JP2020165866A - ガスセンサ素子、ガスセンサおよびガスセンサ素子の製造方法 - Google Patents

ガスセンサ素子、ガスセンサおよびガスセンサ素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接続電極部の材料として導電性酸化物を用いても、接続電極部の剥がれ破損を抑制できるガスセンサ素子、ガスセンサ、およびガスセンサ素子の製造方法を提供する。【解決手段】本開示の一態様は、固体電解質体と、基準電極と、測定電極と、接続電極部と、外面リード部と、を備えるガスセンサ素子である。接続電極部は、厚さ寸法が10μmよりも大きく、平均気孔率が2〜10%である。接続電極部の厚さ方向を厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分した場合に、固体電解質体に最も近い区分領域は、複数の区分領域の中で気孔率の大きい側から2番目以下である。このため、接続電極部のうち固体電解質体に最も近い区分領域は、複数の区分領域のうち最も気孔率が大きい区分領域ではないため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を抑制できる。【選択図】 図6

Description

本開示は、固体電解質体および一対の電極(基準電極、測定電極)を備えるガスセンサ素子、ガスセンサ素子を備えるガスセンサ、ガスセンサ素子の製造方法に関する。
測定対象ガス(例えば排気ガス等)に含まれる特定ガス(例えば、酸素、NOx等)を検出するためのガスセンサ素子、およびそのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサが知られている。ガスセンサ素子は、固体電解質体と、固体電解質体を挟み込むように配置された一対の電極と、を備える。
固体電解質体としては、有底筒状に形成されるとともに側面から外向きに突出する鍔部を有し、ジルコニアを含んで構成されるものがある。このような固体電解質体を備えるガスセンサ素子は、一対の電極として、内側電極(基準電極)と外側電極(測定電極)とを備える。
このようなガスセンサ素子は、接続電極部と、外面リード部と、を備える。接続電極部は、固体電解質体の後端側領域の外面に形成され、外部の金属端子に接続されるために備えられる。また、外面リード部は、固体電解質体の外面において、測定電極から接続電極部まで延設されて、測定電極と接続電極部とを電気的に接続する。接続電極部および外面リード部は、導電性材料で形成されており、例えば、Pt(白金)を用いて形成される。
なお、Ptは高価な材料であるため、コスト低減を実現するために、他の安価な材料を利用することがある。例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を用いることができる(特許文献1)。
特開2017−049020号公報
しかし、導電性酸化物を用いて形成した接続電極部を備えるガスセンサ素子は、Pt(白金)を用いて形成した接続電極部を備えるガスセンサ素子に比べて、ガスセンサの製造時に接続電極部が破損しやすくなる可能性がある。
つまり、導電性酸化物は、Pt(白金)に比べて、靱性を有し剥がれ耐性(耐剥離性能)が低いため、導電性酸化物を用いて形成した接続電極部は、組付け時の金属端子との摩擦等により剥がれ破損が生じやすくなる。接続電極部に剥がれ破損が生じると、接続電極部の破片によって基準電極と測定電極とが電気的に短絡されるなどの短絡異常が生じる可能性がある。
そこで、本開示は、接続電極部の材料として導電性酸化物を用いる場合であっても、接続電極部の剥がれ破損を抑制できるガスセンサ素子、およびそのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサ、およびそのようなガスセンサ素子の製造方法を提供できることが望ましい。
本開示の一態様は、固体電解質体と、基準電極と、測定電極と、接続電極部と、外面リード部と、を備えるガスセンサ素子である。
固体電解質体は、軸線方向の先端が閉塞し後端が開口する有底筒状に形成される。固体電解質体は、ジルコニアを含んで構成される。基準電極は、固体電解質体の先端側領域の内面に形成される。測定電極は、固体電解質体の先端側領域の外面に形成される。接続電極部は、固体電解質体の後端側領域の外面に形成され、外部の金属端子に接続されるために備えられる。外面リード部は、固体電解質体の外面において、測定電極から接続電極部まで延設されて、測定電極と接続電極部とを電気的に接続する。
接続電極部は、組成式:LaNiOx(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350、1.25≦x≦1.75)で表されるペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物で形成される。
接続電極部は、厚さ寸法が10μmより大きく、平均気孔率が2〜10%である。さらに、接続電極部の厚さ方向を厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分した場合に、固体電解質体に最も近い区分領域は、複数の区分領域の中で気孔率の大きい側から2番目以下である。
このガスセンサ素子においては、接続電極部のうち固体電解質体に最も近い区分領域(換言すれば、接続電極部のうち最内部に位置する区分領域)は、複数の区分領域のうち最も気孔率が大きい区分領域ではないため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を抑制できる。このため、このガスセンサ素子は、ガスセンサの製造時における金属端子との組み付け作業にあたり、接続電極部の剥がれを抑制でき、接続電極部の破損を抑制できる。
よって、本開示のガスセンサ素子によれば、接続電極部の材料として導電性酸化物を用いる場合であっても、接続電極部の剥がれを抑制できる。
なお、平均気孔率は、接続電極部のうち少なくとも3箇所について気孔率を測定し、それらの平均値を算出して得られた値である。また、接続電極部を5μmごとの複数の区分領域に区分する場合には、接続電極部のうち固体電解質体に近い最内面から固体電解質体から遠い最外面にかけて、厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分する。つまり、接続電極部のうち厚さ方向における最外面から最内面にかけて、複数の区分領域に区分するのではなく、接続電極部のうち厚さ方向における最内面から最外面にかけて、複数の区分領域に区分する。このとき、最外面を含む区分領域(換言すれば、接続電極部のうち最外部に位置する区分領域)は、厚さ寸法が5μm未満となる場合がある。この場合、その区分領域の気孔率は、その区分領域のうち接続電極部が存在する領域(換言すれば、その区分領域のうち空白部分を除いた領域)を対象として気孔率を測定する。また、接続電極部の厚さ寸法は、ガスセンサ素子を構成できる範囲で上限値を設定してもよい。例えば、接続電極部の厚さ寸法は、100μm以下であってもよい。
本開示の他の一態様は、接続電極部を備えるガスセンサ素子と、ガスセンサ素子の接続電極部に接続される金属端子と、を備えるガスセンサであって、ガスセンサ素子は上述のガスセンサ素子であってもよい。このガスセンサは、上述のガスセンサ素子と同様に、接続電極部の材料として導電性酸化物を用いる場合であっても、接続電極部の剥がれを抑制できる。
本開示の他の一態様は、ガスセンサ素子の製造方法であって、成形体製造工程と、塗布工程と、焼成工程と、電極形成工程と、を備え、塗布工程で接続電極部の形成に用いるスラリーは、導電性酸化物の粉末を含有し、粉末の平均粒径は0.3μm以下であってもよい。
ガスセンサ素子は、固体電解質体と、基準電極と、測定電極と、接続電極部と、外面リード部と、を備える。固体電解質体は、軸線方向の先端が閉塞し後端が開口する有底筒状に形成される。固体電解質体は、ジルコニアを含んで構成される。基準電極は、固体電解質体の先端側領域の内面に形成される。測定電極は、固体電解質体の先端側領域の外面に形成される。接続電極部は、固体電解質体のうち後端側領域の外面に形成され、外部の金属端子に接続されるために備えられる。外面リード部は、固体電解質体の外面において、測定電極から接続電極部まで延設されて、測定電極と接続電極部とを電気的に接続する。
接続電極部は、組成式:LaNiOx(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350、1.25≦x≦1.75)で表されるペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物で形成される。
成形体製造工程は、焼成後に固体電解質体となる未焼結成形体を製造する工程である。塗布工程は、未焼結成形体のうち接続電極部の形成部分に対して、接続電極部を形成するためのスラリーを塗布する工程である。焼成工程は、スラリーが塗布された未焼結成形体を所定の焼成温度で焼成する工程である。電極形成工程は、焼成工程の前段階の未焼結成形体、あるいは、焼成工程の後段階の固体電解質体に対して、基準電極、測定電極、外面リード部をそれぞれ形成する工程である。なお、電極形成工程の実行時期は、焼成工程の後段階に限定されるものではなく、焼成工程の前段階であってもよい。また、電極形成工程のうち一部を焼成工程の前段階で実行し、他の一部を焼成工程と同時期に実行してもよい。
このガスセンサ素子の製造方法では、接続電極部を形成するためのスラリーに含有される導電性酸化物の粉末が、平均粒径が0.3μm以下の粉末であり、微細な粉末を用いて接続電極部を製造する。このような微細な粉末を用いて焼成された接続電極部は、全体として気孔が形成され難くなるとともに、接続電極部のうち固体電解質体に近い部分よりも固体電解質体から遠い部分に、気孔が形成されやすくなる。
このため、この製造方法で製造されたガスセンサ素子においては、接続電極部のうち固体電解質体に近い部分は、接続電極部のうち固体電解質体から遠い部分に比べて、気孔率が小さくなるため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を抑制できる。
よって、この製造方法で製造されたガスセンサ素子は、ガスセンサの製造時における金属端子との組み付け作業にあたり、接続電極部の剥がれを抑制でき、接続電極部の破損を抑制できる。
実施形態のガスセンサ(酸素センサ)を軸線方向に沿って破断した状態を示す断面図である。 検出素子に検出電極を形成した状態を示す斜視図である。 図1における領域D1を拡大した断面図である。 金属端子の斜視図である。 ガスセンサ素子の製造工程を表したフローチャートである。 実施例および比較例のそれぞれについて、接続電極部および素子本体の断面拡大画像を示す説明図である。 実施例および比較例のそれぞれについて、接続電極部での複数の区分領域における気孔率の測定結果である。
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態のガスセンサ1(以下、酸素センサ1ともいう)は、例えば自動車およびオートバイ等の車両の排気管に取り付けられ、排気管内の排気ガスに含まれる酸素濃度を検出する。
図1に示すように、酸素センサ1は、自動車のエンジンの排気管(図示外)に対して、軸線O方向(酸素センサ1の長手方向:図1の上下方向)の下側が排気管内に突出するように取り付けられて使用される。なお、以下では、軸線O方向において、図1の下方を酸素センサ1の先端側とし、図1の上方を酸素センサ1の後端側として説明する。
酸素センサ1は、主として、細長で先端側が閉じられた筒状の検出素子3(以下、ガスセンサ素子3ともいう)と、検出素子3の外周側を取り囲んで保持する主体金具5(即ち検出素子3が貫挿された貫通孔7を有する主体金具5)と、検出素子3の後端側を覆う外筒9と、検出素子3の先端側を覆うプロテクタ11等を有する。
検出素子3は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を主成分とし、軸線O方向に延びる有底筒状に形成した素子本体13を有する。
なお、素子本体13は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)またはカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体を用いて構成されている。素子本体13は、これらに限られることはなく、「アルカリ土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」、「希土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」などを用いてもよい。さらには、これらにHfOが含有されたものを、素子本体13を構成する固体電解質体として用いてもよい。
素子本体13の軸線O方向における略中央の位置には、軸線O方向と垂直の径方向外側に向かって突出する環状(フランジ形状)の鍔部15が設けられている。
この鍔部15は、その断面(軸線O方向に沿って破断した断面)の形状が台形である。詳しくは、図2に示すように、鍔部15は、径方向の最も外側部分であり軸線O方向と平行な頂面17と、頂面17の先端側から素子本体13に向かって所定角度で先端側に傾斜する先端向き面19と、頂面17の後端側から素子本体13に向かって所定角度で後端側に傾斜する後端向き面21とを有している。
素子本体13の鍔部15よりも先端側の先端部23は、先端へ向けて徐々に縮径し、先端部分が球面状に閉じている。従って、検出素子3の内部には、図1に示すように、中空部としての筒孔25(即ち先端側が閉塞し後端側が開放された筒孔25)が形成されている。
先端部23の外表面(外周面)には、多孔質状の検出電極27が形成されている。検出電極27は、Ptを用いて多孔質に形成したものである。また、検出素子3においては、図2に示すように、検出電極27から後端側にかけて帯状に外面リード部29が形成され、外面リード部29の後端側には周方向に延びる端子接続部31が形成されている。なお、外面リード部29もPtを用いて多孔質に形成したものである。端子接続部31は、希土類添加セリアやペロブスカイト相等を含む材料を多孔質に形成したものである。
一方、図1に示すように、素子本体13の筒孔25の内表面(内周面)には、検出電極27と同様に、Ptを用いて多孔質に形成した基準電極33(内側電極33)が形成されている。
従って、検出電極27と基準電極33とは、先端部23において素子本体13を挟んで対向しており、この部分が検出素子3において、酸素濃度の検出を行う検出部37として機能する。なお、酸素センサ1が排気管に取り付けられたとき、検出部37の外周面は排気管内を流通する排ガス中に晒される。
なお、検出電極27の外周面は、マグネシアアルミナスピネル等で構成された多孔質状の保護層(図示省略。)で覆ってもよい。さらに、外面リード部29と後述する金属パッキン61との絶縁性を図るために、保護層は、検出素子3の鍔部15の一部、詳しくは鍔部15の頂面17および先端向き面19を覆ってもよい。つまり、保護層によって、検出素子3の鍔部15の頂面17より先端側が、全面に渡って覆われている構成としてもよい。
検出素子3の後端部39に備えられる端子接続部31(詳しくは検出電極27に接続された端子接続部31:図2参照)は、後端部39に外嵌めされた金属端子41を介しリード線43に接続されている。なお、リード線43は、図示外の外部回路(例えば自動車の電子制御装置(ECU))に、電気的に接続されている。
検出素子3の基準電極33は、検出素子3の筒孔25の内部に挿入された金属端子45を介し、他のリード線44に接続されている。
また、検出素子3の筒孔25の内部には、素子本体13を加熱して活性化させるための棒状のヒータ47が挿入されている。このヒータ47は、内部に発熱抵抗体(図示外)を有しており、発熱抵抗体は、一対の電極端子49(図1では一方の電極端子49のみを示す)を介して、外部回路と電気的な接続を行う一対のリード線51(図1では一方のリード線51のみを示す)に接続されている。
主体金具5は、その軸中心に軸線O方向に延びる貫通孔7を有する、例えばステンレス製(例えばSUS430)の筒状部材である。
貫通孔7は、先端側ほど小径で後端側ほど大径の孔であり、その内周面の軸線O方向における中央部分には、検出素子3を支持するために、径方向内側に環状に突出する段部53が形成されている。
この主体金具5は、段部53と、後端に設けた加締部55との間に、滑石粉末を用いて構成された充填部材57、アルミナ製のスリーブ59を、ステンレス製の下側の金属パッキン61および上側の加締めパッキン63を介して支持している。
そして、検出素子3の鍔部15を、充填部材57と金属パッキン61との間に挟むことによって、貫通孔7の内部に検出素子3を保持するとともに、充填部材57などによって、貫通孔7の内部の気密性を確保している。
また、主体金具5は、外周に、酸素センサ1を排気管に取り付けるためのねじ山が形成された雄ねじ部65を有する。雄ねじ部65の先端側には、プロテクタ11を取り付ける先端取付部67が形成されている。雄ねじ部65の後端側には、排気管への取り付けの際に使用される工具が係合される工具係合部69が設けられている。
工具係合部69と雄ねじ部65との間には、排気管の取付部を介したガス抜けを防止するための環状のガスケット71が嵌挿されている。工具係合部69の後端側には、外筒9を取り付ける後端取付部73が形成され、後端取付部73の後端側に、加締部55が設けられている。
さらに、検出素子3の後端部39は、外筒9に覆われている。外筒9は、主体金具5の後端取付部73に溶接されるとともに、軸線O方向に沿って後端方向に延設されている。外筒9は、軸線O方向に沿って延びる筒状のSUS304等のステンレス鋼を用いて構成された部材である。
検出素子3の後端部39よりも後端側には、絶縁性セラミックスを用いて構成された筒状のセパレータ75が配置されている。セパレータ75は、検出素子3の金属端子41、45、ヒータ47の電極端子49が、互いに接触しない状態で、それぞれを内部に収容している。また、セパレータ75は、先端側と後端側との間で大気連通が可能となっている。
なお、外筒9は、セパレータ75が配置された部分の外周が加締められており、セパレータ75は、保持金具77を介して外筒9の内部に保持されている。
セパレータ75の後端側には、フッ素系ゴムを用いて構成されたグロメット79が配置されている。グロメット79は、外筒9の後端側の開口に嵌められて、開口付近の外周が加締められることにより、外筒9に保持されている。
グロメット79には、外筒9の内部に大気を導入するための連通孔81が形成されている。連通孔81内には、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から形成された薄膜状のフィルタ部材83およびその留め金具85が挿入されており、水滴等の進入が防止されている。
一方、検出素子3の先端側の検出部37は、主体金具5の先端取付部67から突出しており、先端取付部67に溶接されるプロテクタ11に覆われている。プロテクタ11は、排気管内に突き出される検出素子3の検出部37を、排ガス中に含まれる水滴や異物等の衝突から保護する。このプロテクタ11は開口部を有する一重構造から成る。
[1−2.ガスセンサ素子]
上述のように、ガスセンサ素子3(検出素子3)は、検出電極27(外側電極27)と基準電極33(内側電極33)とを備える。
図1に示すように、検出電極27と基準電極33は、ガスセンサ素子3の先端部23において、素子本体13を挟み込むように配置されている。素子本体13および一対の電極(すなわち、検出電極27および基準電極33)は、酸素濃淡電池を構成して、排気ガス中の酸素濃度に応じた起電力を発生させる。つまり、ガスセンサ素子3の先端部23において、検出電極27が排気ガスに晒され、基準電極33が基準ガスに晒されることで、ガスセンサ素子3は、排気ガス中の酸素濃度を検出する。
検出電極27は、上述の通り、外面リード部29を介して端子接続部31に電気的に接続されている。端子接続部31は、外嵌めされた金属端子41に電気的に接続されている。なお、本実施形態における検出電極27の形状および配置は単なる一例であり、これ以外の種々の形状および配置を採用可能である。
また、ガスセンサ素子3の素子本体13の内周面には、基準電極33が形成されている。基準電極33は、Ptを多孔質に形成したものである。基準電極33は、全体として素子本体13の内面の全面を覆うように形成されている。基準電極33は、金属端子45と電気的に接続される。
図1に示すガスセンサ素子3のうち、領域D1の拡大図を図3に示す。
図3に示すように、端子接続部31は、接続電極層31aおよびランタンジルコネート層31bを含む多層構造を有する。ランタンジルコネート層31bは、接続電極層31aよりも素子本体13に近い側に配置されている。
ランタンジルコネート層31bは、端子接続部31の焼成時に、接続電極層31aに含まれるランタン(La)と、素子本体13に含まれるジルコニア(ZrO)とが反応して形成されたランタンジルコネート(LaZr)の層である。このようなランタンジルコネート層31bを、以下、反応層31bともいう。ランタンジルコネート層31bが形成されると、ランタンジルコネート層31bと接続電極層31aとの間との密着性と、ランタンジルコネート層31bと素子本体13との密着性とが高まるため、耐剥離性能が向上する。したがって、端子接続部31は、接続電極層31aと素子本体13との間にランタンジルコネート層31bが形成されることで、金属端子41との組み付け時における剥離が生じ難くなり、耐剥離性能を向上させることができる。
接続電極層31aは、以下の組成式(1)を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相(すなわち、ペロブスカイト相)を含んで構成されている。
LaNi ・・・(1)
ここで、元素MはCoとFeのうちの一種以上を表し、a+b+c=1であり、1.25≦x≦1.75である。係数a,b,cはそれぞれ、以下の関係式(2a),(2b),(2c)を満たすことが好ましい。
0.375≦a≦0.535 ・・・(2a)
0.200≦b≦0.475 ・・・(2b)
0.025≦c≦0.350 ・・・(2c)
上記の関係式(2a)〜(2c)で表される組成を有するペロブスカイト型導電性酸化物は、室温(例えば25℃)での導電率が250S/cm以上で且つB定数が600K以下となり、上記の関係式(2a)〜(2c)を満たさない場合に比べて導電率が高くB定数が小さいという良好な特性を有する。
係数a,b,cはそれぞれ、上記の関係式(2a),(2b),(2c)の代わりに下記の関係式(3a),(3b),(3c)を満たすようにしてもよい。この場合には、導電率を更に高くするとともにB定数を更に小さくすることができる。
0.459≦a≦0.535 ・・・(3a)
0.200≦b≦0.375 ・・・(3b)
0.125≦c≦0.300 ・・・(3c)
上記の組成式(1)におけるO(酸素)の係数xに関しては、上記の組成を有する導電性酸化物が全てペロブスカイト相からなる場合には、理論上はx=1.50となる。但し、酸素が量論組成からずれることがあるため、典型的な例として、係数xの範囲を1.25≦x≦1.75と規定している。
接続電極層31aは、上記のペロブスカイト相で構成されている。
なお、接続電極層31aは、上記のペロブスカイト相を主成分とし、希土類添加セリアを含む構成であってもよい。
希土類添加セリアは、セリア以外の希土類酸化物が添加されたセリアである。「セリア以外の希土類酸化物」としては、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。このような希土類酸化物における希土類元素REの含有割合は、セリウムと希土類元素REのモル分率{RE/(Ce+RE)}に換算して、例えば、5mol%以上であり且つ40mol%以下である範囲とすることができる。このような希土類添加セリアは、低温(すなわち、室温)では絶縁体であり、高温(すなわち、ガスセンサ1の使用温度)では酸素イオン伝導性を有する固体電解質体である。
このような接続電極層31aは、高温(すなわち、ガスセンサ1の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているため、十分に低い界面抵抗値を示す。
このような接続電極層31aに含まれる希土類添加セリアの割合は、例えば、30〜65体積%であってもよい。また、このような接続電極層31aに含まれる希土類添加セリアの平均粒径は、0.64μm以下であってもよい。
[1−3.接続電極層および金属端子]
上述のとおり、端子接続部31(接続電極層31a)は、検出素子3のうち後端側に形成されており、金属端子41に接続される。
端子接続部31のうち接続電極層31aは、厚さ寸法WA2(図3参照)が20μmであり、平均気孔率が7.0%の多孔質構造であり、軸線O方向に沿った軸線方向寸法WA1(図2参照)が4.0mmである。
なお、厚さ寸法WA2の測定方法としては、例えば、ガスセンサ素子3を軸線O方向に沿って切断し、切断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した接続電極層31aの画像(倍率1000倍、反射電子像)に基づいて測定する方法が挙げられる。撮影で得られた画像において、接続電極層31aのうち任意の複数箇所(例えば、3箇所)の厚さ寸法を測定し、それらの平均値を厚さ寸法WA2として算出した。
金属端子41は、導電性材料(例えばインコネルなど)で構成された1枚の金属板を折曲加工して形成されている。金属端子41は、図4に示すように、素子当接部41aと、複数の案内片41bと、延長部41cと、2つの把持部41dと、を備える。インコネルは、登録商標である。
素子当接部41aは、軸線O方向に垂直な断面形状が、一箇所で切れ目を有する円となるように形成されている。素子当接部41aは、検出素子3の外側に嵌められ、素子当接部41aの弾性によって検出素子3に固定される。このため、自由状態での素子当接部41aの内径は、検出素子3の外径よりも僅かに小さくなるように設定されている。
複数の案内片41bは、素子当接部41aの先端部から斜め外向き方向(詳細には、先端側方向、かつ素子当接部41aの周方向外向き方向)に延設されている。複数の案内片41bは、素子当接部41aを検出素子3に嵌め合わせる際に、素子当接部41aの内部へ検出素子3を案内するために形成されている。
延長部41cは、素子当接部41aの後端部から軸線O方向の後端側に向けて延びる。2つの把持部41dは、延長部41cの後端に備えられており、リード線43の芯線を包囲した状態で加締め加工されることで、リード線43に接続される。
金属端子41の素子当接部41aは、軸線O方向に沿った軸線方向寸法WL1(図1参照)が3.5mmである。
つまり、ガスセンサ1においては、検出素子3の接続電極層31a(端子接続部31)の軸線方向寸法WA1(=4.0mm)は、金属端子41の素子当接部41aの軸線方向寸法WL1(=3.5mm)よりも大きい。このため、金属端子41を検出素子3に嵌め合わせる際に、素子当接部41aと接続電極層31a(端子接続部31)との軸線O方向における相対位置に誤差が生じた場合であっても、素子当接部41aと接続電極層31a(端子接続部31)とが何れかの部分で接触することで電気的接続状態を維持できるため、接続不良が生じ難くなる。
[1−4.ガスセンサ素子の製造方法]
次に、ガスセンサ素子3の製造方法を説明する。
図5のフローチャートに示すように、ガスセンサ素子3の製造工程のうち、まず、S110(Sはステップを表す)の第1工程(成形体製造工程)では、未焼結成形体を作製する。具体的には、まず、素子本体13の材料である固体電解質体の粉末として、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)を5mol%添加したもの(以下、5YSZともいう)に対して、さらにアルミナ粉末を添加したものを用意する。素子本体13の材料粉末全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%である。この粉末をプレス加工した後に、筒形となるように切削加工を実施することで、未焼結成形体を得る。
次に、S120の第2工程(塗布工程)では、未焼結成形体のうち、検出電極27,外面リード部29,端子接続部31,基準電極33のそれぞれの形成部分に、スラリーを塗布する。スラリーを塗布するにあたり、まず、検出電極27,外面リード部29,端子接続部31,基準電極33を形成するためのスラリーを作製する。
検出電極27、外面リード部29、基準電極33は、Ptおよびジルコニアを含有するスラリーを用いる。このとき、検出電極27を形成するためのスラリーは、Ptに対して15質量%の単斜晶ジルコニアを添加したものを用いる。外面リード部29、基準電極33を形成するためのスラリーは、Ptに対して、「99.6質量%の5YSZ/0.4質量%アルミナの混合粉末」(素子本体13と同じ組成)を15質量%添加したものを用いる。
端子接続部31のスラリーの作製においては、まず、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、700〜1300℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等による粉砕を行い所定の粒度に調整する。このとき、ペロブスカイト相の原料粉末としては、例えば、La(OH)又はLa、並びに、Co、Fe、及びNiOを用いることができる。そして、所定の粒度に調整された2種類の仮焼粉末を、湿式ボールミル等により混合し、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製する。
なお、本実施形態では、ペロブスカイト相の仮焼粉末としては、平均粒径が0.3[μm]以下(具体的には、0.2[μm])のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を得た。
スラリーを作製した後、未焼結成形体のうち、検出電極27,外面リード部29,端子接続部31,基準電極33のそれぞれの形成部分に、スラリーを塗布する。
このとき、スラリーの塗布に際しては、まず、一度の塗布作業で塗布するスラリーの厚さ寸法を一定にしつつ、最終的な厚さ寸法の違いに応じて塗布回数を調整することで、領域毎に厚さ寸法を調整することができる。例えば、スラリー塗布領域のうち、まずは厚さ寸法を大きくすべき部分にスラリーを塗布し、その後、スラリー塗布領域の全体にスラリーを塗布することで、領域毎に厚さ寸法を異なる寸法に設定できる。
なお、スラリーの塗布に際しては、未焼結成形体のうち塗布が不要な部分には、予めマスキングしてもよい。
次のS130の第3工程(焼成工程)では、スラリーが塗布された未焼結成形体について、乾燥を行った後、所定の焼成温度で焼成する。この焼成温度は、例えば、1250℃以上1450℃以下(好ましくは、1350±50℃)である。この焼成工程では、接続電極層31aと素子本体13との間にランタンジルコネート層31b(反応層31b)が形成される。
前述したように、反応層31bは、接続電極層31aに含まれるランタン(La)と、素子本体13に含まれるジルコニア(ZrO)とが反応して形成された層である。なお、反応層31bの厚さ寸法は、焼成温度が高いほど大きくなり、また、希土類添加セリアの含有割合が低いほど大きくなる。したがって、これらのパラメータ(焼成温度、希土類添加セリアの含有割合)を調整することによって、反応層31bの厚さ寸法を調整することが可能である。
また、端子接続部31(接続電極層31a)の気孔率は、スラリーに含まれる造孔剤の含有量によって調整することができる。例えば、造孔剤の含有量を増加することで気孔率を大きく(高く)することができ、造孔剤の含有量を減少させることで気孔率を小さく(低く)することができる。
上記の各工程を実施することで、ガスセンサ素子3を製造することができる。
[1−5.接続電極層の評価]
本開示を適用したガスセンサ素子3における端子接続部31(接続電極層31a)の評価について説明する。
ここでは、端子接続部31の接続電極層31aにおける気孔の分布状態に基づいて、接続電極層31aの耐剥離性能を評価した。本評価では、本開示を適用したガスセンサ素子(実施例)と、比較例のガスセンサ素子と、を用いた。
実施例のガスセンサ素子は、接続電極層31aの厚さ寸法WA2が18μmであり、接続電極層31aの平均気孔率が7.0%である。実施例のガスセンサ素子の製造に際して、端子接続部31の形成に用いたスラリーは、ペロブスカイト相の仮焼粉末として平均粒径が0.2[μm]のLFN粉末を用いて製造されたスラリーである。
比較例のガスセンサ素子は、接続電極層の厚さ寸法が36μmであり、接続電極層の平均気孔率が14.0%である。比較例のガスセンサ素子の製造に際して、接続電極層の形成に用いたスラリーは、ペロブスカイト相の仮焼粉末として平均粒径が0.4[μm]のLFN粉末を用いて製造されたスラリーである。
つまり、実施例および比較例は、それぞれ、接続電極層31aの平均気孔率が異なると共に、接続電極層31aを製造するためのスラリーに含まれる導電性酸化物の粉末における平均粒径が異なる。具体的には、実施例は、比較例に比べて、接続電極層31aの平均気孔率が低く、製造時に用いる導電性酸化物の粉末の平均粒径が小さい。なお、実施例および比較例のそれぞれの平均気孔率の算出は、倍率1500倍にて断面SEM画像を取得し、画像解析ソフトWinROOF V6.0を用いて20カ所を測定し算出した。
図6に、実施例および比較例のそれぞれについて、ガスセンサ素子における端子接続部31および素子本体13の断面拡大画像(SEM画像、1500倍)を示す。
実施例および比較例のそれぞれについて、断面拡大画像における接続電極層31aの厚さ方向を、厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分し、各区分領域の気孔率を比較した。具体的には、接続電極層31aのうち厚さ方向において第1面31a1から第2面31a2にかけて、厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分し、各区分領域の気孔率を比較した。第1面31a1は、接続電極層31aのうち素子本体13に近い最内面である。第2面31a2は、接続電極層31aのうち素子本体13から遠い最外面である。なお、気孔率の算出は、倍率1500倍にて断面SEM画像を取得し、画像解析ソフトWinROOF V6.0を用いて、各区分領域の気孔率を算出した。
まず、実施例については、端子接続部31の厚さ寸法は20μmであり、反応層31bの厚さ寸法は2μmであり、接続電極層31aの厚さ寸法は18μmである。このため、実施例の接続電極層31aは、第1区分領域AE1から第4区分領域AE4までの4つの区分領域に区分される。このうち、接続電極層31aの最外面(金属端子41に当接する第2面31a2)を含む第4区分領域AE4は、厚さ寸法が3μmである。
これら4つの区分領域のそれぞれについて気孔率を測定した測定結果を図7に示す。図7では、気孔率の測定結果に加えて、複数の区分領域を気孔率が大きい順に並べた場合における各区分領域の順位を記載した。測定結果によれば、気孔率が最も大きいのは第4区分領域AE4であり、次に第1区分領域AE1となった。つまり、実施例のガスセンサ素子3では、接続電極層31aのうち素子本体13に最も近い第1区分領域AE1(換言すれば、接続電極層31aのうち最内部に位置する第1区分領域AE1)は、接続電極層31aの中で気孔率が最も大きい区分領域ではない。
次に、比較例については、端子接続部31の厚さ寸法は36μmであり、反応層31bの厚さ寸法は2μmであり、接続電極層31aの厚さ寸法は34μmである。このため、実施例の接続電極層31aは、第1区分領域AE1から第7区分領域AE7までの7つの区分領域に区分される。このうち、接続電極層31aの最外面(金属端子41に当接する第2面31a2)を含む第7区分領域AE7は、厚さ寸法が4μmである。
これら7つの区分領域のそれぞれについて気孔率を測定した測定結果を図7に示す。図7では、気孔率の測定結果に加えて、複数の区分領域を気孔率が大きい順に並べた場合における各区分領域の順位を記載した。測定結果によれば、気孔率が最も大きいのは第1区分領域AE1であり、次に第7区分領域AE7となった。つまり、比較例のガスセンサ素子3では、接続電極層31aのうち素子本体13に最も近い第1区分領域AE1(換言すれば、接続電極層31aのうち最内部に位置する第1区分領域AE1)は、接続電極層31aの中で気孔率が最も大きい区分領域である。
以上説明したように、実施例のガスセンサ素子3においては、接続電極層31aのうち素子本体13に最も近い第1区分領域AE1は、複数の区分領域AE1〜AE4のうち最も気孔率が大きい区分領域ではないため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を抑制できる。
これに対して、比較例のガスセンサ素子においては、接続電極層31aのうち素子本体13に最も近い第1区分領域AE1は、複数の区分領域AE1〜AE7のうち最も気孔率が大きい区分領域であるため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を生じる。
このため、実施例のガスセンサ素子3は、比較例と比べて、ガスセンサ1の製造時における金属端子41との組み付け作業にあたり、接続電極層31aの剥がれを抑制でき、接続電極層31aの破損を抑制できる。
[1−6.効果]
以上説明したように、本実施形態のガスセンサ1に備えられるガスセンサ素子3は、端子接続部31の接続電極層31aが導電性酸化物で形成されることで、Ptを用いる場合に比べて、コスト低減を図ることができる。
また、ガスセンサ素子3においては、接続電極層31aは、厚さ寸法WA2が18μmであり、平均気孔率が7.0%であるため、厚さ寸法が10μmよりも大きく、平均気孔率が2〜10%の範囲内の接続電極層である。
さらに、上述したように、接続電極層31aを厚さ方向における第1面31a1から第2面31a2にかけて、厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分した場合に、第1面に面する第1区分領域AE1は、複数の区分領域AE1〜AE4の中で気孔率の大きい側から2番目以下である。
このガスセンサ素子3においては、接続電極層31aのうち素子本体13に最も近い第1区分領域AE1は、複数の区分領域のうち最も気孔率が大きい区分領域ではないため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を抑制できる。このため、ガスセンサ素子3は、ガスセンサ1の製造時における金属端子41との組み付け作業にあたり、接続電極層31aの剥がれを抑制でき、接続電極層31aの耐剥離性能を向上できる。
また、ガスセンサ1は、上述のような特性を有するガスセンサ素子3を備えるため、接続電極層31aの材料として導電性酸化物を用いる場合であっても、接続電極層31aの剥がれを抑制できる。
次に、本実施形態のガスセンサ素子3の製造方法は、成形体製造工程(第1工程)と、塗布工程(第2工程)と、焼成工程(第3工程)と、を実行する。また、この製造方法では、塗布工程で接続電極層31aの形成に用いるスラリーは、導電性酸化物の粉末を含有し、粉末の平均粒径は0.3μm以下(具体的には、0.2μm)である。
つまり、ガスセンサ素子3の製造方法では、導電性酸化物の粉末として微細な粉末を用いて、接続電極層31aを製造する。このような微細な粉末を用いて焼成された接続電極層31aは、全体として気孔が形成され難くなるとともに、素子本体13(固体電解質体)に近い部分(第1区分領域AE1に相当)よりも素子本体13(固体電解質体)から遠い部分(第4区分領域AE4に相当)に、気孔が形成されやすくなる。
このため、本実施形態の製造方法で製造されたガスセンサ素子3においては、接続電極層31aのうち第1区分領域AE1は、第4区分領域AE4に比べて、気孔率が小さくなるため、気孔率の増大に起因する物理的強度の低下を抑制できる。
よって、本実施形態の製造方法で製造されたガスセンサ素子3は、ガスセンサ1の製造時における金属端子41との組み付け作業にあたり、接続電極層31aの剥がれを抑制でき、接続電極層31aの耐剥離性能を向上できる。
次に、本実施形態のガスセンサ1においては、接続電極層31a(端子接続部31)の軸線方向寸法WA1(=4.0mm)は、金属端子41のうちガスセンサ素子3と当接する素子当接部41aの軸線方向寸法WL1(=3.5mm)よりも大きい。
このガスセンサ1は、接続電極層31a(端子接続部31)および金属端子41の素子当接部41aのそれぞれの軸線方向寸法がこのように規定されることで、軸線方向における接続電極層31aと素子当接部41aとの相対位置に誤差が生じた場合でも、素子当接部41aと接続電極層31aとが何れかの部分で接触できる。このように、素子当接部41aと接続電極層31aとが何れかの部分で接触することで、両者の電気的接続状態を維持できるため、素子当接部41aと接続電極層31aとの間での接続不良が生じ難くなる。
[1−7.文言の対応関係]
ここで、本実施形態における文言の対応関係について説明する。
ガスセンサ1がガスセンサの一例に相当し、金属端子41が金属端子の一例に相当し、ガスセンサ素子3がガスセンサ素子の一例に相当し、鍔部15が鍔部の一例に相当し、素子本体13が固体電解質体の一例に相当し、検出電極27(外側電極27)が測定電極の一例に相当し、内側電極33が基準電極の一例に相当する。
外面リード部29が外面リード部の一例に相当し、接続電極層31aが接続電極部の一例に相当し、第1区分領域AE1が固体電解質体に最も近い区分領域の一例に相当する。
ガスセンサ素子の製造工程のうち、第1工程(S110)が成形体製造工程の一例に相当し、第2工程(S120)が塗布工程の一例に相当し、第3工程(S130)が焼成工程の一例に相当し、第2工程(S120)および第3工程(S130)が電極形成工程の一例に相当する。
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、ガスセンサ素子における各種数値(例えば、接続電極層31aの厚さ寸法、接続電極層31aの平均気孔率、塗布工程において端子接続部31の形成に用いるスラリーに含まれる導電性酸化物の粉末における平均粒径など)が特定されているが、これらの各種数値は、上記数値に限られることはなく、本開示の技術的範囲に含まれる限り、任意の値を採ることができる。
また、上記実施形態では、ガスセンサとしてヒータ47を備える構成のガスセンサについて説明したが、ヒータを備えないヒータレス構成のガスセンサに本開示を適用してもよい。その場合のガスセンサは、測定対象ガス(排気ガスなど)の熱を利用してガスセンサ素子を活性化してガス濃度(酸素濃度など)を検出する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、第2工程(S120)にて、検出電極27,外面リード部29,基準電極33を形成するためのスラリーを作製して塗布し、第3工程(S130)にて焼成することで、検出電極27,外面リード部29,基準電極33を形成するための工程(電極形成工程)を実行したが、ガスセンサ素子の製造方法は、このような形態に限られることはない。つまり、電極形成工程を第2工程および第3工程で実行する形態に限られることはなく、第3工程(焼成工程)の後段階に実施してもよい。また、電極形成工程は、スラリーを用いる方法に限られず、焼成後の固体電解質体に対してメッキにより電極を形成する方法などを用いてもよい。
次に、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…ガスセンサ(酸素センサ)、3…検出素子(ガスセンサ素子)、5…主体金具、13…素子本体、15…鍔部、23…先端部、27…検出電極(外側電極)、29…外面リード部、31…端子接続部、31a…接続電極層、31b…ランタンジルコネート層(反応層)、33…基準電極(内側電極)、37…検出部、39…後端部、41…金属端子、41a…素子当接部。

Claims (3)

  1. 軸線方向の先端が閉塞し後端が開口する有底筒状に形成されるとともに、ジルコニアを含んで構成される固体電解質体と、
    前記固体電解質体の先端側領域の内面に形成される基準電極と、
    前記固体電解質体の先端側領域の外面に形成される測定電極と、
    前記固体電解質体の後端側領域の外面に形成され、外部の金属端子に接続されるために備えられる接続電極部と、
    前記固体電解質体の外面において、前記測定電極から前記接続電極部まで延設されて、前記測定電極と前記接続電極部とを電気的に接続する外面リード部と、
    を備えるガスセンサ素子であって、
    前記接続電極部は、組成式:LaNiOx(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350、1.25≦x≦1.75)で表されるペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物で形成され、
    前記接続電極部は、厚さ寸法が10μmより大きく、平均気孔率が2〜10%であり、
    さらに、前記接続電極部の厚さ方向を厚さ寸法が5μmごとの複数の区分領域に区分した場合に、前記固体電解質体に最も近い前記区分領域は、前記複数の区分領域の中で気孔率の大きい側から2番目以下である、
    ガスセンサ素子。
  2. 接続電極部を備えるガスセンサ素子と、前記ガスセンサ素子の前記接続電極部に接続される金属端子と、を備えるガスセンサであって、
    前記ガスセンサ素子は、請求項1に記載のガスセンサ素子である、
    ガスセンサ。
  3. ガスセンサ素子の製造方法であって、
    前記ガスセンサ素子は、
    軸線方向の先端が閉塞し後端が開口する有底筒状に形成されるとともに、ジルコニアを含んで構成される固体電解質体と、
    前記固体電解質体の先端側領域の内面に形成される基準電極と、
    前記固体電解質体の先端側領域の外面に形成される測定電極と、
    前記固体電解質体のうち後端側領域の外面に形成され、外部の金属端子に接続されるために備えられる接続電極部と、
    前記固体電解質体の外面において、前記測定電極から前記接続電極部まで延設されて、前記測定電極と前記接続電極部とを電気的に接続する外面リード部と、
    を備え、
    前記接続電極部は、組成式:LaNiOx(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350、1.25≦x≦1.75)で表されるペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物で形成され、
    当該ガスセンサ素子の製造方法は、
    焼成後に前記固体電解質体となる未焼結成形体を製造する成形体製造工程と、
    前記未焼結成形体のうち、前記接続電極部の形成部分に対して、前記接続電極部を形成するためのスラリーを塗布する塗布工程と、
    前記スラリーが塗布された前記未焼結成形体を所定の焼成温度で焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程の前段階の前記未焼結成形体、あるいは、前記焼成工程の後段階の前記固体電解質体に対して、前記基準電極、前記測定電極、前記外面リード部をそれぞれ形成する電極形成工程と、
    を備え、
    前記塗布工程で前記接続電極部の形成に用いる前記スラリーは、前記導電性酸化物の粉末を含有し、前記粉末の平均粒径は0.3μm以下である、
    ガスセンサ素子の製造方法。
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