JP2018006522A - 導電部材および電気接続箱 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数の増加抑制と放熱能力の向上とを両立できる導電部材を提供する。【解決手段】導電部材6,7は、導電性の板状部材から形成されており、第一の表面領域64a,74aと、第一の表面領域の面粗度よりも面粗度が大きい第二の表面領域64b,74bとを有する。導電部材は、他の部品と電気的に接続される端子部62,72を有し、第二の表面領域は、少なくとも他の部品との接触面62a,72aを除いた領域であってもよい。第二の表面領域は、周囲の空間に向けて露出していてもよい。【選択図】図2

Description

本発明は、導電部材および電気接続箱に関する。
従来、電気接続箱等において、放熱部材が用いられることがある。例えば、特許文献1には、電子部品が搭載された制御回路基板とバスバーとを備える回路構成体と、バスバーにおいて制御回路基板に対向する面とは逆側の面に絶縁層を介して設けられた放熱部材と、回路構成体と放熱部材とを収容するケースとを備えた電気接続箱の技術が開示されている。
特開2006−93404号公報
電子部品等の温度上昇を抑制する技術について、なお改良の余地がある。例えば、部品点数の増加を招くことなく放熱能力を向上できることが望ましい。放熱能力を確保しつつ放熱部材を省略したり、放熱部材の増加を抑制したりすることができれば、部品点数の増加を抑制することができる。
本発明の目的は、部品点数の増加抑制と放熱能力の向上とを両立できる導電部材および電気接続箱を提供することである。
本発明の導電部材は、導電性の板状部材から形成されており、第一の表面領域と、前記第一の表面領域の面粗度よりも面粗度が大きい第二の表面領域とを有することを特徴とする。
上記導電部材において、他の部品と電気的に接続される端子部を有し、前記第二の表面領域は、少なくとも前記他の部品との接触面を除いた領域であることが好ましい。
上記導電部材において、前記第二の表面領域は、周囲の空間に向けて露出していることが好ましい。
上記導電部材において、前記第二の表面領域は、前記板状部材に対して面粗度を増加させる表面加工がなされた領域であることが好ましい。
上記導電部材において、前記表面加工は、エッチング加工であることが好ましい。
本発明の電気接続箱は、導電性の板状部材から形成されており、第一の表面領域と、前記第一の表面領域の面粗度よりも面粗度が大きい第二の表面領域とを有する導電部材と、前記導電部材を収容する筐体と、を備えることを特徴とする。
上記電気接続箱において、前記筐体は、前記第二の表面領域と対向する通気孔を有することが好ましい。
本発明に係る導電部材は、導電性の板状部材から形成されており、第一の表面領域と、第一の表面領域の面粗度よりも面粗度が大きい第二の表面領域とを有する。本発明に係る導電部材によれば、部品点数の増加抑制と放熱能力の向上とを両立できるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係る電気接続箱の平面図である。 図2は、実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。 図3は、実施形態に係るバスバーの平面図である。 図4は、実施形態に係る第二の表面領域の拡大断面図である。 図5は、実施形態に係る第二の表面領域を簡略化した断面図である。 図6は、試料を用いた温度計測の説明図である。 図7は、温度計測に係る熱電対の配置図である。 図8は、温度計測の結果を示す図である。 図9は、比較例のバスバーの斜視図である。 図10は、実施形態の第2変形例に係るバスバーの斜視図である。 図11は、実施形態の第3変形例に係る電気接続箱の平面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る導電部材および電気接続箱につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図8を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、導電部材および電気接続箱に関する。図1は、実施形態に係る電気接続箱の平面図、図2は、実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図、図3は、実施形態に係るバスバーの平面図、図4は、実施形態に係る第二の表面領域の拡大断面図、図5は、実施形態に係る第二の表面領域を簡略化した断面図である。
図1等に示す実施形態の電気接続箱1は、複数の機器に対する電力の分配・供給を制御する。電気接続箱1は、図1に示すように、アッパーカバー2、ロアカバー3、ポスト4,5、およびバスバー6,7を有する。電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して「電気接続箱」と呼ぶ。アッパーカバー2およびロアカバー3は、互いに組み合わせられることにより、図2に示す基板8、電子部品81、およびバスバー6,7を収容する筐体を構成する。アッパーカバー2およびロアカバー3は、合成樹脂等の絶縁性の材料によって形成されている。
図2に示すように、ロアカバー3は、本体31、第一端子保持部32、および第二端子保持部33を有する。本体31は、直方体の一面が開口した箱状の構成部である。本実施形態の本体31は、平面視における形状が長方形である。本体31は、長さ方向において互いに対向する一対の側壁部31a,31bと、幅方向において互いに対向する一対の側壁部31c,31dとを有する。側壁部31a,31b,31c,31dは、基板8を収容する収容部を形成している。端子保持部32,33は、側壁部31aから長さ方向に向けて突出している。端子保持部32,33は、本体31と一体に形成されている。第一端子保持部32は、側壁部31aの幅方向の一端に配置され、第二端子保持部33は、側壁部31aの幅方向の他端に配置されている。端子保持部32,33は、それぞれ保持面32a,33aを有する。端子保持面32a,33aは、バスバー6,7の端子部62,72、および端子W11,W21を保持する。端子保持面32a,33aは、本体31の開放方向を向く面、言い換えると、本体31の長さ方向および幅方向のそれぞれと直交する面である。
第一ポスト4および第二ポスト5は、端子保持部32,33によって保持されており、かつ端子保持面32a,33aから突出している。ポスト4,5は、端子保持面32a,33aからアッパーカバー2側に向けて突出している。ポスト4,5の形状は、円柱形状であり、外周面にねじ部が形成されている。
アッパーカバー2は、ロアカバー3の本体31の開口部を閉塞する蓋部材である。アッパーカバー2は、直方体の一面が開口した箱状の部材である。アッパーカバー2は、ロアカバー3と共に、基板8やバスバー6,7等を収容する収容空間を形成する。アッパーカバー2には、通気孔2a,2bが設けられている。通気孔2a,2bは、アッパーカバー2の天板部21に設けられている。天板部21は、バスバー6,7および基板8と対向する壁部である。
バスバー6,7の端子部62,72には、それぞれ挿通孔62b,72bが設けられている。また、端子W11,W21には、それぞれ挿通孔W12,W22が設けられている。第一ポスト4には、端子部62の挿通孔62b、および端子W11の挿通孔W12が挿通され、ナットN1が締め付けられる。端子部62および端子W11は、ナットN1によって共締めされ、互いに電気的に接続される。第二ポスト5には、端子部72の挿通孔72b、および端子W21の挿通孔W22が挿通され、ナットN2が締め付けられる。端子部72および端子W21は、ナットN2によって共締めされ、互いに電気的に接続される。端子W11には電線W1が電気的に接続されており、端子W21には電線W2が電気的に接続されている。電線W1,W2の一方は、バッテリ等の電源に接続され、他方はアースに接続される。なお、電気接続箱1と電源との間や電気接続箱1とアースとの間には、他の電気接続箱や変圧器等が介在していてもよい。
アッパーカバー2およびロアカバー3からなる筐体の内部には、基板8およびバスバー6,7の本体61,71等が収容される。基板8は、電源からバスバー6,7を介して供給される電力を各電気負荷に分配する制御回路を有する。この制御回路は、各種の電子部品81を含む。電子部品81には、電子制御ユニット(ECU)、リレー、ヒューズ等が含まれる。また、基板8には、コネクタ82が配置されている。コネクタ82には、複数の端子83が固定されている。端子83は、制御回路の出力端子であり、それぞれ対応する負荷に電気的に接続される。
第一バスバー6および第二バスバー7は、導電性の板状部材から形成されている。本実施形態のバスバー6,7は、銅等の導電性を有する金属板から形成されている。バスバー6,7は、例えば、母材としての金属板に対してプレス機械等によるせん断・折り曲げ加工がなされて形成される。
第一バスバー6は、本体61、端子部62、および複数の脚部63を有する。本体61、端子部62、および脚部63は、一体である。本体61は、平板状の構成部である。本実施形態の本体61の形状は、矩形である。端子部62は、本体61の長さ方向の一端から突出している平板状の構成部である。端子部62の幅は、例えば、本体61の幅と略同じである。端子部62の接触面62aは、端子W11と接触する面である。接触面62aは、端子W11と面接触する平坦な面である。脚部63は、本体61に対して直交する方向に向けて折れ曲がっている。脚部63は、本体61の両側の長辺にそれぞれ設けられており、かつ長さ方向に沿って複数配置されている。脚部63は、基板8の制御回路に対して溶接される。より具体的には、基板8には、脚部63が挿通される挿通孔84が複数設けられている。脚部63は、挿通孔84に挿通され、その先端部が溶接によって制御回路に対して電気的に接続される。従って、第一バスバー6は、基板8の制御回路と電線W1とを電気的に接続する導電部材である。
第二バスバー7は、第一バスバー6と同様に構成されている。第二バスバー7は、本体61と同様の本体71、端子部62と同様の端子部72、および脚部63と同様の複数の脚部73を有する。端子部72の接触面72aは、端子W21と接触する面である。接触面72aは、端子W21と面接触する平坦な面である。脚部73は、基板8に設けられた挿通孔85に挿通される。脚部73の先端部は、溶接によって基板8の制御回路に対して電気的に接続される。従って、第二バスバー7は、基板8の制御回路と電線W2とを電気的に接続する導電部材である。
図3に示すように、第一バスバー6は、第一の表面領域64aおよび第二の表面領域64bを有する。第一の表面領域64aおよび第二の表面領域64bは、第一バスバー6の表面における互いに異なる領域である。第一の表面領域64aは、第一バスバー6の表面における第二の表面領域64bを除いた領域である。第二の表面領域64bの面粗度は、第一の表面領域64aの面粗度よりも大きい。言い換えると、第二の表面領域64bは、第一の表面領域64aと比較して表面の粗さの度合いが大きい。従って、第二の表面領域64bは、第一の表面領域64aと比較して、領域の単位面積あたりの表面積が大きい。よって、第二の表面領域64bは、放熱能力が高く、効率的に周辺の空間に向けて放熱することができる。
本実施形態の第一バスバー6では、本体61の少なくとも一部の領域が第二の表面領域64bとされている。より詳しくは、第二の表面領域64bは、本体61における外側面61aの全体に設けられている。ここで、外側面61aは、本体61における基板8側とは反対側の面、言い換えるとアッパーカバー2と対向する面である。第二の表面領域64bには、表面加工によって多数の微細な凹凸が形成されている。本実施形態では、第二の表面領域64bには、多数の溝が形成されている。第二の表面領域64bの溝は、第一バスバー6の幅方向に延在している。図2に示すように、第二バスバー7は、第一バスバー6と同様に、第一の表面領域74aおよび第二の表面領域74bを有する。第二の表面領域74bは、第二の表面領域64bと同様の位置および範囲に設定されている。
図4に示すように、第一バスバー6の外側面61aには、複数の溝66が形成されている。複数の溝66は、第一バスバー6の長さ方向において互いに隣接している。また、溝66は、長さ方向に所定のピッチL1で配置されている。本実施形態では、溝66が等ピッチで配置されている。本実施形態の溝66は、エッチングにより形成されている。外側面61aに対するエッチングにおいて、溝66の間に平坦部65を残すようにマスキングがなされる。これにより、平面視において、隣接する溝66は平坦部65によって仕切られている。
このように溝66が形成された外側面61aは、溝66が形成されない場合と比較して表面積が大きい。ここで、溝66が形成されることによる放熱能力の増加について説明する。まず、溝66が形成されることによる表面積の増加について説明する。第一の表面領域64aの表面積は、以下のようにして算出される。図5には、第一バスバー6の簡略化した断面が示されている。図4からわかるように、溝66は、断面形状が略U字形状である。従って、溝66の壁面は、図5に示すように一対の平面部66aと円弧部66bとの組み合わせと見なすことができる。平面部66aは、第一バスバー6の長さ方向と直交する壁面である。円弧部66bは、溝66の底部の壁面である。円弧部66bは、断面形状が円弧形状の壁面であり、一対の平面部66aをつないでいる。平面部66aが形成されることにより、外側面61aが平坦である場合と比べて表面積、言い換えると放熱面積が増加する。また、円弧部66bが湾曲していることにより、外側面61aが平坦である場合と比べて表面積が増加する。
図4に示す撮像画像に基づいて、第一の表面領域64aの平面部66a、円弧部66b、および平坦部65の各寸法が計測された。撮像には、株式会社ミツトヨ製の光学顕微鏡MF-B2017Bが用いられた。平面部66a、円弧部66b、および平坦部65の各寸法から、第一の表面領域64aの表面積が算出できる。この表面積は、平面部66aの面積と、円弧部66bの面積と、平坦部65の面積との総和である。以下に示す温度計測では、表面積が領域面積の1.3倍である試料が用いられた。ここで、領域面積は、第一の表面領域64aが平滑であると仮定した場合の第一の表面領域64aの面積である。つまり、領域面積は、溝66が形成されない場合の外側面61aの実質的な表面積である。
図6に示す平板状の試料10を用いて、溝66が設けられることによる放熱能力の変化について実測した。温度測定に用いられた試料10は、第一バスバー6と同様に板状部材から形成されている。試料10は、平面視における形状が矩形の平板である。試料10の厚さは、0.52[mm]である。試料10の外側面10aには、第一バスバー6の第一の表面領域64aと同様に溝66が全面に形成されている。
試料10は、熱伝導材9を介して基板8に対して固定されている。熱伝導材9としては、利昌工業株式会社製の高熱伝導接着シートAD-7200TXが用いられた。熱伝導材9の厚さは、1.00[mm]である。基板8は、厚さが1.6[mm]のものであり、厚さが1.00[mm]のコア材の両面に銅箔、基材、銅箔、銅メッキ、レジストの順で積層されている。基板8、熱伝導材9、および試料10の長さは116[mm]、幅は94[mm]である。熱伝導材9の一方側の面に基板8が貼り付けられ、他方側の面に試料10が貼り付けられている。
図7に示すように、基板8に対する加熱は、加熱器12およびアルミ片13によってなされる。アルミ片13は、スポット的な熱源として用いられる。アルミ片13の大きさは、20×50×5[mm]である。加熱器12の発生する熱がアルミ片13を介して基板8に伝達されることで、スポット的な熱源が発生する熱の放熱がシミュレーションされる。加熱器12としては、CORNING社製のホットプレートPC-100が用いられた。図7に示すように、加熱器12と基板8との間にアルミ片13が介在した状態で、加熱器12が熱を発生する。アルミ片13は、加熱器12の加熱面の中央部に配置されている。加熱器12の発生する熱は、アルミ片13から基板8の中央部に伝達される。基板8の熱は、熱伝導材9を介して試料10に伝達され、試料10から放熱される。
各部の温度は、熱電対11a,11b,11c,11d,11eによって計測される。熱電対11aは、加熱器12におけるアルミ片13との接触部の近傍の温度を計測する。熱電対11bは、アルミ片13の温度を計測する。熱電対11cは、基板8におけるアルミ片13との接触部の近傍の温度を計測する。熱電対11dは、試料10の外側面10aにおける中央部の温度を計測する。熱電対11eは、外側面10aにおける周縁部の温度を計測する。熱電対11a,11b,11c,11d,11eの計測温度の取得には、日置電機株式会社製のデータロガーLR800が用いられた。データロガーによるデータの収集は、5秒おきになされた。温度の計測は、加熱器12による加熱が開始されてから、基板8の温度が飽和するまで継続された。
また、溝66による放熱効果を確認するために、溝66が形成されていない試料10についても同様の温度計測がなされた。試料10の外側面10aに溝66が形成されていない点を除いて、温度計測の方法や条件は上記と同様である。更に、熱伝導材9および試料10が貼付けられていない基板8を加熱した場合の温度計測がなされた。加熱方法および熱電対11a,11b,11cによる温度計測は上記と同様である。熱電対11d,11eは、試料10の温度を計測することに代えて、基板8の温度を計測する。熱電対11dは、基板8の外側面の中央部の温度を計測する。熱電対11eは、基板8の外側面の周縁部の温度を計測する。
図8には、上記のように計測された各温度から算出された温度差の推移が示されている。図8において、横軸は加熱開始からの経過時間[秒]、縦軸は温度差[℃]を示す。ここで、温度差は、熱電対11cによる計測温度と熱電対11dによる計測温度との温度差である。温度差ΔT1は、溝66が形成された試料10が用いられた場合の温度差である。温度差ΔT2は、溝66が形成されていない試料10が用いられた場合の温度差である。温度差ΔT3は、熱伝導材9および試料10が貼り付けられていない基板8について計測された温度差である。
図8に示すように、溝66が形成された試料10の場合(ΔT1)、溝66が形成されていない試料10の場合(ΔT2)と比較して、基板8の温度と試料10の温度との温度差が大きくなる。つまり、溝66を有する試料10は、溝66が形成されない場合と比較して放熱能力が高いことがわかる。温度差ΔT1,ΔT2が飽和したときの値は、それぞれ26.80[℃]と20.85[℃]であった。つまり、溝66が形成されることで、温度差が約1.29倍に増加したことになる。従って、外側面61aに溝66が形成された第一バスバー6は、試料10と同様に高い放熱性を有する。第二の表面領域74bに溝66が形成された第二バスバー7も同様に高い放熱性を有する。
また、本実施形態の電気接続箱1では、図1および図2に示すように、アッパーカバー2に通気孔2a,2bが設けられている。通気孔2aは、第一バスバー6の第二の表面領域64bと対向する領域に設けられており、通気孔2bは、第二バスバー7の第二の表面領域74bと対向する領域に設けられている。これにより、第一バスバー6および第二バスバー7の周辺の温度低下が促進される。その結果、第一バスバー6および第二バスバー7による放熱能力が向上する。
以上説明したように、本実施形態の導電部材としての第一バスバー6および第二バスバー7は、第一の表面領域64a,74aと、第二の表面領域64b,74bとを有する。第二の表面領域64b,74bの面粗度は、それぞれ第一の表面領域64a,74aの面粗度よりも大きい。領域面積に対する表面積の倍率が大きい第二の表面領域64b,74bが設けられることで、バスバー6,7の放熱能力が向上する。溝66が設けられた第二の表面領域64b,74bは、放熱面積が大きいことで熱の伝わりやすさが増加し、熱輸送量が増え、放熱効果が大きい。一般的に、熱の輸送量(W)=熱の伝わりやすさ(W/℃)×温度差(℃)である。熱の伝わりやすさは、表面積(放熱面積)に比例する。本実施形態のバスバー6,7は、放熱面積が大きくされていることで、熱輸送量が大きくなっている。よって、バスバー6,7は、バスバー6,7で発生する熱だけでなく、電気的に接続された他の部品や近傍に存在する他の部品の熱を効率良く放熱することができる。
バスバー6,7は、導電部材として電力の供給経路となるだけでなく、放熱部材として機能する。これにより、新たに放熱部材を追加することなく、基板8や電子部品81に対する冷却性能をバスバー6,7によって向上させることができる。よって、部品点数の増加抑制により、コスト低減や電気接続箱1の小型化が実現される。また、第二の表面領域64b,74bに溝66が形成されることで、バスバー6,7が軽量化される。これにより、電気接続箱1の軽量化が可能となる。
また、本実施形態のバスバー6,7は、他の部品と電気的に接続される端子部62,72を有する。第二の表面領域64b,74bは、少なくとも他の部品との接触面62a,72aを除いた領域に設定されている。これにより、端子部62,72と他の部品との電気的な接続の安定性が向上する。
また、本実施形態のバスバー6,7では、第二の表面領域64b,74bは、周囲の空間に向けて露出した領域である。このように周囲の空間に向けて露出した領域に第二の表面領域64b,74bが配置されることで、適切に放熱能力を向上させることができる。
また、第二の表面領域64b,74bは、板状部材に対して面粗度を増加させる表面加工がなされた領域である。表面加工によって、バスバー6,7の放熱能力を適切にコントロールすることが可能となる。例えば、温度差ΔT1が要求値以上となるように、第二の表面領域64b,74bの位置や範囲等が設定されたり、溝66の深さや幅、ピッチ等が定められたりする。なお、第一の表面領域64a,74aは、表面加工がなされていても、なされていなくてもよい。例えば、第一の表面領域64a,74aには、他の部品との電気的な接続の安定性を向上させるような表面加工がなされていてもよい。
本実施形態における第一の表面領域64a,74aに対する表面加工は、エッチング加工である。エッチング加工は、深い溝66を形成したり、溝66のピッチを狭めたりしたい場合に有利である。
本実施形態の電気接続箱1は、導電部材としてのバスバー6,7と、筐体としてのアッパーカバー2およびロアカバー3を有する。第二の表面領域64b,74bを有するバスバー6,7は、電気接続箱1の内部の基板8や電子部品81の温度上昇を抑制する。よって、本実施形態の電気接続箱1は、内部に収容した部品の温度上昇を適切に抑制して、部品を保護することができる。また、導電部材であるバスバー6,7に対して第二の表面領域64b,74bが設けられることで、専用の放熱部材を新たに追加することなく放熱能力の向上が可能である。
筐体を構成するアッパーカバー2は、第二の表面領域64b,74bと対向する通気孔2a,2bを有する。第二の表面領域64b,74bと通気孔2a,2bの相乗効果により、電気接続箱1内の部品の温度上昇をより適切に抑制することが可能となる。
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。第二の表面領域64b,74bは、電気接続箱1の外部空間に露出した領域を含んでいてもよい。図2を参照し、第一バスバー6を例に説明する。第二の表面領域64bは、端子部62の一部を含んで設定されてもよい。端子部62は、アッパーカバー2から外部に突出する部分である。端子部62にも第二の表面領域64bが設けられることで、第一バスバー6による放熱能力の更なる向上を図ることができる。端子部62においては、端子W11と接触する部分および端子保持面32aと接触する部分を除いて第二の表面領域64bが設定されることが望ましい。また、第一バスバー6において、外側面61aおよび端子部62以外の部分に第二の表面領域64bが設定されてもよい。第二バスバー7についても同様に第二の表面領域74bを設定することが可能である。
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図9は、比較例のバスバーの斜視図、図10は、実施形態の第2変形例に係るバスバーの斜視図である。第二の表面領域が設けられる導電部材は、図9に示すようなバスバー100であってもよい。このバスバー100は、電気接続箱1の筐体や内部のブロック等に対して、例えば矢印Y1で示す方向に差し込まれて保持される。バスバー100は、音叉端子部102を有する。音叉端子部102は、電子部品と電気的に接続される。音叉端子部102は、平板状の本体101の一辺から突出している。本体101は、電子部品で発生する熱を放熱する放熱部として機能する。
図10に示す第2変形例に係るバスバー14は、本体15、音叉端子部16、および端子部17を有する。本体15は、矩形の平板状の構成部である。端子部17は、電源等に電気的に接続される。音叉端子部16は、リレー等の電子部品に電気的に接続される。バスバー14は、第一の表面領域14aおよび第二の表面領域14bを有する。第二の表面領域14bは、本体15の少なくとも一部の領域である。第二の表面領域14bは、本体15の両面に設けられてもよい。第一の表面領域14aは、少なくとも端子部17および音叉端子部16を含む領域である。第二の表面領域14bが設けられた本体15は、比較例のバスバー100の本体101と比べて放熱能力が高い。よって、本体15を小型化しても、比較例の本体101と同じ放熱量を確保することができる。従って、第2変形例のバスバー14は、放熱能力の確保と小型化とを両立可能とする。
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。図11は、実施形態の第3変形例に係る電気接続箱の平面図である。図11に示すアッパーカバー2は、上記実施形態(図1)のアッパーカバー2とは異なり、通気孔2a,2bを有していない。このように通気孔2a,2bが設けられていなくても、バスバー6,7の放熱能力を調整することによって電子部品81や基板8の温度上昇を適切に抑制することが可能である。
[実施形態の第4変形例]
実施形態の第4変形例について説明する。第二の表面領域14b,64b,74bに対する表面加工は、エッチングには限定されない。例えば、レーザ加工、サンドブラスト加工、型押し等による表面加工がなされてもよい。また、表面加工によって第二の表面領域14b,64b,74bに形成される表面形状は、上記実施形態で例示された溝66には限定されない。例えば、第二の表面領域14b,64b,74bには、溝66に加えて、溝66と交差する他の溝が形成されてもよい。また、第二の表面領域14b,64b,74bには、サンドブラスト加工等により多数の凹部が形成されてもよい。
第二の表面領域14b,64b,74bが設けられる導電部材は、上記実施形態において例示されたバスバー6,7,14には限定されない。導電部材は、所謂バスバーと称される部材に限らず、他の導電部材であってもよい。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 電気接続箱
2 アッパーカバー
2a,2b 通気孔
3 ロアカバー
4 第一ポスト
5 第二ポスト
6 第一バスバー(導電部材)
7 第二バスバー(導電部材)
8 基板
9 熱伝導材
10 試料
11a,11b,11c,11d,11e 熱電対
12 加熱器
13 アルミ片
14 バスバー(導電部材)
15 本体
21 天板部
31 本体
31a,31b,31c,31d 側壁部
32 第一端子保持部
32a 端子保持面
33 第二端子保持部
33a 端子保持面
61,71 本体
61a 外側面
62,72 端子部
62a,72a 接触面
62b,72b 挿通孔
63,73 脚部
14a,64a,74a 第一の表面領域
14b,64b,74b 第二の表面領域
65 平坦部
66 溝
81 電子部品
82 コネクタ
83 端子
84,85 挿通孔
100 バスバー
W1,W2 電線
W11,W21 端子

Claims (7)

  1. 導電性の板状部材から形成されており、第一の表面領域と、前記第一の表面領域の面粗度よりも面粗度が大きい第二の表面領域とを有する
    ことを特徴とする導電部材。
  2. 他の部品と電気的に接続される端子部を有し、
    前記第二の表面領域は、少なくとも前記他の部品との接触面を除いた領域である
    請求項1に記載の導電部材。
  3. 前記第二の表面領域は、周囲の空間に向けて露出している
    請求項1または2に記載の導電部材。
  4. 前記第二の表面領域は、前記板状部材に対して面粗度を増加させる表面加工がなされた領域である
    請求項1から3の何れか1項に記載の導電部材。
  5. 前記表面加工は、エッチング加工である
    請求項4に記載の導電部材。
  6. 導電性の板状部材から形成されており、第一の表面領域と、前記第一の表面領域の面粗度よりも面粗度が大きい第二の表面領域とを有する導電部材と、
    前記導電部材を収容する筐体と、を備える
    ことを特徴とする電気接続箱。
  7. 前記筐体は、前記第二の表面領域と対向する通気孔を有する
    請求項6に記載の電気接続箱。
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