JP6711094B2 - 生タイヤの温度シミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加硫工程中の生タイヤの温度及び加硫量を予測するための生タイヤの温度シミュレーション方法に関する。
従来、生タイヤの加硫工程では、タイヤの外表面を成形する金型と、金型にセットされた未加硫の生タイヤの内腔内で膨張するブラダーとが用いられている。金型は、その内部等に設けられた発熱手段によって加熱されている。そして、これらの金型とブラダーとの間で、生タイヤが加熱及び加圧されることにより、加硫成形されたタイヤが製造される。
下記特許文献1では、コンピュータを用いて、加硫工程での生タイヤの温度を計算する方法が提案されている。このシミュレーション方法では、先ず、コンピュータに、生タイヤをモデル化した生タイヤモデルが入力される。そして、コンピュータが、生タイヤモデルを用いた熱伝導解析を行い、生タイヤモデルの温度を計算している。
特開2013−116583号公報
上記特許文献1のシミュレーション方法は、熱伝導解析において、生タイヤモデルの外表面の全域に、加硫時の金型の温度が均一に設定されている。他方、実際の加硫工程において、金型の成形面は、不均一な温度分布を有している。従って、上記特許文献1のシミュレーション方法は、実際の金型の温度を考慮しておらず、ひいては、現実の生タイヤの温度を精度よく予測できないという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、生タイヤの温度を精度よく予測できる生タイヤの温度シミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、金型と、高圧流体の供給により生タイヤの内腔内で膨張し、かつ、前記生タイヤを前記金型側へ押圧するブラダーとを用いて、前記生タイヤを加硫する加硫工程での前記生タイヤの温度を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、前記コンピュータに、前記生タイヤを有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルを入力する工程、 前記コンピュータに、前記金型を有限個の要素でモデル化することにより、前記生タイヤモデルを配置するための内部空間を有する金型モデルを入力する工程前記コンピュータに、前記ブラダーを有限個の要素でモデル化したブラダーモデルを入力する工程とを含み、
前記コンピュータは、前記生タイヤモデルを、前記金型モデルの前記内部空間に配置する工程、前記ブラダーモデルを、前記生タイヤモデルの内腔内に配置する工程、前記高圧流体の温度条件に基づいて、前記ブラダーモデルの温度を上昇させる工程、前記加硫工程で前記金型に設定される予め定められた温度条件に基づいて、前記金型モデルの温度を上昇させる工程、及び前記ブラダーモデルの温度と前記金型モデルの温度に基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する伝熱工程を実行し、前記伝熱工程は、前記ブラダーモデルの温度のみに基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する第1伝熱工程と、前記第1伝熱工程後、前記金型モデルの温度、及び、前記ブラダーモデルの温度に基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する第2伝熱工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記第1伝熱工程は、前記金型モデルと前記生タイヤモデルとの間で熱伝達を遮断する境界条件の下で行われるのが望ましい。
本発明に係る前記生タイヤの温度シミュレーション方法において、前記第2伝熱工程は、前記金型モデルと前記生タイヤモデルとの間で熱伝達を有効にする境界条件の下で行われるのが望ましい。
本発明の生タイヤの温度シミュレーション方法は、金型を有限個の要素でモデル化したる金型モデルを入力する工程、及び、生タイヤモデルを、金型モデルの内部空間に配置する工程を含んでいる。さらに、本発明の生タイヤの温度シミュレーション方法は、コンピュータが、加硫工程で金型に設定される予め定められた温度条件に基づいて、金型モデルの温度を上昇させる工程、及び、少なくとも金型モデルの温度に基づいて、生タイヤモデルの温度を計算する伝熱工程を含んでいる。
本発明のシミュレーション方法は、前記温度条件に基づいて、金型モデルの温度を上昇させているため、実際の加硫工程での金型と同様に、金型モデルの成形面に、不均一な温度分布を再現することができる。従って、本発明のシミュレーション方法は、実際の生タイヤの温度を精度よく予測することができる。さらに、予測された生タイヤの温度は、生タイヤの加硫量を精度よく予測するのに役立つ。
生タイヤの温度シミュレーション方法を実行するコンピュータ1の一例を示す斜視図である。 評価対象のタイヤの一例を示す断面図である。 加硫工程の一例を説明する部分断面図である。 生タイヤの温度シミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態のシミュレーション方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル、及び、ブラダーモデルの一例を示す図である。 図5の部分拡大図である。 配置工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 境界条件定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ブラダー温度上昇工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 金型温度上昇工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 伝熱工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第1伝熱工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2伝熱工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 生タイヤモデルの温度と時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の生タイヤの温度シミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、加硫工程での生タイヤの温度を、コンピュータを用いて予測するための方法である。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータ1の一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、評価対象のタイヤ2の一例を示す断面図である。本実施形態のタイヤ2は、例えば、乗用車用の空気入りタイヤとして構成されている。タイヤ2は、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層7とが設けられている。トレッド部2aは、トレッド部2aの外面から凹む溝10やサイプ(図示省略)を含むトレッドパターンが形成されている。
カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aで構成されている。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んでいる。この本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配されている。また、カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75〜90度の角度で配列されたカーカスコード(図示省略)を有している。
カーカス6の内面には、タイヤ2の内腔面2iを形成するインナーライナゴム9が設けられている。このインナーライナゴム9は、例えば、耐空気透過性に優れるブチル系ゴムからなり、空気漏れを防止する。
本実施形態のベルト層7は、内側ベルトプライ7Aと、内側ベルトプライ7Aのタイヤ半径方向外側に配置された外側ベルトプライ7Bとを含んで構成されている。ベルトプライ7A、7Bは、タイヤ周方向に対して、例えば10〜35度の角度で配列されたベルトコード(図示省略)を有している。内側ベルトプライ7Aのベルトコードと、外側ベルトプライ7Bのベルトコードとは、互いに交差する向きに重ね合わされている。ベルトコードとしては、例えば、スチール、アラミド、又は、レーヨン等が好適に採用されうる。
本実施形態のタイヤ2は、慣例に従い、未加硫の生タイヤが、金型内で加硫成形されることによって製造される。図3は、加硫工程の一例を説明する部分断面図である。
本実施形態の加硫工程では、タイヤ2の外表面を成形する金型11と、金型11にセットされた生タイヤ2Lの内腔内で膨張するブラダー12とが用いられている。加硫工程において、ブラダー12は、高圧流体(図示省略)の供給によって膨張し、生タイヤ2Lの内腔面2iに当接する。その後、ブラダー12は継続して膨張し、生タイヤ2Lを金型11に当接させ、金型11側へ押圧する。これにより、生タイヤ2Lは、金型11とブラダー12との間で加熱及び加圧され、加硫成形されたタイヤ2(図2に示す)が製造される。
金型11は、例えば、サイドウォール成形面13sを有する一対のサイドウォール成形型13、13と、トレッドゴム成形面14sを有するトレッド成形型14とを含んで構成されている。トレッド成形型14は、タイヤ周方向に分割されている。これらのサイドウォール成形型13及びトレッド成形型14が嵌め合わされることにより、タイヤ2の外表面2oを成形しうる成形面11sが形成される。トレッドゴム成形面14sには、図2に示したトレッド部2aの溝10やサイプ(図示省略)を含むトレッドパターンを形成するための凸部18が設けられている。
さらに、金型11は、セクターシュー15、アクチュエータリング16、下プレート19及び上プレート20を含んでいる。セクターシュー15は、トレッド成形型14のタイヤ半径方向外側に嵌合され、かつ、タイヤ半径方向外側に斜面15sを有している。アクチュエータリング16は、図示しない駆動手段によって昇降可能に支持されている。下プレート19及び上プレート20は、サイドウォール成形型13、13のタイヤ軸方向外側に配置されている。また、金型11には、例えば、電気ヒータ等の加熱手段(図示省略)が配置されている。
このような金型11は、周知のように、アクチュエータリング16を上昇させてトレッド成形型14を拡径させるとともに、サイドウォール成形型13及び上プレート20を上方に位置させることにより、生タイヤ2Lが投入される。しかる後、金型11は、サイドウォール成形型13及び上プレート20を、アクチュエータリング16とともに下降させることで、セクターシュー15及びトレッド成形型14をタイヤ半径方向内方に型締めできる。
ブラダー12は、膨張可能なゴム状弾性体で構成されている。ブラダー12の内部空間12sには、図示しない供給手段から高圧流体(図示省略)が供給される。高圧流体としては、水蒸気に、例えば、窒素等の不活性気体の少なくとも1つ、又は、複数の不活性気体を混合して構成される。高圧流体の温度としては、例えば、約140〜220℃に設定される。
本実施形態のシミュレーション方法は、加硫時の金型11の温度を考慮して、生タイヤ2Lの温度が計算される。図4は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション方法は、先ず、コンピュータ1に、生タイヤ2L(図3に示す)を有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルが入力される(工程S1)。図5は、本実施形態のシミュレーション方法で利用される金型モデル、生タイヤモデル、及び、ブラダーモデルの一例を示す図である。図6は、図5の部分拡大図である。
工程S1は、図6に示されるように、金型11(図3に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、生タイヤ2L(図3に示す)が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素G(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、生タイヤモデル32が設定される。図6において、生タイヤモデル32は、他のモデルと区別しやすいように色を付けて示されている。
本実施形態の生タイヤモデル32は、三次元モデルとして設定されている。なお、生タイヤモデル32は、二次元モデルとして設定されてもよい。また、生タイヤモデル32のトレッド部32aの外面には、溝28やサイプ(図示省略)を含むトレッドパターンが設定されている。
数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できる。本実施形態では、有限要素法が採用される。図6に示されるように、各要素F(i)としては、例えば、4面体ソリッド要素等を採用できる。なお、二次元モデルである場合は、四辺形要素等を採用できる。
各要素G(i)には、複数個の節点34が設けられる。各要素G(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、生タイヤ2L(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。このような生タイヤモデル32は、例えば、市販のメッシュ化ソフトウエアを用いることにより、容易に設定(モデリング)できる。生タイヤモデル32は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、金型11を有限個の要素でモデル化した金型モデルが入力される(工程S2)。工程S2では、図6に示されるように、金型11(図3に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、金型11が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、生タイヤモデル32を配置するための内部空間21iを有する金型モデル21が設定される。本実施形態の金型モデル21は、三次元モデルとして設定される。なお、金型モデル21は、二次元モデルとして設定されてもよい。
図5に示されるように、本実施形態の金型モデル21は、サイドウォール成形型13(図3に示す)をモデル化した第1成形型モデル23、及び、トレッド成形型14(図3に示す)をモデル化した第2成形型モデル24を含んでいる。第1成形型モデル23、及び、第2成形型モデル24が一体に組み合わされることにより、生タイヤモデル32の外表面32oを成形する成形面21sが形成される。第2成形型モデル24の成形面21sには、トレッド成形型14の凸部18(図3に示す)をモデル化した凸部モデル27が設けられている。
本実施形態において、金型モデル21の成形面21sの輪郭は、生タイヤモデル32の外表面32oの輪郭に一致している。図6に示されるように、金型モデル21の成形面21sと、生タイヤモデル32の外表面32oとの間において、金型モデル21の要素F(i)と、生タイヤモデル32の要素G(i)とは、節点34を共有させていない。これにより、金型モデル21の成形面21sと、生タイヤモデル32の外表面32oとの間に、任意の境界条件を設定することができる。
図5に示されるように、本実施形態の金型モデル21は、セクターシュー15(図3に示す)をモデル化したセクターシューモデル25、アクチュエータリング16(図3に示す)をモデル化したアクチュエータリングモデル26、及び、下プレート19をモデル化した下プレートモデル29、及び、上プレート20をモデル化した上プレートモデル30をさらに含んでいる。
要素F(i)としては、生タイヤモデル32の要素G(i)と同様のものが採用される。各要素F(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、金型11(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。金型モデル21は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、ブラダー12(図3に示す)を有限個の要素でモデル化したブラダーモデルが入力される(工程S3)。工程S3では、図3に示した金型11やブラダー12の設計データ(例えば、CADデータ)等に基づいて、ブラダー12が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素H(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、ブラダーモデル22が設定される。本実施形態のブラダーモデル22は、三次元モデルとして設定される。なお、ブラダーモデル22は、二次元モデルとして設定されてもよい。
要素H(i)としては、金型モデル21の要素F(i)や、生タイヤモデル32の要素G(i)と同様のものが採用される。各要素H(i)には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び、ブラダー12(図3に示す)の材料特性(剛性、ヤング率、熱伝導率、密度、比熱、又は、熱膨張係数等)などの数値データが定義される。ブラダーモデル22は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態において、ブラダーモデル22の外表面22oの輪郭は、生タイヤモデル32の内腔面32iの輪郭に一致している。また、ブラダーモデル22の外表面22oと、生タイヤモデル32の内腔面32iとの間において、ブラダーモデル22の要素H(i)と、生タイヤモデル32の要素G(i)とは、節点34を共有させていない。これにより、ブラダーモデル22の外表面22oと、生タイヤモデル32の内腔面32iとの間に、任意の境界条件を設定することができる。ブラダーモデル22は、コンピュータ1に記憶される。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法は、金型モデル21の内部空間21iに、生タイヤモデル32、及び、ブラダーモデル22が配置される(配置工程S4)。図7は、本実施形態の配置工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の配置工程S4では、先ず、図5及び図6に示されるように、生タイヤモデル32が、金型モデル21の内部空間21iに配置される(工程S41)。本実施形態では、生タイヤモデル32の外表面32oを、金型モデル21の成形面21sに接触させている。本実施形態では、生タイヤモデル32の外表面32oと、金型モデル21の成形面21sとの間に、隙間が形成されることなく接触させている。なお、生タイヤモデル32の外表面32oと金型モデル21の成形面21sとの間には、位置ずれを防ぐための拘束条件が定義されてもよい。
次に、本実施形態の配置工程S4では、ブラダーモデル22が、生タイヤモデル32の内腔32s内に配置される(工程S42)。本実施形態では、ブラダーモデル22の外表面22oを、生タイヤモデル32の内腔面32iに接触させている。本実施形態では、ブラダーモデル22の外表面22oと、生タイヤモデル32の内腔面32iとの間に、隙間が形成されることなく接触させている。なお、ブラダーモデル22の外表面22oと生タイヤモデル32の内腔面32iとの間には、位置ずれ防ぐための拘束条件が定義されてもよい。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、生タイヤモデル32の温度を計算するための境界条件が定義される(境界条件定義工程S5)。図8は、本実施形態の境界条件定義工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の境界条件定義工程S5は、先ず、図5及び図6に示されるように、金型モデル21に、金型11(図3に示す)に設定される予め定められた温度条件が定義される(工程S51)。工程S51では、金型モデル21のうち、金型11の加熱手段(図示省略)に対応する位置に、温度条件が設定される。温度条件としては、実際の加硫工程で加熱手段(図示省略)に設定される温度が定義される。これにより、後述の金型温度上昇工程S7において、金型モデル21の温度を上昇させることができる。金型の温度条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の境界条件定義工程S5は、ブラダーモデル22に、高圧流体(図示省略)の温度条件が定義される(工程S52)。工程S52では、ブラダーモデル22の内表面22iに、実際の高圧流体(図示省略)の温度が定義される。これにより、後述のブラダー温度上昇工程S6において、ブラダーモデル22の温度を上昇させることができる。
高圧流体(図示省略)の温度は、ブラダーモデル22の内表面22iに均一に設定することができる。なお、図3に示した実際の加硫工程では、ブラダー12の内部空間12sにおいて、高圧流体を構成する水蒸気と不活性気体とが分離する場合がある。このような分離により、ブラダー12の内表面12iの温度が均一にならない場合がある。このため、工程S52では、図5及び図6に示したブラダーモデル22の内表面22iを複数の領域に区分して、領域毎に高圧流体の温度を異ならせてもよい。これにより、実際の加硫工程での高圧流体の温度に基づいて、ブラダーモデル22の温度を上昇させることができる。高圧流体の温度条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の境界条件定義工程S5は、金型モデル21、生タイヤモデル32、及び、ブラダーモデル22の初期温度が定義される(工程S53)。初期温度としては、適宜設定されうる。本実施形態の初期温度としては、例えば、金型モデル21が140〜200℃、生タイヤモデル32が10〜50℃、及び、ブラダーモデル22が100〜180℃に設定される。これらの初期温度は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の境界条件定義工程S5は、金型モデル21と生タイヤモデル32との間で熱伝達を遮断する境界条件が定義される(工程S54)。境界条件は、金型モデル21の成形面21sと生タイヤモデル32の外表面32oとの間に設定される。このような境界条件により、金型モデル21と生タイヤモデル32との間で、熱の伝達が計算されるのを防ぐことができる。境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の境界条件定義工程S5は、生タイヤモデル32とブラダーモデル22との間で熱伝達を遮断する境界条件が定義される(工程S55)。境界条件は、生タイヤモデル32の内腔面32iと、ブラダーモデル22の外表面22oとの間に設定される。このような境界条件により、生タイヤモデル32とブラダーモデル22との間で、熱の伝達が計算されるのを防ぐことができる。境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、ブラダーモデル22の温度を上昇させる(ブラダー温度上昇工程S6)。図9は、本実施形態のブラダー温度上昇工程S6の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のブラダー温度上昇工程S6は、先ず、図6に示されるように、高圧流体(図示省略)の温度条件に基づいて、温度が上昇したブラダーモデル22が計算される(工程S61)。工程S61では、工程S52で定義された高圧流体の温度条件に基づいて、ブラダーモデル22の温度を、前記初期温度から上昇させている。本実施形態の工程S61では、シミュレーションの単位ステップ毎に、熱解析(伝熱計算)が行われる。
本実施形態の熱解析は、下記式(1)で示される熱伝導解析基礎方程式を、完全陰解法で解いている。このため、本実施形態の熱解析は、陽解法に基づく熱解析とは異なり、ブラダーモデル22等の熱膨張を計算していない。また、完全陰解法によれば、クーラン条件から逸脱した単位ステップの時間刻みで、非定常計算できる。従って、本実施形態の熱解析は、陽解法に基づいて行う熱解析に比べて、計算時間を短縮できる。
上記のような熱解析は、例えば、Dassault Systems社製のAbaqus、LSTC社製のLS-DYNA、又は、MSC社製のNASTRANなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。また、本実施形態の単位ステップの時間刻みは、陽解法での単位ステップの時間刻み(例えば、1秒)の2倍〜8倍に設定されるのが望ましい。
次に、本実施形態のブラダー温度上昇工程S6は、ブラダーモデル22の温度が、予め定められた温度まで上昇したか否かが判断される(工程S62)。本実施形態の工程S62では、ブラダーモデル22を構成する各要素H(i)の温度の平均値に基づいて、その平均値が、加硫工程でのブラダー12(図3に示す)に設定される温度まで上昇したか否かを判断している。
工程S62において、ブラダーモデル22の温度が、予め定められた温度まで上昇したと判断された場合(工程S62において、「Y」)、次の金型温度上昇工程S7が実施される。他方、ブラダーモデル22の温度が、予め定められた温度まで上昇していないと判断された場合(工程S62において、「N」)、単位ステップを一つ進めて(工程S63)、工程S61及び工程S62が再度実施される。これにより、ブラダー温度上昇工程S6は、ブラダーモデル22の温度を、予め定められた温度まで上昇させることができる。
ブラダー温度上昇工程S6は、上記熱解析に基づいて、ブラダーモデル22の温度を、初期温度から上昇させているため、実際の加硫工程と同様に、ブラダーモデル22の外表面22oに、不均一な温度分布を再現することができる。また、ブラダー温度上昇工程S6において、生タイヤモデル32とブラダーモデル22との間には、熱伝達を遮断する境界条件が定義されているため、生タイヤモデル32の温度を上昇させることなく、ブラダーモデル22の温度を上昇させることができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、金型モデル21の温度を上昇させる(金型温度上昇工程S7)。図10は、本実施形態の金型温度上昇工程S7の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の金型温度上昇工程S7は、先ず、図6に示されるように、加硫工程での金型11(図3に示す)の温度条件に基づいて、温度が上昇した金型モデル21が計算される(工程S71)。工程S71では、工程S51で定義された温度条件(即ち、加硫工程で金型11に設定される温度条件)に基づいて、金型モデル21の温度を、前記初期温度から上昇させている。本実施形態の工程S71では、シミュレーションの単位ステップ毎に、熱解析(伝熱計算)が行われる。
次に、本実施形態の金型温度上昇工程S7は、金型モデル21の温度が、予め定められた温度まで上昇したか否かが判断される(工程S72)。工程S72では、金型モデル21を構成する各要素F(i)の温度の平均に基づいて、その平均値が、加硫工程での金型11に設定される温度まで上昇したか否かを判断している。
工程S72において、金型モデル21の温度が、予め定められた温度まで上昇したと判断された場合(工程S72において、「Y」)、次の伝熱工程S8が実施される。他方、金型モデル21の温度が、予め定められた温度まで上昇していないと判断された場合(工程S72において、「N」)、単位ステップを一つ進めて(工程S73)、工程S71及び工程S72が再度実施される。これにより、金型温度上昇工程S7は、金型モデル21の温度を、予め定められた温度まで上昇させることができる。
金型温度上昇工程S7は、上記熱解析に基づいて、金型モデル21の温度を、初期温度から上昇させているため、実際の加硫工程と同様に、金型モデル21の成形面21sに、不均一な温度分布を再現することができる。また、金型温度上昇工程S7において、金型モデル21と生タイヤモデル32との間には、熱伝達を遮断する境界条件が定義されているため、生タイヤモデル32の温度を上昇させることなく、金型モデル21の温度を上昇させることができる。
本実施形態の金型温度上昇工程S7は、ブラダー温度上昇工程S6の後に実施されているが、このような態様に限定されない。例えば、金型温度上昇工程S7は、ブラダー温度上昇工程S6の前に実施されてもよいし、ブラダー温度上昇工程S6、及び、金型温度上昇工程S7が同時に実施されてもよい。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、生タイヤモデル32の温度を計算する(伝熱工程S8)。伝熱工程S8では、少なくとも金型モデル21の温度に基づいて、生タイヤモデル32の温度が計算される。本実施形態では、金型モデル21の温度及びブラダーモデル22の温度に基づいて、生タイヤモデル32の温度が計算される。伝熱工程S8では、シミュレーションの単位ステップ毎に、熱解析(伝熱計算)が行われる。
図3に示した実際の加硫工程において、生タイヤ2Lは、先ず、膨張したブラダー12に当接する。その後、生タイヤ2Lは、継続して膨張するブラダー12によって金型11側へ押圧され、金型11に当接する。従って、生タイヤ2Lは、先ず、ブラダー12のみによって加熱された後に、ブラダー12及び金型11の双方で加熱される。このような実際の加硫工程に基づいて、本実施形態の伝熱工程S8では、図6に示したブラダーモデル22と生タイヤモデル32との伝熱計算が実施された後、金型モデル21、ブラダーモデル22及び生タイヤモデル32の伝熱計算が実施される。図11は、本実施形態の伝熱工程S8の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の伝熱工程S8では、先ず、ブラダーモデル22の温度のみに基づいて、生タイヤモデル32の温度が計算される(第1伝熱工程S81)。図12は、第1伝熱工程S81の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の第1伝熱工程S81は、先ず、ブラダー温度上昇工程S6で計算されたブラダーモデル22の温度のみに基づいて、生タイヤモデル32の温度が計算される(工程S811)。工程S811は、金型モデル21と生タイヤモデル32との間で熱伝達を遮断する境界条件の下で行われる。即ち、本実施形態では、工程S54で設定された金型モデル21と生タイヤモデル32との間での熱伝達の遮断を維持しつつ、工程S55で設定された生タイヤモデル32とブラダーモデル22との間の熱伝達を有効にしている。
工程S811では、図6に示されるように、ブラダーモデル22の温度(熱)が、ブラダーモデル22の外表面22o及び生タイヤモデル32の内腔面32iを介して、生タイヤモデル32に伝達される。他方、工程S811では、金型モデル21の温度が、金型モデル21の成形面21s及び生タイヤモデル32の外表面32oを介して、生タイヤモデル32に伝達されない。これにより、工程S811は、ブラダーモデル22の温度のみに基づいて、生タイヤモデル32の温度を上昇させることができる。
ブラダーモデル22の外表面22oは、不均一な温度分布が再現されているため、例えば、生タイヤモデル32の内腔面32iの全域に、高圧流体の温度条件を均一に設定される場合に比べて、実際の生タイヤの温度を精度よく予測することができる。
次に、本実施形態の第1伝熱工程S81では、第1伝熱工程S81が行われる予め定められた時間(以下、単に、「第1伝熱時間」ということがある。)が経過したか否かが判断される(工程S812)。第1伝熱時間については、適宜設定することができる。第1伝熱時間としては、例えば、図3に示した生タイヤ2Lにブラダー12が当接してから、生タイヤ2Lが金型11に当接するまでの時間を考慮して、例えば0〜60秒が設定されるのが望ましい。
工程S812において、第1伝熱時間が経過したと判断された場合(工程S812において、「Y」)、次の第2伝熱工程S82が実施される。他方、第1伝熱時間が経過していないと判断された場合(工程S812において、「N」)、単位ステップを一つ進めて(工程S813)、工程S811が再度実施される。これにより、第1伝熱工程S81は、実際の加硫工程と同様に、ブラダー12の温度のみで上昇した生タイヤ2Lの温度を計算することができる。
次に、本実施形態の伝熱工程S8は、第1伝熱工程S81後、図6に示されるように、金型モデル21の温度、及び、ブラダーモデル22の温度に基づいて、生タイヤモデル32の温度が計算される(第2伝熱工程S82)。図13は、第2伝熱工程S82の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の第2伝熱工程S82は、先ず、ブラダーモデル22の温度、及び、金型温度上昇工程S7で計算された金型モデル21の温度に基づいて、生タイヤモデル32の温度が計算される(工程S821)。工程S821は、金型モデル21と生タイヤモデル32との間で熱伝達を有効にする境界条件の下で行われる。即ち、本実施形態では、金型モデル21と生タイヤモデル32との間の熱伝達、及び、生タイヤモデル32とブラダーモデル22との間の熱伝達を有効にしている。
工程S821では、ブラダーモデル22の温度(熱)が、ブラダーモデル22の外表面22o及び生タイヤモデル32の内腔面32iを介して、生タイヤモデル32に伝達されている。さらに、工程S821では、金型モデル21の温度(熱)が、金型モデル21の成形面21s及び生タイヤモデル32の外表面32oを介して、生タイヤモデル32に伝達される。これにより、第2伝熱工程S82は、第1伝熱工程S81で上昇した生タイヤモデル32の温度を、ブラダーモデル22の温度及び金型モデル21の温度に基づいて、さらに上昇させることができる。
金型モデル21の成形面21sは、不均一な温度分布が再現されるため、例えば、生タイヤモデル32の外表面32oの全域に、加硫時の金型11の温度が均一に設定される場合に比べて、実際の生タイヤ2Lの温度を精度よく予測することができる。
次に、本実施形態の伝熱工程S8では、第2伝熱工程S82が行われる予め定められた時間(以下、単に、「第2伝熱時間」ということがある。)が経過したか否かが判断される(工程S822)。第2伝熱時間については、適宜設定することができる。第2伝熱時間としては、例えば、図3に示した生タイヤ2Lが金型11に当接してから、加硫工程が終了するまでの時間を考慮して、5〜30分が設定されるのが望ましい。
工程S822において、第2伝熱時間が経過したと判断された場合(工程S822において、「Y」)、次の工程S9が実施される。他方、第2伝熱時間が経過していないと判断された場合(工程S822において、「N」)、単位ステップを一つ進めて(工程S823)、工程S821が再度実施される。これにより、第2伝熱工程S82は、実際の加硫工程と同様に、金型11の温度及びブラダー12の温度で上昇した生タイヤ2Lの温度を計算することができる。
このように、本実施形態の伝熱工程S8では、実際の加硫工程と同様に、ブラダーモデル22と生タイヤモデル32との伝熱計算が実施された後、金型モデル21、ブラダーモデル及び生タイヤモデル32の伝熱計算が実施される。従って、本実施形態の伝熱工程S8では、例えば、金型モデル21、ブラダーモデル22、及び、生タイヤモデル32の伝熱計算を同時に行う場合に比べて、生タイヤ2Lの温度を精度よく予測することができる。
本実施形態の伝熱工程S8は、金型モデル21と生タイヤモデル32との間での熱伝達、及び、生タイヤモデル32とブラダーモデル22との間の熱伝達の境界条件を、有効に切り替えるだけで、金型モデル21、ブラダーモデル22及び生タイヤモデル32を接触させた伝熱計算を行うことができる。このため、ブラダーモデル22や生タイヤモデル32の変形を計算する必要がない。従って、本実施形態の伝熱工程S8は、計算時間を短縮することができる。
また、金型モデル21及び生タイヤモデル32には、タイヤ2のトレッドパターンが形成されているため、トレッドパターンによる加硫への影響等を評価することができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法は、例えば、トレッドパターンを有しない金型モデル21及び生タイヤモデル32を用いる場合に比べて、加硫工程中の生タイヤの温度を精度よく予測できる。しかも、金型モデル21、ブラダーモデル22及び生タイヤモデル32の変形計算が行われないため、生タイヤモデル32に形成されたトレッドパターンと、金型モデル21の凸部モデル27とを容易に一致させることができる。従って、本実施形態では、トレッドパターンを考慮したシミュレーションを容易に行うことができる。
また、金型モデル21のうち、セクターシューモデル25、アクチュエータリングモデル26、下プレートモデル29及び上プレートモデル30は、第1成形型モデル23及び第2成形型モデル24とは異なり、生タイヤモデル32に接触していない。このため、セクターシューモデル25、アクチュエータリングモデル26、下プレートモデル29及び上プレートモデル30において、詳細な温度分布を計算する必要がない。このような観点より、セクターシューモデル25、アクチュエータリングモデル26、下プレートモデル29及び上プレートモデル30の要素F(i)(図示省略)の大きさは、第1成形型モデル23及び第2成形型モデル24の要素F(i)に比べて、大きくすることができる。これにより、金型モデル21の要素数を小さくできるため、計算時間を短縮することができる。このような作用を効果的に発揮させるために、セクターシューモデル25、アクチュエータリングモデル26、下プレートモデル29及び上プレートモデル30の要素F(i)の大きさは、第1成形型モデル23及び第2成形型モデル24の要素F(i)の1.2〜2.0倍程度に設定されるのが望ましい。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、生タイヤモデル32(図6に示す)の温度に基づいて、加硫条件(即ち、金型11(図3に示す)の温度、又は、高圧流体(図示省略)の温度等の境界条件)が良好か否かを判断する(工程S9)。工程S9では、生タイヤモデル32の温度から予測される加硫後のタイヤの品質や、生産性に基づいて、良好な加硫条件か否かが判断される。
工程S9において、加硫条件が良好であると判断された場合(工程S9で、「Y」)、加硫条件に基づいて生タイヤ2Lが加硫され、タイヤ2(図2に示す)が製造される(工程S10)。他方、加硫条件が良好でないと判断された場合(工程S9で、「N」)、加硫条件を変更して(工程S11)、工程S6〜工程S10が再度実施される。これにより、本実施形態のシミュレーション方法は、生タイヤモデル32の温度に基づいて、良好な加硫条件を得ることができる。本実施形態のシミュレーション方法では、生タイヤの温度を精度よく予測できるため、良好な加硫条件を確実に得ることができる。
工程S9では、予測された生タイヤの温度により、下記式(2)に基づいて、生タイヤの加硫量を予測することが望ましい。これにより、良好な加硫条件を確実に得ることができる。なお、活性化エネルギーEは、例えば、83.72kJ/molに設定される。気体エネルギーRは、例えば8.318J/mol・degに設定される。基準温度は、414.86Kに設定される。
これまでの実施形態では、図5に示した金型モデル21及びブラダーモデル22を用いて、生タイヤの温度を予測する方法が示されたが、このような態様に限定されない。例えば、タイヤ2の内腔面2iを形成する外表面を具えた剛性中子(図示省略)を用いた加硫工程でのシミュレーションを実施する場合、ブラダーモデル22に代えて、剛性中子をモデル化した中子モデル(図示省略)が用いられてもよい。
また、シミュレーション方法は、ブラダーモデル22を用いずに、金型モデル21のみを用いて、生タイヤモデル32の伝熱計算が行われてもよい。この場合、ブラダーモデル22の代わりとして、例えば、生タイヤモデル32の内腔面32iに、高圧流体の温度条件が均一に設定される。これにより、金型モデル21の成形面21sに、不均一な温度分布を再現しつつ、ブラダーモデル22の温度を上昇させる計算を省略できる。従って、この実施形態のシミュレーション方法は、計算時間を短縮しつつ、実際の生タイヤの温度を精度よく予測することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3に示した金型及びブラダーを用いて、生タイヤが加硫及び成形された(実験例)。そして、加硫開始から16分後の生タイヤの平均温度が測定された。
図4、図7〜図13に示した処理手順に基づいて、図5及び図6に示した金型モデル、ブラダーモデル及び生タイヤモデルを用いた生タイヤの温度シミュレーションが実施された(実施例)。実施例では、温度条件に基づいて、金型モデルの温度、及び、ブラダーモデルの温度を上昇させた。
実施例の伝熱工程は、ブラダーモデルの温度のみに基づいて、生タイヤモデルの温度を計算する第1伝熱工程と、第1伝熱工程後に、金型モデルの温度及びブラダーモデルの温度に基づいて、生タイヤモデルの温度を計算する第2伝熱工程とが実施された。そして、実施例の生タイヤモデルについて、伝熱計算開始から16分後の生タイヤモデルの平均温度が計算された。
比較のために、図6に示した生タイヤモデルを用いて、生タイヤの温度シミュレーションが実施された(比較例)。比較例では、生タイヤモデルの外表面の全域に、加硫時の金型の温度が均一に設定された。さらに、比較例では、生タイヤモデルの内腔面の全域に、高圧流体の温度条件を均一に設定された。そして、伝熱計算開始から16分後の生タイヤモデルの平均温度が測定された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:215/60R17
初期温度:25℃
金型の温度条件:178℃
高圧流体の温度条件:140℃
テストの結果、実験例の生タイヤの平均温度、並びに、実施例及び比較例の生タイヤモデルの平均温度は、次のとおりであった。
実験例の生タイヤの平均温度:118℃
実施例の生タイヤモデルの平均温度:122℃
比較例の生タイヤモデルの平均温度:85℃
上記のとおり、実施例の生タイヤモデルの平均温度は、比較例の生タイヤモデルの平均温度に比べて、実験例の生タイヤの平均温度に近似させることができた。従って、実施例は、比較例に比べて、生タイヤの温度を精度よく予測できた。
図14は、実施例及び比較例について、生タイヤモデルの平均温度と、時間との関係を示すグラフである。実施例は、比較例に比べて、伝熱工程の開始直後の温度勾配を緩やかにできた。これは、実施例が、ブラダーのみによって生タイヤを加熱した後に、ブラダー及び金型の双方で生タイヤを加熱する実際の加硫工程を再現できたことを示している。従って、実施例は、比較例に比べて、生タイヤの温度を精度よく予測できた。
S1 生タイヤモデルを入力する工程
S2 金型モデルを入力する工程
S7 金型モデルの温度を上昇させる工程
S8 伝熱工程

Claims (3)

  1. 金型と、高圧流体の供給により生タイヤの内腔内で膨張し、かつ、前記生タイヤを前記金型側へ押圧するブラダーとを用いて、前記生タイヤを加硫する加硫工程での前記生タイヤの温度を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記生タイヤを有限個の要素でモデル化した生タイヤモデルを入力する工程
    前記コンピュータに、前記金型を有限個の要素でモデル化することにより、前記生タイヤモデルを配置するための内部空間を有する金型モデルを入力する工程
    前記コンピュータに、前記ブラダーを有限個の要素でモデル化したブラダーモデルを入力する工程とを含み、
    前記コンピュータは、
    前記生タイヤモデルを、前記金型モデルの前記内部空間に配置する工程、
    前記ブラダーモデルを、前記生タイヤモデルの内腔内に配置する工程、
    前記高圧流体の温度条件に基づいて、前記ブラダーモデルの温度を上昇させる工程、
    前記加硫工程で前記金型に設定される予め定められた温度条件に基づいて、前記金型モデルの温度を上昇させる工程、及び
    前記ブラダーモデルの温度と前記金型モデルの温度に基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する伝熱工程を実行し、
    前記伝熱工程は、前記ブラダーモデルの温度のみに基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する第1伝熱工程と、
    前記第1伝熱工程後、前記金型モデルの温度、及び、前記ブラダーモデルの温度に基づいて、前記生タイヤモデルの温度を計算する第2伝熱工程とを含むことを特徴とする生タイヤの温度シミュレーション方法。
  2. 前記第1伝熱工程は、前記金型モデルと前記生タイヤモデルとの間で熱伝達を遮断する境界条件の下で行われる請求項1記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
  3. 前記第2伝熱工程は、前記金型モデルと前記生タイヤモデルとの間で熱伝達を有効にする境界条件の下で行われる請求項1又は2記載の生タイヤの温度シミュレーション方法。
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