JP6845718B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
シートベルトは、一般的に三点式であり、シートに着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前にリトラクタでシートベルトを巻き取って弛みを減らし、衝突時にシートベルトの送り出しを規制する。これにより、衝突時にシートから前へ移動しようとする乗員の身体をシートに着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグは、乗員室においてシートの前に設けられるハンドルまたはダッシュボードに設けられ、シートへ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグで支えて衝撃を吸収する。
たとえば前面衝突においても、衝突の衝撃によりシートに着座した乗員が前へ移動する可能性がある。そして、乗員の腰部がシートの着座位置から前へ滑って移動してしまうと、腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込もうとする上体は、フロントエアバッグに近づいた状態から前へ倒れ込むことになる。この場合、フロントエアバッグと上体との接触状態は、腰部がシートの着座位置にある場合に想定していたものとは異なる。
その結果、座面エアバッグを乗員の腰部の前に展開でき、展開した座面エアバッグにより腰部を前から押さえることができ、腰部をシートの着座位置に保持することができる。そして、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。上体が着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れることにより、上体をフロントエアバッグにより好適に支えて衝撃を吸収することができる。
図1には、シートベルト19、フロントエアバッグ16が図示されている。
シートベルト19は、一般的に三点式である。三点式のシートベルト19は、シート4に着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前に図示外のリトラクタでシートベルト19を巻き取ってたるみを減らし、さらに衝突時にシートベルト19の送り出しを規制する。これにより、衝突時にシート4から前へ移動しようとする乗員の身体をシート4に着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグ16は、乗員室2においてシート4の前に設けられるハンドルまたはダッシュボード6に設けられ、シート4へ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグ16で支えて衝撃を吸収できる。
たとえば図2は、前面衝突における乗員の挙動の一例の説明図である。
乗員がシート4に着座した状態で前面衝突が起きると、図2(A)に示すように、衝突の衝撃によりシート4に着座した乗員には相対的に前へ移動しようとする力が作用する。
この際に乗員がシートベルト19により押さえられていないとすると、図2(B)に示すように、乗員の腰部はシート4の着座位置から前へ滑って移動する。
そして、乗員の腰部はたとえば膝頭がダッシュボード6に当たった状態で止まり、乗員の上体は、図2(C)に示すように、その位置の腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込むことになる。
図2(C)でのフロントエアバッグ16に対する上体の接触状態は、図3と比較すれば明らかなように腰部が着座位置にある場合において想定したものとは異なる。乗員の上体は、フロントエアバッグ16に近づいた位置において前へ倒れ込む。展開したフロントエアバッグ16と上体との接触状態は、腰部がシート4の着座位置にあると想定した場合のものとは異なる。この場合、展開したフロントエアバッグ16により、適切に倒れ込んだ上体を支持して衝撃を吸収することができない可能性がある。
また、上体は腰部の移動が止まった後に短時間で急に前へ倒れることになる。
車外撮像センサ41は、たとえば車体3の前方を撮像する。これにより、たとえば走行中の車体3に対して前から近づく他の車体を画像として撮像することができる。
操舵アクチュエータ43は、ハンドルの替わりに、自動車1の操舵装置を駆動する。
ブレーキアクチュエータ44は、ブレーキペダルの替わりに、自動車1の制動装置を駆動する。
動力源45は、たとえばガソリンエンジン、電気モータである。
自動運転制御部42は、自動車1の走行を自動制御する。自動運転制御部42は、たとえば目的地までの走行経路情報にしたがって、操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。また、自動運転制御部42は、車外撮像センサ41の画像に基づいて接近物を特定し、接近物との衝突を予想する。そして、接近物との衝突を予想した場合には、自動運転制御部42は、その衝突を回避するように操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。
図6は、図4の座面エアバッグ21のシート4の下での格納状態の説明図である。
座面エアバッグ装置20は、座面エアバッグ21、インフレータ24、エアバッグ本体25、切割部材26、を有する。
また、シート4の座面には、シート4の座面の他の部分より薄く形成された亀裂部27が設けられる。亀裂部27は、シート4の左右方向中央前部において、前後方向へ伸在するように設けられる。
エアバッグ本体25には、座面エアバッグ21、インフレータ24が設けられる。
展開した座面エアバッグ21は、図5に示すように、展開上部22、展開下部23、を有する。
展開下部23は、シート4の座面の左右方向中央前部から上へ展開してシート4に着座した乗員の右腿部と左腿部との間に立設される展開する部分である。
展開上部22は、展開下部23の上端から左右の横方向へ展開して右腿部および左腿部の上に展開する部分である。展開上部22は、展開下部23より上において、展開下部23よりも左右方向へ幅広に展開する。
切割部材26は、第一陥入板部28、第二陥入板部29、第一連結板部30、および第二連結板部31、を有する。
第一陥入板部28、第二陥入板部29、第一連結板部30、および第二連結板部31は、たとえば矩形の可撓性シートで構成されてよい。
第一連結板部30の上縁は、シート4の座面の裏側に固定される。
第一連結板部30の下縁と、第一陥入板部28の下縁とは、たとえば接着して重ね合わされる。
第一陥入板部28の上縁と、第二陥入板部29の上縁とは、たとえば接着して重ね合わされる。
第二陥入板部29の下縁と、第二陥入板部29の下縁とは、たとえば接着して重ね合わされる。
第二連結板部31の上縁は、シート4の座面の裏側に固定される。
これにより、第一陥入板部28、第二陥入板部29、第一連結板部30、および第二連結板部31は、断面略W字形状に組み合わされる。
そして、第一陥入板部28の上縁と第二陥入板部29の上縁とが重ね合わせることにより形成されるエッジ32が、シート4の座面の左右方向中央前部の下側において亀裂部27に沿って前後方向に伸在するように、シート4の座面の裏側に取り付けられる。
また、第一陥入板部28および第二陥入板部29による略逆V字形状の構造の下側に、格納された座面エアバッグ21が位置する。
これにより、シート4の座面の下側には、第一陥入板部28と第一連結板部30とによる略V字形状の陥入部分と、第二陥入板部29と第二連結板部31とによる略V字形状の陥入部分とが形成される。
図7および図8は、図4の座面エアバッグ21の通常の展開動作の説明図である。図7(A)において右腿部と左腿部とは、シート4の左右方向中央部において互いに接するように揃えられている。
乗員保護制御部14は、インフレータ24へ点火信号を出力する。これにより、座面エアバッグ21は、展開を開始する。
押し上げられた切割部材26では、第一陥入板部28と第二陥入板部29との間から押し上げられることにより、エッジ32がシート4の座面の左右方向中央前部に設けられた亀裂部27に押し当たる。
これにより、図7(C)に示すように、第一陥入板部28に対して第一連結板部30が開き、第二陥入板部29に対して第二連結板部31が開き始める。
これにより、座面エアバッグ21で上に押されたシート4の座面は、左右方向中央前部が凸となるように上昇し始める。右腿部と左腿部との間は少し広がり始める。
そして、亀裂部27から上へ第一陥入板部28および第二陥入板部29が更に押し上げられることにより、第一連結板部30および第二連結板部31が反転してシート4の座面の上にでる。右腿部と左腿部とは左右に大きく開かれる。
切割部材26は、反転した第一連結板部30とその上の第一陥入板部28による部分と、反転した第二連結板部31とその上の第二陥入板部29による部分と、に炸裂される。
座面エアバッグ21は、切割部材26が左右に炸裂されてなる一対の板部により左右に大きく開かれた右腿部と左腿部との間から、上へ突出する。
座面エアバッグ21の展開上部22は、シート4の座面から上へ突出した展開下部23の上端において左右の横方向への展開し、右腿部の上側および左腿部の上側に展開する。
また、展開下部23は、右腿部と左腿部との間に展開する。
これにより、衝突の際にシート4の座面の上で前へ滑ろうとする乗員の腰部は、座面エアバッグ21により前および上から押さえられる。乗員の腰部は、シート4の着座位置から移動し難くなる。
図9は、シート4の座面の上に展開できない場合の予備的な展開状態の説明図である。
図9(A)において、シート4の座面の上は、たとえばスカートなどにより塞がれている。
しかしながら、シート4の座面の上が塞がれているため、その後には、図9(C)に示すように、座面エアバッグ21はシート4の前部の座面下で展開する。その結果、シート4の座面の前部が持ち上がる。
なお、本実施形態では、座面エアバッグ21がシート4の上へ展開できない場合に、座面エアバッグ21をシート4内で左右方向へ展開させている。この他にもたとえば、座面エアバッグ21とは別の袋体を設け、その袋体をシート4内で左右方向へ展開させてもよい。
その結果、座面エアバッグ21を乗員の腰部の前に展開でき、展開した座面エアバッグ21により腰部を前から押さえることができ、腰部をシート4の着座位置に保持することができる。そして、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。上体が着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れることにより、上体をフロントエアバッグ16により好適に支えて衝撃を吸収することができる。
しかも、略逆V字状に形成された第一陥入板部28の下縁は、第一連結板部30によりシート4の座面と連結され、第二陥入板部29の下縁は、第二連結板部31によりシート4の座面と連結される。したがって、上へ展開する座面エアバッグ21により第一陥入板部28と第二陥入板部29とが押し上げられることにより、第一陥入板部28と第二陥入板部29とは、第一連結板部30および第二連結板部31により両側から押され、更に間隔を狭めるようになる。よって、第一陥入板部28の上縁と第二陥入板部29の上縁とが互いに合わされてなるエッジ32により、シート4の座面をより確実に切り裂くことができる。
また、互いに合わされていた第一陥入板部28の上縁と第二陥入板部29の上縁とは、それらが逆向きに反転するように動作する。よって、シート4の座面を切り裂いた後に第一陥入板部28の上縁と第二陥入板部29の上縁とは、左右に離れるようになる。
よって、座面エアバッグ21の上への展開により、シート4の座面が押し上げられ、さらに切割部材26を左右に分割するようにしてシート4の座面を割き、その状態で座面エアバッグ21を第一陥入板部28と第二陥入板部29との間から上へ向かって展開することができる。
これにより、右腿部と左腿部とを、座面エアバッグ21が展開する前に、座面エアバッグ21が展開しようとする範囲から左右両側へ開いて逃がすことができる。
このように、確実に右腿部と左腿部と開いて、座面エアバッグ21が腿部へ向かって当たるように展開し難くなる。
Claims (4)
- 車両のシートの座面の左右方向中央部の下から上へ向かって展開する座面エアバッグと、
前記シートの座面と座面エアバッグとの間に位置するように前記シートに設けられ、前記座面エアバッグが上へ展開することにより前記シートの座面の左右方向中央部に押し付けられて切り裂く切割部材と、
を有し、前記シートの座面の左右方向中央部には、前後方向へ伸在するように前記シートの座面の他の部分より裂け易く形成された亀裂部が設けられる、
乗員保護装置。 - 前記切割部材は、
前記シートの座面の左右方向中央部の下側において前後方向に沿ってエッジが形成されるように上縁同士が互いに合わされる第一陥入板部および第二陥入板部と、
前記シートの座面の下に陥入部分を形成するように前記シートの座面と前記第一陥入板部の下縁との間を連結する第一連結板部と、
前記シートの座面の下に陥入部分を形成するように前記シートの座面と前記第二陥入板部の下縁との間を連結する第二連結板部と、
を有し、
前記座面エアバッグは、上縁同士が互いに合わされた前記第一陥入板部と前記第二陥入板部とにより形成される略逆V字状の空間へ向かって上へ展開する、
請求項1記載の乗員保護装置。 - 前記第一連結板部と前記第二連結板部とは、前記シートの座面の裏側に取り付けられる上縁同士の左右方向の間隔が、下縁同士の左右方向の間隔より狭くなるように前記シートの座面の下に設けられる、
請求項2記載の乗員保護装置。 - 車両のシートの座面の左右方向中央部の下から上へ向かって展開することにより、前記シートの座面の上において左右方向へ展開可能な座面エアバッグと、
前記シートの座面と座面エアバッグとの間に位置するように前記シートに設けられ、前記座面エアバッグが上へ展開することにより前記シートの座面の左右方向中央部に押し付けられて切り裂く切割部材と、
を有し、
前記座面エアバッグは、前記シートの座面の上へ展開できない場合、前記シートの下で左右方向へ展開する、
乗員保護装置。
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