JP6937145B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
シートベルトは、一般的に三点式であり、シートに着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前にリトラクタでシートベルトを巻き取って弛みを減らし、衝突時にシートベルトの送り出しを規制する。これにより、衝突時にシートから前へ移動しようとする乗員の身体をシートに着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグは、乗員室においてシートの前に設けられるハンドルまたはダッシュボードに設けられ、シートへ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグで支えて衝撃を吸収する。
たとえば前面衝突においても、衝突の衝撃によりシートに着座した乗員が前へ移動する可能性がある。そして、乗員の腰部がシートの着座位置から前へ滑って移動してしまうと、腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込もうとする上体は、フロントエアバッグに近づいた状態から前へ倒れ込むことになる。この場合、フロントエアバッグと上体との接触状態は、腰部がシートの着座位置にある場合に想定していたものとは異なる。
その結果、乗員の腰部はシートの着座位置に保持され、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。そして、着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れる上体を、フロントエアバッグにより好適に支えて衝撃を吸収することができる。
しかも、第二座面エアバッグは、第一座面エアバッグより後側へ延在し、第一座面エアバッグより低い剛性に展開する。よって、たとえば第一座面エアバッグをシートに着座した乗員の荷重により変形し難い高い剛性に展開させて乗員の腰部などを好適に支持させつつ、乗員の腰部などがその高い剛性の第一座面エアバッグに対して直接的に接触し難くなる。乗員の腰部などを第一座面エアバッグより低い剛性に展開する第二座面エアバッグに接触した状態で、第一座面エアバッグにより支えることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る乗員保護装置10が適用可能な自動車1の説明図である。
図1には、シートベルト19、フロントエアバッグ16が図示されている。
シートベルト19は、一般的に三点式である。三点式のシートベルト19は、シート4に着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前に図示外のリトラクタでシートベルト19を巻き取ってたるみを減らし、さらに衝突時にシートベルト19の送り出しを規制する。これにより、衝突時にシート4から前へ移動しようとする乗員の身体をシート4に着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグ16は、乗員室2においてシート4の前に設けられるハンドルまたはダッシュボード6に設けられ、シート4へ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグ16で支えて衝撃を吸収できる。
たとえば図2は、前面衝突における乗員の挙動の一例の説明図である。
乗員がシート4に着座した状態で前面衝突が起きると、図2(A)に示すように、衝突の衝撃によりシート4に着座した乗員には相対的に前へ移動しようとする力が作用する。
この際に乗員がシートベルト19により押さえられていないとすると、図2(B)に示すように、乗員の腰部はシート4の着座位置から前へ滑って移動する。
そして、乗員の腰部はたとえば膝頭がダッシュボード6に当たった状態で止まり、乗員の上体は、図2(C)に示すように、その位置の腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込むことになる。
図2(C)でのフロントエアバッグ16に対する上体の接触状態は、図3と比較すれば明らかなように腰部が着座位置にある場合において想定したものとは異なる。乗員の上体は、フロントエアバッグ16に近づいた位置において前へ倒れ込む。展開したフロントエアバッグ16と上体との接触状態は、腰部がシート4の着座位置にあると想定した場合のものとは異なる。この場合、展開したフロントエアバッグ16により、適切に倒れ込んだ上体を支持して衝撃を吸収することができない可能性がある。
また、上体は腰部の移動が止まった後に短時間で急に前へ倒れることになる。
車外撮像センサ41は、たとえば車体3の前方を撮像する。これにより、たとえば走行中の車体3に対して前から近づく他の車体を画像として撮像することができる。
操舵アクチュエータ43は、ハンドルの替わりに、自動車1の操舵装置を駆動する。
ブレーキアクチュエータ44は、ブレーキペダルの替わりに、自動車1の制動装置を駆動する。
動力源45は、たとえばガソリンエンジン、電気モータである。
自動運転制御部42は、自動車1の走行を自動制御する。自動運転制御部42は、たとえば目的地までの走行経路情報にしたがって、操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。また、自動運転制御部42は、車外撮像センサ41の画像に基づいて接近物を特定し、接近物との衝突を予想する。そして、接近物との衝突を予想した場合には、自動運転制御部42は、その衝突を回避するように操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。
これにより、第二座面エアバッグ31は、第一座面エアバッグ21より後側に延在するように展開する。
また、第一座面エアバッグ21および第二座面エアバッグ31は、シート4の座面の前半分の範囲内で展開する。
エアバッグは、たとえばエアバッグの容量に対する発生ガス量を増やすことにより高い圧力に展開して剛性が高くなる。
この他にも、エアバッグそのものにテザーなどにより補剛構造を持たせることにより、剛性が高くなる。
展開した第一座面エアバッグ21および第二座面エアバッグ31は、シート4に着座した乗員の右腿部と左腿部との間に突出する。高剛性の第一座面エアバッグ21の後側に、低剛性の第二座面エアバッグ31が展開する。
これにより、シート4の座面の上で前へ滑ろうとする乗員の腰部は、第二座面エアバッグ31に当たり、前から押さえられる。乗員の腰部は、シート4の着座位置から前へ移動し難くなる。
その結果、乗員の腰部はシート4の着座位置に保持され、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。そして、着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れる上体を、フロントエアバッグ16により好適に支えて衝撃を吸収することができる。
しかも、第二座面エアバッグ31は、第一座面エアバッグ21より後側へ延在し、第一座面エアバッグ21より低い剛性に展開する。よって、たとえば第一座面エアバッグ21がシート4に着座した乗員の荷重により変形し難い高い剛性に展開されたとしても、乗員の腰部などがその高い剛性の第一座面エアバッグ21に対して直接的に接触し難くなる。第一座面エアバッグ21より低い剛性に展開する第二座面エアバッグ31に接触した状態で、第一座面エアバッグ21により支えることができる。
しかも、乗員が直接的に接触する第二座面エアバッグ31は、第一座面エアバッグ21の後側に並べて別体に立設する。このため、第二座面エアバッグ31が荷重などにより倒れるような場合でも、さらに第一座面エアバッグ21により乗員を支えることができる。荷重の大きさに応じて二段階の支持を実現できる。
なお、第一座面エアバッグ21および第二座面エアバッグ31にアクティブベントを設け、所定以上の高い展開圧力が作用した場合にはこれを排気するようにしてもよい。これにより、スカートなどにより上へ展開できない状況であっても、腰部の前側において腿部の下で横へ展開し易くなる。
次に、第2実施形態に係る乗員保護装置10について説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図6において、第二座面エアバッグ31は、第一座面エアバッグ21の外側において二重に展開する。第一座面エアバッグ21は、第二座面エアバッグ31により覆われる。
また、第二座面エアバッグ31は、第一座面エアバッグ21を囲むために、第一座面エアバッグ21より大きく展開される。これにより、乗員の腰部などがエアバッグに接触する面積は大きくなる。その分、さらに乗員の腰部などに対して作用する単位面積当たりの圧力を低くできる。
次に、第3実施形態に係る乗員保護装置10について説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図7において、第一座面エアバッグ21は、シート4の座面から上へ向かって展開する腿間展開部23と、腿間展開部23の上端から左右方向へ展開する腿上展開部24と、を有する。
そして、第二座面エアバッグ31は、腿間展開部23の周囲に展開する。腿間展開部23と第二座面エアバッグ31とにより、座面から立設する部分は、二重のエアバッグ構造となる。
また、腿上展開部24は、乗員の右腿部および左腿部より上へ突出した腿間展開部23の上端から右腿部および左腿部の上へ広がって展開する。
Claims (6)
- 車両のシートの座面についての左右方向の中央部から上へ向かって展開して前記シートに着座した乗員の右腿部と左腿部との間に突出する第一座面エアバッグと、
前記シートの座面における前記第一座面エアバッグより後側において左右方向の中央部から上へ向かって展開する第二座面エアバッグと、
を有し、
前記第二座面エアバッグは、前記第一座面エアバッグより低い剛性に展開する、
乗員保護装置。 - 前記第一座面エアバッグは、前記シートに着座した乗員の荷重により変形し難い高い剛性に展開される、
請求項1記載の乗員保護装置。 - 前記第二座面エアバッグは、前記第一座面エアバッグと前後方向に並んで前記第一座面エアバッグの後側において展開する、
請求項1または2記載の乗員保護装置。 - 車両のシートの座面についての左右方向の中央部から上へ向かって展開して前記シートに着座した乗員の右腿部と左腿部との間に突出する第一座面エアバッグと、
前記第一座面エアバッグを囲んで覆うように展開して、前記第一座面エアバッグとともに二重のエアバッグを構成する第二座面エアバッグと、
を有し、
前記第二座面エアバッグは、前記第一座面エアバッグより低い剛性に展開する、
乗員保護装置。 - 前記第一座面エアバッグは、前記シートに着座した乗員の右腿部および左腿部より上へ展開し、
前記第一座面エアバッグの上端から前記右腿部および前記左腿部の上へ広がって展開する腿上展開部、を更に有する、
請求項4記載の乗員保護装置。 - 前記第一座面エアバッグおよび前記第二座面エアバッグは、前記シートの座面の前半分の範囲内で展開する、
請求項1から4のいずれか一項記載の乗員保護装置。
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