JP6420988B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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この対策として、たとえば助手席用のエアバッグの展開範囲を、幅方向内側へ広げたり、更に広げた部分から後方へサブバッグを突出させたりすることが考えられる。
しかしながら、このように単に助手席用のエアバッグの展開範囲を幅方向内側に広げるだけでは、自動車の幅方向内側へ傾きながら突入する乗員を適切に支持することは難しい。
すなわち、助手席の乗員が幅方向内側へ傾きながら助手席用のエアバッグへ突入する場合、助手席用のエアバッグでは、その幅方向内側の端部に、乗員の荷重がかかる。また、乗員の荷重は、助手席用のエアバッグから離れるように幅方向内側の斜め前へ向かう力として作用する。このため、幅方向内側へ広がって展開した助手席用のエアバッグは、乗員の荷重により幅方向内側へ倒れやすい。そして、助手席用のエアバッグで一旦支えられた乗員の頭部および上体は、助手席用のエアバッグが幅方向内側へ傾くことにより、助手席用のエアバッグについての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
しかも、サブバッグは、メインバッグに対して乗員が幅方向内側に傾きながら突入する際に幅方向外側へ向けて変形するので、メインバッグに突入した乗員の頭部を幅方向内側から幅方向外側へ向けて強く支えることができる。特に、車両の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグは、メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たるので、乗員の頭部の前から後までを包み込んで乗員を幅方向外側へ向けて強く支えることができる。
その結果、乗員による斜め前方向への荷重によりメインバッグおよびサブバッグが乗員とともに幅方向内側へ傾いたとしても、サブバッグにより強く支えられる乗員がサブバッグおよびメインバッグから脱落し難くなる。サブバッグおよびメインバッグにより強く支えられた乗員の頭部および上体は、サブバッグおよびメインバッグについての幅方向内側へ脱落し難い。
これ対して、仮にたとえば単にメインバッグからサブバッグを突出させただけの場合、メインバッグおよびサブバッグが乗員とともに幅方向内側へ傾く際に、メインバッグに突入した乗員が、メインバッグおよびサブバッグから脱落しやすい。また、脱落する乗員は、頭部のみがサブバッグにより支えられるので、頭部より上体が優先して脱落する。その結果、メインバッグに突入した乗員の頭部は、突入後に回転しやすい。そして、たとえば乗員の頭部が上体よりも回転して、乗員の首部分に障害が発生する可能性がある。
図1は、本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置10を適用した自動車1の説明図である。
自動車1は、車両の一例である。自動車1は、燃料を燃焼させるエンジンを有するものでも、蓄電電力で駆動されるモータを有するものでも、または、双方を有するものでもよい。
図1の自動車1は、車体2の前後方向の中央部に乗員室3が形成される。乗員室3の前部には、ダッシュボード4が配置される。ダッシュボード4についての車体2の幅方向の中央部には、センタコンソール5が配置される。センタコンソール5から車体2の後方へ向けて、センタトンネル6が形成される。ダッシュボード4およびセンタコンソール5には、たとえばインストルメントパネル、グローボックス、各種機器の操作パネルが設置される。
センタトンネル6についての幅方向の左側には、運転者が着座するシート7が設置される。運転席用のシート7の前には、ハンドル8が配置される。ハンドル8は、ダッシュボード4から伸びるボスの後端に取り付けられる。
センタトンネル6についての幅方向の右側には、乗員Mが着座する助手席用のシート7が設置される。なお、助手席用のシート7と運転席用のシート7とは、幅方向左右で入れ替えられてもよい。
運転席用のシート7および助手席用のシート7の前後方向後側には、後部乗員用のシート7が設置される。後部乗員用のシート7は、幅方向に長い形状のシート7である。
図2の助手席用の乗員保護装置10は、シートベルトモジュール11、エアバッグモジュール12、車外撮像センサ13、車内撮像センサ14、ECU(Engine Control Unit)15、を有する。
ハウジング21は、ダッシュボード4内で、助手席用のシート7の前方の位置に配置される。ハウジング21は、左右方向に延在するビーム9に取り付けられる。ビーム9は、たとえばハンドル8が取り付けられるものでよい。
インフレータ22は、高圧ガスを収容する。高圧ガスは、火薬などによる点火により膨張し得る。
エアバッグ23は、布材を袋状に縫製したものである。エアバッグ23は、インフレータ22に取り付けられる。エアバッグ23およびインフレータ22は、ハウジング21に収容される。
このようにシート7の前方に設置されたエアバッグモジュール12では、インフレータ22がECU15からの点火信号により高圧ガスを膨張させる。これにより、エアバッグ23は、シート7に着座する乗員Mの前で展開する。エアバッグモジュール12は、乗員Mとダッシュボード4との間に展開する。これにより、衝突の際の衝撃により前に倒れる乗員Mは、展開したエアバッグ23により支えられる。
図3のエアバッグ23は、図1および図2に示す本実施形態のエアバッグ23と異なり、乗員Mの前方のみで展開する。このようなエアバッグ23は、乗員Mの正面方向にのみ展開する。
倒れ始めた上体および頭部は、図3(B)に示すように、展開したエアバッグ23の内側部分に対して斜めに当たる。乗員Mが斜め方向の入力で当たることにより、図3(C)に示すように、展開したエアバッグ23は、乗員Mとともに内側に倒れる。その結果、極端な場合には、倒れる乗員Mの上体および頭部は、図3(D)に示すように、展開したエアバッグ23についての幅方向内側に外れ、エアバッグ23についての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
また、図3(D)と図3(C)とを比較すればわかるように、乗員Mの頭部は、上体に対して大きく回転している。上体の回転に対して頭部の回転が大きくなるほど、乗員Mの首に対して負担がかかる可能性が高くなる。
そこで、本実施形態では、エアバッグ23の形状を工夫し、さらに衝突の際に幅方向内側へ倒れようとする乗員Mを内側から支持することで、自動車1の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員Mに対する保護性能を向上させる。以下、詳しく説明する。
図4(A)の乗員保護装置10は、エアバッグ23として、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。
サブバッグ25は、メインバッグ24と連通し、メインバッグ24とともに1つの内部空間を形成する。サブバッグ25は、インフレータ22の点火された高圧ガスの圧力により、メインバッグ24とともに展開される。これにより、サブバッグ25は、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての、幅方向内側で展開する。サブバッグ25は、メインバッグ24において乗員Mが突入する部分についての、幅方向内側の部分から後方へ突出するように、展開する。メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部の内横に展開する。
サブバッグ25は、メインバッグ24から突出する基端部27と、先端部28と、を有する。先端部28は、基端部27から、自動車1の後方向へ突出する。先端部28は、基端部27より幅方向外側へ斜めに突出する。幅方向外側へ向かって斜めに突出する先端部28は、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部の後頭部の後側に回り込んで当たる。先端部28は、メインバッグ24に突入した乗員Mの後頭部を、幅方向内側から外向きに支える。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図4(B)に示すように、乗員Mの頭部は、メインバッグ24についての隅部26となる部分に突入する。メインバッグ24についての、サブバッグ25の基端部27と隣り合う部分に、頭部が突入する。
メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重により押されると、該部分に隣接して突出するサブバッグ25は、幅方向外側に向かって回転しようとする。サブバッグ25は、メインバッグ24に対して、幅方向外側へ向けて変形しようとする。その結果、メインバッグ24に突入した際に乗員Mの後頭部と当たっていたサブバッグ25の先端部28は、乗員Mの後頭部に対して幅方向外向きの力を作用させる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から支えて押される。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ちなくなる。また、サブバッグ25により支えられて且つ後頭部が押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
図5において、サブバッグ25は、図4と同様に、メインバッグ24の幅方向内側の部分から、後ろ向きに突出している。ただし、サブバッグ25は、後ろ向きに真っ直ぐに突出するのみである。サブバッグ25は、乗員Mの後頭部を覆わない。
その後、乗員Mがさらに幅方向内側へ傾いて倒れようとすると、図5(C)に示すように、隅部26に突入した乗員Mの頭部が幅方向内側へずれる。サブバッグ25は、幅方向内側へずれる頭部に押されて、倒れる。サブバッグ25は、メインバッグ24についての乗員突入面に対して、幅方向内側へ倒れる。その結果、一旦、メインバッグ24およびサブバッグ25に突入した乗員Mの頭部および上体は、サブバッグ25を超えて、メインバッグ24およびサブバッグ25について幅方向内側へ落ち得る。
すなわち、助手席の乗員Mが幅方向内側へ傾きながら助手席用のエアバッグ23へ突入する場合、エアバッグ23では、その幅方向内側の端部に、乗員Mの荷重がかかる。また、乗員Mの荷重は、助手席用のエアバッグ23から離れるように幅方向内側の斜め前へ向かう力として作用する。このため、幅方向内側へ広がって展開した助手席用のエアバッグ23は、乗員Mの荷重により幅方向内側へ倒れやすい。そして、一旦助手席用のエアバッグ23で支えられた乗員Mの頭部および上体は、助手席用のエアバッグ23が幅方向内側へ傾くことにより、助手席用のエアバッグ23についての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
また、図5の第2比較例では、図3(D)の第1比較例の場合と同様に、乗員Mの頭部は、突入位置からずれることにより、上体に対して大きく回転する。上体の回転に対して頭部の回転が大きくなるほど、乗員Mの首に対して負担がかかる可能性が高くなる。
また、図5の第2比較例では、図3(D)の第1比較例の場合と同様に、助手席用のエアバッグ23は、乗員Mの荷重のままに、幅方向内側へ倒れる。
なお、以上の説明では、幅方向内側へ傾きながら突入する乗員Mは、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に対して突入するものとして説明している。しかしながら、乗員Mがエアバッグ23へ斜めに突入する位置は、隅部26に限られない。図5のように単にサブバッグ25を突出させる場合には、頭部を幅方向内側から支える機能が無いので、突入位置が隅部26からずれるほど、サブバッグ25が頭部に対して機能し難くなる。頭部の近くでサブバッグ25が展開しないと、サブバッグ25が頭部を支える機能を発揮し得ない。
しかも、サブバッグ25は、メインバッグ24に対して乗員Mが幅方向内側に傾きながら突入する際に幅方向外側へ向けて回動する。よって、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部は、サブバッグ25による幅方向内側から幅方向外側へ向けた変形により、強く支えられ得る。特に、自動車1の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員Mの頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。よって、乗員Mの頭部の前から後までを包み込んで、乗員Mを幅方向外側へ向けて強く支えることができる。
その結果、乗員Mによる斜め前方向への荷重によりメインバッグ24およびサブバッグ25が乗員Mとともに幅方向内側へ傾くとしても、サブバッグ25により頭部がずれないように強く支えられる乗員Mは、サブバッグ25およびメインバッグ24から脱落し難くなる。サブバッグ25およびメインバッグ24により強く支えられた乗員Mは、サブバッグ25およびメインバッグ24についての幅方向内側へ脱落し難い。
これ対して、仮にたとえば図5の第2比較例のように単にメインバッグ24からサブバッグ25を突出させただけの場合、メインバッグ24およびサブバッグ25が乗員Mとともに幅方向内側へ傾くことにより、メインバッグ24に突入した乗員Mはメインバッグ24およびサブバッグ25から脱落しやすい。また、脱落する乗員Mは、頭部のみがサブバッグ25により支えられるので、頭部より上体が優先して脱落し易い。その結果、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部は、突入後に回転しやすい。そして、たとえば乗員Mの頭部が上体よりも回転して、乗員Mの首部分に大きな負担がかかる可能性がある。
次に、本発明の第2実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図6(A)は、乗員Mが倒れる前の状態を示す。図6(B)は、乗員Mが自動車1の幅方向内側へ倒れながら前へ倒れた場合の状態を示す。
そして、布状部材31は、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26から浮かした状態で、サブバッグ25とメインバッグ24との間に橋渡すように取り付けられる。長方形の布状部材31の場合、その一辺がサブバッグ25の基端部27に取り付けられ、対向する他辺がメインバッグ24に取り付けられる。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図6(B)に示すように、乗員Mの頭部は、布状部材31に突入した後、さらに隅部26に突入する。布状部材31は、乗員Mの頭部により、メインバッグ24についての、サブバッグ25の基端部27と隣り合う部分に押し付けられる。このため、布状部材31により引かれるサブバッグ25は幅方向外側へ向かって回転する。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することに加えて、布状部材31により引かれることにより、後頭部についての幅方向内側を強く押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して強い力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から強く支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が強く押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
次に、本発明の第3実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図7は、本発明の第3実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図7(A)は、乗員Mが倒れる前の状態を示す。図7(B)は、エアバッグ23の展開状態を示す模式的な断面図である。図7(B)では、乗員Mが自動車1の幅方向内側へ倒れながら前へ倒れている。
メインバッグ24には、脆弱部32が形成される。脆弱部32は、図7(B)に示すように、たとえばメインバッグ24についての他の部分より薄肉に形成した部分である。脆弱部32は、メインバッグ24についての隅部26より幅方向外側となる部分に形成される。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図7(B)に示すように、乗員Mの頭部は、メインバッグ24についての隅部26となる部分に突入する。メインバッグ24は、脆弱部32が変形する。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することに加えて、脆弱部32によりメインバッグ24の変形が促進されることにより、後頭部についての幅方向内側を強く押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して強い力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から強く支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が強く押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
以上のように、本実施形態では、サブバッグ25は、メインバッグ24から突出する。しかも、メインバッグ24についての、サブバッグ25との隅部26についての幅方向外側となる部分には、該隅部26となる部分より脆弱な脆弱部32が形成される。サブバッグ25および隅部26は、脆弱部32についての幅方向内側において揺動し得る。よって、幅方向内側に傾きながら前に倒れる乗員Mが、メインバッグ24についての隅部26となる部分に対して突入することにより、サブバッグ25が幅方向外側へ向けて移動する。サブバッグ25は、頭部の後側を幅方向外側へ向けて押すことができる。
次に、本発明の第4実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図8は、本発明の第4実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図8には、エアバッグ23の展開状態が模式的に図示されている。
形状補強部材33は、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に取り付けられる。形状補強部材33は、たとえばメインバッグ24用の布材を樹脂材料により所望の形状に硬化させたものでよい。形状補強部材33は、メインバッグ24についての隅部26となる部分から、サブバッグ25の基端部27の部分までに貼着される。形状補強部材33を貼り付けることにより、隅部26の剛性が向上する。隅部26は、図8における断面略L字形状の断面を維持し易くなる。メインバッグ24からのサブバッグ25の突出角度は、維持し易くなる。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図8に示すように、乗員Mの頭部は、メインバッグ24についての隅部26となる部分に突入する。メインバッグ24は、形状補強部材33で補強された隅部26となる部分の周囲で変形しやすい。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することに加えて、形状補強部材33により隅部26の変形が抑制されることにより、後頭部についての幅方向内側を強く押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して強い力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から強く支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が強く押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
次に、本発明の第5実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図9は、本発明の第5実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。
サブバッグ25の基端部27は、メインバッグ24の幅方向内側の側面から突出する。基端部27は、メインバッグ24の幅方向内側の側面に沿って、後方へ向かって伸びている。基端部27は、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より後側へ伸びる。
サブバッグ25の先端部28は、基端部27より幅方向外側へ斜めに突出する。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、乗員Mの頭部は、隅部26に突入する。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することにより、後頭部についての幅方向内側を押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。
この他にもたとえば、サブバッグ25は、回動以外の動きで幅方向外側へ向けて変形すればよい。また、布状部材31、脆弱部32、形状補強部材33以外の部材を用いて、サブバッグ25についての幅方向外側への変形を促進してもよい。
この他にもたとえば、乗員Mが突入する面は、自動車1の前後方向に沿った面であっても、曲面であってもよい。これらの場合でも、本発明により乗員Mの保護性能が向上することを期待できる。
この他にもたとえば、本発明は、自動車1の運転席用の乗員保護装置10、後部座席用の乗員保護装置10に適用してよい。
Claims (5)
- 車両のシートに着座する乗員の前で展開して、倒れる乗員の頭部から上体を支えることが可能なメインバッグと、
前記メインバッグに突入する乗員の頭部についての前記車両の幅方向内側で展開するサブバッグと、
前記メインバッグに対して乗員が幅方向内側に傾きながら突入する際に前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造と、
を有し、
前記車両の幅方向外側へ向けて変形される前記サブバッグは、前記メインバッグから前記車両の後方へ向けて突出すると共に先端部が基端部より幅方向外側に位置するように形成され、前記メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員の頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たると共に前記メインバッグについての前記基端部と隣り合う部分に対して頭部が突入することにより前記先端部が幅方向外側へ向けて回動する、
車両の乗員保護装置。 - 前記サブバッグは、
前記基端部が前記メインバッグから突出するように形成されると共に前記先端部が前記基端部から前記車両の後方へ向けて突出するように形成され、
前記先端部が前記基端部より幅方向外側へ突出し、
前記メインバッグについての前記基端部と隣り合う部分に対して頭部が突入することにより、前記基端部より幅方向外側へ突出している前記先端部が幅方向外側へ向けて回動する、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、
前記サブバッグを幅方向外側へ向けて変形させる構造は、
前記隅部から浮かした状態で前記サブバッグと前記メインバッグとの間に橋渡すように布状部材または紐状部材を取り付けることにより実現される、
請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。 - 前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、
前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造は、
前記メインバッグについての前記隅部より幅方向外側となる部分に、前記メインバッグについての前記隅部となる部分より脆弱な脆弱部が形成されることにより実現される、
請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。 - 前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、
前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造は、
前記隅部に、前記メインバッグからの前記サブバッグの突出角度を維持する形状補強部材を取り付けることにより実現される、
請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。
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