JP2017149884A - 樹脂組成物、水性塗工液、保護層及び感熱記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる水溶性を利用し、溶剤不要の水性塗工液として、感熱記録媒体の保護層等に好適に用いられている。
しかしながら、PVA系樹脂は水溶性であるため耐水性に乏しく、水にさらされたり、高湿度下に置かれたりするような用途に適用する際にはPVA系樹脂の耐水性が必要であり、そのため、PVA系樹脂の耐水化の検討が種々行われている。
中でも、高い反応性を有することから、カルボキシル基を含有するPVA系樹脂が用いられている。また、カルボキシル基含有PVA系樹脂は、エポキシ系化合物と反応するため、架橋剤としてポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
そこで、本発明は、このような背景下において、耐水性及び耐水ブロッキング性に優れる感熱記録媒体の保護層に有用な樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるカルボキシル基含有PVA系樹脂は、カルボキシル基を有する構造単位を有するものであり、製造方法としては、例えば、(1)カルボキシル基を有する不飽和単量体及びビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法、(2)カルボキシル基を有するアルコールやカルボキシル基を有し、かつアルデヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させてビニルエステル系化合物を重合した後に、アルカリ金属水酸化物等の触媒でケン化する方法等が挙げられるが、(1)の方法が樹脂の製造面、性能面から実用的である。
上記カルボキシル基を有する不飽和単量体としては、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等)、又はエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、等)、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸、等)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体、及びこれらの塩が挙げられ、エチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使用される。
中でも、ビニルエステル単量体との反応性の点でエチレン性不飽和カルボン酸モノエステルが好ましく、更にはマレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルが好ましく、特にはマレイン酸モノアルキルエステルが好ましい。
本発明で用いられるポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂は、10重量%水溶液粘度が5〜30mPa・sであり、好ましくは8〜28mPa・s、特に好ましくは10〜25mPa・sである。 かかる粘度が低すぎても高すぎても、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
本発明に用いられるポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂の粘度は、ブルックフィールド粘度計(DV3T 英弘精機社製)を用いて、23℃、回転数20rpmで測定されるものである。
本発明の樹脂組成物は、上記のカルボキシル基含有PVA系樹脂とポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂を含有するものである。
本発明の樹脂組成物における、ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂の含有量はカルボキシル基含有PVA系樹脂100重量部に対して、0.5〜50重量部であることが好ましく、特には1〜25重量部、更には2〜15重量部であることが好ましい。かかるポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂の含有量が多すぎても少なすぎても耐水性が低下する傾向がある。
本発明の水性塗工液は、上記の樹脂組成物及び水を含有するものである。
かかる水性塗工液の固形分濃度は、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%とすることが好ましく、かかる濃度が低すぎると、本発明の効果を充分に発揮できない傾向があり、逆に高すぎると塗工液の粘度が高くなるため、塗工が困難になる傾向がある。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などが挙げられ、中でも耐水性の点からアクリル系樹脂が好ましい。
上記の熱可塑性樹脂の配合量は、塗工液の固形分全体の通常10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%である。
上記顔料としては、例えば、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、デンプン粒子等の有機顔料が挙げられ、その他の添加剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、剥離剤、酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の保護層は、上記の水性塗工液から形成されるものである。かかる水性塗工液を、各種基材などに塗工して水分を除去することにより、保護層となる。水分を除去する場合には、通常水性塗工液を塗工した後に乾燥するわけであるが、かかる乾燥条件としては、通常は5〜150℃、さらには30〜120℃、特には50〜110℃の温度条件で行うことが好ましく、0.01〜60分、さらには0.1〜30分、特には0.2〜20分の乾燥時間で行うことが好ましい。
かかる保護層の厚みは、通常0.01〜100μm、好ましくは0.05〜20μm、特に好ましくは0.1〜10μmである。かかる厚みが厚すぎると乾燥に時間がかかり、不効率となる傾向があり、薄すぎると耐水性が低下する傾向がある。
塗工量としては、通常0.1〜20g/m2、好ましくは0.1〜20g/m2、特に好ましくは0.1〜20g/m2である。
感熱記録媒体には、基材上に感熱発色層が設けられるのであるが、かかる感熱発色層は、バインダー(例えば、PVA系樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ラテックス類等)にさらに発色性物質と顕色剤を配合した水溶液(発色液)を得た後、該水溶液を基材に塗工することにより形成させることができる。
この時の発色性物質や顕色剤は水溶液中ではブロッキングするのでビーズミル、ボールミル、ビスコミル等で0.1〜5μm程度に粉砕される。
本発明の感熱記録媒体は、基材上に任意の感熱発色層を有し、その上に本発明の保護層用の水性塗工液を塗工して乾燥したものである。
得られる感熱記録媒体は、基材/(アンダーコート層)/感熱発色層/保護層の層構成となる。他に中間層、バック層などを設けてもよい。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
〔カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)の作製〕
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル100部、メタノール26部、マレイン酸モノメチル0.1部(酢酸ビニル総量に対して0.09モル%)を仕込み、撹拌しながら窒素気流下で60℃まで上昇させてから、重合触媒としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート(半減期が1時間になる温度が65℃)を0.001モル%(酢酸ビニル総量に対して)投入し、重合を開始した。重合開始直後にマレイン酸モノメチル2.2部(酢酸ビニル総量に対して2モル%)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.008モル%(酢酸ビニル総量に対して)を重合速度に合わせて連続追加し、酢酸ビニルの重合率が73%となった時点で、4−メトキシフェノールを0.01部及び希釈・冷却用メタノールを58部添加して重合を終了した。重合終了時における残存活性触媒量は、反応液総量に対して2ppmであった。
続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整して水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して30ミリモルとなる割合で混合し、温度を40〜50℃にてケン化反応を行った。ケン化反応により固化した樹脂をカットし、70℃で乾燥してカルボキシル基含有PVA系樹脂(1)を得た。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は83.9モル%、平均重合度は1700、カルボキシル基含有量は2モル%であった。
ポリアミドポリアミンにエピクロロヒドリンを反応させて、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)を作製した。得られたポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)の10%水溶液の粘度を測定した結果、17.7mPa・sであった。
上記で得られたカルボキシル基含有PVA系樹脂(1)の10%水溶液100部と、上記で得られたポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)の10%水溶液10部を混合し、水性塗工液を作製した。
10cm×10cmの型枠が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、上記で得られた水性塗工液を流しいれて、23℃、50%RHで3日間乾燥させ、膜厚100μmのキャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムについて、以下の評価を行った。
得られたキャストフィルムを70℃、5分間熱処理をした後、80℃の水に1時間浸漬して、フィルムの溶出率(%)を測定した。なお、溶出率(%)の算出にあたっては、水浸漬前のフィルムの乾燥重量(X1)および水浸漬後のフィルムの乾燥重量(X2)(いずれもg)を求め、下式にて溶出率(%)を算出した。結果を表1に示す。
溶出率(%)=[(X1―X2)/X1]×100
上記で得られたカルボキシル基含有PVA系樹脂(1)の10%水溶液100部と、上記で得られたポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)の10%水溶液10部、無機フィラーとしてカオリンを50部混合し、保護層用水性塗工液を作製した。
上記で得られた保護層用水性塗工液をコピー用紙に保護層の厚さが5μmになるように塗工し、70℃×5分乾燥機で乾燥させ、保護層が形成された積層体(保護層/コピー用紙)を得た。
得られた積層体について、以下の評価を行った。
得られた積層体の保護層面に水10μlを滴下し、もう1枚の積層体を保護層形成面同士が接するように重ねた。かかる積層体2枚の上に、10g/cm2の荷重をかけ、40℃、90%RHの環境下で24時間放置し、2枚の積層体を剥がして、貼り付き具合を目視観察し、以下のように評価した。結果を表1に示す。
A:貼り付きが全くない
B:貼り付きはあるが、剥離による積層体の破損は見られない
C:貼り付きがあり、剥離すると積層体が破損する
実施例1の保護層用水性塗工液の作製において、カオリンを水酸化アルミニウムに変えた以外は同様にして、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)をカルボキシル基含有PVA系樹脂(2)(ケン化度81.4モル%、重合度1700、変性率2モル%)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)をカルボキシル基含有PVA系樹脂(2)(ケン化度81.4モル%、重合度1700、変性率2モル%)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)をカルボキシル基含有PVA系樹脂(3)(ケン化度88.4モル%、重合度1700、変性率2モル%)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)をカルボキシル基含有PVA系樹脂(3)(ケン化度88.4モル%、重合度1700、変性率2モル%)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)をカルボキシル基含有PVA系樹脂(4)(ケン化度99.2モル%、重合度1700、変性率2モル%)に代え、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)をポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(2)(10%水溶液粘度31.2mPa・s)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、カルボキシル基含有PVA系樹脂(1)をカルボキシル基含有PVA系樹脂(4)(ケン化度99.2モル%、重合度1700、変性率2モル%)に代え、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)をポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(2)(10%水溶液粘度31.2mPa・s)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5において、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)をポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(3)(10%水溶液粘度42.4mPa・s)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6において、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(1)をポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂(3)(10%水溶液粘度42.4mPa・s)に代えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (8)
- カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂とポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂を含有する樹脂組成物であり、
ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂の23℃における10重量%水溶液粘度が5〜30mPa・sであることを特徴とする樹脂組成物。 - カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が、80〜90モル%であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂がマレイン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂がイタコン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン系樹脂の含有量が、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、0.5〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物及び水を含有することを特徴とする水性塗工液。
- 請求項6記載の水性塗工液から形成されることを特徴とする保護層。
- 請求項7記載の保護層を少なくとも1層有することを特徴とする感熱記録媒体。
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