加硫条件パラメータの値を種々変更して実際に加硫処理を行い、この加硫処理の結果を評価することで得られた値である。しかし、このように実際に加硫処理を行って加硫条件パラメータの値を探索するには多大な時間がかかる。
そのため、実際に加硫処理を行う回数にも限りがあり、加硫条件パラメータの設定の詳細さにも限度がある。そのため、実際に加硫処理を行うことで探索された既存の加硫条件パラメータの値は、その精度が不十分であり、より最適な加硫条件パラメータの値が既存の加硫条件パラメータの値の近傍に存在している場合が多い。
本発明の第1の割り付け方法による加硫条件パラメータの割り付け方法によって、この既存の加硫条件パラメータの近傍において、比較的詳細な変更幅で多数の加硫条件パラメータの値を設定する。このように設定された各加硫条件パラメータの値に応じて加硫解析のシミュレーションを行うことで、既存の加硫条件パラメータの値の近傍における、この既存の加硫条件パラメータよりも最適な加硫条件パラメータの値を比較的短時間で高精度に探索することができる。
第1の加硫条件パラメータの設定方法では、このようにして、最適化制御部12において加硫条件パラメータの値の割り付けが行われ、割り付けられた加硫条件パラメータの値が加硫解析演算部16に供給される。
第2の加硫条件パラメータの割り付け形態としては、既存の加硫条件パラメータによらない所定の加硫条件パラメータ範囲に、それぞれの加硫条件パラメータの許容範囲を設定し、実験計画法を用いて加硫条件パラメータの割り付けを行う。
加硫条件パラメータの割り付けは実験計画法によって行われ、例えば、上記Tを上記許容範囲の中で一定間隔で順次増大させるとともに、これ以外の設計パラメータ(TおよびT)を上記許容範囲の中でランダムに変動させて行うラテンハイパーキューブ法が用いられる。なお、本発明における割り付けは、品質工学法に基づく割り付け方法等によって行われてもよく、割り付け方法は特に制限されない。
図9は、タイヤ加硫システムモデル60における変更すべき加硫条件パラメータの種類をx方向にとり、変更すべき加硫条件パラメータの許容範囲の値をy方向にとり、各加硫条件パラメータに値を割り付けた組を、n組(ケース1〜n:nは自然数)生成することを示している。図10は、割り付け方法の一例を説明する図であり、例えばn=102として、ケース番号の順番に従って設計パラメータの1つである上記Tを一定間隔で増大させて値を割り付ける方法を示している。
第2の加硫条件パラメータの設定方法としては、このようにして、最適化制御部12において加硫条件パラメータの値の割り付けが行われ、図10に示すケース1より、このケース番号に対応する加硫条件パラメータの値が加硫解析演算部16に供給される。
このような第2の割り付け方法は、既存の加硫条件と大きく離れた加硫条件を、比較的大きな加硫条件パラメータの範囲から新たに探索して最適な加硫条件を得る場合に最適である。以降、加硫条件パラメータの設定方法として、第2の加硫条件パラメータの割り付け方法を実施して加硫条件パラメータを種々割り付けた場合を例に、以降の工程について説明する。
まず、タイヤ加硫システムモデル60およびタイヤモデル80に与える、制約条件、最適条件、目的関数がオペレータの入力に応じて設定され、さらに、設定された設計パラメータの値が割り付けられる(ステップ106)。
これらの設定は、マウスやキーボード等の操作系を用いてなされた入力に応じて設定される。
制約条件は、最適加硫条件パラメータを見いだす際に満足すべき条件をいう。
タイヤは複数の部材が積層された積層構造であり、タイヤの加硫処理において、タイヤを構成する構成部材(構成材料)は、それぞれ所望の状態に加硫されることが重要である。本実施形態のタイヤ50の全ての構成部材は、それぞれ同一の基準温度で所定の基準時間加硫することで、それぞれ所望の状態に加硫される(所望の加硫反応量が得られる)。また、各構成材料とも、このように所望の加硫反応量に加硫された状態で最適な材料特性を得る。
すなわち、この基準温度を基準にした等価加硫度で各構成材料の加硫反応量を表した場合、複数の構成材料の全ての等価加硫度が所定の目標値となる場合に、各構成材料は最適な材料特性となる。
このように、本実施形態における加硫処理において、タイヤを構成する複数の構成材料の等価加硫度が、ばらつきなく一様に所定の1つの目標値に近づくということは、タイヤを構成する各構成部材それぞれが適切な材料特性に近づくということである。
本実施形態では、タイヤモデル80を構成する各要素のうち、図5に示すショルダー部モデル80bにおいて破線で囲んだ部分の9要素、さらに、図6に示すビード部モデル80dにおいて破線で囲んだ部分の14要素の計23要素を評価要素として設定する。
本実施形態では、上述の目標値と、ショルダー部およびビード部における評価要素の等価加硫度の平均値との差の範囲を制約条件に設定する。さらに、加硫工程シミュレーションによって得られた、評価要素の等価加硫度の最大値と最小値との範囲を、制約条件に設定する。
目的関数については、複数の評価要素の等価加硫度の標準偏差を算出する関数を設定する。最適条件としては、タイヤモデル80における各構成部材の等価加硫度の標準偏差が最小となることが設定される。タイヤショルダー部における各要素の等価加硫度の標準偏差を最小とすることで、ショルダー部の各構成材料を一様に加硫して、各構成材料のヤング率などの材料特性のばらつきを抑え、せん断ひずみによる各構成材料の剥離を抑える効果がある。
次に、タイヤ加硫システムモデル60およびタイヤモデル80に対し、最適化制御部12から供給されたタイヤ加硫条件パラメータの値に応じて、プラテン温度T、ジャケット流路温度T、ブラダ温度Tが変更されて設定される(ステップ108)。
次に、タイヤ加硫システムモデル60およびタイヤモデル80に対して、加硫解析演算部16において、熱伝導解析および熱伝達解析が実行される(ステップ110)。
すなわち、加硫解析演算部16において、ステップ108で設定された加硫条件パラメータの値がタイヤシステムモデル60に付与されて、熱伝導解析および熱伝達解析が行われ、タイヤモデル80を構成する各要素のうち評価要素の温度−時間履歴が算出される。
次に、シミュレーション演算結果である評価要素の温度−時間履歴から、評価部18において、加硫状態の評価の指標となる評価要素の等価加硫度が算出される(ステップ112)。
図11は、評価部18において算出された等価加硫度の一例を示すグラフである。図11に示すグラフは、所定の境界条件のもとで加硫解析シミュレーションを行った際の、ショルダー部モデル80bの各評価要素の等価加硫度を、所定の経過時間間隔で示している。図11では、同一経過時間における各評価要素の等価加硫度をそれぞれ直線で結んで示している。図11から判断できるように、各節点の等価加硫度の進行具合は、各評価要素毎に異なっている。
本実施形態では、ショルダー部モデル80bの、構成材料2Bを再現するモデル2Bmに対応する評価要素Eを目標要素として設定し、この目標要素の等価加硫度が所定の目標値に近づき、かつ、他の評価要素の等価加硫度のばらつきがなるべく小さくなるような加硫条件を抽出することを目的としている。
算出された各評価要素の等価加硫度は、割り付けられた設計パラメータの値とともにメモリ24に記憶される。
次に、各加硫条件パラメータに値を割り付けたすべてのケース(仕様)について、ステップ108〜112の処理が行われたか否かが判別される(ステップ114)。この判別で否定された場合には、ケース番号の変更が行われて(ステップ116)、ステップ108〜ステップ112の処理がさらに行われる。
すなわち、最適化制御部12から変更されたケース番号に対応する加硫条件パラメータの値が加硫解析演算部16に供給されて、供給された加硫条件パラメータの値を境界条件として加硫解析が行われて、各構成部材の等価加硫度の算出が行われる。
こうして、全てのケースについて等価加硫度が算出されるまで、繰り返し行われる。
ステップ114にて肯定されると、評価部18で算出された等価加硫度を用いて、最適化処理部12において最適化処理が行われる(ステップ118)。
ステップ118における最適化処理は、例えば、まず、すべてのケースにおける各評価要素の等価加硫度の値がメモリ24から呼び出されて、この中から制約条件を満たすケース、すなわち、各評価要素の等価加硫度の平均値と目標値との差が所定の範囲に含まれ、かつ、各評価要素の等価加硫度の最大値と最小値との差が所定の範囲に含まれるケースが選別される。
選別されたケースにおいて、各評価要素の等価加硫度の標準偏差を求める評価関数の加硫条件パラメータの値を設計変数として重回帰分析を行う等して、加硫条件パラメータの設計空間をチェビシェフの直交多項式や高次多項式等の曲面近似関数を用いて近似する。この曲面近似関数は3次元または2次元座標等に応答曲面モデルとして表現し,モニタ26に表示することが可能である。この応答曲面モデルを見ることで評価関数の解空間の特性を把握することができ、各加硫条件パラメータが評価関数に与える寄与度や、複数の評価関数を設定した場合の評価関数同士のトレードオフなどを直感的に評価することができる。
曲面近似関数から最適化条件を満たす加硫条件パラメータが存在するか否かがステップ120で判別され、タイヤの各構成材料の等価加硫度の標準偏差が最小となる加硫条件パラーメータの値が最適設計案における加硫条件パラメータの値として出力される(ステップ122)。この場合、曲面近似関数が設定されれば、必ず最適条件を満たすか否かの判別(ステップ120)は肯定され、タイヤの各評価要素の等価加硫度の標準偏差が最小となる加硫条件パラーメータの値が、最適設計案における加硫条件パラメータの値として出力される(ステップ122)。
最適設計案における加硫条件パラメータの出力は、例えば、モニタ26に最適設計案を表示するか、図示しないプリンタなどによって最適設計案を紙面に印刷して出力すればよい。最適設計案の出力形態については特に限定されない。
上記第1の実施形態では評価関数として、タイヤの構成材料をそれぞれ再現する複数の評価要素の等価加硫度の標準偏差を算出する関数を設定しているが、目的関数はこれに限定されない。
このようなタイヤ加硫条件の決定方法によって決定された、タイヤモデル80の最適加硫条件の一例(以下、実施例1とする)を、下記表1−1に示す。
また、下記表1−2は、表1−1に示す最適加硫条件で加硫解析を行なった際の各評価要素の等価加硫度と、従来仕様の加硫条件で加硫解析を行なった際の各評価要素の等価加硫度について比較する表である。この従来仕様の加硫条件は、加硫条件を種々変更して実際に加硫処理を行い、加硫処理の結果を評価することで得られた値である。
下記表1−2では、ショルダー部モデル80bの9要素、およびビード部モデル80dの14要素それぞれについての、等価加硫度の最大値−最小値および、目標値−等価加硫度の平均値の関係を示している。
下記表1−1に示す実施例1の結果は、ステップ104において第1の割り付け方法を実施して、加硫解析における加硫条件パラメータの値の割り付けを行うことで、最適化設計案の値を決定した結果である。この際、第1の割り付け方法の基準案としては、上述の従来の仕様の加硫条件を基準案としている。表1−1では、この従来仕様のジャケット流路温度を100として、従来仕様の他の加熱源の温度(プラテン温度、ブラダー温度)、および、決定した最適化設計案における各加熱源の温度を指数として表している。
また、表1−1には、実際に加硫処理を行うことで得られた、従来の仕様に比べて比較的良好な加硫状態を得ることのできる(加硫後のタイヤの材料特性が従来に比べて一様である)加硫条件パラメータの値(新加硫仕様)も併せて示している。
この新加硫仕様は、従来仕様の加硫条件を決定する際に比べて、加硫条件をより多くの回数だけ変更し、従来仕様を決定する際よりも多くの回数繰り返し加硫処理を行って得られた値である。すなわち、新加硫仕様は、実施例1の結果を得る際に要した時間、および従来仕様を得る際に要した時間に比べて、非常に多くの時間を要して求められた値である。この新加硫仕様についても、基準案となる加硫条件パラメータ(従来仕様)のジャケット流路温度を100として、指数で示している。
また、表1−2は、従来仕様の加硫条件パラメータで得られる、等価加硫度の最大値−最小値および、目標値−等価加硫度の平均値のそれぞれを100とし、最適化設計案における等価加硫度の最大値−最小値および、目標値−等価加硫度の平均値のそれぞれを指数で示している。
Figure 2006205452
Figure 2006205452
表1−2に示すように、このような加硫条件パラメータの設定方法で決定された加硫条件は、ショルダー部において、目標値と各評価要素の等価加硫度の平均値との差が、従来仕様と同様に100のままである。そして、各評価要素の等価加硫の最大値−最小値の値は、基準案に比べて23%低減している。また、ビード部においても、目標値と各評価要素の等価加硫度の平均値との差は、基準案の場合と同様に100のままであるが、各評価要素の等価加硫の最大値−最小値の値は、基準案に比べて33%低減している。
また、各評価要素の等価加硫度の標準偏差の値は、ショルダー部において18%、ビード部において32%減少している。
すなわち、本発明の加硫条件パラメータの決定方法によって、ビード部およびショルダー部ともに、基準案と比較してばらつきが少なく、かつ目標値に近い値の等価加硫度を得ることが可能となっている。
表1−1に示すように、本発明の加硫条件パラメータの決定方法で求められた加硫条件は、実験によって求められた新加硫条件仕様に近い値を示している。
この新加硫仕様に基づいて製造された(すなわち、新加硫仕様で加硫処理された)タイヤは、従来仕様に比べて構成部材毎の材料特性のばらつきが少なく、より高い耐久性を有することが、本願発明者による実験によって明らかとなっている。本発明の加硫条件決定方法によって、基準案に比べて構成部材間の加硫度のばらつきが少なく、より高い耐久性を示すタイヤの加硫条件が設定できるといえる。
また、下記表2−1および表2−2は、ステップ104において第2の割り付け方法を実施して、加硫解析における加硫条件パラメータの値を割り付けして最適化設計案の値を決定した結果を示す(以上、実施例2とする)。
表2−1では、表1−1と同様、基準案となる加硫条件パラメータのジャケット温度を100として、基準案の他の加熱源の温度(プラテン温度、ブラダー温度)、および、決定した最適化設計案における各加熱源の温度を指数によって表している。
また、下記表2−2は、表1−2と同様、表2−1に示す最適加硫条件で加硫解析を行なった際の各評価要素の等価加硫度と、実験によって決定された従来仕様で加硫解析を行なった際の各評価要素の等価加硫度について比較する表である。下記表2−2では、ショルダー部モデル80bの9要素、およびビード部モデル80dの14要素それぞれについて、等価加硫度の最大値−最小値、および目標値−等価加硫度の平均値の関係を示している。
下記表2−1に示す実施例2の結果は、ステップ104において第2の割り付け方法を実施して、加硫解析における加硫条件パラメータの値の割り付けを行ない、最適化設計案の値を決定した結果である。表2−1においても、表1−1と同様に、従来仕様の加硫条件パラメータのジャケット流路温度を100として、従来仕様の他の加熱源の温度(プラテン温度、ブラダー温度)、および最適化によって決定した最適化設計案における各加熱源の温度を指数によって表している。
また、表2−1においても、表1−1と同様に、新加硫仕様の加硫条件パラメータの値も併せて示している。この新加硫仕様についても、基準案となる加硫条件パラメータ(従来仕様)のジャケット流路温度を100として、指数で示している。
Figure 2006205452
Figure 2006205452
表2−2に示すように、ショルダー部において、各評価要素の等価加硫度の最大値−最小値の値は、基準案に比べて35%低減している。また、ビード部において、各評価要素の等価加硫度の最大値−最小値の値は、基準案に比べて44%低減している。また、各評価要素の等価加硫度の標準偏差の値は、ショルダー部において31%、ビード部において41%減少している。すなわち、ビード部およびショルダー部ともに、それぞれの評価要素の等価加硫度のばらつきが、従来仕様の場合と比較して小さくなっている。
表1−1および表2−1に示すように、本発明の加硫条件パラメータの決定方法で求められた加硫条件パラメータは、長い時間をかけて、実際に加硫処理を繰り返し行うことで得られた新加硫仕様に近い値を示している。
この新加硫仕様で作製された(すなわち、新加硫仕様で加硫処理されて作製された)タイヤは、従来仕様に比べて構成部材毎の加硫度のばらつきが少なく、より高い耐久性を有することが、本願発明者による実験によって明らかとなっている。本発明の加硫条件決定方法によって、従来仕様に比べて構成部材間の加硫度のばらつきが少なく、より高い耐久性を示すタイヤの加硫条件が設定できるといえる。
本発明においては、最適化処理において、制約条件を満足する特性値の値がある所定の範囲内に入るものが最適条件を満足するものとして抽出され、このときの設計パラメータの値が最適設計案における設計パラメータの値として出力されてもよい。この場合、複数の最適設計案が出力されてもよい。このとき、設計パラメータの値が割り付けられて設定されたすべてのケースが最適条件を満足しない場合、ステップ120の判別において否決されステップ106に戻り、条件の再設定が行われるようにオペレータの入力を要求する。あるいは、設定すべき条件が自動的に修正されて再設定され、以下ステップ108〜118を行うものであってもよい。また、ステップ120の判別で否決された場合、最適条件に最も近い特性値を持つケースを基準案としてステップ100に戻るようにしてもよい。
また、本発明では、ステップ120の判別において肯定され、特性値の値が最大となる設計パラメータの値が抽出された後に、設定された設計パラメータの値を中心に、元の設計パラメータの許容範囲より狭い範囲、例えば基準案を中心に、各設計パラメータの基準案の値の±25%の範囲をそれぞれの設計パラメータの許容範囲とし、以下ステップ108〜118を行って再度最適な設計案を求めてもよい。これにより、特性値を最適化させる設計パラメータの値を、より正確に求めることができる。
本発明においては、変更すべき設計パラメータの数は限定されない。また、変更すべき設計パラメータの割り付けは、上記実験計画法や品質工学手法に基づく割り付け方法やランダムな割り付け方法を用いて、制約条件を満足しつつ等価加硫度が最適条件を満たす設計パラメータの値を求める方法の他に、遺伝的アルゴリズム(GA)の手法や焼きなまし法(SA)法を用いた割り付けを行ってもよく、設計パラメータの割り付け方法は特に限定されない。さらに数理的手法(非線形計画法)や数理的手法と近似手法の組み合わせを用いても良い。
以上、本発明の加硫条件の決定方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
本発明のタイヤ加硫条件の決定方法を実施する、加硫条件設計装置の構成の概略を示すブロック図である。 図1に示す加硫条件設計装置において再現する、タイヤ加硫処理工程を実施するタイヤ加硫システム,およびタイヤの概略断面図である。 本発明におけるタイヤ加硫システムモデル、およびタイヤモデルの一例を示す図である。 (a)は図2に示すタイヤの一部を拡大して示す図であり、(b)は図3に示すタイヤモデルを拡大して示す図である。 図3および図4(b)に示すタイヤモデルのうち、ショルダー部に対応する部分の拡大図である。 図3および図4(b)に示すタイヤモデルのうち、ビード部に対応する部分の拡大図である。 一定の加硫温度で加硫処理する加硫工程における、加硫時間と被加硫材料の引張強さとの関係を示すグラフである。 本発明の加硫条件の設計方法の一例の流れを示すフローチャートである。 本発明において行われる加硫条件パラメータの割り付けのケースを説明する図である。 図9に示す加硫条件パラメータの割り付け方法の一例を説明する図である。 等価加硫度の算出結果の一例を示すグラフであり、所定の境界条件のもとで加硫解析シミュレーションを行った際の、所定時間毎の各節点の等価加硫度をそれぞれ示すグラフである。 従来の加硫制御方法で用いられるタイヤモデルの一例を示す図である。
符号の説明
10 装置
12 最適化制御部
14 モデル生成部
16 加硫解析演算部
18 評価部
22 CPU
24 メモリ
26 モニタ
30 タイヤ加硫システム
32 モールドユニット
34 ブラダ
36 プラテン
38 モールド
40 ジャケット
42 通路
43 通路内面
50 タイヤ
51 内側表面
52 トレッドラバー
54 サイドウォールラバー
55 カーカス
56 インナーライナー
57 ビードワイヤー
58 ベルト
60 加硫解析システムモデル
64 ブラダモデル
68 モールドモデル
70 ジャケットモデル
80 タイヤモデル
82 トレッドラバーモデル
84 サイドウォールラバーモデル
85 カーカスモデル
86 インナーライナーモデル
87 ビードワイヤーモデル
88 ベルトモデル
100 解析モデル
102 タイヤモデル
104 モールドユニット
106 ブラダモデル

Claims (7)

  1. 加硫システムによって被加硫材を加熱して加硫する加硫処理工程において、前記被加硫材の加硫状態を最適化する加硫条件の決定方法であって、
    前記被加硫材を再現する被加硫材モデル、および前記加硫システムを再現する加硫システムモデルを生成するモデル生成ステップと、
    前記被加硫材の加硫処理の再現のために、前記被加硫材モデルおよび前記加硫システムモデルに与える加硫条件パラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
    前記加硫条件パラメータの値の許容範囲と、前記被加硫材の所望の加硫状態を表す加硫状態量が満たすべき最適条件とを少なくとも設定する条件設定ステップと、
    前記加硫条件パラメータの前記許容範囲内の値に基いて、前記加硫システムによる前記被加硫材の加硫処理を再現して、前記被加硫材モデルが再現する前記被加硫材の前記加硫状態量を求める演算・評価ステップと、
    前記加硫条件パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、この変更の度に、この変更による加硫条件パラメータの値について、前記演算・評価ステップを実行する繰り返しステップと、
    この繰り返しステップによって求められた複数の加硫状態量のうち、前記加硫状態量が前記最適条件をみたすときの前記加硫条件パラメータの値を求める最適化ステップと、を有することを特徴とする加硫条件の決定方法。
  2. 前記被加硫材モデルは、ゴム部材を積層したタイヤ未加硫組立体を再現する有限要素モデルであり、少なくとも、前記タイヤ未加硫組立体のベルト部材を再現するベルトモデル、トレッドゴム部材を再現するトレッドゴムモデル、カーカス部材を再現するカーカスモデル、インナーライナー部材を再現するインナーライナーモデルを含む請求項1に記載の加硫条件の決定方法。
  3. 前記加硫システムは、ジャケット流路、プラテンおよびブラダを加熱源として、ジャケットに装着された加硫金型を熱することで、この熱せられた加硫金型に前記タイヤ未加硫組立体を配置して加硫するタイヤ加硫システムであり、
    前記加硫システムモデルは、前記ジャケットを再現するジャケットモデル、前記加硫金型を再現する金型モデル、および前記ブラダを再現するブラダモデルを少なくとも含んで構成されており、
    前記パラメータ設定ステップにおいて設定される前記加硫条件パラメータは、前記ジャケットモデルの前記ジャケット流路に対応する部分の温度、前記プラテンに対応する部分の温度、および前記ブラダモデルの温度である請求項2に記載の加硫条件の決定方法。
  4. 前記金型モデルは、前記タイヤ未加硫組立体表面のトレッドパターン形状を規定する凹凸が設けられたモデルであることを特徴とする請求項3記載の加硫条件の決定方法。
  5. 前記演算・評価ステップにおいて再現する加硫処理は、前記加熱源による前記被加硫材の加熱の過程に加え、前記加熱源による加熱の終了後の、前記被加硫材からの放熱の過程も含む請求項3または4に記載の加硫条件の決定方法。
  6. 前記最適化ステップにおいて、前記被加硫材の加硫状態量の分布を、前記被加硫材の表面から内部に向かって求め、この分布において加硫状態量の標準偏差が最小となる加硫条件パラメータの値を前記最適条件を満たすときの加硫条件パラメータの値として抽出する請求項1〜5のいずれかに記載の加硫条件の決定方法。
  7. 前記最適化ステップにおいて求められた、前記加硫状態量が前記最適条件をみたすときの前記加硫条件パラメータを基準として、再度、前記モデル生成ステップ、前記パラメータ設定ステップ、前記条件設定ステップ、前記演算・評価ステップ、前記繰り返しステップ、前記最適化ステップを行い、前記条件設定ステップで設定される加硫条件パラメータの値の許容範囲が、先に設定された許容範囲よりも狭く設定されて加硫条件が決定される請求項1〜6のいずれかに記載の加硫条件の決定方法。
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