JP2017115085A - 共役ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、これらの重合体や共重合体に水素添加した水添(共)重合体も、耐候性、耐熱性に優れていることから、医療や自動車分野で広く利用されている。
このような共役ジエン系重合体は、有機リチウム化合物を開始剤として利用したアニオン重合等により製造することができる。
しかしながら、このようにして得られた共役ジエン系重合体中には、リチウム化合物を主成分とする残存触媒(以下、リチウム残渣)が存在する。
また、リチウム残渣から非溶融化物が生成すると、製造運転中に溶液フィルター詰まりの頻度が増加し、製造運転に支障を来すという問題を有している。
例えば、炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを共重合させたリビング重合体を、脱揮前に有機系酸性化合物の水溶液を加えて油相と水相に2相分離し、その後脱揮回収する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
また、リビング重合体製造中脱揮後に高級脂肪酸を添加する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として共重合させた共役ジエン系重合体を製造する際に、有機系酸性化合物を少量添加し、水を少量加え、その後フェノール系酸化防止剤を加えて後処理を行い、触媒を失活させて、その後に重合体溶液を脱揮させる方法が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
[1](I)炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として重合反応を行い、重合停止剤を添加して、共役ジエン系重合体溶液を得る工程、
(II)前記共役ジエン系重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸を前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.01〜0.5倍モル、および、アミン系化合物を前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.1〜2.0倍モル添加する工程、及び、
(III)前記共役ジエン系重合体溶液に、重合体100質量部に対して1〜150質量部の水を添加し、混合液を得る工程
をこの順で含む、共役ジエン系重合体の製造方法。
[2]前記工程(III)より後に、回転分散機が配置された配管を用いて、前記混合液をミキシングしながら移送する工程をさらに含む、[1]に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
[3]前記脂肪族カルボン酸の少なくとも20質量%が、炭素数12以下の脂肪族カルボン酸である、[1]又は[2]に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
[4]前記アミン系化合物が、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[1]〜[3]のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
以下、本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法について、説明する。
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法においては、
(I)炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として重合反応を行い、重合停止剤を添加して、共役ジエン系重合体溶液を得る工程
(II)前記共役ジエン系重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸を前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.01〜0.5倍モル、および、アミン系化合物を前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.1〜2.0倍モル添加する工程
(III)前記共役ジエン系重合体溶液に重合体100質量部に対して1〜150質量部の水を添加し、混合液を得る工程と、
を順次行う。
〔工程(I)〕
工程(I)では、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として重合反応を行い、重合停止剤を添加して、共役ジエン系重合体溶液を得る。
この共役ジエン系重合体の重合工程(I)においては、例えば、重合槽に、後述するような単量体と炭化水素溶媒とを入れ、混合し、次いで有機リチウム化合物を開始剤として添加し、撹拌することにより重合反応を行い、共役ジエン系重合体のリビング重合体溶液を得る。
さらにこの溶液に重合停止剤を加え、重合反応を完了させる。
重合停止剤の添加量に限定はないが、リビング重合体溶液を完全に失活させるためには、有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して1.0倍モル以上の重合停止剤を加えるのが好ましい。重合停止剤として後述するカップリング剤を用いる場合は、開始剤由来の重合体活性末端と反応するカップリング剤1分子あたりの反応点のモル数が有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して1.0倍モル以上であればよい。1.0倍モル以上であれば、リビング重合体溶液を完全に失活させることができる。
重合槽に限定はないが、例えば、所定の撹拌翼を具備し、当該撹拌翼により、単量体、重合溶媒、及び開始剤の混合が行われるものが挙げられる。
共役ジエン系重合体の含有量が10質量%以上であることにより、脱溶媒工程において実用上十分な脱溶媒効率を確保できる。20質量%以下であることにより、重合反応工程において溶液粘度の上昇を抑制でき、良好な撹拌効率を確保できる。
重合工程(I)で用いる炭化水素溶媒としては、従来公知の炭化水素溶剤を用いることができるが、その中でも、例えば飽和炭化水素が好ましい。
炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、n−ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素が挙げられ、これらの1種のみを単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
また、これら飽和炭化水素中に、共役ジエン系重合体のビニル結合量を調節するために多用されるテトラヒドロフラン(THF)等の極性物質を少量存在させてもよい。
開始剤である有機リチウム化合物とは、化合物分子の中に1個以上のリチウム原子を含む化合物である。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、第二級ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、フェニルメチルリチウム、ナフチルリチウム、第三級ブチルリチウム、トリメチレンジリチウム、テトラメチレンジリチウム、ブタジエンジリチウム、及びイソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
有機リチウム化合物の添加量に限定はないが、例えば、単量体100質量部に対して、0.5質量部以下とすると、リチウム残渣の含有量の少ない共役ジエン系重合体を製造することができる。もっとも、本実施形態の方法においては、工程(II)及び(III)によって、有機リチウム化合物の除去が効果的に行われるので、有機リチウム化合物の添加量を過度に減らすことなく、共役ジエン系重合体を製造することができる。リチウム残渣の低減と重合時間等のバランスの観点からは、有機リチウム化合物の添加量は、例えば、単量体100質量部に対して、0.4〜0.03質量部としてもよいし、0.3〜0.05質量部としてもよいし、0.2〜0.05質量部としてもよい。
重合停止剤としては、開始剤由来の活性末端を失活させるものであれば特に限定されないが、例えば、水、アルコール、カップリング剤、変性剤等が挙げられ、これらは1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルー1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法においては、共役ジエン系単量体を用いて重合を行う。共役ジエン系単量体とは、一対の二重結合を有するジオレフィン単量体である。
共役ジエン系単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−イソペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−イソペンタジエン、1,3−ヘキサジエンが挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
なお、重合工程(I)により得られる共役ジエン系重合体には、これら共役ジエン系単量体の重合体(例えば、BR)、及び、共役ジエン系単量体と他の単量体との共重合体(例えば、共役ジエン系単量体とビニル芳香族炭化水素単量体との共重合体(例えば、SBR)、共役ジエン系単量体重合ブロックとビニル芳香族炭化水素重合ブロックとが結合したブロック共重合体(例えば、SBS)等)が含まれる。
前記共役ジエン系単量体とビニル芳香族炭化水素単量体との共重合体、共役ジエン系単量体重合ブロックとビニル芳香族炭化水素重合体ブロックとが結合したブロック共重合体を製造するために用いるビニル芳香族炭化水素単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
工程(II)においては、工程(I)で得られた共役ジエン系重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸を、前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムのモル数に対して0.01〜0.5倍モル、アミン系化合物を、前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムのモル数に対して0.1倍モル〜2.0倍モル添加する。
工程(I)で得られた共役ジエン系重合体溶液に、当該共役ジエン系重合体溶液中に工程(I)で添加された有機リチウム化合物に含まれるリチウムのモル数に対して、0.01〜0.5倍モルの炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸を添加する。
脂肪族カルボン酸の添加量は、好ましくは有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して、0.02〜0.45倍モル、より好ましくは、0.03〜0.4倍モルである。脂肪族カルボン酸が0.01倍モル以上であれば、リチウム残渣低減化効果が大きく、一方0.5倍モル以下である場合、共役ジエン系重合体の熱安定性の低下を抑制させることができる。
また、工程(I)で得られた当該共役ジエン系重合体溶液に、当該共役ジエン系重合体溶液中に工程(I)で添加された有機リチウム化合物に含まれるリチウムのモル数に対して、0.1〜2.0倍モルのアミン系化合物を添加する。
アミン系化合物の添加量は、好ましくは有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して、0.1〜1.5倍モル、より好ましくは0.1〜1.0倍モル、より好ましくは0.2〜0.8倍モル、より好ましくは0.3〜0.6倍モルである。アミン系化合物が前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.1倍モル以上であればリチウム残渣低減化効果が大きく、一方2.0倍モル以下の場合、スチームストリッピング時の排水中にアミン系化合物が蓄積しないため好ましい。脂肪族カルボン酸とアミン系化合物の添加順に限定はなく、どちらかを先に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
工程(II)で添加する脂肪族カルボン酸は、炭素数8〜18の脂肪族カルボン酸であり、例えばオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、添加する脂肪族カルボン酸の炭素数が少ないほど、リチウム残渣低減効果が大きく、添加する脂肪族カルボン酸の少なくとも20質量%以上が炭素数12以下の脂肪族カルボン酸であることが好ましい。添加する脂肪族カルボン酸の40質量%以上が炭素数12以下の脂肪族カルボン酸であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。
工程(II)で添加するアミン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、リチウムへのキレート化と水相への移動の観点から例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン配位子が挙げられ、これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
工程(III)においては、工程(II)で得られた共役ジエン系重合体溶液に、該溶液中の重合体100質量部(単量体の仕込み量から計算される理論値)に対して1〜150質量部の水を添加し、混合液を得る。
水の添加量は、共役ジエン系重合体100質量部に対して1〜150質量部であり、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは30〜60質量部である。
本実施形態においては、工程(I)〜(III)を順次行うこと、及び、工程(III)における水の添加量を共役ジエン系重合体100質量部に対して150質量部以下とすること、により、工程(III)における共役ジエン系重合体溶液と水との混合において、良好な混合状態が達成され、共役ジエン系重合体溶液中のリチウム化合物を水側に移行させることができ、さらに後述するリチウムを含む水を除去する(例えば、スチームストリッピングする)工程(IV)を導入した場合には、工程(IV)においてリチウム残渣を十分に低減できる。
また水の添加量を共役ジエン系重合体100質量部に対して150質量部以下とすることで、後述するスチームストリッピングする(熱水中に混合液を入れる)工程において、熱水の温度を維持できるので、この点からも、水の添加量を150質量部以下とすることが好ましい。
ミキシング手段としては、回転分散機が好ましく、回転分散機としては、高速回転ディスク間の狭い間隔での高せん断流れにより分散させる乳化分散機が好ましく挙げられる。
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法においては、工程(III)より後に、混合液(重合体)からリチウムを含む水を除去する工程(IV)を有していてもよい。リチウムを含む水の除去方法としては、例えば、混合液の静置によりリチウムを含む水を混合液(重合体及び溶媒)から分離させた後、デカンテーションにより除去する方法や、水蒸気蒸留(スチームストリッピング)により混合液中の溶媒を揮発させ、析出した重合体を熱水から回収する方法が挙げられる。 特に、スチームストリッピングを行うと、同時に混合液中の溶媒を除去して重合体を回収することもでき、さらに、その際に溶媒中に存在していたリチウムを熱水へ移行させて除去できるため好ましい。スチームストリッピングとしては、従来公知の方法を適用でき、例えば、混合液を熱水中に流し込んでもよいし、溶媒を効率よく取り除ける条件で水蒸気を共役ジエン系重合体溶液に吹き込んでもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法においては、工程(III)において、共役ジエン系重合体溶液中のリチウム化合物が水側に移行されているため、スチームストリッピング時に熱水中に共役ジエン系重合体溶液中のリチウム化合物が移行しやすくなり、リチウム残渣を効果的に低減できる。
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法においては、工程(IV)の前及び/又は後に、混合液又は重合体から溶媒を除去する工程(V)を有していてもよい。
工程(V)としては、フラッシングタンクで重合体を濃縮する等し、さらにベント押し出し機等で脱気する方法、ドラムドライヤー等で直接脱気する方法が挙げられ、工程(IV)をスチームストリッピング以外の方法で行う場合は、工程(V)がスチームストリッピングであってもよい。
なお、対象となる混合液又は重合体中の溶媒が10質量%未満である場合には、工程(V)を行わず、後述の乾燥工程(VI)のみを行ってもよい。
本実施形態の共役ジエン系共重合体の製造方法においては、工程(IV)及び/又は(V)より後に、さらに必要に応じて、工程(VI)として、乾燥を行い、重合体に残った溶媒や水を取り除くことが好ましい。
工程(VI)においては、所望の共役ジエン系重合体の形状(クラム状、粒状、ベール状等)に応じて乾燥条件を適宜選択し、共役ジエン系重合体をほとんど変質させないで効率よく短時間で乾燥できる温度を調節選択して乾燥させる。
本実施形態の共役ジエン系共重合体の製造方法においては、上述した工程(I)〜(III)を行うことにより、リチウム含有量を工程(I)において添加した有機リチウム化合物に含まれるリチウムの量に対して半量以下に低減でき、リチウム残渣量が例えば1〜50ppmである共役ジエン系重合体が得られる。
本実施形態においては、単量体の仕込み量を調整するなどして、得られる共役ジエン系共重合体のビニル芳香族炭化水素の含有量が共役ジエン系単量体に対して0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%となるようにすることが好ましい。ビニル芳香族炭化水素の含有量は後述する実施例記載の方法で測定できる。
本実施形態においては、重合時にビニル化剤を添加するなどして、得られる共役ジエン系共重合体のビニル結合量が共役ジエン系単量体に対して5〜60質量%、より好ましくは10〜30質量%となるようにすることが好ましい。
本実施形態においては、有機リチウム化合物の添加量や重合時間等を適宜調整するなどして、得られる共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が60,000〜400,000、より好ましくは80,000〜300,000となるようにすることが好ましい。
本実施形態においては、有機リチウム化合物の添加量、重合時間、単量体種、カップリング剤の種類・添加量等を適宜調整するなどして、得られる共役ジエン系共重合体の5質量%スチレン溶液粘度が5〜100mPa・s、より好ましくは8〜80mPa・sとなるようにすることが好ましい。5質量%スチレン溶液粘度は後述する実施例記載の方法で測定できる。
本実施形態においては、有機リチウム化合物の添加量、重合時間、単量体種、カップリング剤の種類・添加量等を適宜調整するなどして、得られる共役ジエン系共重合体の、ムーニー粘度が20〜120、より好ましくは30〜100となるようにすることが好ましい。ムーニー粘度は後述する実施例記載の方法で測定できる。
さらに、本実施形態において得られた共役ジエン系共重合体の二重結合の一部または全部を水素化しても良い。
具体的には、工程(I)で添加した有機リチウム化合物に由来するリチウム残渣量を50ppm以下に低減することができる。共役ジエン系重合体のリチウム残渣量を50ppm以下にすることにより、そのリチウム残渣が影響する重合体の着色の問題、樹脂の製造運転に支障をきたす溶液フィルター詰まりの問題を同時に解決できる。
以下に示す手順により共役ジエン系重合体溶液を得た。なお、以下の(1)〜(3)は、本実施形態の工程(I)に相当する。
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン100質量部と150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.12質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で45分間重合を行い、リビングポリマー溶液を得た。
さらに、この溶液に、n−ブチルリチウムに対し0.27倍モルのテトラメトキシシランを加えてカップリング反応させたのち、n−ブチルリチウムに対し0.4倍モルのメタノールを加えて、共役ジエン系重合体(BR1)の重合反応を完了させた。
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン80質量部と150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.095質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で50分間重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後にスチレン20質量部を添加して15分間重合を行った。
次いで、メタノールを開始剤n−ブチルリチウムの0.8倍モル添加して、失活させ、共役ジエン系重合体(SBR1)の重合反応を完了させた。
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン80質量部と150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.095質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で50分間重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後にスチレン20質量部を添加して15分間重合を行った。
次いで、メタノールを開始剤n−ブチルリチウムの1.0倍モル添加して、失活させ、共役ジエン系重合体(SBR2)の重合反応を完了させた。
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン80質量部と150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.095質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で50分間重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後にスチレン20質量部を添加して15分間重合を行いリビング共役ジエン系重合体を得た。
次に、後述する実施例、比較例において得られた共役ジエン系重合体の特性の測定方法について示す。
<(1)結合スチレン量(ビニル芳香族炭化水素の含有量)>
測定用の試料(共役ジエン系重合体)をクロロホルム溶液とし、測定器として、JASCO製 V−550を用いて、スチレンのフェニル基による波長254nmの紫外線(UV)の吸収量を測定し、結合スチレン量(質量%)を測定した。
共役ジエン系重合体5質量部をスチレン95質量部に溶解して5質量%の溶液を調製し、測定温度25℃で、キャノンフェンスケ型粘度計を用いて測定した。
JIS K 6300に従って、L型ローターを用い、100℃で1分間予熱を行い、2rpmでローターを回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度とした。
前処理として、密閉容器中に共役ジエン系重合体0.25g、酸(96%硫酸5mL、60%硝酸3mL)を入れて、マイクロ波試料前処理装置(ゼネラル社製ETHOS1)にて酸分解させ、得られた分解液を純水で50mLにメスアップして分析試料とした。
分析試料を、島津製作所製ICP発光分析装置ICPS−7510を用いて、リチウムの波長670.85nmで発光度を測定し、あらかじめ作成した検量線から、共役ジエン系重合体中のリチウム残渣量を算出した。
共役ジエン系重合体20gをトルエン600mLに溶解させた後、その共役ジエン系重合体溶液を、直径9cmの定量濾紙(5A濾紙:粒子保持能が20〜25μm)を敷いたビフネルロート(ブフナーロート)に注ぎ、吸引ポンプ(減圧吸引0.06MPa)で吸引濾過し、濾過時間を測定した。
実施例及び比較例で得た共役ジエン系重合体のベールを、厚さ約0.6mmのシート状とし、200℃×30分間加熱した後、そのb値を測定した。
測定には、日本電色工業社製SE6000を用いた。
上述の工程(I−1)で得られた共役ジエン系重合体(BR1)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のラウリン酸とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.3質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と10ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−2)で得られた共役ジエン系重合体(SBR1)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。移送する際の配管に小型ミキサーが設置されており、上記混合液をミキシングしながら移送した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のジメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の(4)で得られたリビング共役ジエン系重合体(SBR3)の重合体溶液を重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、重合反応を停止させタンクへ移送した(工程(I))。
その後、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量の牛脂(花王製ルナックTH、炭素数14〜18の脂肪族カルボン酸の割合が90質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、水を添加し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。その後、2時間静置して、リチウムを含む水を混合液から分離させデカンテーションにより除去した。
その後、混合液(重合体及び溶媒)をスチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸として下記表1に示す添加量のヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とアミン系化合物として下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。その後、2時間静置して、リチウムを含む水を混合液から分離させデカンテーションにより除去した。
その後、混合液(重合体及び溶媒)をドラムドライヤーで直接脱気し、共役ジエン系重合体を得た。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、下記表1に示す添加量のラウリン酸を添加した後、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際に、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
工程(I)の後にアミン系化合物を添加しなかったため、リチウム残渣の低減効果が小さかった。
上述の工程(I−3)で得られた共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液に、下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際に、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
工程(I)の後に脂肪族カルボン酸を添加しなかったため、リチウム残渣の低減効果が小さかった。
上述の(4)で得られたリビング共役ジエン系重合体(SBR3)の重合体溶液を重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する際、下記表1に示す添加量の水を加え重合反応を停止させタンクへ移送した(工程(I))。
その後、下記表1に示す添加量のラウリン酸を添加して、タンク内で撹拌を行った。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
工程(I)の後にアミン系化合物及び水を添加しなかったため、リチウム残渣の低減効果が小さかった。
上述の(4)で得られたリビング共役ジエン系重合体(SBR3)の重合体溶液に、下記表1に示す添加量のテトラメチルエチレンジアミンを添加した後、重合槽から所定の配管を介してタンクへ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
重合時に重合停止剤の添加がなく、また、その後に脂肪族カルボン酸も添加しなかったため、リチウム残渣の低減効果が小さかった。
上述の(4)で得られたリビング共役ジエン系重合体(SBR3)の重合体溶液に、下記表1に示す添加量の、ヤシ脂肪酸(花王製ルナックL−50、炭素数12以下の脂肪酸カルボン酸の割合は60質量%以上)とテトラメチルエチレンジアミンを添加した後(工程(II))、重合槽から所定の配管を介してタンクへ移送する際、下記表1に示す添加量の水を添加し、タンクへ移送し、タンク内で撹拌を行い、共役ジエン系重合体と水の混合液とした(工程(III))。
次いで、この共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加した。
その後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
重合時に重合停止剤の添加がなかったため、リチウム残渣の低減効果が小さかった。
特に、本発明の共役ジエン系重合体の製造方法は、リチウム残渣が少なく、着色のない共役ジエン系重合体が得られるので、HIPS樹脂やABS樹脂などの樹脂改質に用いるための共役ジエン系重合体の製造に適している。
Claims (4)
- (I)炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として重合反応を行い、重合停止剤を添加して、共役ジエン系重合体溶液を得る工程、
(II)前記共役ジエン系重合体溶液に、炭素数8〜18である脂肪族カルボン酸を前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.01〜0.5倍モル、および、アミン系化合物を前記有機リチウム化合物に含まれるリチウムに対して0.1〜2.0倍モル添加する工程、及び、
(III)前記共役ジエン系重合体溶液に、重合体100質量部に対して1〜150質量部の水を添加し、混合液を得る工程
をこの順で含む、共役ジエン系重合体の製造方法。 - 前記工程(III)より後に、回転分散機が配置された配管を用いて、前記混合液をミキシングしながら移送する工程をさらに含む、請求項1に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記脂肪族カルボン酸の少なくとも20質量%が、炭素数12以下の脂肪族カルボン酸である、請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記アミン系化合物が、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
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