JP6718385B2 - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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Description

本開示は、固体電解質体と一対の電極とを備えるガスセンサ素子およびガスセンサに関する。
特許文献1のように、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度に応じて電気的特性が変化するガスセンサ素子を備えるガスセンサが知られている。
例えば、特許文献1には、先端が閉じた有底筒状の固体電解質体と、この固体電解質体の内表面に形成された内側電極と、固体電解質体の外表面の先端部に形成された外側電極とを備えるガスセンサ素子が開示されている。このようなガスセンサは、例えば内燃機関から排出される排気ガス中に含まれる特定ガスの濃度を検出するために用いられる。
また、特許文献2,3には、各種の導電性酸化物が開示されている。これらの導電性酸化物は、ガスセンサ素子の電極材料として利用することが可能である。ガスセンサ素子の電極材料として特許文献2,3に開示された導電性酸化物を利用すれば、電気抵抗値が十分に低い電極が得られることで、ガスセンサ素子のガス検出精度を向上させることができる。また、ガスセンサ素子の電極材料として特許文献2,3に開示された導電性酸化物を利用することで、電極材料として貴金属のみを用いる場合に比べて安価なガスセンサ素子が得られる。
特開2009−63330号公報 特許第3417090号公報 国際公開第2013/150779号公報
しかし、ガスセンサは、用途によってはより低い温度帯(例えば、300℃以下)でのガス検出が必要となる場合があり、上記のガスセンサ素子を用いても、電極の活性化が不十分となり、ガス検出ができない場合がある。
本開示は、低温環境下でもガス検出が可能なガスセンサ素子およびガスセンサを提供することを目的とする。
本開示の一態様は、酸素イオン伝導性を有するZrOを含む固体電解質体と、固体電解質体上に配置された一対の電極とを備えるガスセンサ素子である。
そして、本開示のガスセンサ素子では、一対の電極のうち少なくとも一方は、固体電解質体に近い側から順に、ランタンジルコネート層および電極層が積層された構造を有する。また電極層は、組成式がLaNi(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75)で表されてペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を含み、a,b,cが、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350を満たしている。
さらに、本開示のガスセンサ素子では、電極層は、希土類添加セリアを含み、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が、30〜65体積%であり、電極層に含まれる希土類添加セリアの平均粒径が、0.64μm以下である。
このように構成された本開示のガスセンサ素子は、電極層に含まれるLaと、固体電解質体に含まれるZrOとが反応してランタンジルコネートが形成されるのを抑制することができ、固体電解質体と電極層との間に形成されるランタンジルコネート層を薄くすることができる。
そして、本開示のガスセンサ素子は、素子温度300°Cにおけるガスセンサ素子の内部抵抗値を100kΩ以下とすることができ、ガスセンサ素子の低温作動性が良好となる。これにより、本開示のガスセンサ素子は、低温環境下でもガス検出を可能とすることができる。
また、本開示の一態様では、電極層に電気的に接続されるリード層を備え、リード層は、ペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を含み、かつリード層の少なくとも一部が電極層と積層されるようにしてもよい。
導電性酸化物を含むリード層の少なくとも一部が電極層と積層することで、電極層とリード層が積層しない場合、つまり電極層の後端とリード層とが接続される場合に比べ、電気抵抗を下げることができる。なお、リード層が電極層全体を覆うとさらに好ましい。
本開示の別の態様は、本開示の一態様のガスセンサ素子と、このガスセンサ素子を保持する保持部材とを備えるガスセンサである。
このように構成された本開示のガスセンサは、本開示の一態様のガスセンサ素子を備えたガスセンサであり、本開示のガスセンサ素子と同様の効果を得ることができる。
ガスセンサ1を軸線方向に破断した状態を示す図である。 ガスセンサ素子3の外観を示す正面図である。 ガスセンサ素子3の構成を示す断面図である。 図3における領域D1,D2を拡大した断面図である。 GDCの割合が10,30,55,65体積%である場合におけるガスセンサ素子の断面COMPO画像を示す図である。 GDCの割合と内部抵抗値との関係を示すグラフである。 反応層厚と内部抵抗値との関係を示すグラフである。 GDC粉末の比表面積が11.6m/gと32.1m/gである場合におけるガスセンサ素子のCOMPO像を示す図である。 GDC粒径と反応層厚との関係を示すグラフである。 板型ガスセンサ素子100の斜視図である。 板型ガスセンサ素子100の模式的な分解斜視図である。 板型ガスセンサ素子100の先端側の部分拡大断面図である。 板型ガスセンサ素子100のうち基準電極104の基準電極部104aが形成される領域の部分拡大断面図である。
(第1実施形態)
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態のガスセンサ1は、例えば自動車およびオートバイ等の車両の排気管に取り付けられ、排気管内の排気ガスに含まれる酸素濃度を検出する。
ガスセンサ1は、図1に示すように、ガスセンサ素子3、セパレータ5、閉塞部材7、端子金具9およびリード線11を備える。さらにガスセンサ1は、主体金具13と、プロテクタ15と、外筒16とを備えている。主体金具13、プロテクタ15および外筒16は、ガスセンサ素子3、セパレータ5および閉塞部材7の周囲を覆うように配置される。なお、外筒16は、内側外筒17および外側外筒19を備えている。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3を加熱するためのヒータを備えていない。すなわち、ガスセンサ1は、排気ガスの熱を利用してガスセンサ素子3を活性化して酸素濃度を検出する。
ガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を用いて形成されている。ガスセンサ素子3は、図2に示すように、先端部25が閉塞された有底筒形状であり、軸線Oの方向(以下、軸線方向)に延びる円筒状の素子本体21を有している。この素子本体21の外周には、周方向に沿って径方向外向きに突出した素子鍔部23が形成されている。
なお、素子本体21を構成する固体電解質体は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)またはカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体を用いて構成されている。素子本体21を構成する固体電解質体は、これらに限られることはなく、「アルカリ土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」、「希土類金属の酸化物とZrOとの固溶体」などを用いてもよい。さらには、これらにHfOが含有されたものを、素子本体21を構成する固体電解質体として用いてもよい。
ガスセンサ素子3の先端部25には、素子本体21の外周面に外側電極27が形成されている。外側電極27は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。
素子鍔部23の先端側(すなわち、図2の下方)には、Pt等で形成された環状の環状リード部28が形成されている。
素子本体21の外周面のうち外側電極27と環状リード部28との間には、Pt等で形成された縦リード部29が軸線方向に延びるように形成されている。縦リード部29は、外側電極27と環状リード部28とを電気的に接続している。
また、図1に示すように、ガスセンサ素子3の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、希土類添加セリアやペロブスカイト相等を含む材料を多孔質に形成したものである。ガスセンサ素子3の先端部25において、外側電極27が排気ガスに晒され、内側電極30が基準ガスに晒されることで、排気ガス中の酸素濃度を検出している。本実施形態では、基準ガスは大気である。
セパレータ5は、電気絶縁性を有する材料(例えばアルミナ)で形成された円筒形状の部材である。セパレータ5は、その軸中心に、リード線11が挿入される貫通孔35が形成されている。セパレータ5は、その外周側を覆う内側外筒17との間に空隙18が設けられるように配置されている。
閉塞部材7は、電気絶縁性を有する材料(例えばフッ素ゴム)で形成された円筒形状のシール部材である。閉塞部材7は、その後端に径方向外向きに突出する突出部36を備える。閉塞部材7は、その軸中心にリード線11が挿入されるリード線挿入孔37を備えている。閉塞部材7の先端面95は、セパレータ5の後端面97に密着し、閉塞部材7のうち突出部36よりも先端側の側方外周面98は、内側外筒17の内面に密着している。すなわち、閉塞部材7は、外筒16の後端側を閉塞している。
閉塞部材7の後端向き面99と、外側外筒19の縮径部19gの先端向き面19aとの間で、リード線保護部材89の鍔部89bが挟まれた状態で、リード線保護部材89が支持される。
このうち、縮径部19gは、閉塞部材7よりも後端側にて、径方向内側に延びており、縮径部19gの先端向き面19aは、ガスセンサ1の先端側に向く面として形成されている。縮径部19gの中央領域には、リード線11およびリード線保護部材89を挿入するためのリード線挿入部19cが形成されている。
リード線保護部材89は、リード線11を収容可能な内径寸法を有する筒状部材であり、可撓性、耐熱性および絶縁性を有する材料(例えば、ガラスチューブおよび樹脂チューブなど)で構成されている。リード線保護部材89は、リード線11を外部からの飛来物(例えば、石や水など)から保護するために取り付けられる。
リード線保護部材89は、先端側端部89aにおいて、軸線方向の垂直方向における外向きに突出する板状の鍔部89bを備える。鍔部89bは、リード線保護部材89の周方向の一部ではなく、全周にわたり形成されている。
リード線保護部材89の鍔部89bは、外側外筒19の縮径部19gの先端向き面19aと閉塞部材7の後端向き面99との間に挟まれている。
端子金具9は、センサ出力を外部に取り出すために、導電性材料で形成される筒状部材である。端子金具9は、リード線11に電気的に接続されるとともに、ガスセンサ素子3の内側電極30に電気的に接触するように配置されている。端子金具9は、その後端側に径方向(すなわち、軸線方向に対して垂直の方向)の外向きに突出するフランジ部77を備えている。フランジ部77は、3枚の板状のフランジ片75を備えている。
リード線11は、芯線65と、芯線65の外周を覆う被覆部67とを備えている。
主体金具13は、金属材料(例えば鉄またはSUS430)で形成された円筒状の部材である。主体金具13には、内周面において径方向内側に向かって張り出した段部39が形成されている。段部39は、ガスセンサ素子3の素子鍔部23を支持するために形成されている。
主体金具13のうち先端側の外周面には、ガスセンサ1を排気管に取付けるためのネジ部41が形成されている。主体金具13のうちネジ部41の後端側には、ガスセンサ1を排気管に着脱する際に取付工具を係合させる六角部43が形成されている。さらに、主体金具13のうち六角部43の後端側には、筒状部45が設けられている。
プロテクタ15は、金属材料(例えばSUS310S)で形成されており、ガスセンサ素子3の先端側を覆う保護部材であり、複数個形成されたガス流通孔を介して排気ガスをガスセンサ素子3に対して導入する。プロテクタ15は、その後端縁が、導電性材料で形成されたパッキン88を介して、ガスセンサ素子3の素子鍔部23と主体金具13の段部39との間に挟まれるようにして固定されている。
ガスセンサ素子3のうち素子鍔部23の後端側領域においては、主体金具13とガスセンサ素子3との間に、先端側から後端側にかけて、滑石で形成されたセラミック粉末47と、アルミナで形成されたセラミックスリーブ49とが配置されている。
さらに、主体金具13の筒状部45の後端部51の内側には、金属材料(例えばSUS430)で形成された金属リング53と、金属材料(例えばSUS304L)で形成された内側外筒17の先端部55とが配置されている。内側外筒17の先端部55は、径方向外向きに広がる形状に形成されている。つまり、筒状部45の後端部51が加締められることで、内側外筒17の先端部55が、金属リング53を介して筒状部45の後端部51とセラミックスリーブ49との間に挟まれて、内側外筒17が主体金具13に固定される。
また、内側外筒17の外周には、樹脂材料(例えばPTFE)で形成された筒状のフィルタ57が配置されるとともに、フィルタ57の外周には、例えばSUS304Lで形成された外側外筒19が配置されている。フィルタ57は、通気は可能であるが水分の侵入は抑制できるものである。
そして、外側外筒19の加締め部19bが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17とフィルタ57と外側外筒19とが一体に固定される。また、外側外筒19の加締め部19hが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17と外側外筒19とが一体に固定され、閉塞部材7の側方外周面98が、内側外筒17の内面に密着することとなる。
なお、内側外筒17および外側外筒19は、それぞれ通気孔59および通気孔61を備えている。すなわち、通気孔59,61とフィルタ57を介して、ガスセンサ1の内部と外部との通気が可能である。
図3に示すように、外側電極27と内側電極30は、ガスセンサ素子3の先端部25において、素子本体21を挟み込むように配置されている。素子本体21および一対の電極(すなわち、外側電極27および内側電極30)は、酸素濃淡電池を構成して、排気ガス中の酸素濃度に応じた起電力を発生させる。つまり、ガスセンサ素子3の先端部25において、外側電極27が排気ガスに晒され、内側電極30が基準ガスに晒されることで、ガスセンサ素子3は、排気ガス中の酸素濃度を検出する。
外側電極27は、上述の通り、縦リード部29を介して環状リード部28に電気的に接続されている。環状リード部28は、導電性材料で形成されたパッキン88およびプロテクタ15を介して、主体金具13に電気的に接続されている。なお、外側電極27を覆うように、外側電極27を保護するための不図示の電極保護層を形成してもよい。なお、外側電極27の形状および配置は単なる一例であり、これ以外の種々の形状および配置を採用可能である。
また、ガスセンサ素子3の素子本体21の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、希土類添加セリアやペロブスカイト相等を含む材料を多孔質に形成したものである。内側電極30は、内側検知電極部30aと、内側リード部30bとを備える。
内側検知電極部30aは、素子本体21の先端部25の内表面を覆うように形成されている。内側リード部30bは、内側検知電極部30a上に当接し、かつ内側検知電極部30aの上面全体を覆うように形成されており、端子金具9と電気的に接続される。内側検知電極部30aおよび内側リード部30bは、全体として素子本体21の内面の全面を覆うように形成されている。
つまり、ガスセンサ素子3の素子本体21は、先端側領域F1に外側電極27および内側検知電極部30aが形成され、後端側領域F2に内側リード部30bが形成されている。素子本体21の先端側領域F1は、素子本体21の先端部25に相当する。
図4に示すように、内側検知電極部30aは、素子本体21に近い側から順に、ランタンジルコネート層31、電極層32および先端リード層33aが積層された構造を有する。
先端リード層33aは、後述する後端リード層33bとともにリード層33を形成する。つまり、リード層33は、先端リード層33aと後端リード層33bとを備える。
ランタンジルコネート層31は、内側検知電極部30aの焼成時に、電極層32に含まれるランタン(La)と、素子本体21に含まれるジルコニア(ZrO)とが反応して形成されたランタンジルコネート(LaZr)の層である。このようなランタンジルコネート層31を、以下、反応層31ともいう。
電極層32とリード層33は、以下の組成式(1)を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相(すなわち、ペロブスカイト相)を含んで構成されている。
LaNi ・・・(1)
ここで、元素MはCoとFeのうちの一種以上を表し、a+b+c=1であり、1.25≦x≦1.75である。係数a,b,cはそれぞれ、以下の関係式(2a),(2b),(2c)を満たすことが好ましい。
0.375≦a≦0.535 ・・・(2a)
0.200≦b≦0.475 ・・・(2b)
0.025≦c≦0.350 ・・・(2c)
上記の関係式(2a)〜(2c)で表される組成を有するペロブスカイト型導電性酸化物は、室温(例えば25℃)での導電率が250S/cm以上で且つB定数が600K以下となり、上記の関係式(2a)〜(2c)を満たさない場合に比べて導電率が高くB定数が小さいという良好な特性を有する。なお、Pt電極は、大気中において約600℃の環境で放置されると、酸化して固体電解質体と電極との間の界面抵抗が上昇する。一方、ペロブスカイト型導電性酸化物は、このような経時変化が起こり難い。
係数a,b,cはそれぞれ、上記の関係式(2a),(2b),(2c)の代わりに下記の関係式(3a),(3b),(3c)を満たすようにしてもよい。この場合には、導電率を更に高くするとともにB定数を更に小さくすることができる。
0.459≦a≦0.535 ・・・(3a)
0.200≦b≦0.375 ・・・(3b)
0.125≦c≦0.300 ・・・(3c)
上記の組成式(1)におけるOの係数xは、上記の組成を有する導電性酸化物が全てペロブスカイト相からなる場合には、理論上は1.50となる。但し、酸素が量論組成からずれることがあるため、典型的な例として、係数xの範囲を1.25≦x≦1.75と規定している。
電極層32は、上記のペロブスカイト相および希土類添加セリアを含んで構成されている。
希土類添加セリアは、セリア以外の希土類酸化物が添加されたセリアである。「セリア以外の希土類酸化物」としては、La、Gd、Sm、Y等を利用することができる。このような希土類酸化物における希土類元素REの含有割合は、セリウムと希土類元素REのモル分率{RE/(Ce+RE)}に換算して、例えば、5mol%以上であり且つ40mol%以下である範囲とすることができる。このような希土類添加セリアは、低温(すなわち、室温)では絶縁体であり、高温(すなわち、ガスセンサ1の使用温度)では酸素イオン伝導性を有する固体電解質体である。
このような電極層32は、高温(すなわち、ガスセンサ1の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているため、十分に低い界面抵抗値を示す。
本実施形態では、電極層32に含まれる希土類添加セリアの割合が、30〜65体積%である。また本実施形態では、電極層32に含まれる希土類添加セリアの平均粒径が、0.64μm以下である。
リード層33は、上記のペロブスカイト相を主成分とし、希土類添加セリアを含まないで構成されている。
内側リード部30bは、後端リード層33bとランタンジルコネート層34とを含む多層構造を有する。ランタンジルコネート層34は、後端リード層33bよりも素子本体21に近い側に配置されている。
後端リード層33bは、上述した内側検知電極部30aの先端リード層33aと同様の組成で形成されている。但し、内側検知電極部30aを構成する先端リード層33aにおけるペロブスカイト相の含有割合は、内側リード部30bを構成する後端リード層33bにおけるペロブスカイト相の含有割合と同じか、それよりも多くてもよい。
ランタンジルコネート層34は、内側リード部30bの焼成時に、後端リード層33bに含まれるランタン(La)と、素子本体21に含まれるZrOとが反応して形成された層である。このようなランタンジルコネート層34を、以下、反応層34ともいう。ランタンジルコネート層34が形成されると、ランタンジルコネート層34と後端リード層33bとの間との密着性と、ランタンジルコネート層34と素子本体21との密着性とが高まるため、機械的な耐衝撃性が向上する。したがって、内側リード部30bが存在する部分では、後端リード層33bと素子本体21との間にランタンジルコネート層34が形成されることで、機械的な耐衝撃性を向上させることができる。
次に、ガスセンサ素子3の製造方法を説明する。
第1工程では、未焼結成形体を作製する。具体的には、まず、素子本体21の材料である固体電解質体の粉末として、ジルコニア(ZrO)に安定剤としてイットリア(Y)を5mol%添加したもの(以下、5YSZともいう)に対して、さらにアルミナ粉末を添加したものを用意する。素子本体21の材料粉末全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%である。この粉末をプレス加工した後に、筒形となるように切削加工を実施することで、未焼結成形体を得る。
次に、第2工程では、電極層32のスラリーと、リード層33のスラリーを作製する。
電極層32のスラリーの作製においては、まず、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、700〜1300℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作成する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等による粉砕を行い所定の粒度に調整する。このとき、ペロブスカイト相の原料粉末としては、例えば、La(OH)又はLa、並びに、Co、Fe2O、及びNiOを用いることができる。次に、希土類添加セリアの原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、大気雰囲気下、1000〜1600℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等により粉砕し、所定の粒子サイズに調製する。希土類添加セリアの原料粉末としては、CeOの他に、La、Gd、Sm、Y等を用いることができる。そして、所定の粒子サイズに調整された2種類の仮焼粉末を、湿式ボールミル等により混合し、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製する。
なお、本実施形態では、ペロブスカイト相の仮焼粉末としては、比表面積が8.0[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を得た。また、希土類添加セリアの仮焼粉末としては、比表面積が32.1[m/g]のGDC(20mol%Gd−CeO)粉末を得た。また詳細は後述するが、比較例として、比表面積が11.6[m/g]のGDC(20mol%Gd−CeO)粉末を用いたものでも同様に作成した。
リード層33のスラリーの作製工程は、電極層32のスラリーの作製工程と比べて、少なくとも希土類添加セリアの原料粉末を混合しない点と、造孔材を添加する点が異なる。リード層33のスラリーの作製においては、例えば、導電性酸化物の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整する。本実施形態では、ペロブスカイト相の原料粉末として、比表面積が1.5[m/g]のLFN(LaFe0.5Ni0.5)粉末を用いた。この粉末に対してカーボンを30体積%添加したものを、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製した。
次に、第3工程では、未焼結成形体のうち、外側電極27、内側検知電極部30aおよび内側リード部30bの形成部分に、それぞれのスラリーを塗布する。
まず、外側電極27の形成部分にPtペースト等の貴金属のスラリーを塗布する。次に、電極層32のスラリーを塗布し、その後、リード層33のスラリーを塗布する。
次の第4工程では、各スラリーが塗布された未焼結成形体について、乾燥を行った後、所定の焼成温度で焼成する。この焼成温度は、例えば、1250℃以上であり且つ1450℃以下であり、1350±50℃が好ましい。この焼成工程では、内側検知電極部30aの電極層32と素子本体21との間に反応層31が形成され、内側リード部30bの後端リード層33bと素子本体21との間に反応層34が形成される。
上記の各工程を実施することで、ガスセンサ素子3を製造することができる。
次に、ガスセンサ素子3の低温作動性を評価するために実施した評価試験の試験結果について説明する。
低温作動性とは、低温(例えば、300℃以下)環境下でもガス検出が可能であることを示す指標である。外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が高いほど、ガスセンサ素子3の低温作動性が劣る。換言すると、外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が低いほど、ガスセンサ素子3の低温作動性が優れる。
本評価試験では、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合を10体積%、30体積%、55体積%および65体積%で変化させて、ガスセンサ素子の低温作動性を評価した。本評価試験では、希土類添加セリアの原料粉末としては、比表面積が32.1[m/g]のGDC(20mol%Gd−CeO)粉末を用いた。
低温作動性の試験では、ガスセンサ素子の外側電極27と内側電極30との間の内部抵抗値を測定し、内部抵抗値に基づいてガスセンサ素子の低温作動性を評価した。
本試験では、ガスセンサ素子をガスセンサに組み付けた状態で、そのガスセンサを公知のバーナー測定装置に取り付けて、バーナー測定法によりガスセンサ素子の内部抵抗値を測定した。詳細には、素子温度300℃で空燃比λ=0.9(すなわち、リッチ)におけるセンサ出力を、入力インピーダンス1MΩと100kΩでそれぞれ検出し、その出力差に基づいてガスセンサ素子の内部抵抗値を算出した。
そして、本試験では、内部抵抗値がガス検出可能範囲(本実施形態では、100kΩ以下)であるガスセンサ素子を低温作動性が良好であると判定し、内部抵抗値がガス検出可能範囲を逸脱するガスセンサ素子を低温作動性が不良であると判定した。
図5に示すように、電極層32に含まれる希土類添加セリアの割合が10体積%、30体積%、55体積%および65体積%の何れの場合であっても、素子本体と内側検知電極部との境界の付近では、素子本体の固体電解質体に近い側から順に、反応層、電極層およびリード層が積層されている。
そして、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が10体積%、30体積%、55体積%および65体積%である場合における反応層厚はそれぞれ、2.35μm、2.00μm、1.18μm、0.94μmであった。
図6に示すように、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が10体積%、30体積%、55体積%および65体積%である場合における内部抵抗値はそれぞれ、1301kΩ、56kΩ、38kΩ、35kΩであった。
したがって、反応層厚と内部抵抗値との間には、図7のグラフに示す関係が成立する。図7のグラフにおける点P1は、希土類添加セリアの割合が10体積%であるときの反応層厚と内部抵抗値を示す。同様に、図7のグラフにおける点P2,P3,P4はそれぞれ、希土類添加セリアの割合が30,55,65体積%であるときの反応層厚と内部抵抗値を示す。図7に示すように、点P1,P2,P3,P4を結ぶ曲線L1に基づいて、内部抵抗値が100kΩ以下となるのは、反応層厚が2.1μm以下であるときである。
また、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が30体積%である場合において、GDC粉末の比表面積が11.6m/gと32.1m/gであるときのGDC粒径と反応層厚を測定した。
GDC粒径の測定では、まず、走査型電子顕微鏡(以下、SEM)を用いて反射電子組成像(以下、COMPO像)を撮影した。SEMは、Scanning Electron Microscopeの略である。そして、撮影したCOMPO像において最も明るい粒子をGDC粒として、50個のGDC粒を特定した。図8に示すように、COMPO像には、大別して明るさが互いに異なる3つの粒子が写っている。最も明るい粒子がGDC粒であり、次に明るい粒子がLFN粒であり、最も暗い粒子がNiO粒である。
また、特定した50点のGDC粒のそれぞれについて長径と短径を求め、長径と短径の平均を算出し、この粒子の円相当径を粒径とした。そして、50点の粒径の平均値をGDC粒の平均粒径とした。
反応層厚は、COMPO像において、固体電解質体と反応層との境界、および、反応層と電極層との境界を特定することにより算出した。
図9に示すように、GDC粉末の比表面積が11.6m/gであるときのGDC粒径と反応層厚はそれぞれ、0.88μmと2.3μmであった。また、GDC粉末の比表面積が32.1m/gであるときのGDC粒径と反応層厚はそれぞれ、0.52μmと2.0μmであった。
なお、電極層内のLFN粒について、固体電解質体と接触しているLFN粒の個数が多くなるほど反応層が厚くなると考えられる。換言すると、電極層に含まれるGDC粒が多くなるほど、LFN粒と固体電解質体との接触が少なくなり、反応層が薄くなると考えられる。そして、GDC粒の数とGDC粒径との間には比例関係が成立すると考えられる。このため、図9に示すように、GDC粉末の比表面積が11.6m/gであるときのGDC粒径と反応層厚を示す点P11と、GDC粉末の比表面積が32.1m/gであるときのGDC粒径と反応層厚を示す点P12とを直線L2で結ぶことにより、GDC粒径Dgと反応層厚Trとの間で下式(4)の関係が成立する。
Tr = 0.83×Dg + 1.57 ・・・(4)
上述のように、素子温度が300°Cにおける内部抵抗値が100kΩ以下となるのは、反応層厚が2.1μm以下であるときである。このため、上式(4)に基づいて、内部抵抗値が100kΩ以下となるのは、GDC粒径が0.64μm以下であるときである。
なお、上式(4)は、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が30体積%である場合におけるGDC粒径Dgと反応層厚Trとの関係を示している。しかし、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が変化すれば、内部抵抗値を100kΩ以下とするためのGDC粒径の上限も変化すると考えられる。具体的には、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が多くなると、内部抵抗値を100kΩ以下とするためのGDC粒径の上限も大きくなると考えられる。
電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が多くなると、LFN粒と固体電解質体との接触が少なくなる。このため、同じGDC粒径で比較すると、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が多い方が反応層厚が小さくなる。換言すると、同じ厚さの反応層が形成されるとすると、GDC粒径は、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が多いほど大きくなる。
つまり、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が30体積%であるときに許容できるGDC粒径を、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が30体積%より大きい場合に適用すると、反応層厚が小さくなり、内部抵抗値は小さくなる。
したがって、GDC粒径が0.64μm以下であれば、電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が30体積%より大きい場合であっても、内部抵抗値が100kΩ以下となる。
このように構成されたガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性を有するZrOを含む素子本体21と、素子本体21上に配置された外側電極27および内側電極30とを備える。
そしてガスセンサ素子3では、内側電極30は、素子本体21に近い側から順に、ランタンジルコネート層31および電極層32が積層された構造を有する。また電極層32は、組成式がLaNi(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75)で表されてペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を含み、a,b,cが、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350を満たしている。
さらにガスセンサ素子3では、電極層32は、希土類添加セリアを含み、電極層32に含まれる希土類添加セリアの割合が、30〜65体積%であり、電極層32に含まれる希土類添加セリアの平均粒径が、0.64μm以下である。
このように構成されたガスセンサ素子3は、電極層32に含まれるLaと、素子本体21に含まれるZrOとが反応してランタンジルコネートが形成されるのを抑制することができ、素子本体21と電極層32との間に形成されるランタンジルコネート層31を薄くすることができる。
そしてガスセンサ素子3は、素子温度が300°Cにおけるガスセンサ素子3の内部抵抗値を100kΩ以下とすることができ、ガスセンサ素子3の低温作動性が良好となる。これにより、ガスセンサ素子3は、低温環境下でもガス検出を可能とすることができる。
またガスセンサ素子3は、外側電極27と内側電極30との間に生じる電圧(起電力)をガスセンサ素子3の外部へ出力するために電極層32に電気的に接続される先端リード層33aを備える。そして先端リード層33aは、ペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を含む。
導電性酸化物を含むリード層が電極と積層されることで、電極層とリード層が積層しない場合に比べ、電気抵抗を下げることができる。これにより、ガスセンサ素子3は、低温環境下において電極間に生じる電圧(起電力)を外部へ出力する経路の抵抗を小さくすることができる。
以上説明した実施形態において、素子本体21は固体電解質体に相当し、外側電極27および内側電極30は一対の電極に相当し、先端リード層33aはリード層に相当し、主体金具13は保持部材に相当する。
(第2実施形態)
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、図10に示すように、素子本体101と、多孔質保護層120とを備える。
素子本体101は、図11に示すように、酸素濃度検出セル130と、補強保護層111と、大気導入孔層107と、下面層103とを備える。なお、図11では多孔質保護層120の図示を省略している。
酸素濃度検出セル130は、基準電極104と、固体電解質体105と、測定電極106とを備える。基準電極104および測定電極106は、固体電解質体105を挟み込むように配置されている。
基準電極104は、基準電極部104aと、基準リード部104Lとを備える。基準電極部104aは、図13に示すように、固体電解質体105に近い側から順に、反応層104b、電極層104cおよびリード層104dが積層された多層構造を有する。基準リード部104Lは、図11に示すように、基準電極部104aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
測定電極106は、測定電極部106aと、検知リード部106Lとを備える。検知リード部106Lは、測定電極部106aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
補強保護層111は、補強部112と、電極保護部113aとを備える。
補強部112は、固体電解質体105との間で検知リード部106Lを挟み込むようにして、固体電解質体105を保護するための板状の部材である。補強部112は、固体電解質体105と同じ材料で形成されており、板の厚さ方向に貫通する保護部配置空間112aを備える。
電極保護部113aは、多孔質材料で形成されており、保護部配置空間112aに配置される。電極保護部113aは、固体電解質体105との間で測定電極部106aを挟み込むようにして、測定電極部106aを保護する。
なお、本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、いわゆる酸素濃淡起電力式のガスセンサであり、酸素濃度検出セル130の電極間に生じる電圧(起電力)の値を用いて酸素濃度を検出することができる。
下面層103および大気導入孔層107は、固体電解質体105との間で基準電極104を挟み込むようにして、基準電極104に積層されている。大気導入孔層107は、後端側が開口する略U字状に形成されている。固体電解質体105、大気導入孔層107および下面層103で囲まれた内部空間は、大気導入孔107hである。基準電極104は、大気導入孔107hに導入される大気に晒されるように配置されている。
このように、素子本体101は、下面層103、大気導入孔層107、基準電極104、固体電解質体105、測定電極106および補強保護層111が積層された積層体である。素子本体101は、板状に形成されている。
基準リード部104Lの端末は、固体電解質体105に設けられるスルーホール105aに形成される導体を介して、固体電解質体105上の検出素子側パッド121と電気的に接続されている。補強保護層111は、検知リード部106Lの端末よりも軸線方向(すなわち、図11における左右方向)の寸法が短く形成されている。検出素子側パッド121および検知リード部106Lの端末は、補強保護層111の後端から外部に露出し、外部回路接続用の不図示の外部端子と電気的に接続される。
多孔質保護層120は、図10に示すように、素子本体101の先端側の全周を覆って設けられている。
図12に示すように、多孔質保護層120は、素子本体101の先端面を含み、軸線方向(すなわち、図12における左右方向)に沿って後端側に延びるように形成されている。
さらに多孔質保護層120は、軸線方向において、素子本体101のうち少なくとも基準電極部104aおよび測定電極部106aを包含する領域を覆うように形成されている。
板型ガスセンサ素子100は、排気ガス中に含まれるシリコンおよびリンなどの被毒物質に晒されたり、排気ガス中の水滴が付着したりすることがある。そこで、板型ガスセンサ素子100の外表面に多孔質保護層120を被覆することで、被毒物質を捕捉したり、水滴が板型ガスセンサ素子100に直接接触したりすることを抑制できる。
次に、固体電解質体、測定電極および基準電極などの成分組成について説明する。
固体電解質体105は、第1実施形態の素子本体21と同様に、ジルコニア(ZrO )に安定化剤としてイットリア(Y)またはカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。固体電解質体105は、ジルコニアを主成分とし、ジルコニアの50〜83.3質量%が正方晶ジルコニアである。
測定電極106は、Ptを主成分とし、かつ単斜晶ジルコニアを含む。測定電極106はセラミック成分を含有してもよい。
なお、「主成分」とは、対象となる部位(すなわち、固体電解質体105および測定電極106など)を構成する全成分に対し、50質量%を超える成分をいう。
基準電極104の基準電極部104aのうち、反応層104bは、基準電極部104aの焼成時に、電極層104cに含まれるランタン(La)と、固体電解質体105に含まれるZrOとが反応して形成されたランタンジルコネート層である。
電極層104cは、ペロブスカイト相および希土類添加セリアを含んで構成されている。電極層104cに含まれるペロブスカイト相は、第1実施形態の電極層32と同様に、上式(1),(2a),(2b),(2c)の各条件を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相である。このような電極層104cは、高温(すなわち、板型ガスセンサ素子100の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているため、十分に低い界面抵抗値を示す。
本実施形態では、電極層104cに含まれる希土類添加セリアの割合が、30〜65体積%である。また本実施形態では、電極層104cに含まれる希土類添加セリアの平均粒径が、0.64μm以下である。
リード層104dは、第1実施形態のリード層33と同様に、上式(1),(2a),(2b),(2c)の各条件を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相を主成分として含んで構成されている。なお、本実施形態のリード層104dは、希土類添加セリアを含んでいない。
基準リード部104Lは、リード層104dと同じ材料で形成されている。
多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位は、スピネル(MgAl)およびチタニア(TiO)で形成されているとともに、貴金属(Pt,Pd,Rhのうち少なくとも1つ)が担持されている。この貴金属は、排気ガスに含まれる未燃ガス成分の燃焼を促進するための触媒として機能する。なお、多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位とは、素子本体101の積層方向において測定電極106と重なる部位をいう。
このように構成された板型ガスセンサ素子100は、酸素イオン伝導性を有するZrOを含む固体電解質体105と、固体電解質体105上に配置された基準電極104および測定電極106とを備える。
そして板型ガスセンサ素子100では、基準電極104は、固体電解質体105に近い側から順に、反応層104bおよび電極層104cが積層された構造を有する。また電極層104cは、組成式がLaNi(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75)で表されてペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を含み、a,b,cが、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350を満たしている。
さらに板型ガスセンサ素子100では、電極層104cは、希土類添加セリアを含み、電極層104cに含まれる希土類添加セリアの割合が、30〜65体積%であり、電極層104cに含まれる希土類添加セリアの平均粒径が、0.64μm以下である。
このように構成された板型ガスセンサ素子100は、第1実施形態のガスセンサ素子3と同様の効果を得ることができる。
以上説明した実施形態において、板型ガスセンサ素子100はガスセンサ素子に相当し、固体電解質体105は固体電解質体に相当し、基準電極104および測定電極106は一対の電極に相当し、反応層104bはランタンジルコネート層に相当し、リード層104dはリード層に相当する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記第1実施形態では、内側電極が、ランタンジルコネート層、電極層およびリード層が積層された多層構造であるガスセンサ素子について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、外側電極が多層構造であるガスセンサ素子であってもよいし、内側電極と外側電極のそれぞれが多層構造であるガスセンサ素子でもよい。同様に、上記第2実施形態では、基準電極が、ランタンジルコネート層、電極層およびリード層が積層された多層構造である板型ガスセンサ素子について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、測定電極が多層構造である板型ガスセンサ素子であってもよいし、基準電極と測定電極のそれぞれが多層構造である板型ガスセンサ素子でもよい。
また上記第1実施形態では、ガスセンサとして、筒型のガスセンサ素子を備えるガスセンサについて説明したが、上記第2実施形態の板型ガスセンサ素子を備えるガスセンサであってもよい。なお、板型ガスセンサ素子を備えるガスセンサは公知であるため、詳細な構成についての説明は省略する。
また上記実施形態では、上記のペロブスカイト相を主成分として希土類添加セリアを含まないリード層を備えるガスセンサ素子について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、リード層は、希土類添加セリアを含むようにしてもよく、このようなリード層は、ガスセンサ素子の使用時において外側電極と内側電極との間の内部抵抗値を低下させることが可能である。但し、室温におけるリード層の電気抵抗値を低下させるためには、希土類添加セリアを含まないようにするとよい。また、リード層が電極層上面全体を覆うもので説明したが、電極層上面の少なくとも一部と積層されるものでもよい。
また上記実施形態では、ペロブスカイト相として、MがFeである材料を用いたものを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ペロブスカイト相として、MがCoであってもよいし、MがFeとCoの双方であってもよい。またMとしてFe,Coに加えてCuを追加してもよい。
上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…ガスセンサ、3…ガスセンサ素子、21…素子本体、27…外側電極、30…内側電極、30a…内側検知電極部、31…ランタンジルコネート層、32…電極層、100…板型ガスセンサ素子、104…基準電極、104b…反応層、104c…電極層、105…固体電解質体、106…測定電極

Claims (3)

  1. 酸素イオン伝導性を有するZrOを含む固体電解質体と、前記固体電解質体上に配置された一対の電極とを備えるガスセンサ素子であって、
    前記一対の電極のうち少なくとも一方は、前記固体電解質体に近い側から順に、ランタンジルコネート層および電極層が積層された構造を有し、
    前記電極層は、組成式がLaNi(MはCoとFeのうちの一種以上、a+b+c=1、1.25≦x≦1.75)で表されてペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト相を含有する導電性酸化物を含み、前記a,b,cが、0.375≦a≦0.535、0.200≦b≦0.475、0.025≦c≦0.350を満たしており、
    前記電極層は、希土類添加セリアを含み、
    前記電極層に含まれる希土類添加セリアの割合が、30〜65体積%であり、
    前記電極層に含まれる希土類添加セリアの平均粒径が、0.64μm以下であるガスセンサ素子。
  2. 請求項1に記載のガスセンサ素子であって、
    前記電極層に電気的に接続されるリード層を備え、
    前記リード層は、前記ペロブスカイト相を含有する前記導電性酸化物を含み、かつ、少なくとも一部が前記電極層に積層されるガスセンサ素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガスセンサ素子と、前記ガスセンサ素子を保持する保持部材とを備えるガスセンサ。
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