JP6904896B2 - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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Description

本開示は、固体電解質体と一対の電極とを備えるガスセンサ素子およびガスセンサに関する。
特許文献1のように、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度に応じて電気的特性が変化するガスセンサ素子を備えるセンサが知られている。
例えば、特許文献1には、先端が閉じた有底筒状の固体電解質体と、この固体電解質体の内表面に形成された内側電極と、固体電解質体の外表面の先端部に形成された外側電極とを備えるガスセンサ素子が開示されている。このようなガスセンサは、例えば内燃機関から排出される排気ガス中に含まれる特定ガスの濃度を検出するために用いられる。
また、特許文献2,3には、各種の導電性酸化物が開示されている。これらの導電性酸化物は、ガスセンサ素子の電極材料として利用することが可能である。ガスセンサ素子の電極材料として特許文献2,3に開示された導電性酸化物を利用すれば、電気抵抗値が十分に低い電極が得られることで、ガスセンサ素子のガス検出精度を向上させることができる。また、ガスセンサ素子の電極材料として特許文献2,3に開示された導電性酸化物を利用することで、電極材料として貴金属のみを用いる場合に比べて安価なガスセンサ素子が得られる。
特開2009−63330号公報 特許第3417090号公報 国際公開第2013/150779号公報
しかし、ガスセンサは、用途によっては低温環境下(例えば、300℃以下)でのガス検出が必要となる場合があり、上記のガスセンサ素子を用いても、電極の活性化が不十分となり、ガス検出ができない場合がある。
本開示は、低温環境下でもガス検出が可能なガスセンサ素子およびガスセンサを提供することを目的とする。
本開示の一態様は、酸素イオン伝導性を有するZrOを含む固体電解質体と、固体電解質体上に配置された一対の電極とを備えるガスセンサ素子である。
そして、本開示のガスセンサ素子では、一対の電極のうち少なくとも一方は、固体電解質体に近い側から順に、少なくとも、中間層と電極層とが積層された構造を有する。また電極層は、ペロブスカイト型結晶構造を有すると共にLa元素およびFe元素を含んだペロブスカイト型酸化物と、希土類添加セリアとを含む。
さらに、本開示のガスセンサ素子では、中間層は、固体電解質体に近い側から順に、少なくとも、(La−Zr−Ln’−Ce−O)で形成された第1層と、(La−Zr−Ln’−Ce−Fe−O)で形成された第2層とが積層された構造を有する。なお、La元素およびCe元素以外の希土類元素をLn’元素とする。
そして、本開示のガスセンサ素子では、固体電解質体と中間層と電極層とを含む断面を走査電子顕微鏡のインレンズ二次電子検出器を用いて観察した場合に、第2層が第1層を覆っている被覆率が90%以下である。
このように構成された本開示のガスセンサ素子は、低温作動性が良好となり、これにより、低温環境下でもガス検出を可能とすることができる。
また、本開示の一態様では、希土類添加セリアに添加されている希土類元素は、Gd元素であるようにしてもよい。これにより、本開示のガスセンサ素子は、長期にわたって安定した検出精度を実現することができる。
また、本開示の一態様では、ペロブスカイト型酸化物は、実質的にアルカリ土類金属を含まないようにしてもよい。これにより、本開示のガスセンサ素子は、電極層に含まれるアルカリ土類金属と固体電解質体に含まれるZrOとが反応して電極層と固体電解質体との間にアルカリ土類金属を含む反応層が形成されるのを抑制し、低温作動性の低下を抑制することができる。
また、本開示の一態様では、ペロブスカイト型酸化物は、(La−Ni−Fe−O)系のペロブスカイト相であるようにしてもよい。このように構成された本開示のガスセンサ素子は、Ni元素とFe元素を含むことによって、温度による特性変動を低減することができる。
本開示の別の態様は、本開示の一態様のガスセンサ素子と、このガスセンサ素子を保持する保持部材とを備えるガスセンサである。
このように構成された本開示のガスセンサは、本開示の一態様のガスセンサ素子を備えたガスセンサであり、本開示のガスセンサ素子と同様の効果を得ることができる。
ガスセンサを軸線方向に破断した状態を示す図である。 ガスセンサ素子の外観を示す正面図である。 ガスセンサ素子の構成を示す断面図である。 図3における領域D1,D2を拡大した断面図である。 素子本体と内側検知電極部との境界付近における断面を示す反射電子像と、Zr分布を示すグラフである。 素子本体と内側検知電極部との境界付近における断面を示す、インレンズ二次電子検出器を用いて取得した二次電子像である。 素子本体と内側検知電極部との境界付近におけるライン分析結果を示す図である。 実施例4の反射電子像およびインレンズ二次電子検出器を用いて取得した二次電子像である。 境界線上の画素の輝度分布を示す図である。 希土類添加セリアの添加率と内部抵抗値および被覆率との関係を示すグラフである。 板型ガスセンサ素子の斜視図である。 板型ガスセンサ素子の模式的な分解斜視図である。 板型ガスセンサ素子の先端側の部分拡大断面図である。 板型ガスセンサ素子のうち基準電極の基準電極部が形成される領域の部分拡大断面図である。
(第1実施形態)
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態のガスセンサ1は、例えば自動車およびオートバイ等の車両の排気管に取り付けられ、排気管内の排気ガスに含まれる酸素濃度を検出する。
ガスセンサ1は、図1に示すように、ガスセンサ素子3、セパレータ5、閉塞部材7、端子金具9およびリード線11を備える。さらにガスセンサ1は、主体金具13と、プロテクタ15と、外筒16とを備えている。主体金具13、プロテクタ15および外筒16は、ガスセンサ素子3、セパレータ5および閉塞部材7の周囲を覆うように配置される。なお、外筒16は、内側外筒17および外側外筒19を備えている。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子3を加熱するためのヒータを備えていない。すなわち、ガスセンサ1は、排気ガスの熱を利用してガスセンサ素子3を活性化して酸素濃度を検出する。
ガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を用いて形成されている。ガスセンサ素子3は、図2に示すように、先端部25が閉塞された有底筒形状であり、図1に示す軸線Oの方向(以下、軸線方向)に延びる円筒状の素子本体21を有している。この素子本体21の外周には、周方向に沿って径方向外向きに突出した素子鍔部23が形成されている。
なお、素子本体21を構成する固体電解質体は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体を用いて構成されている。
ガスセンサ素子3の先端部25には、素子本体21の外周面に外側電極27が形成されている。外側電極27は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。
素子鍔部23の先端側(すなわち、図2の下方)には、Pt等で形成された環状の環状リード部28が形成されている。
素子本体21の外周面のうち外側電極27と環状リード部28との間には、Pt等で形成された縦リード部29が軸線方向に延びるように形成されている。縦リード部29は、外側電極27と環状リード部28とを電気的に接続している。
また、図1に示すように、ガスセンサ素子3の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30の詳細な構成は後述する。ガスセンサ素子3の先端部25において、外側電極27が排気ガスに晒され、内側電極30が基準ガスに晒されることで、排気ガス中の酸素濃度に応じた起電力が発生し、排気ガス中の酸素濃度を検出している。本実施形態では、基準ガスは大気である。
セパレータ5は、電気絶縁性を有する材料(例えばアルミナ)で形成された円筒形状の部材である。セパレータ5は、その軸中心に、リード線11が挿入される貫通孔35が形成されている。セパレータ5は、その外周側を覆う内側外筒17との間に空隙18が設けられるように配置されている。
閉塞部材7は、電気絶縁性を有する材料(例えばフッ素ゴム)で形成された円筒形状のシール部材である。閉塞部材7は、その後端に径方向外向きに突出する突出部36を備える。閉塞部材7は、その軸中心にリード線11が挿入されるリード線挿入孔37を備えている。閉塞部材7の先端面95は、セパレータ5の後端面97に密着し、閉塞部材7のうち突出部36よりも先端側の側方外周面98は、内側外筒17の内面に密着している。すなわち、閉塞部材7は、外筒16の後端側を閉塞している。
閉塞部材7の後端向き面99と、外側外筒19の縮径部19gの先端向き面19aとの間で、リード線保護部材89の鍔部89bが挟まれた状態で、リード線保護部材89が支持される。
このうち、縮径部19gは、閉塞部材7よりも後端側にて、径方向内側に延びており、縮径部19gの先端向き面19aは、ガスセンサ1の先端側に向く面として形成されている。縮径部19gの中央領域には、リード線11およびリード線保護部材89を挿入するためのリード線挿入部19cが形成されている。
リード線保護部材89は、リード線11を収容可能な内径寸法を有する筒状部材であり、可撓性、耐熱性および絶縁性を有する材料(例えば、ガラスチューブおよび樹脂チューブなど)で構成されている。リード線保護部材89は、リード線11を外部からの飛来物(例えば、石や水など)から保護するために取り付けられる。
リード線保護部材89は、先端側端部89aにおいて、軸線方向の垂直方向における外向きに突出する板状の鍔部89bを備える。鍔部89bは、リード線保護部材89の周方向の一部ではなく、全周にわたり形成されている。
リード線保護部材89の鍔部89bは、外側外筒19の縮径部19gの先端向き面19aと閉塞部材7の後端向き面99との間に挟まれている。
端子金具9は、センサ出力を外部に取り出すために、導電性材料で形成される筒状部材である。端子金具9は、リード線11に電気的に接続されるとともに、ガスセンサ素子3の内側電極30に電気的に接触するように配置されている。端子金具9は、その後端側に径方向(すなわち、軸線方向に対して垂直の方向)の外向きに突出するフランジ部77を備えている。フランジ部77は、径方向の3箇所に等間隔で板状のフランジ片75を備えている。
リード線11は、芯線65と、芯線65の外周を覆う被覆部67とを備えている。
主体金具13は、金属材料(例えば鉄またはSUS430)で形成された円筒状の部材である。主体金具13には、内周面において径方向内側に向かって張り出した段部39が形成されている。段部39は、ガスセンサ素子3の素子鍔部23を支持するために形成されている。
主体金具13のうち先端側の外周面には、ガスセンサ1を排気管に取付けるためのネジ部41が形成されている。主体金具13のうちネジ部41の後端側には、ガスセンサ1を排気管に着脱する際に取付工具を係合させる六角部43が形成されている。さらに、主体金具13のうち六角部43の後端側には、筒状部45が設けられている。
プロテクタ15は、金属材料(例えばSUS310S)で形成されており、ガスセンサ素子3の先端側を覆う保護部材であり、複数個形成されたガス流通孔を介して測定対象ガスをガスセンサ素子3に対して導入する。プロテクタ15は、その後端縁が、導電性材料で形成されたパッキン88を介して、ガスセンサ素子3の素子鍔部23と主体金具13の段部39との間に挟まれるようにして固定されている。
ガスセンサ素子3のうち素子鍔部23の後端側領域においては、主体金具13とガスセンサ素子3との間に、先端側から後端側にかけて、滑石で形成されたセラミック粉末47と、アルミナで形成されたセラミックスリーブ49とが配置されている。
さらに、主体金具13の筒状部45の後端部51の内側には、金属材料(例えばSUS430)で形成された金属リング53と、金属材料(例えばSUS304L)で形成された内側外筒17の先端部55とが配置されている。内側外筒17の先端部55は、径方向外向きに広がる形状に形成されている。つまり、筒状部45の後端部51が加締められることで、内側外筒17の先端部55が、金属リング53を介して筒状部45の後端部51とセラミックスリーブ49との間に挟まれて、内側外筒17が主体金具13に固定される。
また、内側外筒17の外周には、樹脂材料(例えばPTFE)で形成された筒状のフィルタ57が配置されるとともに、フィルタ57の外周には、例えばSUS304Lで形成された外側外筒19が配置されている。フィルタ57は、通気は可能であるが水分の侵入は抑制できるものである。
そして、外側外筒19の加締め部19bが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17とフィルタ57と外側外筒19とが一体に固定される。また、外側外筒19の加締め部19hが外周側から径方向内向きに加締められることにより、内側外筒17と外側外筒19とが一体に固定され、閉塞部材7の側方外周面98が、内側外筒17の内面に密着することとなる。
なお、内側外筒17および外側外筒19は、それぞれ通気孔59および通気孔61を備えている。すなわち、通気孔59,61とフィルタ57を介して、ガスセンサ1の内部と外部との通気が可能である。
図3に示すように、外側電極27と内側電極30は、ガスセンサ素子3の先端部25において、素子本体21を挟み込むように配置されている。素子本体21および一対の電極(すなわち、外側電極27および内側電極30)は、酸素濃淡電池を構成して、排気ガス中の酸素濃度に応じた起電力を発生させる。つまり、ガスセンサ素子3の先端部25において、外側電極27が排気ガスに晒され、内側電極30が基準ガスに晒されることで、ガスセンサ素子3は、排気ガス中の酸素濃度を検出する。
外側電極27は、上述の通り、縦リード部29を介して環状リード部28に電気的に接続されている。環状リード部28は、導電性材料で形成されたパッキン88およびプロテクタ15を介して、主体金具13に電気的に接続されている。なお、外側電極27を覆うように、外側電極27を保護するための不図示の電極保護層を形成してもよい。なお、外側電極27の形状および配置は単なる一例であり、これ以外の種々の形状および配置を採用可能である。
また、ガスセンサ素子3の素子本体21の内周面には、内側電極30が形成されている。内側電極30は、希土類添加セリアやペロブスカイト相等を含む材料を多孔質に形成したものである。内側電極30は、内側検知電極部30aと、内側リード部30bとを備える。
内側検知電極部30aは、素子本体21の先端部25の内表面を覆うように形成されている。内側リード部30bは、内側検知電極部30a上に当接し、かつ内側検知電極部30aの上面全体を覆うように形成されており、端子金具9と電気的に接続される。内側検知電極部30aおよび内側リード部30bは、全体として素子本体21の内面の全面を覆うように形成されている。
つまり、ガスセンサ素子3の素子本体21は、先端側領域F1に外側電極27および内側検知電極部30aが形成され、後端側領域F2に内側リード部30bが形成されている。素子本体21の先端側領域F1は、素子本体21の先端部25に相当する。
図4に示すように、内側検知電極部30aは、素子本体21に近い側から順に、中間層31、電極層32および先端リード層33aが積層された構造を有する。
先端リード層33aは、後述する後端リード層33bとともにリード層33を形成する。つまり、リード層33は、先端リード層33aと後端リード層33bとを備える。
中間層31は、少なくとも、電極層32に含まれるランタン(La)と、素子本体21に含まれるジルコニア(ZrO)との反応により形成される層である。なお、本実施形態では、中間層31は、ランタン(La)とジルコニア(ZrO)との反応により形成される層として構成されているが、ランタン(La)とジルコニア(ZrO)とを予め反応させた成分を素子本体21と電極層32との間に、印刷等の手法によって別途介在(積層)させるようにしてもよい。
電極層32とリード層33は、以下の組成式(1)を満たすペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト型酸化物(以下、単に「ペロブスカイト相」ともいう)を含んで構成されている。
LaFeNi ・・・(1)
ここで、a+b+c=1であり、1.25≦x≦1.75である。係数a,b,cはそれぞれ、以下の関係式(2a),(2b),(2c)を満たすことが好ましい。
0.375≦a≦0.535 ・・・(2a)
0.200≦b≦0.475 ・・・(2b)
0.025≦c≦0.350 ・・・(2c)
上記の関係式(2a)〜(2c)で表される組成を有するペロブスカイト型酸化物は、室温(例えば25℃)での導電率が250S/cm以上で且つB定数が600K以下となり、上記の関係式(2a)〜(2c)を満たさない場合に比べて導電率が高くB定数が小さいという良好な特性を有する。なお、Pt電極は、大気中において約600℃の環境で放置されると、酸化して固体電解質体と電極との間の界面抵抗が上昇する。一方、上記したペロブスカイト型酸化物は、このような経時変化が起こり難い。
係数a,b,cはそれぞれ、上記の関係式(2a),(2b),(2c)の代わりに下記の関係式(3a),(3b),(3c)を満たすようにしてもよい。この場合には、導電率を更に高くするとともにB定数を更に小さくすることができる。
0.459≦a≦0.535 ・・・(3a)
0.200≦b≦0.375 ・・・(3b)
0.125≦c≦0.300 ・・・(3c)
上記の組成式(1)におけるOの係数xは、上記の組成を有する酸化物が全てペロブスカイト相からなる場合には、理論上は1.5となる。但し、酸素が量論組成からずれることがあるため、典型的な例として、係数xの範囲を1.25≦x≦1.75と規定している。
電極層32は、上記のペロブスカイト相および希土類添加セリアを含んで構成されている。希土類添加セリアにおける希土類元素REの含有割合は、セリウムとセリウムを除く希土類元素REのモル分率{RE/(Ce+RE)}に換算して、例えば、5mol%以上であり且つ40mol%以下である範囲とすることができる。このような希土類添加セリアは、低温(すなわち、室温)では絶縁体であり、高温(すなわち、ガスセンサ1の使用温度)では酸素イオン伝導性を有する固体電解質体である。
また、電極層32のペロブスカイト相は、実質的にアルカリ土類金属を含まない。ここで、「実質的に含まない」とは、エネルギー分散X線分光法で検出できないレベルであることをいう。
このような電極層32は、高温(すなわち、ガスセンサ1の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているため、十分に低い界面抵抗値を示す。
リード層33は、上記のペロブスカイト相を主成分とし、希土類添加セリアを含まないように構成されている。
内側リード部30bは、後端リード層33bと中間層34とを含む多層構造を有する。中間層34は、後端リード層33bよりも素子本体21に近い側に配置されている。
後端リード層33bは、上述した内側検知電極部30aの先端リード層33aと同様の組成で形成されている。但し、内側検知電極部30aを構成する先端リード層33aにおけるペロブスカイト相の含有割合は、内側リード部30bを構成する後端リード層33bにおけるペロブスカイト相の含有割合と同じか、それよりも多くてもよい。
中間層34は、内側リード部30bの焼成時に、後端リード層33bに含まれるランタン(La)と、素子本体21に含まれるZrOとが反応して形成された層である。なお、この中間層34についても、ランタン(La)とジルコニア(ZrO)とを予め反応させた成分を素子本体21上に別途積層させるようにして設けてもよい。
次に、ガスセンサ素子3の製造方法を説明する。
第1工程では、未焼結成形体を作製する。具体的には、まず、素子本体21の材料である固体電解質体の粉末として、ジルコニア(ZrO)に安定剤としてイットリア(Y)を5mol%添加したもの(以下、5YSZともいう)に対して、さらにアルミナ粉末を添加したものを用意する。素子本体21の材料粉末全体を100質量%としたとき、5YSZの含有量は99.6質量%であり、アルミナ粉末の含有量は0.4質量%である。この粉末をプレス加工した後に、筒形となるように切削加工を実施することで、未焼結成形体を得る。
次に、第2工程では、電極層32のスラリーと、リード層33のスラリーとを作製する。
電極層32のスラリーの作製においては、まず、ペロブスカイト相の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、700〜1300℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等により粉砕し所定の粒子サイズに調製する。このとき、ペロブスカイト相の原料粉末としては、例えば、La(OH)又はLa、Fe、及びNiOを用いることができる。次に、希土類添加セリアの原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、大気雰囲気下、1000〜1600℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等により粉砕し、所定の粒子サイズに調製する。希土類添加セリアの原料粉末としては、CeOの他に、Gd、Sm、Y等を用いることができる。そして、所定の粒子サイズに調製された2種の仮焼粉末を、湿式ボール等により混合し、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製する。
リード層33のスラリーの作製においては、例えば、ペロブスカイト相の原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整し、700〜1300℃で1〜5時間仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を、湿式ボールミル等により混合、粉砕し、所定の粒子サイズに調製する。このとき、ペロブスカイト相の原料粉末としては、例えば、La(OH)又はLa、Fe、及びNiOを用いることができる。そして、この仮焼粉末に対してカーボンを30体積%添加したものを、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解することにより、スラリーを作製した。
次に、第3工程では、未焼結成形体のうち、外側電極27、内側検知電極部30aおよび内側リード部30bの形成部分に、それぞれのスラリーを塗布する。
まず、外側電極27の形成部分にPtペースト等の貴金属のスラリーを塗布する。次に、電極層32の形成部分に電極層32のスラリーを塗布する。さらに、素子本体21の内面の全面を覆うようにリード層33のスラリーを塗布する。
次の第4工程では、各スラリーが塗布された未焼結成形体について、乾燥を行った後、所定の焼成温度で焼成する。この焼成温度は、例えば、1250℃以上であり且つ1450℃以下であり、1350±50℃が好ましい。この焼成工程では、内側検知電極部30aの電極層32と素子本体21との間に中間層31が形成され、内側リード部30bの後端リード層33bと素子本体21との間に中間層34が形成される。
上記の各工程を実施することで、ガスセンサ素子3を製造することができる。
図5は、素子本体21と内側検知電極部30aとの境界の付近における断面を走査電子顕微鏡(以下、SEM)で撮影した反射電子像である。SEMは、Scanning Electron Microscopeの略である。
図5に示すように、素子本体21と内側検知電極部30aとの境界の付近では、素子本体21の固体電解質体に近い側から順に、中間層31、電極層32およびリード層33が積層されている。また、内側検知電極部30aから素子本体21へ向かうにつれて、ジルコニウム(Zr)元素の濃度が大きくなる。中間層31と電極層32との境界線BLは、Zr元素の濃度が、Zr元素の濃度の最大値に対して5%となる箇所である。
図6は、図5と同一の断面をSEMで撮影した二次電子像である。この二次電子像は、SEMの対物レンズの内部に設置されるインレンズ二次電子検出器を用いて撮影された。このインレンズ検出器を用いて取得された二次電子像は、電子線が照射される表面における僅かな組成差(あるいは、電位差)に対して敏感なコントラストを示す。
図6に示すように、中間層31は、素子本体21の固体電解質体に近い側から順に第1層31aおよび第2層31bが積層されて形成されている。
第1層31aは、La元素と、Zr元素と、La元素およびCe元素以外の希土類元素(以下、Ln’元素)と、Ce元素とを含有する酸化物(以下、(La−Zr−Ln’−Ce−O)という)で形成された層である。
第2層31bは、La元素と、Zr元素と、Ln’元素と、Ce元素と、Fe元素とを含有する酸化物(以下、(La−Zr−Ln’−Ce−Fe−O)という)で形成された層である。なお、図6における中間層31と電極層32との境界線BLは、図5と同様に、Zr元素の濃度がZr元素の濃度の最大値に対して5%となる箇所である。
図7の画像PG1は、素子本体21と内側検知電極部30aとの境界の付近における断面をSEMで撮影した反射電子像である。画像PG1に設定されている測定線MLは、EDS組成分析の測定位置を示す。EDSは、Energy Dispersive X-ray Spectroscopyの略である。
図7の画像PG2は、画像PG1における測定線MLの周囲の領域を切り取った後に右へ90°回転させた画像である。なお、画像PG2に設定されている矩形状の領域RRは、二次電子像で置換されている。領域RR内では、第1層31aと第2層31bとが区別可能に表示されている。
図7のグラフGR1は、測定線ML上でEDS組成分析を行うことにより測定されたFe元素の分布を示す。図7のグラフGR2は、測定線ML上でEDS組成分析を行うことにより測定されたZr元素の分布を示す。
グラフGR1の指示円C1に示すように、第1層31a内には、Fe元素がほとんど存在していない。グラフGR1の指示円C2に示すように、第2層31b内には、第1層31aと比べて非常に多くのFe元素が存在している。なお、Fe元素と同様にNi元素がこの領域に存在していてもよい。
グラフGR2に示すように、中間層31と電極層32との境界線BLは、Zr元素の濃度が、Zr元素の濃度の最大値に対して5%となる箇所である。
次に、ガスセンサ素子3の低温作動性を評価するために実施した評価試験の試験結果について説明する。
低温作動性とは、低温環境下(例えば、300℃以下)でもガス検出が可能であることを示す指標である。外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が高いほど、ガスセンサ素子3の低温作動性が劣る。換言すると、外側電極と内側電極との間の内部抵抗値が低いほど、ガスセンサ素子3の低温作動性が優れる。
本評価試験では、第2層31bが第1層31aを覆っている割合(以下、被覆率)を変化させて、ガスセンサ素子の低温作動性を評価した。被覆率は、電極層32のスラリーの作製において希土類添加セリアの添加率を調整することで制御することができ、また、電極となるスラリーを塗布した状態の素子本体となる未焼結成形体の焼成温度の値によっても制御できる。具体的には、希土類添加セリアの添加率を増加させることで被覆率を低下させられ、また、上記未焼結成形体の焼成温度の値を下げることで被覆率を低下させられる傾向を示す。
低温作動性の試験では、ガスセンサ素子の外側電極27と内側電極30との間の内部抵抗値を測定し、内部抵抗値に基づいてガスセンサ素子の低温作動性を評価した。
本試験では、ガスセンサ素子をガスセンサに組み付けた状態で、そのガスセンサを公知のバーナー測定装置に取り付けて、バーナー測定法によりガスセンサ素子の内部抵抗値を測定した。詳細には、素子温度300℃で空燃比λ=0.9(すなわち、リッチ)におけるセンサ出力を、入力インピーダンス1MΩと100kΩでそれぞれ検出し、その出力差に基づいてガスセンサ素子の内部抵抗値を算出した。
そして、本試験では、内部抵抗値が200kΩ未満であるガスセンサ素子を低温作動性が良好であると判定し、内部抵抗値が200kΩ以上であるガスセンサ素子を低温作動性が不良であると判定した。
実施例1〜7および比較例のガスセンサ素子として、被覆率が表1に示す数値であるガスセンサ素子を用いた。なお、実施例1〜7および比較例において、電極層32のペロブスカイト相はLaFe0.5Ni0.5であり、電極層32の希土類添加セリアはCe0.8Ln’0.21.9である。
表1に示すように、希土類添加セリアの添加率を10体積%〜65体積%で変化させることにより、被覆率を0%〜100%で変化させた。また、希土類添加セリアに添加されている希土類元素(すなわち、Ln’元素)は、比較例と実施例1,2,4〜7ではガドリニウム(Gd)元素であり、実施例3ではサマリウム(Sm)元素であった。なお、実施例1〜7および比較例のガスセンサ素子を製造する際の焼成温度の値は、それぞれ一定とした。
Figure 0006904896
被覆率は、比較例および実施例1〜7のそれぞれについて、中間層31と電極層32との境界線BLの付近を撮影した二次電子像を用いて測定された。本試験では、SEMの倍率を1万倍に設定し、比較例および実施例1〜7のそれぞれについて5視野の二次電子像を取得した。
図8は、実施例4における中間層31と電極層32との境界線BL付近を撮影した反射電子像およびインレンズ二次電子検出器で取得した二次電子像である。
図8の二次電子像で示すように、境界線BLから素子本体21の固体電解質体の表面との間で、コントラストの異なる部分が存在する。コントラストの異なる部分に関して、電極層32側の部分は第2層31bであり、素子本体21側の部分は第1層31aである。本試験では、被覆率を、二次電子像における境界線BLの全長に対する、境界線BL上における電極層32側のコントラストを示す部分の割合であると定義した。
上記のコントラストの異なる部分は、以下に示す方法により設定した。
まず、境界線BLから素子本体21の固体電解質体の表面との間の範囲において輝度分布を作成する。そして、図9に示すように、輝度分布において、電極層32側の輝度を含むピークPK1と、素子本体21側の輝度を含むピークPK2を検出する。ピークPK1の輝度値L1と、ピークPK2の輝度値L2との平均値を、輝度判定値JCとする。そして、境界線BL上の画素のそれぞれについて、輝度が輝度判定値JC以上である場合には電極層32側のコントラストを示す部分に設定し、輝度が輝度判定値JC未満である場合には素子本体21側のコントラストを示す部分に設定する。
そして、比較例および実施例1〜7のそれぞれについて、5視野の二次電子像で被覆率を測定した後に、測定した5視野の被覆率の平均値を算出し、この平均値を最終的な被覆率とした。
本試験では、表1に示すように、内部抵抗の測定結果として、内部抵抗値が200kΩ以上である場合に「×」、内部抵抗値が100〜200kΩである場合に「△」、内部抵抗値が50〜100kΩである場合に「○」、内部抵抗値が50kΩ以下である場合に「◎」とした。また、内部抵抗値が200kΩ以上である場合に判定結果を「NG」とし、内部抵抗値が200kΩ未満である場合に判定結果を「OK」とした。
図10に示すように、本試験では、被覆率が100%である場合に、内部抵抗値が200kΩを超えた。また、被覆率が89%である場合に、内部抵抗値が100〜200kΩの範囲内であった。また、被覆率が47〜63%である場合に、内部抵抗値が50〜100kΩの範囲内であった。また、被覆率が0〜16%である場合に、内部抵抗値が50kΩ以下であった。
このように構成されたガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性を有するZrOを含む素子本体21と、素子本体21上に配置された外側電極27および内側電極30とを備える。
そしてガスセンサ素子3では、内側電極30は、素子本体21に近い側から順に、少なくとも、中間層31と電極層32とが積層された構造を有する。また電極層32は、ペロブスカイト型結晶構造を有すると共にLa元素およびFe元素を含んだペロブスカイト型酸化物と、希土類添加セリアとを含む。
さらにガスセンサ素子3では、中間層31は、素子本体21に近い側から順に、少なくとも、(La−Zr−Ln’−Ce−O)で形成された第1層31aと、(La−Zr−Ln’−Ce−Fe−O)で形成された第2層31bとが積層された構造を有する。
そしてガスセンサ素子3では、素子本体21と中間層31と電極層32とを含む断面を走査電子顕微鏡のインレンズ二次電子検出器を用いて観察した場合に、第2層31bが第1層31aを覆っている被覆率が90%以下である。なお、上記の試験結果から理解できるように、本開示において被覆率90%以下とは、被覆率0%を含むものである。
このように構成されたガスセンサ素子3は、低温作動性が良好となり、これにより、低温環境下でもガス検出を可能とすることができる。
またガスセンサ素子3では、希土類添加セリアに添加されている希土類元素は、Gd元素である。これにより、ガスセンサ素子3は、長期にわたって安定した検出精度を実現することができる。
また、電極層32のペロブスカイト型酸化物は、実質的にアルカリ土類金属を含まない。これにより、ガスセンサ素子3は、電極層32に含まれるアルカリ土類金属と素子本体21に含まれるZrOとが反応して電極層32と素子本体21との間にアルカリ土類金属を含む反応層が形成されるのを抑制し、低温作動性の低下を抑制することができる。
また、電極層32のペロブスカイト型酸化物は、(La−Ni−Fe−O)系のペロブスカイト相である。このように構成されたガスセンサ素子3は、Ni元素とFe元素を含むことによって、温度による特性変動を低減することができる。
以上説明した実施形態において、素子本体21は固体電解質体に相当し、外側電極27および内側電極30は一対の電極に相当し、主体金具13は保持部材に相当する。
(第2実施形態)
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、図11に示すように、素子本体101と、多孔質保護層120とを備える。
素子本体101は、図12に示すように、酸素濃度検出セル130と、補強保護層111と、大気導入孔層107と、下面層103とを備える。なお、図12では多孔質保護層120の図示を省略している。
酸素濃度検出セル130は、基準電極104と、固体電解質体105と、測定電極106とを備える。基準電極104および測定電極106は、固体電解質体105を挟み込むように配置されている。
基準電極104は、基準電極部104aと、基準リード部104Lとを備える。基準電極部104aは、図14に示すように、固体電解質体105に近い側から順に、中間層104b、電極層104cおよびリード層104dが積層された多層構造を有する。
中間層104bは、固体電解質体105に近い側から順に第1層151および第2層152が積層されて形成されている。
基準リード部104Lは、図12に示すように、基準電極部104aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
測定電極106は、測定電極部106aと、検知リード部106Lとを備える。検知リード部106Lは、測定電極部106aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
補強保護層111は、補強部112と、電極保護部113aとを備える。
補強部112は、固体電解質体105との間で検知リード部106Lを挟み込むようにして、固体電解質体105を保護するための板状の部材である。補強部112は、固体電解質体105と同じ材料で形成されており、板の厚さ方向に貫通する保護部配置空間112aを備える。
電極保護部113aは、多孔質材料で形成されており、保護部配置空間112aに配置される。電極保護部113aは、固体電解質体105との間で測定電極部106aを挟み込むようにして、測定電極部106aを保護する。
なお、本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、いわゆる酸素濃淡起電力式のガスセンサであり、酸素濃度検出セル130の電極間に生じる起電力の値を用いて酸素濃度を検出することができる。
下面層103および大気導入孔層107は、固体電解質体105との間で基準電極104を挟み込むようにして、基準電極104に積層されている。大気導入孔層107は、後端側が開口する略U字状に形成されている。固体電解質体105、大気導入孔層107および下面層103で囲まれた内部空間は、大気導入孔107hである。基準電極104は、大気導入孔107hに導入される大気に晒されるように配置されている。
このように、素子本体101は、下面層103、大気導入孔層107、基準電極104、固体電解質体105、測定電極106および補強保護層111が積層された積層体である。素子本体101は、板状に形成されている。
基準リード部104Lの端末は、固体電解質体105に設けられるスルーホール105aに形成される導体を介して、固体電解質体105上の検出素子側パッド121と電気的に接続されている。補強保護層111は、検知リード部106Lの端末よりも軸線方向(すなわち、図12における左右方向)の寸法が短く形成されている。検出素子側パッド121および検知リード部106Lの端末は、補強保護層111の後端から外部に露出し、外部回路接続用の不図示の外部端子と電気的に接続される。
多孔質保護層120は、図11に示すように、素子本体101の先端側の全周を覆って設けられている。
図13に示すように、多孔質保護層120は、素子本体101の先端面を含み、軸線方向(すなわち、図13における左右方向)に沿って後端側に延びるように形成されている。
さらに多孔質保護層120は、軸線方向において、素子本体101のうち少なくとも基準電極部104aおよび測定電極部106aを包含する領域を覆うように形成されている。
板型ガスセンサ素子100は、排気ガス中に含まれるシリコンおよびリンなどの被毒物質に晒されたり、排気ガス中の水滴が付着したりすることがある。そこで、板型ガスセンサ素子100の外表面に多孔質保護層120を被覆することで、被毒物質を捕捉したり、水滴が板型ガスセンサ素子100に直接接触したりすることを抑制できる。
次に、固体電解質体、測定電極および基準電極などの成分組成について説明する。
固体電解質体105は、第1実施形態の素子本体21と同様に、ジルコニア(ZrO )に安定化剤としてイットリア(Y)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。
測定電極106は、Ptを主成分とし、かつ単斜晶ジルコニアを含む。測定電極106はセラミック成分を含有してもよい。
なお、「主成分」とは、対象となる部位(すなわち、固体電解質体105および測定電極106など)を構成する全成分に対し、50質量%を超える成分をいう。
基準電極104の基準電極部104aのうち、第1層151は、(La−Zr−Ln’−Ce−O)で形成された層である。第2層152は、(La−Zr−Ln’−Ce−Fe−Oで形成された層である。そして、第2実施形態のガスセンサ素子3と同様に、第2層152が第1層151を覆っている被覆率が90%以下(0%含む)である。
電極層104cは、ペロブスカイト相および希土類添加セリアを含んで構成されている。電極層104cに含まれるペロブスカイト相は、第1実施形態の電極層32と同様に、上式(1),(2a),(2b),(2c)の各条件を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有すると共にLaを含んだ結晶相である。このような電極層104cは、高温(すなわち、板型ガスセンサ素子100の使用時)においてイオン導電性と電子導電性の両方の性質を有しているため、十分に低い界面抵抗値を示す。
リード層104dは、第1実施形態のリード層33と同様に、上式(1),(2a),(2b),(2c)の各条件を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有するペロブスカイト相を主成分として含んで構成されている。なお、本実施形態のリード層104dは、希土類添加セリアを含んでいない。
基準リード部104Lは、リード層104dと同じ材料で形成されている。
多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位は、スピネル(MgAl)およびチタニア(TiO)で形成されているとともに、貴金属(Pt,Pd,Rhのうち少なくとも1つ)が担持されている。この貴金属は、排気ガスに含まれる未燃ガス成分の燃焼を促進するための触媒として機能する。なお、多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位とは、素子本体101の積層方向において測定電極106と重なる部位をいう。
このように構成された板型ガスセンサ素子100は、酸素イオン伝導性を有するZrOを含む固体電解質体105と、固体電解質体105上に配置された基準電極104および測定電極106とを備える。
そして板型ガスセンサ素子100では、基準電極104は、固体電解質体105に近い側から順に、少なくとも、中間層104bと電極層104cとが積層された構造を有する。また電極層104cは、ペロブスカイト型結晶構造を有すると共にLa元素およびFe元素を含んだペロブスカイト型酸化物と、希土類添加セリアとを含む。
さらに板型ガスセンサ素子100では、中間層104bは、固体電解質体105に近い側から順に、少なくとも、(La−Zr−Ln’−Ce−O)で形成された第1層151と、(La−Zr−Ln’−Ce−Fe−O)で形成された第2層152とが積層された構造を有する。
そして板型ガスセンサ素子100では、固体電解質体105と中間層104bと電極層104cとを含む断面を走査電子顕微鏡のインレンズ二次電子検出器を用いて観察した場合に、第2層152が第1層151を覆っている被覆率が90%以下である。
このように構成された板型ガスセンサ素子100は、第1実施形態のガスセンサ素子3と同様の効果を得ることができる。
以上説明した実施形態において、板型ガスセンサ素子100はガスセンサ素子に相当し、固体電解質体105は固体電解質体に相当し、基準電極104および測定電極106は一対の電極に相当する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記第1実施形態では、内側電極が、中間層、電極層およびリード層が積層された多層構造であるガスセンサ素子について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、外側電極が上記の多層構造であるガスセンサ素子であってもよいし、内側電極と外側電極のそれぞれが上記の多層構造であるガスセンサ素子でもよい。同様に、上記第2実施形態では、基準電極が、中間層、電極層およびリード層が積層された多層構造である板型ガスセンサ素子について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、測定電極が上記の多層構造である板型ガスセンサ素子であってもよいし、基準電極と測定電極のそれぞれが上記の多層構造である板型ガスセンサ素子でもよい。
また上記実施形態では、上記のペロブスカイト相を主成分として希土類添加セリアを含まないリード層を備えるガスセンサ素子について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、リード層は、希土類添加セリアを含むようにしてもよく、このようなリード層は、ガスセンサ素子の使用時において外側電極と内側電極との間の内部抵抗値を低下させることが可能である。また、リード層が電極層上面全体を覆うもので説明したが、電極層上面の少なくとも一部と積層されるものでもよい。
上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…ガスセンサ、3…ガスセンサ素子、21…素子本体、27…外側電極、30…内側電極、31…中間層、31a…第1層、31b…第2層、32…電極層、100…板型ガスセンサ素子、104…基準電極、104b…中間層、104c…電極層、105…固体電解質体、106…測定電極、151…第1層、152…第2層

Claims (5)

  1. 酸素イオン伝導性を有するZrOを含む固体電解質体と、前記固体電解質体上に配置された一対の電極とを備えるガスセンサ素子であって、
    前記一対の電極のうち少なくとも一方は、前記固体電解質体に近い側から順に、少なくとも、中間層と電極層とが積層された構造を有し、
    前記電極層は、ペロブスカイト型結晶構造を有すると共にLa元素およびFe元素を含んだペロブスカイト型酸化物と、希土類添加セリアとを含み、
    La元素およびCe元素以外の希土類元素をLn’元素として、前記中間層は、前記固体電解質体に近い側から順に、少なくとも、(La−Zr−Ln’−Ce−O)で形成された第1層と、(La−Zr−Ln’−Ce−Fe−O)で形成された第2層とが積層された構造を有し、
    前記固体電解質体と前記中間層と前記電極層とを含む断面を走査電子顕微鏡のインレンズ二次電子検出器を用いて観察した場合に、前記第2層が前記第1層を覆っている被覆率が90%以下であるガスセンサ素子。
  2. 請求項1に記載のガスセンサ素子であって、
    前記希土類添加セリアに添加されている希土類元素は、Gd元素であるガスセンサ素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガスセンサ素子であって、
    前記ペロブスカイト型酸化物は、実質的にアルカリ土類金属を含まないガスセンサ素子。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のガスセンサ素子であって、
    前記ペロブスカイト型酸化物は、(La−Ni−Fe−O)系のペロブスカイト型酸化物であるガスセンサ素子。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のガスセンサ素子と、前記ガスセンサ素子を保持する保持部材とを備えるガスセンサ。
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