JP2016056364A - 共役ジエン重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲルの生成を抑えつつ、適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮することができる、共役ジエン重合体の製造方法を提供する。【解決手段】共役ジエン重合体と溶剤とを含む共役ジエン重合体溶液を製造する製造工程と、当該共役ジエン重合体溶液を回転する二軸のスクリューを有する装置で搬送しながら加熱し、当該溶剤を脱揮する脱揮工程とを有し、当該脱揮工程における当該スクリューのモーター電流値と無負荷時における当該スクリューのモーター電流値とが所定の関係式を満たす、共役ジエン重合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン重合体の製造方法に関する。
溶液重合で得られる共役ジエン重合体の製造工程は、一般に、重合後に得られる共役ジエン重合体溶液を、大量のスチームと接触させて溶剤を蒸発させる工程が含まれている。また、共役ジエン重合体溶液にスチームを直接接触させることなく、二軸の押出機やニーダーなどのスクリュー型の装置を用いて、スクリューで共役ジエン重合体溶液を搬送しつつ、加熱により溶剤を脱揮する方法も提案されている。例えば、特許文献1には、押出機による脱揮装置及び脱揮方法が開示されている。また、特許文献2では、2本のスクリューを有する押出装置で、溶剤を脱揮する際に超臨界流体を注入して、低温、低圧で樹脂を押出す方法が開示されている。
特開2011−116025号公報 特開2006−26949号公報
しかしながら、大量のスチームと接触させて溶剤を蒸発させる工程は、大量のスチームを消費するために多大なエネルギーを要すること、ポリマーに残存する水分の除去に必要な工程が多く、そこでのエネルギー消費量が多いこと、最終製品に残存する水分が運搬中に容器に結露すること等の問題がある。
また、特許文献1に記載の方法では、スクリュー型の装置の動力に由来するせん断発熱が大きいため、共役ジエン重合体のゲルが多量に生成してしまう。さらに、特許文献2に記載の方法でも、スクリュー型の装置の動力に由来するせん断発熱の抑制が十分ではなく、ゲルの生成を十分に抑制することはできない。
そこで、本発明は、ゲルの生成を抑えつつ、適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮することができる、共役ジエン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、所定の工程を有し、その工程中におけるスクリューのモーター電流値を特定範囲内にある共役ジエン重合体の製造方法であれば、ゲルの生成を抑えつつ、適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮した共役ジエン重合体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
[1]
共役ジエン重合体と、溶剤と、を含む共役ジエン重合体溶液を製造する製造工程と、
前記共役ジエン重合体溶液を回転する二軸のスクリューを有する装置で搬送しながら加熱し、前記溶剤を脱揮する脱揮工程と、を有し、
前記脱揮工程における前記スクリューのモーター電流値と、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値とが下記の関係式(1)を満たす、共役ジエン重合体の製造方法。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(1)
(式(1)中、I1は、前記脱揮工程における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表す。)
[2]
前記共役ジエン重合体溶液は、該共役ジエン重合体溶液の総量に対して、前記共役ジエン重合体を5.0質量%以上95質量%以下含む、[1]に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[3]
前記共役ジエン重合体溶液は、前記共役ジエン重合体100質量部に対して、オイルを5.0質量部以上100質量部以下含む、[1]又は[2]に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[4]
前記脱揮工程において、前記二軸のスクリューを有する装置を二基以上用いる、[1]〜[3]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[5]
前記共役ジエン重合体は、エポキシ基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物で変性されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[6]
前記化合物は、下記の一般式(2)で表される化合物及び下記の一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、[5]に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
Figure 2016056364
(式(2)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜10のアルキル基、又は、エーテル基及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は、エーテル及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜20のアルキル基、又は、エーテル基、3級アミン基、エポキシ基、カルボニル基及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは、1〜6の整数を表す。)
Figure 2016056364
(式(3)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表し、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、隣接する窒素原子及び珪素原子とともに5員環以上の環構造をなし、R6は、炭素数1〜20のアルキル基、活性水素原子を持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20のアルキル基、又は、有機置換シリル基を表し、mは、1又は2の整数を表し、nは、2又は3の整数を表す。)
[7]
前記共役ジエン重合体の重量平均分子量が、10万以上200万以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[8]
前記共役ジエン重合体は、該共役ジエン重合体の総量に対して、分子量100万以上の成分を1.0質量%以上99質量%以下含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[9]
前記脱揮工程における平均滞留時間が、10秒以上300秒以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[10]
前記脱揮工程は、前記溶剤の含有量が、得られる共役ジエン重合体の総量に対して、5.0質量%以下になるまで脱揮する工程である、[1]〜[9]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
本発明に係る共役ジエン重合体の製造方法によれば、ゲルの生成を抑えつつ、適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮した共役ジエン重合体を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
[共役ジエン重合体の製造方法]
本実施形態の共役ジエン重合体の製造方法は、共役ジエン重合体と溶剤とを含む共役ジエン重合体溶液を製造する製造工程と、当該共役ジエン重合体溶液を回転する二軸のスクリューを有する装置で搬送しながら加熱し、当該溶剤を脱揮する脱揮工程と、を有する。また、脱揮工程における上記スクリューのモーター電流値(以下、「モーター電流値(I1)」、単に「(I1)」ともいう)と、無負荷時における上記スクリューのモーター電流値(以下、「モーター電流値(I0)」、単に「(I0)」ともいう)とが下記の関係式(1)を満たす。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.0 ・・・(1)
式(1)中、I1は、上記脱揮工程における上記スクリューのモーター電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における上記スクリューのモーター電流値〔A〕を表す。
[製造工程]
本実施形態の製造工程は、共役ジエン重合体と溶剤とを含む共役ジエン重合体溶液を製造する工程である。共役ジエン重合体溶液を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、共役ジエン重合体の原料となる単量体(以下、「共役ジエン単量体」という。)を後述する重合体反応用溶剤に溶解し、溶液重合する方法、及び公知の方法が挙げられる。
〔共役ジエン重合体溶液〕
本実施形態の共役ジエン重合体溶液は、共役ジエン単量体を重合した共役ジエン重合体と溶剤とを含むものをいう。共役ジエン重合体溶液としては、特に限定されないが、例えば、上述の溶液重合の結果、共役ジエン単量体が重合した共役ジエン重合体が、残存した溶剤中に存在する共役ジエン重合体溶液が挙げられる。
<共役ジエン重合体>
本実施形態の共役ジエン重合体は、共役ジエン重合体を重合することによって得られる単独重合体であってもよい。共役ジエン単量体としては、重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、及び1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これらは1種のみならず2種以上を併用してもよい。
共役ジエン単量体中に、アレン類、及びアセチレン類等が不純物として含有されていると、共役ジエン重合体末端の変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。アレン類としては、例えばプロパジエン、及び1,2−ブタジエンが挙げられる。アセチレン類としては、例えばエチルアセチレン、及びビニルアセチレンが挙げられる。
共役ジエン重合体は、上記共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であってもよい。芳香族ビニル単量体は、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、スチレン、m又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、及びジビニルベンゼンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種のみならず2種以上を併用してもよい。
本実施形態の共役ジエン重合体中に、結合した芳香族ビニル単量体の量(以下、「結合芳香族ビニル量」という。)は、特に限定されないが、共役ジエン重合体の総量(100質量%)に対して、好ましくは5.0質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがさらに優れ、耐摩耗性や破壊強度も満足する共役ジエン重合体の加硫物を得ることができる傾向にある。結合芳香族ビニル量は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
共役ジエン重合体における共役ジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−又は3,4−結合)は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、13モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがさらに優れ、耐摩耗性や破壊強度も満足する共役ジエン重合体の加硫物を得ることができる傾向にある。結合芳香族ビニル量は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
共役ジエン重合体が共重合体である場合、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体としては、特に限定されないが、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、及びブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体が挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布は、特に限定されないが、例えば、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、及び組成分布に勾配があるテーパー(勾配)ランダム共重合体が挙げられる。共役ジエン重合体の結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、分子鎖によって均一であってもよいし、異なっていてもよい。
ブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、及び4個からなる4型ブロック共重合体が挙げられる。ここでスチレン等の芳香族ビニル単量体からなるブロックをSで表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン単量体からなるブロック及び/又は芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、及びS−B−S−B4型ブロック共重合体の式で表される。
上記式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えばブロックBが芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル単量体は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル単量体が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニル単量体含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
<重合開始剤>
共役ジエン単量体や芳香族ビニル単量体を重合する際の重合開始剤は、アニオン性重合開始剤であれば特に限定されないが、安定性や取扱い性の観点から、例えば、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属のアルキル化合物であることが好ましく、これらの中でも重合効率の観点から、有機リチウムであることがより好ましい。重合開始剤として用いる有機リチウムとしては、低分子化合物や可溶化したオリゴマーの有機リチウムが挙げられ、また、有機基とリチウムとの結合様式においては、炭素−リチウム結合からなる化合物、窒素−リチウム結合からなる化合物、及び錫−リチウム結合からなる化合物が挙げられる。
炭素−リチウム結合を有する有機リチウムとしては、特に限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。
窒素−リチウム結合からなる有機リチウムとしては、特に限定されないが、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、及びリチウムモルホリドが挙げられる。
有機リチウムとしては、具体的に挙げた上述のモノ有機リチウムだけでなく、多官能有機リチウムも挙げられる。モノ有機リチウム及び多官能リチウムは単独のみならず、これらを併用してもよい。
多官能有機リチウムとしては、特に限定されないが、例えば、1,4−ジリチオブタン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンとの反応物、1,3,5−トリリチオベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエンとジビニルベンゼンとの反応物、及びn−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物との反応物が挙げられる。また、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書に開示されている有機リチウムも挙げられる。有機リチウムとしては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
有機リチウムを重合に用いる際は、取扱い性及び重合溶液への分散性を良くするために、炭化水素溶剤に希釈して溶液にしたものが用いられることが好ましい。炭化水素溶剤としては、特に限定されないが、例えば、C4〜C8の炭化水素溶剤、トルエン、及びキシレンが挙げられる。さらに、炭化水素溶剤は環式の構造を有するものでもよく、不飽和結合や分岐構造を有するものでもよい。沸点及び蒸気圧が製造工程上取り扱いやすいことから、C5及びC6の炭化水素溶剤が好ましく、ペンタン、ノルマルヘキサン、及びシクロヘキサンがより好ましい。
有機リチウムを上記炭化水素に希釈した時の濃度は、重合開始効率とモノマーとの均一混合性の観点から、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上0.8質量%以下である。
<重合反応用溶剤>
共役ジエン単量体の重合反応は、溶剤(以下、「重合反応用溶剤」ともいう。)中で重合する溶液重合の反応が好ましい。重合反応用溶剤としては、共役ジエン単量体が溶解するものであれば特に限定されず、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な重合反応用溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;これらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理することは、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にあり、重合後に変性反応を行う場合には高い変性率が達成される傾向にあるため、好ましい。
<極性化合物>
製造工程においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物は、芳香族ビニル単量体を共役ジエン単量体とランダムに共重合させるために用いることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物としては、特に限定ないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。このような極性化合物(ビニル化剤)は、重合体共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量を用いることができる。
多くの極性化合物は、同時に共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル単量体の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる。共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とをランダム化する方法としては、特に限定されないが、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法が挙げられる。
重合温度は、重合が進行する温度であれば特に限定されないが、生産性の観点から0℃以上であることが好ましく、重合中の失活を抑制する観点から120℃以下であることが好ましい。また、共役ジエン重合体のコールドフローを防止する観点から、分岐をコントロールするためのジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル単量体を用いてもよい。
<変性剤>
上述のような方法で得られた共役ジエン重合体は、その活性末端にエポキシ基及びアルコキシシリルキ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(以下、「変性剤」ともいう。)で変性されていることが好ましい。
エポキシ基を有する化合物として、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;4,4’−ジグリシジル−ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物が挙げられる。
上述したエポキシ基を有する化合物の中では、分子中に、2個以上のエポキシ基及び1個以上の窒素含有基を有する多官能化合物が好ましく、後述する一般式(2)で表される化合物がより好ましく、ジグリシジルアミノ基を持つ多官能化合物がさらに好ましい。また、ジグリシジルアミノ基を持つ多官能化合物は、分子中に、エポキシ基を2個以上有し、3個以上有することが好ましく、4個以上有することがより好ましい。
アルコキシシリル基を有する化合物として、特に限定されないが、例えば、ジメトキシジメチルシラン、キシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリフェノキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)エチルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)ビニルシラン、トリフェノキシフェニルシラン、テトラフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、フェノキシジビニルクロロシラン、メトキシジエチルクロロシラン、ジフェノキシメチルクロロシラン、ジフェノキシフェニルヨードシラン、ジエトキシメチルクロロシラン、ジメトキシエチルクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリス(2−エチルヘキシルオキシ)クロロシラン、フェノキシメチルジクロロシラン、メトキシエチルジクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、フェノキシフェニルジヨードシラン、フェノキシジクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、及びビス(2−メチルブトキシ)ジブロモシランが挙げられる。
アルコキシシリル基を有する化合物の中でも、分子内にN原子と複数個のアルコキシシリル基を有するものが好ましく、例えば2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−3−エチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシリル)−プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−イミダゾリジン、及び(2−{3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−テトラヒドロピリミジン−1−イル}−エチル)ジメチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシシリル基を有する化合物官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点と、加工性の観点とから、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
上述したアルコキシシリル基を有する化合物の中でも、分子中に、窒素原子及び2個以上のアルコキシシリル基を有する化合物がより好ましく、後述する一般式(3)で表される化合物がさらに好ましい。
変性剤は、下記の一般式(2)で表される化合物及び下記の一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 2016056364
式(2)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜10のアルキル基、又は、エーテル基及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は、エーテル基及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜20のアルキル基、又は、エーテル基、3級アミン基、エポキシ基、カルボニル基及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは、1〜6の整数を表す。
Figure 2016056364
式(3)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表し、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、隣接する窒素原子及び珪素原子とともに5員環以上の環構造をなし、R6は、炭素数1〜20のアルキル基、活性水素原子を有しない且つヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20のアルキル基、又は、有機置換シリル基を表し、mは、1又は2の整数を表し、nは、2又は3の整数を表す。
上記の一般式(2)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。
上記の一般式(3)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、mが2、nが3であるものがより好ましく、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンがさらに好ましい。
重合終了後、反応溶液に必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、及びイソプロパノール等のアルコールが挙げられる。中和剤としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、及びバーサチック酸等のカルボン酸、無機酸の水溶液、並びに炭酸ガスが挙げられる。
さらに、重合後のゲルの生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、得られた共役ジエン重合体に対して、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、及び2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
共役ジエン重合体の重量平均分子量(Mw)は、加工性や物性を考慮して10万以上200万以下であることが好ましく、20万以上100万以下であることがより好ましく、25万以上50万以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量は20万以上であることがより好ましく、25万以上であることがさらに好ましく、30万以上であることがよりさらに好ましい。また、重量平均分子量は180万以下であることがより好ましく、150万以下であることがさらに好ましく、100万以下であることがよりさらに好ましく、50万以下であることがさらにより好ましい。
共役ジエン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.02以上6.0以下であり、より好ましくは1.05以上5.0以下であり、さらに好ましくは1.07以上4.0以下である。分子量分布が6.0以下であることにより、低ヒステリシスロス性が良好となる傾向にある。また、分子量分布が1.02以上であることにより、シリカ配合物の混合性及び加工性が良好となる傾向にある。また、脱揮工程における操作性の観点からは、1.5以上3.0以下がより好ましく、1.7以上2.5以下がさらに好ましい。なお、分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)である。
また、重量平均分子量及び数平均分子量は、標準ポリスチレン試料を用いた検量式として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と表記する。)から求められ、詳細には下記実施例に記載した方法に準じて測定できる。
シリカ配合物としたときの耐摩耗性や強度の観点から、共役ジエン重合体は、該共役ジエン重合体の総量(100質量%)に対して、分子量100万以上の成分を1.0質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、5.0質量%以上70質量%以下含むことがより好ましく、10質量%以上50質量%以下含むことがさらに好ましい。分子量100万以上の成分の量は実施例に記載した方法に準じて測定する。
共役ジエン重合体のムーニー粘度は、好ましくは20以上120以下であり、より好ましくは30以上110以下であり、さらに好ましくは40以上100以下である。ムーニー粘度が120以下であることにより、シリカ配合物の混合性及び加工性が良好となる傾向にある。また、ムーニー粘度が20以上であることにより、加硫物性が良好となる傾向にある。ムーニー粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
<オイル>
共役ジエン重合体溶液は、オイルをさらに含むことが好ましい。オイルとしては、特に限定されないが、例えば、アロマチック系、ナフテン系、パラフィン系オイル、MES(MildExtractedSolvates)、及びT−DAE(TreatedDistilledAromaticExtracts)が挙げられ、その中でも250℃以上の高沸点であるオイルがより好ましい。
これらのオイルは、後述する脱揮工程によって共役ジエン重合体溶液から溶剤を脱揮した際にも、脱揮されずに共役ジエン重合体と共に残存し、共役ジエン重合体を他の材料と混合加工する際に、加工性を改良する効果を持つ。これらのオイルは、一般的にはゴム伸展油と呼ばれている。
オイルを共役ジエン重合体溶液に含む場合において、共役ジエン重合体溶液は、それに含まれる共役ジエン重合体100質量部に対して、オイルを5.0質量部以上100質量部以下含むことが好ましい。オイルが5.0質量部以上では加工性の改良効果が発現される傾向にあり、オイルが100質量部以下では、共役ジエン重合体の加硫物の機械特性が優れる傾向にある。オイルの含有量は、より好ましくは10質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上である。また、オイルの含有量は、より好ましくは50質量部以下であり、さらに好ましくは40質量部以下である。
本実施形態において、共役ジエン重合体溶液は、例えば、上述のように共役ジエン単量体を溶剤中で重合して製造されるものである。また、共役ジエン重合体溶液は、後述の脱揮工程以外の別の方法による溶剤を脱揮する工程を経てもよく、例えば重合後にフラッシュ乾燥等の手段を用いて濃縮してもよい。
<溶剤>
本実施形態の溶剤は、上述した重合反応用溶剤に限定されないが、上述した重合反応用溶剤と同様のものが挙げられる。例えば、飽和炭化水素、及び芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。溶剤の具体例としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;それらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
共役ジエン重合体溶液には、開始剤等を希釈する溶剤、重合工程で添加される極性化合物、重合終了時に添加される失活剤、中和剤、ゴム用安定剤、酸化防止剤等をさらに含んでいてもよい。また、これら以外に、共役ジエン重合体溶液は、共役ジエン重合体を溶解可能な溶剤と混合させることで調整してもよい。なお、共役ジエン重合体溶液中で、共役ジエン重合体は溶剤に溶解していても分離していても構わない。
共役ジエン重合体溶液は、その共役ジエン重合体溶液の総量(100質量%)に対して、溶剤1.0質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは30質量%以上93質量%以下含み、さらに好ましくは50質量%以上90質量%以下含む。
共役ジエン重合体溶液は、その共役ジエン重合体溶液の総量(100質量%)に対して、該共役ジエン重合体溶液の流動性の観点から、共役ジエン重合体を5.0質量%以上95質量%以下含むことが好ましく、7.0質量%以上50質量%以下含むことがより好ましく、10質量%以上30質量%以下含むことがさらに好ましい。
共役ジエン重合体溶液の粘度は、特に限定されないが、供給時の取扱い性の観点から、0.01Pa・s以上100,000Pa.s以下が好ましく、スクリュー搬送性の観点から、10Pa・s以上10,000Pa.s以下であることがより好ましい。
[脱揮工程]
本実施形態の脱揮工程は、上述した製造工程で製造した共役ジエン重合体溶液を、回転する二軸のスクリューを有する装置で搬送しながら加熱し、該共役ジエン重合体溶液に含まれる溶剤を脱揮する。また、この脱揮工程における上記スクリューのモーター電流値と無負荷時における上記スクリューのモーター電流値とが下記の関係式(1)を満たす。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(1)
式(1)中、I1は、前記脱揮工程における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表す。
本実施形態の脱揮工程により、ゲルの生成を抑えつつ適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮した共役ジエン重合体を得ることができる。この共役ジエン重合体は、適当な残揮発分量となっていればよく、溶剤を含んでいてもよい。なお、適当な残揮発分量として、具体的には、後述する実施例に挙げた共役ジエン重合体が有する残揮発分量程度のことをいう。また、脱揮した共役ジエン重合体の外観は、固体状、粉末状、液状等のいずれであってもよい。
溶剤を脱揮する工程は、脱揮工程のみであってもよいし、製造工程後の脱揮工程前後に、別の方法による溶剤を脱揮する工程を含んでも構わない。さらに、製造工程の前に脱揮工程以外の別の方法による溶剤を脱揮する工程を行ってから、上述の製造工程により、共役ジエン重合体溶液を得ても構わない。
<二軸のスクリューを有する装置>
二軸のスクリューを有する装置としては、特に限定されないが、例えば、樹脂混練に用いるスクリュー押出機、スクリューニーダー、及びこれらに類似した構造のものが挙げられる。特に、押出機のスクリューの数は、2本が好ましい。
脱揮工程以外の別の方法による溶剤を脱揮する工程において、溶剤を脱揮する装置は、共役ジエン重合体溶液の脱揮の進行に伴い、二軸のスクリューを有する装置の前後に使用してもよい。
脱揮工程において、二軸のスクリューを有する装置を二基以上用いることが、脱揮された共役ジエン重合体の残揮発成分量の観点から、好ましい。この場合は、二基以上の二軸のスクリューを有する装置を直列に連結して共役ジエン重合体溶液を連続式に送る方法や、各装置でバッチ式に処理する方法が挙げられるが、連続式に送る方法の方が生産効率の面でより好ましい。連続式に共役ジエン重合体溶液を移送する装置としては、例えばギアポンプ等のポンプ、二軸押出機等のスクリュー型装置、及びコンベア等を例に挙げることができる。2つ以上の装置を連結して連続式に脱揮する場合、温度や圧力等の脱揮の条件は装置ごとに異なっていてもよい。一般に、濃縮初期の段階では加熱速度が脱揮工程の律速となるため、伝熱面積の広く取れる装置がより好ましい。そのためにスクリュー内部を中空状態として、そこに熱媒を通すことによってスクリュー表面を伝熱部にすることもより好ましい。濃縮の進行に伴い固形物が析出する場合がある。その場合、固形物に内包された溶剤分を脱揮させるためには固形物にせん断を与え、表面更新する機能が要求される。
脱揮工程における、共役ジエン重合体溶液を回転する二軸のスクリューで搬送しながら加熱し、溶剤を脱揮する際のモーター電流値(I1)と、二軸のスクリューを有する装置内が空の状態でスクリューを回転させたときの回転動力、すなわち無負荷時の電流値(I0)と、の比(I1)/(I0)は、下記の関係式(1)を満たすことにより、ゲルの生成を抑えつつ適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮することができる。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(1)
(I1)/(I0)を1.05以上とすることにより、共役ジエン重合体が、適度に表面が更新され、溶剤の脱揮を促進させることができる。一方、(I1)/(I0)を2.0以下とすることにより、ゲル生成を抑えることができる。さらに、(I1)/(I0)は、溶剤脱揮性と熱劣化のバランスの観点から、1.10以上1.80以下であることが好ましく、1.20以上1.40以下であることがより好ましい。
なお、(I1)は、関係式(1)を満たせば一定値である必要はなく、変動する値であっても構わない。(I1)/(I0)は、装置内の共役ジエン重合体と溶剤の混合物の充填率やスクリューの回転数が高いほど、大きくなる傾向がある。また、(I1)/(I0)は、スクリューの形状、スクリュー径、スクリューの長さ、胴体とスクリューの間隔、及び共役ジエン重合体と溶剤との混合物の供給速度等、によっても調整することができる。複数のスクリューを回転させる場合は、回転方向は同方向でも逆方向でもよく、回転速度は同じでも異なっていてもよいが、スクリューへの重合体の付着防止の観点から、回転方向は逆方向、回転速度は異なっている方が好ましい。
二軸のスクリューを有する装置を用いる脱揮工程において、平均滞留時間は、脱溶剤性と熱劣化とのバランスの観点から、5.0秒以上300秒以下であることが好ましく、10秒以上250秒以下であることがより好ましく、20秒以上200秒以下であることがさらに好ましい。
脱揮工程は、溶剤の含有量が、得られる共役ジエン重合体の総量(100質量%)に対して、5.0質量%以下になるまで脱揮する工程であることが好ましく、0.5質量%以下になるまで脱揮する工程であることがより好ましい。
二軸のスクリューを有する装置は、脱揮された溶剤ガス成分を装置の外に排気するための、ベント口を1つ以上有することが好ましい。脱揮されたガスは、ベント口から排出されたあと、冷却器等で冷却、凝縮し、液体として回収、再利用されることもある。ベント口に重合体の粉末が付着すると、排気量が低下する可能性もあるため、ベント口には付着する粉末を除去する装置を付けてもよい。具体的に粉末を除去する装置としては、例えばベント口の内壁面に沿って回転するスクレーパーや回転翼が挙げられる。二軸のスクリューを持つ装置のジャケットに、高温の水蒸気やオイル等の熱媒を流通させて、重合体と溶剤との混合物を加熱することができる。この時の熱媒体の温度は、脱揮速度の観点から50℃以上300℃以下が好ましく、混合物の搬送性とゲル抑制の観点から100℃以上200℃以下がより好ましい。脱揮される重合体の温度は、これらの範囲となるが、溶剤脱揮に伴う気化熱消費のため、これらの範囲より低い場合もある。
溶剤が脱揮する時の気相部の圧力は、脱揮速度の観点から常圧以下であることが好ましいが、脱揮速度と重合体の溶剤ガスによる同伴防止等の観点から、50torr以上650torr以下であることが好ましい。圧力を制御するために、例えば、ベント口に配管を通して真空ポンプを接続することができる。
溶剤脱揮を促進することを目的に、ストリッピング剤をさらに添加してもよい。ストリッピング剤としては、例えば、水、アルコール、及び超臨界炭酸ガスが挙げられる。
共役ジエン重合体溶液を、二軸のスクリューを有する装置に供給する前に加熱すると、脱揮速度が向上する傾向にあり、好ましい。加熱する温度は特に限定されないが、装置内の圧力における溶剤の沸点以上に溶剤を加熱すると、脱揮速度が高くなる傾向にあり、より好ましい。例えば、共役ジエン重合体溶液中の溶剤がヘキサンで、二軸のスクリューを有する装置内の圧力が400torrの場合、400torrにおけるヘキサンの沸点は約50℃なので、共役ジエン重合体溶液の温度を50℃以上に加熱するとよい。
共役ジエン重合体溶液は、二軸のスクリューを有する装置に供給する前に、二軸のスクリューを有しない装置で濃縮することもできる。その装置としては、例えば、フラッシュタンク、薄膜型濃縮器、ドラムドライヤー、及び撹拌翼付き濃縮容器が挙げられる。
脱揮後の共役ジエン重合体を、二軸のスクリューを有する装置から装置外へ排出する排出口の形状は、特に限定されないが、排出口の面積や排出口の位置を調整することにより排出量を制御し、モーター電流値を制御することができる。また、熱や大気中の酸素による劣化を防ぐために水や不活性ガス雰囲気下、又は減圧下の環境下で保存することが好ましい。
脱揮された共役ジエン重合体の残揮発分量は、その共役ジエン重合体の総量(100質量%)に対して、0.001質量%以上5.0質量%以下であることが、共役ジエン重合体を製品に加工する際の作業性の観点から好ましい。残揮発分は、重合に用いた溶剤等の原料の他、水を含んでもよい。残揮発分量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
共役ジエン重合体のゲル含有量は、製品性能や外観の観点から、その共役ジエン重合体の総量(100質量%)に対して、5.0質量%以下であることが好ましい。ゲル含有量は後述する実施例記載の方法により測定する。
共役ジエン重合体は、ベールと当業界で称される直方体に圧縮成形できる。また、共役ジエン重合体は、天然ゴム等の他のゴム材料、シリカ、カーボン等の無機材料等と配合してタイヤ、各種工業用ベルト、履物等にも加工できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における各種特性の評価方法は以下のとおりである。
(物性1)結合スチレン量
試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により、共役ジエン共重合体100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
(物性2)ブタジエン部分のミクロ構造
赤外分光光度計(日本分光製:FT−IR230)を使用して、600〜1000cm-1の範囲で赤外線スペクトルを測定した。試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いた。その結果得られた吸光度よりハンプトンの方法の計算式(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、ビニル結合量(モル%)を求めた。
(物性3)重量平均分子量及び分子量分布
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本を連結して用いたGPCを使用して、試料および標準ポリスチレンのクロマトグラムを測定した(ガードカラム;東ソーTSKguardculmn HHR−H、カラム;東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHR)。標準ポリスチレンの測定結果から検量線を作成し、これにより重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を計算した。溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。試料10mgを、20mLのTHFに溶解し、これを200μLカラムに注入して測定した。測定はオーブン温度40℃、THFの流量1.0mL/分の条件で、東ソー;HLC8020(検出器;RI)を用いて行った。上記測定で得られた共役ジエン重合体の分子量分布曲線における、全積分値(S0)と分子量100万以上の積分値(S1)との比(S0)/(S1)を、共役ジエン重合体の分子量100万以上の組成とした。
(物性4)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠して、100℃で1分間予熱し、4分後の粘度を測定した。
(評価1)共役ジエン重合体の残揮発分量の測定
脱揮工程で得られた共役ジエン重合体1gを180℃、50torrの条件下で、3時間おいた。この操作による共役ジエン重合体の質量減少分(δ[g])を残揮発分とし、100×δ/(1−δ)の計算式から残揮発分量(質量%)を求めた。
(評価2)ゲル含有量
脱揮工程で得られた共役ジエン重合体3gを、トルエン100gに完全に溶解させ、100メッシュのろ紙(α1〔g〕)でろ過する。ろ過後のろ紙を乾燥させ、秤量し(α2〔g〕)、100×(α2−α1)/3の計算式からゲル含有量(質量%)を求めた。なお、この測定の定量限界値及び検出限界値は0.1質量%であり、それ未満の場合は「検出されなかった」と記載する。
(製造例1)共役ジエン重合体溶液(A)
4枚パドルの撹拌翼を具備する10L反応器(反応器の径(D)に対する反応器の長さ(L)の比率としてL/D=4.0)を2つ直列に配置し、1基目を重合反応器、2基目を変性反応器とした。予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを22.0g/分、スチレンを7.1g/分、n−ヘキサンを144g/分の条件で混合し、更に不純物不活性化処理用として、1基目反応器に入る直前でn−ブチルリチウム(処理n−ブチルリチウム)0.084mmol/分とスタティックミキサーで混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.040g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.350mmol/分の速度で、1基目反応器底部へ供給し、反応器出口の内温を90℃となるように重合反応を継続させた。1基目から押出された重合溶液を、そのまま2基目に供給した。2基目の反応器の温度を85℃に保ち、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.046mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性反応を実施した。2基目反応器内の液面高さが反応器全体の70%となるように反応液を流出し、その流出液に酸化防止剤(BHT)を0.048g/分(n−ヘキサン溶液)、S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー(株)製、NC−140を1.75g/分で連続的に添加し、共役ジエン重合体溶液(A)を得た。
得られた共役ジエン重合体溶液(A)は、ノルマルヘキサン84質量部、共役ジエン重合体16質量部、プロセスオイル6.0質量部を含有していた。ここで、得られた共役ジエン重合体溶液(A)中の共役ジエン重合体を分析した結果、結合スチレン量27質量%、結合ブタジエン量73質量%、ブタジエン中のビニル結合量65モル%であり、ポリスチレン換算分子量からは、重量平均分子量(Mw)が110万、分子量分布(Mw/Mn)は2.2、分子量100万以上の組成は45質量%であった。また、共役ジエン重合体のムーニー粘度は55であった。
(製造例2)共役ジエン重合体溶液(B)
共役ジエン重合体溶液(B)は、プロセスオイルの含有量を3.0質量部とした他は、溶剤量や共役ジエン重合体の構造も共役ジエン重合体溶液(A)と同じとした。ムーニー粘度は70であった。
(製造例3)共役ジエン重合体溶液(C)
共役ジエン重合体溶液(C)は、プロセスオイルを全く含まない他は、溶剤量や共役ジエン重合体の構造も共役ジエン重合体溶液(A)と同じとした。ムーニー粘度は90であった。
以上の結果を表1にまとめる。
Figure 2016056364
(実施例1)
スクリュー径(D)が50mm、スクリュー径(D)に対するスクリュー長さ(L)の比率(L/D)=6.0の二軸スクリュー型ニーダーにおいて、共役ジエン重合体溶液(A)を供給口から毎時50Kgの速さで連続的に供給した。この時スクリュー回転速度とモーター駆動部から見た時の回転方向は、二軸共に100rpmの反時計回りであった。モーター電流値は試料を供給する前はI0=8.1Aで、試料を供給した後はI1=9.4Aで、I1/I0=1.16であった。電流は周波数60Hzの交流であった。ニーダーのジャケットに200℃の熱媒オイルを供給しながら共役ジエン重合体溶液(A)を加熱した。ベント口は配管を通して真空ポンプに接続され、装置内部を100torrに保った。共役ジエン重合体溶液(A)はスクリューで搬送されながら濃縮されていき、最終的にはニーダー装置の先端下面に設けられた70mm角の正方形の口から排出され、固形状の共役ジエン重合体(P1)を得た。脱揮された溶剤ガスはベント口を通り、真空ポンプ手前に設置された7℃に冷却されたコンデンサーで凝縮され、液体として回収された。P1の残揮発分量は0.65質量%であり、ゲルは検出されなかった。
(実施例2)
スクリュー径が50mm、L/D=6.0の二軸スクリュー型ニーダーにおいて、共役ジエン重合体溶液(A)を供給口から毎時50Kgの速さで連続的に供給した。この時スクリュー回転速度とモーター駆動部から見た時の回転方向は、一方は反時計回りで50rpm、もう一方は時計回りで100rpmであった。モーター電流値は試料を供給する前はI0=9.0Aで、試料を供給した後はI1=10.0Aで、I1/I0=1.11であった。電流は周波数60Hzの交流であった。ニーダーのジャケットに180℃の熱媒オイルを供給しながら共役ジエン重合体溶液(A)を加熱した。ベント口は配管を通して真空ポンプに接続され、装置内部を100torrに保った。共役ジエン重合体溶液(A)はスクリューで搬送されながら濃縮されていき、最終的にはニーダー装置の先端上面に接続された小型押出機から排出され、固形状の共役ジエン重合体(P2)を得た。気化した溶剤はベント口を通り、真空ポンプ手前に設置された7℃に冷却されたコンデンサーで凝縮され、液体として回収された。脱揮された固形状の共役ジエン重合体(P2)は上記操作により溶剤脱揮されP2の残揮発分量は0.27質量%であり、ゲルは検出されなかった。
(実施例3)
樹脂混練用に用いられるスクリュー径30mm、L/D=20の二軸押出機を脱揮装置に用いた。共役ジエン重合体溶液(A)を供給口から毎時30Kgの速さで連続的に供給した。スクリューの回転方向は同じで、回転数は100rpmであった。モーター電流値は試料を供給する前はI0=8.0Aで、試料を供給した後はI1=10.0Aで、I1/I0=1.25であった。電流は周波数60Hzの交流であった。二軸押出機の胴体をヒーターで180℃に加熱した。胴体に設けられたベント口は配管を通して真空ポンプに接続され、装置内部を100torrに保った。共役ジエン重合体溶液(A)はスクリューで搬送されながら濃縮されていき、最終的にはニーダー装置の先端ダイスから、固形状の共役ジエン重合体(P3)が押し出された。気化した溶剤はベント口を通り、真空ポンプ手前に設置された7℃に冷却されたコンデンサーで凝縮され、液体として回収された。P3の残揮発分量は1.2質量%、ゲル含有量は1.8質量%であった。
(実施例4)
用いる原料を共役ジエン重合体溶液(A)の代わりに共役ジエン重合体溶液(B)を用いた他は、実施例2と同様に行った。モーター電流値は試料を供給する前はI0=9.0Aで、試料を供給した後はI1=12.7Aで、I1/I0=1.41であった。電流は周波数60Hzの交流であった。脱揮して得られた共役ジエン重合体(P4)の残揮発分量は0.7質量%、ゲル含有量は0.8質量%であった。
(実施例5)
用いる原料を共役ジエン重合体溶液(A)の代わりに共役ジエン重合体溶液(C)を用いた他は、実施例2と同様に行った。モーター電流値は試料を供給する前はI0=9.0Aで、試料を供給した後はI1=14.7Aで、I1/I0=1.63であった。電流は周波数60Hzの交流であった。脱揮して得られた共役ジエン重合体(P5)の残揮発分量は0.6質量%、ゲル含有量は1.0質量%であった。
(実施例6)
共役ジエン重合体溶液(A)の供給量を毎時200Kgとした他は、実施例2と同様に行った。モーター電流値は試料を供給する前はI0=9.0Aで、試料を供給した後はI1=12.7Aで、I1/I0=1.41であった。電流は周波数60Hzの交流であった。脱揮して得られた共役ジエン重合体(P6)の残揮発分量は25.3質量%、ゲルは検出されなかった。
次に、共役ジエン重合体(P6)を毎時100Kgで供給した他は、実施例3と同様に行った。モーター電流値は試料を供給する前はI0=8.0Aで、試料を供給した後はI1=11.4Aで、I1/I0=1.43であった。電流は周波数60Hzの交流であった。脱揮して得られた共役ジエン重合体(P7)の残揮発分量は0.54質量%、ゲルは検出されなかった。
(実施例7)
実施例2で用いた二軸スクリュー型ニーダーと小型押出機の装置に実施例3で用いた二軸押出機を直接連結させた。小型押出機の吐出側を二軸押出機の側面に直結させる構造をとした。二軸スクリュー型ニーダーに共役ジエン重合体溶液(A)を毎時200Kgで供給し、実施例2と同様の操作条件で脱揮処理を行った。二軸スクリュー型ニーダーで濃縮された重合体の混合物は小型押出機を通して二軸スクリュー型ニーダーから二軸押出機へと移送された。二軸押出機の操作条件は実施例3と同様である。モーター電流値を測定した結果、二軸スクリュー型ニーダーはI1=12.8AでI1/I0=1.42、二軸押出機はI1=13.4AでI1/I0=1.68であった。二軸押出機の先端からは粉末状の共役ジエン重合体(P8)が排出された。P8の残揮発分量は0.2質量%、ゲル含有量は0.1質量%であった。
(比較例1)
共役ジエン重合体溶液(A)の供給速度を毎時100Kgとし、重合体を排出する装置先端部の排出口を50mm角の正方形とした他は実施例1と同様に行った。モーター電流値は試料を供給する前はI0=8.1Aで、試料を供給した後はI1=18.6Aで、I1/I0=2.30であった。脱揮して得られた共役ジエン重合体(P9)の残揮発分は0.53質量%、ゲル含有量は6.4質量%であった。
(比較例2)
共役ジエン重合体溶液(A)をノルマルヘキサンで希釈し、ノルマルヘキサン98質量部、共役ジエン重合体2質量部、プロセスオイル0.7質量部としたものを供給した他は実施例1と同様に行った。I0=8.1Aで、試料を供給した後はI1=8.3Aで、I1/I0=1.02であった。ニーダー装置の先端下面からは液状物が排出され、その組成はノルマルヘキサン90質量部、共役ジエン重合体10質量部であり、濃縮効率が低く、脱揮した共役ジエン重合体は得られなかった。
以上の結果を表2にまとめる。
Figure 2016056364

Claims (10)

  1. 共役ジエン重合体と、溶剤と、を含む共役ジエン重合体溶液を製造する製造工程と、
    前記共役ジエン重合体溶液を回転する二軸のスクリューを有する装置で搬送しながら加熱し、前記溶剤を脱揮する脱揮工程と、を有し、
    前記脱揮工程における前記スクリューのモーター電流値と、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値とが下記の関係式(1)を満たす、共役ジエン重合体の製造方法。
    1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(1)
    (式(1)中、I1は、前記脱揮工程における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表す。)
  2. 前記共役ジエン重合体溶液は、該共役ジエン重合体溶液の総量に対して、前記共役ジエン重合体を5.0質量%以上95質量%以下含む、請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  3. 前記共役ジエン重合体溶液は、前記共役ジエン重合体100質量部に対して、オイルを5.0質量部以上100質量部以下含む、請求項1又は2に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  4. 前記脱揮工程において、前記二軸のスクリューを有する装置を二基以上用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  5. 前記共役ジエン重合体は、エポキシ基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物で変性されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  6. 前記化合物は、下記の一般式(2)で表される化合物及び下記の一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項5に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
    Figure 2016056364
    (式(2)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜10のアルキル基、又は、エーテル基及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は、エーテル及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜20のアルキル基、又は、エーテル基、3級アミン基、エポキシ基、カルボニル基及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは、1〜6の整数を表す。)
    Figure 2016056364
    (式(3)中、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表し、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、隣接する窒素原子及び珪素原子とともに5員環以上の環構造をなし、R6は、炭素数1〜20のアルキル基、活性水素原子を持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20のアルキル基、又は、有機置換シリル基を表し、mは、1又は2の整数を表し、nは、2又は3の整数を表す。)
  7. 前記共役ジエン重合体の重量平均分子量が、10万以上200万以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  8. 前記共役ジエン重合体は、該共役ジエン重合体の総量に対して、分子量100万以上の成分を1.0質量%以上99質量%以下含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  9. 前記脱揮工程における平均滞留時間が、10秒以上300秒以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  10. 前記脱揮工程は、前記溶剤の含有量が、得られる共役ジエン重合体の総量に対して、5.0質量%以下になるまで脱揮する工程である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
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