JP2002099579A - シミュレーション方法及び設計方法 - Google Patents
シミュレーション方法及び設計方法Info
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Abstract
は使用条件の変動等が発生した場合の、対象物の特性の
変動誤差を算出するためのシミュレーション方法と、そ
の結果を用いて安定した性能を発揮することのできる設
計案を得るための設計方法とを提供する。 【解決手段】 FEMモデルを用いて対象物をシミュレ
ーションする際に、対象物の構成要素と付与条件の少な
くとも1つのパラメータを選択し、上記パラメータを変
動させて上記モデルの計算を行い、当該パラメータの変
動による誤差変動を算出することにより、シミュレーシ
ョンの段階から、例えば、製造工程のバラツキやタイヤ
使用条件等の変更があった場合でも、安定した性能を示
すような設計水準を予測し、上記設計水準を用いて上記
対象物を設計する。
Description
要素法の等の解析モデルを用いて対象物の特性をシミュ
レーションする方法と、その結果を用いて上記対象物を
設計する方法とに関するもので、特に、モデルの構成要
素やモデルに付加する条件の変動に対する対象物の安定
性をシミュレーションする方法に関する。
減を目的として、対象物を複数の構成要素に分割して近
似したモデルを作成し、上記対象物の特性を、有限要素
法や境界要素法などの解析手法を用いて解析するモデル
計算が盛んに行われている。そして、このモデル計算に
よって得られた最良の結果から、上記対象物の形状ある
いは素材などの水準を決定して上記対象物を設計するよ
うにしている。
良の水準を用いて上記対象物を設計したとしても、工場
等で実際に製品を製造する際には、製造工程や構成する
部材のバラツキ、あるいは使用条件の変動等によって、
期待された最良の結果が得られない場合がしばしばあ
り、ひいては従来の製品よりも性能が劣るような場合も
あった。特に、タイヤ産業の分野においては、製造上回
避が困難なトレッドゴム周上の厚みのバラツキに起因す
る真円度の不均一さの問題、いわゆるユニフォミティの
バラツキが要因となるような問題や、例えば、10km
/hと120km/hのような、使用される速度の違い
などの使用条件によって、上記ユニフォミティや騒音あ
るいは操縦安定性が大きく異なるといった問題が発生し
ていた。
もので、製造工程や構成する部材のバラツキ、あるいは
使用条件の変動等が発生した場合の、対象物の特性の変
動誤差を算出するためのシミュレーション方法と、その
結果を用いて安定した性能を発揮することのできる設計
案を得るための設計方法とを提供することを目的とす
る。
のシミュレーション方法は、対象物を複数の構成要素に
分割して近似した解析モデルに所定の条件を付与して、
上記対象物の特性をシミュレーションする方法におい
て、上記構成要素と付与条件の少なくとも1つのパラメ
ータを選択し、上記パラメータを変動させて上記モデル
の計算を行い、当該パラメータの変動による誤差変動を
算出するようにしたことを特徴とするもので、これによ
り上記対象物の安定性を予測することが可能となる。
玄一著 開発・設計段階の品質工学;(財)日本規格協
会 1988年、田口玄一著 技術開発のための品質工学;
(財)日本規格協会 1994年など)において用いられる
もので、製品品質と機能性の評価のため、弾性率等の素
材特性のバラツキや電源電圧の変動など製品特性に影響
を与える因子を誤差因子として取り上げ、摩耗量や出力
電圧などの製品の性能を複数回測定したり、あるいは、
上記誤差因子に複数の水準を与えて、各水準毎に製品の
性能を測定して製品性能のバラツキを算出したりするこ
とにより求められるものであって、誤差分散やSN比や
感度などにより上記誤差変動を算出して上記製品の安定
性を評価する。このとき、評価する製品としては、設計
者の自由意志により決められる、構成材料の量・質・大
きさ・組み合わせ、あるいは熱処理条件や冷却温度等の
制御因子を組み合わせた複数の設計案を直交表に割り付
け、試作等により製品化した例が記載されている。しか
し、現実には、直交表に割り付けた全ての水準の全測定
分の製品を試作して誤差変動を算出するため、複数水準
のパラメータを測定したり、同じ項目を複数回測定する
には、かなりの工数が発生してしまう。更に、例えば、
上記タイヤトレッドゴムの周上の厚みのバラツキのよう
な、誤差因子が各製品に与える影響が均一でない、製造
工程や構成する部材のバラツキ等であるような場合に
は、少なくとも直交表の各水準の製品を複数本試作し
て、上記パラメータを複数回測定することが必要である
ので、工数が更に増加せざるを得ない。しかし、トレッ
ドゴムのように、誤差因子自体がロット間や温度や製造
者等によるために、各製品に与えるバラツキの予測が困
難な場合には、誤差因子であるトレッドゴム自体の母集
団の検定を実施して優位差がないものを使用しない限
り、誤差変動を算出しても誤差因子自体の誤差の影響が
残るために、誤差変動の正しい安定性の評価がなされて
いない場合が多い。また、その防止のためには、試作に
使用するトレッドゴムの全てについて予め検定を実施す
ることが必要となるが、膨大な工数が発生してしまい、
現実的でない。本発明は、解析モデルの構成要素や付与
条件の少なくとも1つのパラメータを誤差因子として選
択し、この誤差因子に予め複数水準の変動を与えてシミ
ュレーションを行うもので、製品または構成部材での特
定の誤差因子に対してバラツキの予測が困難で検定が必
要な場合であっても、詳細には後述するように、トレッ
ドゴムに一部の質量を変動させるなど、部材に予め強制
的な誤差を発生させた誤差因子を解析モデルに適用する
ことにより、シミュレーションの段階から、上記誤差因
子に対して影響の少ない、言い換えれば安定性のあるモ
デルを得るためのシミュレーションを行うことができる
ものである。これにより、実際に製品においても安定し
た特性を得ることが可能となる。
は、上記パラメータを、製造上生じるバラツキ及び使用
条件によるバラツキの少なくとも一方のバラツキを有す
るパラメータとしたことを特徴とするもので、これによ
り、製造工程や構成する部材のバラツキや使用条件の変
動等が発生した場合でも、安定した性能を発揮すること
のできる設計案を得ることが可能となる。
は、上記誤差変動を、直交表による割付に従って算出す
るようにしたことを特徴とする。
は、上記誤差変動の計算を、SN比により計算するよう
にしたことを特徴とする。
は、上記モデルの構成要素と付与条件の少なくとも1つ
のから選択された複数の水準のパラメータを変動させる
ようにしたことを特徴とする。
は、上記モデルの構成要素から選択された複数の水準の
パラメータを制御因子としたことを特徴とする。
は、上記モデルを、タイヤモデルとしたことを特徴とす
る。また、後述する実施例のように、周方向溝付きトレ
ッド部を有するタイヤモデルとすることも可能である。
更に、周方向溝だけでなく幅方向溝を含むようなトレッ
ドパターンを有するタイヤモデルでも可能である。
請求項1〜請求項7のいずれかに記載のシミュレーショ
ン方法を用いて対象物の誤差変動を計算して上記対象物
の安定性を評価し、最良の安定性が得られた設計水準に
基づいて上記対象物を設計するようにしたことを特徴と
するもので、これにより、安定した特性を有する製品を
設計することが可能となる。
て、図面に基づき説明する。図1は、乗用車用ラジアル
タイヤの概略構成を示す図で、このタイヤ1は、表面に
トレッドパターンが刻まれたゴム層から成り、タイヤが
路面と接触する部分であるトレッド部2と、肩部のゴム
部分であるショルダー部3と、側面側のゴム部分である
サイドトレッド部4と、コードをゴム層で被覆して成
り、タイヤの骨格となるカーカス部5と、このカーカス
部5を締め付けるためのスチール製のベルト6と、タイ
ヤをリムに取付けるためのビート部7とを備えている。
本実施の形態では、図2(a)に示すような、タイヤ1
を有限個の多数の要素に分割して近似した有限要素法解
析モデル(以下、FEMタイヤモデルという)を用い
て、FEMにより、タイヤの性能を予測する際に、上記
FEMタイヤモデルとして、製造工程のバラツキに起因
する、タイヤの一部に生じる不均質な部分をモデルに付
与し、上記モデルにおいて、走行速度などのタイヤ使用
条件が変わった場合でも安定した特性を示すようなタイ
ヤの設計パラメータを求めて、設計案を決定する。ここ
で、上記設計パラメータとしては、図2(b)に示すよ
うに、タイヤの最大幅,断面高さ及び最大幅の位置など
のタイヤの形状や構造、あるいはトレッド部2やカーカ
ス部5あるいはベルト6を構成する材料、更には、トレ
ッドパターンなどがある。
いて、図3のフローチャートに基づいて説明する。ま
ず、基本解析モデルを作成する。ここでは、図2
(a),(b)に示すようなFEMタイヤモデルとして
いる。(ステップS100)。次に、変動させるための
構成要素と付与条件の少なくとも1つのパラメータ(誤
差因子)を選択する(ステップS101)。また、上記
誤差因子において、例えば使用条件のバラツキとして、
速度水準を2水準(10km/h及び120km/h)
設ける場合は、これらの2水準を調合誤差因子という。
更に、制御因子として、上記モデルの構成要素から選択
された複数の水準のパラメータを選択する(ステップS
102)。ここではFEMタイヤモデルであるから、タ
イヤの形状・構造・材料・トレッドパターンなどの設計
パラメータから選択する。この制御因子は、設計パラメ
ータを共に検討したい場合に有効であり、複数の設計パ
ラメータを検討しない場合には、本ステップの省略も可
能である。そして、誤差因子及び/または制御因子に関
する性能予測水準の決定を行う。ここでは、具体的に
は、水準数に応じて、使用する直交表を決定して、上記
決定された直交表の制御因子の水準に上記各水準の設計
パラメータを割り付ける(ステップS104)。一般
に、設計パラメータの水準が2水準であれば、直交表は
L4,L8,L12‥‥などの2水準の直交表が用いられ、
設計パラメータの水準が3水準であれば、L9,L18,
L27‥‥などの3水準の直交表が用いられる。なお、設
計パラメータの水準が2水準と3水準の両方を含む場合
には、3水準の直交表が用いられる。また、直交表の大
きさは、設計パラメータの数により決定する。本実施の
形態では、直交表の制御因子の水準に割り付けられるの
は、モデルの構成要素で、例えば、設計パラメータP,
Q,Rをそれぞれ3水準とした場合、各水準の組み合わ
せから成るモデルP1Q1R2やモデルP1Q2R3などは、
少なくとも1つの水準が互い異なるモデルであるので、
以下これを設計水準と呼ぶ。このように、直交表を使用
して制御因子を割り付けることにより、設計水準の低減
や交互作用の有無等の解析が可能となるが、勿論直交表
を使用しないで設計水準を任意に決定することも可能で
ある。従って、本実施の形態では、FEMにより性能を
予測する際に、製造工程のバラツキに起因する均一さ
や、走行速度等のタイヤ使用条件等の誤差因子を変更し
たときの設計水準の変動誤差を求めて、製造工程のバラ
ツキやタイヤ使用条件の変更があった場合でも、安定し
た性能を示すような設計水準を求めることになる。
の制御因子それぞれの水準(設計水準)に従って、基本
解析モデル(FEMモデル)を修正あるいは変更し、誤
差因子の水準(調合誤差因子も含む)に従い、条件を上
記モデルに付与したり、あるいは上記モデルを修正また
は変更し、例えば、タイヤのユニフォミティ値や偏摩耗
の大きさのようなタイヤ性能をFEMにより予測する
(ステップS106)。なお、上記FEMによる予測計
算は、N=(設計水準数)×(誤差因子水準数)回ある
いは上記Nの整数倍の回数行う。全ての水準のタイヤ性
能予測が終了する(ステップS107)と、上記算出さ
れた性能予測の値から、SN比等を用いて、上記各設計
水準における誤差変動を算出する(ステップS10
8)。これにより、性能の安定性を評価することが可能
となる。すなわち、製造工程のバラツキに起因するタイ
ヤの一部に不均質な部分を有するタイヤであって、かつ
走行速度等のタイヤ使用条件が変わった場合でも、誤差
変動の少ない安定したタイヤ性能を示すような設計水準
をシミュレーションにより求め、この設計水準に基づい
てタイヤを設計する。
イヤサイズが195/65R14である乗用車用ラジア
ルタイヤに適用し、タイヤのユニフォミティを評価した
例を示す。なお、このとき、タイヤ内圧を210kP
a、荷重を4kNとした。はじめに、誤差因子Aとし
て、基準断面からタイヤ中心軸を挟み対向する(基準断
面から180度に位置する)断面Xで、タイヤ断面での
内面長さ(ペリフェリ)を1%増加させ、基準断面から
断面Xに向けてペリフェリが、時計回り側、反時計回り
共に漸増するようにして、周方向に剛性及び質量の不均
質さを強制的に付与した。また、誤差因子Bとして、図
4に示すように、タイヤ周方向1断面のセンター部BM
の質量を、他の部分BKの質量よりも2g大きくして、
周方向に質量の不均質さを強制的に付与した。一般的に
は、誤差因子を考慮しない基本解析モデルを制御因子の
み変化した性能予測と、少なくとも1水準の誤差因子を
考慮した場合の性能予測を行えば、安定性も評価できる
のであるが、本実施例では剛性の不均質さと質量の不均
質さとの両面で安定性を検討するため、上記誤差因子を
A及びBの2水準とした。更に、調合誤差因子として、
タイヤの回転速度Vを10km/hと120km/hの
2水準も加えて、速度も安定性の検討に盛り込んだ。次
に、制御因子として形状因子であるタイヤの最大幅,断
面高さ及び最大幅の位置を選択し、その水準を、以下の
表1に示すように、それぞれ3水準設定した。
(34)の直交表に割り付け、上記割り付けられた最大
幅、断面高さ及び最大幅の少なくとも1つが互いに異な
る9個の設計水準毎に、タイヤのユニフォミティの値を
上記各誤差因子について、FEMにて計算し、計算され
た36個=(設計水準数:9)×(誤差因子水準数:
4)のデータからSN比を求めて安定性を評価した。な
お、今回は制御因子が3水準なので直交表の第4列は割
り付けをしなかったので、記載を省略した。
0である、いわゆる望小特性であるので、SN比が最大
である設計水準(表2のタイヤ6)が最も安定した設計
水準となる。
のトレッド部を有するFEMタイヤモデルを用いた例に
ついて説明したが、解析する対象物はこれに限るもので
はなく、空気充填用バルブなどの部品やサスペンション
などの機構部などのシミュレーション等にも適応可能で
ある。また、対象物を複数の構成要素に分割して近似し
た解析モデルにとして、境界要素法モデルを用いてシミ
ュレーションを行ってもよい。また、タイヤモデルを適
用した場合においても、本実施例の他に、誤差因子とな
るパラメータと影響する性能の組み合わせとしては、ベ
ルト及び/またはカーカスの位置(ずれ)と耐久性、路
面の状態(摩擦係数:μ)と操縦安定性、積車・空車時
等の荷重変動と操縦安定性、速度変動と振動・騒音・乗
り心地等の組み合わせがある。また、パターン付きトレ
ッド部を有するFEMタイヤモデルを用いると、パター
ンのピッチバリエーションなどによるパターンノイズ等
の騒音の安定性の評価も可能となる。
析モデルを用いたシミュレーションを行う際に、対象物
の構成要素と付与条件の少なくとも1つのパラメータと
して選択し、上記パラメータを変動させて上記モデルの
計算を行い、当該パラメータの変動による誤差変動を算
出することにより、シミュレーションの段階から、例え
ば、製造工程のバラツキやタイヤ使用条件の変更があっ
た場合でも、安定した性能を示すような設計水準を予測
することができる。従って、上記設計水準を用いて製品
を設計することにより、実際に製品においても安定した
性能を得ることができる。
である。
ーション方法を示すフローチャートである。
FEMタイヤモデルの概要を示す図である。
サイドトレッド部、5 カーカス部、6 ベルト、7
ビート部、10 FEMタイヤモデル。
Claims (8)
- 【請求項1】 対象物を複数の構成要素に分割して近似
した解析モデルに所定の条件を付与して、上記対象物の
特性をシミュレーションする方法において、上記構成要
素と付与条件の少なくとも1つのパラメータを選択し、
上記パラメータを変動させて上記モデルの計算を行い、
当該パラメータの変動による誤差変動を算出するように
したことを特徴とするシミュレーション方法。 - 【請求項2】 上記パラメータを、製造上生じるバラツ
キ及び使用条件によるバラツキの少なくとも一方のバラ
ツキを有するパラメータとしたことを特徴とする請求項
1に記載のシミュレーション方法。 - 【請求項3】 上記誤差変動を、直交表による割付に従
って算出するようにしたことを特徴とする請求項1また
は請求項2に記載のシミュレーション方法。 - 【請求項4】 上記誤差変動の計算を、SN比により計
算するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3
のいずれかに記載のシミュレーション方法。 - 【請求項5】 上記モデルの構成要素と付与条件の少な
くとも1つのから選択された複数の水準のパラメータを
変動させるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求
項4のいずれかに記載のシミュレーション方法。 - 【請求項6】 上記モデルの構成要素から選択された複
数の水準のパラメータを制御因子としたことを特徴とす
る請求項1〜請求項5のいずれかに記載のシミュレーシ
ョン方法。 - 【請求項7】 上記モデルを、タイヤモデルとしたこと
を特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のシ
ミュレーション方法。 - 【請求項8】 上記請求項1〜請求項7のいずれかに記
載のシミュレーション方法を用いて対象物の誤差変動を
計算して上記対象物の安定性を評価し、最良の安定性が
得られた設計水準に基づいて上記対象物を設計するよう
にしたことを特徴とする設計方法。
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JP2000289132A JP4597337B2 (ja) | 2000-09-22 | 2000-09-22 | タイヤ性能のシミュレーション方法 |
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