本発明は、品質工学とシミュレーションを用いて、設計パラメータと設計対象の特性との関係を効率的に評価する設計支援装置、設計支援方法、設計支援プログラムに関するものである。
コンピュータや携帯電話等の電子機器において、高密度化、高集積化が年々進んでいる。そのため、設計段階において、十分な品質を保証するとともに、想定する機能が十分得られるか検証する必要がある。製品試作前に、品質や機能を評価する方法として、有限要素法等のシミュレーション技術をベースとしたCAE(Computer Aided Engineering)システムがある。今日では、新規の設計、開発においてCAEシステムによる評価は必須となっている。
一方で、シミュレーションのみの評価は、ある特定の設計案が要求仕様を満たしているかどうかの確認のみが可能である。従って、ある設計パラメータが特性値に与える影響、ある設計パラメータに変動があった場合の特性値に与える影響等、は不明である。これらの影響を分析するためには、品質工学等の分析とシミュレーションを組み合わせて実行する方法が有効である。
なお、本発明の関連ある従来技術として、例えば、下記に示す特許文献1が知られている。この設備信頼性設計支援装置は、タグチメソッドに基づいて設備と部品の設計変数を直交表に割り付け、この直交表に基づいて設計解析モデルまたは逆問題解析モデルの解析を行い、この解析結果に基づいて応答曲面を求め、この応答曲面を用いて最適化設計を行うものである。
特開2001−125933号公報
しかしながら、従来の品質工学分析を行うためには、大変多くのシミュレーションを行う必要があり、多くの工数を必要とするとともに、結果を得るまでに数日を要する場合もあり、迅速な評価は困難であった。また、設計者が、品質工学、実験計画法等の分析手順をマスターしておく必要があり、マスターしていない場合は専門家と相談しながら進める必要があった。また、従来の品質工学分析では、設計パラメータが特性値に与える影響の分析は可能であるが、設計パラメータが任意の値に変化した場合の特性値の変化を求めることは困難であった。また、従来の品質工学分析においては、シミュレーションにより得られた特性値の全てを1つの集合の特性として品質工学分析を行っていたが、この集合には設計可能でない範囲も含まれており、設計可能な範囲における精度が十分でない場合があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、設計パラメータと設計対象の特性との関係について、容易に精度の高い分析を行うための設計支援装置、設計支援方法、設計支援プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションを用いて、設計パラメータ値と特性値との関係についての分析を行う設計支援装置であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画部と、誤差因子、信号因子等の内側因子を外側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、前記シミュレーションへの入力を作成するシミュレーション入力作成部と、前記シミュレーションへの入力を用いて、前記シミュレーションの実行の指示を行うシミュレーション指示部と、前記シミュレーションの結果に基づいて設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行う分析部とを備えたものである。
また、本発明に係る設計支援装置において、更に、前記シミュレーションの結果として得られる設計パラメータ値と特性値を用いて、設計パラメータ値と特性値との関係を表す応答曲面を算出する応答曲面算出部を有し、前記分析部は、前記応答曲面を用いて任意の設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る設計支援装置において、更に、前記設計パラメータ値と特性値の組から、特性値が所定の基準を満たす組を選択し、選択した設計パラメータ値と特性値の組で表される点の間の距離に基づいて、前記選択した設計パラメータ値と特性値の組をクラスタに分類するクラスタリング部を有し、前記分析部は、前記クラスタ毎の設計パラメータ値と特性値の組を用いて、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションに対して、必要な設定をシミュレーション入力ファイルとして作成する設計支援装置であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画部と、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーション入力ファイルの設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものを前記シミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えるシミュレーション入力作成部とを備えたものである。
また、本発明に係る設計支援装置において、前記シミュレーション入力作成部は、誤差因子、信号因子等の内側因子を外側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーションの設定について設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものをシミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えることを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションを用いて、設計パラメータ値と特性値との関係についての分析を行う設計支援方法であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画ステップと、誤差因子、信号因子等の内側因子を外側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、前記シミュレーションへの入力を作成するシミュレーション入力作成ステップと、前記シミュレーションへの入力を用いて、前記シミュレーションの実行の指示を行うシミュレーション指示ステップと、前記シミュレーションの結果に基づいて設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行う分析ステップとを実行するものである。
また、本発明に係る設計支援方法において、更に前記シミュレーション指示ステップとの前記分析ステップの間に、前記シミュレーションの結果として得られる設計パラメータ値と特性値を用いて、設計パラメータ値と特性値との関係を表す応答曲面を算出する応答曲面算出ステップを有し、前記分析ステップは、前記応答曲面を用いて任意の設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る設計支援方法において、更に前記シミュレーション指示ステップとの前記分析ステップの間に、前記設計パラメータ値と特性値の組から、特性値が所定の基準を満たす組を選択し、選択した設計パラメータ値と特性値の組で表される点の間の距離に基づいて、前記選択した設計パラメータ値と特性値の組をクラスタに分類するクラスタリングステップを有し、前記分析ステップは、前記クラスタ毎の設計パラメータ値と特性値の組を用いて、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションに対して、必要な設定をシミュレーション入力ファイルとして作成する設計支援方法であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画ステップと、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーション入力ファイルの設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものを前記シミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えるシミュレーション入力作成ステップとを実行するものである。
また、本発明に係る設計支援方法において、前記シミュレーション入力作成ステップは、誤差因子、信号因子等の内側因子を外側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーションの設定について設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものをシミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えることを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションを用いて、設計パラメータ値と特性値との関係についての分析を行う設計支援方法をコンピュータに実行させる設計支援プログラムであって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画ステップと、誤差因子、信号因子等の内側因子を外側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、前記シミュレーションへの入力を作成するシミュレーション入力作成ステップと、前記シミュレーションへの入力を用いて、前記シミュレーションの実行の指示を行うシミュレーション指示ステップと、前記シミュレーションの結果に基づいて設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行う分析ステップとをコンピュータに実行させるものである。
実施の形態1に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
実施の形態1に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
本発明に係る第1のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る第2のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る第3のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る第4のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る直交表作成における解析パターンの設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る直交表作成における制御因子の設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る直交表作成における制御因子の組み合わせの設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る直交表作成における誤差因子の設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る変数名と変数番号の対応付けの一例を示す表である。
本発明に係るシミュレーション入力雛形ファイルの一例を示す表である。
本発明に係るシミュレーション入力ファイルの一例を示す表である。
本発明に係る評価特性値参照のGUIの一例を示す図である。
実施の形態1に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。
本発明に係る品質工学分析部の分析結果の表示の一例を示す図である。
実施の形態1に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。
本発明に係る応答曲面算出部の分析結果の表示設定のGUIの一例を示す図である。
実施の形態1に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態1に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。
本発明に係るクラスタリング部の動作の一例を示す図である。
実施の形態1に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態1に係る第6の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
実施の形態2に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
通常の品質工学における誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。
実施の形態2に係るシミュレーション入力作成部による誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。
実施の形態2に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
まず、本実施の形態に係る設計支援装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。この設計支援装置1は、実験計画部11、シミュレーション入力作成部12、シミュレーション指示部21、シミュレーション結果抽出部22、分析部30、設計情報DB(データベース)50、表示部51を備える。分析部30は、応答曲面算出部31、品質工学分析部32、クラスタリング部41を備える。シミュレーションサーバ2は、シミュレーション指示部21から受信したシミュレーション入力ファイルに従って設計対象に関するシミュレーションを行い、シミュレーション結果をシミュレーション結果抽出部22へ送信する。このシミュレーションは、シミュレーション入力ファイルに含まれる設計パラメータ値を用いて評価を行うことにより、設計対象の特性値を算出し、評価特性値としてシミュレーション結果に含める。
次に、実施の形態1に係る設計支援装置の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。まず、実験計画部11は、ユーザからのGUI(Graphical User Interface)入力またはファイル入力により、設計パラメータである制御因子と誤差因子と信号因子の変数名、各変数の水準数、各水準値を取得する(S11)。
次に、実験計画部11は、設計パラメータの種類、変数の数、水準数に応じた直交表を作成することにより、設計パラメータ値の適切な組み合わせを選択し、シミュレーション入力作成部12へ渡す(S12)。ここで、実験計画部11は、自動的に適切な直交表の選択と、直交表への設計パラメータ値の割り付けを行うことにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する。設計パラメータに応じた直交表作成方法は、次の4つのケースに対応する。
第1のケースは、制御因子を適切な直交表に割り付け、誤差因子の全組み合わせを実施し、信号因子を含まない場合である。図3は、本発明に係る第1のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、誤差因子はX,Yである。
第2のケースは、制御因子と誤差因子を適切な直交表に割り付け、直積実験を行い、信号因子を含まない場合である。図4は、本発明に係る第2のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、誤差因子はX,Y,Z,Wである。
第3のケースは、制御因子を適切な直交表に割り付け、誤差因子の調合を行い、条件を2〜3条件に統一し、信号因子を含まない場合である。図5は、本発明に係る第3のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、誤差因子はX,Y,Z,W、条件はN1,N2である。
第4のケースは、制御因子を適切な直交表に割り付け、信号因子を含む動特性の場合で、第1〜第3のケースに示した誤差因子割り付け方法の全ての組み合わせを実行可能とする。図6は、本発明に係る第4のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、信号因子はM1,M2,M3、条件はN1,N2である。
ここで、直交表作成のGUIの例を挙げる。図7は、本発明に係る直交表作成における解析パターンの設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、内側因子と外側因子の組み合わせ数の設定を行う。図8は、本発明に係る直交表作成における制御因子の設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、直交表のタイプ、制御因子の変数名と水準値の設定を行う。図9は、本発明に係る直交表作成における制御因子の組み合わせの設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、直交表に基づいた、制御因子の組み合わせの設定を行う。図10は、本発明に係る直交表作成における誤差因子の設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、誤差因子の変数名と水準値、更に誤差因子の調合の設定を行う。
次に、シミュレーション入力作成部12は、実験計画部11で得られた設計パラメータの組み合わせと予め用意されたシミュレーション入力雛形ファイルを用いて、設計パラメータの組み合わせ毎のシミュレーション入力ファイルを作成し、シミュレーション指示部21へ渡す(S13)。ここで、シミュレーション入力ファイルは、シミュレーションに入力する設定を記述したファイルである。また、シミュレーション入力雛形ファイルは、シミュレーション入力ファイルの元となる基本的な設定を記述したファイルであり、“$”を付けた変数番号で変数を記す。図11は、本発明に係る変数名と変数番号の対応付けの一例を示す表である。制御因子の変数名は現れた順に$1から始まる連番で対応づけられ、誤差因子の変数名は現れた順に$1001から始まる連番で対応づけられ、信号因子の変数名は現れた順に$2001から始まる連番で対応づけられる。図12は、本発明に係るシミュレーション入力雛形ファイルの一例を示す表である。このシミュレーション入力雛形ファイル中には、“$”を付けた変数番号が含まれている。ここでは、“$”を付けた変数番号を用いたが、他の識別子を用いても良い。
シミュレーション入力作成部12は、このシミュレーション入力雛形ファイル中の変数番号は、変数名と変数番号の対応付けに従って、実験計画部11で得られた設計パラメータの組み合わせ毎の変数値に置き換えられ、シミュレーション入力ファイルとして作成される。ここで、誤差因子名が制御因子名と一致しない場合は、上述した置き換えがそのまま行われるが、誤差因子名が制御因子名と一致する場合、誤差因子名は制御因子に対する誤差の変数名と認識された後、上述した置き換えが行われる。例えば図11の例において、誤差因子Aは、制御因子Aと同じ変数名であるため、誤差因子ΔAとして扱う。また、シミュレーション入力雛形ファイルにおける“$1”は、シミュレーション入力ファイルにおいて制御因子Aの値に置き換えられ、シミュレーション入力雛形ファイルにおける“$2001”は、シミュレーション入力ファイルにおいて制御因子に誤差因子を含めたA+ΔAの値に置き換えられる。図13は、本発明に係るシミュレーション入力ファイルの一例を示す表である。図12のシミュレーション入力雛形ファイル中の変数番号が変数値に置き換えられている。このシミュレーション入力作成部12により、1つのシミュレーション入力雛形ファイルを容易しておくだけで多数のシミュレーション入力ファイルを容易に作成することができると共に、誤差因子名が制御因子名と一致する場合でも適切な処理を行うことができる。
次に、シミュレーション指示部21は、シミュレーション入力ファイルをシミュレーションサーバ2へ送信し、シミュレーションの実行を指示する(S21)。次に、シミュレーション結果抽出部22は、シミュレーションサーバ2からシミュレーション結果を受信すると(S22)、シミュレーション結果から分析に必要な評価特性値を抽出し、シミュレーション毎の設計パラメータ値と評価特性値の組として分析部30へ渡す(S23)。抽出された評価特性値は参照することもできる。図14は、本発明に係る評価特性値参照のGUIの一例を示す図である。ここでは、シミュレーション毎の評価特性値が表示される。
次に、分析部30は、ユーザから指定された分析方法に応じた分析を行い、分析結果を設計情報データベース50に格納する(S31)。次に、表示部51は、分析結果の表示を行い(S32)、このフローを終了する。
次に、分析部30における動作の詳細について説明する。分析部30は、ユーザに選択された分析方法を用いて分析を行う。ここでは、6種類の分析方法について説明する。
図15は、実施の形態1に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、品質工学分析部32は、入力された設計パラメータ値と評価特性値の組の集合から、制御因子が評価特性値に与える影響度の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S41)、このフローを終了する。影響度とは、例えばSN比である。分析結果である影響度は、表示部51により表示することができる。図16は、本発明に係る品質工学分析部の分析結果の表示の一例を示す図である。この図の例は、2水準の制御因子、10個について分析した場合であり、各制御因子の水準値の変化に対するSN比[dB]の変化が表されている。例えば、制御因子Aの水準値がA1からA2へ変化すると、SN比は約−5dB変化することが分かる。
図17は、実施の形態1に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、応答曲面算出部31は、入力された設計パラメータ値と評価特性値の組の集合から、最小二乗法を用いて、設計パラメータ値と評価特性値との関係を表す近似式である応答曲面の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S51)、このフローを終了する。図18は、本発明に係る応答曲面算出部の分析結果の表示設定の画面の一例を示す図である。この画面において表示設定を行い、「グラフ出力」のボタンをクリックすると、分析結果である応答曲面のグラフが表示部51により表示される。
図19は、実施の形態1に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、応答曲面算出部31は、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、品質工学分析部32へ出力する(S61)。次に、品質工学分析部32は、応答曲面算出部31から得られた応答曲面を用いて、制御因子の任意の値で制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S62)、このフローを終了する。
図20は、実施の形態1に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、クラスタリング部41は、入力された設計パラメータと評価特性値の組から、予め設定された設計許容値以上となる評価特性値を持つ組を選択する。ここで、評価特性値が設計許容値以上であれば設計可能な評価特性値と判断する。更に、選択した組をクラスタに分類するクラスタリングを行い、クラスタ毎に設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を品質工学分析部32へ出力する(S71)。ここでは、設計パラメータ値と評価特性値の組で表される点の間の距離であるユークリッド距離またはマハラノビス距離を算出し、距離に基づく近傍の点をクラスタとしてまとめることによりクラスタリングを行う。次に、品質工学分析部32は、クラスタ毎に、処理S41と同様にして影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S72)、このフローを終了する。
図21は、本発明に係るクラスタリング部の動作の一例を示す図である。横軸は1変数、17水準の制御因子X、縦軸は評価特性値Yである。更に、Yの設計許容値を示す線が引かれている。Yの値が設計許容値を超えているものが設計可能な解である。この例では、設計可能なXとYの組からなる点が、3つのクラスタに分類されている。また、クラスタ毎に解の制御因子Xが評価特性値Yに与える影響度は異なる。例えば、クラスタ1においてXが大きく変化してもYはそれほど大きく変化しない。一方、クラスタ2、クラスタ3においてXの変化に対するYの変化は大きい。このように、クラスタに分類し、個々に分析を行うことにより、精度の高い分析を行うことができる。
図22は、実施の形態1に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、クラスタリング部41は、処理S71と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部31へ出力する(S81)。次に、応答曲面算出部31は、クラスタ毎に、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S82)、このフローを終了する。
図23は、実施の形態1に係る第6の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、クラスタリング部41は、処理S71と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部31へ出力する(S91)。次に、応答曲面算出部31は、クラスタ毎に、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、品質工学分析部32へ出力する(S92)。次に、品質工学分析部32は、クラスタ毎に、応答曲面算出部31から得られた応答曲面を用いて、クラスタの重心を基準とした制御因子の任意の値で制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S93)、このフローを終了する。
なお、必ずしも本実施の形態における構成を全て備える必要はなく、一部だけを備える構成としても良い。また、必ずしも分析方法の全てを備える必要はなく、一部だけを実行しても良い。
実施の形態2.
実施の形態1の設計支援装置においては、誤差因子、信号因子等の外側因子の数や、その水準数が多い場合には、シミュレーションの数が莫大な数となり、実行に時間が掛かる。本実施の形態では、シミュレーションの数を削減する設計支援装置について説明する。
まず、実施の形態2に係る設計支援装置の構成について説明する。図24は、実施の形態2に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。図24において、図1と同一符号は図1に示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。図1と比較すると図24は、設計支援装置1の代わりに設計支援装置101を備える。設計支援装置1と比較する設計支援装置101は、シミュレーション入力作成部12の代わりにシミュレーション入力作成部112を備え、分析部30の代わりに分析部130を備える。分析部30と比較すると分析部130は、応答曲面算出部31の代わりに応答曲面算出部131を備え、品質工学分析部32の代わりに品質工学分析部132を備え、クラスタリング部41の代わりにクラスタリング部141を備える。
次に、本実施の形態に係る設計支援装置の動作について説明する。図25は、実施の形態2に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。図25において、図2と同一符号は図2に示された対象と同一又は相当処理を示しており、ここでの説明を省略する。図2と比較すると図25は、処理S13の代わりに処理S113を実行し、処理S31の代わりに処理S131を実行する。
ここで、処理S113について説明する。図26は、通常の品質工学における誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。この例では、誤差因子1個(X)が3水準、制御因子2個(A,B)が3水準の場合、通常の品質工学では27ケース(C1〜C27)のシミュレーションを実行する必要がある。シミュレーション入力作成部112は、品質工学において通常は外側因子となる誤差因子等を、内側因子として適切な直交表に割り付けることにより、シミュレーションに用いる設計パラメータの組み合わせの数を削減する。図27は、実施の形態2に係るシミュレーション入力作成部による誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。シミュレーション指示部61によれば、図26と図27の例に示すように27ケース(C1〜C27)から9ケース(D1〜D9)へと、シミュレーションに要する時間を1/3に削減することができる。
更に、シミュレーション入力作成部112は、シミュレーション入力作成部12と同様にしてシミュレーション入力ファイルを作成する。
次に、処理S131について説明する。シミュレーション結果抽出部22から分析部130へは、削減された設計パラメータ値と評価特性値の組が入力される。分析部130においては、始めに応答曲面算出部131が削減された組み合わせから応答曲面を算出することにより、制御因子の任意の値に対する評価特性値を応答曲面から求めることができる。従って、シミュレーション入力作成部112により組み合わせが削減されているものの、分析に用いる組み合わせを任意に取ることができる。また、分析部130は、ユーザに選択された分析方法を用いて分析を行う。ここでは、5種類の分析方法について説明する。
図28は、実施の形態2に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い(S151)、このフローを終了する。
図29は、実施の形態2に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、応答曲面算出部131は、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、品質工学分析部132へ出力する(S161)。次に、品質工学分析部132は、応答曲面算出部131から得られた応答曲面を用いて任意の制御因子値と特性値の組を算出し、制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S162)、このフローを終了する。
図30は、実施の形態2に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、応答曲面算出部131は、上述した応答曲面の算出を行い、クラスタリング部141へ出力する(S170)。次に、クラスタリング部141は、応答曲面算出部131から得られた応答曲面を用いて任意の設計パラメータ値と評価特性値の組を算出し、予め設定された設計許容値と比較することにより、設計可能となる特性値に対応する設計パラメータ値と評価特性値の組を選択する。更に、処理S71と同様にして選択した組をクラスタに分類するクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を品質工学分析部132へ出力する(S171)。次に、品質工学分析部132は、クラスタ毎に、処理S41と同様にして影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S172)、このフローを終了する。
図31は、実施の形態2に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、応答曲面算出部131は、処理S170と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタリング部141へ出力する(S180)。次に、クラスタリング部141は、処理S171と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部131へ出力する(S181)。次に、応答曲面算出部131は、クラスタ毎に、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S182)、このフローを終了する。
図32は、実施の形態2に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、応答曲面算出部131は、処理S170と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタリング部141へ出力する(S190)。次に、クラスタリング部141は、処理S171と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部131へ出力する(S191)。次に、応答曲面算出部131は、クラスタ毎に、上述した応答曲面の算出を行い、品質工学分析部132へ出力する(S192)。次に、品質工学分析部132は、応答曲面算出部131から得られたクラスタ毎の応答曲面を用いて、クラスタの重心を基準とした制御因子の任意の値で制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S193)、このフローを終了する。
更に、設計支援装置を構成するコンピュータに上述した各ステップを実行させるプログラムを、設計支援プログラムとして提供することができる。上述したプログラムは、コンピュータにより読取り可能な記録媒体に記憶させることによって、設計支援装置を構成するコンピュータに実行させることが可能となる。ここで、上記コンピュータにより読取り可能な記録媒体としては、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
なお、分析部は、実施の形態における応答曲面算出部、品質工学分析部、クラスタリング部に対応する。
本発明によれば、自動的に実験計画、シミュレーション、分析を行うことができることから、品質工学に関する高度な知識を必要としない。また、シミュレーションの数を削減し、応答曲面を用いて任意の特性値についての分析を行うことにより、極めて高速に分析を行うことができる。特性値をクラスタに分類し、個々に分析を行うことにより、精度が高い分析を行うことができる。
本発明は、品質工学とシミュレーションを用いて、設計パラメータと設計対象の特性との関係を効率的に評価する設計支援装置、設計支援方法、設計支援プログラムに関するものである。
コンピュータや携帯電話等の電子機器において、高密度化、高集積化が年々進んでいる。そのため、設計段階において、十分な品質を保証するとともに、想定する機能が十分得られるか検証する必要がある。製品試作前に、品質や機能を評価する方法として、有限要素法等のシミュレーション技術をベースとしたCAE(Computer Aided Engineering)システムがある。今日では、新規の設計、開発においてCAEシステムによる評価は必須となっている。
一方で、シミュレーションのみの評価は、ある特定の設計案が要求仕様を満たしているかどうかの確認のみが可能である。従って、ある設計パラメータが特性値に与える影響、ある設計パラメータに変動があった場合の特性値に与える影響等、は不明である。これらの影響を分析するためには、品質工学等の分析とシミュレーションを組み合わせて実行する方法が有効である。
なお、本発明の関連ある従来技術として、例えば、下記に示す特許文献1が知られている。この設備信頼性設計支援装置は、タグチメソッドに基づいて設備と部品の設計変数を直交表に割り付け、この直交表に基づいて設計解析モデルまたは逆問題解析モデルの解析を行い、この解析結果に基づいて応答曲面を求め、この応答曲面を用いて最適化設計を行うものである。
特開2001−125933号公報
しかしながら、従来の品質工学分析を行うためには、大変多くのシミュレーションを行う必要があり、多くの工数を必要とするとともに、結果を得るまでに数日を要する場合もあり、迅速な評価は困難であった。また、設計者が、品質工学、実験計画法等の分析手順をマスターしておく必要があり、マスターしていない場合は専門家と相談しながら進める必要があった。また、従来の品質工学分析では、設計パラメータが特性値に与える影響の分析は可能であるが、設計パラメータが任意の値に変化した場合の特性値の変化を求めることは困難であった。また、従来の品質工学分析においては、シミュレーションにより得られた特性値の全てを1つの集合の特性として品質工学分析を行っていたが、この集合には設計可能でない範囲も含まれており、設計可能な範囲における精度が十分でない場合があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、設計パラメータと設計対象の特性との関係について、容易に精度の高い分析を行うための設計支援装置、設計支援方法、設計支援プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションを用いて、設計パラメータ値と特性値との関係についての分析を行う設計支援装置であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画部と、誤差因子、信号因子等の外側因子を内側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、前記シミュレーションへの入力を作成するシミュレーション入力作成部と、前記シミュレーションへの入力を用いて、前記シミュレーションの実行の指示を行うシミュレーション指示部と、前記シミュレーションの結果に基づいて設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行う分析部とを備えたものである。
また、本発明に係る設計支援装置において、更に、前記シミュレーションの結果として得られる設計パラメータ値と特性値を用いて、設計パラメータ値と特性値との関係を表す応答曲面を算出する応答曲面算出部を有し、前記分析部は、前記応答曲面を用いて任意の設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る設計支援装置において、更に、前記設計パラメータ値と特性値の組から、特性値が所定の基準を満たす組を選択し、選択した設計パラメータ値と特性値の組で表される点の間の距離に基づいて、前記選択した設計パラメータ値と特性値の組をクラスタに分類するクラスタリング部を有し、前記分析部は、前記クラスタ毎の設計パラメータ値と特性値の組を用いて、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションに対して、必要な設定をシミュレーション入力ファイルとして作成する設計支援装置であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画部と、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーション入力ファイルの設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものを前記シミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えるシミュレーション入力作成部とを備えたものである。
また、本発明に係る設計支援装置において、前記シミュレーション入力作成部は、誤差因子、信号因子等の外側因子を内側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーションの設定について設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものをシミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えることを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションを用いて、設計パラメータ値と特性値との関係についての分析を行う設計支援方法であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画ステップと、誤差因子、信号因子等の外側因子を内側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、前記シミュレーションへの入力を作成するシミュレーション入力作成ステップと、前記シミュレーションへの入力を用いて、前記シミュレーションの実行の指示を行うシミュレーション指示ステップと、前記シミュレーションの結果に基づいて設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行う分析ステップとを実行するものである。
また、本発明に係る設計支援方法において、更に前記シミュレーション指示ステップとの前記分析ステップの間に、前記シミュレーションの結果として得られる設計パラメータ値と特性値を用いて、設計パラメータ値と特性値との関係を表す応答曲面を算出する応答曲面算出ステップを有し、前記分析ステップは、前記応答曲面を用いて任意の設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る設計支援方法において、更に前記シミュレーション指示ステップとの前記分析ステップの間に、前記設計パラメータ値と特性値の組から、特性値が所定の基準を満たす組を選択し、選択した設計パラメータ値と特性値の組で表される点の間の距離に基づいて、前記選択した設計パラメータ値と特性値の組をクラスタに分類するクラスタリングステップを有し、前記分析ステップは、前記クラスタ毎の設計パラメータ値と特性値の組を用いて、分析を行うことを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションに対して、必要な設定をシミュレーション入力ファイルとして作成する設計支援方法であって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画ステップと、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーション入力ファイルの設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものを前記シミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えるシミュレーション入力作成ステップとを実行するものである。
また、本発明に係る設計支援方法において、前記シミュレーション入力作成ステップは、誤差因子、信号因子等の外側因子を内側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、設計パラメータ名と識別子の対応付けを予め用意し、前記シミュレーションの設定について設計パラメータ値を識別子で記述したファイルであるシミュレーション入力雛形ファイルを予め用意し、前記設計パラメータ値の組み合わせ毎に、前記シミュレーション入力雛形ファイル中の識別子を前記対応付けに従って設計パラメータ値に置き換えたものをシミュレーション入力ファイルとして出力し、設計パラメータのうちの誤差因子名が制御因子名と一致する場合には、該誤差因子名に対応する識別子を、制御因子値に誤差因子値を加えた値へと置き換えることを特徴とするものである。
また、本発明は、制御因子、誤差因子、信号因子等の設計パラメータ値の組み合わせから設計対象の特性値を求めるシミュレーションを用いて、設計パラメータ値と特性値との関係についての分析を行う設計支援方法をコンピュータに実行させる設計支援プログラムであって、設計パラメータ値を直交表に割り付けることにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する実験計画ステップと、誤差因子、信号因子等の外側因子を内側因子として直交表に割り付けることにより、前記設計パラメータ値の組み合わせの数を削減し、前記シミュレーションへの入力を作成するシミュレーション入力作成ステップと、前記シミュレーションへの入力を用いて、前記シミュレーションの実行の指示を行うシミュレーション指示ステップと、前記シミュレーションの結果に基づいて設計パラメータ値と特性値の組を算出し、分析を行う分析ステップとをコンピュータに実行させるものである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
まず、本実施の形態に係る設計支援装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。この設計支援装置1は、実験計画部11、シミュレーション入力作成部12、シミュレーション指示部21、シミュレーション結果抽出部22、分析部30、設計情報DB(データベース)50、表示部51を備える。分析部30は、応答曲面算出部31、品質工学分析部32、クラスタリング部41を備える。シミュレーションサーバ2は、シミュレーション指示部21から受信したシミュレーション入力ファイルに従って設計対象に関するシミュレーションを行い、シミュレーション結果をシミュレーション結果抽出部22へ送信する。このシミュレーションは、シミュレーション入力ファイルに含まれる設計パラメータ値を用いて評価を行うことにより、設計対象の特性値を算出し、評価特性値としてシミュレーション結果に含める。
次に、実施の形態1に係る設計支援装置の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。まず、実験計画部11は、ユーザからのGUI(Graphical User Interface)入力またはファイル入力により、設計パラメータである制御因子と誤差因子と信号因子の変数名、各変数の水準数、各水準値を取得する(S11)。
次に、実験計画部11は、設計パラメータの種類、変数の数、水準数に応じた直交表を作成することにより、設計パラメータ値の適切な組み合わせを選択し、シミュレーション入力作成部12へ渡す(S12)。ここで、実験計画部11は、自動的に適切な直交表の選択と、直交表への設計パラメータ値の割り付けを行うことにより、設計パラメータ値の組み合わせを選択する。設計パラメータに応じた直交表作成方法は、次の4つのケースに対応する。
第1のケースは、制御因子を適切な直交表に割り付け、誤差因子の全組み合わせを実施し、信号因子を含まない場合である。図3は、本発明に係る第1のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、誤差因子はX,Yである。
第2のケースは、制御因子と誤差因子を適切な直交表に割り付け、直積実験を行い、信号因子を含まない場合である。図4は、本発明に係る第2のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、誤差因子はX,Y,Z,Wである。
第3のケースは、制御因子を適切な直交表に割り付け、誤差因子の調合を行い、条件を2〜3条件に統一し、信号因子を含まない場合である。図5は、本発明に係る第3のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、誤差因子はX,Y,Z,W、条件はN1,N2である。
第4のケースは、制御因子を適切な直交表に割り付け、信号因子を含む動特性の場合で、第1〜第3のケースに示した誤差因子割り付け方法の全ての組み合わせを実行可能とする。図6は、本発明に係る第4のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。この例において、制御因子はA,B,C,D、信号因子はM1,M2,M3、条件はN1,N2である。
ここで、直交表作成のGUIの例を挙げる。図7は、本発明に係る直交表作成における解析パターンの設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、内側因子と外側因子の組み合わせ数の設定を行う。図8は、本発明に係る直交表作成における制御因子の設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、直交表のタイプ、制御因子の変数名と水準値の設定を行う。図9は、本発明に係る直交表作成における制御因子の組み合わせの設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、直交表に基づいた、制御因子の組み合わせの設定を行う。図10は、本発明に係る直交表作成における誤差因子の設定のGUIの一例を示す図である。ここでユーザは、誤差因子の変数名と水準値、更に誤差因子の調合の設定を行う。
次に、シミュレーション入力作成部12は、実験計画部11で得られた設計パラメータの組み合わせと予め用意されたシミュレーション入力雛形ファイルを用いて、設計パラメータの組み合わせ毎のシミュレーション入力ファイルを作成し、シミュレーション指示部21へ渡す(S13)。ここで、シミュレーション入力ファイルは、シミュレーションに入力する設定を記述したファイルである。また、シミュレーション入力雛形ファイルは、シミュレーション入力ファイルの元となる基本的な設定を記述したファイルであり、“$”を付けた変数番号で変数を記す。図11は、本発明に係る変数名と変数番号の対応付けの一例を示す表である。制御因子の変数名は現れた順に$1から始まる連番で対応づけられ、誤差因子の変数名は現れた順に$1001から始まる連番で対応づけられ、信号因子の変数名は現れた順に$2001から始まる連番で対応づけられる。図12は、本発明に係るシミュレーション入力雛形ファイルの一例を示す表である。このシミュレーション入力雛形ファイル中には、“$”を付けた変数番号が含まれている。ここでは、“$”を付けた変数番号を用いたが、他の識別子を用いても良い。
シミュレーション入力作成部12は、このシミュレーション入力雛形ファイル中の変数番号は、変数名と変数番号の対応付けに従って、実験計画部11で得られた設計パラメータの組み合わせ毎の変数値に置き換えられ、シミュレーション入力ファイルとして作成される。ここで、誤差因子名が制御因子名と一致しない場合は、上述した置き換えがそのまま行われるが、誤差因子名が制御因子名と一致する場合、誤差因子名は制御因子に対する誤差の変数名と認識された後、上述した置き換えが行われる。例えば図11の例において、誤差因子Aは、制御因子Aと同じ変数名であるため、誤差因子ΔAとして扱う。また、シミュレーション入力雛形ファイルにおける“$1”は、シミュレーション入力ファイルにおいて制御因子Aの値に置き換えられ、シミュレーション入力雛形ファイルにおける“$2001”は、シミュレーション入力ファイルにおいて制御因子に誤差因子を含めたA+ΔAの値に置き換えられる。図13は、本発明に係るシミュレーション入力ファイルの一例を示す表である。図12のシミュレーション入力雛形ファイル中の変数番号が変数値に置き換えられている。このシミュレーション入力作成部12により、1つのシミュレーション入力雛形ファイルを容易しておくだけで多数のシミュレーション入力ファイルを容易に作成することができると共に、誤差因子名が制御因子名と一致する場合でも適切な処理を行うことができる。
次に、シミュレーション指示部21は、シミュレーション入力ファイルをシミュレーションサーバ2へ送信し、シミュレーションの実行を指示する(S21)。次に、シミュレーション結果抽出部22は、シミュレーションサーバ2からシミュレーション結果を受信すると(S22)、シミュレーション結果から分析に必要な評価特性値を抽出し、シミュレーション毎の設計パラメータ値と評価特性値の組として分析部30へ渡す(S23)。抽出された評価特性値は参照することもできる。図14は、本発明に係る評価特性値参照のGUIの一例を示す図である。ここでは、シミュレーション毎の評価特性値が表示される。
次に、分析部30は、ユーザから指定された分析方法に応じた分析を行い、分析結果を設計情報データベース50に格納する(S31)。次に、表示部51は、分析結果の表示を行い(S32)、このフローを終了する。
次に、分析部30における動作の詳細について説明する。分析部30は、ユーザに選択された分析方法を用いて分析を行う。ここでは、6種類の分析方法について説明する。
図15は、実施の形態1に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、品質工学分析部32は、入力された設計パラメータ値と評価特性値の組の集合から、制御因子が評価特性値に与える影響度の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S41)、このフローを終了する。影響度とは、例えばSN比である。分析結果である影響度は、表示部51により表示することができる。図16は、本発明に係る品質工学分析部の分析結果の表示の一例を示す図である。この図の例は、2水準の制御因子、10個について分析した場合であり、各制御因子の水準値の変化に対するSN比[dB]の変化が表されている。例えば、制御因子Aの水準値がA1からA2へ変化すると、SN比は約−5dB変化することが分かる。
図17は、実施の形態1に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、応答曲面算出部31は、入力された設計パラメータ値と評価特性値の組の集合から、最小二乗法を用いて、設計パラメータ値と評価特性値との関係を表す近似式である応答曲面の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S51)、このフローを終了する。図18は、本発明に係る応答曲面算出部の分析結果の表示設定の画面の一例を示す図である。この画面において表示設定を行い、「グラフ出力」のボタンをクリックすると、分析結果である応答曲面のグラフが表示部51により表示される。
図19は、実施の形態1に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、応答曲面算出部31は、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、品質工学分析部32へ出力する(S61)。次に、品質工学分析部32は、応答曲面算出部31から得られた応答曲面を用いて、制御因子の任意の値で制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S62)、このフローを終了する。
図20は、実施の形態1に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、クラスタリング部41は、入力された設計パラメータと評価特性値の組から、予め設定された設計許容値以上となる評価特性値を持つ組を選択する。ここで、評価特性値が設計許容値以上であれば設計可能な評価特性値と判断する。更に、選択した組をクラスタに分類するクラスタリングを行い、クラスタ毎に設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を品質工学分析部32へ出力する(S71)。ここでは、設計パラメータ値と評価特性値の組で表される点の間の距離であるユークリッド距離またはマハラノビス距離を算出し、距離に基づく近傍の点をクラスタとしてまとめることによりクラスタリングを行う。次に、品質工学分析部32は、クラスタ毎に、処理S41と同様にして影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S72)、このフローを終了する。
図21は、本発明に係るクラスタリング部の動作の一例を示す図である。横軸は1変数、17水準の制御因子X、縦軸は評価特性値Yである。更に、Yの設計許容値を示す線が引かれている。Yの値が設計許容値を超えているものが設計可能な解である。この例では、設計可能なXとYの組からなる点が、3つのクラスタに分類されている。また、クラスタ毎に解の制御因子Xが評価特性値Yに与える影響度は異なる。例えば、クラスタ1においてXが大きく変化してもYはそれほど大きく変化しない。一方、クラスタ2、クラスタ3においてXの変化に対するYの変化は大きい。このように、クラスタに分類し、個々に分析を行うことにより、精度の高い分析を行うことができる。
図22は、実施の形態1に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、クラスタリング部41は、処理S71と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部31へ出力する(S81)。次に、応答曲面算出部31は、クラスタ毎に、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S82)、このフローを終了する。
図23は、実施の形態1に係る第6の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、クラスタリング部41は、処理S71と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部31へ出力する(S91)。次に、応答曲面算出部31は、クラスタ毎に、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、品質工学分析部32へ出力する(S92)。次に、品質工学分析部32は、クラスタ毎に、応答曲面算出部31から得られた応答曲面を用いて、クラスタの重心を基準とした制御因子の任意の値で制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S93)、このフローを終了する。
なお、必ずしも本実施の形態における構成を全て備える必要はなく、一部だけを備える構成としても良い。また、必ずしも分析方法の全てを備える必要はなく、一部だけを実行しても良い。
実施の形態2.
実施の形態1の設計支援装置においては、誤差因子、信号因子等の外側因子の数や、その水準数が多い場合には、シミュレーションの数が莫大な数となり、実行に時間が掛かる。本実施の形態では、シミュレーションの数を削減する設計支援装置について説明する。
まず、実施の形態2に係る設計支援装置の構成について説明する。図24は、実施の形態2に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。図24において、図1と同一符号は図1に示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。図1と比較すると図24は、設計支援装置1の代わりに設計支援装置101を備える。設計支援装置1と比較する設計支援装置101は、シミュレーション入力作成部12の代わりにシミュレーション入力作成部112を備え、分析部30の代わりに分析部130を備える。分析部30と比較すると分析部130は、応答曲面算出部31の代わりに応答曲面算出部131を備え、品質工学分析部32の代わりに品質工学分析部132を備え、クラスタリング部41の代わりにクラスタリング部141を備える。
次に、本実施の形態に係る設計支援装置の動作について説明する。図25は、実施の形態2に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。図25において、図2と同一符号は図2に示された対象と同一又は相当処理を示しており、ここでの説明を省略する。図2と比較すると図25は、処理S13の代わりに処理S113を実行し、処理S31の代わりに処理S131を実行する。
ここで、処理S113について説明する。図26は、通常の品質工学における誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。この例では、誤差因子1個(X)が3水準、制御因子2個(A,B)が3水準の場合、通常の品質工学では27ケース(C1〜C27)のシミュレーションを実行する必要がある。シミュレーション入力作成部112は、品質工学において通常は外側因子となる誤差因子等を、内側因子として適切な直交表に割り付けることにより、シミュレーションに用いる設計パラメータの組み合わせの数を削減する。図27は、実施の形態2に係るシミュレーション入力作成部による誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。シミュレーション指示部61によれば、図26と図27の例に示すように27ケース(C1〜C27)から9ケース(D1〜D9)へと、シミュレーションに要する時間を1/3に削減することができる。
更に、シミュレーション入力作成部112は、シミュレーション入力作成部12と同様にしてシミュレーション入力ファイルを作成する。
次に、処理S131について説明する。シミュレーション結果抽出部22から分析部130へは、削減された設計パラメータ値と評価特性値の組が入力される。分析部130においては、始めに応答曲面算出部131が削減された組み合わせから応答曲面を算出することにより、制御因子の任意の値に対する評価特性値を応答曲面から求めることができる。従って、シミュレーション入力作成部112により組み合わせが削減されているものの、分析に用いる組み合わせを任意に取ることができる。また、分析部130は、ユーザに選択された分析方法を用いて分析を行う。ここでは、5種類の分析方法について説明する。
図28は、実施の形態2に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い(S151)、このフローを終了する。
図29は、実施の形態2に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、応答曲面算出部131は、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、品質工学分析部132へ出力する(S161)。次に、品質工学分析部132は、応答曲面算出部131から得られた応答曲面を用いて任意の制御因子値と特性値の組を算出し、制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、分析結果として設計情報データベースへ格納し(S162)、このフローを終了する。
図30は、実施の形態2に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。この分析方法において、まず、応答曲面算出部131は、上述した応答曲面の算出を行い、クラスタリング部141へ出力する(S170)。次に、クラスタリング部141は、応答曲面算出部131から得られた応答曲面を用いて任意の設計パラメータ値と評価特性値の組を算出し、予め設定された設計許容値と比較することにより、設計可能となる特性値に対応する設計パラメータ値と評価特性値の組を選択する。更に、処理S71と同様にして選択した組をクラスタに分類するクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を品質工学分析部132へ出力する(S171)。次に、品質工学分析部132は、クラスタ毎に、処理S41と同様にして影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S172)、このフローを終了する。
図31は、実施の形態2に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、応答曲面算出部131は、処理S170と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタリング部141へ出力する(S180)。次に、クラスタリング部141は、処理S171と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部131へ出力する(S181)。次に、応答曲面算出部131は、クラスタ毎に、処理S51と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S182)、このフローを終了する。
図32は、実施の形態2に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。まず、応答曲面算出部131は、処理S170と同様にして応答曲面の算出を行い、クラスタリング部141へ出力する(S190)。次に、クラスタリング部141は、処理S171と同様にしてクラスタリングを行い、クラスタ毎の設計パラメータ値と評価特性値の組の集合を応答曲面算出部131へ出力する(S191)。次に、応答曲面算出部131は、クラスタ毎に、上述した応答曲面の算出を行い、品質工学分析部132へ出力する(S192)。次に、品質工学分析部132は、応答曲面算出部131から得られたクラスタ毎の応答曲面を用いて、クラスタの重心を基準とした制御因子の任意の値で制御因子が特性値に与える影響度の算出を行い、クラスタ毎の分析結果として設計情報データベースへ格納し(S193)、このフローを終了する。
更に、設計支援装置を構成するコンピュータに上述した各ステップを実行させるプログラムを、設計支援プログラムとして提供することができる。上述したプログラムは、コンピュータにより読取り可能な記録媒体に記憶させることによって、設計支援装置を構成するコンピュータに実行させることが可能となる。ここで、上記コンピュータにより読取り可能な記録媒体としては、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
なお、分析部は、実施の形態における応答曲面算出部、品質工学分析部、クラスタリング部に対応する。
本発明によれば、自動的に実験計画、シミュレーション、分析を行うことができることから、品質工学に関する高度な知識を必要としない。また、シミュレーションの数を削減し、応答曲面を用いて任意の特性値についての分析を行うことにより、極めて高速に分析を行うことができる。特性値をクラスタに分類し、個々に分析を行うことにより、精度が高い分析を行うことができる。
実施の形態1に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
実施の形態1に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
本発明に係る第1のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る第2のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る第3のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る第4のケースにおける設計パラメータの割り付けの一例を示す直交表である。
本発明に係る直交表作成における解析パターンの設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る直交表作成における制御因子の設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る直交表作成における制御因子の組み合わせの設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る直交表作成における誤差因子の設定のGUIの一例を示す図である。
本発明に係る変数名と変数番号の対応付けの一例を示す表である。
本発明に係るシミュレーション入力雛形ファイルの一例を示す表である。
本発明に係るシミュレーション入力ファイルの一例を示す表である。
本発明に係る評価特性値参照のGUIの一例を示す図である。
実施の形態1に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。
本発明に係る品質工学分析部の分析結果の表示の一例を示す図である。
実施の形態1に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。
本発明に係る応答曲面算出部の分析結果の表示設定のGUIの一例を示す図である。
実施の形態1に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態1に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。
本発明に係るクラスタリング部の動作の一例を示す図である。
実施の形態1に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態1に係る第6の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
実施の形態2に係る設計支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
通常の品質工学における誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。
実施の形態2に係るシミュレーション入力作成部による誤差因子の割り付けの一例を示す直交表である。
実施の形態2に係る第1の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第2の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第3の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第4の分析方法の一例を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る第5の分析方法の一例を示すフローチャートである。