JP2016037137A - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両1の乗員保護装置10は、車両1のシート7に着座する乗員Mの前で展開して、倒れる乗員Mの頭部から上体を支えるメインバッグ24と、メインバッグ24より車両1の後方へ向けて突出して展開することにより、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての車両1の幅方向内側で展開するサブバッグ25と、を有する。サブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員Mの頭部の荷重が作用することにより変形した状態においても、メインバッグ24から反力を受けて、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より後方へ突出する状態を維持する。
【選択図】図4
Description
この対策として、たとえば助手席用のエアバッグの展開範囲を、幅方向内側へ広げたり、更に広げた部分から後方へサブバッグを突出させたりすることが考えられる。
しかしながら、このように単に助手席用のエアバッグの展開範囲を幅方向内側に広げるだけでは、自動車の幅方向内側へ傾きながら突入する乗員を適切に支持することは難しい。
すなわち、助手席の乗員が幅方向内側へ傾きながら助手席用のエアバッグへ突入する場合、助手席用のエアバッグでは、その幅方向内側の端部に、乗員の荷重がかかる。また、乗員の荷重は、助手席用のエアバッグから離れるように幅方向内側の斜め前へ向かう力として作用する。このため、幅方向内側へ広がって展開した助手席用のエアバッグは、乗員の荷重により幅方向内側へ倒れやすい。そして、助手席用のエアバッグで一旦支えられた乗員の頭部および上体は、助手席用のエアバッグが幅方向内側へ傾くことにより、助手席用のエアバッグについての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
しかも、サブバッグは、メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部の荷重が作用することにより変形した状態においても、メインバッグについての乗員が突入する面より後方へ突出する状態を維持する。よって、サブバッグは、乗員による斜め前方向への荷重により幅方向内側へ倒れたとしても、前記メインバッグから反力を受けて、乗員を幅方向内側から支えることができる。その結果、メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員は、倒れた状態のサブバッグにより支え続けられて、サブバッグおよびメインバッグについての幅方向内側へ脱落し難い。
これ対して、仮にたとえば単にメインバッグからサブバッグを突出させただけの場合、メインバッグおよびサブバッグが乗員とともに幅方向内側へ傾く際に、メインバッグに突入した乗員が、メインバッグおよびサブバッグから脱落しやすい。また、脱落する乗員は、頭部のみがサブバッグにより支えられるので、頭部より上体が優先して脱落する。その結果、メインバッグに突入した乗員の頭部は、突入後に回転しやすい。そして、たとえば乗員の頭部が上体よりも回転して、乗員の首部分に障害が発生する可能性がある。
図1は、本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置10を適用した自動車1の説明図である。
自動車1は、車両の一例である。自動車1は、燃料を燃焼させるエンジンを有するものでも、蓄電電力で駆動されるモータを有するものでも、または、双方を有するものでもよい。
図1の自動車1は、車体2の前後方向の中央部に乗員室3が形成される。乗員室3の前部には、ダッシュボード4が配置される。ダッシュボード4についての車体2の幅方向の中央部には、センタコンソール5が配置される。センタコンソール5から車体2の後方へ向けて、センタトンネル6が形成される。ダッシュボード4およびセンタコンソール5には、たとえばインストルメントパネル、グローボックス、各種機器の操作パネルが設置される。
センタトンネル6についての幅方向の左側には、運転者が着座するシート7が設置される。運転席用のシート7の前には、ハンドル8が配置される。ハンドル8は、ダッシュボード4から伸びるボスの後端に取り付けられる。
センタトンネル6についての幅方向の右側には、乗員Mが着座する助手席用のシート7が設置される。なお、助手席用のシート7と運転席用のシート7とは、入れ替えて配置されてもよい。
運転席用のシート7および助手席用のシート7の前後方向後側には、後部乗員用のシート7が設置される。後部乗員用のシート7は、幅方向に長い形状のシート7である。
このような自動車1は、車道などを走行する。そして、走行中に他の自動車などと衝突する可能性がある。このため、自動車1では、追突の際の衝撃から、運転者などの乗員Mを保護するための乗員保護装置10が用いられる。たとえば助手席用のシート7に乗員Mが着座している状態で、自動車1の車体2の正面に対して他の自動車が正面衝突すると、助手席用のシート7に着座した乗員Mの上体が前へ倒れる。この際、前側に倒れる乗員Mの上体や頭部が、ダッシュボード4に打ち付けられる可能性がある。
図2の助手席用の乗員保護装置10は、シートベルトモジュール11、エアバッグモジュール12、車外撮像センサ13、車内撮像センサ14、ECU(Engine Control Unit)15、を有する。
ハウジング21は、ダッシュボード4内で、助手席用のシート7の前方の位置に配置される。ハウジング21は、左右方向に延在するビーム9に取り付けられる。ビーム9は、たとえばハンドル8が取り付けられるものでよい。
インフレータ22は、高圧ガスを収容する。高圧ガスは、火薬などによる点火により膨張し得る。
エアバッグ23は、布材を袋状に縫製したものである。エアバッグ23は、インフレータ22に取り付けられる。エアバッグ23およびインフレータ22は、ハウジング21に収容される。
このようにシート7の前方に設置されたエアバッグモジュール12では、インフレータ22がECU15からの点火信号により高圧ガスを膨張させる。これにより、エアバッグ23は、シート7に着座する乗員Mの前で展開する。エアバッグモジュール12は、乗員Mとダッシュボード4との間に展開する。これにより、衝突の際の衝撃により前に倒れる乗員Mは、展開したエアバッグ23により支えられる。
図3のエアバッグ23は、図1および図2に示す本実施形態のエアバッグ23と異なり、乗員Mの前方のみで展開する。このようなエアバッグ23は、乗員Mの正面方向にのみ展開する。
倒れ始めた上体および頭部は、図3(B)に示すように、展開したエアバッグ23の内側部分に対して斜めに当たる。乗員Mが斜め方向の入力で当たることにより、図3(C)に示すように、展開したエアバッグ23は、乗員Mとともに内側に倒れる。その結果、極端な場合には、倒れる乗員Mの上体および頭部は、図3(D)に示すように、展開したエアバッグ23についての幅方向内側に外れ、エアバッグ23についての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
また、図3(D)と図3(C)とを比較すればわかるように、乗員Mの頭部は、上体に対して大きく回転している。上体の回転に対して頭部の回転が大きくなるほど、乗員Mの首に対して負担がかかる可能性が高くなる。
このように、乗員保護装置10で用いられる一般的なエアバッグ23では、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mを好適に保護しきれない可能性がある。オフセット斜め衝突時に、乗員保護効果が高まり難い可能性がある。
そこで、本実施形態では、エアバッグ23の形状を工夫し、さらに衝突の際に幅方向内側へ倒れようとする乗員Mを内側から支持することで、自動車1の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員Mに対する保護性能を向上させる。以下、詳しく説明する。
図4(A)の乗員保護装置10は、エアバッグ23として、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。
基端部27は、メインバッグ24についての幅方向内側の面に設けられる。略四角柱形状の基端部27は、メインバッグ24の幅方向内側に沿って伸び、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より後側へ延びる。
先端部28は、基端部27の後端に、断面略L字に折り曲げた状態で連結される。先端部28は、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面に沿って、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面の後側へ回り込んでいる。
サブバッグ25は、基端部27についての、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面寄りの部分で、メインバッグ24と連通する。サブバッグ25は、メインバッグ24とともに1つの内部空間を形成する。サブバッグ25は、インフレータ22の点火された高圧ガスの圧力により、メインバッグ24とともに展開される。これにより、サブバッグ25は、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての、幅方向内側で展開する。サブバッグ25は、メインバッグ24において乗員Mが突入する部分についての、幅方向内側の部分から後方へ突出するように、展開する。メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部の内横に展開する。
このように、サブバッグ25は、断面略L字形状に形成され、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面の後側に回り込んでいる。よって、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員Mの頭部の荷重が作用することにより、サブバッグ25がメインバッグ24についての乗員Mが突入する面に対して倒れるようにつぶれたとしても、基端部27がメインバッグ24についての幅方向内側の側面に底付きし、メインバッグ24から反力を得ることができる。その結果、該加重が作用している状況下においても、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より後方へ突出している状態を維持し得る。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
図5において、サブバッグ25は、図4と同様に、メインバッグ24の幅方向内側の部分から、後ろ向きに突出している。ただし、サブバッグ25は、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面の幅方向内側の端部から、後ろ向きに真っ直ぐに突出するのみである。サブバッグ25は、断面略L字形状に形成されていない。
その後、乗員Mがさらに幅方向内側へ傾いて倒れようとすると、図5(C)に示すように、隅部26に突入した乗員Mの頭部が幅方向内側へずれる。サブバッグ25は、幅方向内側へずれる頭部に押されて、倒れてつぶれる。その結果、一旦、メインバッグ24およびサブバッグ25に突入した乗員Mの頭部および上体は、サブバッグ25を超えて、メインバッグ24およびサブバッグ25について幅方向内側へ落ち得る。
すなわち、助手席の乗員Mが幅方向内側へ傾きながら助手席用のエアバッグ23へ突入する場合、エアバッグ23では、その幅方向内側の端部に、乗員Mの荷重がかかる。また、乗員Mの荷重は、助手席用のエアバッグ23から離れるように幅方向内側の斜め前へ向かう力として作用する。このため、幅方向内側へ広がって展開した助手席用のエアバッグ23は、乗員Mの荷重により幅方向内側へ倒れやすい。そして、一旦助手席用のエアバッグ23で支えられた乗員Mの頭部および上体は、助手席用のエアバッグ23が幅方向内側へ傾くことにより、助手席用のエアバッグ23についての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
また、図5の第2比較例では、図3(D)の第1比較例の場合と同様に、乗員Mの頭部は、突入位置からずれることにより、上体に対して大きく回転する。
上体の回転に対して頭部の回転が大きくなるほど、乗員Mの首に対して負担がかかる可能性が高くなる。
また、図5の第2比較例では、図3(D)の第1比較例の場合と同様に、助手席用のエアバッグ23は、乗員Mの荷重のままに、幅方向内側へ倒れる。
なお、以上の説明では、幅方向内側へ傾きながら突入する乗員Mは、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に対して突入するものとして説明している。しかしながら、乗員Mがエアバッグ23へ斜めに突入する位置は、隅部26に限られない。図5のように単にサブバッグ25を突出させる場合には、頭部を幅方向内側から支える機能が無いので、突入位置が隅部26からずれるほど、サブバッグ25が頭部に対して機能し難くなる。頭部の近くでサブバッグ25が展開しないと、サブバッグ25が頭部を支える機能を発揮し得ない。
しかも、サブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員Mの頭部の荷重が作用することにより変形した状態においても、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より後方へ突出する状態を維持する。よって、サブバッグ25は、乗員Mによる斜め前方向への荷重により幅方向内側へ倒れたとしても、乗員Mを幅方向内側から支えることができる。その結果、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員Mは、倒れた状態のサブバッグ25により支え続けられて、サブバッグ25およびメインバッグ24についての幅方向内側へ脱落し難い。
これ対して、図5に示すように単にメインバッグ24からサブバッグ25を突出させただけの場合、メインバッグ24およびサブバッグ25が乗員Mとともに幅方向内側へ傾く際に、メインバッグ24に突入した乗員Mが、メインバッグ24およびサブバッグ25から脱落しやすい。また、脱落する乗員Mは、頭部のみがサブバッグ25により支えられるので、頭部より上体が優先して脱落する。その結果、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部は、突入後に回転しやすい。そして、たとえば乗員Mの頭部が上体よりも回転して、乗員Mの首部分に障害が発生する可能性がある。
次に、本発明の第2実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図6に示すように、エアバッグモジュール12は、ハウジング21、インフレータ22、エアバッグ23、を有する。エアバッグ23は、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。
サブバッグ25は、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面において、該面の幅方向内側の縁から外へ離間する位置に設けられる。メインバッグ24についての乗員Mが突入する面の中央寄りに設けられる。
そして、乗員Mの上体および頭部が斜めに突入したメインバッグ24およびサブバッグ25は、乗員Mの斜め方向への荷重により、車体2の幅方向内側へ倒れようとする。しかしながら、サブバッグ25は、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面において幅方向内側の縁から外へ離間した位置に設けられる。よって、サブバッグ25は、頭部より押されてつぶされそうになるが、図6(B)に示すように、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面と頭部との間に挟まれることにより、メインバッグ24から反力を得て、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より突出した状態を維持する。その結果、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、潰さないサブバッグ25により幅方向内側から押され、支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24およびサブバッグ25の内側へ落ち難くなる。また、サブバッグ25により支えられている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、倒れたメインバッグ24の上で幅方向へ滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
この他にもたとえば、乗員Mが突入する面は、自動車1の前後方向に沿った面であっても、曲面であってもよい。これらの場合でも、乗員Mの保護性能が向上することを期待できる。
この他にもたとえば、本発明は、自動車1の運転席用の乗員保護装置10、後部座席用の乗員保護装置10に適用してよい。
Claims (3)
- 車両のシートに着座する乗員の前で展開して、倒れる乗員の頭部から上体を支えるメインバッグと、
前記メインバッグより前記車両の後方へ向けて突出して展開することにより、前記メインバッグに突入する乗員の頭部についての前記車両の幅方向内側で展開するサブバッグと、
を有し、
前記サブバッグは、前記メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部の荷重が作用することにより変形した状態においても、前記メインバッグから反力を受けて、前記メインバッグについての乗員が突入する面より後方へ突出する状態を維持する、
車両の乗員保護装置。 - 前記サブバッグは、
前記メインバッグについての幅方向内側の面に設けられ、前記メインバッグについての乗員が突入する面より後側へ延びる基端部と、
前記基端部の先に設けられ、前記メインバッグについての乗員が突入する面の後側へ回り込んでいる先端部と、
を有し、前記メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部の荷重が作用することにより変形した状態において、前記基端部が前記メインバッグに底付きすることにより、前記メインバッグから反力を得る、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記サブバッグは、
前記メインバッグについての乗員が突入する面において、該乗員突入面の幅方向内側の縁から離間して設けられ、
前記メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部の荷重が作用することにより変形した状態において、前記メインバッグと乗員との間に挟まれることにより、前記メインバッグから反力を得る、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。
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