JP2018017919A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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和昭 江連
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大輔 窪嶋
裕子 岩下
Hiroko Iwashita
裕子 岩下
智文 清水
Tomofumi Shimizu
智文 清水
貴文 松本
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貴文 松本
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Abstract

【課題】転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制できる電子写真感光体を提供する。【解決手段】電子写真感光体30は、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は、単層である。感光層32は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含む。n型顔料の含有量が、3.00質量部の金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下である。電子輸送剤は、特定構造を有する化合物のうちの1種以上を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
近年、高速で画像を形成する画像形成装置が求められいてる。しかし、高速で画像を形成する画像形成装置においては、形成画像に転写メモリーが発生することがある。
特許文献1には、感光層に含有させる電子輸送剤として、下記化学式(E−D)で表される化合物が記載されている。特許文献2には、感光層に含有させる電子輸送剤として、下記化学式(E−E)で表される化合物が記載されている。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
特開平10−324682号公報 特開2008−156302号公報
化学式(E−D)で表される化合物又は化学式(E−E)で表される化合物を感光層に含有させることで、ある程度、電気特性を向上させることは可能である。しかし、転写メモリーの発生の抑制については、まだ改善の余地がある。更に、フィルミングの発生の抑制についても、改善の余地がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制できる電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制できるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。更に、本発明の目的は、このような電子写真感光体を使用することで、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制して、良好な画像を形成できる画像形成方法を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、単層である。前記感光層は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。前記電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含む。前記n型顔料の含有量が、3.00質量部の前記金属フタロシアニン又は前記無金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下である。前記電子輸送剤は、下記一般式(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)で表される化合物のうちの1種以上を含む。
Figure 2018017919
前記一般式(E1)中、R1は、(1a)炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、(1b)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び(1c)炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基からなる群から選択される第一基を表す。前記第一基は、1つ以上のハロゲン原子を有する。2つのR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R2は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。2つのR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2018017919
前記一般式(E2)中、R21及びR22は、各々独立に、(2a)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、(2b)フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、(2c)炭素原子数6以上14以下のアリール基、(2d)炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、(2e)炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び(2f)炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される第二基を表す。前記第二基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。R21及びR22のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。
Figure 2018017919
前記一般式(E3)中、R31及びR32は、各々独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、ハロゲン原子を少なくとも1つ有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基又はハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。m及びnは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。m及びnの両方が0を表すことはない。Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。
Figure 2018017919
前記一般式(E4)中、R41及びR42は、各々独立に、(4a)炭素原子数1以上8以下のアルキル基、(4b)置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、(4c)置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び(4d)置換基を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される第三基を表す。前記第三基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよく、R41及びR42のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程とを含む。前記帯電工程では、上述の電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光工程では、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像工程では、前記静電潜像に重合トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写工程では、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の電子写真感光体によれば、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制することができる。更に、本発明の画像形成方法によれば、このような電子写真感光体を使用することで、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制して良好な画像を形成することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。 チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例であり、このチタニルフタロシアニンは本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 チタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートの一例であり、このチタニルフタロシアニンは本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 化学式(E1−1)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 化学式(E2−1)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 化学式(E3−1)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 化学式(E4−4)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上8以下のシクロアルカン、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン及び炭素原子数1以上6以下のアルキレン基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基又はn−オクチル基が挙げられる。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、例えば、1つ以上3つ以下の二重結合を有する。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基の例としては、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基又はヘキサジエニル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基と、炭素原子数1以上6以下のアルキル基とが結合した基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基又は4−フェニルブチル基が挙げられる。
炭素原子数3以上14以下の複素環基は、非置換である。炭素原子数3以上14以下の複素環基は、例えば、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のヘテロ原子を含み、芳香性を有する5員又は6員の単環の複素環基;このような単環同士が縮合した複素環基;又は、このような単環と、5員又は6員の炭化水素環とが縮合した複素環基が挙げられる。ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選択される1種以上である。複素環基の具体例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、イソインドリル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、プテリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、4H−キノリジニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、1,3−ベンゾジオキソリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基又はベンズイミダゾリル基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデシル基が挙げられる。
炭素原子数3以上8以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン又はシクロオクタンが挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘプタンが挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキレン基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、n−ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、エチルメチルメチレン基、ペンチレン基又はヘキシレン基が挙げられる。
<1.感光体>
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。本実施形態の感光体は、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制することができる。その理由は以下のように推測される。
理解を容易にするために、まず転写メモリーについて説明する。感光体を備える画像形成装置を用いて記録媒体に画像を形成する場合、感光体が1周回転する間に、帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程が行われる。帯電工程では、感光体の表面が一定の正極性の電位まで帯電される。続いて、露光工程及び現像工程を経て、転写工程では、帯電とは逆極性の転写バイアス(負極性の転写バイアス)が、被転写体を介して像担持体に印加される。印加された逆極性の転写バイアスの影響により、感光体表面の非露光領域(非画像領域)の電位が低下し、電位が低下した状態が保持されることがある。この電位低下の影響を受け、非露光領域は、次の周の帯電工程において、所望の正極性の電位まで帯電され難くなる。一方、感光体表面の露光領域(画像領域)にはトナーが付着しているため、露光領域に転写バイアスが直接印加され難い。そのため、転写バイアスが印加されても、露光領域の電位は低下し難い。その結果、露光領域と非露光領域との間で、次の周の感光体表面の帯電電位に差が生じることがある。このように、転写バイアスの影響によって、感光体表面において、前の周の非露光領域に対応する領域の帯電電位が、前の周の露光領域に対応する領域よりも低下する現象を、転写メモリーという。転写メモリーは、高速で画像を形成する場合に発生し易い。高速で画像を形成する場合には、強い転写バイアスを感光体へ印加する転写条件に設定されることが多いからである。また、高速で画像を形成する場合には、帯電時間及び感光層内で電荷を移動させる時間が不十分になり、感光層内に電荷(特に電子)が蓄積され易いからである。感光体に転写メモリーが発生すると、形成画像にネガゴーストが発生する。ネガゴーストは、形成画像において、感光体の前の周の非露光領域に対応する領域が黒ずむ画像不良である。
ここで、本実施形態の感光体の感光層は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含む。n型顔料の含有量が、3.00質量部の前記金属フタロシアニン又は前記無金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下である。金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンとn型顔料とを所定の質量比率で感光層に含有させることで、感光層内における電子の蓄積を抑制することができる。その結果、転写メモリーの発生を抑制することができる。
次に、フィルミングについて説明する。フィルミングは、感光体の表面に微小成分が付着して固着する現象である。微小成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。微小成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)である。画像形成において記録媒体(例えば、紙)と感光体の表面とが接触するときに、記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が感光体の表面に付着することがある。特に、記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が感光体によって摩擦されて微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電する場合に、フィルミングが発生し易い。
ここで、本実施形態の感光体では、電子輸送剤が一般式(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)で表される化合物(以下、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)と記載することがある)のうちの1種以上を含む。化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)の各々は、ハロゲン原子を必須に有し、且つ一般式(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)で表される所定の構造を有する。このような化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)は、各々、電気陰性度が高い。感光体の感光層に化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種以上が含有されると、記録媒体の微小成分と感光体とが接触して感光体によって微小成分が摩擦されたときに、微小成分が所望の値以上の正極性に帯電すると考えられる。画像形成の帯電工程で正極性に帯電された感光体の表面と、所望の値以上の正極性を帯びる微小成分とは、電気的に反発する。これにより、感光体の表面に微小成分が付着し難くなる。その結果、フィルミングの発生を抑制することができる。
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体30の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体30は、例えば、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は単層である。感光体30は、単層の感光層32を備えるいわゆる単層型感光体である。
図1(b)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32と、中間層33(下引き層)とを備えてもよい。中間層33は、導電性基体31と感光層32との間に設けられる。図1(a)に示すように、感光層32は導電性基体31上に直接備えられてもよいし、図1(b)に示すように、感光層32は導電性基体31上に中間層33を介して間接的に備えられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32と、保護層34とを備えてもよい。保護層34は、感光層32上に設けられる。しかし、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光体30は保護層34を備えないことが好ましい。感光体30は保護層34を備えない場合、感光層32が感光体30の最表面層として備えられる。
感光層32の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層32の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層32は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。感光層32は、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。電荷発生剤と、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂と必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)とは、一層(同じ層)に含有される。
以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明した。次に、感光体の要素について説明する。
<1−1.導電性基体>
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<1−2.感光層>
感光層は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。
(電子輸送剤)
感光層は、電子輸送剤として、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種以上を含む。感光層は、電子輸送剤として、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの2種以上を含むことが好ましく、2種を含むことがより好ましい。以下、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)について説明する。
(化合物(E1))
化合物(E1)は、一般式(E1)で表される。化合物(E1)は、キノン化合物である。
Figure 2018017919
一般式(E1)中、R1は、(1a)〜(1c)からなる群から選択される第一基を表す。具体的には、(1a)炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;(1b)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;及び(1c)炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基からなる群から選択される第一基を表す。第一基は、1つ以上のハロゲン原子を有している。2つのR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R2は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。2つのR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
第一基が1つ以上のハロゲン原子を有しているため、化合物(E1)は、ハロゲン原子を必須に有する。R1が表わす第一基が(1a)で示される場合、(1a)で示す第一基において、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数1以上8以下のアルキル基の一方又は両方が1つ以上のハロゲン原子を有する。R1が表わす第一基が(1b)で示される場合、(1b)で示す第一基において、炭素原子数1以上6以下のアルキル基及び炭素原子数6以上14以下のアリール基の一方又は両方が1つ以上のハロゲン原子を有する。R1が表わす第一基が(1c)で示される場合、(1c)で示す第一基である炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基が1つ以上のハロゲン原子を有する。
1は、(1a)で示す第一基を表すことが好ましい。第一基が(1a)で示す炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基である場合、(1a)で示す第一基における炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数2以上4以下のアルキル基がより好ましく、エチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基が更に好ましい。(1a)で示す第一基における炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有していてもよい。炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
(1a)で示す第一基において、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数1以上8以下のアルキル基の一方又は両方は、1つ以上のハロゲン原子を有する。
(1a)で示す第一基における炭素原子数6以上14以下のアリール基がフェニル基である場合、フェニル基におけるハロゲン原子の置換位置は、例えば、フェニル基が炭素原子数1以上8以下のアルキル基と結合する位置に対して、オルト位(o位)、メタ位(m位)、パラ位(p位)又はこれらの少なくとも1つが挙げられ、パラ位が好ましい。
第一基が(1a)で示され、且つ第一基が1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R1としては、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子1以上5以下のアルキル基;又はハロゲン原子を1つ以上有し、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数2以上4以下のアルキル基;又はハロゲン原子を1つ以上有し、フェニル基を有する炭素原子数2以上4以下のアルキル基がより好ましく、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル基、2,2,2−トリクロロ−1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジメチル−1−(4−クロロフェニル)メチル基、1−(4−クロロフェニル)エチル基、2−クロロ−1−フェニルエチル基、2−クロロ−1−(4−クロロフェニル)エチル基又は1−(4−フルオロフェニル)エチル基が更に好ましい。
一般式(E1)中、R2の表す炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が好ましい。一般式(E1)中、R2の表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。一般式(E1)中、R2の表す炭素原子数3以上14以下の複素環基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。
一般式(E1)中、R1は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基(上述の(1a)で示す第一基)を表すことが好ましい。(1a)で示す第一基において、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数1以上8以下のアルキル基の一方又は両方が、1つ以上のハロゲン原子を有することが好ましい。2つのR1は、互いに同一であることが好ましい。R2は、水素原子を表すことが好ましい。2つのR2は、互いに同一であることが好ましい。
一般式(E1)中、(1a)で示す第一基において、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数1以上8以下のアルキル基の一方が、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有することが好ましい。また、(1a)で示す第一基において、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数1以上8以下のアルキル基の両方が、各々、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有することも好ましい。
一般式(E1)中、2つのR1の表す基が有するハロゲン原子の総数は、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制する観点から、2つ以上であることが好ましく、4つ以上であることがより好ましく、4つ以上6つ以下であることが更に好ましい。
化合物(E1)の好適な例としては、化学式(E1−1)〜(E1−7)で表される化合物(以下、化合物(E1−1)〜(E1−7)と記載することがある)が挙げられる。化合物(E1)のより好適な例としては、化合物(E1−1)又は(E1−3)が挙げられる。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
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Figure 2018017919
[2.化合物(E1)の製造方法]
化合物(E1)は、例えば、反応式(1−R1)で表す反応式(以下、反応(1−R1)と記載することがある)及び反応式(1−R2)で表す反応式(以下、反応(1−R2)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。
反応(1−R1)において、R1及びR2は、それぞれ一般式(E1)中のR1及びR2と同義である。
Figure 2018017919
反応(1−R1)では、1当量の化学式(1−A)で表される化合物(ナフトール誘導体)(以下、ナフトール誘導体(1−A)と記載することがある。なお、一般式(E1)中、R1が水素原子を表す場合、ナフトール誘導体(1−A)はナフトールを示す。)と1当量の一般式(1−B)で表される化合物(アルコール化合物)(以下、アルコール化合物(1−B)と記載することがある)とを溶媒中、濃硫酸の存在下で反応させて、1当量の中間体である一般式(1−C)で表される化合物(以下、ナフトール誘導体(1−C)と記載することがある)を得る。反応(1−R1)では、1モルのナフトール誘導体(1−A)に対して、1モル以上2.5モル以下のアルコール化合物(1−B)を添加することが好ましい。1モルのナフトール誘導体(1−A)に対して1モル以上のアルコール化合物(1−B)を添加すると、ナフトール誘導体(1−C)の収率を向上させ易い。一方、1モルのナフトール誘導体(1−A)に対して2.5モル以下のアルコール化合物(1−B)を添加すると、反応(1−R1)後に未反応のアルコール化合物(1−B)が残留し難く、化合物(E1)の精製が容易となる。反応(1−R1)の反応温度は室温(例えば、25℃)であることが好ましい。反応(1−R1)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。反応(1−R1)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、有機酸水溶液(例えば、酢酸)が挙げられる。
より具体的には、反応(1−R1)では、ナフトール誘導体(1−A)とアルコール化合物(1−B)とを反応させる。反応後、反応液にイオン交換水を加え、有機層に抽出する。有機層に含まれる有機溶媒としては、例えば、クロロホルム又は酢酸エチルが挙げられる。有機層にアルカリ水溶液で加え、有機層を洗浄し中和する。アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(より具体的には、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等)又はアルカリ土類金属の水酸化物(より具体的には、水酸化カルシウム等)が挙げられる。
反応(1−R1)では、アルコール化合物(1−B)から反応中間体としてカルボカチオンが生成すると考えられる。このため、アルコール化合物(1−B)としては、例えば、第三級アルコール又はアリール基を有する第二級アルコールが好ましい。本明細書では、アリール基を有する第二級アルコールとは、ヒドロキシル基が結合した炭素原子にアリール基が結合した第二級アルコールを意味する。このような第二級アルコールは、アリール基により電子が非局在化しカルボカチオンが安定化すると考えられる。
反応(1−R2)において、R1及びR2は、それぞれ一般式(E1)中のR1及びR2と同義である。
Figure 2018017919
反応(1−R2)では、2つのR1が互いに同一であり2つのR2が互いに同一である場合、2当量のナフトール誘導体(1−C)を酸化剤の存在下で反応して、1当量の化合物(E1)を得る。反応(1−R2)では、1モルのナフトール誘導体(1−C)に対して、1モルの酸化剤を添加することが好ましい。酸化剤としては、例えば、クロラニル、過マンガン酸カリウム又は酸化銀が挙げられる。反応(1−R2)の反応温度は室温(例えば、25℃)であることが好ましい。反応(1−R2)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンが挙げられる。
反応(1−R2)では、2つのR1及び2つのR2のうち少なくとも一方が互いに異なる場合、ナフトール誘導体(1−C)2当量をナフトール誘導体(1−C)1当量とこれと異なるナフトール誘導体(1−C)1当量とに変更した以外は、2つのR1が互いに同一であり2つのR2が互いに同一である場合の反応(1−R2)と同じ方法で化合物(E1)を得る。
化合物(E1)の製造では、必要に応じて他の工程(例えば、精製工程)を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶折等)が挙げられる。以上、化合物(E1)を説明した。
(化合物(E2))
化合物(E2)は、一般式(E2)で表される。化合物(E2)は、ナフタレンテトラカルボジイミド誘導体である。
Figure 2018017919
一般式(E2)中、R21及びR22は、各々独立に、(2a)〜(2f)からなる群より選択される第二基を表す。詳しくは、R21及びR22は、各々独立に、(2a)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;(2b)フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;(2c)炭素原子数6以上14以下のアリール基;(2d)炭素原子数7以上20以下のアラルキル基;(2e)炭素原子数1以上8以下のアルキル基;及び(2f)炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される第二基を表す。R21及びR22が表わす第二基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。但し、R21及びR22のうち少なくとも一方は、1つ以上のハロゲン原子を有する。
一般式(E2)中、R21及びR22が表わす第二基が(2a)、(2b)又は(2c)で示される場合、(2a)、(2b)及び(2c)で示す第二基における炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。(2a)で示す第二基における炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
第二基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。詳しくは、(2a)で示す第二基において、炭素原子数1以上6以下のアルキル基及び炭素原子数6以上14以下のアリール基の一方又は両方は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。(2b)で示す第二基において、フェニルカルボニル基及び炭素原子数6以上14以下のアリール基の一方又は両方は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。(2c)で示す第二基において、炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。(2d)で示す第二基において、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。(2e)で示す第二基において、炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。(2f)で示す第二基において、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。第二基は、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有することが好ましい。第二基が有するハロゲン原子は、塩素原子であることが好ましい。
(2a)、(2b)及び(2c)で示す第二基における炭素原子数6以上14以下のアリール基がフェニル基である場合、フェニル基における置換基の置換位置は、例えば、フェニル基が窒素原子と結合する位置に対して、オルト位(o位)、メタ位(m位)、パラ位(p位)又はこれらの少なくとも2つが挙げられる。
第二基が(2a)で示され、更に第二基が1つ以上のハロゲン原子を有しない場合、R21及びR22が表わす基としては、例えば、2−エチル−6−メチルフェニル基が挙げられる。
第二基が(2b)で示され、更に第二基が1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R21及びR22が表わす基としては、例えば、4−クロロ−2−フェニルカルボニルフェニル基が挙げられる。
第二基が(2c)で示され、更に第二基が1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R21及びR22が表わす基としては、例えば、2,6−ジクロロフェニル基又は2,4,6−トリクロロフェニル基が挙げられる。
一般式(E2)中、R21及びR22が表わす第二基が(2d)で示される場合、(2d)で示す第二基における炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基が好ましく、1−フェニルエチル基がより好ましい。(2d)で示す第二基における炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい。第二基が(2d)で示す基であり、第二基が1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R21及びR22が表わす基としては、例えば、1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基が挙げられる。(2d)で示す第二基における炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、更に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有していてもよい。
転写メモリー及びフィルミングの発生を抑制するためには、一般式(E2)中、R21及びR22は、各々独立に、(2a)、(2b)、(2c)又は(2d)で示す第二基を表すことが好ましい。具体的には、一般式(E2)中、R21及びR22は、各々独立に、(2a)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;(2b)フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;(2c)炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は(2d)炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表すことが好ましい。(2b)で示す第二基における炭素原子数6以上14以下のアリール基、(2c)で示す第二基における炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び(2d)で示す第二基における炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、各々、1つ以上のハロゲン原子を有することが好ましい。(2a)で示す炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子を有しないことが好ましい。なお、R21及びR22のうち少なくとも一方は、1つ以上のハロゲン原子を有する基である。
一般式(E2)中、R21とR22とが互いに異なる場合、R21及びR22の一方が1つ以上のハロゲン原子を有することが好ましい。R21及びR22の一方が1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R21及びR22の一方が(2b)、(2c)又は(2d)で示す第二基を表し、これらの第二基は1つ以上のハロゲン原子を有することが好ましい。また、R21及びR22の他方が(2a)で示す第二基を表し、この第二基はハロゲン原子を有しないことが好ましい。具体的には、R21及びR22の一方が、1つ以上のハロゲン原子を有し、フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基(好ましくは、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基)を表すことが好ましい。また、R21及びR22の他方が、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。R21及びR22のうちの他方が、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことがより好ましい。
一般式(E2)中、R21とR22とは互いに同一である場合、R21及びR22の両方が、各々、1つ以上のハロゲン原子を有することが好ましい。R21及びR22の両方が、各々、1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R21及びR22の各々が(2b)、(2c)又は(2d)で示す第二基を表し、これらの第二基はハロゲン原子を有することが好ましい。具体的には、R21及びR22の各々が、1つ以上のハロゲン原子を有し、フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基(好ましくは、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基)を表すことが好ましい。
一般式(E2)中、R21及びR22の表す第二基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよく、R21及びR22のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。R21の表す第二基が有するハロゲン原子の数と、R22の表す第二基が有するハロゲン原子の数との総数は、1以上の整数であり、2以上の4以下の整数であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。
化合物(E2)の好適な例としては、化学式(E2−1)〜(E2−6)で表される化合物(以下、化合物(E2−1)〜(E2−6)と記載することがある)が挙げられる。化合物(E2)のより好適な例としては、(E2−1)、(E2−2)又は(E2−5)が挙げられる。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
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Figure 2018017919
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Figure 2018017919
[化合物(E2)の製造方法:R21とR22とが互いに異なる場合]
一般式(E2)中、R21とR22とが互いに異なる場合、化合物(E2)は、例えば、反応式(2−R1)で表す反応、反応式(2−R2)で表す反応、及び反応式(2−R3)で表す反応(以下、それぞれ反応(2−R1)、反応(2−R2)及び反応(2−R3)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。
反応式(2−R1)において、R21は一般式(E2)中のR21と同義である。R23は、アルキル基を表し、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましい。
Figure 2018017919
反応(2−R1)では、1モル当量の一般式(2−A)で表される化合物(以下、化合物(2−A)と記載することがある)と1モル当量の一般式(2−B)で表される化合物(第一級アミン化合物)(以下、化合物(2−B)と記載することがある)とを塩基の存在下で反応させて、1モル当量の一般式(2−C)で表される化合物(以下、化合物(2−C)と記載することがある)を得る。化合物(2−C)は中間生成物である。反応(2−R1)では、1モルの化合物(2−A)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(2−B)を添加することが好ましい。1モルの化合物(2−A)に対して1モル以上の化合物(2−B)を添加すると、化合物(2−C)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(2−A)に対して2.5モル以下の化合物(2−B)を添加すると、反応(2−R1)後に未反応の化合物(2−B)が残留し難く、化合物(2−C)の精製が容易となる。反応(2−R1)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(2−R1)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(2−R1)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ジオキサンが挙げられる。塩基は、化合物(2−C)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
反応式(2−R2)において、R21は一般式(E2)中のR21と同義である。反応式(2−R2)において、R23は反応式(2−R1)におけるR23と同義である。
Figure 2018017919
反応(2−R2)では、1モル当量の化合物(2−C)を酸の存在下で反応して、1モル当量の一般式(2−D)で表される化合物(以下、化合物(2−D)と記載することがある)を得る。化合物(2−D)は中間生成物である。反応(2−R2)では、化合物(2−C)のエステルが酸存在下で加水分解し、ジカルボン酸となった後、ジカルボン酸が閉環し、無水カルボン酸となる。その結果、化合物(2−D)が生成する。反応(2−R2)の反応時間は、5時間以上30時間以下であることが好ましい。反応(2−R2)の反応温度は、70℃以上150℃以下であることが好ましい。酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸が好ましい。酸は、溶媒として機能してもよい。
反応式(2−R3)において、R21及びR22は、それぞれ一般式(E2)中のR21及びR22と同義である。
Figure 2018017919
反応(2−R3)では、1モル当量の化合物(2−D)と、1モル当量の一般式(2−E)で表される化合物(第一級アミン化合物)(以下、化合物(2−E)と記載することがある)とを塩基の存在下で反応させて、1モル当量の化合物(E2)を得る。反応(2−R3)では、1モルの化合物(D)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(2−E)を添加することが好ましい。1モルの化合物(2−D)に対して1モル以上の化合物(2−E)を添加すると、化合物(E2)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(2−D)に対して2.5モル以下の化合物(2−E)を添加すると、反応(2−R3)後に未反応の化合物(2−E)が残留し難く、化合物(E2)の精製が容易となる。反応(2−R3)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(2−R3)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(2−R3)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ジオキサンが挙げられる。塩基は、化合物(E2)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
なお、化合物(E2)の製造方法は、反応(2−R1)〜(2−R3)におけるR21を有する第一級アミン及びR22を有する第一級アミンによるイミド化の順番を変更してもよい。化合物(E2)は、例えば、反応式(2−R’1)で表す反応式、反応式(2−R’2)で表す反応式、及び反応式(2−R’3)で表す反応式(以下、それぞれ反応(2−R’1)、反応(2−R’2)及び反応(2−R’3)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によっても製造される。
Figure 2018017919
詳しくは、反応(2−R’1)は、化合物(2−B)を化合物(2−E)に変更した以外は、反応(2−R1)と同じ反応である。反応(2−R’2)は、化合物(2−C)を一般式(2−C’)で表される化合物(以下、化合物(2−C’)と記載することがある)に変更した以外は、反応(2−R2)と同じ反応である。反応(2−R’3)は、化合物(2−D)を一般式(2−D’)で表される化合物(以下、化合物(2−D’)と記載することがある)に変更し、化合物(2−E)を化合物(2−B)に変更した以外は、反応(2−R3)と同じ反応である。化合物(E2)の製造方法は、例えば、反応(R−4)を含む。
[化合物(E2)の製造方法:R21とR22とが同一である場合]
一般式(E2)中、R21とR22とが互いに同一である場合、化合物(E2)は、例えば、反応式(2−R4)で表す反応式(以下、反応(2−R4)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。なお、R21とR22とが互いに同一である場合を説明するために、反応式(2−R4)では、一般式(E2)中のR22をR21に置き換えて示している。
Figure 2018017919
反応(2−R4)では、1モル当量の化学式(2−F)で表される化合物(以下、化合物(2−F)と記載することがある)と、1モル当量の一般式(2−G)で表される化合物(第一級アミン化合物)(以下、化合物(2−G)と記載することがある)とを塩基の存在下で反応させて、1モル当量の化合物(E2)を得る。反応(2−R4)では、1モルの化合物(2−F)に対して、2モル以上5モル以下の化合物(2−G)を添加することが好ましい。1モルの化合物(2−F)に対して2モル以上の化合物(2−G)を添加すると、化合物(E2)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(2−F)に対して5モル以下の化合物(2−G)を添加すると、反応(2−R4)後に未反応の化合物(2−G)が残留し難く、化合物(E2)の精製が容易となる。反応(2−R4)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(2−R4)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(2−R4)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ピコリン(メチルピリジン)が挙げられる。塩基は、化合物(E2)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
化合物(E2)の製造方法は、必要に応じて適宜な工程を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶折等)が挙げられる。以上、化合物(E2)を説明した。
(化合物(E3))
化合物(E3)は、下記一般式(E3)で表される。化合物(E3)は、ナフトキノン誘導体である。
Figure 2018017919
一般式(E3)中、R31及びR32は、各々独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、ハロゲン原子を少なくとも1つ有し炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基又はハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。但し、m及びnの両方が0を表すことはない。よって、化合物(E3)は、ハロゲン原子を必須に有する。Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。
31及びR32で表されるハロゲン原子(ハロゲン基)としては、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)が好ましい。
31及びR32で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する。R31で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上17個以下であることが好ましく、1つ又は2つであることがより好ましい。
31及びR32で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する。R31及びR32で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上10個以下であることが好ましく、1つ又は2つであることがより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子に加えて、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を更に有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましい。
31及びR32で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、フェニル基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する。R31及びR32で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上22個以下であることが好ましく、1つ又は2つであることがより好ましい。
31及びR32で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する。R31及びR32で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。R31及びR32で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上19個以下であることが好ましく、1つ又は2つであることがより好ましい。
m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。但し、m及びnの両方が0を表すことはない。転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を好適に抑制するためには、mは0を表すことが好ましく、nが1以上5以下の整数を表すことが好ましい。転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を好適に抑制するためには、nは、1又は2を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。R31及びR32におけるハロゲン原子の数が多くなるほど、感光体によって記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が摩擦されたときに、微小成分が感光体の帯電極性と同極性で且つ大きな値の帯電量を有する傾向がある。
一般式(E3)中、R31の結合位置(置換位置)は特に限定されない。R31はフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合してもよい。mが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR31は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
一般式(E3)中、R32の結合位置(置換位置)は特に限定されない。R32はフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合してもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR32は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。nが1である場合、R32はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。nが2である場合、R32がフェニル基のオルト位及びパラ位に結合すること、又はR32がフェニル基のメタ位及びパラ位に結合することが好ましい。
Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。−CO−O−CH2−、−CO−及び−CO−O−のカルボニル基が、各々、一般式(E3)中のナフトキノン部位と結合する。転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を好適に抑制するためには、Yは、−CO−O−CH2−又は−CO−を表すことが好ましい。転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を好適に抑制しつつ感光体の電気特性を向上させるためには、Yは、−CO−O−CH2−を表すことがより好ましい。
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を好適に抑制するためには、一般式(E3)中のmが0を表し、nが1以上5以下の整数を表し、Yが−CO−O−CH2−又は−CO−を表し、R32がハロゲン原子を表すことが好ましい。nは1又は2を表すことがより好ましい。
化合物(E3)の好適な例としては、化合物(E3−1)〜(E3−5)が挙げられる。化合物(E3−1)〜(E3−5)の各々は、下記化学式(E3−1)〜(E3−5)で表される。化合物(E3)のより好適な例としては、化合物(E3−1)、(E3−2)又は(E3−4)が挙げられる。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
[化合物(E3)の製造方法]
化合物(E3)は、例えば、下記の反応(3−ra)〜(3−rd)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。反応(3−ra)〜(3−rd)で示す反応式においてR31、R32、m、n及びYは、一般式(E3)中のR31、R32、m、n及びYと同義である。反応(3−ra)〜(3−rd)で示す反応式において、Xはハロゲン原子を表す。
Figure 2018017919
反応(3−ra)では、後述する反応(3−rb)で使用する化合物(3−B’)を製造する。化合物(3−B’)は、後述する一般式(3−B)中のYが−CO−O−CH2−である化合物である。反応(3−ra)では、1モル当量の化合物(3−F)と、1モル当量の化合物(3−A)とを反応させて、1モル当量の化合物(3−B’)を得る。1モルの化合物(3−F)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(3−A)を添加することが好ましい。反応(3−ra)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(3−ra)の反応時間は3時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(3−ra)には、脱水縮合剤が使用されてもよい。脱水縮合剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、水溶性カルボジイミド(WSCD)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP)、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyBOP)、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド又は2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(MNBA)が挙げられる。脱水縮合剤の量は、1モルの化合物(3−F)に対して、1モル以上3モル以下であることが好ましい。
反応(3−ra)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン又は酢酸エチルが挙げられる。
Figure 2018017919
反応(3−rb)では、1モル当量の化合物(3−G)と、1モル当量の化合物(3−B)とを反応させて、1モル当量の化合物(3−C)を得る。反応(3−rb)で使用される化合物(3−B)は、下記化合物(3−B’)、化合物(3−B’’)又は化合物(3−B’’’)である。化合物(3−B’)は、一般式(3−B)中のYが−CO−O−CH2−である化合物である。化合物(3−B’’)は、一般式(3−B)中のYが−CO−である化合物である。化合物(3−B’’’)は、一般式(3−B)中のYが−CO−O−である化合物である。化合物(3−B’)は、反応(3−ra)によって合成することができる。化合物(3−B’’)及び(3−B’’’)は、公知の方法で合成されてもよく、市販品が使用されてもよい。
Figure 2018017919
反応(3−rb)では、1モルの化合物(3−G)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(3−B)を添加することが好ましい。反応(3−rb)の反応温度は70℃以上100℃以下であることが好ましい。反応(3−rb)の反応時間は2時間以上6時間以下であることが好ましい。
反応(3−rb)には、塩基が使用されてもよい。塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム又は水素化カリウム)又はn−ブチルリチウムが挙げられる。塩基の量は、1モルの化合物(3−G)に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。
反応(3−rb)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。
Figure 2018017919
反応(3−rc)では、塩基の存在下で、1モル当量の化合物(3−C)から1モル当量の化合物(D)を得る。反応(3−rc)の反応温度は70℃以上100℃以下であることが好ましい。反応(3−rc)の反応時間は2時間以上6時間以下であることが好ましい。
反応(3−rc)で使用される塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム又は水素化カリウム)又はn−ブチルリチウムが挙げられる。塩基の量は、1モルの化合物(3−G)に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。
反応(3−rb)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。
Figure 2018017919
反応(3−rd)では、酸化剤の存在下で、1モル当量の化合物(3−D)から、1モル当量の化合物(E3)を得る。反応(3−rd)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(3−rd)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(3−rd)で使用される酸化剤としては、例えば、クロラニル又は過マンガン酸カリウムが挙げられる。酸化剤の量は、1モルの化合物(3−D)に対して、1モル以上3モル以下であることが好ましい。
化合物(E3)の製造方法は、必要に応じて適宜な工程を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶折等)が挙げられる。以上、化合物(E3)を説明した。
(化合物(E4))
化合物(E4)は、下記一般式(E4)で表される。化合物(E4)は、ナフトキノン誘導体である。
Figure 2018017919
一般式(E4)中、R41及びR42は、各々独立に、(4a)〜(4d)からなる群より選択される第三基を表す。具体的には、R41及びR42は、各々独立に、(4a)炭素原子数1以上8以下のアルキル基、(4b)置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、(4c)置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び(4d)置換基を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される第三基を表す。第三基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。R41及びR42のうち少なくとも一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する。
一般式(E4)中、R41及びR42の表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基又はイソブチル基が更に好ましい。炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、1つ以上3つ以下のハロゲン原子を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、クロロメチル基がより好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42の表す炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子以外の置換基を更に有していてもよい。このような置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、4−メチルフェニル基が好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42の表す炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、炭素原子数7以上14以下のアラルキル基が好ましい。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。このような置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であることが好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42の表す炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基が好ましい。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよい。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。このような置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であることが好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42の表す基(炭素原子数1以上8以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び置換基を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される第三基)が有するハロゲン原子の総数は、1以上3以下の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。R41及びR42の表す基が有するハロゲン原子の総数が1以上3以下の整数であると、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制することができる。また、R41及びR42の表す基が有するハロゲン原子としては、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42とは互いに異なることが好ましい。R41及びR42が互いに異なる化合物(E4)、すなわち、非対称構造の化合物(E4)は、溶剤への溶解性が高いため、感光体の感光層を形成するための塗布液を調製し易い。
41は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子を有してもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。R41は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことがより好ましい。
42は、1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子を有してもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。
41及びR42のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。R41及びR42の一方が1つ以上のハロゲン原子を有することが好ましい。R41及びR42の一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する場合、R41及びR42の一方が1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子を有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。R41及びR42の他方が、炭素原子数1以上8以下のアルキル基;又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。ハロゲン原子は、塩素原子又はフッ素原子であることが好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42の一方が、1つ以上のハロゲン原子を有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子を有するフェニル基を表すことがより好ましい。R41及びR42の他方は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよいフェニル基;又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましい。
一般式(E4)中、R41及びR42の一方が1つ以上のハロゲン原子を有するフェニル基を表す場合、フェニル基におけるハロゲン原子の置換位置としては、オルト位(o位)、メタ位(m位)、パラ位(p位)又はこれらの少なくとも2つが挙げられ、メタ位又はパラ位が好ましい。1つ以上のハロゲン原子を有するフェニル基としては、例えば、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基又は3,5−ジクロロフェニル基が好ましい。
化合物(E4)の好適な例としては、化学式(E4−1)〜(E4−5)で表される化合物(以下、化合物(E4−1)〜(E4−5)と記載することがある)が挙げられる。化合物(E4)のより好適な例としては、化合物(E4−1)又は(E4−2)が挙げられる。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
[化合物(E4)の製造方法]
化合物(E4)は、例えば、反応式(4−R1)で表す反応(以下、反応(4−R1)と記載することがある)、及び反応式(4−R2)で表す反応(以下、反応(4−R2)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。化合物(E4)の製造方法は、例えば、反応(4−R1)と、反応(4−R2)とを含む。
Figure 2018017919
反応(4−R1)では、まず、1当量の一般式(4−a1)で表される化合物(2,3−ジハロゲノ−1,4−ナフトキノン。以下、ジハロゲノナフトキノン(4−a1)と記載することがある)と、2当量の化学式(4−a2)で表される化合物(フタルイミドカリウム。以下、フタルイミドカリウム(a2)と記載することがある)とを、溶媒中、加温して攪拌還流した後、反応系を室温(約25℃)まで放冷することにより、反応中間体を生成する。次いで、ヒドラジン(NH2NH2)の存在下にて加熱攪拌して、反応中間体を反応させ(ヒドラジン分解)、1当量の化学式(4−A)で表される化合物(2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノン。以下、ジアミノナフトキノン(4−A)と記載することがある)を生成する。
一般式(4−a1)中、Xは、ハロゲン原子(ハロゲン基)を表す。Xの表すハロゲン原子(ハロゲン基)は、塩素原子(クロロ基)であることが好ましい。
反応(4−R1)では、1モルのジハロゲノナフトキノン(4−a1)に対して、2モル以上4モル以下のフタルイミドカリウム(4−a2)を添加することが好ましい。1モルのジハロゲノナフトキノン(4−a1)に対して2モル以上のフタルイミドカリウム(4−a2)を添加すると、ジアミノナフトキノン(4−A)の収率を向上させ易い。一方、1モルのジハロゲノナフトキノン(4−a1)に対して4モル以下のフタルイミドカリウム(4−a2)を添加すると、反応(R−1)後に未反応のフタルイミドカリウム(4−a2)が残留し難く、ジアミノナフトキノン(4−A)の精製が容易となる。
反応(4−R1)において、ジハロゲノナフトキノン(4−a1)とフタルイミドカリウム(4−a2)とを溶媒中で攪拌還流する際、還流温度は、50℃以上100℃以下であることが好ましく、還流時間は、2時間以上8時間以下であることが好ましい。溶媒としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン又はジメチルスルホキシドが挙げられる。
反応(4−R1)において、上述の攪拌還流後に、ヒドラジン(NH2NH2)の存在下で加熱攪拌する際、加熱温度は、50℃以上100℃以下であることが好ましく、加熱時間は、0.5時間以上2時間以下であることが好ましい。
Figure 2018017919
反応(4−R2)では、1当量のジアミノナフトキノン(4−A)と、1当量の一般式(4−B)で表される化合物(ジケトン誘導体、以下、ジケトン誘導体(4−B)と記載することがある)とを、溶媒中、酸触媒の存在下にて加温して攪拌還流した後、反応系から溶媒を留去して、1当量の化合物(E4)を生成する。
一般式(4−B)中、R41及びR42は、それぞれ一般式(E4)中のR41及びR42と同義である。
反応(4−R2)は、ジアミノナフトキノン(4−A)のジケトン誘導体(4−B)への付加反応に続く脱水反応であるので、1モルのジアミノナフトキノン(4−A)に対して、ほぼ当モルのジケトン誘導体(4−B)を添加することが好ましい。
反応(4−R2)において、ジアミノナフトキノン(4−A)とジケトン誘導体(4−B)とを溶媒中で攪拌還流する際、還流温度は、50℃以上100℃以下であることが好ましく、還流時間は、2時間以上6時間以下であることが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノールが挙げられる。酸触媒としては、例えば、酢酸、濃硫酸又はパラトルエンスルホン酸が挙げられる。酸触媒の量は、ジアミノナフトキノン(4−A)1モルに対して0.2モル以上0.8モル以下であることが好ましい。酸触媒は、溶媒としても機能してもよい。
化合物(E4)の製造では、必要に応じて他の工程(例えば、溶媒留去工程又は精製工程)を含んでもよい。溶媒留去工程を行う場合、例えば公知の方法(より具体的には、減圧溶媒留去等)が挙げられる。精製工程を行う場合、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶折等)が挙げられる。以上、化合物(E4)を説明した。
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光層は、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種を含むことが好ましく、化合物(E1−1)、(E1−3)、(E2−1)、(E2−5)、(E3−1)、(E3−2)及び(E4−2)のうちの1種を含むことがより好ましく、化合物(E1−1)、(E1−3)、(E2−1)、(E2−5)及び(E3−1)のうちの1種を含むことが更に好ましく、化合物(E1−3)又は(E3−1)を含むことが特に好ましい。
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光層は、化合物(E1)及び(E2)の2種、化合物(E1)及び(E4)の2種、化合物(E2)及び(E3)の2種、又は化合物(E3)及び(E4)の2種を含むことが好ましい。同じ理由から、感光層は、化合物(E1−1)及び(E2−2)の2種、化合物(E1−1)及び(E4−2)の2種、化合物(E2−1)及び(E3−4)の2種、又は化合物(E3−1)及び(E4−1)の2種を含むことがより好ましく、化合物(E3−1)及び(E4−1)の2種を含むことが更に好ましい。
感光層は、電子輸送剤として、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種以上に加えて、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)以外の別の電子輸送剤(以下、その他の電子輸送剤と記載することがある)を更に含有していてもよい。その他の電子輸送剤の例としては、化合物(E1)、(E3)及び(E4)以外のキノン化合物、化合物(E2)以外のジイミド化合物、ヒドラゾン化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。(E1)、(E3)及び(E4)以外のキノン化合物としては、例えば、ジフェノキノン化合物、アゾキノン化合物、アントラキノン化合物、化合物(E3)及び(E4)以外のナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン化合物又はジニトロアントラキノン化合物が挙げられる。その他の電子輸送剤の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子輸送剤の合計含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下であることが好ましく、20質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種以上の含有量は、電子輸送剤の合計質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(バインダー樹脂)
感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物又はウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の好適な例は、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネ―ト樹脂(5)と記載することがある)である。ポリアリレート樹脂の好適な例は、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(6)と記載することがある)である。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
一般式(5)及び(6)中、R51、R52、R61及びR62は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、ハロゲン原子を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基を表す。
51及びR52は、互いに結合して炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基を表してもよい。R61及びR62は、互いに結合して炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基を表してもよい。R53、R54、R63、R64、R65、R66は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
以下、ポリカーボネート樹脂(5)について説明する。R51及びR52が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
51及びR52が表わすハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を1つ以上9つ以下有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましい。炭素原子数1以上4以下のアルキル基が有するハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
51及びR52が表わすフェニル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。
51及びR52が互いに結合して表す炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(5)中のR51及びR52が互いに結合して炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(5)は下記一般式(5’)に相当する。
Figure 2018017919
一般式(5’)中、環Aは、炭素原子数3以上8以下のシクロアルカンを表す。一般式(5’)中のR53及びR54は、各々、一般式(5)中のR53及びR54と同義である。
一般式(5)中のR51及びR52が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(5)は下記一般式(5’’)に相当する。
Figure 2018017919
一般式(5’’)中、pは、2以上4以下の整数を表す。一般式(5’’)中のR53及びR54は、各々、一般式(5)中のR53及びR54と同義である。
53及びR54が表わす炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
53及びR54が表わすハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を1つ以上7つ以下有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子を1つ以上3つ以下有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が更に好ましい。炭素原子数1以上3以下のアルキル基が有するハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
フィルミングの発生及び転写メモリーの発生を抑制するためには、一般式(5)中のR51、R52、R53及びR54が次のとおりである化合物(5)が好ましい。R51及びR52は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。或いは、R51及びR52は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す。R53及びR54は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
ポリカーボネート樹脂(5)の好適な例は、下記化学式(PC1)、(PC2)(PC3)、(PC4)又は(PC5)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂である。以下、化学式(PC1)、(PC2)(PC3)、(PC4)及び(PC5)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂の各々を、ポリカーボネート樹脂(PC1)、(PC2)(PC3)、(PC4)及び(PC5)と記載することがある。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
ポリカーボネート樹脂(5)の全繰り返し単位のモル数に対する、一般式(5)で表される繰り返し単位のモル数の比率(モル分率)は、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることが好ましく、1.00であることが特に好ましい。モル分率が1.00である場合、ポリカーボネート樹脂(5)を構成する繰り返し単位は、一般式(5)で表される繰り返し単位のみである。
ポリカーボネート樹脂(5)の製造方法は、特に限定されない。ポリカーボネート樹脂(5)の製造方法の一例として、ポリカーボネート樹脂の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)が挙げられる。より具体的には、例えば、一般式(5−1)で表されるジオール化合物とホスゲンとを、縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(5−1)中のR51〜R54は、各々一般式(5)中のR51〜R54と同義である。ポリカーボネート樹脂(5)の製造方法の別の例として、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法も挙げられる。
Figure 2018017919
以下、ポリアリレート樹脂(6)について説明する。R61及びR62が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
61及びR62が表わすハロゲン原子を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を1つ以上9つ以下有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましい。炭素原子数1以上4以下のアルキル基が有するハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
61及びR62が表わすフェニル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。
61及びR62が互いに結合して表す炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(6)中のR61及びR62が互いに結合して炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(6)は下記一般式(6’)に相当する。
Figure 2018017919
一般式(6’)中、環Bは、炭素原子数3以上8以下のシクロアルカンを表す。一般式(6’)中のR63及びR64は、各々、一般式(6)中のR63及びR64と同義である。
一般式(6)中のR61及びR62が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(6)は下記一般式(6’’)に相当する。
Figure 2018017919
一般式(6’’)中、qは、2以上4以下の整数を表す。一般式(6’’)中のR63及びR64は、各々、一般式(6)中のR63及びR64と同義である。
63、R64、R65、R66が表わす炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
63、R64、R65、R66が表わすハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を1つ以上7つ以下有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましい。炭素原子数1以上3以下のアルキル基が有するハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
フィルミングの発生及び転写メモリーの発生を抑制するためには、一般式(6)中のR61、R62、R63、R64、R65及びR66が次のとおりである化合物(6)が好ましい。R63、R64、R65、R66は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
ポリアリレート樹脂(6)の好適な例は、下記化学式(PA6)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である。以下、化学式(PA6)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(PA6)と記載することがある。
Figure 2018017919
ポリアリレート樹脂(6)の全繰り返し単位のモル数に対する、一般式(6)で表される繰り返し単位のモル数の比率(モル分率)は、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることが好ましく、1.00であることが特に好ましい。モル分率が1.00である場合、ポリアリレート樹脂(6)を構成する繰り返し単位は、一般式(6)で表される繰り返し単位のみである。
ポリアリレート樹脂(6)の製造方法は、ポリアリレート樹脂(6)を製造できれば、特に限定されない。これらの製造方法として、例えば、ポリアリレート樹脂(6)の繰返し単位を構成するための芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させる方法挙げられる。ポリアリレート樹脂(6)の合成方法は特に限定されず、公知の合成方法(より具体的には、溶液重合、溶融重合又は界面重合等)の方法を採用することができる。
ポリアリレート樹脂(6)の繰返し単位を構成するための芳香族ジオールは、一般式(6−1)で表される。一般式(6−1)中のR61、R62、R63及びR64の各々は、一般式(6)中のR61、R62、R63及びR64と同義である。
Figure 2018017919
ポリアリレート樹脂(6)の繰返し単位を構成するための芳香族ジカルボン酸は、一般式(6−2)で表される。一般式(6−2)中のR65及びR66は、それぞれ一般式(6)中のR65及びR66と同義である。
Figure 2018017919
転写メモリーの発生を抑制しつつ、フィルミングの発生を更に抑制できることから、バインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(5)及びポリアリレート樹脂(6)のうち、ポリカーボネート樹脂(5)が好ましい。同じ理由から、ポリカーボネート樹脂(5)としては、一般式(5)中のR51、R52、R53及びR54が次の通りであるポリカーボネート樹脂が好ましい。R51及びR52は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す。R53及びR54は、各々、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。同じ理由から、ポリカーボネート樹脂(5)としては、ポリカーボネート樹脂(PC5)がより好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
(n型顔料)
感光層は、n型顔料を含有する。顔料は、n型顔料とp型顔料とに大別される。n型顔料は、主たる電荷キャリアが電子である顔料である。p型顔料は主たる電荷キャリアが正孔である顔料である。n型顔料は、電荷発生剤から発生した電荷(電子及び正孔)のうちの電子を引き抜き、電子と正孔とが再結合することを抑制すると考えられる。
n型顔料の含有量は、3.00質量部の無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下である。n型顔料の含有量が3.00質量部の無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンに対して0.09質量部未満又は9.00質量部超であると、転写メモリーが発生し、形成画像に画像ゴーストが発生する。n型顔料の含有量は、3.00質量部の無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンに対して、0.40質量部以上6.00質量部以下であることが好ましく、0.50質量部以上6.00質量部以下であることがより好ましく、1.00質量部以上3.00質量部以下であることが更に好ましい。
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光層には、n型顔料として、ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの1種以上が含有されることが好ましい。感光層にペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの1種以上が含有されると、感光体の帯電安定性も向上する傾向がある。
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光層には、n型顔料として、ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの2種以上が含有されることが好ましく、2種含有されることがより好ましい。ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの2種以上が含有される場合、感光層に異なるペリレン顔料が2種以上含有されてもよく、感光層に異なるアゾ顔料が2種以上含有されてもよい。ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの2種以上が含有される場合、感光層にベリレン顔料とアゾ顔料とが含有されてもよい。n型顔料としてペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの2種以上が含有される場合、2種以上のn型顔料の合計含有量が、3.00質量部の無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下である。
以下、n型顔料として使用されるアゾ顔料について説明する。アゾ顔料は、感光体に使用される化合物であり、その構造中にアゾ基(−N=N−)を含む化合物である限り、特に限定されない。アゾ顔料は、その構造中にハロゲン原子(例えば塩素原子)を含むことが好ましい。
電子輸送剤である化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)と、n型顔料であるアゾ顔料とが感光層に含有されることで、感光体は次の利点を有する。アゾ顔料は、ハロゲン原子を有する。化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)もハロゲン原子を有している。アゾ顔料、並びに化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)は、何れも極性を有する化合物である。そのため、感光層中で、アゾ顔料と、化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)との相溶性が向上する。その結果、均一な感光層を得ることができる。
アゾ顔料は、モノアゾ顔料及びポリアゾ顔料(例えば、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料及びテトラキスアゾ顔料)の何れも使用することができる。また、アゾ顔料は、アゾ基を有する化合物の互変異性体であってもよい。また、アゾ基を有する化合物は塩素原子を有していてもよい。
アゾ顔料としては、例えば、公知のアゾ顔料を使用することができる。アゾ顔料として好ましくは、ピグメントイエロー(14、17、49、65、73、83、93、94、95、128、166又は77)、ピグメントオレンジ(1、2、13、34又は36)又はピグメントレッド(30、32、61又は144)が挙げられる。
アゾ顔料の好適な例としては、化学式(NA1)で表される化合物(ピグメントイエロー128)、化学式(NA2)で表される化合物(ピグメントイエロー93)、化学式(NA3)で表される化合物(ピグメントオレンジ13)又は化学式(NA4)で表される化合物(ピグメントイエロー83)が挙げられる。以下、化学式(NA1)、(NA2)、(NA3)及び(NA4)で表される化合物の各々を、化合物(NA1)、(NA2)、(NA3)及び(NA4)と記載することがある。転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制するために、アゾ顔料のより好適な例は、化合物(NA1)、(NA3)又は(NA4)である。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
以下、n型顔料として使用されるペリレン顔料について説明する。ペリレン顔料は、例えば、電子写真感光体に使用される化合物であり、下記一般式(7)で表されるペリレン骨格を有する化合物である。
Figure 2018017919
一般式(7)中、W1及びW2は、各々独立に、2価の有機基を表す。
ペリレン顔料として好ましくは、下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018017919
一般式(8)中、R81及びR82は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Z1及びZ2は、各々独立に、酸素原子又は窒素原子を表す。
一般式(8)中、R81及びR82の好適な例としては、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基が挙げられる。
一般式(8)中、R81及びR82が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R81及びR82が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基又はニトロ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は3以下であることが好ましい。
81及びR82が表わす炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基又はニトロ基が挙げられる。
81及びR82が表わす炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基又はニトロ基が挙げられる。
81及びR82が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R81及びR82が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基又はニトロ基が挙げられる。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は3以下であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
81及びR82が表わす炭素原子数3以上14以下の複素環基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基又はニトロ基が挙げられる。
電子輸送剤である化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)と、n型顔料であるペリレン顔料とが感光層に含有されることで、感光体は次の利点を有する。第一の利点を説明する。ペリレン顔料は、通常、カルボニル基を有する。化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)はハロゲン原子を有している。そのため、ペリレン顔料、並びに化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)は、何れも極性を有する化合物である。そのため、感光層中で、ペリレン顔料と、化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)との相溶性が向上する。その結果、均一な感光層を得ることができる。第二の利点を説明する。ペリレン顔料においては、平面構造を有する部位が多い。化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)においても、平面構造を有する部位が多い。そのため、ペリレン顔料と、化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)とが、感光層中で密に接触する傾向がある。その結果、ペリレン顔料から化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)への電子の受け渡し効率が向上する。
ペリレン顔料の好適な例としては、下記化学式(NP6)、(NP7)又は(NP8)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(NP6)、(NP7)及び(NP8)で表される化合物の各々を、化合物(NP6)、(NP7)及び(NP8)と記載することがある。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
なお、n型顔料は、ペリレン顔料及びアゾ顔料以外のn型顔料であってもよい。ペリレン顔料及びアゾ顔料以外のn型顔料としては、例えば、多環キノン系顔料、スクアリリウム系顔料、ピランスロン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクドリン系顔料、ピラゾロン系顔料又はベンズイミダゾロン系顔料が挙げられる。より具体的には、化学式(NB5)で表される化合物(ピグメントイエロー110、以下化合物(NB5)と記載することがある)、ピグメントイエロー139又はピグメントレッド209が挙げられる。
Figure 2018017919
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、n型顔料は、化合物(NA1)、(NA3)、(NA4)、(NP6)、(NP7)及び(NP8)のうちの1種以上であることが好ましい。
転写メモリーの発生をより抑制できることから、化合物(NA1)、(NA3)、(NA4)、(NP6)、(NP7)及び(NP8)のうち、化合物(NA1)、(NA3)、(NA4)又は(NP6)が含有されることが好ましく、(NA3)が含有されることがより好ましい。
転写メモリーの発生をより抑制できることから、化合物(NA1)、(NA3)、(NA4)、(NP6)、(NP7)及び(NP8)のうち、化合物(NA1)及び化合物(NA3)の2種を含有させること、又は化合物(NA1)及び化合物(NA8)の2種を含有させることも好ましい。
フィルミングの発生及び転写メモリーの発生を抑制するために、n型顔料が化合物(NA1)である場合、電子輸送剤は化合物(E1)、(E2)、(E3)又は(E4)であることが好ましく、化合物(E1)又は(E3)であることがより好ましい。同じ理由から、n型顔料が化合物(NA1)である場合、電子輸送剤は化合物(E1)及び(E2)の2種、化合物(E1)及び(E4)の2種、化合物(E2)及び(E3)の2種、又は化合物(E3)及び(E4)の2種であることも好ましく、化合物(E3)及び(E4)の2種であることもより好ましい。n型顔料が化合物(NA3)、(NA4)、(NP6)又は(NP7)である場合、電子輸送剤は化合物(E1)であることが好ましい。
フィルミングの発生及び転写メモリーの発生を抑制するために、n型顔料が化合物(NA1)である場合、電子輸送剤は化合物(E1−1)、(E1−3)、(E2−1)、(E2−5)、(E3−1)、(E3−2)又は(E4−2)であることが好ましく、化合物(E1−1)、(E1−3)、(E2−1)、(E2−5)又は(E3−1)であることがより好ましく、化合物(E1−3)又は(E3−1)であることが更に好ましい。同じ理由から、n型顔料が化合物(NA1)である場合、電子輸送剤は化合物(E1−1)及び(E2−2)の2種、化合物(E1−1)及び(E4−2)の2種、化合物(E2−1)及び(E3−4)の2種、又は化合物(E3−1)及び(E4−1)の2種であることも好ましく、化合物(E3−1)及び(E4−1)の2種であることもより好ましい。n型顔料が化合物(NA3)、(NA4)、(NP6)又は(NP7)である場合、電子輸送剤は化合物(E1−1)であることが好ましい。
なお、n型顔料以外に、更に別の顔料(以下、その他の顔料と記載することがある)が感光層に含有されていてもよい。その他の顔料としては、例えば、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。
ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの1種以上の含有量は、n型顔料の合計質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。n型顔料の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.09質量部以上9.00質量部以下であることが好ましく、1.00質量部以上7.00質量部以下であることがより好ましい。電荷発生剤とn型顔料との合計含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
(正孔輸送剤)
感光層は、例えば正孔輸送剤を含有する。正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の好適な例は、下記一般式(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)で表される化合物(以下、化合物(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)と記載することがある)である。転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光層は、正孔輸送剤として、化合物(9)、(10)、(11)又は(12)を含むことが好ましい。
以下、化合物(9)について説明する。
Figure 2018017919
一般式(9)中、R91〜R96は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R91〜R96は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はエチル基を表すことが特に好ましい。
一般式(9)中、a1、a2、a3及びa4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。a1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR91は、互いに同一でも異なっていてもよい。a2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR92は、互いに同一でも異なっていてもよい。a3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR93は、互いに同一でも異なっていてもよい。a4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR94は、互いに同一でも異なっていてもよい。a1及びa2は、各々、0を表すことが好ましい。a3及びa4は、各々独立に、1以上5以下の整数を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。
91〜R94の結合位置は特に限定されない。R91〜R94は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R93及びR94は、各々、フェニル基のオルト位に結合することが好ましい。
一般式(9)中、a5及びa6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。a5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR95は、互いに同一でも異なっていてもよい。a6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR96は、互いに同一でも異なっていてもよい。a5及びa6は、各々、0を表すことが好ましい。
95及びR96の結合位置は特に限定されない。R95及びR96は、各々、フェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
化合物(9)の好適な例は、下記化学式(H1)で表される化合物(以下、化合物(H1)と記載することがある)である。
Figure 2018017919
以下、化合物(10)について説明する。
Figure 2018017919
一般式(10)中、R101〜R106は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R101〜R106は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。
一般式(10)中、b1、b2、b3及びb4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。b1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR101は、互いに同一でも異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR102は、互いに同一でも異なっていてもよい。b3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR103は、互いに同一でも異なっていてもよい。b4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR104は、互いに同一でも異なっていてもよい。b1及びb2は、各々、0を表すことが好ましい。b3及びb4は、各々独立に、1以上5以下の整数を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。
101〜R104の結合位置は特に限定されない。R101〜R104は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R101及びR102は、各々、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
一般式(10)中、b5及びb6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。b5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR105は、互いに同一でも異なっていてもよい。b6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR106は、互いに同一でも異なっていてもよい。b5及びb6は、各々、0を表すことが好ましい。
105及びR106の結合位置は特に限定されない。R105及びR106は、各々、フェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
化合物(10)の好適な例は、下記化学式(H4)で表される化合物(以下、化合物(H4)と記載することがある)である。
Figure 2018017919
以下、化合物(11)について説明する。
Figure 2018017919
一般式(11)中、R111〜R114は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R111〜R113は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。R114は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。
一般式(11)中、c1、c2及びc3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。c1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR111は、互いに同一でも異なっていてもよい。c2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR112は、互いに同一でも異なっていてもよい。c3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR113は、互いに同一でも異なっていてもよい。c1は、0又は1を表すことが好ましい。c2は1又は2を表すことが好ましい。c3は、0又は1を表すことが好ましい。
111〜R113の結合位置は特に限定されない。R111〜R113は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R111は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。R112は、フェニル基のオルト位又はメタ位に結合することが好ましい。R113は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
c2が2を表し、2つのR112がフェニル基の隣接した結合位置(例えば、オルト位とメタ位、又はメタ位とパラ位)に結合する場合、2つのR112が互いに結合して、環を形成してもよい。隣接した2つのR112が互いに結合して形成される環としては、例えば、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンが挙げられる。隣接した2つのR112が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成する場合、この炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、2つのR112が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基を形成する。この場合、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとフェニル基との縮合部位は、二重結合を含んでいてもよい。隣接した2つのR112が互いに結合して、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成することが好ましく、シクロヘキサンを形成することがより好ましい。
化合物(11)の好適な例は、下記化学式(H3)で表される化合物(以下、化合物(H3)と記載することがある)である。
Figure 2018017919
以下、化合物(12)について説明する。
Figure 2018017919
一般式(12)中、R121〜R123は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R121〜R123としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、n−ブチル基を表すことがより好ましい。
一般式(12)中、d1、d2及びd3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。d1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR121は、互いに同一でも異なっていてもよい。d2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR122は、互いに同一でも異なっていてもよい。d3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR123は、互いに同一でも異なっていてもよい。d1は1を表すことが好ましい。d2及びd3は0を表すことが好ましい。
121〜R123の結合位置は特に限定されない。R121〜R123は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R121は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
化合物(12)の好適な例は、下記化学式(H2)で表される化合物(以下、化合物(H2)と記載することがある)である。
Figure 2018017919
以下、化合物(13)について説明する。
Figure 2018017919
一般式(13)中、R131〜R134は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R131及びR132は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。
一般式(13)中、e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR131は、互いに同一でも異なっていてもよい。e2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR132は、互いに同一でも異なっていてもよい。e3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR133は、互いに同一でも異なっていてもよい。e4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR134は、互いに同一でも異なっていてもよい。e1及びe2は、各々1を表すことが好ましい。e3及びe4は、各々0を表すことが好ましい。
131〜R134の結合位置は特に限定されない。R131〜R134は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R131及びR132は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
化合物(13)の好適な例は、下記化学式(H5)で表される化合物(以下、化合物(H5)と記載することがある)である。
Figure 2018017919
転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、正孔輸送剤は、化合物(H1)、(H2)、(H3)又は(H4)であることが好ましい。
感光層に含有される正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、30質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
(電荷発生剤)
感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含む。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CG1)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、化学式(CG2)で表される。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンは、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有する金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンが使用される。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
無金属フタロシアニン結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニン結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。また、Y型チタニルフタロシアニンには、電荷発生効率が高く、感光層内に電荷が残留し難いという利点がある。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有しない。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
図2は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。図2において、横軸はブラッグ角2θ(°)を示し、縦軸は強度(cps)を示す。図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートから、測定されたチタニルフタロシアニンの結晶型がY型であることを推定できる。
Y型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析(DSC)スペクトルにおける熱特性(詳しくは、次に示す熱特性(a)〜(c))の違いによって3種類に分類される。
(a)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
(b)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上400℃以下の範囲にピークを有しない。
(c)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
示差走査熱量分析スペクトルの測定方法の一例について説明する。サンプルパンにチタニルフタロシアニン結晶粉末の評価用試料を載せて、示差走査熱量計(例えば、株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて示差走査熱量分析スペクトルを測定する。測定範囲は、例えば40℃以上400℃以下であり、昇温速度は、例えば20℃/分である。
図3は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートの一例である。具体的には、図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートで示されるチタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートである。図3において、横軸は温度(℃)を示し、縦軸は熱流束(mcal/秒)を示す。図3の示差走査熱量分析スペクトルチャートでは、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークが観察されず、296℃(270℃以上400℃以下の範囲)に1つのピークが観察される。従って、測定されたチタニルフタロシアニン結晶が、主に熱特性(c)を有するY型チタニルフタロシアニンであることを推定できる。
熱特性(b)及び(c)を有するY型チタニルフタロシアニンは、結晶安定性に優れており、有機溶媒中で結晶転移を起こしにくく、感光層中に分散し易い。感光層の結晶化の抑制しつつ、転写メモリーの発生及びトナーフィルミングの発生を抑制するためには、熱特性(c)を有するY型チタニルフタロシアニンが好ましい。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
感光層は、電荷発生剤として、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニン以外の他の電荷発生剤を含有してもよい。金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンの含有量は、電荷発生剤の合計質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
<1−3.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。
<1−4.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、3種の電子輸送剤、正孔輸送剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、バインダー樹脂及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<2.画像形成装置及び画像形成方法>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る感光体30を備える画像形成装置100について説明する。また、本実施形態に係る感光体30を使用した画像形成方法について説明する。図4は画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。
画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用してもよいし、中間転写方式を採用してもよい。以下、中間転写方式を採用する画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
画像形成ユニット40は、感光体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体30が設けられる。感光体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。画像形成ユニット40には、クリーニング部52が更に備えられてもよい。クリーニング部52が備えられる場合、感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48及びクリーニング部52が設けられる。また、画像形成ユニット40には、除電部(不図示、例えば除電器)が更に備えられてもよい。
画像形成方法は、帯電工程と露光工程と現像工程と転写工程とを含む。画像形成方法は、クリーニング工程を更に含んでいてもよい。
帯電工程において、帯電部42は、感光体30の表面(具体的には、周面)を正極性に帯電する。感光層32(図1参照)は、電子輸送剤として化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種以上を含有する。そのため、感光体30と記録媒体Pとが摩擦されて、記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が正極性に帯電される傾向が強い。帯電部42によって感光体30の表面が正極性に帯電されると、感光体30の表面と、正極性に摩擦帯電される記録媒体Pの微小成分とが、電気的に反発する。その結果、記録媒体Pの微小成分が感光体30の表面に付着し難く、フィルミングの発生を好適に抑制することができる。
帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
帯電部42が感光体30の表面と接触しながら、帯電部42は感光体30の表面を正極性に帯電することができる。つまり、帯電部42は、接触方式であり得る。
通常、接触方式の帯電部42(例えば帯電ローラー)を用いて感光体30の表面を帯電させる場合、非接触方式の帯電部42と比較して、帯電時間が短い。接触方式の帯電部42は感光体30の表面との接触時間が短く、接触方式の帯電部42は短い接触時間の中で感光体30を帯電させる。そのため、接触方式の帯電部42は感光体30を帯電させる能力が、非接触方式の帯電部42と比較して、低い傾向がある。そのため、感光体30の表面の非露光領域における電位低下の影響が残り易く、転写メモリーが発生し易い。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたように転写メモリーの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、好適に転写メモリーの発生を抑制することができる。
また、接触方式の帯電部42を備える画像形成装置100においては、感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)が固着するため、フィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
接触方式の帯電部42としては、帯電ローラーを好適に使用することができる。帯電ローラーは、例えば、感光体30の表面と接触しながら、感光体30の回転に従動して回転する。帯電ローラーは、例えば、少なくとも表面部が樹脂で形成される。帯電ローラーは、例えば、回転可能に軸支された芯金と、芯金上に形成された樹脂層と、芯金に電圧を印加する電圧印加部とを備える。このような帯電ローラーである帯電部42は、電圧印加部が芯金に電圧を印加することによって、樹脂層を介して接触する感光体30の表面を帯電させる。
帯電ローラーの樹脂層を形成する樹脂は、感光体30の表面を良好に帯電できる限り特に限定されない。樹脂層に含有される樹脂の具体例は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はシリコーン変性樹脂である。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
露光工程において、露光部44は、帯電された感光体30の表面を露光する。これにより、感光体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像工程において、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体30は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。
現像部46が供給するトナーの例は、重合トナー又は粉砕トナーである。画像形成装置100においては、重合トナーを使用することができる。重合トナーは、高い円形度を有し、粒径が揃っている傾向がある。画像形成装置100がクリーニング部52を備える場合、感光体30の表面とクリーニング部52との間を重合トナーがすり抜け易い。そのため、感光体30の表面にクリーニング部52によってクリーニングされなかった重合トナーが残り、フィルミングが発生する傾向がある。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100において重合トナーが使用される場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
重合トナーは、例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法又はエステル伸長重合法によって得られる。重合トナーは、球形を有する。重合トナーは、高い円形度を有する。例えば、重合トナーの数平均円形度は、0.94以上0.99以下であることが好ましい。重合トナーの数平均円形度の測定方法の一例を説明する。試料(重合トナー)0.1gと分散液(シース液)20mLとを混合し、重合トナーの懸濁液を得る。得られた懸濁液中に含有される重合トナー粒子の個数及び各重合トナー粒子の円形度を、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて測定する。測定された重合トナー粒子の円形度の和を、測定された重合トナー粒子の個数で除算する。これにより、重合トナー粒子の数平均円形度を算出する。
転写ベルト50は、感光体30と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写工程において、転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体30から被転写体へ転写する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、被転写体は記録媒体Pに相当する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、感光体30から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、感光体30は記録媒体Pと接触している。転写部48は、例えば転写ローラーである。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
転写工程の後、クリーニング工程が行われてもよい。クリーニング工程において、クリーニング部52は、被転写体(記録媒体Pに相当)へトナー像が転写された感光体30の表面をクリーニングする。クリーニング部52は、感光体30の表面に残留する成分(以下、「残留成分」と記載することがある)をクリーニングする。残留成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。残留成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)である。
画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々は、クリーニング部52を少なくとも1つ備えることができる。クリーニング部52の例は、クリーニングブレード、クリーニングローラー、ファーブラシ、超音波クリーニング装置、エアジェットクリーニング装置、磁気ブラシクリーニング装置又は静電ブラシクリーニング装置である。
クリーニング部52は、クリーニングブレードであってもよい。クリーニングブレードは感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)を押圧するため、感光体30の表面にフィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100がクリーニング部52としてクリーニングブレードを備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。なお、画像形成装置100にクリーニング部52が複数備えられる場合には、複数のクリーニング部52のうちの1つは、クリーニングブレードであり得る。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、図4を参照して、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置100について説明した。
<3.プロセスカートリッジ>
図4を引き続き参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを備える。プロセスカートリッジには、クリーニング部52が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電部(不図示)が更に備えられてもよい。しかし、プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図4を参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<電子輸送剤の合成>
以下の方法で、電子輸送剤である化合物(E1−1)〜(E1−7)、(E2−1)〜(E2−6)、(E3−1)〜(E3−5)及び(E4−1)〜(E4−5)の各々を合成した。
<化合物(E1)の製造>
(化合物(E1−1)の製造)
反応式(1−r1)及び反応式(1−r2)で表される反応(以下、それぞれ反応(1−r1)及び(1−r2)と記載することがある)に従って化合物(E1−1)を製造した。
Figure 2018017919
反応(1−r1)では、ナフトール誘導体(1−1A)(1−ナフトール)とアルコール化合物(1−1B)とを反応させて、中間生成物であるナフトール誘導体(1−1C)を得た。詳しくは、ナフトール誘導体(1−1A)1.44g(0.010モル)と、アルコール化合物(1−1B)1.57g(0.010モル)と、酢酸30mLとをフラスコに投入し、酢酸溶液を調製した。フラスコ内容物に濃硫酸0.98g(0.010モル)を滴下し、室温で8時間攪拌した。フラスコ内容物にイオン交換水及びクロロホルムを加えて、有機層を得た。有機層を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、中和した。続けて、有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、有機層を乾燥させた。乾燥させた有機層を減圧留去し、ナフトール誘導体(1−1C)を含む粗生成物を得た。
Figure 2018017919
反応(1−r2)では、ナフトール誘導体(1−1C)を酸化反応させて、化合物(E1−1)を得た。詳しくは、ナフトール誘導体(1−1C)を含む粗生成物と、クロロホルム100mLとをフラスコに投入し、クロロホルム溶液を調製した。フラスコ内容物にクロラニル2.46g(0.010モル)を加え、室温で8時間攪拌した。続けて、フラスコ内容物をろ過し、ろ液を得た。得られたろ液の溶媒を留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりで得られた残渣を精製した。これにより、化合物(E1−1)を得た。化合物(E1−1)の収量は、1.68gであり、ナフトール誘導体(1−1A)からの化合物(E1−1)の収率は、60モル%であった。
(化合物(E1−2)〜(E1−7)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(E1−1)の製造と同じ方法で、化合物(E1−2)〜(E1−7)をそれぞれ製造した。なお、化合物(E1−2)〜(E1−7)において使用した各原料のモル数は、化合物(E1−1)の製造において使用した対応する原料のモル数と同じであった。
反応(1−r1)で使用するアルコール化合物(1−1B)を、表1に示すアルコール化合物(1−2B)〜(1−7B)の何れかに変更した。それらの結果、反応(1−r1)では、ナフトール誘導体(1−1C)の代わりに、表1に示すナフトール誘導体(1−2C)〜(1−7C)の各々を含む粗生成物が得られた。
反応(1−r2)で使用するナフトール誘導体(1−1C)を含む粗生成物をナフトール誘導体(1−2C)〜(1−7C)の何れかを含む粗生成物に変更した。それらの結果、反応(1−r2)では、化合物(E1−1)の代わりに、それぞれ化合物(E1−2)〜(E1−7)が得られた。
なお、表1中のナフトール誘導体(1−A)欄においては、実施形態の反応(1−R1)で述べたナフトール誘導体(1−A)に対応する原料(ナフトール誘導体(1−1A))を示す。表1中のアルコール誘導体(1−B)欄においては、実施形態の反応(1−R1)で述べたアルコール誘導体(1−B)に対応する原料(アルコール誘導体(1−1B)〜(1−7B))を示す。表1中のナフトール誘導体(1−C)欄においては、実施形態の反応(1−R1)及び(1−R2)で述べたナフトール誘導体(1−C)に対応する原料(ナフトール誘導体(1−1C)〜(1−7C))を示す。表1中の化合物(E1)欄においては、実施形態の反応(1−R2)で述べた化合物(E1)対応する化合物(E1−1)〜(E1−7)を示す。
表1に化合物(E1)の収量及び収率を示す。なお、表1中、アルコール化合物(1−2B)〜(1−7B)は、それぞれ下記化学式(1−2B)〜(1−7B)で表される。また、ナフトール誘導体(1−2C)〜(1−7C)は、それぞれ下記化学式(1−2C)〜(1−7C)で表される。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
<化合物(E2)の製造>
(化合物(E2−1)の製造)
反応式(2−r4)で表される反応(以下、反応(2−r4)と記載することがある)に従って化合物(E2−1)を製造した。
Figure 2018017919
反応(2−r4)では、化合物(2−F)(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物)2.68g(10ミリモル)と、化学式(2−1G)で表される化合物4.64g(20ミリモル)と、ピコリン50mLとをフラスコに投入し、ピコリン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して4時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、イオン交換水をフラスコに投入し、クロロホルムで抽出した。有機層の溶媒(ピコリン)を除去し、残渣を得た。得られた残渣を展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、化合物(E2−1)を得た。化合物(E2−1)の収量は4.16gであり、反応(2−r4)における化合物(2−F)からの化合物(E2−1)の収率は60モル%であった。
(化合物(E2−5)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(E2−1)の製造と同じ方法で、化合物(E2−5)の各々を製造した。なお、化合物(E2−5)の製造において使用される各原料のモル数は、化合物(E2−1)の製造において使用される対応する原料のモル数と同じであった。
化合物(E2−5)の製造では、反応(2−r4)で使用した化合物(2−1G)(4.64g、20ミリモル)を、化学式(2−5G)で表される化合物(以下、化合物(2−5G)、3.80g、20ミリモル)に変更した。その結果、化合物(E2−1)の代わりに、化合物(E2−5)が得られた。化合物(E2−5)の収量は3.98gであり、反応(2−r4)における化合物(2−F)からの化合物(E2−5)の収率は65モル%であった。
Figure 2018017919
(化合物(E2−2)の製造)
反応式(2−r’1)、(2−r’2)及び(2−r’3)で表される反応(以下、それぞれ反応(2−r'1)、反応(2−r’2)、及び反応(2−r'3)と記載することがある)に従って化合物(E2−2)を製造した。
Figure 2018017919
反応(2−r’1)では、化合物(2−1A)3.42g(10ミリモル)と、化合物(2−2E)1.35g(10ミリモル)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン1.3g(10ミリモル)と、ジオキサン50mLとをフラスコに投入し、ジオキサン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して2時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、ジオキサンを除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(体積比V/V=1/2)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化学式(2−2C’)で表される中間生成物(以下、化合物(2−2C’)と記載することがある)を得た。
Figure 2018017919
反応(2−r’2)では、化合物(2−2C’)と、トリフルオロ酢酸15mLとをフラスコに投入し、トリフルオロ酢酸溶液を調製した。化合物(2−2C’)は、反応(2−r’1)で得られた全量を反応(2−r’2)で使用した。フラスコ内容物の温度を80℃に昇温し、80℃に維持して24時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、トリフルオロ酢酸を除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(体積比V/V=1/4)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化学式(2−2D’)で表される中間生成物(以下、化合物(2−2D')と記載することがある)を得た。
Figure 2018017919
反応(2−r’3)では、化合物(2−2D’)と、化学式(2−2B)で表される化合物2.32g(10ミリモル)と、ジイソプロピルエチルアミン1.3g(10ミリモル)と、ジオキサン50mLとをフラスコに投入し、ジオキサン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して2時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、ジオキサンを除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチルを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化合物(E2−2)を得た。化合物(E2−2)の収量は2.69gであり、反応(2−r’1)〜(2−r’3)における化合物(2−1A)からの化合物(E2−2)の収率は45モル%であった。
(化合物(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(E2−2)の製造と同じ方法で、化合物(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)をそれぞれ製造した。なお、化合物(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)の合成において使用される各原料のモル数は、化合物(E2−2)の製造において使用される対応する原料のモル数と同じであった。
(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)の製造では、反応(2−r'3)で使用した化合物(2−2B)をそれぞれ、表2に示す化合物(2−3B)、(2−4B)及び(2−6B)に変更した。それらの結果、化合物(E2−2)の代わりに、それぞれ、表2に示す化合物(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)を得た。表2に、化合物(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)の収量、並びに反応(2−r’1)〜(2−r’3)における化合物(2−1A)からの(E2−3)、(E2−4)及び(E2−6)の収率を示す。なお、化合物(2−3B)、(2−4B)及び(2−6B)は、それぞれ下記化学式(2−3B)、(42−B)及び(2−6B)で表される。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
<化合物(E3)の合成>
化合物(E3)の例である化合物(E3−1)〜(E3−5)を、実施形態で述べた反応(3−ra)〜(3−rd)を行うことにより製造した。具体的な製造方法は、次の通りであった。
(反応(3−ra))
反応(3−ra)の化合物(3−F)として、下記化合物(3−F1)を使用した。反応(3−ra)の化合物(3−A)として、下記化合物(3−A1)、(3−A2)又は(3−A3)を使用した。そして、反応(3−ra)の反応生成物である化合物(3−B’)として、下記化合物(3−B1)、(3−B2)又は(3−B3)を得た。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
化合物(3−B1)の具体的な製造方法は、次の通りであった。反応(3−ra)として下記反応(3−ra1)を行うことによって、化合物(3−B1)を得た。
Figure 2018017919
反応(3−ra1)では、化合物(3−F1)と化合物(3−A1)とを反応させて化合物(3−B1)を得た。詳しくは、化合物(3−F1)(ブロモ酢酸、1.39g、10mmol)及び化合物(3−A1)(1.43g、10mmol)をクロロホルム(50mL)に溶解させ、クロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.12g、20mmol)を加えた。得られた混合物を室温(25℃)で8時間攪拌した。8時間攪拌した後、混合物を濾過して、濾液を得た。濾液を減圧してクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、化合物(3−B1)が得られた。化合物(3−B1)の収量は、2.11gであった。化合物(3−F1)からの化合物(3−B1)の収率は、80mol%であった。
以下の点を変更した以外は化合物(3−B1)の製造と同じ方法で反応(3−ra1)を行うことにより、化合物(3−B2)を得た。化合物(3−A)として、化合物(3−B1)の製造における化合物(3−A1)(1.43g、10mmol)の代わりに、化合物(3−A2)(1.77g、10mmol)を使用した。その結果、化合物(3−B’)として、化合物(3−B1)の代わりに、化合物(3−B2)が得られた。化合物(3−B2)の収量は、2.24gであった。化合物(3−F1)からの化合物(3−B2)の収率は、75mol%であった。
以下の点を変更した以外は化合物(3−B1)の製造と同じ方法で反応(3−ra1)を行うことにより、化合物(3−B3)を得た。化合物(3−A)として、化合物(3−B1)の製造における化合物(3−A1)(1.43g、10mmol)の代わりに、化合物(3−A3)(1.26g、10mmol)を使用した。その結果、化合物(3−B’)として、化合物(3−B1)の代わりに、化合物(3−B3)が得られた。化合物(3−B3)の収量は、1.98gであった。化合物(3−F1)からの化合物(3−B3)の収率は、80mol%であった。
(反応(3−rb))
反応(3−rb)の化合物(3−G)として、下記化合物(3−G1)を使用した。反応(3−rb)の化合物(3−B)として、化合物(3−B1)〜(3−B5)の何れかを使用した。化合物(3−B1)〜(3−B3)として、上述の反応(3−ra)で得られた化合物(3−B1)〜(3−B3)を使用した。下記化合物(3−B4)及び(3−B5)として、市販品を使用した。そして、反応(3−rb)の反応生成物である化合物(3−C)として、下記化合物(3−C1)〜(3−C5)の何れかを得た。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
化合物(3−C1)の具体的な製造方法は、次の通りであった。反応(3−rb)として下記反応(3−rb1)を行うことによって、化合物(3−C1)を得た。
Figure 2018017919
反応(3−rb1)では、化合物(3−G1)と化合物(3−B1)とを反応させて化合物(3−C1)を得た。詳しくは、化合物(3−G1)(フェニルインダンジオン、2.22g、10mmol)及び40%水素化ナトリウム(NaH、0.72g、12mmol)を、アルゴンガスで置換した容器に入れた。容器を氷冷した後、容器に蒸留したテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。容器に、化合物(3−B1)(2.63g、10mmol)の蒸留テトラヒドロフラン(50mL)溶液を更に加えた。容器の内容物を、攪拌しながら90℃で4時間還流した。続いて、容器内に水を加えて、固体を析出させた。析出した固体を濾過して、残渣を得た。残渣をクロロホルムに溶解させてクロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液に水を加えて抽出し、有機層を得た。有機層から溶媒であるクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣を、クロロホルム/メタノール(体積比率1/1)で晶析した。その結果、化合物(3−C1)が得られた。化合物(3−C1)の収量は3.23gであった。化合物(3−G1)からの化合物(3−C1)の収率は80mol%であった。
以下の点を変更した以外は化合物(3−C1)の製造と同じ方法で反応(3−rb1)を行うことにより、化合物(3−C2)〜(3−C5)の何れかを得た。化合物(3−B)として、化合物(3−C1)の製造における化合物(3−B1)の代わりに、表3に示す化合物(3−B2)〜(3−B5)の何れかを使用した。化合物(3−B)の添加質量を、化合物(3−C1)の製造における2.63gから、表3に示す添加質量に変更した。なお、化合物(3−B)の添加モル数は、化合物(3−C1)の製造における10mmolから変更しなかった。その結果、化合物(3−C)として、化合物(3−C1)の代わりに、化合物(3−C2)〜(3−C5)の何れかが得られた。得られた化合物(3−C2)〜(3−C5)の収量を表3に示す。また、化合物(3−G1)からの化合物(3−C2)〜(3−C5)の収率を表3に示す。
Figure 2018017919
(反応(3−rc)及び反応(3−rd))
反応(3−rc)では、反応(3−rc)の化合物(3−C)として、化合物(3−C1)〜(3−C5)の何れかを使用した。そして、反応(3−rc)の反応生成物である化合物(3−D)として、下記化合物(3−D1)〜(3−D5)の何れかを得た。反応(3−rd)では、反応(3−rd)の化合物(3−D)として、反応(3−rc)で得られた化合物(3−D1)〜(3−D5)の何れかを使用した。そして、反応(3−rd)の反応生成物である化合物(E3)として、化合物(E3−1)〜(E3−5)の何れかを得た。
Figure 2018017919
化合物(3−D1)の具体的な製造方法は次の通りであった。反応(3−rc)として下記反応(3−rc1)を行うことによって、化合物(3−D1)を得た。
Figure 2018017919
反応(3−rc1)では、化合物(3−C1)(4.04g、10mmol)、40%水素化ナトリウム(NaH、0.72g、12mmol)を、アルゴンガスで置換した容器に入れた。容器を氷冷した後、容器に蒸留したテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。容器の内容物を、攪拌しながら90℃で4時間還流した。続いて、容器内に水を加えて、固体を析出させた。析出した固体を濾過して、残渣を得た。残渣をクロロホルムに溶解させてクロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液に水を加えて抽出し、有機層を得た。有機層から溶媒であるクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣をクロロホルム/ヘキサン(体積比率1/1)で晶析し、化合物(3−D1)の粗生成物を得た。化合物(3−D1)の粗生成物を精製することなく、反応(3−rd)にそのまま使用した。
化合物(E3−1)の具体的な製造方法は次の通りであった。反応(3−rd)として下記反応(3−rd1)を行うことによって、化合物(E3−1)を得た。
Figure 2018017919
反応(3−rd1)では、反応(3−rc1)で得られた化合物(3−D1)の粗生成物及びクロラニル(3.69g、15mmol)をクロロホルム100mLに溶解し、クロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液を、室温(25℃)で8時間攪拌した。8時間攪拌した後、混合物を濾過して、濾液を得た。濾液を減圧してクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、化合物(E3−1)が得られた。化合物(E3−1)の収量は、2.41gであった。化合物(3−C1)からの化合物(E3−1)の二段階収率は、60mol%であった。
以下の点を変更した以外は化合物(3−D1)の製造と同じ方法で反応(3−rc1)を行うことにより、化合物(3−D2)〜(3−D5)の何れかを得た。化合物(3−C)として、化合物(3−D1)の製造における化合物(3−C1)の代わりに、表4に示す化合物(3−C2)〜(3−C5)の何れかを使用した。化合物(3−C)の添加質量を、化合物(3−D1)の製造における4.04gから、表4に示す添加質量に変更した。なお、化合物(3−C)の添加モル数は、化合物(3−D1)の製造における10mmolから変更しなかった。その結果、化合物(3−D)として、化合物(3−D1)の代わりに、化合物(3−D2)〜(3−D5)の何れかが得られた。
以下の点を変更した以外は化合物(E3−1)の製造と同じ方法で反応(3−rd1)を行うことにより、化合物(E3−2)〜(E3−5)の何れかを得た。化合物(3−D)として、化合物(E3−1)の製造における化合物(3−D1)の代わりに、表4に示す化合物(3−D2)〜(3−D5)の何れかを使用した。その結果、化合物(E3)として、化合物(E3−1)の代わりに、化合物(E3−2)〜(E3−5)の何れかが得られた。
Figure 2018017919
<化合物(E4)の製造>
(化合物(E4−1)の製造)
反応式(4−r1)及び反応式(4−r2)で表される反応(以下、それぞれ反応(4−r1)及び(4−r2)と記載することがある)に従って化合物(E4−1)を製造した。
Figure 2018017919
反応(4−r1)では、化学式(4−a1−1)で表される2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンと、フタルイミドカリウム(4−a2)とを反応させて、2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノン(ジアミノナフトキノン(4−A))を得た。
詳しくは、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン4.54g(0.020モル)と、フタルイミドカリウム7.40g(0.040モル)と、アセトニトリル100mLとをフラスコに投入し、アセトニトリル溶液を調製した。アセトニトリル溶液を加温し、80℃で5時間攪拌還流した。還流後の反応系を室温(約25℃)まで放冷し、生じた黄色固体(反応中間体)をろ取した。
次いで、黄色固体に20質量%ヒドラジン水溶液200mLを加え、反応系を室温(約25℃)で30分間攪拌した。反応系を加温し、80℃付近で1時間攪拌した。熱時ろ過を行い、固体をろ取した。得られた固体を水洗後乾燥させて、2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノンを得た。2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノンの収量は、2.80gであり、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンからの2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノンの収率は、74モル%であった。
Figure 2018017919
反応(4−r2)では、2,3−ジアミノ−1,4−ナフトキノン(以下、ジアミノナフトキノン(4−A))と、化学式(4−B1)で表されるジケトン誘導体(以下、ジケトン誘導体(4−B1))とを反応させて、化合物(E4−1)を得た。
詳しくは、ジアミノナフトキノン(4−A)1.88g(0.010モル)と、ジケトン誘導体(4−B1)2.58g(0.010モル)と、エタノール100mLとをフラスコに投入し、エタノール溶液を調製した。エタノール溶液に酢酸0.30g(0.005モル)を加え、反応系を加温し、80℃で4時間攪拌還流した。還流後の反応系からエタノールを留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルムを用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、得られた残渣を精製して、化合物(E4−1)を得た。化合物(E4−1)の収量は、2.46gであり、ジアミノナフトキノン(4−A)からの化合物(E4−1)の収率は、60モル%であった。
(化合物(E4−2)〜(E4−5)の製造)
反応(4−r2)において以下の点を変更した以外は、化合物(E4−1)の製造と同じ方法で、化合物(E4−2)〜(E4−5)をそれぞれ製造した。なお、化合物(E4−2)〜(E4−5)の製造において、反応(4−r1)は、化合物(E4−1)の製造における反応(4−r1)から変更しなかった。また、化合物(E4−2)〜(E4−5)の製造において使用した各原料のモル数は、化合物(E4−1)の製造において使用された対応する原料のモル数と同じであった。
反応(4−r2)で使用するジケトン誘導体(4−B1)を、表5に示すジケトン誘導体(4−B2)〜(4−B5)の何れかに変更した。これらの結果、反応(4−r2)において、化合物(E4−1)の代わりに、それぞれ、表5に示す化合物(E4−2)〜(E4−5)が得られた。表5に、化合物(E4)の収量及び収率を示す。ジケトン誘導体(4−B2)〜(4−B5)は、それぞれ下記化学式(4−B2)〜(4−B5)で表される。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造した(E1−1)、(E1−3)、(E2−1)、(E2−2)、(E2−5)、(E3−1)、(E3−2)、(E3−4)、(E4−1)及び(E4−2)の各々の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち化合物(E1−1)、(E2−1)、(E3−1)及び(E4−4)を代表例として挙げる。図5〜図8の各々は、化合物(E1−1)、(E2−1)、(E3−1)及び(E4−4)の1H−NMRスペクトルを示す。図5〜図8中、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示し、横軸は化学シフト(単位:ppm)を示す。以下に、化合物(E1−1)、(E2−1)、(E3−1)及び(E4−4)の化学シフト値を示す。
化合物(E1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.30(d,2H),7.18−7.74(m,16H),4.57(q,2H),1.50(d,6H).
化合物(E2−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.70(d,4H), 7.62−7.75(m,8H),7.36−7.55(m,8H).
化合物(E3−1):1H−NMR(270MHz,CDCl3) δ=8.14−8.19(m,2H),7.79−7.83(m,2H),7.30−7.44(m,7H),6.96(s,2H),5.11(s,2H).
化合物(E4−4):1H−NMR(270MHz,CDCl3) δ=8.36−8.43(m,2H)、7.83−7.90(m,2H)、3.00(d,2H)、2.86(s,2H)、2.36(m,1H)、1.02(d,6H).
<感光体の材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、n型顔料、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、チタニルフタロシアニン及び無金属フタロシアニンを準備した。
チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CG1)で表される化合物であった。また、このチタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有し、26.2℃にピークを有していなかった。このチタニルフタロシアニンは、DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲に1つのピークを有していた。
無金属フタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CG2)で表される化合物であった。この無金属フタロシアニンは、X型結晶であった。
(n型顔料)
n型顔料として、実施形態で述べた化合物(NA1)、(NA3)、(NA4)、(NP6)、(NP7)及び(NP8)を準備した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(H1)〜(H4)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(PC1)〜(PC5)を準備した。実施例で使用したポリカーボネート樹脂(PC1)〜(PC5)の各々は、化学式(PC1)〜(PC5)で表される繰り返し単位のみから構成されていた。ポリカーボネート樹脂(PC1)〜(PC5)の各々の粘度平均分子量は、40000、45500、51000、48500及び49000であった。
また、バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(PA6)を準備した。実施例で使用したポリアリレート樹脂(PA6)は、化学式(PA6)で表される繰り返し単位のみから構成されていた。実施例で使用したポリアリレート樹脂(PA6)の粘度平均分子量は、50000であった。
(電子輸送剤)
上述のように合成した化合物(E1−1)〜(E1−7)、(E2−1)〜(E2−6)、(E3−1)〜(E3−5)及び(E4−1)〜(E4−5)のうち、感光層を形成するための電子輸送剤として、化合物(E1−1)、(E1−3)、(E2−1)、(E2−2)、(E2−5)、(E3−1)、(E3−2)、(E3−4)、(E4−1)及び(E4−2)を使用した。
また、電子輸送剤として、下記化学式(E−A)〜(E−F)で表される化合物も準備した。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、実施例である感光体(P−A1)〜(P−A28)を製造した。また、感光層を形成するための材料を用いて、比較例である感光体(P−B1)〜(P−B9)を製造した。
(感光体(P−A1)の製造)
容器内に、電荷発生剤としての化合物(CG1)3.00質量部、n型顔料としての化合物(NA1)2.00質量部、正孔輸送剤としての化合物(H1)60.00質量部、電子輸送剤としての化合物(E1−1)40.00質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC1)100.00質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800.00質量部を投入した。容器の内容物を、棒状の超音波発振子を用いて、2分間分散させた。次いで、容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。
次に、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて調製した感光層用塗布液を塗布した。これにより、導電性基体上に塗布膜を形成した。塗布膜が形成された導電性基体を100℃で40分間乾燥させて、塗布膜からテトラヒドロフランを除去した。これにより、導電性基体上に、単層の感光層(膜厚25μm)が形成された。その結果、感光体(P−A1)が得られた。
(感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B9)の製造)
下記(1)〜(5)を変更した以外は、感光体(P−A1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B9)の各々を製造した。
(1)感光体(P−A1)の製造における化合物(CG1)を、表6〜表9に示す種類の電荷発生剤に変更した。
(2)感光体(P−A1)の製造における化合物(NA1)2.00質量部を、表6〜表9に示す種類及び量のn型顔料に変更した。なお、感光体(P−A6)及び(P−A7)の製造では、2種のn型顔料を用いた。
(3)感光体(P−A1)の製造における化合物(H1)を、表6〜表9に示す種類の正孔輸送剤に変更した。
(4)感光体(P−A1)の製造における化合物(E1−1)40.00質量部を、表6〜表9に示す種類及び量の電子輸送剤に変更した。なお、感光体(P−A16)〜(P−A19)の製造では、2種の電子輸送剤を用いた。
(5)感光体(P−A1)の製造におけるポリカーボネート樹脂(PC1)を、表6〜表9に示す種類のバインダー樹脂に変更した。
<転写メモリー抑制の評価>
製造した感光体(P−A1)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B9)の各々に対して、転写メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。転写メモリーの発生が抑制されているか否かの評価は、温度10℃且つ相対湿度20%RHの環境下で行った。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を用いた。この評価機は、帯電部として接触帯電方式の帯電ローラーを備えていた。また、帯電ローラーが感光体の表面を帯電する電位を正極性(+600V)に設定した。この評価機は、クリーニング部としてクリーニングブレードを備えていた。評価機のトナーコンテナにトナー(重合トナー、試作品、円形度0.95)を投入した。
評価機を用いて、15秒毎に1枚ずつ、画像I(印字率4%のパターン画像)を用紙(A4サイズ紙)に形成した(いわゆる間欠印写)。そして、合計1000枚の用紙に画像Iを形成した。1000枚の用紙に画像Iを形成した後、画像II及び画像IIIを含む評価用画像を1枚の用紙に印刷した。画像IIは、白色(画像濃度0%)の背景に、1つの黒色(画像濃度100%)の四角形が現された画像であった。画像IIは、感光体の1周目で形成される画像に相当していた。画像IIIは、全面ハーフトーン(画像濃度12.5%)の画像であった。画像IIIは、感光体の2周目及び3周目で形成される画像に相当していた。
得られた画像IIIを肉眼で観察し、画像IIに由来する画像ゴーストの有無を確認した。なお、感光体に転写メモリーが発生すると、形成画像に画像ゴースト(特にネガゴースト)が発生する。画像ゴーストは、感光体の1周目で印刷された画像IIの白色の背景に対応する領域(黒色の四角形以外の領域)が、感光体の2周目及び3周目で印刷された全面ハーフトーンの画像IIIにおいて黒く現れる画像不良である。画像ゴーストの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、転写メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表6〜表9に示す。なお、評価がA〜Cである感光体を、転写メモリーの発生が抑制されていると評価した。
(転写メモリー抑制の評価基準)
評価A:画像ゴーストが、全く確認されなかった。
評価B:軽微な画像ゴーストが、わずかに確認された。
評価C:軽微な画像ゴーストが、確認された。しかし、目立たない程度の画像ゴーストであった。
評価D:画像ゴーストが、明確に確認された。
<フィルミング抑制の評価>
製造した感光体(P−A1)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B9)の各々に対して、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。フィルミングの発生が抑制されているか否かの評価は、温度30℃且つ相対湿度80%RHの環境下で行った。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を用いた。この評価機は、帯電部として接触帯電方式の帯電ローラーを備えていた。帯電ローラーが感光体の表面を帯電する電位を正極性(+600V)に設定した。この評価機は、クリーニング部としてクリーニングブレードを備えていた。評価機のトナーコンテナにトナー(重合トナー、試作品、円形度0.95)を投入した。
評価機を用いて、15秒毎に1枚ずつ、画像IV(印字率1%のパターン画像)を用紙(A4サイズ紙)に形成した(いわゆる間欠印写)。そして、合計5000枚の用紙に画像IVを形成した。5000枚の用紙に画像IVを印刷した後、画像Vを1枚の用紙に印刷した。画像Vは、全面グレー色の画像(画像濃度50%)であった。
得られた画像Vを肉眼で観察し、筋及びダッシュマークの有無を確認した。なお、感光体にフィルミングが発生すると、形成画像に筋及びダッシュマークが発生する。筋は、画像が印刷される方向に対して平行な黒線が現れる画像不良である。ダッシュマークは、画像が印刷される方向に対して平行に配列した黒点が現れる画像不良である。筋及びダッシュマークの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表6〜表9に示す。なお、評価がA〜Cである感光体を、フィルミングの発生が抑制されていると評価した。
(フィルミング抑制の評価基準)
評価A:筋及びダッシュマークが、全く確認されなかった。
評価B:軽微な筋及びダッシュマークが、わずかに確認された。
評価C:軽微な筋及びダッシュマークが、確認された。しかし、目立たない程度の筋及びダッシュマークであった。
評価D:筋及びダッシュマークが、明確に確認された。
表6〜表9中、CGM、HTM、ETM、樹脂及び部は、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び質量部を示す。
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
Figure 2018017919
感光体(P−A1)〜(P−A28)は、導電性基体と感光層とを備えていた。感光層は、単層であり、感光層は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有していた。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含んでいた。n型顔料の含有量が、3.00質量部の金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下であった。電子輸送剤は、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)のうちの1種以上を含んでいた。そのため、表6〜表8から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A28)では、転写メモリー抑制の評価がA〜Cであり、転写メモリーの発生が抑制されていた。また、感光体(P−A1)〜(P−A28)では、フィルミング抑制の評価がA〜Cであり、フィルミングの発生が抑制されていた。
一方、感光体(P−B1)の感光層は、n型顔料を含有していなかった。そのため、表9に示すように、感光体(P−B1)では、転写メモリー抑制の評価がDであり、転写メモリーが発生していた。
感光体(P−B2)では、n型顔料の含有量が3.00質量部の金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに対して0.09質量部未満であった。そのため、表9に示すように、感光体(P−B2)では、転写メモリー抑制の評価がDであり、転写メモリーが発生していた。
感光体(P−B3)では、n型顔料の含有量が3.00質量部の金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに対して9.00質量部超であった。そのため、表9に示すように、感光体(P−B3)では、転写メモリー抑制の評価がDであり、転写メモリーが発生していた。
感光体(P−B4)〜(P−B9)の感光層は、電子輸送剤として、化合物(E−A)〜(E−F)を各々含有していた。しかし、化合物(E−A)は、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)の何れでもなかった。化合物(E−B)〜(E−F)も、各々、化合物(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)の何れでもなかった。そのため、表9に示すように、感光体(P−B4)〜(P−B9)では、フィルミング抑制の評価がDであり、フィルミングが発生していた。
以上のことから、本発明に係る感光体によれば、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制できることが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制できることが示された。更に、本発明に係る画像形成方法によれば、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を抑制して、良好な画像を形成できることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。
30 電子写真感光体
31 導電性基体
32 感光層
33 中間層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
52 クリーニング部
100 画像形成装置
P 記録媒体

Claims (20)

  1. 導電性基体と感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、単層であり、
    前記感光層は、電荷発生剤とn型顔料と電子輸送剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有し、
    前記電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含み、
    前記n型顔料の含有量が、3.00質量部の前記金属フタロシアニン又は前記無金属フタロシアニンに対して、0.09質量部以上9.00質量部以下であり、
    前記電子輸送剤は、下記一般式(E1)、(E2)、(E3)及び(E4)で表される化合物のうちの1種以上を含む、電子写真感光体。
    Figure 2018017919
    前記一般式(E1)中、
    1は、
    (1a)炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、
    (1b)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び
    (1c)炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基
    からなる群から選択される第一基を表し、
    前記第一基は、1つ以上のハロゲン原子を有し、
    2つのR1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
    2は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上14以下の複素環基を表し、
    2つのR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
    Figure 2018017919
    前記一般式(E2)中、
    21及びR22は、各々独立に、
    (2a)炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    (2b)フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    (2c)炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    (2d)炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、
    (2e)炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び
    (2f)炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基
    からなる群より選択される第二基を表し、
    前記第二基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよく、
    21及びR22のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。
    Figure 2018017919
    前記一般式(E3)中、
    31及びR32は、各々独立して、
    ハロゲン原子、
    ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、
    ハロゲン原子を少なくとも1つ有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は
    ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、
    m及びnは、各々独立して、0以上5以下の整数を表し、m及びnの両方が0を表すことはなく、
    Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。
    Figure 2018017919
    前記一般式(E4)中、
    41及びR42は、各々独立に、
    (4a)炭素原子数1以上8以下のアルキル基、
    (4b)置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    (4c)置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び
    (4d)置換基を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される第三基を表し、
    前記第三基は、1つ以上のハロゲン原子を有していてもよく、
    41及びR42のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。
  2. 前記一般式(E1)中、
    1は、(1a)で示す前記第一基を表し、
    (1a)で示す前記第一基における、前記炭素原子数6以上14以下のアリール基及び前記炭素原子数1以上8以下のアルキル基の一方又は両方が、1つ以上のハロゲン原子を有し、
    2つのR1は互いに同一であり、
    2は、水素原子を表し、
    2つのR2は互いに同一であり、
    前記一般式(E2)中、
    21及びR22は、各々独立に、(2a)、(2b)、(2c)又は(2d)で示す前記第二基を表し、
    前記(2b)で示す前記第二基における前記炭素原子数6以上14以下のアリール基、前記(2c)で示す前記第二基における前記炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び前記(2d)で示す前記第二基における前記炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、各々、1つ以上のハロゲン原子を有し、
    21及びR22のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有し、
    前記一般式(E3)中、
    32は、ハロゲン原子を表し、
    mは0を表し、nは1以上5以下の整数を表し、
    Yは、−CO−O−CH2−又は−CO−を表し、
    前記一般式(E4)中、
    41は、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    42は、
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は
    1つ以上のハロゲン原子を有してもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    41及びR42のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(E1)で表される化合物は、下記化学式(E1−1)、(E1−2)、(E1−3)、(E1−4)、(E1−5)、(E1−6)又は(E1−7)で表される化合物であり、
    前記一般式(E2)で表される化合物は、下記化学式(E2−1)、(E2−2)、(E2−3)、(E2−4)、(E2−5)又は(E2−6)で表される化合物であり、
    前記一般式(E3)で表される化合物は、下記化学式(E3−1)、(E3−2)、(E3−3)、(E3−4)又は(E3−5)で表される化合物であり、
    前記一般式(E4)で表される化合物は、下記化学式(E4−1)、(E4−2)、(E4−3)、(E4−4)又は(E4−5)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
  4. 前記一般式(E1)で表される化合物は、前記化学式(E1−1)又は(E1−3)で表される化合物であり、
    前記一般式(E2)で表される化合物は、前記化学式(E2−1)、(E2−2)又は(E2−5)で表される化合物であり、
    前記一般式(E3)で表される化合物は、前記化学式(E3−1)、(E3−2)又は(E3−4)で表される化合物であり、
    前記一般式(E4)で表される化合物は、前記化学式(E4−1)又は(E4−2)で表される化合物である、請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記n型顔料は、ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの1種以上である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記アゾ顔料は、下記化学式(NA1)、(NA3)又は(NA4)で表される化合物であり、
    前記ペリレン顔料は、下記化学式(NP6)、(NP7)又は(NP8)で表される化合物であり、
    前記n型顔料は、前記化学式(NA1)、(NA3)、(NA4)、(NP6)、(NP7)及び(NP8)で表される化合物のうちの1種以上である、請求項5に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
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    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
  7. 前記n型顔料は、ペリレン顔料及びアゾ顔料のうちの2種以上である、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記金属フタロシアニンは、チタニルフタロシアニン結晶であり、
    前記無金属フタロシアニンは、無金属フタロシアニン結晶である、請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する、請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記チタニルフタロシアニン結晶は、示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピークを有する、請求項8又は9に記載の電子写真感光体。
  11. 前記バインダー樹脂は、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂又は下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である、請求項1〜10の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018017919
    Figure 2018017919
    前記一般式(5)及び(6)中、
    51、R52、R61及びR62は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    51及びR52は、互いに結合して炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基を表してもよく、
    61及びR62は、互いに結合して炭素原子数3以上8以下のシクロアルキリデン基を表してもよく、
    53、R54、R63、R64、R65、R66は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
  12. 前記一般式(5)中、
    51及びR52は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    51及びR52は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表してもよく、
    53及びR54は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(6)中、
    61及びR62は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    63、R64、R65、R66は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す、請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記バインダー樹脂は、前記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂であり、
    前記一般式(5)中、
    51及びR52は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表し、
    53及びR54は、各々、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す、請求項11又は12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記感光層は、導電性基体上に直接備えられるか、或いは、中間層を介して導電性基体上に間接的に備えられる、請求項1〜13の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  15. 請求項1〜14の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  16. 請求項1〜14の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する、画像形成装置。
  17. 前記帯電部が前記電子写真感光体の前記表面と接触しながら、前記電子写真感光体の前記表面を正極性に帯電する、請求項16に記載の画像形成装置。
  18. クリーニング部を更に備え、
    前記クリーニング部は、前記被転写体へ前記トナー像が転写された前記電子写真感光体の前記表面をクリーニングし、
    前記クリーニング部は、クリーニングブレードである請求項16又は17に記載の画像形成装置。
  19. 前記トナーは、重合トナーである、請求項16〜18の何れか一項に記載の画像形成装置。
  20. 請求項1〜14の何れか一項に記載の電子写真感光体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、
    帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する露光工程と、
    前記静電潜像に重合トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、
    前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する転写工程と
    を含む、画像形成方法。
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