以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
[第1の実施の形態例]
図1は、本発明を適用した印刷装置の第1の実施の形態例に係る構成図である。図1に示すプリンター2が本発明を適用した印刷装置であり、本プリンター2では、初回起動時等に、そのサーマルヘッド26(印刷ヘッド)に備えられるヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期状態を示す情報(初期情報、例えば、分圧電圧値、抵抗値変化率等)を記憶しておき、その後、所定のタイミングで、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化状態を示す指標値(抵抗値分圧電圧値等)を取得し、その取得した指標値と記憶しておいた初期情報に基づいて各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化状態を判定する。さらに、本プリンター2は、その判定結果に基づいて、ユーザーに報知するための警報情報を生成して出力する。
これにより、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)が完全に不良になる前の劣化状態を適確に把握することができ、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)が故障して印刷品質を落としてしまう前にヘッド素子(RH−1〜RH−n)の交換を行えるようになる。また、劣化状況に係る警報情報がユーザーに発せられるので、上記ヘッド素子の交換を確実に行うことができる。
図1に示すように、本実施の形態例では、プリンター2はPOS(Point Of Sales)端末装置1からの印刷命令によりレシート等を印刷する印刷装置である。POS端末装置1及びプリンター2は、それぞれ、インターネットなどの通信網4を介して劣化管理サーバー3と通信可能に構成される。POS端末装置1とプリンター2でプリンターシステム100(印刷システム)を構成することができ、また、POS端末装置1とプリンター2と劣化管理サーバー3で、あるいは、プリンター2と劣化管理サーバー3で、劣化管理システム200(印刷システム)を構成することができる。
なお、図示していないが、通信網4には、複数のプリンターシステム100、POSサーバー等が接続され得る。
POS端末装置1は、販売店などに設置されるいわゆるレジであり、プリンター2にレシート等の印刷命令を行うプリンター2のホスト装置である。POS端末装置1は、図示していないが、CPU、RAM、ROM、表示装置、入力装置(バーコードリーダーなど)、通信装置等を備え、商品販売時における精算処理等を実行する。また、後述の通り、POS端末装置1が、プリンター2のヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化管理を行ってもよい。
図1に示す通り、POS端末装置1は、機能構成としてPOSアプリケーション部11、プリンタードライバー部12、及び、劣化管理部13を備える。
POSアプリケーション部11は、商品販売時の精算処理、レシート・クーポンの印刷要求、図示していないPOSサーバーへのデータ送信等を担う部分である。印刷要求時には、印刷要求データをプリンタードライバー部12に出力する。
プリンタードライバー部12は、レシートプリンター2用のドライバー機能を担う部分である。プリンタードライバー部12は、POSアプリケーション部11から出力された印刷要求データを受信し、その印刷要求データに従ってプリンター2用のコマンドで表現された印刷データを生成し、プリンター2へ送信する。
劣化管理部13は、プリンター2のヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化管理を行う部分である。具体的な機能については後述する。
なお、POSアプリケーション部11、プリンタードライバー部12、及び、劣化管理部13は、それぞれ、各処理内容を指示するプログラム、当該プログラムによって動作するCPU、RAM等によって構成される。
次に、劣化管理サーバー3は、プリンター2など管理対象のプリンターの劣化に関する情報を管理するサーバーである。図視していないが、劣化管理サーバー3は、サーバーコンピューターで構成され、CPU、RAM、ROM、HDD、表示装置、入力装置、通信装置等を備える。劣化管理サーバー3の具体的な機能については後述する。
次に、プリンター2は、POS端末装置1の命令に従って(印刷データに従って)レシート・クーポン等を印刷する、ラインヘッドを備えたサーマルプリンターである。プリンター2は、印刷媒体(ロール状の用紙等)に印刷対象を印刷し、印刷が完了するとカッターにより用紙を切断し、排出する。
また、プリンター2は、いわゆるインテリジェントプリンターと呼ばれるものであり、一般的なプリンターにおける印刷制御を行う制御装置のほかに、パーソナルコンピューターと同様のデータ処理装置(演算装置)を備える。
プリンター2は、図1に示すような機能構成を備える。通信部21は、外部装置と通信を行う通信装置であり、POS端末装置1、劣化管理サーバー3などとの通信機能を担う。
メイン制御部22は、後述するヘッド制御部23が担う制御機能以外の制御機能を担う、プリンター2のメインコントローラーである。上述したパーソナルコンピューターと同様のデータ処理装置(演算装置)で構成される。なお、メイン制御部22とヘッド制御部23は別体でも一体でもよい。
ヘッド制御部23は、サーマルヘッド26及び電圧印加回路25を制御し、印刷媒体に印刷を実行させると共に、サーマルヘッド26が備えるヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化状態を検査する処理を行う。図1に示されるように、ヘッド制御部23は、印刷制御部28と検査部27を備え、印刷制御部28は上記印刷の制御を担い、検査部27は上記ヘッド素子の検査の機能を担う。
ヘッド制御部23(制御部)(印刷制御部28、検査部27)は、CPU、RAM、ROM、ASIC等で構成され、主にROMに記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することにより、処理を実行する。ヘッド制御部23による具体的な処理内容は後述する。
データ記憶部24(記憶部)、ヘッド制御部23(検査部27)による、上述したヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化状態の検査に関するデータ、情報を記憶する部分である。データ記憶部24は、後述する仮の変換テーブル、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期情報としての変換テーブル、及び、劣化情報(ヘッド素子(の識別)番号とそのヘッド素子の劣化度合(抵抗値変化率)、等)等のデータを記憶する。なお、データ記憶部24は、NVRAMなどで構成することができる。
電圧印加回路25は、サーマルヘッド26に電圧を印加する回路である。電圧印加回路25は、電圧値の異なる2つの電源(24V、3.3V)を備え、印刷実行時には印刷用電圧(24V)をサーマルヘッド26に印加し、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の検査実行時には検査用電圧(3.3V)をサーマルヘッド26に印加する。
サーマルヘッド26(印刷ヘッド)は、複数のヘッド素子(RH−1〜RH−n)とそれらの選択部を備える。印刷実行時には、選択部によって選択されたヘッド素子(RH−1〜RH−n)に印刷用電圧が印加され、そのヘッド素子の発熱体(抵抗要素)が発熱し印刷媒体に印刷がなされる。また、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の検査実行時には、選択部によって選択されたヘッド素子(RH−1〜RH−n)に検査用電圧が印加される。
図2は、電圧印加回路25とサーマルヘッド26の一例を示した回路図である。図2に示す通り、サーマルヘッド26は、ラインヘッドを構成する複数のヘッド素子(RH−1〜RH−n)とラッチドライバー262とn段のFF(フリップフロップ)からなるシフトレジスター263を備えている。上述した選択部は、ラッチドライバー262とシフトレジスター263で構成される。また、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)は、図2に示されるように、発熱体である抵抗要素を備える。
シフトレジスター263において、第1段のシフトレジスターのDO(Data Out)は第2段シフトレジスターのDI(Data In)に接続されるように順次連結されている。
ラッチドライバー262は、ストローブ信号の入力端子STBと、ラッチ信号の入力端子LATを備えている。また、n段の各シフトレジスターは、印刷データであるシリアルデータが入力される入力端子DI、クロック信号の入力端子CLK、シフトレジスター263からあふれたシリアルデータが出力される出力端子DOを備えている。
図2の左側でこれらの回路に接続されるヘッド制御部23からの制御信号によって第1段のシフトレジスターの入力端子DIから、クロック信号に対応して1ビットずつ1ライン分のシリアルデータが入力される。次に、1ライン分のシリアルデータがシフトレジスターに格納された時点で、ラッチ信号によって1ライン分のシリアルデータをパラレルデータとしてラッチドライバー262に格納する。
次に、ストローブ信号を受信したラッチドライバー262は、ストローブ信号を受けている間、ラッチしたデータの“1”に相当するヘッド素子に通電する。この通電によって印刷媒体に1ライン分(1ドット)の画像が形成され、図示しない紙送り機構によって1ドット分の紙送りが実行される。この手順を繰り返すことで印刷が実行される。
また、電圧印加回路25は、スイッチ信号(SW24VAあるいはDOT_DETECT)によって、ヘッド素子の印刷用電源24[V]及び検査用電源3.3[V]のON/OFFを制御する。なお、検査用電源は、ヘッド制御部23の電源と同じ電圧が望ましく、一例として、ここでは3.3Vとしている。これにより、後述するA/D変換時の誤差が少なくなる。
上述した印刷の実行時には、ヘッド制御部23からのSW24VA信号により、FETで構成されるスイッチング素子QF5をONとして、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)へ印刷用電圧24Vを印加する。
一方、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の検査時には、スイッチング素子QF5をOFFにして、ヘッド制御部23からのDOT_DETECT信号のより、それぞれFETで構成されるスイッチング素子QF1及びQF2をONとして、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)へ検査用電圧3.3Vを印加する。
次に、ヘッド制御部23はDI信号で検査対象のヘッド素子(RH−1〜RH−n)を指定(選択)し、ラッチドライバー262によってそのヘッド素子(RH−1〜RH−n)が通電される。
これにより、検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路が形成され、ヘッド制御部23は、READ_HEAD信号で上記直列回路の検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)間の分圧電圧を取得(測定)する。具体的には、A/DコンバーターADCを介して、A/D変換された値を取得する。なお、1ヘッド素子あたりの検査時間内において、当該ヘッド素子に印加されるジュール熱により、通電時間が長くなると印字(発色)に至る虞がある。従って、発色する温度まで上昇することがないように、検査時間は一定時間以内に抑えるのが好ましい。
次に、プリンター2は、印刷媒体の収容部(図示せず)を備え、更に、その収容部を開放(開閉)できるカバー29を備える。当該カバー29が開の状態は、すなわち、収容部が外部に開放されている状態は、図示しないセンサーによりメイン制御部22によって検出される。
以上のような構成を備えるプリンター2では、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化判断に係る処理、その判断結果に基づく対応処理に特徴があり、以下、その具体的な内容について説明する。
ヘッド素子(RH−1〜RH−n)においては、劣化が進むことによりその発熱体(抵抗素子)の抵抗値が変化することが知られている。変化の仕方にはいくつかの現象が見られるが、1つの現象においては、抵抗値が徐々に増加していく。また、他の現象においては、抵抗値が徐々に減少していき、その後急激に増加する。いずれの場合においても、ある程度以上に抵抗値が増加すると印刷時に十分に発熱せず印刷不良を起こす虞がある。
従って、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化判断では、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の(発熱体の)抵抗値の変化を段階的に把握することが重要である。
そのため、本プリンター2では、まず、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期状態(初期抵抗値)を把握する処理(初期設定処理)を行い、その後に、初期状態を示す情報(初期情報)に基づいて、適切な頻度で抵抗値を測定し、劣化判断処理を実行する。
また、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の抵抗値は、上述した、検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路の上記分圧電圧を測定することによって求められるので、上記初期状態の把握及び劣化状態の把握は、分圧電圧(劣化状態を判断するための指標値)を測定することによって行う。
図3は、初期設定処理の手順を例示したフローチャートである。なお、この初期設定処理においては、その後に行われる劣化判断処理の際に処理を速く行えるように、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)毎に変換テーブルを作成しておく。この変換テーブルは、測定される上記分圧電圧の各値(より具体的にはAD値)に、上記初期抵抗値からの抵抗値変化率を対応付けたものである。
図4は、分圧電圧と抵抗値変化率の関係を示すグラフである。図4に示す例は、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の発熱体の抵抗値を564Ωとし、検査用抵抗R1の抵抗値を255Ωとした場合の、分圧電圧(AD値)と抵抗値変化率の関係を示している。なお、抵抗値変化率は初期抵抗値(ここでは564Ω)からの変化分を百分率で表している。なお、この関係は、数式に基づく計算で求めることができる。
図5は、仮の変換テーブルを例示した図である。図5に示す仮の変換テーブルは、図4に示したグラフを表形式で表現したものである。仮の変換テーブルにおける「分圧電圧」において、Xは、仮の変換テーブルでは、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の発熱体の初期抵抗値564Ωに対応する分圧電圧(より具体的にはAD値)を意味している。具体的には、X=176である。すなわち、初期状態で発熱体の抵抗値が564Ωである場合に、上述した手順で分圧電圧を測定すると「176」という値が取得されるということである。
プリンター2をある程度使用した後に、分圧電圧を測定して、例えば「181」という値を得たときは、仮の変換テーブルにおいて「分圧電圧」が「X+5」であるので、それに対応付けられた「抵抗値変化率」の「10_11%」発熱体の抵抗値が増加した、ということがわかる。
なお、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の発熱体の初期抵抗値564Ωは、装置の仕様通りの値(仕様値)であり、実際の抵抗値は、この仕様値から10%程度の誤差を含む可能性がある。従って、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)毎により正確に劣化度合を判断するためには、その初期抵抗値を正確に把握し、それに基づいた変換テーブル(分圧電圧と抵抗値変化率の関係を示すテーブル)を用意する必要がある。なお、初期抵抗値564Ωはサーマルヘッドにより異なり、上記は一例である。
以上説明した仮の変換テーブルは、予め作成され、データ記憶部24に記憶されている。
以降、図3に基づいて、初期設定処理の具体的な処理内容について説明する。本プリンター2の初回起動時において、初期設定処理は実行される。ヘッド制御部23(検査部27)は、まず、上述したように、電圧印加回路25に信号を出し、検査用電圧(3.3V)をサーマルヘッド26に印加する(図3のステップS1)。
次に、ヘッド制御部23(検査部27)は、初期設定を行う1つのヘッド素子(RH−1〜RH−n)を選択する(図3のステップS2)。具体的には、上述の通り、DI信号をサーマルヘッド26に出して、そのヘッド素子に通電させる。
これにより、検査用抵抗R1と当該ヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路が形成されるので、ヘッド制御部23(検査部27)は、READ_HEAD信号で上記直列回路の検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)間の分圧電圧(測定値)を取得する(図3のステップS3)。すなわち、当該ヘッド素子の(抵抗要素(発熱体)の)初期抵抗値に対応する情報が取得される。
次に、ヘッド制御部23(検査部27)は、データ記憶部24に記憶される、上述した仮の変換テーブルを読み出し、そのテーブルの「X」に、取得した当該ヘッド素子の分圧電圧(AD値)を代入して、当該ヘッド素子の変換テーブルを生成する(図3のステップS4)。すなわち、そのヘッド素子の実際の初期抵抗値に基づいた、分圧電圧と抵抗値変化率の関係を示す変換テーブルが生成される。
ヘッド制御部23(検査部27)は、生成した変換テーブルをデータ記憶部24に読み出し可能に記憶(保存)し(図3のステップS5)、当該ヘッド素子についての初期設定処理を終了する。
ヘッド制御部23(検査部27)は、以上説明した初期設定処理(S2−S5)を、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について実行する(図3のステップS6のYes)。
その後、ヘッド制御部23(検査部27)は、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について生成されデータ記憶部24に記憶される変換テーブルに、それぞれ、閾値を設定する(図3のステップS7)。ここでは、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化状態をきめ細かく把握できるように、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)毎に複数の閾値を設定する。
閾値は、変換テーブルにおいて、AD値として取得される分圧電圧に対応付けられる抵抗値変化率に設定され、例えば、51%、15%、−15%、及び、−30%の抵抗値変化率が4つの閾値として予め設定される。例えば、図5に示した仮の変換テーブルが、そのXに測定された初期抵抗値が代入されたあるヘッド素子の変換テーブルであるとすると、図5に示す4つの閾値N1、N2、N3、及びN4が設定される。
以上のようにして、初期設定処理が終了する。
次に、劣化判断処理について説明する。初期設定処理が行われた後、プリンター2が使用され、所定のタイミングになると、ヘッド制御部23は、劣化判断処理を実行する。
図6は、劣化判断処理の手順を例示したフローチャートである。まず、ヘッド制御部23(検査部27)は、印刷用電圧(24V)が遮断されているかを判断し(図6のステップS11)、遮断されていなければ(図6のステップS11のNo)、劣化判断処理のための検査を行わず、処理がステップS19に移行する。
一方、印刷用電圧(24V)が遮断されていれば(図6のステップS11のYes)、劣化判断処理の検査を開始する。なお、印刷用電圧(24V)が遮断されている状態とは、POS端末装置1からの印刷命令を受信していない時、カバー29が開放されている時など、プリンター2による印刷処理がなされていない状態である。すなわち、本プリンター2では、印刷処理がなされ得ない時間を利用してヘッド素子の劣化判断処理がなされる。
また、劣化判断処理は、プリンター2の電源が投入された際に実行するようにしてもよい。これにより、所定の頻度で確実にヘッド素子の劣化判断を行うことができる。
まず、ヘッド制御部23(検査部27)は、検査終了条件を満たしているか否かを判断する(図6のステップS12)。検査終了条件とは、印刷用電圧(24V)が遮断されており、ヘッド素子の検査を行える状態であっても、それ以上の検査を行わない条件である。例えば、その日に既に全ヘッド素子について1回の検査を終了している、という検査終了条件が設定される。当該条件の場合には、例えば、本プリンター2が512個のヘッド素子を備えるとすると、1日の間に512個のヘッド素子について検査が終了していれば、その日にはそれ以上の検査は実行しない。
当該検査終了条件を満たしている場合には(図6のステップS12のYes)、ヘッド制御部23(検査部27)は、検査を実行せず、処理がステップS19に移行する。
一方、当該検査終了条件を満たしていない場合には(図6のステップS12のNo)、ヘッド制御部23(検査部27)は、電圧印加回路25に信号を出し、検査用電圧(3.3V)をサーマルヘッド26に印加する(図6のステップS13)。なお、すでに検査用電圧(3.3V)がサーマルヘッド26に印加されている場合には、そのままの状態とする。
次に、ヘッド制御部23(検査部27)は、劣化判断を行う1つのヘッド素子(RH−1〜RH−n)を選択する(図6のステップS14)。具体的には、上述の通り、DI信号をサーマルヘッド26に出して、そのヘッド素子に通電させる。なお、当該ヘッド素子の選択は予め定められた順番で、例えば、ヘッド素子にふられた識別番号(ヘッド素子番号)の順番に行われる。
これにより、検査用抵抗R1と当該ヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路が形成されるので、ヘッド制御部23(検査部27)は、READ_HEAD信号で上記直列回路の検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)間の分圧電圧(測定値)を取得する(図6のステップS15)。すなわち、当該ヘッド素子の(抵抗要素(発熱体)の)この時点における抵抗値に対応する情報(劣化診断をするための指標値)が取得される。
次に、ヘッド制御部23(検査部27)は、データ記憶部24に記憶されている当該ヘッド素子の変換テーブルを読み出し、その変換テーブルにおいて、上記取得したこの時点での分圧電圧に対応付けられている抵抗値変化率を読み出す(取得する)(図6のステップS16)。すなわち、分圧電圧が抵抗値の情報に変換される。
ヘッド制御部23(検査部27)は、取得した抵抗値変化率が当該変換テーブルに設定されている閾値を超えているか否かをチェックし(図6のステップS17)、取得した抵抗値変化率が最も値の小さい閾値(例えば、図5のN1)を超えていなければ、当該ヘッド素子については劣化があまり進んでいない(直ぐに対応すべき劣化状態にない)と判断する。
一方、ヘッド制御部23(検査部27)は、取得した抵抗値変化率が最も値の小さい閾値(例えば、図5のN1)を超えていれば、当該ヘッド素子については劣化が進んでいる(注視すべき劣化状態である)と判断する。更に、ヘッド制御部23(検査部27)は、取得した抵抗値変化率が最も値の大きい閾値(例えば、図5のN2)を超えていれば、当該ヘッド素子については劣化が進み交換すべき状態であると判断する。
次に、ヘッド制御部23(検査部27)は、行った検査に基づく劣化情報をデータ記憶部24に記憶(保存)する(図6のステップS18)。
図7は、データ記憶部24に保存する劣化情報の一例である。本実施の形態例では、劣化情報として全512のヘッド素子の各ヘッド素子(「ヘッド素子番号」)について、「抵抗値変化率」及び「アラームフラグ」の情報を保存(記憶)する。抵抗値変化率(%)は、ステップS16で取得された抵抗値変化率であり、「アラームフラグ」は、ステップS17の判断により、閾値を超えていると判断された場合に立つ(ONとされる)フラグである。本実施の形態例では、4つの閾値(N1、N2、N3、N4)を変換テーブルに設定しているので、「アラームフラグ」のデータは、どの閾値を超えているか判断可能なデータとしている。ON(N1)は閾値N1を超えていることを示している。また、ON(N3)はマイナス方向に閾値N3を超えているが、閾値N4を超えていないことを示し、ON(N4)はマイナス方向に閾値N4を超えていることを示している。
図7に示す例では、例えばヘッド素子「1」は、現在の(直近の検出結果における抵抗値変化率)抵抗値変化率が「2−3%」であり、閾値を超えていないことを示している。また、ヘッド素子「30」は、抵抗値変化率が「−16%」であり、閾値N3を超えていることを示している。また、ヘッド素子「50」は、抵抗値変化率が「16_17_18%」であり、閾値N2を超えていることを示している。
ステップS18の処理では、上記選択されたヘッド素子について、「抵抗値変化率」と「アラームフラグ」の値が保存(更新)される。
なお、抵抗値変化率が、−15%から+15%の間である場合には、そのヘッド素子については劣化があまり進んでおらず(直ぐに対応すべき劣化状態になく)、15%を超えている場合、あるいは、−15%を下回る場合には、そのヘッド素子については劣化が進んでいる(注視すべき劣化状態である)と判断できる。
なお、劣化情報として、抵抗値変化率が閾値を超えたヘッド素子についてのみ、劣化情報を記憶する様にしても良い。また、各ヘッド素子について合わせて、測定された分圧電圧値、分圧電圧値から換算可能な抵抗値を記録するようにしても良い。
このようにして、当該ヘッド素子についての劣化判断処理を終了する。そして、検査部27は検査用電圧を遮断し、処理がステップS11に移行する。それ以降、印刷用電源(24V)が遮断されており、検査終了条件が満足されなければ(図6のステップS11のYes及びステップS12のNo)、上述した各ヘッド素子についての劣化判断処理が、同様に順次実行される。
ステップS19では、ヘッド制御部23(検査部27)は、ユーザーへの警報を行うタイミングであるか否かを判断する。警報を行うタイミングは、POS端末装置1、劣化管理サーバー3などのホスト装置から警報情報を要求するコマンドを受信した際、所定の時間間隔、等とすることができる。
当該判断の結果、警報を行うタイミングでないと判断された場合は(図6のステップS19のNo)、ヘッド制御部23(検査部27)は、ユーザーへの警報を行わず(警報情報の出力はせず)、処理がステップS11に戻る。
一方、当該判断の結果、警報を行うタイミングであると判断された場合は(図6のステップS19のYes)、ヘッド制御部23(検査部27)は、警報情報を生成する(図6のステップS20)。警報情報は、ヘッド素子の劣化に関しプリンター2のユーザーに対して注意を喚起するための情報であり、データ記憶部24に記憶される劣化情報に基づいて生成される。具体的には、警報情報は、例えば、全ヘッド素子のうち何%のヘッド素子が不良になっているか、すなわち、印刷時に何%のドット抜けが発生する虞があるか、という情報を含む。当該情報は、図7に例示した劣化情報を用いれば、「アラームフラグ」が“ON(N2)”、“ON(N3)”となっているヘッド素子数の全ヘッド素子数に対する割合である。なお、ドット抜け、ドットが抜けるとは、印刷時にそのドットを形成するヘッド素子が不良でドットが形成されない、ことを意味する。
また、警報情報は、例えば、印刷時に隣接する2ドットが抜ける虞のある箇所が何か所あるか、という情報を含む。当該情報は、図7に例示した劣化情報を用いれば、「アラームフラグ」が“ON(N2)” 、“ON(N3)”となっているヘッド素子同士で、印
刷時に隣接するドットを形成するものの数である。
次に、ヘッド制御部23(検査部27)は、警報情報を出力(送信)する(図6のステップS21)。当該警報情報の出力は、POS端末装置1、劣化管理サーバー3などのホスト装置から警報情報を要求するコマンドを受信した場合には、要求元のホスト装置に送信することによって行う。この場合、出力された警報情報は、ホスト装置(外部装置)によって取得される。また、当該警報情報の出力は、ホスト装置への送信のほか、テスト印字(印刷媒体への印刷)、プリンター2の表示部(図示せず)への表示、音声出力等で行うこともできる。
以上説明した処理内容で、ヘッド制御部23(検査部27)は、各ヘッド素子の劣化判断と警報情報の出力を実行する。
次に、劣化判断処理に基づく印刷処理時の劣化対応について説明する。図8は、印刷制御処理の手順を例示したフローチャートである。以下、図8に従って、ヘッド制御部23(印刷制御部28)による印刷時の処理内容について説明する。
ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、POS端末装置1から印刷命令が受信されるのを待ち(図8のステップS31のNo)、印刷命令が通信部21を介してメイン制御部22で受信されると(図8のステップS31のYes)、当該印刷命令のコマンドをメイン制御部22から受信する。印刷命令は、例えば、バーコードを含むレシートの印刷を実行する命令である。
ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、受信したコマンドを解釈し、印刷データを生成する(図8のステップS32)。より、具体的には、印刷対象の画像を画素毎のデータに展開する。
次に、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、データ記憶部24に記憶される劣化情報を取得する(図8のステップS33)。上述したように、劣化情報には、各ヘッド素子の抵抗値変化率、アラームフラグの情報が含まれるので、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、取得した劣化情報に基づいて、ドット抜けが発生する(虞のある)箇所(以下、ドット抜け箇所)を特定する。具体的には、劣化情報の「アラームフラグ」が“ON(N2)”となっているヘッド素子によって印刷がなされる画像の位置を特定する。プリンター2の備えるラインヘッドにおいて、どのヘッド素子番号のヘッド素子がどこに位置するかは既知であるので、「アラームフラグ」が“ON(N2)”となっているヘッド素子のヘッド素子番号から、ドット抜け箇所を特定することができる。
次に、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、特定したドット抜け箇所を上記展開した印刷データと重ね合わせ、印刷対象画像のうちの特定の画像、例えば、バーコードなどのシンボル画像、の位置とドット抜け箇所が重なるか否かをチェックする(図8のステップS34)。ここで、シンボル画像とは、バーコード、QRコード(登録商標)など、その画像をスキャナーなどの装置で読み取ることによって情報が取得される画像を意味し、従って、シンボル画像はドット抜けがなく正確に印刷されることが重要である。
当該チェックの結果、特定の画像とドット抜け箇所が重ならない場合には(図8のステップS34のNo)、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、上記展開された印刷データに基づいて印刷処理を実行させる(図8のステップS36)。
一方、上記チェックの結果、特定の画像とドット抜け箇所が重なる場合には(図8のステップS34のYes)、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、上記展開された印刷データの変更処理を実行する(図8のステップS35)。なお、当該印刷データの変更処理では、特定の画像とドット抜け箇所が重ならないようにする処理、特定の画像から情報を読み取りやすくする処理が実行され、その具体的な内容については後述する。
その後、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、変更した印刷データに基づいて印刷処理を実行させる(図8のステップS36)。
ステップS36の印刷処理では、電圧印加回路25がサーマルヘッド26に印加する電圧を印刷用電圧(24V)に切り換え、搬送される印刷媒体に対して、印刷データに従ってサーマルヘッド26による印字が実行される。印刷処理後の印刷物(例えば、レシート)は切断されて排紙される。
印刷処理後は、処理がステップS31に戻り、次の印刷命令の受信を待つ。
以上説明した処理が繰り返し実行される。
次に、ステップS35における印刷データの変更処理について説明する。なお、ここでは、上記特定の画像がレシートに印刷されるバーコードの画像(シンボル画像)である場合について説明する。
ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、まず、バーコードの画像をシフトしてドット抜け箇所と重ならない位置へ移動させる処理を行う。図9は、印刷データのシフトを説明するための図である。図9に示す例では、シンボル画像S1がドット抜け箇所と重なったバーコード画像であり、用紙(印刷媒体)Pの図9に示す位置に印刷される予定である。
図9において、矢印D2で示す方向が用紙Pの搬送方向であり、上述した画像のシフトはそれとは直交する矢印D1の方向に行われる。すなわち、印刷物であるレシートの幅方向に行われる。また、図9において、用紙Pの両側にあるクリアーバンドCBは、余白とする範囲であり、バーコードを印刷できるのは有効幅EWの範囲内である。
ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、シンボル画像S1の位置を矢印D2の方向にシフトしてバーコードの印字部分(黒の部分)がドット抜け箇所から外れる位置を探し、その位置へシンボル画像S1を移動させる印刷データの変更を行う。
ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、上記画像のシフトに加えて、以下のいずれかのデータ変更処理を行ってもよい。上記シフトの処理によってドット抜け箇所との重なりを完全にはなくせないこともあり、また、シンボル画像からの情報の読取りをより確実にするためである。
その一つ目の処理は、バーコードの画像にHRI(Human Readable Interpretation)文字を付加する処理である。図10及び図11は、HRI文字の付加を例示した図である。図10及び図11に示す例において、シンボル画像S1は、図9に示したように変更前のバーコード画像であり、シンボル画像S2は、HRI文字の付加後のバーコード画像である。図中のCで指し示す部分がHRI文字である。
プリンター2には、バーコードを印刷する場合に、HRI文字を付加するモードがあり、ユーザーがそのモードを有効にしている場合には当該処理は必要ないが、ユーザーが当該モードを無効にしている場合には有効にした場合の処理が強制的に行われることになる。
このように当該処理では、印刷データがHRI文字を付加した印刷データに変更される。
二つ目の処理は、バーコード画像の角度と高さの変更を行う処理である。より具体的には、ヘッド制御部23(印刷制御部28)は、バーコード画像を90度回転させると共に、その高さを長くする印刷データの変更を行う。
図12及び図13は、バーコードの角度と高さの変更を例示した図である。図12及び図13において、シンボル画像S3は、変更前のバーコードの画像であり、矢印D2で示す用紙Pの搬送方向に対してバーが平行になるように配置されている。一方、シンボル画像S4は、変更後のバーコード画像であり、シンボル画像S3と角度が90度異なり、すなわち、90度回転されており、バーコードの高さもシンブル画像S3の高さH1よりも長い高さH2になっている。
このような印刷データの変更により、ドット抜け箇所とバーコードが重なっていても、バーコードを正確に読み取れる確率が上がる。なお、バーコードの角度及び高さのうち、どちらか一方を変更するようにしてもよい。
以上説明したように、印刷データの変更(ステップS35の処理)がなされるが、そのほかに、シンボルデータの種類を変更する、例えば、バーコードをQRコードに変更する、処理を行ってもよい。
なお、本実施の形態例では、プリンター2側の判断でヘッド素子の劣化判断処理を実行したが、POS端末装置1、劣化管理サーバー3などの外部装置(ホスト装置)からの指示(命令)を受けた際に劣化判断処理を実行してもよい。この場合には、劣化判断処理の実行を命令するプリンター2用のコマンドを用意し、ホスト装置側から当該コマンドをプリンター2へ送信して、劣化判断処理を実行させる。
送信された当該コマンドは、プリンター2の通信部21で受信され、メイン制御部22がそのコマンドを解釈して劣化判断処理をヘッド制御部23(検査部27)に指示する。ヘッド制御部23(検査部27)は上述した劣化判断処理を実行後、データ記憶部24に記憶した劣化情報をメイン制御部22に渡し、メイン制御部22は、その劣化情報を通信部21を介して、コマンドの送信元のホスト装置に返信する。ホスト装置がPOS端末装置1である場合には、劣化管理部13が上記コマンドを送信し、返信される劣化情報を、メンテナンス処理等に利用可能に記憶する。また、ホスト装置が劣化管理サーバー3である場合には、劣化管理サーバー3が上記コマンドを送信し、返信される劣化情報を、メンテナンス処理等に利用可能に記憶する。
なお、このようにホスト装置(POS端末装置1、劣化管理サーバー3等)からのコマンドにより、ホスト装置側が主導でヘッド素子の劣化を管理する場合には、初期設定処理もそれを指示(命令)するコマンドを用意し、そのコマンドをホスト装置から送信することで、プリンター2における上述した初期設定処理がなされてもよい。更に、この場合には、仮の変換テーブルをホスト装置に記憶し、プリンター2は測定した各ヘッド素子の分圧電圧をホスト装置に返信し、ホスト装置が返信された分圧電圧によって各ヘッド素子の変換テーブルを作成し、記憶してもよい。
この場合には、劣化判断処理においても、プリンター2は測定した各ヘッド素子の分圧電圧をホスト装置に返信し、ホスト装置が記憶している変換テーブルを用いて上述した劣化判断(閾値との比較、劣化情報の記憶等)を行う。なお、ホスト装置がPOS端末装置1である場合には、これらの処理は劣化管理部13が行う。
また、上述した実施の形態例の変形例として、ホスト装置(POS端末装置1、劣化管理サーバー3等)がヘッド素子の劣化情報を取得する方法に、ASB(オートステータスバック)という機能を適用してもよい。通常、ホスト装置とプリンターはマスター/スレーブの関係にあり、原則的にはプリンター側から自発的にホスト装置に情報送信を行うことはないが、プリンターで所定のステータス情報について設定を行うことにより、そのステータス情報に変化があった際にプリンター側からそのステータス情報を自発的にホスト装置に送信することができ、その機能がASBである。この機能を適用することにより、データ記憶部24に記憶される上記劣化情報に変化があった際には、自発的にその劣化情報がホスト装置に送信されるようになる。すなわち、ヘッド制御部23(検査部27)が劣化情報をデータ記憶部24から読み出し、読み出された劣化情報がメイン制御部22から通信部21を介してホスト装置(例えば、POS端末装置1の劣化管理部13)に送信される。
また、上記の実施例において、ホスト装置(POS端末装置1、劣化管理サーバー3等)側へ劣化情報を提供する構成(態様)としてもよい。具体的には、ホスト装置は、プリンター2へコマンドを送信し、当該コマンドを受信したプリンター2は、測定した分圧電圧、及び/又は、予め設定した閾値による判断結果(上記閾値を用いた劣化判断処理の結果)をホスト装置へ送信する。
以上説明したように、本実施の形態例及び変形例に係るプリンター2では、各ヘッド素子の初期状態を把握してその初期情報を記録し、使用後に比較的短い間隔で各ヘッド素子の検査を行い、その検査で得られる指標値と初期情報に基づいて劣化を判断するので、各ヘッド素子の劣化状態を適確に且つ故障する前に把握できる。更に、劣化判断の結果に基づく警報情報がユーザーに出力されるので、ユーザーは適切な時期にヘッド素子の交換を行えるなど適確なメンテナンスを行うことができるようになる。
また、ヘッド素子の初期情報として、検査用の抵抗R1とによって構成される直列回路の初期分圧電圧、あるいは、それから得られる初期抵抗値などが記憶され、検査時には上記直列回路の分圧電圧が測定されて劣化判断をするための指標値とされるので、適確な劣化判断がなされる。
更に、劣化判断に、初期抵抗値に対する抵抗値変化率が用いられ、複数の閾値に基づいて判断がなされるので、適切且つきめ細かい管理を行うことができる。
また、警報情報には、ドット抜けの割合、隣接する2ドットが抜ける数などの情報が含まれ、ユーザーはメンテナンスに相応しく適確な情報を得ることができる。
また、警報情報の出力タイミングは、ホスト装置からのコマンド受信時、所定時間間隔などとすることができ、ユーザーは適切なタイミングで警報情報を得ることができる。
更に、ヘッド素子の検査は、印刷用電圧を検査用電圧に切り換えて行うが、印刷がなされていない時間、例えば、カバー29の開放時など、に行われるので、印刷処理の妨げになることがない。
なお、本発明は、バブルジェット(登録商標)方式の印刷装置における劣化判断にも応用することができる。
[第2の実施の形態例]
第1の実施の形態例では、初期設定処理において変換テーブルという形で分圧電圧と抵抗値変化率を記憶しておき、劣化判断時において測定した分圧電圧から直ぐに抵抗値変化率を取得する方法であったが、その方法であると、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)について変換テーブルを保持する必要があるため、第2の実施の形態例では、一つの変換テーブルCTを保持し、その変換テーブルCTを用いて、劣化判断時に抵抗値変化率を算出する方法を取る。
以下、その具体的な内容について、第1の実施の形態例との相違点を中心に説明する。
まず、装置構成(機能構成)と電圧印加回路25及びサーマルヘッド26の回路構成は、図1及び図2に基づいて説明した第1の実施の形態例と同様である。
但し、データ記憶部24には、仮の変換テーブル及び各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の変換テーブルの代わりに、共通の一つの変換テーブルCTを記憶する。
この変換テーブルCTは、分圧電圧値(AD値)を抵抗値(Ω)に変換するためのテーブルであり、当該変換テーブルCTは、プリンター2の出荷前に生成されて、プリンター2のデータ記憶部24に記憶される。以下、変換テーブルCTの内容について説明する。
ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の検査時(劣化判断時)に形成される、検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路では、検査用抵抗R1の抵抗値(Ω)をRで表現し、ヘッド素子の抵抗要素の抵抗値(Ω)をRheadで表現すると、以下の関係式(1)が成り立つ。
Rhead=(R×AD)/(255−AD) (1)
なお、ADは、図2の「READ_HEAD」でA/DコンバーターADCを介して読み取られる分圧電圧値(AD値)であり、例えば、0−255(0−3.3Vに相当)の1バイトのデータで表現される。なお、分圧電圧値(AD値)は、4バイト以下のデータで表現されることが好ましい。
図14は、分圧電圧値(AD値)と抵抗値(Rhead)の関係を示すグラフである。図14に例示されるグラフは、検査用抵抗R1の抵抗値Rを255Ωとした場合に、上記関係式(1)に基づいて求められるものである。当該グラフは、測定(取得)された分圧電圧値(AD値)を抵抗値(Rhead)に変換するために用いることができ、その対応関係を表形式で表現したものが変換テーブルCTである。
図15は、変換テーブルCTの一例を示した図である。図15に示すように、変換テーブルCTには、分圧電圧値である「AD値」に、上記関係式(1)で対応付けられる「抵抗値(Ω)」が対応付けて収められている。従って、変換テーブルCTを用いれば、検査時(劣化判断時)に、測定(取得)されるAD値から、測定対象のヘッド素子の抵抗値(Rhead)をすぐに取得することができる。
このような変換テーブルCTが、出荷前の各プリンターに記憶される。なお、プリンター2の各個体には、基板上のパターンや素子の抵抗値に起因する誤差があるので、実際の測定を行って、その測定結果に合うように上記変換テーブルCTの値(抵抗値又はAD値)に補正を加えるようにしてもよい。この場合には、プリンター2の各個体に応じた変換テーブルCTが生成されて、プリンター2に記憶される。
以上説明した変換テーブルCTを用いて第2の実施の形態例では、以下のような処理を実行する。
まず、第1の実施の形態例で行われる、図3に基づいて説明した各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の変換テーブル作成処理に代わって、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期値の取得処理を行う。
ヘッド素子(RH−1〜RH−n)においては、劣化が進むことによりその発熱体(抵抗素子)の抵抗値が変化することが知られている。変化の仕方にはいくつかの現象が見られるが、1つの現象においては、抵抗値が徐々に増加していく。また、他の現象においては、抵抗値が徐々に減少していき、その後急激に増加する。いずれの場合においても、ある程度以上に抵抗値が増加すると印刷時に十分に発熱せず印刷不良を起こす虞がある。
従って、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化判断では、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の(発熱体の)抵抗値の変化を段階的に把握することが重要である。
そのため、第2の実施の形態例では、まず、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期状態の値(初期値)を把握する処理(初期値取得処理)を行った後、適切な頻度でその時の状態を示す値(状態値)を測定し、初期値と状態値によって劣化判断を行う。
図16は、初期値取得処理の手順を例示したフローチャートである。初期値取得処理は、プリンター2の初回起動時等に実行される。
ヘッド制御部23の検査部27は、まず、電圧印加回路25に信号を出し、検査用電圧(3.3V)をサーマルヘッド26に印加する(図16のステップS41)。
次に、検査部27は、初期値を取得する1つのヘッド素子(RH−1〜RH−n)を選択し、そのヘッド素子(RH−1〜RH−n)に通電する(図16のステップS42及びS43)。具体的には、上述の通り、DI信号をサーマルヘッド26に出して、そのヘッド素子に通電させる。
これにより、検査用抵抗R1と当該ヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路が形成されるので、電圧が安定するのを待った後(図16のステップS44)、検査部27は、READ_HEAD信号で上記直列回路の検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)間の分圧電圧の測定値(AD値)を取得する(図16のステップS45)。すなわち、当該ヘッド素子の(抵抗要素(発熱体)の)初期抵抗値に対応する情報が取得される。
次に、検査部27は、取得したAD値を当該ヘッド素子の初期値として、データ記憶部24に記憶(保存)する(図16のステップS46)。
なお、取得したAD値を、データ記憶部24に記憶される上記変換テーブルCTを用いて抵抗値に変換し、変換後の抵抗値を初期値としてデータ記憶部24に記憶するようにしてもよい。なお、AD値を初期値とすることにより、記憶するデータ量を1バイトに抑えることができる。
検査部27は、以上説明した初期値取得処理(S42−S46)を、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について実行する(図16のステップS47のNo)。
全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について初期値取得処理が実行されると(図16のステップS47のYes)、処理が終了し、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について初期値がデータ記憶部24に記憶される。
次に、第2の実施の形態例における劣化判断処理について説明する。劣化判断処理は、第1の実施の形態例の場合と同タイミングで行われ、すなわち、図6に基づいて説明したタイミングで行われて、図6のステップS13〜ステップS18の処理に代わって、以下の処理が実行される。
ヘッド制御部23の検査部27は、まず、このタイミングで状態値取得処理を実行する。
図17は、状態値取得処理の手順を例示したフローチャートである。まず、検査部27は、電圧印加回路25に信号を出し、検査用電圧(3.3V)をサーマルヘッド26に印加する(図17のステップS51)。
次に、検査部27は、状態値を取得する1つのヘッド素子(RH−1〜RH−n)を選択し、そのヘッド素子(RH−1〜RH−n)に通電する(図17のステップS52及びS53)。具体的には、上述の通り、DI信号をサーマルヘッド26に出して、そのヘッド素子に通電させる。
これにより、検査用抵抗R1と当該ヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路が形成されるので、電圧が安定するのを待った後(図17のステップS54)、検査部27は、READ_HEAD信号で上記直列回路の検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)間の分圧電圧の測定値(AD値)を取得する(図17のステップS55)。すなわち、当該ヘッド素子の(抵抗要素(発熱体)の)その時点の抵抗値に対応する情報が取得される。
次に、検査部27は、取得したAD値を当該ヘッド素子の状態値として、データ記憶部24に記憶(保存)する(図17のステップS56)。なお、状態値は、ヘッド制御部23内のRAMに記憶してもよい。
なお、取得したAD値を、データ記憶部24に記憶される上記変換テーブルCTを用いて抵抗値に変換し、変換後の抵抗値を状態値としてデータ記憶部24に記憶するようにしてもよい。なお、AD値を状態値とすることにより、記憶するデータ量を1バイトに抑えることができる。
検査部27は、以上説明した状態値取得処理(S52−S56)を、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について実行(終了)していない場合には(図17のステップS57のNo)、検査用電圧(3.3V)の印加を遮断し、処理を図6のステップS11に戻す。
一方、検査部27は、上記状態値取得処理(S52−S56)を、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について実行(終了)した場合には(図17のステップS57のYes)、検査用電圧(3.3V)の印加を遮断し、劣化情報取得処理を実行する(図17のA)。
なお、ステップS57における、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)とは、以下に説明する劣化情報取得処理を実行後にカウントされる。
劣化情報取得処理を開始する時点では、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について状態値がデータ記憶部24に記憶されているので、それら最新の状態値を用いて、劣化情報取得処理(抵抗値変化率取得処理)が実行される。
図18は、劣化情報取得処理の手順を例示したフローチャートである。まず、検査部27は、1つのヘッド素子(RH−1〜RH−n)を選択する(図18のステップS61)。その後、検査部27は、データ記憶部24にアクセスし、選択したヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期値を読み出す(図18のステップS62)。当該初期値は、上述した初期値取得処理で取得されて記憶されたものである。
検査部27は、読み出した初期値を、データ記憶部24に記憶された変換テーブルCTを用いて、抵抗値に変換する(図18のステップS63)。読み出された初期値はAD値であるので、変換テーブルCTにおいて、そのAD値に対応付けて記憶されている抵抗値(Ω)を読み出すことによって、抵抗値への変換を行う。
次に、検査部27は、データ記憶部24にアクセスし、選択したヘッド素子(RH−1〜RH−n)の状態値を読み出す(図18のステップS64)。当該状態値は、上述した状態値取得処理で取得されて記憶されたものである。
検査部27は、読み出した状態値を、データ記憶部24に記憶された変換テーブルCTを用いて、抵抗値に変換する(図18のステップS65)。読み出された状態値はAD値であるので、変換テーブルCTにおいて、そのAD値に対応付けて記憶されている抵抗値(Ω)を読み出すことによって、抵抗値への変換を行う。
次に、検査部27は、抵抗値変化率の計算を行う(図18のステップS66)。具体的には、下記(2)式を用いて行う。
抵抗値変化率(%)=(状態値(Ω)−初期値(Ω))/初期値(Ω)×100 (2)
なお、初期値(Ω)は、ステップS63で抵抗値に変換された初期値であり、状態値(Ω)は、ステップS65で抵抗値に変換された状態値である。
計算された抵抗値変化率が、マイナスである場合には、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の抵抗値が減少していることを意味し、計算された抵抗値変化率が、プラスである場合には、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の抵抗値が増加していることを意味する。
上述の通り、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の劣化が進んでいる場合、その抵抗値が減少している場合及び増加している場合があり、いずれの場合にもその絶対値が所定値以上になった場合には、ドット抜けの虞があるとしてユーザーに報知すべきである。
従って、その所定値を閾値として設定し、上記計算された抵抗値変化率がその閾値を超えたか否かを、ヘッド制御部23は判断する。具体的には、閾値は、例えば、絶対値で「15%」と「30%」に設定される。
その後、検査部27は、上記算出した抵抗値変化率と上記閾値を用いた判断結果を、劣化情報としてデータ記憶部24に記憶(保存)する(図18のステップS67)。
図19は、劣化情報の一例を示した図である。図19に例示される劣化情報は、各ヘッド素子(RH−1〜RH−n)の識別情報(ヘッド素子No.)に、そのヘッド素子(RH−1〜RH−n)の上記算出した抵抗値変化率と、上記閾値を用いた判断結果としてのアラームフラグが対応付けられた情報である。これらの情報がデータ記憶部24に記憶(保存)される。
図19に示される例では、上述した閾値として、例えば、「15%」、「30%」、「−15%」、「−30%」の4つの閾値が設定されている場合である。「15%」と「−15%」の閾値は軽度の劣化進行の基準であり、これらを超えた(「−15%」については、これよりも下回る)ヘッド素子(RH−1〜RH−n)のアラームフラグには、ON(A)が立つ(記憶される)。また、「30%」と「−30%」の閾値は強度の劣化進行の基準であり、これらを超えた(「−30%」については、これよりも下回る)ヘッド素子(RH−1〜RH−n)のアラームフラグには、ON(B)が立つ(記憶される)。なお、閾値を超えていないヘッド素子(RH−1〜RH−n)のアラームフラグには、OFFが記憶される。
例えば、図19において、ヘッド素子No.「2」のヘッド素子(RH−1〜RH−n)は、抵抗値変化率が「5%」であり、従って、アラームフラグは「OFF」となる。また、ヘッド素子No.「61」のヘッド素子(RH−1〜RH−n)は、抵抗値変化率が「−18%」であり、従って、アラームフラグは「ON(A)」となる。また、ヘッド素子No.「150」のヘッド素子(RH−1〜RH−n)は、抵抗値変化率が「33%」であり、従って、アラームフラグは「ON(B)」となる。これらの劣化情報から、ヘッド素子No.「2」のヘッド素子(RH−1〜RH−n)は劣化があまり進んでいないと判断でき、ヘッド素子No.「61」のヘッド素子(RH−1〜RH−n)は劣化がある程度進んでいると判断でき、ヘッド素子No.「150」のヘッド素子(RH−1〜RH−n)は劣化がかなり進んでいると判断できる。
検査部27は、以上説明した劣化情報取得処理(S61−S67)を、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について実行する(図18のステップS68のNo)。
全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について劣化情報取得処理が実行されると(図18のステップS68のYes)、処理が終了し、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について劣化情報がデータ記憶部24に記憶される。
その後、処理が図6のステップS11に戻る。
なお、上述の実施の形態例では、全てのヘッド素子(RH−1〜RH−n)について状態値を取得した後に、劣化情報取得処理を行ったが、ヘッド素子(RH−1〜RH−n)毎に、状態値の取得と劣化情報の取得を連続して行う処理手順としてもよい。
図20は、状態値の取得と劣化情報の取得を連続して行う場合の手順を示したフローチャートである。なお、この処理は、図6のステップS13〜ステップS18の処理に代わって実行される。
まず、検査部27は、電圧印加回路25に信号を出し、検査用電圧(3.3V)をサーマルヘッド26に印加する(図20のステップS71)。
次に、検査部27は、1つのヘッド素子(RH−1〜RH−n)を選択し、そのヘッド素子(RH−1〜RH−n)に通電する(図20のステップS72及びS73)。具体的には、上述の通り、DI信号をサーマルヘッド26に出して、そのヘッド素子に通電させる。
これにより、検査用抵抗R1と当該ヘッド素子の抵抗要素(発熱体)をつなぐ直列回路が形成されるので、電圧が安定するのを待った後(図20のステップS74)、検査部27は、READ_HEAD信号で上記直列回路の検査用抵抗R1とヘッド素子の抵抗要素(発熱体)間の分圧電圧の測定値(AD値)を取得する(図20のステップS75)。すなわち、当該ヘッド素子の(抵抗要素(発熱体)の)その時点の抵抗値に対応する情報が取得される。
次に、検査部27は、取得した状態値を、データ記憶部24に記憶された変換テーブルCTを用いて、抵抗値に変換する(図20のステップS76)。読み出された状態値はAD値であるので、変換テーブルCTにおいて、そのAD値に対応付けて記憶されている抵抗値(Ω)を読み出すことによって、抵抗値への変換を行う。
次に、検査部27は、データ記憶部24にアクセスし、選択したヘッド素子(RH−1〜RH−n)の初期値を読み出す(図20のステップS77)。当該初期値は、上述した初期値取得処理で取得されて記憶されたものである。
検査部27は、読み出した初期値を、データ記憶部24に記憶された変換テーブルCTを用いて、抵抗値に変換する(図20のステップS78)。読み出された初期値はAD値であるので、変換テーブルCTにおいて、そのAD値に対応付けて記憶されている抵抗値(Ω)を読み出すことによって、抵抗値への変換を行う。
次に、検査部27は、抵抗値変化率の計算を行う(図20のステップS79)。具体的には、上述した図18のステップS66と同様に行う。
その後、検査部27は、劣化情報の保存処理を実行する(図20のステップS80)。具体的には、図18のステップS67と同様に行う。
その後、検査部27が検査用電圧(3.3V)の印加を遮断し、処理が図6のステップS11に戻る。
第2の実施の形態例では、このようにして処理が実行される。その他の点については、第1の実施の形態例の場合と同様である。
以上説明したように、第2の実施の形態例に係るプリンター2では、ヘッド素子毎に、適切なタイミングで、抵抗値から劣化判断を行うことができ、プリンター2は変換テーブルCTを予め記憶しておけばよいので、プリンター2に記憶するデータ量を少なく抑えることができる。
また、劣化判断には、各ヘッド素子の初期値(分圧電圧値(AD値)、抵抗値(Ω))が用いられるので、適確な劣化判断を行うことができる。
劣化情報は、ヘッド素子の抵抗値変化率を含むので、適確な劣化判断を行うことができる。
また、抵抗値変化率を算出するまでに記憶しておくAD値は、4バイト以下のデータであり、記憶しておくデータ量を少なく抑えることができる。
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。