本発明は、作業効率の向上を図ることができる指示装置および仕分システムに関するものである。
従来、作業対象に対応した照射位置への光の照射により作業者に対して作業対象を指示する指示装置として、例えば特許文献1に記載の指示装置が知られている。
この従来の指示装置は、光を照射する照射手段(スポットライト)と、この照射手段を動かす角度調整機構と、これら照射手段および角度調整機構を制御する制御手段とを備えている。
そして、一の作業対象に対する作業が完了し、次の他の作業対象に対する作業を行う際には、照射手段は、例えば一の照射位置に対応した位置から他の照射位置に対応した位置まで照射方向を移動し、この移動後に照射を開始して、次に作業をすべき他の照射位置を作業者に指示する。
このため、例えば一の照射位置と次の他の照射位置との間の距離が長い場合、または複数の作業対象がランダムで指示される場合等においては、作業者が次に作業をすべき他の照射位置に照射された光を見つけるのに時間を要し、作業効率が低下するおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業効率の向上を図ることができる指示装置および仕分システムを提供することを目的とする。
請求項1記載の指示装置は、所定の範囲内に設定された複数の収納空間のうち、光の照射によって作業者に対して一の収納空間を作業対象として指示する指示装置であって、光を照射する照射手段と、前記照射手段の姿勢を変更させる角度調整機構と、前記照射手段および前記角度調整機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記収納空間毎に対応した前記照射手段の姿勢を実現する前記角度調整機構の動作目標が記憶された記憶部を有し、前記動作目標に対する前記角度調整機構の動作が完了するよりも前に前記照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項2記載の指示装置は、請求項1記載の指示装置において、作業対象が一の収納空間から他の収納空間へと変更されると、制御手段は、一の収納空間の動作目標から他の収納空間の動作目標へと角度調整機構の動作を開始させ、角度調整機構の動作が完了するよりも前に照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項3記載の指示装置は、請求項1記載の指示装置において、記憶部には、照射手段の一の姿勢である基準姿勢に対する角度調整機構の動作目標が基準目標として記憶され、制御手段は、作業者による一の収納空間への作業が終わると前記基準目標まで前記角度調整機構を動作させるものである。
請求項4記載の指示装置は、請求項3記載の指示装置において、基準姿勢の状態の照射手段から照射される光の照射位置は、いずれの収納空間とも対応していない位置であるものである。
請求項5記載の指示装置は、請求項2ないし4のいずれか一記載の指示装置において、制御手段は、他の収納空間の動作目標へ向けた角度調整機構の動作開始前から動作開始直後までの間に照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項6記載の指示装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の指示装置において、制御手段は、角度調整機構が動作目標への動作を完了した後、照射手段に光を照射させた状態で、所定範囲内で前記照射手段の光の照射方向が連続して変更されるように前記角度調整機構を連続的に動作させるものである。
請求項7記載の指示装置は、請求項6記載の指示装置において、記憶部には、一の収納空間に対して角度調整機構に対する複数の動作目標およびこれら複数の動作目標に対する動作順が記憶され、制御手段は、角度調整機構が動作目標への動作を完了した後、照射手段に光を照射させた状態で、前記複数の動作目標を前記動作順に経由するように前記角度調整機構を動作させるものである。
請求項8記載の仕分システムは、請求項1ないし7のいずれか一記載の指示装置を備えたものである。
本発明によれば、作業効率の向上を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係る仕分システムの正面図である。
同上仕分システムの側面図である。
同上仕分システムの照射ユニットの正面図である。
同上照射ユニットの側面図である。
同上照射ユニットの平面図である。
同上仕分システムの概略構成図である。
同上仕分システムのフローチャートである。
同上仕分システムの表示手段の正面図である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン1)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン2)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン3)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン4)である。
(a)ないし(d)は所定範囲内での光の移動パターンを示す図である。
同上仕分システムの照射ユニットの変形例を示す概略構成図である。
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1および図2において、1は仕分システムであり、この仕分システム1は、複数の商品である物品Wを収納する収納棚2を備えている。
収納棚2には、行列状(例えば5行6列)に複数の容器3が載置されている。物品Wが出し入れ可能に収納される物品収納部(間口)である容器3は、上面が開口した箱状のコンテナからなるもので、収納棚2の棚部4上に載置されている。なお、容器3は、例えば皿状のトレイ等でもよい。
また、収納棚2には、仕分作業の対象となる複数の収納空間が設定されている。図1において、収納棚2には5行6列からなる計30の仕分作業用の収納空間が設定され、各容器3がそれぞれ対応する所定の収納空間に載置されることで、計30個の容器3が収納棚2内に載置されている。ここで、各収納空間は、所定範囲内の収納棚2の空間に対して複数の区画に区分されることにより設定されているが、所定範囲は収納棚2に限られず、容器3が載置されたコンベヤ上の所定範囲等でも良く、また、収納棚2に載置された各容器3自体を収納空間として設定してもよい。
収納棚2は、複数段の棚部4が固着された枠部5を有している。この枠部5には、液晶式のタッチパネル表示部10aを有する表示手段(表示器)10が取り付けられている。具体的には、枠部5は、収納棚2の前側の左右方向中央部に位置する上下方向長手状の支柱6を有し、この支柱6の上端部に表示手段10が取り付けられている。つまり、表示手段10は、収納棚2の前面における左右方向中央部の上端側に設けられている。
また、仕分システム1は、収納空間の容器3への光の照射により作業者(2次ピッカー)Xに対して次に作業(物品Wの収納作業)をすべき容器3を指示する指示装置11を備えている。
なお、本実施の形態では、作業対象としての収納空間を特定するために指示装置からの光を収納空間の容器3に対して照射しており、容器3の側面を光の照射を受ける照射位置として機能させている。また、照射位置は容器3自体でもよいし、容器3の近傍の位置としてもよい。さらに、収納棚2内の各容器3を収納空間とした場合も同様に、容器3自体または容器3の近傍の位置を照射位置としても良い。
このため、2次仕分作業をする作業者(2次ピッカー)Xは、前工程で1次仕分作業をする作業者(1次ピッカー)によって集品手段である集品カート9内に集品された物品Wを、指示装置11によって光の照射により指示された容器3へ収納(投入)する。
なお、図示しない作業者(1次ピッカー)は、オーダリスト等の1次ピッキングリストに基づき、リストの全物品Wを集品カート9内に集品した後、その集品カート9を収納棚2の近傍に設定された集品カート停止位置に留め置く。図2において、集品カート9の停留位置は、収納棚の前面の左右方向中央部であり、さらに収納棚2の前面に設けられた作業者(2次ピッカー)X用の仕分作業空間を挟んで収納棚の前面と対向した位置である。なお、集品カート9は、床面を走行可能な走行輪9aを有している。
指示装置11は、指示用の可視光である光を照射する照射手段12と、この照射手段12の姿勢を調整し、収納棚2側に表示される光の照射位置(照射手段12からの光の照射方向)を変更する角度調整機構13と、照射手段12、角度調整機構13および表示手段10の動作を制御する制御手段14とを有している。
また、照射手段12と角度調整機構13とによって、1つのユニット状の照射ユニット(投光装置)15が構成されている。この照射ユニット15は、支持枠16が上部に有した前後方向長手状の支持部17に前後位置調整可能に取り付けられている。なお、照射ユニット15の照射手段12は、正面視で表示手段10の上方(真上)に位置している(図1参照)。
そして、照射手段12および角度調整機構13が、制御手段14による制御に基づいて、各収納空間に設定された照射位置に対して光を照射し、作業者Xが次に作業をすべき次の容器3を指示する。そして、一の収納空間から他の収納空間へと作業対象が変更されると、この他の収納空間に対応した照射位置に対して光が照射されるように、角度調整機構13が照射手段12の姿勢を変更させて照射光の照射方向を変更させる。そして、この照射方向の変更にあたっては、制御手段14は次の作業対象となる収納空間に対応する照射位置へ向けての照射手段12の姿勢変更が終了する前(角度調整機構13の動作が完了する前)に照射手段12による光の照射(点灯)を開始する。換言すると、制御手段14は、次の容器3までの光の軌跡が描かれるように、照射手段12および駆動手段13を制御する。
ここで、照射手段12は、光源部を有しており、光源部は例えば発光ダイオード(LED)または半導体レーザー(LD)からなり、光源部の点灯によって光(スポット光)を照射位置に対して照射するスポットライトにて構成されたものである。なお、本実施の形態ではLED光源が用いられている。
照射手段(スポットライト)12は、図3ないし図5等に示されるように、照射手段12の姿勢(照射方向)の角度調整機構(向き調整手段)13によって保持されており、この角度調整機構13が支持枠16の支持部17に取り付けられている。
角度調整機構13は、支持枠16の支持部17に前後位置調整可能に取り付けられた第1取付板21を有し、この第1取付板21には第1駆動体22が取り付けられている。
第1駆動体22は、左右方向の回動中心軸線(第1回動中心軸線)Aを中心として回動する円板状の回動部22aを有している。そして、第1駆動体22の回動部22aには第2取付板23が取り付けられ、この第2取付板23には第2駆動体24が取り付けられている。
第2駆動体24は、前後方向の回動中心軸線(第2回動中心軸線)Bを中心として回動する円板状の回動部24aを有している。そして、第2駆動体24の回動部24aには第3取付板25が取り付けられ、この第3取付板25には1個の照射手段12が取り付けられている。
そして、照射手段12は、第1駆動体22の回動部22aの回動に基づいて回動中心軸線Aを中心として前後方向に回動し(図4参照)、第2駆動体24の回動部24aの回動に基づいて回動中心軸線Bを中心として左右方向に回動する(図3参照)。
なお、第1駆動体22および第2駆動体24は、いずれも例えばモータからなる駆動源を内蔵した電動ロータリテーブルにて構成されたものであり、制御手段14からの制御信号によって回動量(回動角度)、回動速度等の動作が制御される。
さらに、仕分システム1は、図6に示されるように、サーバー(PC)31を備え、このサーバー31にはハブ32が接続され、このハブ32には照射ユニット15の作動を制御する制御手段(PLC)14が接続されている。そして、制御手段14には、表示手段10のほか、照射ユニット15の照射手段12のLED光源(光源部)と、角度調整機構13の2つの駆動体22,24の駆動源とがそれぞれ接続されている。また、制御手段14には、照射手段12、角度調整機構13および表示手段10の動作に関する動作情報(動作プログラム)が記憶された記憶部が備えられている。なお、記憶部は、制御手段の内部、外部の何れに備えられてもよい。
ハブ32には、識別子からの情報を取得する情報取得手段であるバーコードリーダー(BCR)33からの情報を受信する受信機であるBluetooth(登録商標)ハブ34が接続されている。なお、物品W、容器3、および1次ピッキングリストには、識別子としてのバーコード(BCD)が付されている。
次に、上記仕分システム1の作用等を説明する。
まず、図7に示すフローチャートに基づいて、仕分システム1による仕分処理の流れを説明する。
1次ピッキングリストの物品Wがランダムの状態で収納された集品カート9は、作業者(1次ピッカー)によって、収納棚2の前方の集品カート停止位置に置かれる。
そして、作業者(2次ピッカー)Xは、バーコードリーダー33を用いて、集品カート停止位置に停留した集品カート9に取り付けられたバーコートまた集品カート9に紐付いた1次ピッキングリストのバーコードを読み取る(ステップ1)。
すると、サーバー31は、その1次ピッキングリストに対応する仕分け作業情報(例えばオーダ情報)を収納棚2の各収納空間に対して割り付ける。1次ピッキングリストを受信したサーバー31は、作業量(例えば、仕分作業数、行数およびアイテム数等)の多い順に、作業効率向上のために予め設定された優先度の高い収納空間から仕分作業を割り付ける。
次いで、作業者Xは、集品カート停止位置に位置した集品カート9内から物品Wを例えば1個取り出し、この取り出した物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取ることで物品情報を取得する(ステップ2)。
すると、サーバー31は、その取り出した物品Wに関する物品情報に基づいて、仕分け作業情報のうちの未仕分け物品情報からなる仕分予定データを検索し、その物品Wの投入を要求する収納空間を特定して、制御手段14へ指示情報を出力する(ステップ3)。
制御手段14は、その指示情報に基づいて照射手段12、角度調整機構13および表示手段10を制御し、作業者Xが物品Wを収納すべき指示対象の容器3に対してLED光源の点灯により光を照射させる(ステップ4)。なお、制御手段14による制御に基づく具体的な照射方法については後述する。
そして、作業者Xは、集品カート9内から取り出した物品Wを、照射手段12による光の照射によって指示された指示対象の容器3へ収納して仕分けた後、その物品Wを収納した容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取って容器情報を取得する(ステップ5)。
すると、サーバー31は、読み取った容器3の容器情報が指示対象の収納空間に載置された容器3の容器情報に該当した場合には仕分実績をカウントし、制御手段14へ指示解除情報を出力する(ステップ6)。一方、読み取った容器3の容器情報が、指示対象の収納空間の容器3に該当しなかった場合には、表示手段10の表示部であるタッチパネル表示部10aに「NG表示」が表示される。なお、各収納空間に載置された容器3の容器情報と各収納空間との対応関係は予めサーバー31で管理されている。
制御手段14は、その指示解除情報に基づいて照射手段12を制御し、この照射手段12にLED光源を消灯させる(ステップ7)。
その後、サーバー31は、1次ピッキングリストにリストアップされた集品カート9内の全物品Wについて、指示対象の容器3への収納作業(投入作業)が完了したか否かを判断する(ステップ8)。
完了したと判断した場合には、サーバー31は、制御手段14へ1次ピッキングリストの全物品Wの仕分完了を報告する(ステップ9)。なお、未完了の場合は、上記ステップ2に戻る。
こうして仕分完了報告をサーバー31が受信すると、当該1次ピッキングリストの全物品Wについて、作業者Xによる2次仕分作業が完了する(ステップ10)。
次に、図8には、表示手段10のタッチパネル表示部10aに表示された作業用画面の一例が示されている。
この作業用画面は、集品カート9内から取り出す物品Wのピック数(例えば「1」)を表示するピック数表示部分41と、指示対象の容器3に収納される物品Wの残り予定数(例えば「5」)を表示する予定数表示部分42とを有している。
また、この作業用画面は、収納棚2の複数の容器3に対応する行列状をなす複数の図形(例えば5行3列の表示を左右に配置した図形)を表示するとともに、指示対象である1つの容器3に対応する1つの図形のみを複数の他の図形とは異なる表示形態、例えば異なる色で表示する指示対象表示部分43を有している。なお、表示手段10の作業用画面は、上記一例に限定されず、例えば、収納棚2の複数の容器3に対応する図形として、収納棚2の右半分の領域を示す5行3列の表示を作業用画面の左上部分に表示し、収納棚2の左半分を示す5行3列の表示を作業用画面の右上部分に表示するとともに、これら5行3列の表示の間に操作メニューボタンや指示対象である1つの容器3に対応する数字等を表示する構成等にしてもよい。
さらに、この作業用画面は、ピック数表示部分41に表示されるピック数を変更するためのピック数変更用のボタン、すなわち例えば減少ボタン44および増加ボタン45を有している。
そして、作業者Xが集品カート9から取り出して商品情報を取得した商品Wと同一の商品Wを一の容器3に対して複数個を仕分ける必要がある場合に、例えば、一の容器3に仕分ける同一商品の数が「5個」の場合、予定数表示部分42には全仕分数である「5」が表示され、ピック数表示部分41には、初期状態の「1」が表示される。この場合、作業者Xは、5個まとめて作業したい場合は、例えば増加ボタン45をタッチ操作してピック数表示部分41に表示されるピック数を残りの予定数の「5」に変更した後、同じ種類の5個の物品Wをまとめて指示対象である1つの容器3に収納して仕分けることが可能である。なお、ピック数表示部分41の表示は予定数表示部分42に表示された予定数の範囲内で任意の数に変更可能である。これにより、例えば、上述の場合だと、1個ずつ仕分ける、5個まとめて仕分ける、または集品カート9内の目の付く位置に3個発見できたので3個だけ先に仕分けておく等の柔軟な作業が可能となる。
次に、図9ないし図13を参照して指示装置11の制御手段14による制御に基づく具体的な照射方法について説明する。
制御手段14の記憶部には、予め各収納空間に対して設定された少なくとも1つの照射位置が記憶されており、各収納空間に対応する各照射位置に応じた照射方向へ照射手段12の光源部が向いて、収納空間に対応した照射手段12の姿勢を実現するための角度調整機構13の動作目標(各軸の回転角度)が記憶されている。なお、照射位置が収納空間に対して複数記憶されている場合は、その内の一の照射位置を照射手段12の姿勢変更のための動作目標とすることができる。また、照射位置として、点以外に所定範囲を設定することもできる。
まず、図9には、照射手段12が、作業(物品Wの収納作業)が完了した直前の一の容器3に対応する位置(図9(c)中、二点鎖線で示す位置で、以下では「前位置」という)から、次に作業をすべき次の他の容器3に対応する位置(図9(c)中、実線で示す位置で、以下では「次位置」という)まで動く場合に、次位置に到着する前にLED光源の点灯により照射を開始する例が示されている。
具体的に説明すると、まず、作業者Xが直前の指示対象の一の容器3に物品Wを収納してその容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、その物品Wの仕分作業が完了したと判断され、図9(a)に示すように、照射手段12はLED光源が消灯する。
次いで、作業者Xが集品カート9内から物品Wを取り出してその物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、サーバー31に物品Wの情報が送信され、その物品Wを仕分ける次の収納空間が決定される。そして、制御手段14は、次の収納空間に対して設定された照射位置へ光を照射する姿勢へと照射手段12を動かすために、記憶部に記憶された次の収納空間に対応する動作目標に基づいて次位置へ向けての角度調整機構13の動作を実行する。具体的には、前位置の動作目標またはその近傍から次位置の動作目標(2つの回動部22a,24aの回転角度)へ向けて、前位置の回動部22a,24aの状態から、回動部22a,24を所定量分回動させる。
また、この角度調整機構13の動作に並行して、照射手段12の動作である点灯動作が制御手段14によって制御される。この照射手段12の光源部に対する点灯動作は、次位置の動作目標に対する角度調整機構13の動作が完了するよりも前に開始される。
例えば図9(b)および(c)に示すように、制御手段14は、記憶部に記憶された次位置の動作目標に基づき、前位置から次位置への角度調整機構13の動作開始に合わせて照射手段12のLED光源を点灯させる。そして、照射手段12の光源部が点灯した状態(点灯状態)を、姿勢変更の終了まで、すなわち角度調整機構13の動作目標へ向けての動作が完了するまで維持する。
つまり、照射手段12は、収納棚2の前面側に光を照射した点灯状態のまま、角度調整機構13の駆動体22,24の回動部22a,24aの所望角度の回動に基づいて、前位置から次位置まで姿勢を変更する。
その結果、収納棚2の前面側に、直前の一の収納空間に対応する照射位置から次の他の収納空間に対応する照射位置まで光の移動を示すように光の軌跡が描かれる(図9(c)参照)。このため、作業者Xが光の移動を目視することで、次の作業対象である収納空間に載置された容器3に向けて視線が誘導される。この場合、作業者Xが次の作業を開始する際に、直前に作業した前位置へ視線を向けると、前位置から次位置へ移動する光によって次の作業位置へと作業者が誘導されるので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。
また、制御手段14は、次の他の容器3に対応する次位置に到着した後、その指示対象の収納空間を目立たせるために、収納空間に設定された所定範囲内を光(光の照射位置)が連続して移動するように、角度調整機構13を連続的に動作させる。なお、所定範囲は、容器3を含むことができ、角度調整機構13の動作は連続して繰り返される光の移動動作を構成する。
すなわち例えば、図9(d)に示すように、角度調整機構13による照射手段12の姿勢変更が完了し、照射光が次位置に到着すると、各収納空間毎の所定範囲内において、予め設定された複数、例えば上下に離れた2つの設定点間を光が上下方向に移動し、作業対象である収納空間を強調する。
つまり、各収納空間には複数の照射位置が設定されており、加えて複数ある照射位置に対応する角度調整機構13の動作目標が記憶部に記憶されている。また、記憶部には各収納空間の複数の照射位置を照射する順番である照射順が角度調整機構13の動作順として記憶されている。制御手段14は、次の作業対象である収納空間に向けての角度調整機構13の動作が完了した後、照射手段12の点灯を維持した状態で、角度調整機構13の回動部22a,24aを動作させる。角度調整機構13の回動部22a,24aの動作は、作業対象の収納空間に設定された動作目標を動作順に応じて順次経由し、その一連の動作を繰り返し実施する。
この角度調整機構13により、照射手段12の姿勢が点灯状態を維持したまま変更されるため、作業者からは照射手段13から照射された光が所定の範囲を移動するように視認される。この光の移動により、作業者Xは、次の収納空間へ異動する光の照射位置の軌跡を見失っても、所定範囲内で繰り返し移動する光によって作業対象である収納空間が強調され、次の指示対象である次の他の容器3を容易に見つけることできる。
なお、上記図9に示す例では、制御手段14が、照射手段12の前位置である姿勢変更動作開始時から(角度調整機構13の動作開始時から)、次位置である姿勢変更動作完了前(角度調整機構13の動作終了時前)、つまり前位置から次位置への照射手段12の姿勢変更開始時に光の照射を開始する場合について説明したが、例えば図10(a)ないし(c)に示すように、次位置に到着する前、つまり前位置から次位置への姿勢変更途中で姿勢変更が完了する前に光の照射を開始するようにしてもよい。
次いで、図11には、照射手段12が、予め設定された基準姿勢(図11(c)、(c´)中、二点鎖線で示す位置)から、次に作業をすべき次の収納空間に対応する姿勢(図11(c)、(c´)中、実線で示す位置で、以下では「次位置」という)まで動く場合に、次位置に到着する前にLED光源の点灯により照射を開始する例が示されている。ここで、基準姿勢の照射手段12から照射された光は、一定の照射位置である基準照射位置51を照射する。
この例では、照射手段12の姿勢が、各収納空間に載置された容器3に対する物品Wの収納作業(または取り出し作業)が完了するたびに、基準照射位置51に対応する基準姿勢(移動開始位置)に戻るようになっている。すなわち、照射手段12が基準姿勢となるための角度調整手段の動作目標は基準目標として記憶部に記憶されており、制御手段14は、作業者による一の収納空間への作業が終わると基準目標へ角度調整機構13を動作させる。なお、基準照射位置51は、例えば収納棚2の左右方向中央部に位置した表示手段10の近傍部、すなわち例えば収納棚2の支柱6の前面のうち表示手段10の下方近傍部分であり、何れの収納空間にも対応しておらず、何れの収納空間または収納空間に載置された容器3を指示する位置ではない。なお、基準照射位置51は、原則として、収納棚2または仕分システム1において割り当てられた一の作業者が担当する複数の収納空間からなる作業ゾーンに対して1箇所のみ設定されている。
具体的に説明すると、まず、作業者Xが直前の指示対象の一の容器3に物品Wを収納してその容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、図11(a)に示すように、制御手段14が照射手段12のLED光源を消灯し、角度調整機構13を基準目標へ向けて動作させる。これにより、照射手段12の姿勢が基準姿勢に戻る。
次いで、作業者Xが集品カート9内から物品Wを取り出してその物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取り、その読み取った物品Wに対応する次の作業対象である収納空間が次位置としてサーバー31で決定される。次位置が決定されると、制御手段14は、次位置の動作目標へと角度調整機構13の動作を開始し、角度調整機構13の動作開始の直前(数秒前を含む)、動作開始と同時または動作途中に照射手段12の光源を点灯をさせる。例えば図11(b)および(c)に示すように、照射手段12の次位置への姿勢変更開始時にLED光源が点灯し、その点灯した状態(点灯状態)を維持したまま、基準姿勢から収納棚2の右側方向へ傾き、次の収納空間に対応する姿勢へと姿勢変更される。
つまり、次位置が収納棚2の右側に位置する場合には、照射手段12は、収納棚2の前面側に光(例えば赤色の光)を照射した点灯状態のまま、角度調整機構13の駆動体22,24の回動部22a,24aの所望角度の回動に基づいて、基準姿勢から収納棚2の右側の次位置まで移動して、角度調整機構13の次位置への動作目標への動作が完了する。
その結果、収納棚2の前面側に、基準照射位置51から次の容器3までの光の軌跡、つまり例えば赤色の光の照射位置の軌跡が描かれる(図11(c)参照)。このため、作業者Xの視線が次の容器3に向けて誘導される。この場合、作業者Xが次の作業を開始する際に固定位置にある基準照射位置51を目視することで、基準照射位置51から次位置へと光が移動して作業者の視線を誘導するので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。さらに、基準照射位置51は一定であるため、作業者が商品情報取得後に前位置の照射位置へ視線を動かす動作も省略される。また、基準照射位置51は、収納棚2の中央付近に設定されているため、例えば前位置と次位置端とが収納棚2の右端から左端へ変化する場合等に長い光の軌跡を作業者に提示して、作業効率を損ねる恐れも無くなる。
また、照射手段12は、次の収納空間に対応する次位置に到着した後、その指示対象の収納空間の位置を含む所定範囲内で光(光の照射位置)が移動するように、所定の動作を繰り返す。
すなわち例えば、図11(d)に示すように、照射手段12は、次位置に到着すると、各収納空間ごとの所定範囲内において、予め設定された複数、例えば上下に離れた2つの設定点間を例えば赤色の光が上下方向に移動するように、駆動手段13の回動部22a,24aの回動に基づいて所定の首振り動作を繰り返す。このため、作業者Xは、光の照射位置の軌跡を見失っても、所定範囲内で繰り返し移動する光によって、次の指示対象である次の収納空間を見つけることが容易である。
なお、次の容器3が収納棚2の左側に位置する場合には、照射手段12は、収納棚2の前面側に光(例えば緑色の光)を照射した点灯状態のまま、設定位置から収納棚2の左側の次位置まで移動するため、収納棚2の前面側に基準照射位置51から次の収納空間までの光の軌跡、つまり例えば緑色の光の照射位置の軌跡が描かれ(図11(c´)参照)、その後、所定範囲内で例えば緑色の光が上下方向に移動する(図11(d´)参照)。このように、収納棚2の右側と左側とでは、照射手段12にて照射される光を互い異なる色にすることで、作業者Xが、右側と左側のどちらが作業対象を含む領域かを認識しやすい。
また、上記図11に示す例では、照射手段12は、次位置に到着する前、つまり設定位置から次位置への移動開始時に照射を開始する場合について説明したが、例えば図10(a)ないし(c)に示す場合と同様、次位置に到着する前、つまり前位置から次位置への移動途中に照射を開始するようにしてもよい。
さらに、上記図11に示す例では、基準照射位置51は、表示手段10の近傍部である場合について説明したが、基準照射位置51は床面に設定してもよい。例えば作業者Xは、一の仕分作業が終了すると、次の作業に向けて集品カート9へ商品を取り出しに行き、集品カート9から取り出した物品Wのバーコードを読み取る作用を行うが、バーコードの読取作業は、通常、作業者Xの視線が下を向いた状態で行われるため、例えば図12に示すように、例えば集品カート停止位置に停止して収納棚2の左右方向中央部前方に位置した集品カート9の近傍部、すなわち例えば集品カート9が走行する床面のうち集品カート停止位置の近傍部分に基準照射位置51を設定してもよい。
この場合、照射手段12から照射された光は、先ずは床面に設定された基準照射位置51から次の作業対象である収納空間が存在する収納棚2の列の下方まで床面を移動して収納棚2の中の列位置を指示し、次に上方向へ移動することでその収納空間を指示する。言い換えれば、集品カート9の近傍の床面側から収納棚2の前面側にわたって、基準照射位置51から次の収容空間までの光の軌跡が描かれる。
そして、作業者は物品Wのバーコードを読み取る際には通常視線を下に向けて行うため、バーコードを読み取る動作の延長で視線を下に向けたまま基準照射位置51を目視することができ、その状態から次位置の場所が光によって誘導されるので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。
なお、上記のいずれの例においても、各収納空間ごとに予め設定された所定範囲内での、作業対象の空間を強調する光の移動パターンを形成するために設定された照射位置は、上下方向に離れた2点には限定されず、設定点の数は任意であり、例えば図13(a)に示す左右に離れた2点、図13(b)に示す三角形を描く3点、図13(c)に示す四角形を描く4点、或いは、図13(d)に示す円形を描くような複数点等でもよい。また、複数の照射位置を照射する順序は、複数点を一筆書きとなるように照射する順に設定してもよく、任意の順に設定してもよい。
そして、上記仕分システム1によれば、照射手段12は、制御手段14による照射手段12のLED光源および角度調整機構13の駆動体22,24の駆動源の制御に基づいて、所望の軌跡始端位置から作業者Xが次に作業をすべき次の容器3の位置(軌跡終端位置)までの光の軌跡を予備動作として描くため、作業者Xはその軌跡を視認することで視線が次の容器3に向けて誘導される。したがって、作業者Xは、指示対象の次の容器3を容易に見つけることができ、作業効率の向上を図ることができる。
また、照射手段12は、指示対象の次の容器3に対応する位置に到着した後、その指示対象付近の所定範囲内で光が移動するように所定の動作を繰り返すため、作業者Xは、光の軌跡を見失っても繰り返し連続移動する光によって、指示対象の次の容器3を見つけることが容易であり、作業効率の向上を図ることができる。なお、収納棚2の構成等によって容器3の傾きや位置にばらつきがあったとしても、指示対象の次の容器3に応じた所定範囲内で光を移動させることで、作業者Xは指示対象の容器3を特定できる。
なお、照射ユニット15の照射手段12による光の軌跡は、光源部の連続点灯による直線状をなす連続的な軌跡には限定されず、例えば光源部の点滅による断続的な軌跡でもよい。また、照射手段12の光源部が発する光は、例えば角度調整機構13の停止中と作動中とで色が異なるようにしてもよい。すなわち、光が作業対象を指示しているのか、作業対象へ到達する前の移動中の状態なのかを区別するために発光色を変更でき、作業者Xが動作状態を判別しやすくできる。
また、1つの収納棚2に対して照射ユニット15を1つ設けた構成には限定されず、照射ユニット15の数は任意であり、複数でもよい。複数の照射ユニット15を使用することで、一の照射手段12からの照射光が作業者に遮られる場合、又は、一の照射手段12が故障した場合等でも、他の照射手段12からの照射光が収納棚2の作業対象を指示することができ、一の照射手段12が機能しない場合でも、他の照射手段12が機能するため作業効率が落ちることが無い。また、収納棚2が大きい場合や容器3が広い範囲に載置されている場合等のように照射対象範囲が広範囲に及ぶ場合には、照射対象範囲を複数の照射手段12に分割して対応させることで、照射光の照度の低下、または、照射光の過度な形状の変形を防止できる。
さらに、仕分システム1は、収納棚2の容器3へ物品Wを収納して仕分ける構成には限定されず、例えば光の照射により指示された収納棚側の照射位置が指示する収納空間からから物品を取り出し、この取り出した物品を光の照射により指示された搬送手段側の照射位置が指示する収納空間へ仕分ける構成等でもよい。つまり、仕分けシステム1は、ピッキングおよびアソートの両方の仕分け作業に適用でき、何れの仕分け作業における容器等からの商品の取り出し作業および容器等への商品の投入作業に適用することができる。
また、角度調整機構13の回動軸線は2軸以外も採用でき、2軸の場合の第1回動中心軸線および第2回動中心軸線の軸線の方向は、例えば垂直方向の回動軸と水平方向の回動軸による構成としても良い。
さらに、角度調整機構13は、図14に示すように、スライドガイド61に沿った横方向への移動と回動軸線Cを中心にした水平軸線周りの回転とを組み合わせた構成でも良い。この構成では、スライドガイド61にスライド体62が移動可能に取り付けられている。また、スライド体62に固定されたブラケット63に駆動体64を介して照射手段12が回動軸線Cを中心に回動可能に取り付けられている。そして、照射手段12は、スライドガイド61に沿って照射位置の列上に向かって左右方向に移動し、かつ、回動軸線Cを中心に前後方向に回動することによって、光の照射方向が変更される。そのため、光の照射方向が、照射位置に対して縦方向にのみ変化するので、照射光の形状が変形しにくく視認しやすい。
なお、制御手段14による照射手段12の点灯および消灯には、制御手段14が照射手段12への電源供給をオン・オフ切り替えする構成、および、照射手段12の電源回路にオン・オフの信号を送信する構成の何れにしてもよい。
また、照射手段12の光源部の点灯開始時点は、角度調整機構13の動作目標への動作が完了する前であり、角度調整機構13の動作開始前、動作開始と同時、動作開始後のいずれの時点でもよい。照射手段12の点灯を、角度調整機構13の動作開始前から動作開始直後までの間のタイミングで開始した場合は、作業者Xが直前に作業を行った収容空間もしくはその近傍から光の移動が開始されるため、作業者Xは、光の動き始めを認識しやすく誘導効果が向上する。
なお、角度調整機構13の一の収納空間から他の収納空間へ動作においては、制御手段14が一の収納空間に対応する動作目標から他の収納空間に対応する動作目標へと必要な動作分だけ動作を実行する場合の他、制御手段14が記憶部に予め記憶された一の収納空間から他の収納空間への動作量を呼び出し、その呼び出した動作量に基づいて角度調整機構13の動作を実行しても良い。
1 仕分システム
3 照射位置である容器
11 指示装置
12 照射手段
13 角度調整機構
14 制御手段
本発明は、作業効率の向上を図ることができる指示装置および仕分システムに関するものである。
従来、作業対象に対応した照射位置への光の照射により作業者に対して作業対象を指示する指示装置として、例えば特許文献1に記載の指示装置が知られている。
この従来の指示装置は、光を照射する照射手段(スポットライト)と、この照射手段を動かす角度調整機構と、これら照射手段および角度調整機構を制御する制御手段とを備えている。
そして、一の作業対象に対する作業が完了し、次の他の作業対象に対する作業を行う際には、照射手段は、例えば一の照射位置に対応した位置から他の照射位置に対応した位置まで照射方向を移動し、この移動後に照射を開始して、次に作業をすべき他の照射位置を作業者に指示する。
このため、例えば一の照射位置と次の他の照射位置との間の距離が長い場合、または複数の作業対象がランダムで指示される場合等においては、作業者が次に作業をすべき他の照射位置に照射された光を見つけるのに時間を要し、作業効率が低下するおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業効率の向上を図ることができる指示装置および仕分システムを提供することを目的とする。
請求項1記載の指示装置は、所定の範囲内に設定された複数の収納空間のうち、光の照射によって作業者に対して一の収納空間を作業対象として指示する指示装置であって、光を照射する照射手段と、前記照射手段の姿勢を変更させる角度調整機構と、前記照射手段および前記角度調整機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記収納空間毎に対応した前記照射手段の姿勢を実現する前記角度調整機構の動作目標が記憶された記憶部を有し、前記動作目標に対する前記角度調整機構の動作が完了するよりも前に前記照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項2記載の指示装置は、請求項1記載の指示装置において、作業対象が一の収納空間から他の収納空間へと変更されると、制御手段は、一の収納空間の動作目標から他の収納空間の動作目標へと角度調整機構の動作を開始させ、角度調整機構の動作が完了するよりも前に照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項3記載の指示装置は、請求項1記載の指示装置において、記憶部には、照射手段の一の姿勢である基準姿勢に対する角度調整機構の動作目標が基準目標として記憶され、制御手段は、作業者による一の収納空間への作業が終わると前記基準目標まで前記角度調整機構を動作させるものである。
請求項4記載の指示装置は、請求項3記載の指示装置において、基準姿勢の状態の照射手段から照射される光の照射位置は、いずれの収納空間とも対応していない位置であるものである。
請求項5記載の指示装置は、請求項2ないし4のいずれか一記載の指示装置において、制御手段は、他の収納空間の動作目標へ向けた角度調整機構の動作開始前から動作開始直後までの間に照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項6記載の指示装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の指示装置において、制御手段は、角度調整機構が動作目標への動作を完了した後、照射手段に光を照射させた状態で、所定範囲内で前記照射手段の光の照射方向が連続して変更されるように前記角度調整機構を連続的に動作させるものである。
請求項7記載の指示装置は、請求項6記載の指示装置において、記憶部には、一の収納空間に対して角度調整機構に対する複数の動作目標およびこれら複数の動作目標に対する動作順が記憶され、制御手段は、角度調整機構が動作目標への動作を完了した後、照射手段に光を照射させた状態で、前記複数の動作目標を前記動作順に経由するように前記角度調整機構を動作させるものである。
請求項8記載の仕分システムは、請求項1ないし7のいずれか一記載の指示装置を備えたものである。
請求項9記載の仕分けシステムは、光の照射によって作業者に対して作業対象を指示する仕分けシステムであって、光を照射する投光装置と、前記投光装置を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記投光装置からの照射光が前記作業対象に対応した位置までの軌跡を描くように前記投光装置を制御するものである。
請求項10記載の仕分けシステムは、光の照射によって作業者に対して作業対象を指示する仕分けシステムであって、前記作業者によって物品の投入作業または取り出し作業が行われる複数の作業位置と、光を照射する投光装置と、前記投光装置を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記作業者を作業対象の作業位置に対応した位置へ誘導するために、前記投光装置からの照射光が作業対象の作業位置に対応した位置へ向かって移動するように前記投光装置を制御するものである。
本発明によれば、作業効率の向上を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係る仕分システムの正面図である。
同上仕分システムの側面図である。
同上仕分システムの照射ユニットの正面図である。
同上照射ユニットの側面図である。
同上照射ユニットの平面図である。
同上仕分システムの概略構成図である。
同上仕分システムのフローチャートである。
同上仕分システムの表示手段の正面図である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン1)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン2)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン3)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン4)である。
(a)ないし(d)は所定範囲内での光の移動パターンを示す図である。
同上仕分システムの照射ユニットの変形例を示す概略構成図である。
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1および図2において、1は仕分システムであり、この仕分システム1は、複数の商品である物品Wを収納する収納棚2を備えている。
収納棚2には、行列状(例えば5行6列)に複数の容器3が載置されている。物品Wが出し入れ可能に収納される物品収納部(間口)である容器3は、上面が開口した箱状のコンテナからなるもので、収納棚2の棚部4上に載置されている。なお、容器3は、例えば皿状のトレイ等でもよい。
また、収納棚2には、仕分作業の対象となる複数の収納空間が設定されている。図1において、収納棚2には5行6列からなる計30の仕分作業用の収納空間が設定され、各容器3がそれぞれ対応する所定の収納空間に載置されることで、計30個の容器3が収納棚2内に載置されている。ここで、各収納空間は、所定範囲内の収納棚2の空間に対して複数の区画に区分されることにより設定されているが、所定範囲は収納棚2に限られず、容器3が載置されたコンベヤ上の所定範囲等でも良く、また、収納棚2に載置された各容器3自体を収納空間として設定してもよい。
収納棚2は、複数段の棚部4が固着された枠部5を有している。この枠部5には、液晶式のタッチパネル表示部10aを有する表示手段(表示器)10が取り付けられている。具体的には、枠部5は、収納棚2の前側の左右方向中央部に位置する上下方向長手状の支柱6を有し、この支柱6の上端部に表示手段10が取り付けられている。つまり、表示手段10は、収納棚2の前面における左右方向中央部の上端側に設けられている。
また、仕分システム1は、収納空間の容器3への光の照射により作業者(2次ピッカー)Xに対して次に作業(物品Wの収納作業)をすべき容器3を指示する指示装置11を備えている。
なお、本実施の形態では、作業対象としての収納空間を特定するために指示装置からの光を収納空間の容器3に対して照射しており、容器3の側面を光の照射を受ける照射位置として機能させている。また、照射位置は容器3自体でもよいし、容器3の近傍の位置としてもよい。さらに、収納棚2内の各容器3を収納空間とした場合も同様に、容器3自体または容器3の近傍の位置を照射位置としても良い。
このため、2次仕分作業をする作業者(2次ピッカー)Xは、前工程で1次仕分作業をする作業者(1次ピッカー)によって集品手段である集品カート9内に集品された物品Wを、指示装置11によって光の照射により指示された容器3へ収納(投入)する。
なお、図示しない作業者(1次ピッカー)は、オーダリスト等の1次ピッキングリストに基づき、リストの全物品Wを集品カート9内に集品した後、その集品カート9を収納棚2の近傍に設定された集品カート停止位置に留め置く。図2において、集品カート9の停留位置は、収納棚の前面の左右方向中央部であり、さらに収納棚2の前面に設けられた作業者(2次ピッカー)X用の仕分作業空間を挟んで収納棚の前面と対向した位置である。なお、集品カート9は、床面を走行可能な走行輪9aを有している。
指示装置11は、指示用の可視光である光を照射する照射手段12と、この照射手段12の姿勢を調整し、収納棚2側に表示される光の照射位置(照射手段12からの光の照射方向)を変更する角度調整機構13と、照射手段12、角度調整機構13および表示手段10の動作を制御する制御手段14とを有している。
また、照射手段12と角度調整機構13とによって、1つのユニット状の照射ユニット(投光装置)15が構成されている。この照射ユニット15は、支持枠16が上部に有した前後方向長手状の支持部17に前後位置調整可能に取り付けられている。なお、照射ユニット15の照射手段12は、正面視で表示手段10の上方(真上)に位置している(図1参照)。
そして、照射手段12および角度調整機構13が、制御手段14による制御に基づいて、各収納空間に設定された照射位置に対して光を照射し、作業者Xが次に作業をすべき次の容器3を指示する。そして、一の収納空間から他の収納空間へと作業対象が変更されると、この他の収納空間に対応した照射位置に対して光が照射されるように、角度調整機構13が照射手段12の姿勢を変更させて照射光の照射方向を変更させる。そして、この照射方向の変更にあたっては、制御手段14は次の作業対象となる収納空間に対応する照射位置へ向けての照射手段12の姿勢変更が終了する前(角度調整機構13の動作が完了する前)に照射手段12による光の照射(点灯)を開始する。換言すると、制御手段14は、次の容器3までの光の軌跡が描かれるように、照射手段12および駆動手段13を制御する。
ここで、照射手段12は、光源部を有しており、光源部は例えば発光ダイオード(LED)または半導体レーザー(LD)からなり、光源部の点灯によって光(スポット光)を照射位置に対して照射するスポットライトにて構成されたものである。なお、本実施の形態ではLED光源が用いられている。
照射手段(スポットライト)12は、図3ないし図5等に示されるように、照射手段12の姿勢(照射方向)の角度調整機構(向き調整手段)13によって保持されており、この角度調整機構13が支持枠16の支持部17に取り付けられている。
角度調整機構13は、支持枠16の支持部17に前後位置調整可能に取り付けられた第1取付板21を有し、この第1取付板21には第1駆動体22が取り付けられている。
第1駆動体22は、左右方向の回動中心軸線(第1回動中心軸線)Aを中心として回動する円板状の回動部22aを有している。そして、第1駆動体22の回動部22aには第2取付板23が取り付けられ、この第2取付板23には第2駆動体24が取り付けられている。
第2駆動体24は、前後方向の回動中心軸線(第2回動中心軸線)Bを中心として回動する円板状の回動部24aを有している。そして、第2駆動体24の回動部24aには第3取付板25が取り付けられ、この第3取付板25には1個の照射手段12が取り付けられている。
そして、照射手段12は、第1駆動体22の回動部22aの回動に基づいて回動中心軸線Aを中心として前後方向に回動し(図4参照)、第2駆動体24の回動部24aの回動に基づいて回動中心軸線Bを中心として左右方向に回動する(図3参照)。
なお、第1駆動体22および第2駆動体24は、いずれも例えばモータからなる駆動源を内蔵した電動ロータリテーブルにて構成されたものであり、制御手段14からの制御信号によって回動量(回動角度)、回動速度等の動作が制御される。
さらに、仕分システム1は、図6に示されるように、サーバー(PC)31を備え、このサーバー31にはハブ32が接続され、このハブ32には照射ユニット15の作動を制御する制御手段(PLC)14が接続されている。そして、制御手段14には、表示手段10のほか、照射ユニット15の照射手段12のLED光源(光源部)と、角度調整機構13の2つの駆動体22,24の駆動源とがそれぞれ接続されている。また、制御手段14には、照射手段12、角度調整機構13および表示手段10の動作に関する動作情報(動作プログラム)が記憶された記憶部が備えられている。なお、記憶部は、制御手段の内部、外部の何れに備えられてもよい。
ハブ32には、識別子からの情報を取得する情報取得手段であるバーコードリーダー(BCR)33からの情報を受信する受信機であるBluetooth(登録商標)ハブ34が接続されている。なお、物品W、容器3、および1次ピッキングリストには、識別子としてのバーコード(BCD)が付されている。
次に、上記仕分システム1の作用等を説明する。
まず、図7に示すフローチャートに基づいて、仕分システム1による仕分処理の流れを説明する。
1次ピッキングリストの物品Wがランダムの状態で収納された集品カート9は、作業者(1次ピッカー)によって、収納棚2の前方の集品カート停止位置に置かれる。
そして、作業者(2次ピッカー)Xは、バーコードリーダー33を用いて、集品カート停止位置に停留した集品カート9に取り付けられたバーコートまた集品カート9に紐付いた1次ピッキングリストのバーコードを読み取る(ステップ1)。
すると、サーバー31は、その1次ピッキングリストに対応する仕分け作業情報(例えばオーダ情報)を収納棚2の各収納空間に対して割り付ける。1次ピッキングリストを受信したサーバー31は、作業量(例えば、仕分作業数、行数およびアイテム数等)の多い順に、作業効率向上のために予め設定された優先度の高い収納空間から仕分作業を割り付ける。
次いで、作業者Xは、集品カート停止位置に位置した集品カート9内から物品Wを例えば1個取り出し、この取り出した物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取ることで物品情報を取得する(ステップ2)。
すると、サーバー31は、その取り出した物品Wに関する物品情報に基づいて、仕分け作業情報のうちの未仕分け物品情報からなる仕分予定データを検索し、その物品Wの投入を要求する収納空間を特定して、制御手段14へ指示情報を出力する(ステップ3)。
制御手段14は、その指示情報に基づいて照射手段12、角度調整機構13および表示手段10を制御し、作業者Xが物品Wを収納すべき指示対象の容器3に対してLED光源の点灯により光を照射させる(ステップ4)。なお、制御手段14による制御に基づく具体的な照射方法については後述する。
そして、作業者Xは、集品カート9内から取り出した物品Wを、照射手段12による光の照射によって指示された指示対象の容器3へ収納して仕分けた後、その物品Wを収納した容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取って容器情報を取得する(ステップ5)。
すると、サーバー31は、読み取った容器3の容器情報が指示対象の収納空間に載置された容器3の容器情報に該当した場合には仕分実績をカウントし、制御手段14へ指示解除情報を出力する(ステップ6)。一方、読み取った容器3の容器情報が、指示対象の収納空間の容器3に該当しなかった場合には、表示手段10の表示部であるタッチパネル表示部10aに「NG表示」が表示される。なお、各収納空間に載置された容器3の容器情報と各収納空間との対応関係は予めサーバー31で管理されている。
制御手段14は、その指示解除情報に基づいて照射手段12を制御し、この照射手段12にLED光源を消灯させる(ステップ7)。
その後、サーバー31は、1次ピッキングリストにリストアップされた集品カート9内の全物品Wについて、指示対象の容器3への収納作業(投入作業)が完了したか否かを判断する(ステップ8)。
完了したと判断した場合には、サーバー31は、制御手段14へ1次ピッキングリストの全物品Wの仕分完了を報告する(ステップ9)。なお、未完了の場合は、上記ステップ2に戻る。
こうして仕分完了報告をサーバー31が受信すると、当該1次ピッキングリストの全物品Wについて、作業者Xによる2次仕分作業が完了する(ステップ10)。
次に、図8には、表示手段10のタッチパネル表示部10aに表示された作業用画面の一例が示されている。
この作業用画面は、集品カート9内から取り出す物品Wのピック数(例えば「1」)を表示するピック数表示部分41と、指示対象の容器3に収納される物品Wの残り予定数(例えば「5」)を表示する予定数表示部分42とを有している。
また、この作業用画面は、収納棚2の複数の容器3に対応する行列状をなす複数の図形(例えば5行3列の表示を左右に配置した図形)を表示するとともに、指示対象である1つの容器3に対応する1つの図形のみを複数の他の図形とは異なる表示形態、例えば異なる色で表示する指示対象表示部分43を有している。なお、表示手段10の作業用画面は、上記一例に限定されず、例えば、収納棚2の複数の容器3に対応する図形として、収納棚2の右半分の領域を示す5行3列の表示を作業用画面の左上部分に表示し、収納棚2の左半分を示す5行3列の表示を作業用画面の右上部分に表示するとともに、これら5行3列の表示の間に操作メニューボタンや指示対象である1つの容器3に対応する数字等を表示する構成等にしてもよい。
さらに、この作業用画面は、ピック数表示部分41に表示されるピック数を変更するためのピック数変更用のボタン、すなわち例えば減少ボタン44および増加ボタン45を有している。
そして、作業者Xが集品カート9から取り出して商品情報を取得した商品Wと同一の商品Wを一の容器3に対して複数個を仕分ける必要がある場合に、例えば、一の容器3に仕分ける同一商品の数が「5個」の場合、予定数表示部分42には全仕分数である「5」が表示され、ピック数表示部分41には、初期状態の「1」が表示される。この場合、作業者Xは、5個まとめて作業したい場合は、例えば増加ボタン45をタッチ操作してピック数表示部分41に表示されるピック数を残りの予定数の「5」に変更した後、同じ種類の5個の物品Wをまとめて指示対象である1つの容器3に収納して仕分けることが可能である。なお、ピック数表示部分41の表示は予定数表示部分42に表示された予定数の範囲内で任意の数に変更可能である。これにより、例えば、上述の場合だと、1個ずつ仕分ける、5個まとめて仕分ける、または集品カート9内の目の付く位置に3個発見できたので3個だけ先に仕分けておく等の柔軟な作業が可能となる。
次に、図9ないし図13を参照して指示装置11の制御手段14による制御に基づく具体的な照射方法について説明する。
制御手段14の記憶部には、予め各収納空間に対して設定された少なくとも1つの照射位置が記憶されており、各収納空間に対応する各照射位置に応じた照射方向へ照射手段12の光源部が向いて、収納空間に対応した照射手段12の姿勢を実現するための角度調整機構13の動作目標(各軸の回転角度)が記憶されている。なお、照射位置が収納空間に対して複数記憶されている場合は、その内の一の照射位置を照射手段12の姿勢変更のための動作目標とすることができる。また、照射位置として、点以外に所定範囲を設定することもできる。
まず、図9には、照射手段12が、作業(物品Wの収納作業)が完了した直前の一の容器3に対応する位置(図9(c)中、二点鎖線で示す位置で、以下では「前位置」という)から、次に作業をすべき次の他の容器3に対応する位置(図9(c)中、実線で示す位置で、以下では「次位置」という)まで動く場合に、次位置に到着する前にLED光源の点灯により照射を開始する例が示されている。
具体的に説明すると、まず、作業者Xが直前の指示対象の一の容器3に物品Wを収納してその容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、その物品Wの仕分作業が完了したと判断され、図9(a)に示すように、照射手段12はLED光源が消灯する。
次いで、作業者Xが集品カート9内から物品Wを取り出してその物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、サーバー31に物品Wの情報が送信され、その物品Wを仕分ける次の収納空間が決定される。そして、制御手段14は、次の収納空間に対して設定された照射位置へ光を照射する姿勢へと照射手段12を動かすために、記憶部に記憶された次の収納空間に対応する動作目標に基づいて次位置へ向けての角度調整機構13の動作を実行する。具体的には、前位置の動作目標またはその近傍から次位置の動作目標(2つの回動部22a,24aの回転角度)へ向けて、前位置の回動部22a,24aの状態から、回動部22a,24を所定量分回動させる。
また、この角度調整機構13の動作に並行して、照射手段12の動作である点灯動作が制御手段14によって制御される。この照射手段12の光源部に対する点灯動作は、次位置の動作目標に対する角度調整機構13の動作が完了するよりも前に開始される。
例えば図9(b)および(c)に示すように、制御手段14は、記憶部に記憶された次位置の動作目標に基づき、前位置から次位置への角度調整機構13の動作開始に合わせて照射手段12のLED光源を点灯させる。そして、照射手段12の光源部が点灯した状態(点灯状態)を、姿勢変更の終了まで、すなわち角度調整機構13の動作目標へ向けての動作が完了するまで維持する。
つまり、照射手段12は、収納棚2の前面側に光を照射した点灯状態のまま、角度調整機構13の駆動体22,24の回動部22a,24aの所望角度の回動に基づいて、前位置から次位置まで姿勢を変更する。
その結果、収納棚2の前面側に、直前の一の収納空間に対応する照射位置から次の他の収納空間に対応する照射位置まで光の移動を示すように光の軌跡が描かれる(図9(c)参照)。このため、作業者Xが光の移動を目視することで、次の作業対象である収納空間に載置された容器3に向けて視線が誘導される。この場合、作業者Xが次の作業を開始する際に、直前に作業した前位置へ視線を向けると、前位置から次位置へ移動する光によって次の作業位置へと作業者が誘導されるので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。
また、制御手段14は、次の他の容器3に対応する次位置に到着した後、その指示対象の収納空間を目立たせるために、収納空間に設定された所定範囲内を光(光の照射位置)が連続して移動するように、角度調整機構13を連続的に動作させる。なお、所定範囲は、容器3を含むことができ、角度調整機構13の動作は連続して繰り返される光の移動動作を構成する。
すなわち例えば、図9(d)に示すように、角度調整機構13による照射手段12の姿勢変更が完了し、照射光が次位置に到着すると、各収納空間毎の所定範囲内において、予め設定された複数、例えば上下に離れた2つの設定点間を光が上下方向に移動し、作業対象である収納空間を強調する。
つまり、各収納空間には複数の照射位置が設定されており、加えて複数ある照射位置に対応する角度調整機構13の動作目標が記憶部に記憶されている。また、記憶部には各収納空間の複数の照射位置を照射する順番である照射順が角度調整機構13の動作順として記憶されている。制御手段14は、次の作業対象である収納空間に向けての角度調整機構13の動作が完了した後、照射手段12の点灯を維持した状態で、角度調整機構13の回動部22a,24aを動作させる。角度調整機構13の回動部22a,24aの動作は、作業対象の収納空間に設定された動作目標を動作順に応じて順次経由し、その一連の動作を繰り返し実施する。
この角度調整機構13により、照射手段12の姿勢が点灯状態を維持したまま変更されるため、作業者からは照射手段13から照射された光が所定の範囲を移動するように視認される。この光の移動により、作業者Xは、次の収納空間へ異動する光の照射位置の軌跡を見失っても、所定範囲内で繰り返し移動する光によって作業対象である収納空間が強調され、次の指示対象である次の他の容器3を容易に見つけることできる。
なお、上記図9に示す例では、制御手段14が、照射手段12の前位置である姿勢変更動作開始時から(角度調整機構13の動作開始時から)、次位置である姿勢変更動作完了前(角度調整機構13の動作終了時前)、つまり前位置から次位置への照射手段12の姿勢変更開始時に光の照射を開始する場合について説明したが、例えば図10(a)ないし(c)に示すように、次位置に到着する前、つまり前位置から次位置への姿勢変更途中で姿勢変更が完了する前に光の照射を開始するようにしてもよい。
次いで、図11には、照射手段12が、予め設定された基準姿勢(図11(c)、(c´)中、二点鎖線で示す位置)から、次に作業をすべき次の収納空間に対応する姿勢(図11(c)、(c´)中、実線で示す位置で、以下では「次位置」という)まで動く場合に、次位置に到着する前にLED光源の点灯により照射を開始する例が示されている。ここで、基準姿勢の照射手段12から照射された光は、一定の照射位置である基準照射位置51を照射する。
この例では、照射手段12の姿勢が、各収納空間に載置された容器3に対する物品Wの収納作業(または取り出し作業)が完了するたびに、基準照射位置51に対応する基準姿勢(移動開始位置)に戻るようになっている。すなわち、照射手段12が基準姿勢となるための角度調整手段の動作目標は基準目標として記憶部に記憶されており、制御手段14は、作業者による一の収納空間への作業が終わると基準目標へ角度調整機構13を動作させる。なお、基準照射位置51は、例えば収納棚2の左右方向中央部に位置した表示手段10の近傍部、すなわち例えば収納棚2の支柱6の前面のうち表示手段10の下方近傍部分であり、何れの収納空間にも対応しておらず、何れの収納空間または収納空間に載置された容器3を指示する位置ではない。なお、基準照射位置51は、原則として、収納棚2または仕分システム1において割り当てられた一の作業者が担当する複数の収納空間からなる作業ゾーンに対して1箇所のみ設定されている。
具体的に説明すると、まず、作業者Xが直前の指示対象の一の容器3に物品Wを収納してその容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、図11(a)に示すように、制御手段14が照射手段12のLED光源を消灯し、角度調整機構13を基準目標へ向けて動作させる。これにより、照射手段12の姿勢が基準姿勢に戻る。
次いで、作業者Xが集品カート9内から物品Wを取り出してその物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取り、その読み取った物品Wに対応する次の作業対象である収納空間が次位置としてサーバー31で決定される。次位置が決定されると、制御手段14は、次位置の動作目標へと角度調整機構13の動作を開始し、角度調整機構13の動作開始の直前(数秒前を含む)、動作開始と同時または動作途中に照射手段12の光源を点灯をさせる。例えば図11(b)および(c)に示すように、照射手段12の次位置への姿勢変更開始時にLED光源が点灯し、その点灯した状態(点灯状態)を維持したまま、基準姿勢から収納棚2の右側方向へ傾き、次の収納空間に対応する姿勢へと姿勢変更される。
つまり、次位置が収納棚2の右側に位置する場合には、照射手段12は、収納棚2の前面側に光(例えば赤色の光)を照射した点灯状態のまま、角度調整機構13の駆動体22,24の回動部22a,24aの所望角度の回動に基づいて、基準姿勢から収納棚2の右側の次位置まで移動して、角度調整機構13の次位置への動作目標への動作が完了する。
その結果、収納棚2の前面側に、基準照射位置51から次の容器3までの光の軌跡、つまり例えば赤色の光の照射位置の軌跡が描かれる(図11(c)参照)。このため、作業者Xの視線が次の容器3に向けて誘導される。この場合、作業者Xが次の作業を開始する際に固定位置にある基準照射位置51を目視することで、基準照射位置51から次位置へと光が移動して作業者の視線を誘導するので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。さらに、基準照射位置51は一定であるため、作業者が商品情報取得後に前位置の照射位置へ視線を動かす動作も省略される。また、基準照射位置51は、収納棚2の中央付近に設定されているため、例えば前位置と次位置端とが収納棚2の右端から左端へ変化する場合等に長い光の軌跡を作業者に提示して、作業効率を損ねる恐れも無くなる。
また、照射手段12は、次の収納空間に対応する次位置に到着した後、その指示対象の収納空間の位置を含む所定範囲内で光(光の照射位置)が移動するように、所定の動作を繰り返す。
すなわち例えば、図11(d)に示すように、照射手段12は、次位置に到着すると、各収納空間ごとの所定範囲内において、予め設定された複数、例えば上下に離れた2つの設定点間を例えば赤色の光が上下方向に移動するように、駆動手段13の回動部22a,24aの回動に基づいて所定の首振り動作を繰り返す。このため、作業者Xは、光の照射位置の軌跡を見失っても、所定範囲内で繰り返し移動する光によって、次の指示対象である次の収納空間を見つけることが容易である。
なお、次の容器3が収納棚2の左側に位置する場合には、照射手段12は、収納棚2の前面側に光(例えば緑色の光)を照射した点灯状態のまま、設定位置から収納棚2の左側の次位置まで移動するため、収納棚2の前面側に基準照射位置51から次の収納空間までの光の軌跡、つまり例えば緑色の光の照射位置の軌跡が描かれ(図11(c´)参照)、その後、所定範囲内で例えば緑色の光が上下方向に移動する(図11(d´)参照)。このように、収納棚2の右側と左側とでは、照射手段12にて照射される光を互い異なる色にすることで、作業者Xが、右側と左側のどちらが作業対象を含む領域かを認識しやすい。
また、上記図11に示す例では、照射手段12は、次位置に到着する前、つまり設定位置から次位置への移動開始時に照射を開始する場合について説明したが、例えば図10(a)ないし(c)に示す場合と同様、次位置に到着する前、つまり前位置から次位置への移動途中に照射を開始するようにしてもよい。
さらに、上記図11に示す例では、基準照射位置51は、表示手段10の近傍部である場合について説明したが、基準照射位置51は床面に設定してもよい。例えば作業者Xは、一の仕分作業が終了すると、次の作業に向けて集品カート9へ商品を取り出しに行き、集品カート9から取り出した物品Wのバーコードを読み取る作用を行うが、バーコードの読取作業は、通常、作業者Xの視線が下を向いた状態で行われるため、例えば図12に示すように、例えば集品カート停止位置に停止して収納棚2の左右方向中央部前方に位置した集品カート9の近傍部、すなわち例えば集品カート9が走行する床面のうち集品カート停止位置の近傍部分に基準照射位置51を設定してもよい。
この場合、照射手段12から照射された光は、先ずは床面に設定された基準照射位置51から次の作業対象である収納空間が存在する収納棚2の列の下方まで床面を移動して収納棚2の中の列位置を指示し、次に上方向へ移動することでその収納空間を指示する。言い換えれば、集品カート9の近傍の床面側から収納棚2の前面側にわたって、基準照射位置51から次の収容空間までの光の軌跡が描かれる。
そして、作業者は物品Wのバーコードを読み取る際には通常視線を下に向けて行うため、バーコードを読み取る動作の延長で視線を下に向けたまま基準照射位置51を目視することができ、その状態から次位置の場所が光によって誘導されるので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。
なお、上記のいずれの例においても、各収納空間ごとに予め設定された所定範囲内での、作業対象の空間を強調する光の移動パターンを形成するために設定された照射位置は、上下方向に離れた2点には限定されず、設定点の数は任意であり、例えば図13(a)に示す左右に離れた2点、図13(b)に示す三角形を描く3点、図13(c)に示す四角形を描く4点、或いは、図13(d)に示す円形を描くような複数点等でもよい。また、複数の照射位置を照射する順序は、複数点を一筆書きとなるように照射する順に設定してもよく、任意の順に設定してもよい。
そして、上記仕分システム1によれば、照射手段12は、制御手段14による照射手段12のLED光源および角度調整機構13の駆動体22,24の駆動源の制御に基づいて、所望の軌跡始端位置から作業者Xが次に作業をすべき次の容器3の位置(軌跡終端位置)までの光の軌跡を予備動作として描くため、作業者Xはその軌跡を視認することで視線が次の容器3に向けて誘導される。したがって、作業者Xは、指示対象の次の容器3を容易に見つけることができ、作業効率の向上を図ることができる。
また、照射手段12は、指示対象の次の容器3に対応する位置に到着した後、その指示対象付近の所定範囲内で光が移動するように所定の動作を繰り返すため、作業者Xは、光の軌跡を見失っても繰り返し連続移動する光によって、指示対象の次の容器3を見つけることが容易であり、作業効率の向上を図ることができる。なお、収納棚2の構成等によって容器3の傾きや位置にばらつきがあったとしても、指示対象の次の容器3に応じた所定範囲内で光を移動させることで、作業者Xは指示対象の容器3を特定できる。
なお、照射ユニット15の照射手段12による光の軌跡は、光源部の連続点灯による直線状をなす連続的な軌跡には限定されず、例えば光源部の点滅による断続的な軌跡でもよい。また、照射手段12の光源部が発する光は、例えば角度調整機構13の停止中と作動中とで色が異なるようにしてもよい。すなわち、光が作業対象を指示しているのか、作業対象へ到達する前の移動中の状態なのかを区別するために発光色を変更でき、作業者Xが動作状態を判別しやすくできる。
また、1つの収納棚2に対して照射ユニット15を1つ設けた構成には限定されず、照射ユニット15の数は任意であり、複数でもよい。複数の照射ユニット15を使用することで、一の照射手段12からの照射光が作業者に遮られる場合、又は、一の照射手段12が故障した場合等でも、他の照射手段12からの照射光が収納棚2の作業対象を指示することができ、一の照射手段12が機能しない場合でも、他の照射手段12が機能するため作業効率が落ちることが無い。また、収納棚2が大きい場合や容器3が広い範囲に載置されている場合等のように照射対象範囲が広範囲に及ぶ場合には、照射対象範囲を複数の照射手段12に分割して対応させることで、照射光の照度の低下、または、照射光の過度な形状の変形を防止できる。
さらに、仕分システム1は、収納棚2の容器3へ物品Wを収納して仕分ける構成には限定されず、例えば光の照射により指示された収納棚側の照射位置が指示する収納空間からから物品を取り出し、この取り出した物品を光の照射により指示された搬送手段側の照射位置が指示する収納空間へ仕分ける構成等でもよい。つまり、仕分けシステム1は、ピッキングおよびアソートの両方の仕分け作業に適用でき、何れの仕分け作業における容器等からの商品の取り出し作業および容器等への商品の投入作業に適用することができる。
また、角度調整機構13の回動軸線は2軸以外も採用でき、2軸の場合の第1回動中心軸線および第2回動中心軸線の軸線の方向は、例えば垂直方向の回動軸と水平方向の回動軸による構成としても良い。
さらに、角度調整機構13は、図14に示すように、スライドガイド61に沿った横方向への移動と回動軸線Cを中心にした水平軸線周りの回転とを組み合わせた構成でも良い。この構成では、スライドガイド61にスライド体62が移動可能に取り付けられている。また、スライド体62に固定されたブラケット63に駆動体64を介して照射手段12が回動軸線Cを中心に回動可能に取り付けられている。そして、照射手段12は、スライドガイド61に沿って照射位置の列上に向かって左右方向に移動し、かつ、回動軸線Cを中心に前後方向に回動することによって、光の照射方向が変更される。そのため、光の照射方向が、照射位置に対して縦方向にのみ変化するので、照射光の形状が変形しにくく視認しやすい。
なお、制御手段14による照射手段12の点灯および消灯には、制御手段14が照射手段12への電源供給をオン・オフ切り替えする構成、および、照射手段12の電源回路にオン・オフの信号を送信する構成の何れにしてもよい。
また、照射手段12の光源部の点灯開始時点は、角度調整機構13の動作目標への動作が完了する前であり、角度調整機構13の動作開始前、動作開始と同時、動作開始後のいずれの時点でもよい。照射手段12の点灯を、角度調整機構13の動作開始前から動作開始直後までの間のタイミングで開始した場合は、作業者Xが直前に作業を行った収容空間もしくはその近傍から光の移動が開始されるため、作業者Xは、光の動き始めを認識しやすく誘導効果が向上する。
なお、角度調整機構13の一の収納空間から他の収納空間へ動作においては、制御手段14が一の収納空間に対応する動作目標から他の収納空間に対応する動作目標へと必要な動作分だけ動作を実行する場合の他、制御手段14が記憶部に予め記憶された一の収納空間から他の収納空間への動作量を呼び出し、その呼び出した動作量に基づいて角度調整機構13の動作を実行しても良い。
1 仕分システム
3 照射位置である容器
11 指示装置
12 照射手段
13 角度調整機構
14 制御手段
本発明は、作業効率の向上を図ることができる指示装置および仕分システムに関するものである。
従来、作業対象に対応した照射位置への光の照射により作業者に対して作業対象を指示する指示装置として、例えば特許文献1に記載の指示装置が知られている。
この従来の指示装置は、光を照射する照射手段(スポットライト)と、この照射手段を動かす角度調整機構と、これら照射手段および角度調整機構を制御する制御手段とを備えている。
そして、一の作業対象に対する作業が完了し、次の他の作業対象に対する作業を行う際には、照射手段は、例えば一の照射位置に対応した位置から他の照射位置に対応した位置まで照射方向を移動し、この移動後に照射を開始して、次に作業をすべき他の照射位置を作業者に指示する。
このため、例えば一の照射位置と次の他の照射位置との間の距離が長い場合、または複数の作業対象がランダムで指示される場合等においては、作業者が次に作業をすべき他の照射位置に照射された光を見つけるのに時間を要し、作業効率が低下するおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業効率の向上を図ることができる指示装置および仕分システムを提供することを目的とする。
請求項1記載の指示装置は、所定の範囲内に設定された複数の収納空間のうち、光の照射によって作業者に対して一の収納空間を作業対象として指示する指示装置であって、光を照射する照射手段と、前記照射手段の姿勢を変更させる角度調整機構と、前記照射手段および前記角度調整機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記収納空間毎に対応した前記照射手段の姿勢を実現する前記角度調整機構の動作目標が記憶された記憶部を有し、前記動作目標に対する前記角度調整機構の動作が完了するよりも前に前記照射手段に光の照射を開始させ、作業対象が一の収納空間から他の収納空間へと変更されると、前記制御手段は、一の収納空間の動作目標から他の収納空間の動作目標へと前記角度調整機構の動作を開始させ、前記角度調整機構の動作が完了するよりも前に前記照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項2記載の指示装置は、所定の範囲内に設定された複数の収納空間のうち、光の照射によって作業者に対して一の収納空間を作業対象として指示する指示装置であって、光を照射する照射手段と、前記照射手段の姿勢を変更させる角度調整機構と、前記照射手段および前記角度調整機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記収納空間毎に対応した前記照射手段の姿勢を実現する前記角度調整機構の動作目標が記憶された記憶部を有し、前記動作目標に対する前記角度調整機構の動作が完了するよりも前に前記照射手段に光の照射を開始させ、前記記憶部には、前記照射手段の一の姿勢である基準姿勢に対する角度調整機構の動作目標が基準目標として記憶され、前記制御手段は、作業者による一の収納空間への作業が終わると前記基準目標まで前記角度調整機構を動作させるものである。
請求項3記載の指示装置は、所定の範囲内に設定された複数の収納空間のうち、光の照射によって作業者に対して一の収納空間を作業対象として指示する指示装置であって、光を照射する照射手段と、前記照射手段の姿勢を変更させる角度調整機構と、前記照射手段および前記角度調整機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記収納空間毎に対応した前記照射手段の姿勢を実現する前記角度調整機構の動作目標が記憶された記憶部を有し、前記動作目標に対する前記角度調整機構の動作が完了するよりも前に前記照射手段に光の照射を開始させ、制御手段は、前記角度調整機構が動作目標への動作を完了した後、前記照射手段に光を照射させた状態で、所定範囲内で前記照射手段の光の照射方向が連続して変更されるように前記角度調整機構を連続的に動作させるものである。
請求項4記載の指示装置は、請求項2記載の指示装置において、基準姿勢の状態の照射手段から照射される光の照射位置は、いずれの収納空間とも対応していない位置であるものである。
請求項5記載の指示装置は、請求項3記載の指示装置において、記憶部には、一の収納空間に対して角度調整機構に対する複数の動作目標およびこれら複数の動作目標に対する動作順が記憶され、制御手段は、角度調整機構が動作目標への動作を完了した後、照射手段に光を照射させた状態で、前記複数の動作目標を前記動作順に経由するように前記角度調整機構を動作させるものである。
請求項6記載の指示装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の指示装置において、制御手段は、他の収納空間の動作目標へ向けた角度調整機構の動作開始前から動作開始直後までの間に照射手段に光の照射を開始させるものである。
請求項7記載の仕分システムは、請求項1ないし6のいずれか一記載の指示装置を備えたものである。
本発明によれば、作業効率の向上を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係る仕分システムの正面図である。
同上仕分システムの側面図である。
同上仕分システムの照射ユニットの正面図である。
同上照射ユニットの側面図である。
同上照射ユニットの平面図である。
同上仕分システムの概略構成図である。
同上仕分システムのフローチャートである。
同上仕分システムの表示手段の正面図である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン1)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン2)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン3)である。
同上仕分システムの説明図(光の軌跡パターン4)である。
(a)ないし(d)は所定範囲内での光の移動パターンを示す図である。
同上仕分システムの照射ユニットの変形例を示す概略構成図である。
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1および図2において、1は仕分システムであり、この仕分システム1は、複数の商品である物品Wを収納する収納棚2を備えている。
収納棚2には、行列状(例えば5行6列)に複数の容器3が載置されている。物品Wが出し入れ可能に収納される物品収納部(間口)である容器3は、上面が開口した箱状のコンテナからなるもので、収納棚2の棚部4上に載置されている。なお、容器3は、例えば皿状のトレイ等でもよい。
また、収納棚2には、仕分作業の対象となる複数の収納空間が設定されている。図1において、収納棚2には5行6列からなる計30の仕分作業用の収納空間が設定され、各容器3がそれぞれ対応する所定の収納空間に載置されることで、計30個の容器3が収納棚2内に載置されている。ここで、各収納空間は、所定範囲内の収納棚2の空間に対して複数の区画に区分されることにより設定されているが、所定範囲は収納棚2に限られず、容器3が載置されたコンベヤ上の所定範囲等でも良く、また、収納棚2に載置された各容器3自体を収納空間として設定してもよい。
収納棚2は、複数段の棚部4が固着された枠部5を有している。この枠部5には、液晶式のタッチパネル表示部10aを有する表示手段(表示器)10が取り付けられている。具体的には、枠部5は、収納棚2の前側の左右方向中央部に位置する上下方向長手状の支柱6を有し、この支柱6の上端部に表示手段10が取り付けられている。つまり、表示手段10は、収納棚2の前面における左右方向中央部の上端側に設けられている。
また、仕分システム1は、収納空間の容器3への光の照射により作業者(2次ピッカー)Xに対して次に作業(物品Wの収納作業)をすべき容器3を指示する指示装置11を備えている。
なお、本実施の形態では、作業対象としての収納空間を特定するために指示装置からの光を収納空間の容器3に対して照射しており、容器3の側面を光の照射を受ける照射位置として機能させている。また、照射位置は容器3自体でもよいし、容器3の近傍の位置としてもよい。さらに、収納棚2内の各容器3を収納空間とした場合も同様に、容器3自体または容器3の近傍の位置を照射位置としても良い。
このため、2次仕分作業をする作業者(2次ピッカー)Xは、前工程で1次仕分作業をする作業者(1次ピッカー)によって集品手段である集品カート9内に集品された物品Wを、指示装置11によって光の照射により指示された容器3へ収納(投入)する。
なお、図示しない作業者(1次ピッカー)は、オーダリスト等の1次ピッキングリストに基づき、リストの全物品Wを集品カート9内に集品した後、その集品カート9を収納棚2の近傍に設定された集品カート停止位置に留め置く。図2において、集品カート9の停留位置は、収納棚の前面の左右方向中央部であり、さらに収納棚2の前面に設けられた作業者(2次ピッカー)X用の仕分作業空間を挟んで収納棚の前面と対向した位置である。なお、集品カート9は、床面を走行可能な走行輪9aを有している。
指示装置11は、指示用の可視光である光を照射する照射手段12と、この照射手段12の姿勢を調整し、収納棚2側に表示される光の照射位置(照射手段12からの光の照射方向)を変更する角度調整機構13と、照射手段12、角度調整機構13および表示手段10の動作を制御する制御手段14とを有している。
また、照射手段12と角度調整機構13とによって、1つのユニット状の照射ユニット(投光装置)15が構成されている。この照射ユニット15は、支持枠16が上部に有した前後方向長手状の支持部17に前後位置調整可能に取り付けられている。なお、照射ユニット15の照射手段12は、正面視で表示手段10の上方(真上)に位置している(図1参照)。
そして、照射手段12および角度調整機構13が、制御手段14による制御に基づいて、各収納空間に設定された照射位置に対して光を照射し、作業者Xが次に作業をすべき次の容器3を指示する。そして、一の収納空間から他の収納空間へと作業対象が変更されると、この他の収納空間に対応した照射位置に対して光が照射されるように、角度調整機構13が照射手段12の姿勢を変更させて照射光の照射方向を変更させる。そして、この照射方向の変更にあたっては、制御手段14は次の作業対象となる収納空間に対応する照射位置へ向けての照射手段12の姿勢変更が終了する前(角度調整機構13の動作が完了する前)に照射手段12による光の照射(点灯)を開始する。換言すると、制御手段14は、次の容器3までの光の軌跡が描かれるように、照射手段12および駆動手段13を制御する。
ここで、照射手段12は、光源部を有しており、光源部は例えば発光ダイオード(LED)または半導体レーザー(LD)からなり、光源部の点灯によって光(スポット光)を照射位置に対して照射するスポットライトにて構成されたものである。なお、本実施の形態ではLED光源が用いられている。
照射手段(スポットライト)12は、図3ないし図5等に示されるように、照射手段12の姿勢(照射方向)の角度調整機構(向き調整手段)13によって保持されており、この角度調整機構13が支持枠16の支持部17に取り付けられている。
角度調整機構13は、支持枠16の支持部17に前後位置調整可能に取り付けられた第1取付板21を有し、この第1取付板21には第1駆動体22が取り付けられている。
第1駆動体22は、左右方向の回動中心軸線(第1回動中心軸線)Aを中心として回動する円板状の回動部22aを有している。そして、第1駆動体22の回動部22aには第2取付板23が取り付けられ、この第2取付板23には第2駆動体24が取り付けられている。
第2駆動体24は、前後方向の回動中心軸線(第2回動中心軸線)Bを中心として回動する円板状の回動部24aを有している。そして、第2駆動体24の回動部24aには第3取付板25が取り付けられ、この第3取付板25には1個の照射手段12が取り付けられている。
そして、照射手段12は、第1駆動体22の回動部22aの回動に基づいて回動中心軸線Aを中心として前後方向に回動し(図4参照)、第2駆動体24の回動部24aの回動に基づいて回動中心軸線Bを中心として左右方向に回動する(図3参照)。
なお、第1駆動体22および第2駆動体24は、いずれも例えばモータからなる駆動源を内蔵した電動ロータリテーブルにて構成されたものであり、制御手段14からの制御信号によって回動量(回動角度)、回動速度等の動作が制御される。
さらに、仕分システム1は、図6に示されるように、サーバー(PC)31を備え、このサーバー31にはハブ32が接続され、このハブ32には照射ユニット15の作動を制御する制御手段(PLC)14が接続されている。そして、制御手段14には、表示手段10のほか、照射ユニット15の照射手段12のLED光源(光源部)と、角度調整機構13の2つの駆動体22,24の駆動源とがそれぞれ接続されている。また、制御手段14には、照射手段12、角度調整機構13および表示手段10の動作に関する動作情報(動作プログラム)が記憶された記憶部が備えられている。なお、記憶部は、制御手段の内部、外部の何れに備えられてもよい。
ハブ32には、識別子からの情報を取得する情報取得手段であるバーコードリーダー(BCR)33からの情報を受信する受信機であるBluetooth(登録商標)ハブ34が接続されている。なお、物品W、容器3、および1次ピッキングリストには、識別子としてのバーコード(BCD)が付されている。
次に、上記仕分システム1の作用等を説明する。
まず、図7に示すフローチャートに基づいて、仕分システム1による仕分処理の流れを説明する。
1次ピッキングリストの物品Wがランダムの状態で収納された集品カート9は、作業者(1次ピッカー)によって、収納棚2の前方の集品カート停止位置に置かれる。
そして、作業者(2次ピッカー)Xは、バーコードリーダー33を用いて、集品カート停止位置に停留した集品カート9に取り付けられたバーコートまた集品カート9に紐付いた1次ピッキングリストのバーコードを読み取る(ステップ1)。
すると、サーバー31は、その1次ピッキングリストに対応する仕分け作業情報(例えばオーダ情報)を収納棚2の各収納空間に対して割り付ける。1次ピッキングリストを受信したサーバー31は、作業量(例えば、仕分作業数、行数およびアイテム数等)の多い順に、作業効率向上のために予め設定された優先度の高い収納空間から仕分作業を割り付ける。
次いで、作業者Xは、集品カート停止位置に位置した集品カート9内から物品Wを例えば1個取り出し、この取り出した物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取ることで物品情報を取得する(ステップ2)。
すると、サーバー31は、その取り出した物品Wに関する物品情報に基づいて、仕分け作業情報のうちの未仕分け物品情報からなる仕分予定データを検索し、その物品Wの投入を要求する収納空間を特定して、制御手段14へ指示情報を出力する(ステップ3)。
制御手段14は、その指示情報に基づいて照射手段12、角度調整機構13および表示手段10を制御し、作業者Xが物品Wを収納すべき指示対象の容器3に対してLED光源の点灯により光を照射させる(ステップ4)。なお、制御手段14による制御に基づく具体的な照射方法については後述する。
そして、作業者Xは、集品カート9内から取り出した物品Wを、照射手段12による光の照射によって指示された指示対象の容器3へ収納して仕分けた後、その物品Wを収納した容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取って容器情報を取得する(ステップ5)。
すると、サーバー31は、読み取った容器3の容器情報が指示対象の収納空間に載置された容器3の容器情報に該当した場合には仕分実績をカウントし、制御手段14へ指示解除情報を出力する(ステップ6)。一方、読み取った容器3の容器情報が、指示対象の収納空間の容器3に該当しなかった場合には、表示手段10の表示部であるタッチパネル表示部10aに「NG表示」が表示される。なお、各収納空間に載置された容器3の容器情報と各収納空間との対応関係は予めサーバー31で管理されている。
制御手段14は、その指示解除情報に基づいて照射手段12を制御し、この照射手段12にLED光源を消灯させる(ステップ7)。
その後、サーバー31は、1次ピッキングリストにリストアップされた集品カート9内の全物品Wについて、指示対象の容器3への収納作業(投入作業)が完了したか否かを判断する(ステップ8)。
完了したと判断した場合には、サーバー31は、制御手段14へ1次ピッキングリストの全物品Wの仕分完了を報告する(ステップ9)。なお、未完了の場合は、上記ステップ2に戻る。
こうして仕分完了報告をサーバー31が受信すると、当該1次ピッキングリストの全物品Wについて、作業者Xによる2次仕分作業が完了する(ステップ10)。
次に、図8には、表示手段10のタッチパネル表示部10aに表示された作業用画面の一例が示されている。
この作業用画面は、集品カート9内から取り出す物品Wのピック数(例えば「1」)を表示するピック数表示部分41と、指示対象の容器3に収納される物品Wの残り予定数(例えば「5」)を表示する予定数表示部分42とを有している。
また、この作業用画面は、収納棚2の複数の容器3に対応する行列状をなす複数の図形(例えば5行3列の表示を左右に配置した図形)を表示するとともに、指示対象である1つの容器3に対応する1つの図形のみを複数の他の図形とは異なる表示形態、例えば異なる色で表示する指示対象表示部分43を有している。なお、表示手段10の作業用画面は、上記一例に限定されず、例えば、収納棚2の複数の容器3に対応する図形として、収納棚2の右半分の領域を示す5行3列の表示を作業用画面の左上部分に表示し、収納棚2の左半分を示す5行3列の表示を作業用画面の右上部分に表示するとともに、これら5行3列の表示の間に操作メニューボタンや指示対象である1つの容器3に対応する数字等を表示する構成等にしてもよい。
さらに、この作業用画面は、ピック数表示部分41に表示されるピック数を変更するためのピック数変更用のボタン、すなわち例えば減少ボタン44および増加ボタン45を有している。
そして、作業者Xが集品カート9から取り出して商品情報を取得した商品Wと同一の商品Wを一の容器3に対して複数個を仕分ける必要がある場合に、例えば、一の容器3に仕分ける同一商品の数が「5個」の場合、予定数表示部分42には全仕分数である「5」が表示され、ピック数表示部分41には、初期状態の「1」が表示される。この場合、作業者Xは、5個まとめて作業したい場合は、例えば増加ボタン45をタッチ操作してピック数表示部分41に表示されるピック数を残りの予定数の「5」に変更した後、同じ種類の5個の物品Wをまとめて指示対象である1つの容器3に収納して仕分けることが可能である。なお、ピック数表示部分41の表示は予定数表示部分42に表示された予定数の範囲内で任意の数に変更可能である。これにより、例えば、上述の場合だと、1個ずつ仕分ける、5個まとめて仕分ける、または集品カート9内の目の付く位置に3個発見できたので3個だけ先に仕分けておく等の柔軟な作業が可能となる。
次に、図9ないし図13を参照して指示装置11の制御手段14による制御に基づく具体的な照射方法について説明する。
制御手段14の記憶部には、予め各収納空間に対して設定された少なくとも1つの照射位置が記憶されており、各収納空間に対応する各照射位置に応じた照射方向へ照射手段12の光源部が向いて、収納空間に対応した照射手段12の姿勢を実現するための角度調整機構13の動作目標(各軸の回転角度)が記憶されている。なお、照射位置が収納空間に対して複数記憶されている場合は、その内の一の照射位置を照射手段12の姿勢変更のための動作目標とすることができる。また、照射位置として、点以外に所定範囲を設定することもできる。
まず、図9には、照射手段12が、作業(物品Wの収納作業)が完了した直前の一の容器3に対応する位置(図9(c)中、二点鎖線で示す位置で、以下では「前位置」という)から、次に作業をすべき次の他の容器3に対応する位置(図9(c)中、実線で示す位置で、以下では「次位置」という)まで動く場合に、次位置に到着する前にLED光源の点灯により照射を開始する例が示されている。
具体的に説明すると、まず、作業者Xが直前の指示対象の一の容器3に物品Wを収納してその容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、その物品Wの仕分作業が完了したと判断され、図9(a)に示すように、照射手段12はLED光源が消灯する。
次いで、作業者Xが集品カート9内から物品Wを取り出してその物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、サーバー31に物品Wの情報が送信され、その物品Wを仕分ける次の収納空間が決定される。そして、制御手段14は、次の収納空間に対して設定された照射位置へ光を照射する姿勢へと照射手段12を動かすために、記憶部に記憶された次の収納空間に対応する動作目標に基づいて次位置へ向けての角度調整機構13の動作を実行する。具体的には、前位置の動作目標またはその近傍から次位置の動作目標(2つの回動部22a,24aの回転角度)へ向けて、前位置の回動部22a,24aの状態から、回動部22a,24を所定量分回動させる。
また、この角度調整機構13の動作に並行して、照射手段12の動作である点灯動作が制御手段14によって制御される。この照射手段12の光源部に対する点灯動作は、次位置の動作目標に対する角度調整機構13の動作が完了するよりも前に開始される。
例えば図9(b)および(c)に示すように、制御手段14は、記憶部に記憶された次位置の動作目標に基づき、前位置から次位置への角度調整機構13の動作開始に合わせて照射手段12のLED光源を点灯させる。そして、照射手段12の光源部が点灯した状態(点灯状態)を、姿勢変更の終了まで、すなわち角度調整機構13の動作目標へ向けての動作が完了するまで維持する。
つまり、照射手段12は、収納棚2の前面側に光を照射した点灯状態のまま、角度調整機構13の駆動体22,24の回動部22a,24aの所望角度の回動に基づいて、前位置から次位置まで姿勢を変更する。
その結果、収納棚2の前面側に、直前の一の収納空間に対応する照射位置から次の他の収納空間に対応する照射位置まで光の移動を示すように光の軌跡が描かれる(図9(c)参照)。このため、作業者Xが光の移動を目視することで、次の作業対象である収納空間に載置された容器3に向けて視線が誘導される。この場合、作業者Xが次の作業を開始する際に、直前に作業した前位置へ視線を向けると、前位置から次位置へ移動する光によって次の作業位置へと作業者が誘導されるので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。
また、制御手段14は、次の他の容器3に対応する次位置に到着した後、その指示対象の収納空間を目立たせるために、収納空間に設定された所定範囲内を光(光の照射位置)が連続して移動するように、角度調整機構13を連続的に動作させる。なお、所定範囲は、容器3を含むことができ、角度調整機構13の動作は連続して繰り返される光の移動動作を構成する。
すなわち例えば、図9(d)に示すように、角度調整機構13による照射手段12の姿勢変更が完了し、照射光が次位置に到着すると、各収納空間毎の所定範囲内において、予め設定された複数、例えば上下に離れた2つの設定点間を光が上下方向に移動し、作業対象である収納空間を強調する。
つまり、各収納空間には複数の照射位置が設定されており、加えて複数ある照射位置に対応する角度調整機構13の動作目標が記憶部に記憶されている。また、記憶部には各収納空間の複数の照射位置を照射する順番である照射順が角度調整機構13の動作順として記憶されている。制御手段14は、次の作業対象である収納空間に向けての角度調整機構13の動作が完了した後、照射手段12の点灯を維持した状態で、角度調整機構13の回動部22a,24aを動作させる。角度調整機構13の回動部22a,24aの動作は、作業対象の収納空間に設定された動作目標を動作順に応じて順次経由し、その一連の動作を繰り返し実施する。
この角度調整機構13により、照射手段12の姿勢が点灯状態を維持したまま変更されるため、作業者からは照射手段13から照射された光が所定の範囲を移動するように視認される。この光の移動により、作業者Xは、次の収納空間へ異動する光の照射位置の軌跡を見失っても、所定範囲内で繰り返し移動する光によって作業対象である収納空間が強調され、次の指示対象である次の他の容器3を容易に見つけることできる。
なお、上記図9に示す例では、制御手段14が、照射手段12の前位置である姿勢変更動作開始時から(角度調整機構13の動作開始時から)、次位置である姿勢変更動作完了前(角度調整機構13の動作終了時前)、つまり前位置から次位置への照射手段12の姿勢変更開始時に光の照射を開始する場合について説明したが、例えば図10(a)ないし(c)に示すように、次位置に到着する前、つまり前位置から次位置への姿勢変更途中で姿勢変更が完了する前に光の照射を開始するようにしてもよい。
次いで、図11には、照射手段12が、予め設定された基準姿勢(図11(c)、(c´)中、二点鎖線で示す位置)から、次に作業をすべき次の収納空間に対応する姿勢(図11(c)、(c´)中、実線で示す位置で、以下では「次位置」という)まで動く場合に、次位置に到着する前にLED光源の点灯により照射を開始する例が示されている。ここで、基準姿勢の照射手段12から照射された光は、一定の照射位置である基準照射位置51を照射する。
この例では、照射手段12の姿勢が、各収納空間に載置された容器3に対する物品Wの収納作業(または取り出し作業)が完了するたびに、基準照射位置51に対応する基準姿勢(移動開始位置)に戻るようになっている。すなわち、照射手段12が基準姿勢となるための角度調整手段の動作目標は基準目標として記憶部に記憶されており、制御手段14は、作業者による一の収納空間への作業が終わると基準目標へ角度調整機構13を動作させる。なお、基準照射位置51は、例えば収納棚2の左右方向中央部に位置した表示手段10の近傍部、すなわち例えば収納棚2の支柱6の前面のうち表示手段10の下方近傍部分であり、何れの収納空間にも対応しておらず、何れの収納空間または収納空間に載置された容器3を指示する位置ではない。なお、基準照射位置51は、原則として、収納棚2または仕分システム1において割り当てられた一の作業者が担当する複数の収納空間からなる作業ゾーンに対して1箇所のみ設定されている。
具体的に説明すると、まず、作業者Xが直前の指示対象の一の容器3に物品Wを収納してその容器3のバーコードをバーコードリーダー33で読み取ると、図11(a)に示すように、制御手段14が照射手段12のLED光源を消灯し、角度調整機構13を基準目標へ向けて動作させる。これにより、照射手段12の姿勢が基準姿勢に戻る。
次いで、作業者Xが集品カート9内から物品Wを取り出してその物品Wのバーコードをバーコードリーダー33で読み取り、その読み取った物品Wに対応する次の作業対象である収納空間が次位置としてサーバー31で決定される。次位置が決定されると、制御手段14は、次位置の動作目標へと角度調整機構13の動作を開始し、角度調整機構13の動作開始の直前(数秒前を含む)、動作開始と同時または動作途中に照射手段12の光源を点灯をさせる。例えば図11(b)および(c)に示すように、照射手段12の次位置への姿勢変更開始時にLED光源が点灯し、その点灯した状態(点灯状態)を維持したまま、基準姿勢から収納棚2の右側方向へ傾き、次の収納空間に対応する姿勢へと姿勢変更される。
つまり、次位置が収納棚2の右側に位置する場合には、照射手段12は、収納棚2の前面側に光(例えば赤色の光)を照射した点灯状態のまま、角度調整機構13の駆動体22,24の回動部22a,24aの所望角度の回動に基づいて、基準姿勢から収納棚2の右側の次位置まで移動して、角度調整機構13の次位置への動作目標への動作が完了する。
その結果、収納棚2の前面側に、基準照射位置51から次の容器3までの光の軌跡、つまり例えば赤色の光の照射位置の軌跡が描かれる(図11(c)参照)。このため、作業者Xの視線が次の容器3に向けて誘導される。この場合、作業者Xが次の作業を開始する際に固定位置にある基準照射位置51を目視することで、基準照射位置51から次位置へと光が移動して作業者の視線を誘導するので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。さらに、基準照射位置51は一定であるため、作業者が商品情報取得後に前位置の照射位置へ視線を動かす動作も省略される。また、基準照射位置51は、収納棚2の中央付近に設定されているため、例えば前位置と次位置端とが収納棚2の右端から左端へ変化する場合等に長い光の軌跡を作業者に提示して、作業効率を損ねる恐れも無くなる。
また、照射手段12は、次の収納空間に対応する次位置に到着した後、その指示対象の収納空間の位置を含む所定範囲内で光(光の照射位置)が移動するように、所定の動作を繰り返す。
すなわち例えば、図11(d)に示すように、照射手段12は、次位置に到着すると、各収納空間ごとの所定範囲内において、予め設定された複数、例えば上下に離れた2つの設定点間を例えば赤色の光が上下方向に移動するように、駆動手段13の回動部22a,24aの回動に基づいて所定の首振り動作を繰り返す。このため、作業者Xは、光の照射位置の軌跡を見失っても、所定範囲内で繰り返し移動する光によって、次の指示対象である次の収納空間を見つけることが容易である。
なお、次の容器3が収納棚2の左側に位置する場合には、照射手段12は、収納棚2の前面側に光(例えば緑色の光)を照射した点灯状態のまま、設定位置から収納棚2の左側の次位置まで移動するため、収納棚2の前面側に基準照射位置51から次の収納空間までの光の軌跡、つまり例えば緑色の光の照射位置の軌跡が描かれ(図11(c´)参照)、その後、所定範囲内で例えば緑色の光が上下方向に移動する(図11(d´)参照)。このように、収納棚2の右側と左側とでは、照射手段12にて照射される光を互い異なる色にすることで、作業者Xが、右側と左側のどちらが作業対象を含む領域かを認識しやすい。
また、上記図11に示す例では、照射手段12は、次位置に到着する前、つまり設定位置から次位置への移動開始時に照射を開始する場合について説明したが、例えば図10(a)ないし(c)に示す場合と同様、次位置に到着する前、つまり前位置から次位置への移動途中に照射を開始するようにしてもよい。
さらに、上記図11に示す例では、基準照射位置51は、表示手段10の近傍部である場合について説明したが、基準照射位置51は床面に設定してもよい。例えば作業者Xは、一の仕分作業が終了すると、次の作業に向けて集品カート9へ商品を取り出しに行き、集品カート9から取り出した物品Wのバーコードを読み取る作用を行うが、バーコードの読取作業は、通常、作業者Xの視線が下を向いた状態で行われるため、例えば図12に示すように、例えば集品カート停止位置に停止して収納棚2の左右方向中央部前方に位置した集品カート9の近傍部、すなわち例えば集品カート9が走行する床面のうち集品カート停止位置の近傍部分に基準照射位置51を設定してもよい。
この場合、照射手段12から照射された光は、先ずは床面に設定された基準照射位置51から次の作業対象である収納空間が存在する収納棚2の列の下方まで床面を移動して収納棚2の中の列位置を指示し、次に上方向へ移動することでその収納空間を指示する。言い換えれば、集品カート9の近傍の床面側から収納棚2の前面側にわたって、基準照射位置51から次の収容空間までの光の軌跡が描かれる。
そして、作業者は物品Wのバーコードを読み取る際には通常視線を下に向けて行うため、バーコードを読み取る動作の延長で視線を下に向けたまま基準照射位置51を目視することができ、その状態から次位置の場所が光によって誘導されるので、収納棚2内の次位置をランダムで探す場合に比べて次位置の場所を見つけやすく作業効率が向上する。
なお、上記のいずれの例においても、各収納空間ごとに予め設定された所定範囲内での、作業対象の空間を強調する光の移動パターンを形成するために設定された照射位置は、上下方向に離れた2点には限定されず、設定点の数は任意であり、例えば図13(a)に示す左右に離れた2点、図13(b)に示す三角形を描く3点、図13(c)に示す四角形を描く4点、或いは、図13(d)に示す円形を描くような複数点等でもよい。また、複数の照射位置を照射する順序は、複数点を一筆書きとなるように照射する順に設定してもよく、任意の順に設定してもよい。
そして、上記仕分システム1によれば、照射手段12は、制御手段14による照射手段12のLED光源および角度調整機構13の駆動体22,24の駆動源の制御に基づいて、所望の軌跡始端位置から作業者Xが次に作業をすべき次の容器3の位置(軌跡終端位置)までの光の軌跡を予備動作として描くため、作業者Xはその軌跡を視認することで視線が次の容器3に向けて誘導される。したがって、作業者Xは、指示対象の次の容器3を容易に見つけることができ、作業効率の向上を図ることができる。
また、照射手段12は、指示対象の次の容器3に対応する位置に到着した後、その指示対象付近の所定範囲内で光が移動するように所定の動作を繰り返すため、作業者Xは、光の軌跡を見失っても繰り返し連続移動する光によって、指示対象の次の容器3を見つけることが容易であり、作業効率の向上を図ることができる。なお、収納棚2の構成等によって容器3の傾きや位置にばらつきがあったとしても、指示対象の次の容器3に応じた所定範囲内で光を移動させることで、作業者Xは指示対象の容器3を特定できる。
なお、照射ユニット15の照射手段12による光の軌跡は、光源部の連続点灯による直線状をなす連続的な軌跡には限定されず、例えば光源部の点滅による断続的な軌跡でもよい。また、照射手段12の光源部が発する光は、例えば角度調整機構13の停止中と作動中とで色が異なるようにしてもよい。すなわち、光が作業対象を指示しているのか、作業対象へ到達する前の移動中の状態なのかを区別するために発光色を変更でき、作業者Xが動作状態を判別しやすくできる。
また、1つの収納棚2に対して照射ユニット15を1つ設けた構成には限定されず、照射ユニット15の数は任意であり、複数でもよい。複数の照射ユニット15を使用することで、一の照射手段12からの照射光が作業者に遮られる場合、又は、一の照射手段12が故障した場合等でも、他の照射手段12からの照射光が収納棚2の作業対象を指示することができ、一の照射手段12が機能しない場合でも、他の照射手段12が機能するため作業効率が落ちることが無い。また、収納棚2が大きい場合や容器3が広い範囲に載置されている場合等のように照射対象範囲が広範囲に及ぶ場合には、照射対象範囲を複数の照射手段12に分割して対応させることで、照射光の照度の低下、または、照射光の過度な形状の変形を防止できる。
さらに、仕分システム1は、収納棚2の容器3へ物品Wを収納して仕分ける構成には限定されず、例えば光の照射により指示された収納棚側の照射位置が指示する収納空間からから物品を取り出し、この取り出した物品を光の照射により指示された搬送手段側の照射位置が指示する収納空間へ仕分ける構成等でもよい。つまり、仕分けシステム1は、ピッキングおよびアソートの両方の仕分け作業に適用でき、何れの仕分け作業における容器等からの商品の取り出し作業および容器等への商品の投入作業に適用することができる。
また、角度調整機構13の回動軸線は2軸以外も採用でき、2軸の場合の第1回動中心軸線および第2回動中心軸線の軸線の方向は、例えば垂直方向の回動軸と水平方向の回動軸による構成としても良い。
さらに、角度調整機構13は、図14に示すように、スライドガイド61に沿った横方向への移動と回動軸線Cを中心にした水平軸線周りの回転とを組み合わせた構成でも良い。この構成では、スライドガイド61にスライド体62が移動可能に取り付けられている。また、スライド体62に固定されたブラケット63に駆動体64を介して照射手段12が回動軸線Cを中心に回動可能に取り付けられている。そして、照射手段12は、スライドガイド61に沿って照射位置の列上に向かって左右方向に移動し、かつ、回動軸線Cを中心に前後方向に回動することによって、光の照射方向が変更される。そのため、光の照射方向が、照射位置に対して縦方向にのみ変化するので、照射光の形状が変形しにくく視認しやすい。
なお、制御手段14による照射手段12の点灯および消灯には、制御手段14が照射手段12への電源供給をオン・オフ切り替えする構成、および、照射手段12の電源回路にオン・オフの信号を送信する構成の何れにしてもよい。
また、照射手段12の光源部の点灯開始時点は、角度調整機構13の動作目標への動作が完了する前であり、角度調整機構13の動作開始前、動作開始と同時、動作開始後のいずれの時点でもよい。照射手段12の点灯を、角度調整機構13の動作開始前から動作開始直後までの間のタイミングで開始した場合は、作業者Xが直前に作業を行った収容空間もしくはその近傍から光の移動が開始されるため、作業者Xは、光の動き始めを認識しやすく誘導効果が向上する。
なお、角度調整機構13の一の収納空間から他の収納空間へ動作においては、制御手段14が一の収納空間に対応する動作目標から他の収納空間に対応する動作目標へと必要な動作分だけ動作を実行する場合の他、制御手段14が記憶部に予め記憶された一の収納空間から他の収納空間への動作量を呼び出し、その呼び出した動作量に基づいて角度調整機構13の動作を実行しても良い。
1 仕分システム
3 照射位置である容器
11 指示装置
12 照射手段
13 角度調整機構
14 制御手段