JP2017178211A - 車両のサイクリスト保護装置 - Google Patents

Abstract

【課題】衝突したサイクリストの保護性能を向上させる。
【解決手段】自動車１のサイクリスト保護装置１１は、乗車部３より前へ突出してフード５で覆われる前部２を有する車両と、フード５の前を開くことができるようにフード５の閉止を解除可能なフードラッチ９と、フード５の下側において前部２に設けられ、サイクリストエアバッグ１３を展開するサイクリストエアバッグ装置１２と、を有する。サイクリストエアバッグ装置１２は、フード５の前を開いた状態または開くことができる状態で、フード５の下側から前へサイクリストエアバッグ１３を展開させる。
【選択図】図４

Description

本発明は、車両のサイクリスト保護装置に関する。

自動車といった車両では、車外を移動する歩行者と衝突する可能性がある。
特許文献１、２では、フード上で複数のエアバッグを平らに並べて展開する。
これにより、車両の前部に衝突した歩行者の上体とフードとの間にエアバッグを平らに展開させて、当たりを弱めることができる。

特開２０１０−０１２９６６号公報 特開平０９−０３０３６８号公報

ところで、自動車といった車両では、歩行者以外にも、たとえば自転車に乗車したサイクリストと衝突する可能性もある。
そして、サイクリストと自動車とが衝突した場合、サイクリストの腰位置が高いため、上記特許文献１、２の保護装置では、好適にサイクリストを保護することができない可能性がある。
サイクリストは、衝突後に自動車のフードに乗り上げ、腰部がフードに引っ掛かり、その後撓んだフードにより跳ね上げられることがある。このような衝突形態に対して、上記特許文献１、２の保護装置は十分に機能し得ない可能性がある。

このように、車両では、衝突したサイクリストの保護性能を向上させることが求められている。

本発明に係る車両のサイクリスト保護装置は、乗車部より前へ突出してフードにより上面が形成される前部を有する車両と、前記フードの前を開くことができるように前記フードの閉止を解除可能なフードラッチと、前記フードの下側において前記前部に設けられ、サイクリストエアバッグを展開するサイクリストエアバッグ装置と、を有し、前記サイクリストエアバッグ装置は、前記フードの前を開いた状態または開くことができる状態で、前記フードの下側から前へ前記サイクリストエアバッグを展開させる。

好適には、前記フードの前を開くように前記フードを駆動するアクチュエータ、を有する、とよい。

好適には、前記サイクリストエアバッグは、前記フードの下側から前へ展開を開始した後、上方へ展開する、とよい。

好適には、前記サイクリストエアバッグは、サイクリストの肩と同じ高さまたはそれより上側まで展開する、とよい。

好適には、前記前部において前記フードの前側に設けられるノーズコーン、を有し、前記ノーズコーンの上面後端部分は、前上がりの傾斜面に形成され、前記フードの下側から前へ展開を開始した前記サイクリストエアバッグは、前記傾斜面に当たることにより上方へ展開する、とよい。

好適には、前記サイクリストエアバッグは、上面中央と先端下面とを連結するテザーを有し、前記フードの下側から前へ展開を開始した後、前記テザーの張力により上方へ引かれることにより上方へ展開する、とよい。

好適には、前記前部において前記フードの前側に設けられるノーズコーン、を有し、前記ノーズコーンの上面後端部分には、上下に回動可能な可動片が設けられ、前記フードの下側から前へ展開を開始した前記サイクリストエアバッグは、前記フードの下側から前へ展開する際に前記可動片に当たることにより上方へ展開する、とよい。

本発明では、サイクリストエアバッグ装置は、フードの前を開いた状態または開くことができる状態で、フードの下側から前へサイクリストエアバッグを展開させる。よって、衝突後にサイクリストが前方から車両の前部の上に乗り上げようとする場合、その身体をサイクリストエアバッグで受け止めることができる。乗り上げようとしたサイクリストは、その後に後側へ移動し難くなる。これにより、衝突したサイクリストの保護性能を向上させることができる。

図１は、本発明の実施形態に係る自動車の側面透視図である。 図２は、サイクリストとの衝突形態の一例の説明図である。 図３は、歩行者との衝突形態の一例の説明図である。 図４は、本実施形態でのサイクリスト保護装置の説明図である。 図５は、サイクリストエアバッグの展開方向を前方向から上方向へ転換させる構造例の説明図である。 図６は、図４のサイクリスト保護装置の制御系のブロック図である。 図７は、サイクリストとの衝突時に図６の制御部により実施される制御のフローチャートである。 図８は、本実施形態でのサイクリストとの衝突形態の一例の説明図である。

以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。

図１は、本発明の実施形態に係る自動車１の側面透視図である。図１には、自動車１の側面が、その前を横切るサイクリストとともに図示されている。
自動車１は、車両の一例である。
図１の自動車１の車体は、前部２、乗車部３、および後部４を有する。

前部２は、乗車部３より前へ突出する部分である。前部２には、エンジン、電気モータ等の動力ユニットが配置される。前部２の上面には、フード５が開閉可能に設けられる。フード５の前縁には、フードラッチ９が設けられる。フードラッチ９が係合することによりフード５の前縁は解除可能に閉止される。また、フード５の前側には、バンパーを含むノーズコーン６が設けられる。前部２の上面は、フード５とノーズコーン６の上面とにより構成される。
乗車部３には、乗車した乗員が着座するシートなどが設けられる。乗車部３の前面には、前部２の上面の上側となる位置にフロントガラス７が設けられる。
後部４は、乗車部３より後へ突出する部分である。後部４には、ラッゲージスペースが設けられる。

図２は、サイクリストとの衝突形態の一例の説明図である。
サイクリストが自動車１の前に衝突すると、サイクリストの腰位置が高いため、図２（Ａ）に示すように、サイクリストは衝突後に自動車１のフード５に乗り上げる。
そして、乗り上げたサイクリストの荷重により図２（Ｂ）に示すようにフード５か窪み変形し、その後に図２（Ｃ）に示すようにフード５がサイクリストを押し上げる。
このようにフード５で押し上げられたサイクリストは、自動車１とサイクリストの相対速度および相対移動方向に従って、図２（Ｄ）に示すようにたとえば後方へ移動する。この際、サイクリストの頭部がフロントガラス７に当たる可能性もある。

図３は、歩行者との衝突形態の一例の説明図である。
図３に示すように、歩行者が自動車１の前に衝突すると、歩行者の上体が腰位置を支点として自動車１のフード５へ向かって下へ回転する。こように、歩行者は、衝突後にフード５に乗り上げにくい。また、フード５の上を後方へ向かって移動することも起き難い。

このように、歩行者との衝突形態と、サイクリストとの衝突形態とは異なる。よって、歩行者の保護のために、フード５の上に平らにエアバッグを展開させたとしても、サイクリストを好適に保護することは難しい。
本実施形態では、衝突したサイクリストの保護性能を向上させる。

図４は、本実施形態でのサイクリスト保護装置１１の説明図である。図４（Ａ）は、自動車１の前部２の部分側面図である。図４（Ｂ）は、自動車１の前部２の上面図である。
図４のサイクリスト保護装置１１は、サイクリストエアバッグ装置１２、アクチュエータ１５、を有する。また、図４では、フードラッチ９が解除され、フード５の前縁は、開閉可能な状態にある。

アクチュエータ１５は、たとえばモータである。アクチュエータ１５は、フード５の前を開くようにフード５を駆動する。

サイクリストエアバッグ装置１２は、サイクリストエアバッグ１３と、これとともにインフレータを収容する本体１４と、を有する。
本体１４は、フード５の下側に設けられる。
サイクリストエアバッグ１３は、本体１４から前へ向かって展開される。
そして、図４に示すようにフード５の前が開いた状態で展開されることにより、サイクリストエアバッグ１３は、フード５の下側から前へ展開する。
また、サイクリストエアバッグ１３についてのフード５から突出した部分は、上方へ展開する。サイクリストエアバッグ１３は、図中に二点鎖線で示すサイクリストの肩と同じ高さまたはそれより上側まで展開する。このような高さは、たとえば５０ｃｍから１ｍ程度でよい。
なお、このようにサイクリストエアバッグ１３は、上へ展開するので、このサイクリストエアバッグ１３自体の上への展開力の一部を使用して、アクチュエータ１５によらず、サイクリストエアバッグ１３のみによりフード５前縁を持ち上げてもよい。

図５は、サイクリストエアバッグ１３の展開方向を前方向から上方向へ転換させる構造例の説明図である。

図５（Ａ）では、フード５の前側に位置するノーズコーン６の上面後端部分には、前上がりの傾斜面１６が形成されている。これにより、フード５の下側から前へ展開を開始したサイクリストエアバッグ１３は、傾斜面１６に当たることにより、上方へ展開することができる。

図５（Ｂ）では、サイクリストエアバッグ１３の上面中央と先端下面とが、テザー１７により連結されている。これにより、フード５の下側から前へ展開を開始したサイクリストエアバッグ１３は、展開が進むとテザー１７の張力により上方へ引かれるようになる。その結果、サイクリストエアバッグ１３は、上方へ展開することができる。

図５（Ｃ）では、フード５の前側に位置するノーズコーン６の上面後端部分には、上下に回動可能な可動片１８が設けられる。これにより、フード５の下側から前へ展開を開始したサイクリストエアバッグ１３は、フード５の下側において前へ展開する際に可動片１８に当たる。可動片１８は、上へ回転し、前上がりの傾斜面１６を形成する。更に前へ展開しようとするサイクリストエアバッグ１３は、可動片１８による傾斜面１６に当たって上方へ展開することができる。

図６は、図４のサイクリスト保護装置１１の制御系のブロック図である。
図６の制御系には、撮像デバイス２１、レーダ２２、エアバッグ装置２３、アクチュエータ１５、フードラッチ９、およびこれらが接続される制御部２４、が図示されている。ここで、エアバッグ装置２３には、サイクリストエアバッグ装置１２が含まれる。

制御部２４は、撮像デバイス２１やレーダ２２の検出に基づいて、衝突を予測し、衝突を検出する。そして、必要なタイミングで、エアバッグ装置２３へインフレータの点火信号を出力する。
たとえば、サイクリストの衝突を検出した場合、サイクリストエアバッグ装置１２へ点火信号を出力する。これにより、サイクリストエアバッグ１３が展開する。

撮像デバイス２１は、たとえば一対の撮像素子であり、図１に示すように乗車部３のルーフやフロントガラス７に前向きに設けられ、自動車１の前方の周辺状況を撮像により観測する。
レーダ２２は、図１に示すようにたとえば自動車１の前部２の前面に配置される。レーダ２２は、超音波や電波を発し、その反射波の有無等に応じて自動車１の前方の周辺状況を観測する。
そして、制御部２４は、自動車１の前方を通過するサイクリストなどの障害物を特定し、該障害物の衝突の可能性を判断し得る。

図７は、サイクリストとの衝突時に図６の制御部２４により実施される制御のフローチャートである。
制御部２４は、図７のサイクリスト衝突制御を周期的に実施する。

図７に示すように、制御部２４は、サイクリストと衝突したか否かを判断する（ステップＳＴ１）。たとえばサイクリストとの衝突を検出した場合、サイクリストと衝突したと判断すればよい。

サイクリストと衝突した場合、制御部２４は、サイクリストを保護するための制御を実施する（ステップＳＴ２）。
具体的には、まず、フードラッチ９を解除する。これにより、フード５は、閉止が解除されて前縁が開くことができる状態になる。また、アクチュエータ１５によりフード５の前を開ける。フード５の前縁は開いた状態になる。
次に、サイクリストエアバッグ装置１２へ点火信号を出力する。
これにより、図４に示すように、サイクリストエアバッグ１３がフード５の下側から前へ展開し、その後上向きに展開する。
なお、アクチュエータ１５によらず、サイクリストエアバッグ１３のみによりフード５前縁を持ち上げてもよい。

図８は、本実施形態でのサイクリストとの衝突形態の一例の説明図である。
図７の制御が実施されることにより、自動車１の前部２の上面では、前が開いたフード５前から上向きにサイクリストエアバッグ１３が展開する。
そして、衝突したサイクリストは、サイクリストの腰位置が高いため、図８（Ａ）に示すように、自動車１のフード５に乗り上げようとする。
ここで、本実施形態では、サイクリストエアバッグ１３が上向きに展開しているため、サイクリストエアバッグ１３に対して、サイクリストの上体や腰が当たり、その荷重が作用する。
また、サイクリストの腰は、サイクリストエアバッグ１３の下部で支えられるため、その後の慣性によりサイクリストは、図８（Ｂ）に示すように、フード５へ向かって下へ回転する。
そして、フード５に向かって倒れ込むサイクリストの上体は、図８（Ｃ）に示すように、複数のサイクリストエアバッグ１３の上へ倒れ込む。

以上のように、本実施形態では、サイクリストエアバッグ装置１２は、フード５の前が開くことができる状態で、または、フード５の前が開いた状態で、フード５の下側から前へサイクリストエアバッグ１３を展開させる。よって、衝突後にサイクリストが前方から車両の前部２の上に乗り上げようとする場合、その身体をサイクリストエアバッグ１３で受け止めることができる。乗り上げようとしたサイクリストは、その後に後側へ移動し難くなる。これにより、衝突したサイクリストの保護性能を向上させることができる。

また、本実施形態では、サイクリストエアバッグ１３は、フード５の下側から前へ展開を開始した後、上方へ展開する。よって、衝突後に前方から車両の前部２の上に乗り上げようとするサイクリストの身体を、サイクリストエアバッグ１３で受け止めることができる。

また、本実施形態では、サイクリストエアバッグ１３は、サイクリストの肩と同じ高さまたはそれより上側まで展開する。よって、衝突後に前方から車両の前部２の上に乗り上げようとするサイクリストの身体の全体を、サイクリストエアバッグ１３で受け止めることができる。
これに対して、身体の一部のみをエアバッグで受けた場合、その受けた部位とその他の部位との間で体にずれが生じ易くなる。

また、本実施形態では、フード５の前側に設けられるノーズコーン６の上面後端部分が、前上がりの傾斜面１６に形成されている。よって、フード５の下側から前へ展開を開始したサイクリストエアバッグ１３は、傾斜面１６に当たることにより上方へ展開することができる。

また、本実施形態では、サイクリストエアバッグ１３は、上面中央と先端下面とを連結するテザー１７を有する。よって、サイクリストエアバッグ１３は、フード５の下側から前へ展開を開始した後、テザー１７の張力により上方へ引かれて上方へ展開することができる。

また、本実施形態では、フード５の前側に設けられるノーズコーン６の上面後端部分には、上下に回動可能な可動片１８が設けられる。よって、フード５の下側から前へ展開を開始したサイクリストエアバッグ１３は、フード５の下側から前へ展開する際に可動片１８に当たることにより上方へ展開することができる。

以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。

１…自動車（車両）
２…前部
３…乗車部
４…後部
５…フード
６…ノーズコーン
７…フロントガラス
９…フードラッチ
１１…サイクリスト保護装置
１２…サイクリストエアバッグ装置
１３…サイクリストエアバッグ
１４…本体
１５…アクチュエータ
１６…傾斜面
１７…テザー
１８…可動片
２１…撮像デバイス
２２…レーダ
２３…エアバッグ装置
２４…制御部

Claims (7)

1. 乗車部より前へ突出してフードにより上面が形成される前部を有する車両と、
   前記フードの前を開くことができるように前記フードの閉止を解除可能なフードラッチと、
   前記フードの下側において前記前部に設けられ、サイクリストエアバッグを展開するサイクリストエアバッグ装置と、
   を有し、
   前記サイクリストエアバッグ装置は、
   前記フードの前を開いた状態または開くことができる状態で、前記フードの下側から前へ前記サイクリストエアバッグを展開させる、
   車両のサイクリスト保護装置。
2. 前記フードの前を開くように前記フードを駆動するアクチュエータ、を有する、
   請求項１記載の車両のサイクリスト保護装置。
3. 前記サイクリストエアバッグは、前記フードの下側から前へ展開を開始した後、上方へ展開する、
   請求項１または２記載の車両のサイクリスト保護装置。
4. 前記サイクリストエアバッグは、サイクリストの肩と同じ高さまたはそれより上側まで展開する、
   請求項３記載の車両のサイクリスト保護装置。
5. 前記前部において前記フードの前側に設けられるノーズコーン、を有し、
   前記ノーズコーンの上面後端部分は、前上がりの傾斜面に形成され、
   前記フードの下側から前へ展開を開始した前記サイクリストエアバッグは、前記傾斜面に当たることにより上方へ展開する、
   請求項３または４記載の車両のサイクリスト保護装置。
6. 前記サイクリストエアバッグは、上面中央と先端下面とを連結するテザーを有し、
   前記フードの下側から前へ展開を開始した後、前記テザーの張力により上方へ引かれることにより上方へ展開する、
   請求項３または４記載の車両のサイクリスト保護装置。
7. 前記前部において前記フードの前側に設けられるノーズコーン、を有し、
   前記ノーズコーンの上面後端部分には、上下に回動可能な可動片が設けられ、
   前記フードの下側から前へ展開を開始した前記サイクリストエアバッグは、前記フードの下側から前へ展開する際に前記可動片に当たることにより上方へ展開する、
   請求項３または４記載の車両のサイクリスト保護装置。
   

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