JP4100588B2 - 感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、感熱記録媒体に関し、更に詳しくは、紙やプラスチックフィルムを基材とし、発色性物質及び該発色性物質を発色させる顕色剤を含有した感熱発色剤層が設けられた感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱を利用した感熱記録方法は、従来採用されてきた印字記録方式などに必要な現像・定着といった工程や補給物質を全く必要とせず、簡単に記録を得られるという大きな利点を持つことから、益々その用途は広がりつつある。
特に、該方式の中でもクリスタルバイオレットラクトン等の発色物質とフェノール化合物等の顕色剤を加熱、反応させて発色させるという方式が評価が高く実用化されている。
しかし、前記発色性物質と顕色剤のバインダーとして水溶性バインダー、例えばポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと略記することがある)が多用されているが加熱、記録を長期間にわたって続けると、サーマルヘッドとの摩擦によりPVA等のかすがサーマルヘッドに付着したり、サーマルヘッド自体と感熱記録紙が高温時に付着するといういわゆるスティッキングの問題が生じたり、更に印字した記録紙が水や可塑剤などに触れるとその印字が消えたり、記録紙がべとつくという問題が残っている。
【0003】
かかる対策として、バインダーとしてイタコン酸変性PVAを用いること(特開昭57−189889号公報)、オーバーコート剤としてエチレン−カルボキシル基変性のPVAを用いること(特開平8−156424号公報)、感熱染料の分散剤としてカルボキシル基変性PVAを用いること(特開平8−48076号公報)、変性PVAに架橋剤とステアリン酸亜鉛を配合した保護層(オーバーコート層)を用いること(特開平9−164763号公報)が提案されており、本出願人もエチレン性不飽和ジカルボン酸モノアミド変性PVAを用いた感熱記録紙(特開平8−252977号公報)を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、上記の特開昭57−189889号公報開示技術では、最近の高速記録機(レコーダー、プリンター等)では、発色感度が悪く、特開平8−156424号公報開示技術や特開平8−48076号公報開示技術では、高速塗工時に発泡や塗工斑を生じ、また特開平9−164763号公報開示技術でも、まだまだ耐水性が十分ではなく、更に本出願人による特開平8−252977号公報開示技術においても、特殊な変性PVAであるためその製造に高度な技術を要するという問題点があり、まだまだ改良の余地があり、印字適性、耐油性、耐溶剤性、耐水性等に優れた感熱記録媒体が要請されているのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者がかかる事情に鑑みて鋭意検討した結果、40℃のせん断速度2.5×105sec-1における10重量%の水溶液粘度が1〜40mPa・sであるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂および下記一般式(1)で示されるリン酸エステル化合物あるいはその塩を含有した樹脂組成物(a)層が、発色性物質及び該発色性物質を発色させる顕色剤を含有した感熱発色剤層、感熱発色剤層上に設ける保護層、感熱発色剤層と基材との間に設けるアンダーコート層から選ばれる少なくとも一層として積層された感熱記録媒体が、上記の問題点を解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【化3】
(但し、Rは水素、アルキル基、アルキルアリル基のいずれか、m,nは正の整数、R’はアルキル基をそれぞれ表す。)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を以下に詳しく説明する。
本発明の感熱記録媒体は、40℃のせん断速度2.5×105sec-1における10重量%の水溶液粘度が1〜40mPa・sであるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及び上記の一般式(1)で示されるリン酸エステル化合物あるいはその塩を含有した樹脂組成物(a)層が、発色性物質及び該発色性物質を発色させる顕色剤を含有した感熱発色剤層、感熱発色剤層上に設ける保護層、感熱発色剤層と基材との間に設けるアンダーコート層から選ばれる少なくとも一層として積層されてなるもので、かかるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂としては、カルボキシル基を含有しているポリビニルアルコール系樹脂であれば特に限定されず、その製造も特に限定されず、例えば、カルボキシル基を有する不飽和単量体及びビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法、カルボキシル基を有するポリビニルアルコール系樹脂にオキシアルキレン基を有する単量体をグラフト重合させる方法等が挙げられるが、前者の方法が樹脂の製造面、性能面から実用的である。
【0007】
以下、前者の方法について具体的に説明する。
カルボキシル基を有する不飽和単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸)、又はエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル)、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体、及びこれらの塩が挙げられ、エチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使用される。
【0008】
また、ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用いることができるが、酢酸ビニルが特に実用性が高い。
【0009】
本発明においては、かかる重合の際に上記の如きカルボキシル基を有する単量体、ビニルエステル系化合物以外に、飽和カルボン酸のアリルエステル(ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等)、α−オレフィン(エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等)、アルキルビニルエーテル(プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等)、アルキルアリルエーテル(プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等)、更には、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アリルスルホン酸塩、エチレン性不飽和スルホン酸塩、スチレン、塩化ビニルなどの(ビニルエステルと)共重合しうる単量体を50モル%以下存在せしめて重合を行なっても良い。
共重合するに当たっては特に制限はなく、公知の重合方法が任意に用いられるが、普通メタノールあるいはエタノール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。
【0010】
かかる方法において単量体の仕込み方法としては、まずビニルエステル系化合物の全量と前記カルボキシル基含有不飽和単量体の一部を仕込んで重合を開始し、残りの不飽和単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、一括仕込みする方法等任意の手段を用いて良い。共重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行なわれる。又反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
【0011】
上記の如くして得られた共重合体は、次にケン化されてカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂となる。
ケン化に当たっては、共重合体をアルコールや酢酸エステルまたはこれらの混合溶媒に溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、また、酢酸エステルとしては酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることが必要である。かかる触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが必要である。
【0012】
かかる場合、ケン化温度は特に制限はないが、通常は10〜70℃、更には30〜40℃の範囲から選ぶのが好ましい。反応は通常2〜3時間にわたって行なわれ、好ましいケン化度は10〜100モル%で、特に好ましくは50〜100モル%、殊に好ましくは70〜100モル%の範囲から選択される。
尚、ビニルアルコール成分を含有させる場合は上記方法に限られるものではなく、例えばポリビニルアルコール(部分ケン化物、完全ケン化物)に酸化アルキレン類を後反応させる方法等も実施可能である。
かくして、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂が得られるわけであるが、かかるカルボキシル基の含有量は0.1〜10モル%が好ましく、更には0.5〜5モル%で、かかるカルボキシル基の含有量が0.1モル%未満では耐油性や耐溶剤性等が低下し、逆に10モル%を越えると塗工液とした時の溶解性が不良となって好ましくない。
【0013】
また、本発明においては、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の40℃のせん断速度2.5×105sec-1における10重量%の水溶液粘度が1〜40mPa・s(更には5〜30mPa・s)であり、かかる水溶液粘度が1mPa・s未満では印字発色性が低下し、またサーマルヘッドの汚れ等も多くなり、逆に40mPa・sを越えると塗工液の塗工性が低下して好ましくない。
また、上記のカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂と共に配合されるリン酸エステル化合物あるいはその塩は上記の一般式(1)で示される化合物あるいはその塩で、該塩としてはエタノールアミン塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができ、エタノールアミン塩やアンモニウム塩が好適に用いられる。
【0014】
本発明においては、上記の如きカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及びリン酸エステル化合物あるいはその塩を含有した樹脂組成物(a)層を用いるのであるが、かかるリン酸エステル化合物あるいはその塩の配合量は、特に限定されないがカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、更には1〜20重量部で、特に2〜10重量部で、かかる配合量が0.1重量部未満では、配合効果に乏しく、逆に30重量部を越えるとインキはじき等の現象が見られて印刷適性が低下して好ましくない。
かくして、上記のカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及びリン酸エステル化合物あるいはその塩を含有する樹脂組成物(a)を用いた層が、基材に直接或いは他の層を介して積層されて本発明の感熱記録媒体となるのであるが、かかる樹脂組成物(a)を用いた層としては、▲1▼感熱発色層、▲2▼保護層、▲3▼アンダーコート層等を挙げることができ、更には、樹脂組成物(a)を▲1▼〜▲3▼のいずれか2層への併用又は▲1▼〜▲3▼の3層への使用が実施可能である。
【0015】
以下、これらの層について詳細に説明する。
先ず、▲1▼の感熱発色層について具体的に説明する。
▲1▼感熱発色層の場合は、樹脂組成物(a)をバインダー成分として用い、更に発色性物質及び顕色剤の配合された混合物を基材に塗工すればよく、該感熱発色層を形成するための塗工液の調製に当っては発色性物質の水分散液と顕色剤の水分散液を各々別々に製造し、それらを充分撹拌して微粉砕した後、両液を混合撹拌するだけで均一な分散系の塗工液が得られる。バインダー成分としての樹脂組成物(a)は、発色性物質の水分散液及び顕色剤の水分散液の少なくとも一方に添加され、該樹脂組成物(a)の添加量は、発色性物質及び顕色剤の総量に対して10〜200重量%が適当である。該塗工液の固形分濃度は作業性を考慮して10〜40重量%の範囲から選ばれる。
【0016】
上記の発色性物質の例としては、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド[クリスタルバイオレットラクトン]、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、 3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3−ジメチルアミノ−6−メトキシフルオラン、7−アセトアミノ−3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3 −ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3,6−ビス−β−メトキシエトキシフルオラン、3,6−ビス−β−シアノエトキシフルオラン等のトリフェニルメタン系染料のロイコ体が挙げられる。
【0017】
また、顕色剤としては、前記発色性物質と加熱時反応して発色せしめるもので常温以上好ましくは70℃以上で液化もしくは気化するもの、例えばフェノール、P−メチルフェノール、P−ターシャリーブチルフェノール、P−フェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール[ビスフェノールA]、4,4’−セカンダリーブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−(1−メチル−n−ヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジカテコール、4,4’−ペンジリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、フェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、サリチル酸、3−フェニルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、1−オキシ−2−ナフトエ酸、m−オキシ安息香酸、4−オキシフタル酸、没食子酸などが挙げられるが、発色性物質、顕色剤ともにこれらに限定されるわけではなく、また該塗工液を塗工する基材としては特に制限はなく、紙(マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙、剥離紙、カーボン紙、ノンカーボン紙、グラシン紙など)やプラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びこれらの積層体等)などを使用することができる。塗工に当っては、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法等公知の任意の方法が採用される。該塗工液の塗布量は、乾燥重量で1〜20g/m2、なかんずく3〜10g/m2程度なるようにするのが適当である。
【0018】
次に▲2▼の保護層について具体的に説明する。
▲2▼保護層とは、発色性物質、顕色剤、バインダー(必ずしもバインダーとして樹脂組成物(a)を用いたものである必要はなく、従来の例えば未変性PVA、カルボキシル基含有PVA等の変性PVA、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ラテックス類等を用いたものでもよい)より構成された感熱発色層の上に形成(塗工)される層のことで、該層に樹脂組成物(a)を含有させるのである。該塗工に用いる塗工液は、樹脂組成物(a)を1〜10重量%含有した水溶液とすることが適当である。塗工量は、樹脂組成物(a)の乾燥重量で0.5〜5g/m2程度が好ましい。塗工後は風乾あるいは軽度の加熱処理を行なうことによって目的とする塗工層が形成される。
該塗工に当たってはロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法等任意の手段で実施可能である。
【0019】
また、該塗工層には各種の公知の助剤を混合したり、あるいは該塗工液の塗工前後にかかる助剤を塗工する等、任意の補助的操作が可能で、かかる助剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、ポリアミドエピクロルヒドリンやエピブロモヒドリン等のエピハロヒドリン系樹脂、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダや、塩化第二鉄、塩化マグネシウムなどの金属塩、ジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート、塩化アンモニウム、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、ケテンダイマー、硼酸、硼砂、炭酸ジルコニウムアンモニウム、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−イソプロピルチタネート等のPVAの耐水化剤として公知の化合物を挙げることができる。
更に、高級脂肪酸アミドなどの熱可塑性物質や炭酸カルシウム、二酸化チタンなどの填料、分散剤等公知の添加剤を使用することも任意である。
【0020】
次に、▲3▼アンダーコート層について具体的に説明する。
▲3▼アンダーコート層は、必要に応じて基材と感熱発色層との間に介されるもので、樹脂組成物(a)を基材上に塗工して形成されるものである。塗工される基材としては上記の如く特に限定はなく、紙やプラスチックフィルム等が使用でき、塗工方法もロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等の公知の任意の手段で実施できる。該塗工に用いる塗工液の濃度は塗工性等を考慮すると、樹脂組成物(a)を0.5〜30重量%含有した水溶液とすることが適当で、塗工量は、樹脂組成物(a)の乾燥重量で0.5〜5g/m2程度が好ましい。塗被後は風乾あるいは軽度の加熱処理を行なうことによって目的とするアンダーコート層が形成される。
また、該アンダーコート層には、上記の保護層と同様に各種の公知の助剤を混合することも可能である。
かかる方法で設けられたアンダーコート層上に感熱発色層または感熱発色層と保護層を設けることにより、本発明の感熱記録媒体となるのである。
【0021】
尚、本発明では、基材/アンダーコート層/感熱発色層/保護層、基材/アンダーコート層/感熱発色層、基材/感熱発色層/保護層或いは基材/感熱発色層等の層構成よりなる感熱記録媒体において、少なくとも上記の如き樹脂組成物(a)を用いた▲1▼〜▲3▼のいずれかの層が積層されていれば(他の層は従来公知の方法により形成されたもの)よく、特に限定されない。勿論、上述したように▲1▼〜▲3▼の2種類以上の層を組み合わせることも可能である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を示す。
【0023】
実施例1
[カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の調製]
重合缶に酢酸ビニル500部、マレイン酸3.4部、メタノール85部を仕込んで、系内を撹拌下、窒素気流中で昇温して60℃で30分間還流後、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニルに対して0.08モル%加え、マレイン酸のメタノール溶液を仕込み変性度が1.0モル%に滴下して6時間重合を行って反応終了後メタノール蒸気を吹き込んで未反応のモノマーを除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。次いで、得られたメタノール溶液を40%にメタノールで希釈した。更に共重合体中の酢酸ビニルに対して水酸化ナトリウムを40ミリモル%加えてケン化して、得られたケン化物を濾過し、70℃で乾燥してカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(ケン化度94.0モル%)を得た。得られたカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の40℃のせん断速度2.5×105cm-1における10重量%の水溶液粘度は、ハーキュレス型回転粘度計(三井電気精機社製)で測定したところ、20mPa・sであった。
上記のカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂6.00部及び表2に示されるリン酸エステル化合物の塩0.12部(カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してリン酸エステル化合物の塩が2部)を水93.88部に溶解して、樹脂組成物(a)の塗工液(A)を調製した。
【0024】
上記の塗工液(A)を用いて、以下の要領で感熱記録媒体を作製した。
【0025】
上記のA液、B液を別々にサンドグラインダーで平均粒子径2μ程度になるまで粉砕し、その後A液、B液、炭酸カルシウム50部、各液で使ったものと同一のカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の15%水溶液250部を混合して、塗工液を得た。
次いで、該塗工液を坪量50g/m2の上質紙(基材)の上に乾燥後の塗工量が5.0g/m2になる様にして塗布し、乾燥させて、▲1▼感熱発色層を形成して感熱記録媒体を得た。
【0026】
該記録媒体の印字発色濃度、耐可塑剤性、耐油性、耐溶剤性、耐水性及びサーマルヘッドの汚れを以下の方法で評価した。
評価結果を表3に示す。
【0027】
(印字発色濃度)
熱傾斜試験機(東洋精機社製)によって120℃、2kg/cm2、5秒の条件下に印字発色させ、印字発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、RD−100R型、アンバーフィルター使用)にて測定。
(耐可塑剤性)
発色させた記録紙を軟質塩ビシートにはさみ20g/cm2の加重を加え40℃で168時間放置し、その後、上記の濃度計にて印字発色濃度(x)を測定して、放置前の印字発色濃度(y)との差を残色率(%)として下式により算出した。
残色率(%)=[1−(y−x)/b]×100
(耐油性)
食用大豆油を発色部分に数滴滴下して、室温で24時間放置後、該大豆油を拭き取り、滴下前の発色濃度に対する残色率(%)を上記と同様に算出した。
(耐有機溶剤性)
酢酸エチルを地肌部に数滴滴下して、室温で1時間放置後、該酢酸エチルを拭き取り、上記の濃度計にて発色濃度(数値が小さいほど耐有機溶剤性は良好)を測定した。
(耐水性)
水を発色部分に数滴滴下して、室温で1時間放置後、該水を拭き取り、滴下前の発色濃度に対する残色率(%)を上記と同様に算出した。
(サーマルヘッドの汚れ)
ファクシミリで連続100m格子模様を印字させて、スティッキングの発生の様子、サーマルヘッドのかす付着の程度を観察し、◎〜×の4段階評価した。
【0028】
実施例2〜5、比較例1〜2
表1及び2に示したカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂及びリン酸エステル化合物の塩を用いて、実施例1と同様に感熱記録媒体を作製して、▲1▼感熱発色層(バインダー)としての評価を行った。
評価結果を表3に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
*▲1▼:上記一般式(1)においてR=エチル基、m=2、n=2、R’=エトキシ基のリン酸エステルのエタノールアミン塩
▲2▼:上記一般式(1)においてR=メチル基、m=3、n=2、R’=エトキシ基のリン酸エステルのアンモニウム塩
▲3▼:上記一般式(1)においてR=エチル基、m=3、n=2、R’=エトキシ基のリン酸エステルのアンモニウム塩
注)表1及び2のそれぞれの含有量はカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100部に対するリン酸エステル化合物の塩の含有量を表したものである。
【0031】
【表3】
【0032】
実施例6
以下の要領で感熱記録媒体を作製した。
A液
クリスタルバイオレットラクトン 10部
未変性PVA5%水溶液 10部
(ケン化度99.0モル%、4%水溶液粘度14cps/20℃)
水 15部
B液
ビスフェノールA 50部
A液と同一の未変性PVA5%水溶液 50部
水 75部
【0033】
上記のA液、B液を別々にサンドグラインダーで平均粒子径2μ程度になるまで粉砕し、その後A液及びB液の各液で使ったものと同一の未変性PVAの15%水溶液500部を混合して、塗工液を得た。
次いで、該塗工液を坪量50g/m2の上質紙(基材)上に乾燥後の塗工量が5.0g/m2になる様にして塗布し、乾燥させた。
更にこの上に実施例1で用いた樹脂組成物(a)の10%水溶液100部及び炭酸カルシウム5部からなる塗工液をディクソンコーターを用いて1.5g/m2(ネット)の割合にオーバーコートし、風乾して、▲2▼保護層を形成して感熱記録媒体を得た。
【0034】
得られた感熱記録媒体について実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を表4に示す。
実施例7〜1、比較例3〜4
上記の実施例2〜5及び比較例1〜2で使用した樹脂組成物(a)(表1及び2参照)を用いて、実施例6と同様に感熱記録媒体の▲2▼保護層としての評価を行った。 評価結果は表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
実施例11
以下の要領で感熱記録媒体を作製した。
先ず、坪量50g/m2の上質紙(基材)に実施例1で用いた樹脂組成物(a)の5%水溶液(塗工液)を試験用サイズプレス装置(熊谷理機社製)を用いて1.5g/m2(ネット)の割合に塗工して110℃で1分間乾燥し、▲3▼アンダーコート層を形成した塗工紙を得た。
A液
クリスタルバイオレットラクトン 10部
未変性PVA系樹脂5%水溶液 10部
(ケン化度99.0モル%、4%水溶液粘度14cps/20℃)
水 15部
B液
ビスフェノールA 50部
A液と同一の未変性PVA系樹脂5%水溶液 50部
水 75部
【0037】
上記のA液、B液を別々にサンドグラインダーで平均粒子径2μ程度になるまで粉砕し、その後A液及びB液の各液で使ったものと同一の未変性PVA系樹脂の15%水溶液500部を混合して、塗工液を得た。
次いで、該塗工液を上記のアンダーコート層を設けた塗工紙上に乾燥後の塗布量が5.0g/m2になる様にして塗布して、乾燥させて感熱記録媒体を得た。
【0038】
得られた感熱記録紙について実施例1と同様に印字発色濃度及びサーマルヘッドの汚れについての評価を行った。
評価結果を表5に示す。
実施例12〜15、比較例5〜6
上記実施例2〜5及び比較例1〜2で使用した樹脂組成物(a)(表1及び2参照)を用いて実施例11と同様に感熱記録媒体の▲3▼アンダーコート層としての評価を行った。
評価結果を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
【発明の効果】
本発明の感熱記録媒体は、感熱発色層、保護層、アンダーコート層の少なくとも1層に特定の樹脂組成物(a)が用いられているため、印字適性に優れ、特に感熱発色層や保護層に用いた場合には、耐可塑剤性、耐油性、耐溶剤性及び耐水性にも優れ、更にはサーマルヘッドの汚れも少ないという作用効果を有するものである。
Claims (3)
- 40℃のせん断速度2.5×105sec-1における10重量%の水溶液粘度が1〜40mPa・sであるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、下記一般式(1)で示されるリン酸エステル化合物あるいはその塩が0.1〜30重量部配合した樹脂組成物(a)層が、発色性物質及び該発色性物質を発色させる顕色剤を含有した感熱発色剤層、感熱発色剤層上に設ける保護層、感熱発色剤層と基材との間に設けるアンダーコート層から選ばれる少なくとも一層として積層されてなることを特徴とする感熱記録媒体。
- カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂中のカルボキシル基の含有量が0.1〜10モル%であることを特徴とする請求項1または2記載の感熱記録媒体。
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