JP2017194354A - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】低温(300℃以下)環境下でもガス検出が可能であり、温度変化により生じる熱衝撃による破損が生じ難いガスセンサ素子およびガスセンサを提供する。【解決手段】ガスセンサのガスセンサ素子においては、内側電極30は、反応防止層31、電極層32、リード層33(先端リード層33a)が積層された多層構造である。反応防止層31および電極層32は、それぞれ、希土類添加セリアが含まれている。電極層32およびリード層33は、それぞれペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含んで形成される。反応防止層31の厚さ寸法(=2μm)は、リード層33の厚さ寸法(=16μm)よりも小さく、電極層32の厚さ寸法(=11μm)は、反応防止層31の厚さ寸法以上で、かつ、リード層33の厚さ寸法以下である。リード層33の厚さ寸法が反応防止層31の厚さ寸法よりも大きい。【選択図】図4

Description

本発明は、固体電解質体および一対の電極を備えるガスセンサ素子、およびガスセンサ素子を備えるガスセンサに関する。
ガスセンサとして、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度に応じて電気的特性が変化するガスセンサ素子を備えるセンサが知られている。
例えば、特許文献1には、先端が閉じた有底筒状の固体電解質体と、この固体電解質体の内表面に形成された内側電極(基準電極)と、固体電解質体の外表面の先端部に形成された外側電極(検知電極)と、を備えるガスセンサ素子が開示されている。このようなガスセンサは、例えば、燃焼器や内燃機関から排出される排気ガス中に含まれる特定ガスのガス濃度を検出するために好適に用いられる。
また、特許文献2,3には、各種の導電性酸化物が開示されている。これらの導電性酸化物は、ガスセンサ素子の電極材料として利用することが可能である。ガスセンサ素子の電極材料として特許文献2,3に開示された導電性酸化物を利用すれば、電気抵抗値が十分に低い電極が得られることでガス検出精度が向上するガスセンサ素子が得られる。また、ガスセンサ素子の電極材料として特許文献2,3に開示された導電性酸化物を利用することで、電極材料として貴金属のみを用いる場合に比べて安価なガスセンサ素子が得られる。
特開2009−63330号公報 特許第3417090号公報 国際公開第2013/150779号公報
しかし、ガスセンサ(ガスセンサ素子)は、用途によってはより低い温度帯(例えば、300℃以下)でのガス検出が必要となる場合があり、上記のガスセンサ素子を用いても、電極の活性化が不十分となり、ガス検出ができない場合がある。
また、ガスセンサ(ガスセンサ素子)は、用途によっては温度変化の激しい環境下で利用される場合があり、上記のガスセンサ素子では、温度変化により生じる熱衝撃に対する耐性(冷熱サイクル耐性)が不十分であるために、熱衝撃によりガスセンサ素子の破損が生じる場合がある。
そこで、本発明は、低温(300℃以下)環境下でもガス検出が可能であり、温度変化により生じる熱衝撃による破損が生じ難いガスセンサ素子、およびそのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサを提供することを目的とする。
本発明の1つの局面におけるガスセンサ素子は、固体電解質体と、一対の電極と、を備える。
一対の電極は、固体電解質体を挟み込むように配置されている。一対の電極は、測定対象ガスに接触する測定電極と、基準ガスに接触する基準電極と、を備える。
測定電極および基準電極のうち少なくとも一方は、固体電解質体に近い側から順に、反応防止層、電極層、リード層が積層された多層構造である。
反応防止層および電極層は、それぞれ、希土類添加セリアが含まれている。
電極層およびリード層は、それぞれ、導電性酸化物層を含んで形成される。この導電性酸化物層は、組成式:LaaMbNicOx(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75)で表されペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する。前記組成式におけるa,b,cは、0.459≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350を満たしている。
反応防止層の厚さ寸法は、リード層の厚さ寸法よりも小さい。電極層の厚さ寸法は、反応防止層の厚さ寸法以上で、かつ、リード層の厚さ寸法以下である。
このガスセンサ素子は、電極層およびリード層が上述のペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含んで構成されることから、電極層およびリード層が貴金属を用いて構成される場合に比べて、安価に製造できる。
反応防止層は、その厚さ寸法がリード層の厚さ寸法よりも小さく、かつ、その厚さ寸法が電極層の厚さ寸法以下に形成されている。このような構成の反応防止層は、厚さ寸法がリード層および電極層よりも大きく形成された反応防止層に場合に比べて、冷熱サイクルでの耐熱衝撃性が高くなる。
リード層の厚さ寸法が反応防止層の厚さ寸法よりも大きいことで、リード層における電気抵抗値を低減でき、ガスセンサ素子としての内部抵抗値を低減できるため、固体電解質体の活性化状態が低い低温(300℃以下)環境下でも、ガス検出が可能となる。
よって、このガスセンサ素子は、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
なお、電極層およびリード層が上述のペロブスカイト相を主成分とする導電性酸化物層を含んで構成されることにより、電極層およびリード層をさらに安価に製造できる。ここで「ペロブスカイト相を主成分とする」とは、導電性酸化物層において、ペロブスカイト相が最も多く含まれていることを意味する。
次に、上述のガスセンサ素子においては、反応防止層、電極層、リード層のそれぞれの気孔率のうち反応防止層の気孔率が最も低くなるように、反応防止層、電極層、リード層を形成してもよい。
反応防止層の気孔率が最も低いことで、反応防止層の緻密度が高くなるため、固体電解質体と電極層との間の界面抵抗値を小さくすることができる。
次に、上述のガスセンサ素子においては、反応防止層の厚さ寸法、電極層の厚さ寸法、リード層の厚さ寸法は、それぞれ前記の大小関係を満たすと共に、反応防止層の厚さ寸法は、1〜10μmの範囲内であり、電極層の厚さ寸法は、3〜30μmの範囲内であり、リード層の厚さ寸法は、5〜40μmの範囲内であってもよい。
反応防止層、電極層、リード層のそれぞれの厚さ寸法を、このように設定することで、熱衝撃によるガスセンサ素子の破損を抑制できるとともに、ガスセンサ素子の低温作動性が良好となる。
次に、上述のガスセンサ素子においては、反応防止層の気孔率は、0〜10%の範囲内であり、電極層の気孔率は、10〜30%の範囲内であり、リード層の気孔率は、35〜60%の範囲内であってもよい。
反応防止層、電極層、リード層のそれぞれの気孔率を、このように設定することで、熱衝撃によるガスセンサ素子の破損を抑制できるとともに、ガスセンサ素子の低温作動性が良好となる。
次に、上述のガスセンサ素子においては、基準電極が、反応防止層、電極層、リード層が積層された多層構造であってもよい。
固体電解質体および一対の電極(基準電極、測定電極)は、ガス検出時には高温(例えば、300℃を超える温度)となるが、このうち基準電極は、ガス検出時に低温の基準ガス(大気)に接触するため、熱衝撃による破損が生じやすい。
これに対して、基準電極が、反応防止層、電極層、リード層が積層された多層構造となることで、熱衝撃による基準電極の破損を抑制でき、ガスセンサ素子としての耐熱衝撃性が向上する。
次に、上述のガスセンサ素子においては、固体電解質体は、有底筒型または板型であってもよい。
つまり、ガスセンサ素子の具体的な形状としては、例えば、有底筒型または板型が挙げられる。
本発明の別の局面のガスセンサは、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を備えるガスセンサであって、ガスセンサ素子として、上述のいずれかのガスセンサ素子を備える。
上述のいずれかのガスセンサ素子を備えるガスセンサは、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
本発明のガスセンサ素子およびガスセンサによれば、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
ガスセンサを軸線O方向に破断した状態を示す説明図である。 ガスセンサ素子の外観を示す正面図である。 ガスセンサ素子の構成を示す断面図である。 図3に示すガスセンサ素子のうち点線で囲まれた領域D1および領域D2を拡大した拡大断面図である。 実施例1のガスセンサ素子における冷熱サイクル試験前および試験後の断面SEM画像を表す説明図である。 比較例のガスセンサ素子における冷熱サイクル試験前および試験後の断面SEM画像を表す説明図である。 板型ガスセンサ素子の斜視図である。 板型ガスセンサ素子の模式的な分解斜視図である。 板型ガスセンサ素子の先端側の部分拡大断面図である。 板型ガスセンサ素子のうち基準電極の基準電極部が形成される領域の部分拡大断面図である。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
第1実施形態として、内燃機関の排気管に対して先端部分を排気管内に突出させる形態で装着し、排気ガス中の酸素を検出する酸素センサ(以下、ガスセンサ1ともいう)を例に挙げて説明する。なお、ガスセンサ1は、例えば、自動車またはオートバイ等の車両の排気管に備えられる。
まず、本実施形態のガスセンサ1の構成について、図1を用いて説明する。
図1では、図面下方向がガスセンサの先端側であり、図面上方向がガスセンサの後端側である。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3、セパレータ5、閉塞部材7、端子金具9、リード線11を備える。さらに、ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3、セパレータ5、および閉塞部材7の周囲を覆う様に配置される主体金具13、プロテクタ15、外筒16を備えている。なお、外筒16は、内側外筒17および外側外筒19を備えている。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3を加熱するためのヒータを備えていない、いわゆるヒータレスのセンサであり、排気ガスの熱を利用してガスセンサ素子3を活性化して酸素を検出するものである。
図2は、ガスセンサ素子3の外観を示す正面図である。
ガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を用いて形成されており、先端部25が閉塞された有底筒型形状であり、軸線O方向に延びる円筒状の素子本体21を有している。この素子本体21の外周には、径方向外向きに突出した素子鍔部23が周設されている。
なお、素子本体21を構成する固体電解質体は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)又はカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体を用いて構成されている。素子本体21を構成する固体電解質体は、これらに限られることはなく、「アルカリ土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」、「希土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」などを使用しても良い。さらには、これらにHfOが含有されたものを、素子本体21を構成する固体電解質体として用いても良い。
ガスセンサ素子3の先端部25には、素子本体21の外周面に外側電極27が形成されている。外側電極27は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。
素子鍔部23の先端側(図2下方)には、Pt等で形成された環状の環状リード部28が形成されている。
素子本体21の外周面のうち外側電極27と環状リード部28との間には、Pt等で形成された縦リード部29が軸線方向に延びるように形成されている。縦リード部29は、外側電極27と環状リード部28とを電気的に接続している。
一方、図1に示すとおり、ガスセンサ素子3の素子本体21の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、希土類添加セリアやペロブスカイト相等を含む材料を多孔質に形成したものである。ガスセンサ素子3の先端部25(検知部)において、外側電極27が測定対象ガスに晒され、内側電極30が基準ガス(大気)に晒されることで、測定対象ガス中の酸素濃度を検出している。
セパレータ5は、電気絶縁性を有する材料(例えばアルミナ)で形成された円筒形状の部材である。セパレータ5は、その軸中心に、リード線11が貫挿される貫通孔35が形成されている。セパレータ5は、その外周側を覆う内側外筒17との間に空隙18が設けられるように配置されている。
閉塞部材7は、電気絶縁性を有する材料(例えばフッ素ゴム)で形成された円筒形状のシール部材である。閉塞部材7は、その後端に径方向外向きに突出する突出部36を備える。閉塞部材7は、その軸中心にリード線11が挿通されるリード線挿通孔37を備えている。閉塞部材7の先端面95は、セパレータ5の後端面97に密着し、閉塞部材7のうち突出部36よりも先端側の側方外周面98は、内側外筒17の内面に密着している。即ち、閉塞部材7は、外筒16の後端側を閉塞している。
閉塞部材7の後端向き面99は、外側外筒19の縮径部19gの先端向き面19aとの間で、リード線保護部材89の鍔部89bを挟持する。
このうち、縮径部19gは、閉塞部材7よりも後端側にて、径方向内側に延びており、縮径部19gの先端向き面19aは、ガスセンサ1の先端側に向く面として備えられている。縮径部19gの中央領域には、リード線11およびリード線保護部材89を挿通するためのリード線挿通部19cが形成されている。
リード線保護部材89は、リード線11を収容可能な内径寸法を有する筒状部材であり、可撓性、耐熱性および絶縁性を有する材料(例えば、ガラスチューブや樹脂チューブなど)で構成されている。リード線保護部材89は、リード線11を外部からの飛来物(石や水など)から保護するために備えられる。
リード線保護部材89は、先端側端部89aにおいて、軸線方向の垂直方向における外向きに突出する板状の鍔部89bを備える。鍔部89bは、リード線保護部材89の周方向の一部ではなく、全周にわたり形成されている。
リード線保護部材89の鍔部89bは、外筒16(詳細には、外側外筒19)の縮径部19gの先端向き面19aと閉塞部材7の後端向き面99との間に挟持される。
端子金具9は、導電性材料(例えばインコネル750(英インコネル社、商標名))で形成されており、センサ出力を外部に取り出すための導電性材料で構成される筒状部材である。端子金具9は、リード線11に電気的に接続されると共に、ガスセンサ素子3の内側電極30に電気的に接触するように配置されている。端子金具9は、その後端側に径方向(軸線方向と垂直の方向)の外向きに突出するフランジ部77を備えている。フランジ部77は、3枚の板状のフランジ片75を備えている。
リード線11は、芯線65と、その芯線65の外周を覆う被覆部67と、を備えて構成されている。
主体金具13は、金属材料(例えば鉄またはSUS430)で形成された円筒状の部材である。主体金具13には、内周面において径方向内側に向かって張り出した段部39が周設されている。段部39は、ガスセンサ素子3の素子鍔部23を支持するために備えられている。
主体金具13のうち先端側の外周面には、ガスセンサ1を排気管に取付けるためのネジ部41が形成されている。主体金具13のうちネジ部41の後端側には、ガスセンサ1を排気管に着脱する際に取付工具を係合させる六角部43が形成されている。更に、主体金具13のうち六角部43の後端側には、筒状部45が設けられている。
プロテクタ15は、金属材料(例えばSUS310S)で形成されており、ガスセンサ素子3の先端側を覆う保護部材である。プロテクタ15は、その後端縁が、導電性材料で形成されたパッキン88を介して、ガスセンサ素子3の素子鍔部23と主体金具13の段部39との間に挟まれるようにして固定されている。
ガスセンサ素子3のうち素子鍔部23の後端側領域においては、主体金具13とガスセンサ素子3との間に、先端側から後端側にかけて、滑石で形成されたセラミック粉末47と、アルミナで形成されたセラミックスリーブ49と、が配置されている。
更に、主体金具13の筒状部45の後端部51の内側には、金属材料(例えばSUS430)で形成された金属リング53と、金属材料(例えばSUS304L)で形成された内側外筒17の先端部55と、が配置されている。内側外筒17の先端部55は、径方向外向きに広がる形状に形成されている。つまり、筒状部45の後端部51が加締められることで、内側外筒17の先端部55が、金属リング53を介して筒状部45の後端部51とセラミックスリーブ49との間に挟持されて、内側外筒17が主体金具13に固定される。
また、内側外筒17の外周には、樹脂材料(例えばPTFE)で形成された筒状のフィルタ57が配置されると共に、フィルタ57の外周には、例えばSUS304Lで形成された外側外筒19が配置されている。フィルタ57は、通気は可能であるが水分の侵入は抑制できるものである。
そして、外側外筒19の加締め部19bが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17とフィルタ57と外側外筒19とが一体に固定される。また、外側外筒19の加締め部19hが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17と外側外筒19とが一体に固定され、閉塞部材7の側方外周面98が、内側外筒17の内面に密着することとなる。
なお、内側外筒17および外側外筒19は、それぞれ通気孔59、61を備えており、各通気孔59、61及びフィルタ57を介して、ガスセンサ1の内部と外部との通気が可能である。
[1−2.ガスセンサ素子]
ガスセンサ素子3の構成について説明する。
ガスセンサ素子3は、上述の通り、素子本体21と、外側電極27と、環状リード部28と、縦リード部29、内側電極30と、を備えている。
図3は、ガスセンサ素子3の構成を示す断面図である。図4は、図3に示すガスセンサ素子3のうち点線で囲まれた領域D1および領域D2を拡大した拡大断面図である。
ガスセンサ素子3の先端部25においては、外側電極27および内側電極30が素子本体21を挟み込むように配置されている。素子本体21および一対の電極(外側電極27および内側電極30)は、酸素濃淡電池を構成して、測定対象ガスのガス濃度に応じた起電力(電圧)を発生する。つまり、ガスセンサ素子3の先端部25(検知部)において、外側電極27が測定対象ガスに晒され、内側電極30が基準ガス(大気)に晒されることで、測定対象ガス中の酸素濃度を検出している。
外側電極27は、上述の通り、縦リード部29を介して環状リード部28に電気的に接続されている。環状リード部28は、導電性材料で形成されたパッキン88およびプロテクタ15を介して、主体金具13に電気的に接続されている。なお、外側電極27を覆うように、外側電極27を保護するための電極保護層(図示省略)を形成してもよい。なお、外側電極27の形状や配置は単なる一例であり、これ以外の種々の形状や配置を採用可能である。
一方、ガスセンサ素子3の素子本体21の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、希土類添加セリアやペロブスカイト相等を含む材料を多孔質に形成したものである。内側電極30は、内側検知電極部30aと、内側リード部30bと、を有している。
内側検知電極部30aは、素子本体21の先端部25の内表面を覆うように形成されている。内側リード部30bは、内側検知電極部30aの後端側に接続されており、端子金具9(図1参照)と電気的に接続される。内側検知電極部30aおよび内側リード部30bは、全体として素子本体21の内面の全面を覆うように形成されている。
つまり、ガスセンサ素子3の素子本体21は、先端側領域F1に外側電極27および内側検知電極部30aが形成され、後端側領域F2に内側リード部30bが形成されている。素子本体21の先端側領域F1は、素子本体21の先端部25に相当する。
図4に示すように、内側検知電極部30aは、素子本体21に近い側から順に、反応防止層31、電極層32、先端リード層33a(リード層33)が積層された多層構造である。
なお、先端リード層33aは、後述する後端リード層33bとともにリード層33を形成する。つまり、リード層33は、先端リード層33aと、後端リード層33bと、を備える。
反応防止層31は、希土類添加セリアで形成された酸化物層である。希土類添加セリアは、セリア以外の希土類酸化物が添加されたセリアである。「セリア以外の希土類酸化物」としては、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。このような希土類添加セリアにおける希土類元素REの含有割合は、セリウムと希土類元素REのモル分率{RE/(Ce+RE)}に換算して、例えば、10mol%以上50mol%以下の範囲とすることができる。このような希土類添加セリアは、低温(室温)では絶縁体であるが、高温(ガスセンサ1の使用温度)では酸素イオン伝導性を有する固体電解質として機能する。このため、反応防止層31は、ガスセンサ1の使用時(ガスセンサ素子3の使用時)には、電極層32と素子本体21とを電気的に接続するための層として機能する。なお、反応防止層31は、ガスセンサ素子3の製造時(焼成時)には、電極層32のLaと素子本体21のZrOとの反応を生じ難くする機能を有する。このような反応防止層31を設けることで、電極層32のLaと素子本体21のZrOとの反応によりランタンジルコネート層(反応層)が形成されるのを抑制できる。
電極層32およびリード層33は、以下の組成式を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相(ペロブスカイト相)を含んで構成されている。
LaaMbNicOx …(1)
ここで、元素MはCoとFeのうちの一種以上を表し、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75である。係数a,b,cは以下の関係を満たすことが好ましい。
0.459≦a≦0.535 …(2a)
0.200≦b≦0.475 …(2b)
0.025≦c≦0.350 …(2c)
上記組成式で表される組成を有するペロブスカイト型導電性酸化物は、室温(25℃)での導電率が250S/cm以上で、かつB定数が600K以下となり、これらの関係を満たさない場合に比べて導電率が高くB定数が小さいという良好な特性を有する。また、このペロブスカイト型導電性酸化物は、貴金属電極に比べて界面抵抗の活性化エネルギーが小さいので、低温においても界面抵抗を十分に小さくすることができる。なお、大気中で約600℃の環境で放置すると、Pt電極は酸化して界面抵抗が上昇するのに対して、ペロブスカイト型導電性酸化物ではこのような経時変化が起こり難いという利点もある。
係数b,cに関しては、上記(2b),(2c)の代わりに下記の(3b),(3c)を満足するようにしてもよい。
0.200≦b≦0.375 …(3b)
0.125≦c≦0.300 …(3c)
この場合、導電率を更に高くするとともに、B定数を更に小さくすることができる。
上記(1)式のO(酸素)の係数xに関しては、上記組成を有する導電性酸化物がすべてペロブスカイト相からなる場合には、理論上はx=1.5となる。但し、酸素が量論組成からずれることがあるので、典型的な例として、xの範囲を1.25≦x≦1.75と規定している。
電極層32は、上記のペロブスカイト相および希土類添加セリアを含んで構成されている。このような電極層32は、高温(ガスセンサ1の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているので、十分に低い界面抵抗値を示す。
リード層33は、上記のペロブスカイト相を主成分とし、希土類添加セリアを含まないで構成されている。
反応防止層31の厚さ寸法T1は2μmであり、電極層32の厚さ寸法T2は11μmであり、リード層33の厚さ寸法T3は16μmである。また、反応防止層31の気孔率B1は1%であり、電極層32の気孔率B2は21%であり、リード層33の気孔率B3は46%である。
内側リード部30bは、後端リード層33b(リード層33)と、ランタンジルコネート層34と、を含む多層構造を有する。ランタンジルコネート層34は、後端リード層33bよりも素子本体21に近い側に配置されている。
後端リード層33bは、上述した内側検知電極部30aの先端リード層33aと同様の組成で形成されている。
但し、内側検知電極部30aを構成する先端リード層33aにおけるペロブスカイト相の含有割合は、内側リード部30bを構成する後端リード層33bにおけるペロブスカイト相の含有割合と同じか、又は、それよりも多くてもよい。
ランタンジルコネート層34は、内側リード部30bの焼成時に、後端リード層33bに含まれるランタン(La)と、素子本体21に含まれるZrOとが反応して形成された層である。このようなランタンジルコネート層34を、以下では「反応層34」とも呼ぶ。ランタンジルコネート層34が形成されると、ランタンジルコネート層34と後端リード層33bとの間、及び、ランタンジルコネート層34と素子本体21との間の密着性が高まるので、機械的な耐衝撃性が向上する。従って、内側リード部30bが存在する部分では、後端リード層33bと素子本体21との間にランタンジルコネート層34が形成されることで、機械的な耐衝撃性を向上できる。
[1−3.ガスセンサ素子の製造方法]
ガスセンサ素子3の製造方法について説明する。
第1工程では、未焼結成形体を作製する。
第1工程では、まず、素子本体21の材料である固体電解質体の粉末として、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)を5mol%添加したもの(「5YSZ」ともいう)に対して、さらにアルミナ粉末を添加したものを用意する。素子本体21の材料粉末全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%である。この粉末をプレス加工した後、筒型形状となるように切削加工を実施することで、未焼結成形体を得る。
次に、第2工程では、導電性酸化物(セリア有)のスラリー(電極層32のスラリー)と、導電性酸化物(セリア無)のスラリー(リード層33のスラリー)と、反応防止層のスラリーと、を作製する。
導電性酸化物(セリア有)のスラリー(電極層32のスラリー)の作製においては、例えば、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整する。このとき、ペロブスカイト相の原料粉末としては、例えば、La(OH)又はLa、並びに、Co、Fe、及びNiOを用いることができる。また、希土類添加セリアの原料粉末としては、CeOの他に、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。これらの原料粉末混合物を、大気雰囲気下、700〜1200℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等による粉砕を行い所定の粒度に調整した後、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製する。
なお、本実施形態では、ペロブスカイト相の原料粉末としては、比表面積が8.0[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を用い、希土類添加セリアの原料粉末としては、比表面積が30.0[m/g]のGDC(20mol%Gd−CeO)粉末を用いた。また、本実施形態では、LFN粉末およびGDC粉末がそれぞれ50体積%となるように調合した原料粉末混合物を用いた。
導電性酸化物(セリア無)のスラリー(リード層33のスラリー)の作製工程は、導電性酸化物(セリア有)のスラリーの作製工程と比べて、少なくとも希土類添加セリアの原料粉末を混合しない点と、造孔材を添加する点、が異なる。導電性酸化物(セリア無)のスラリーの作製においては、例えば、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整する。本実施形態では、ペロブスカイト相の原料粉末として、比表面積が1.5[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を用いた。この粉末に対してカーボンを30体積%添加したものを、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製した。
反応防止層のスラリーの作製においては、希土類添加セリアの原料粉末を、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製する。希土類添加セリアの原料粉末としては、CeOの他に、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。本実施形態では、希土類添加セリアとして、比表面積が10[m/g]のGDC(20mol%Gd−CeO)粉末を用いた。前述したように、反応防止層31は、希土類添加セリアで形成されている。
次に、第3工程では、未焼結成形体のうち、外側電極27、内側検知電極部30a、内側リード部30bの形成部分に、それぞれのスラリーを塗布する。
まず、外側電極27の形成部分にPtペースト等の貴金属のスラリーを塗布し、反応防止層31の形成部分に希土類添加セリアのスラリーを塗布する。反応防止層31のスラリーの塗布の後に、電極層32のスラリーを塗布し、その後、リード層33(内側検知電極部30aの先端リード層33a、内側リード部30bの後端リード層33b)のスラリーを塗布する。
前述の通り、電極層32は、ペロブスカイト相と、希土類添加セリアとを含むものである。一方、リード層33(先端リード層33a、後端リード層33b)は、希土類添加セリアを含まず、ペロブスカイト相のみで構成されたものである。そこで、第3工程では、第2工程で作製された2種類(セリア有、セリア無)の導電性酸化物のスラリーと、反応防止層31のスラリーとを用いて、それぞれの部分に適したスラリーを塗布する。
つまり、電極層32のスラリーの塗布に際しては、電極層32の形成部分(反応防止層31のスラリーの塗布部分)に、導電性酸化物(セリア有)のスラリーを塗布する。
また、リード層33(先端リード層33a、後端リード層33b)のスラリーの塗布に際しては、内側検知電極部30aの形成部分(電極層32ののスラリーの塗布部分)および内側リード部30bの形成部分のそれぞれに、導電性酸化物(セリア無)のスラリーを塗布する。本実施形態は、先端リード層33aおよび後端リード層33bは、同じ導電性酸化物で形成される。なお、先端リード層33aおよび後端リード層33bのそれぞれの導電性酸化物の組成を異ならせる場合には、異なる組成のスラリーをそれぞれの部分に塗布すればよい。
次の第4工程では、各スラリーが塗布された未焼結成形体について、乾燥を行った後、所定の焼成温度(例えば、1250℃以上1450℃以下(好ましくは1350±50℃))で焼成する。この焼成工程では、内側リード部30bの後端リード層33bと素子本体21との間には、反応層34が形成されるが、内側検知電極部30aの電極層32と素子本体21との間には、反応防止層31が形成されているので、反応層34は形成されない。
前述したように、反応層34は、内側リード部30bに含まれるランタン(La)と、素子本体21に含まれるZrOとが反応して形成された層である。なお、反応層34の厚み寸法は、焼成温度が高いほど大きくなり、また、希土類添加セリアの含有割合が低いほど大きくなる。従って、これらのパラメーター(焼成温度、希土類添加セリアの含有割合)を調整することによって、反応層34の厚みを調整することが可能である。
上記の各工程を実施することで、ガスセンサ素子3を製造できる。
[1−4.ガスセンサ素子の評価試験]
本発明を適用したガスセンサ素子の耐熱衝撃性および低温作動性を評価するために実施した評価試験の試験結果について説明する。
なお、耐熱衝撃性とは、温度変化に伴い発生する熱衝撃(応力)に対する耐性を表す指標であり、ガスセンサ素子のうち、熱衝撃による破損が生じ易いものほど耐熱衝撃性が劣るものであり、熱衝撃による破損が生じ難いものほど耐熱衝撃性が優れるものである。
また、低温作動性とは、低温(例えば、300℃以下)環境下でもガス検出が可能であることを示す指標である。ガスセンサ素子のうち、外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が高いものほど低温作動性が劣るものであり、外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が低いものほど低温作動性が優れるものである。
本評価試験では、ガスセンサ素子のうち、反応防止層31の厚さ寸法T1、電極層32の厚さ寸法T2、リード層33の厚さ寸法T3、反応防止層31の気孔率B1、電極層32の気孔率B2、リード層33の気孔率B3をそれぞれ変化させて、ガスセンサ素子の耐熱衝撃性および低温作動性を評価した。各層における厚さ寸法の制御は、製造時におけるスラリーの塗布回数、固形分濃度などを変更することで実現できる。また、各層における気孔率の制御は、製造時における造孔材の添加量を調整することで実現できる。
耐熱衝撃性の試験に関しては、ガスセンサ素子に対して冷熱サイクル試験を行い、ガスセンサ素子におけるクラック(破損)発生の有無に基づいて耐熱衝撃性を評価した。
本試験では、ガスセンサ素子3の温度を室温(20℃)から970℃まで上昇させて再び室温まで低下させる一連の温度変化を1サイクルとして、100サイクルおよび300サイクルの温度変化を実施した後に、ガスセンサ素子の断面SEM画像に基づいて、ガスセンサ素子3に破損が生じたか否かを判定した。
低温作動性の試験に関しては、ガスセンサ素子の外側電極27と内側電極30との間の内部抵抗値を測定し、内部抵抗値に基づいてガスセンサ素子の低温作動性を評価した。
本試験では、ガスセンサ素子をガスセンサに組み付けた状態で、そのガスセンサを公知のバーナー測定装置に取り付けて、バーナー測定法によりガスセンサ素子の内部抵抗値を測定した。詳細には、素子温度300℃で空燃比λ=0.9(リッチ)におけるセンサ出力を、抵抗値が異なる2つの抵抗素子(1MΩ、100kΩ)を用いてオシロスコープで検出し、その出力差に基づいてガスセンサ素子の内部抵抗値を算出した。内部抵抗値がガス検出可能範囲(本実施形態では、100[kΩ]以下)であるガスセンサ素子を低温作動性が良好であると判定し、内部抵抗値がガス検出可能範囲を逸脱するガスセンサ素子を低温作動性が不良であると判定した。
実施例1〜5のガスセンサ素子、および比較例のガスセンサ素子として、反応防止層31の厚さ寸法T1、電極層32の厚さ寸法T2、リード層33の厚さ寸法T3、反応防止層31の気孔率B1、電極層32の気孔率B2、リード層33の気孔率B3が、それぞれ[表1]に示す数値であるガスセンサ素子を用いた。それぞれのガスセンサ素子において、冷熱サイクル試験後(100サイクル後、300サイクル後)におけるクラック(破損)の有無の評価結果と、低温作動性の評価結果を[表1]に記載した。
図5は、実施例1のガスセンサ素子3における冷熱サイクル試験前および試験後の断面SEM画像を表す説明図である。図6は、比較例のガスセンサ素子における冷熱サイクル試験前および試験後の断面SEM画像を表す説明図である。
断面SEM画像から分かるように、実施例1のガスセンサ素子3では、冷熱サイクル試験後において、反応防止層、電極層、リード層のいずれにも破損が生じていないのに対して、比較例のガスセンサ素子3では、冷熱サイクル試験後において、リード層から電極層および反応防止層を介して固体電解質体(素子本体)に至るクラック(破損)が生じている。
この試験結果のうち、実施例1〜5と比較例との対比によれば、反応防止層の厚さ寸法がリード層の厚さ寸法よりも小さく、かつ、電極層の厚さ寸法が反応防止層の厚さ寸法以上に設定されたガスセンサ素子は、冷熱サイクル試験後(300サイクル後)の評価結果から分かるように、クラック(破損)が発生し難くなる。
また、この試験結果のうち、実施例1〜5および比較例によれば、リード層の厚さ寸法が反応防止層の厚さ寸法よりも大きいガスセンサ素子は、低温作動性の評価結果から分かるように、リード層における電気抵抗値を低減でき、ガスセンサ素子としての内部抵抗値を低減できるため、固体電解質体の活性化状態が低い低温(300℃以下)環境下でも、ガス検出が可能となる。
さらに、この試験結果のうち、実施例1〜5および比較例によれば、反応防止層、電極層、リード層のそれぞれの気孔率のうち、反応防止層の気孔率が最も低く設定されたガスセンサ素子は、低温作動性の評価結果から分かるように、固体電解質体と電極層との間の界面抵抗値を小さくすることができ、その結果、ガスセンサ素子としての内部抵抗値をより小さくすることができる。このため、固体電解質体の活性化状態が低い低温(300℃以下)環境下でもガス検出が可能となり、ガスセンサ素子の低温作動性がより向上する。
また、試験結果によれば、「反応防止層の厚さ寸法がリード層の厚さ寸法よりも小さく」、「電極層の厚さ寸法が反応防止層の厚さ寸法以上で、かつ、リード層の厚さ寸法以下である」という関係を満たすと共に、反応防止層31の厚さ寸法T1は1〜10μmの範囲内であり、電極層32の厚さ寸法T2は3〜30μmの範囲内であり、リード層33の厚さ寸法T3は5〜40μmの範囲内であるガスセンサ素子3は、熱衝撃によるガスセンサ素子の破損を抑制できるとともに、ガスセンサ素子の低温作動性が良好となる。
さらに、試験結果によれば、反応防止層31の気孔率B1は0〜10%の範囲内であり、電極層32の気孔率B2は10〜30%の範囲内であり、リード層33の気孔率B3は35〜60%の範囲内であるガスセンサ素子3は、熱衝撃によるガスセンサ素子の破損を抑制できるとともに、ガスセンサ素子の低温作動性が良好となる。
[1−5.効果]
以上説明したように、本実施形態のガスセンサ1に備えられるガスセンサ素子3においては、内側電極30は、素子本体21に近い側から順に、反応防止層31、電極層32、リード層33(先端リード層33a)が積層された多層構造である。反応防止層31および電極層32は、それぞれ、希土類添加セリアが含まれている。電極層32およびリード層33は、それぞれ、上述のペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含んで形成される。
このように、ガスセンサ素子3は、電極層32およびリード層33が上述のペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含んで構成されることから、電極層およびリード層が貴金属を用いて構成される場合に比べて、安価に製造できる。
ガスセンサ素子3においては、反応防止層31の厚さ寸法T1(=2μm)は、リード層33の厚さ寸法T3(=16μm)よりも小さく、電極層32の厚さ寸法T2(=11μm)は、反応防止層31の厚さ寸法T1以上で、かつ、リード層33の厚さ寸法T3以下である。
つまり、ガスセンサ素子3は、反応防止層31の厚さ寸法T1がリード層33の厚さ寸法T3よりも小さく、かつ、電極層32の厚さ寸法T2が反応防止層31の厚さ寸法T1以上に設定されている。このようなガスセンサ素子3は、上述の[表1]に示す試験結果(詳細には、実施例1〜5と比較例との対比)によれば、反応防止層の厚さ寸法がリード層および電極層の各厚さ寸法よりも大きく形成される構成に比べて、冷熱サイクルでの耐熱衝撃性が高くなる。
このガスセンサ素子3は、リード層33の厚さ寸法T3が反応防止層31の厚さ寸法T1よりも大きい構成であり、上述の[表1]に示す試験結果(詳細には、実施例1〜5および比較例)によれば、リード層33における電気抵抗値を低減できる。これにより、ガスセンサ素子3は、ガスセンサ素子としての内部抵抗値を低減できるため、素子本体21(固体電解質体)の活性化状態が低い低温(300℃以下)環境下でも、ガス検出が可能となる。
よって、このガスセンサ素子3は、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
次に、ガスセンサ素子3においては、反応防止層31、電極層32、リード層33のそれぞれの気孔率(B1=1%,B2=21%,B3=46%)のうち反応防止層31の気孔率B1が最も低くなるように、反応防止層31、電極層32、リード層33が形成されている。
反応防止層31の気孔率B1が最も低いことで、反応防止層31の緻密度が高くなるため、素子本体21と電極層32との間の界面抵抗値を小さくすることができる。
このようなガスセンサ素子3を備えるガスセンサ1は、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
[1−6.文言の対応関係]
ここで、本実施形態における文言の対応関係について説明する。
ガスセンサ1がガスセンサの一例に相当し、ガスセンサ素子3がガスセンサ素子の一例に相当し、素子本体21が固体電解質体の一例に相当し、外側電極27が測定電極の一例に相当し、内側電極30が基準電極の一例に相当する。
反応防止層31が反応防止層の一例に相当し、電極層32が電極層の一例に相当し、リード層33(先端リード層33a)がリード層の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
[2−1.板型ガスセンサ素子]
ガスセンサ素子の固体電解質体は、有底筒型に限られることはなく、板型であってもよい。そこで、第2実施形態として、板型ガスセンサ素子100について説明する。
図7は、板型ガスセンサ素子100の斜視図である。図8は、板型ガスセンサ素子100の模式的な分解斜視図である。図9は、板型ガスセンサ素子100の先端側の部分拡大断面図である。図10は、板型ガスセンサ素子100のうち基準電極104の基準電極部104aが形成される領域の部分拡大断面図である。
板型ガスセンサ素子100は、素子本体101と、多孔質保護層120と、を備えて構成されている。
図8に示すように、素子本体101は、酸素濃度検出セル130と、補強保護層111と、大気導入孔層107と、下面層103と、を備える。なお、図8では多孔質保護層120の図示を省略している。
酸素濃度検出セル130は、固体電解質体105と、一対の電極(基準電極104、測定電極106)と、を備える。基準電極104および測定電極106は、固体電解質体105を挟み込むように配置されている。
基準電極104は、基準電極部104aと、基準リード部104Lと、を備える。基準電極部104aは、図10に示すように、固体電解質体105に近い側から順に、反応防止層104b、電極層104c、リード層104dが積層された多層構造である。基準リード部104Lは、基準電極部104aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
測定電極106は、測定電極部106aと、検知リード部106Lと、を備える。検知リード部106Lは、測定電極部106aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
補強保護層111は、補強部112と、電極保護部113aと、を備える。
補強部112は、固体電解質体105との間で検知リード部106Lを挟み込むようにして、固体電解質体105を保護するための板状の部材である。補強部112は、固体電解質体105と同じ材料で形成されており、板の厚さ方向に貫通する保護部配置空間112aを備える。
電極保護部113aは、多孔質材料で形成されており、保護部配置空間112aに配置される。電極保護部113aは、固体電解質体105との間で測定電極部106aを挟み込むようにして、測定電極部106aを保護する。
なお、本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、酸素濃度検出セル130の電極間に生じる電圧(起電力)の値を用いて酸素濃度を検出することができる、いわゆる酸素濃淡起電力式のガスセンサ(λセンサ)を構成する。
下面層103および大気導入孔層107は、固体電解質体105との間で基準電極104を挟み込むようにして、基準電極104に積層されている。大気導入孔層107は、後端側が開口する略U字状に形成されている。固体電解質体105、大気導入孔層107および下面層103で囲まれた内部空間は、大気導入孔107hを構成している。基準電極104は、大気導入孔107hに導入される大気(基準ガス)に晒されるように配置されている。
このように、素子本体101は、下面層103、大気導入孔層107、基準電極104、固体電解質体105、測定電極106および補強保護層111が積層された積層体である。素子本体101は、板状に形成されている。
基準リード部104Lの端末は、固体電解質体105に設けられるスルーホール105aに形成される導体を介して、固体電解質体105上の検出素子側パッド121と電気的に接続されている。補強保護層111は、検知リード部106Lの端末よりも軸線方向(図8では左右方向)の寸法が短く形成されている。検出素子側パッド121および検知リード部106Lの端末は、補強保護層111の後端から外部に露出し、外部回路接続用の外部端子(図示せず)と電気的に接続される。
次に、図7に示すように、多孔質保護層120は、板型ガスセンサ素子100(素子本体101)の先端側の全周を覆って設けられている。
図9に示すように、多孔質保護層120は、板型ガスセンサ素子100(素子本体101)の先端面を含み、軸線方向(図における左右方向)に沿って後端側に延びるように形成されている。また、多孔質保護層120は、図7に示すように、素子本体101の板状の4面(表面、裏面、右側面および左側面)を完全に囲んで形成されている。
さらに、多孔質保護層120は、軸線方向において、素子本体101のうち少なくとも基準電極部104aおよび測定電極部106aを包含する領域(この領域が検知部を構成する)を覆うように形成されている。本実施形態では、多孔質保護層120は、さらにこの領域より後端まで延びている。
板型ガスセンサ素子100には排気ガス中に含まれるシリコンやリンなどの被毒物質に晒されたり、排気ガス中の水滴が付着することがある。そこで、板型ガスセンサ素子100の外表面に多孔質保護層120を被覆することで、被毒物質を捕捉したり、水滴が板型ガスセンサ素子100に直接接触することを抑制できる。
次に、本発明の特徴部分である、固体電解質体、測定電極、基準電極などの成分組成について説明する。
固体電解質体105は、第1実施形態の素子本体21と同様に、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)又はカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。固体電解質体105は、ジルコニアを主成分とし、該ジルコニアの50〜83.3質量%が正方晶ジルコニアである。
測定電極106はPtを主成分とし、かつ単斜晶ジルコニアを含む。なお、測定電極106はセラミック成分を含有してもよい。
なお、「主成分」とは、対象となる部位(固体電解質体105、測定電極106など)を構成する全成分に対し、50質量%を超える成分をいう。
基準電極104の基準電極部104aのうち、反応防止層104bは、希土類添加セリアで形成された酸化物層である。希土類添加セリアは、セリア以外の希土類酸化物が添加されたセリアである。「セリア以外の希土類酸化物」としては、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。このような反応防止層104bは、低温(室温)では絶縁体であるが、高温(板型ガスセンサ素子100の使用時)においては、酸素イオン導電性を有しており、電極層104cと固体電解質体105とを電気的に接続するための層として機能する。なお、反応防止層104bは、板型ガスセンサ素子100の製造時(焼成時)には、電極層104cのLaと固体電解質体105のZrOとの反応を生じ難くする機能を有する。このような反応防止層104bを設けることで、電極層104cのLaと固体電解質体105のZrOとの反応によりランタンジルコネート層(反応層)が形成されるのを抑制できる。
電極層104cは、ペロブスカイト相および希土類添加セリアを含んで構成されている。電極層104cに含まれるペロブスカイト相は、第1実施形態の電極層32と同様に、上述の(1)、(2a)、(2b)、(2c)の各条件を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相(ペロブスカイト相)である。このような電極層104cは、高温(板型ガスセンサ素子100の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているので、十分に低い界面抵抗値を示す。
リード層104dは、第1実施形態のリード層33と同様に、上述の(1)、(2a)、(2b)、(2c)の各条件を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相(ペロブスカイト相)を主成分として含んで構成されている。なお、本実施形態のリード層104dは、希土類添加セリアを含んでいない。
基準リード部104Lは、リード層104dと同じ材料で形成されている。
なお、固体電解質体105の厚さ寸法は200μmであり、測定電極106の厚さ寸法は3μmであり、基準電極104の基準電極部104aにおける反応防止層104bの厚さ寸法T4は2μmであり、電極層104cの厚さ寸法T5は11μmであり、リード層104dの厚さ寸法T6は、16μmである。
また、反応防止層104bの気孔率B4は1%であり、電極層104cの気孔率B5は21%であり、リード層104dの気孔率B6は46%である。
多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位は、スピネル(MgAl)およびチタニア(TiO)で形成されているとともに、貴金属(Pt,Pd,Rhのうち少なくとも1つ)が担持されている。この貴金属は、排気ガスに含まれる酸素の化学反応を促進するための触媒として機能する。多孔質保護層120は、気孔率が52%の多孔質状に形成されている。
なお、多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位とは、素子本体101の積層方向において測定電極106と重なる部位をいう。多孔質保護層120のうち測定電極106を覆う部位は、厚さ寸法が100μmである。
電極保護部113aは、5mol%のイットリアで安定化されたジルコニア(5YSZ)で形成されている。電極保護部113aは、気孔率が13%の多孔質状に形成されている。電極保護部113aは、厚さ寸法が80μmである。
[2−2.効果]
以上説明したように、第2実施形態の板型ガスセンサ素子100においては、基準電極104の基準電極部104aは、固体電解質体105に近い側から順に、反応防止層104b、電極層104c、リード層104dが積層された多層構造である。反応防止層104bおよび電極層104cは、それぞれ、希土類添加セリアが含まれている。電極層104cおよびリード層104dは、それぞれ、上述のペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含んで形成される。
このように、板型ガスセンサ素子100は、電極層104cおよびリード層104dが上述のペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含んで構成されることから、電極層およびリード層が貴金属を用いて構成される場合に比べて、安価に製造できる。
板型ガスセンサ素子100においては、反応防止層104bの厚さ寸法T4(=2μm)は、リード層104dの厚さ寸法T6(=16μm)よりも小さく、電極層104cの厚さ寸法T5(=11μm)は、反応防止層104bの厚さ寸法T4以上で、かつ、リード層104dの厚さ寸法T6以下である。
つまり、板型ガスセンサ素子100は、反応防止層104bの厚さ寸法T4がリード層104dの厚さ寸法T6よりも小さく、かつ、電極層104cの厚さ寸法T5が反応防止層104bの厚さ寸法T4以上に設定されている。このような板型ガスセンサ素子100は、反応防止層の厚さ寸法がリード層および電極層の各厚さ寸法よりも大きく形成される構成に比べて、冷熱サイクルでの耐熱衝撃性が高くなる。
この板型ガスセンサ素子100は、リード層104dの厚さ寸法T6が反応防止層104bの厚さ寸法T4よりも大きい構成であり、リード層104dにおける電気抵抗値を低減できる。これにより、板型ガスセンサ素子100は、ガスセンサ素子としての内部抵抗値を低減できるため、固体電解質体105の活性化状態が低い低温(300℃以下)環境下でも、ガス検出が可能となる。
よって、この板型ガスセンサ素子100は、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
次に、板型ガスセンサ素子100においては、反応防止層104b、電極層104c、リード層104dのそれぞれの気孔率(B4=1%,B5=21%,B6=46%)のうち反応防止層104bの気孔率B4が最も低くなるように、反応防止層104b、電極層104c、リード層104dが形成されている。
反応防止層104bの気孔率B4が最も低いことで、反応防止層104bの緻密度が高くなるため、固体電解質体105と電極層104cとの間の界面抵抗値を小さくすることができる。
このような板型ガスセンサ素子100を備えるガスセンサは、安価であり、耐熱衝撃性を有し、低温作動性を有する、という有利な作用効果を奏する。
[2−3.文言の対応関係]
ここで、本実施形態における文言の対応関係について説明する。
板型ガスセンサ素子100がガスセンサ素子の一例に相当し、固体電解質体105が固体電解質体の一例に相当し、測定電極106が測定電極の一例に相当し、基準電極104が基準電極の一例に相当する。
反応防止層104bが反応防止層の一例に相当し、電極層104cが電極層の一例に相当し、リード層104dがリード層の一例に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
上記実施形態では、測定電極(外側電極)、基準電極(内側電極)、固体電解質体(素子本体)などにおける各種数値(厚さ寸法、気孔率など)が特定されているが、これらの各種数値は、上記数値に限られることはなく、本発明の技術的範囲に含まれる限り、任意の値を採ることができる。
また、上記実施形態では、基準電極(内側電極)が多層構造(反応防止層、電極層、リード層が積層された多層構造)であるガスセンサ素子について説明したが、本発明は、このような構成に限られることはない。本発明が適用されるガスセンサ素子は、例えば、測定電極(外側電極)が多層構造(反応防止層、電極層、リード層が積層された多層構造)であるガスセンサ素子でもよく、あるいは、基準電極(内側電極)および測定電極(外側電極)がそれぞれ多層構造であるガスセンサ素子でもよい。
次に、上記実施形態では、ガスセンサとして、筒型のガスセンサ素子を備えるガスセンサについて説明したが、本発明を適用するガスセンサは、上記第2実施形態の板型ガスセンサ素子を備えるガスセンサであってもよい。なお、板型ガスセンサ素子を備えるガスセンサは公知であるため、詳細な構成についての説明は省略する。
次に、上記実施形態では、リード層として、上記のペロブスカイト相を主成分とし、希土類添加セリアを含まない構成のリード層を備えるガスセンサ素子について説明したが、リード層はこのような構成に限られることはない。例えば、リード層は、希土類添加セリアを含む構成を採ってもよく、そのような構成のリード層は、ガスセンサ素子の使用時において外側電極と内側電極との間の内部抵抗値を低下させることが可能である。但し、室温におけるリード層の電気抵抗値を低下させるためには、希土類添加セリアを含まない構成を採るとよい。
次に、上記実施形態では、ペロブスカイト相として、MがFeである材料を用いる形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られることはない。例えば、ペロブスカイト相として、MがCoである材料やMがFeとCoとの混合物である材料を用いる形態であっても、上記実施形態と同様な作用効果が得られる。
1…ガスセンサ、3…ガスセンサ素子、13…主体金具、15…プロテクタ、21…素子本体、23…素子鍔部、25…先端部、27…外側電極、28…環状リード部、29…縦リード部、30…内側電極、30a…内側検知電極部、30b…内側リード部、31…反応防止層、32…電極層、33…リード層、33a…先端リード層、33b…後端リード層、34…ランタンジルコネート層(反応層)、100…板型ガスセンサ素子、101…素子本体、104…基準電極、104a…基準電極部、104b…反応防止層、104c…電極層、104d…リード層、104L…基準リード部、105…固体電解質体、106…測定電極、106a…測定電極部、106L…検知リード部、130…酸素濃度検出セル。

Claims (7)

  1. 固体電解質体と、前記固体電解質体を挟み込むように配置された一対の電極と、を備えるガスセンサ素子であって、
    前記一対の電極は、測定対象ガスに接触する測定電極と、基準ガスに接触する基準電極と、を備えており、
    前記測定電極および前記基準電極のうち少なくとも一方は、前記固体電解質体に近い側から順に、反応防止層、電極層、リード層が積層された多層構造であり、
    前記反応防止層および前記電極層は、それぞれ、希土類添加セリアが含まれており、
    前記電極層および前記リード層は、それぞれ、組成式:LaaMbNicOx(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75)で表されペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物層を含み、前記a,b,cが、0.459≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350を満たしており、
    前記反応防止層の厚さ寸法は、前記リード層の厚さ寸法よりも小さく、
    前記電極層の厚さ寸法は、前記反応防止層の厚さ寸法以上で、かつ、前記リード層の厚さ寸法以下である、
    ガスセンサ素子。
  2. 前記反応防止層、前記電極層、前記リード層のそれぞれの気孔率のうち、前記反応防止層の気孔率が最も低い、
    請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 前記反応防止層の厚さ寸法、前記電極層の厚さ寸法、前記リード層の厚さ寸法は、それぞれ前記の大小関係を満たすと共に、
    前記反応防止層の厚さ寸法は、1〜10μmの範囲内であり、
    前記電極層の厚さ寸法は、3〜30μmの範囲内であり、
    前記リード層の厚さ寸法は、5〜40μmの範囲内である、
    請求項1または請求項2に記載のガスセンサ素子。
  4. 前記反応防止層の気孔率は、0〜10%の範囲内であり、
    前記電極層の気孔率は、10〜30%の範囲内であり、
    前記リード層の気孔率は、35〜60%の範囲内である、
    請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のガスセンサ素子。
  5. 前記基準電極は、前記反応防止層、前記電極層、前記リード層が積層された多層構造である、
    請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のガスセンサ素子。
  6. 前記固体電解質体は、有底筒型または板型である、
    請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のガスセンサ素子。
  7. 測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を備えるガスセンサであって、
    前記ガスセンサ素子として、請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載のガスセンサ素子を備える、
    ガスセンサ。
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