JP2017114150A - 車両の前部車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】サスハウジングの車幅方向の変形力に対する断面二次モーメントを向上させた、前部車体構造を提供する。【解決手段】前部車体1は、閉断面部C1を形成するフロントフレーム3と、フロントフレーム3の車幅方向外側且つ上方に配置されるエプロンレイン4と、サスペンションの構成部材が取り付けられ、フロントフレーム3とエプロンレイン4とを連結するサスハウジング5とを備える。サスハウジング5は、フロントフレーム3とエプロンレイン4とを橋絡するように車幅方向に延びる第1、第2開断面部53、54を備える。サスハウジング5は、フロントフレーム3の外面3Aに結合される第1結合部H1、H2、H3と、内面3Bに結合される第2結合部G1、G2とを含む。第1結合部H1、H2、H3と第2結合部G1、G2とは、サスハウジング5のフロントフレーム3側の端部において、車両前後方向に交互に並ぶように配置されている。【選択図】図10

Description

本発明は、サスペンションの構成部材が取り付けられるサスハウジングを前部に備えた車両の前部車体構造に関する。
自動車等の車両の前部には、フロントサスペンションのダンパーから入力される荷重を支持するサスハウジングが備えられている。一般にサスハウジングは、車両前後方向に延びるフロントフレームと、該フロントフレームの車幅方向外側且つ上方に配置され車両前後方向に延びるエプロンレインとの間に架け渡されるように配置され、これらに車幅方向の端部が結合されている(例えば特許文献1参照)。
サスハウジングは、フロントサスペンションを収容するハウジング本体、サスペンションのダンパー上端を支持するサストップ部、前記フロントフレーム及び前記エプロンレインに対する結合部などを含む。このようなサスハウジングは、一般に鋼鈑をプレス成型する方法によって製造される。一方、プレス成形では形状の自由度が比較的低いという点、また、より車体の軽量化を図るという点から、サスハウジングをアルミニウムで鋳造(アルミダイキャスト)する方法も検討されている。
特開2011−005882号公報
サスハウジングにおいては、サストップ部から入力される荷重に対する耐性が求められる。とりわけ、サストップ部に上下方向に変動する大きな荷重が加わった場合において、サスハウジングが車幅方向の内側に倒れ込む内倒れ変形を未然に防止できる強度を、当該サスハウジングに具備させることが求められる。サスハウジングに0.1mmオーダーの内倒れ変形が生じた場合でも、操舵安定性能、NVH(Noise, Vibration, Harshness)性能、強度耐久性能などに影響が及ぶ。
本発明の目的は、サストップ部に大きな荷重が加わった場合でも、サスハウジングの車幅方向の変形を抑止することができる車両の前部車体構造を提供することにある。
本発明の一局面に係る車両の前部車体構造は、車両前後方向に延び、閉断面部を形成するフロントフレームと、前記フロントフレームの車幅方向外側且つ上方に配置され、車両前後方向に延びるエプロンレインと、サスペンションの構成部材が取り付けられ、前記フロントフレームと前記エプロンレインとを連結するサスハウジングと、を備え、前記フロントフレームは、車幅方向外側に向く外面と、車幅方向内側に向く内面と、前記外面と前記内面との間の上部に位置する上面とを含み、前記サスハウジングは、前記フロントフレームの前記外面に結合される第1結合部と、前記内面に結合される第2結合部とを含み、前記第1結合部と前記第2結合部とが、前記サスハウジングの前記フロントフレーム側の端部において、車両前後方向に交互に並ぶように配置されている。
この前部車体構造によれば、サスハウジングの第1結合部と第2結合部とによって、フロントフレームの外面と内面とを、車両前後方向に交互に挟み込むようにして、サスハウジングがフロントフレームに結合される。このような挟み込み結合の態様を取ることによって、サスハウジングに入力される荷重をフロントフレームに分散して伝達させることができ、結果としてサスハウジングの車幅方向の変形耐性を高めることができる。特に、前記第1結合部は、サスハウジングに対する荷重の入力点(サストップ部)により近いフロントフレームの外面に対して結合部を形成するので、サスハウジングの内倒れ変形を生じさせようとするモーメント力を弱くすることができる。
上記の車両の前部車体構造において、前記サスハウジングは、前記フロントフレームと前記エプロンレインとを橋絡するように車幅方向に延びる開断面部を、車両前後方向に離間して複数備え、前記サスハウジングの前記開断面部が存在する車両前後方向の領域は、前記第2結合部によって前記フロントフレームに結合されていることが望ましい。
この前部車体構造によれば、サスハウジングが車幅方向に延びる開断面部を備えることで、当該サスハウジングの車幅方向の変形耐性を高めることができる。また、前記開断面部が存在する領域については前記フロントフレームの内面に対する前記第2結合部が存在し、それ以外の領域については前記フロントフレームの外面に対する前記第1結合部が存在するので、結合のバランスを良好にすることができる。
上記の車両の前部車体構造において、前記開断面部の少なくとも前記フロントフレーム側の端部は、前記フロントフレームの前記上面の車幅方向の幅に対応する幅を有する一対の側板と、前記一対の側板の車幅方向内側の端縁を連結する連結板とによって形成され、前記第2結合部は、前記連結板の端部に連設された接続部であることが望ましい。
この前部車体構造によれば、開断面部の形状的特徴を利用して、第2結合部をシンプルな形態でサスハウジングに具備させることができる。
上記の車両の前部車体構造において、前記サスハウジングは、前記サスペンションが取り付けられるサストップ部と、該サストップ部から下方に垂下する平面部と、をさらに含み、前記平面部の下端に、前記第1結合部の一つを構成する第1延長部が連設されていることが望ましい。
この前部車体構造によれば、サストップ部から下方に垂下する平面部が備えられるので、サストップ部に入力される荷重を、前記平面部を介して垂直にフロントフレームへ伝達させることができる。これにより、サスハウジングの内倒れ変形を一層効果的に抑止することができる。また、前記平面部を延長した形態の第1延長部において、フロントフレーム外面に対する強固な第1結合部を構築し易くなる。
上記の車両の前部車体構造において、前記平面部を挟んで、車両前後方向に第1開断面部と第2開断面部とが並んでおり、前記サスハウジングは、他の前記第1結合部を構成する第2延長部及び第3延長部をさらに備え、車両前後方向において、前記第1延長部と前記第2延長部とで前記第1開断面部の前記接続部が挟まれ、前記第1延長部と前記第3延長部とで前記第2開断面部の前記接続部が挟まれていることが望ましい。
第2結合部を構成する前記接続部は、比較的強度が弱くなりがちとなる。しかし、上記前部車体構造によれば、そのような前記接続部を、第1延長部と第2延長部、並びに第1延長部と第3延長部とで車両前後方向に挟み込む形態となる。従って、前記接続部が比較的強度が弱くとも、第1〜第3延長部が形成する第1結合部によって補強することができる。
本発明によれば、サストップ部に大きな荷重が加わった場合でも、サスハウジングの車幅方向の変形を抑止できる車両の前部車体構造を提供することができる。
本発明に係る車両の前部車体構造を概略的に示す斜視図である。 前記前部車体構造における、サスハウジングの組み付け部分の斜視図である。 図2のIII−III線の概略的な断面図である。 図2の状態からフロントフレームインナを取り外した状態の斜視図である。 サスハウジングの上面視の平面図である。 サスハウジングの下面視の平面図である。 サスハウジングの下端付近の斜視図である。 第1バルクヘッドの斜視図である。 第2バルクヘッドの斜視図である。 サスハウジングのフロントフレームに対する結合部を説明するための斜視図である。 サスハウジングのフロントフレームに対する結合部を説明するための模式的な側面図である。
[車両の前部車体構造の概略説明]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明に係る車両Vの前部車体1の構造を概略的に示す斜視図である。図1には、車両Vの前後方向における「前」及び「後」の矢印、車幅方向における「左」及び「右」の矢印、並びに、車高方向における「上」及び「下」の矢印を付記している。以下の図に付している「前」「後」「上」「下」「左」「右」の矢印は、図1の方向表示に従っている。
車両Vの前部車体1には、ダッシュパネル2、フロントフレーム3、エプロンレイン4、サスハウジング5及びサブフレーム7が備えられている。フロントフレーム3、エプロンレイン4及びサスハウジング5は、それぞれ左右一対の車体部材であるが、図1では図の複雑化を避けるため、車体右側部分に配設されているものを図示し、車体左側部分についてはその図示を省略している。
ダッシュパネル2は、左右方向に長いパネルであり、車室Sの前方部分とエンジンルームEとを前後に仕切っている。フロントフレーム3は、車両前後方向に延び、閉断面部を形成している。フロントフレーム3の後端は、ダッシュパネル2の前側に結合されている。フロントフレーム3の閉断面部内には、断面補強のための補強体(後述の第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6B)が配設されている。一対のフロントフレーム3の間はエンジンルームEであり、エンジンやトランスミッション等から構成される図略のエンジンユニットが据え付けられる。
エプロンレイン4は、フロントフレーム3の車幅方向外側且つ上方に配置され、車両前後方向に延びている。図示している右側のフロントフレーム3に対して、右側のエプロンレイン4は、右斜め上約45度の方位に配置されている。エプロンレイン4とフロントフレーム3との間には、図略の前輪を覆うホイールハウスWHを形成可能な空間が設けられている。
サスハウジング5は、サスペンションの構成部材が取り付けられる部材、具体的にはコイルスプリングとショックアブソーバとからなるダンパー(図略)の上端が取り付けられる部材である。サスハウジング5は、前記ダンパーを収容する下端開口のハウジング形状を有し、ホイールハウスWHの上方を覆うようにフロントフレーム3とエプロンレイン4とを連結している。サスハウジング5は、アルミダイキャストにて形成された部材である。勿論、板金部材のプレス加工等によって形成されたサスハウジング5であっても良い。
サブフレーム7は、フロントフレーム3の下方に配置される車体部材である。サブフレーム7は、エンジンルームEの下方に位置し、一対のフロントフレーム3間に配設される態様のサスペンションクロスメンバ71を含む。この他、サブフレーム7は、サスペンションクロスメンバ71の左右両側から車幅方向外側に延出する一対のサスペンションアーム72、車両前後方向に延びる左右一対のエンジンサポートメンバ73、一対のエンジンサポートメンバ73の前端間に架設されたフロントクロスメンバ74、及び、クロスメンバアーム75を含む。クロスメンバアーム75は、サスペンションクロスメンバ71の上面に立設され、フロントフレーム3とサスペンションクロスメンバ71とを連結するための設けられている部材である。クロスメンバアーム75の上端には、両者の連結用の締結ボルト(図略)を収容する円筒部76が設けられている。
[前部車体の要部]
図2は、前部車体1における、右側のサスハウジング5の組み付け部分の斜視図である。この場合、左方が車幅方向内側(方向表示に「内」と表示)、右方が車幅方向外側(同「外」と表示)となる。図3は、図2のIII−III線の概略的な断面図、図4は、図2の状態から後述のフロントフレームインナ31を取り外した状態の斜視図である。
<フロントフレーム>
フロントフレーム3は、前後方向に延びる閉断面部C1を形成する車体剛性部材であり、例えば鋼材等の優れた剛性を有する板材の折り曲げ加工品からなる。フロントフレーム3は、断面形状が左右方向幅の比較的広い略コ字型からなるフロントフレームインナ31と、断面形状が左右方向幅の比較的広い略コ字型からなるフロントフレームアウタ32とからなる。図3に示されているように、フロントフレーム3(閉断面部C1)は、断面形状が上下方向に長い矩形の形状を有している。フロントフレーム3は、その外周に、車幅方向外側(右)に向く外面3Aと、車幅方向内側(左)に向く内面3Bと、外面3Aと内面3Bとの間の上部に位置する上面3C及び下部に位置する下面3Dとを備えている。
フロントフレームインナ31は、断面視において上下方向に延びる側板310、側板310の上端から右方に延びる上板311、及び、側板310の下端から右方に延びる下板312を備える。下板312の所定位置には、上述のクロスメンバアーム75の円筒部76が当接する。当該当接箇所において下板312には、円筒部76が備える中空孔と略同径の貫通孔312Aが穿孔されている。上板311の右端からは、上フランジ313が上方に延出されている。また、下板312の右端からは、下フランジ314が下方に延出されている。
フロントフレームアウタ32は、断面視において上下方向に延びる側板320を備える。側板320の上端及び下端は、やや左方に湾曲している。側板320の上端から上方へ上フランジ321が、下端から下方へ下フランジ322が、各々延出されている。上フランジ321は、サスハウジング5の取り付けのために、上下幅が部分的に拡張された幅広部321Aを備えている。上フランジ313、321同士、並びに下フランジ314、322同士が突き合わされ、スポット溶接等で固着される。このように固着されたフロントフレームインナ31及びフロントフレームアウタ32によって、閉断面部C1が形成されている。
フロントフレーム3の閉断面部C1内には、当該閉断面部C1の剛性を補強する補強体として、第1バルクヘッド6Aと第2バルクヘッド6Bとが配設されている。第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6Bは、フロントフレーム3の内面に対する接合面を有する。これらバルクヘッド6A、6Bについては、後記で詳述する。
また、フロントフレーム3の閉断面部C1内には、サスペンションクロスメンバ71を固定するための取り付け板33が配置されている。取り付け板33は、折り曲げ板材からなり、フロントフレームインナ31の下板312に接する水平板部を有する。前記水平板部には、下板312の貫通孔312Aの穿孔位置に応じた通し孔が備えられている。これら貫通孔312A及び前記通し孔と、クロスメンバアーム75の円筒部76の前記中空孔をと貫通するように、図略の前記締結ボルトが挿通される。この締結ボルトの先端部分は、取り付け板33の上面側に配置されるウェルドナット331に螺合され、これによりフロントフレーム3とサスペンションクロスメンバ71とが固定される。
<エプロンレイン>
エプロンレイン4は、例えば鋼材等の優れた剛性を有する板材をL字型に折り曲げたレインフォースメント部材であり、水平板41と、該水平板4の右端から下方に垂下する垂直板42とを含む。エプロンレイン4の後端側は、図略のプロントピラーに固定されている。
<サスハウジング>
図2〜図4に加え、図5〜図7を参照する。図5は、サスハウジング5の上面視の平面図、図6は、サスハウジング5の下面視の平面図、図7は、サスハウジング5の下端付近の拡大斜視図である。サスハウジング5は、ハウジング本体51、サストップ部52、第1開断面部53及び第2開断面部54を備えている。サスハウジング5の右端側がエプロンレイン4に固定される上端501であり、左端側がフロントフレーム3に固定される下端502である。上端501の高さ位置と下端502の高さ位置との間には、エプロンレイン4とフロントフレーム3の上面3Cとの高低差に応じた高低差が存在する。
ハウジング本体51は、サスペンションのダンパーを収容する、概ね円錐台のタワー形状を有するハウジングである。サストップ部52は、ハウジング本体51の頂部に位置している。サストップ部52は、前記ダンパーの上端が取り付けられるサス取り付け孔521を有している。ハウジング本体51は、概ね水平断面が円形であるが、その左面において平面部511を有している。平面部511は、サストップ部52から下方に垂下して下端502まで延びる垂直壁である。
サストップ部52の右隣には、平坦な上面部503が設けられている。上面部503は、サストップ部52よりも一段下がった高さ位置にあり、前後方向に帯状に延びている。上面部503の右方には、上端フランジ504が延設されている。上端フランジ504は、上面部503よりも一段下がった高さ位置にあり、前後方向に帯状に延びている。上面部503と上端フランジ504とは、垂直板505によって連結されている。
図3に示すように、サストップ部52は、サスペンションから上下方向の荷重が入力される荷重入力部P1となる。サスハウジング5は、上端501が、下端502よりも高い位置でエプロンレイン4に固定される。このため、荷重入力部P1に下方から突き上げるような荷重が加えられると、矢印Fで示すようにサスハウジング5が車幅方向内側に倒れ込む内倒れ変形が生じ易くなる。既述の通り、サスハウジングに僅かな内倒れ変形が生じただけでも、操舵安定性能、NVH性能、強度耐久性能などに影響が及ぶ。
上記内倒れ変形力に対抗するために、矢印Fの方向の変形力に対するサスハウジング5の断面二次モーメントを向上することが求められる。第1開断面部53及び第2開断面部54は、前記断面二次モーメントを高めるためにサスハウジング5に備えられている。本明細書でいう開断面部(open cross-section)とは、上述の閉断面部C1のように完全に、或いは僅かな開口を除いて板材によって閉じられた断面ではないが、平面に対して角柱型、V字型などの膨らみを持つよう複数の折れ曲がり部によって形成された、開口を備えた断面である。第1開断面部53と第2開断面部54とは、サスハウジング5において車両前後方向に互いに離間して、具体的にはハウジング本体51(平面部511)を挟んで前後に並ぶように配置されている。
第1開断面部53は、ハウジング本体51の前方側において、フロントフレーム3とエプロンレイン4とを橋絡するように車幅方向に延びている。第1開断面部53は、前後一対の側板531と連結板532とによって形成された、角柱型(いわゆるハット型)の開断面部である。図6には、開断面空間CAが示されている。この開断面空間CAは、ホイールハウスWH側に向けて開口している。図7に示すように、一対の側板531は、フロントフレーム3側(左側)の端部である下端502付近において、フロントフレーム3の上面3Cの車幅方向の幅に対応する幅dを有している。連結板532は、一対の側板531の上端縁(下端502付近においては、一対の側板531の車幅方向内側の端縁)を連結している。
前方側の側板531は、概ねフロントフレーム3からエプロンレイン4まで延びている。一方、後方側の側板531が外側に表出しているのは、第1開断面部53の左端付近、すなわち概ねフロントフレーム3からハウジング本体51の平面部511までの間である。図6に示すように、後方側の側板531の右端付近は、上面部503の裏面側に隠れており、また、中央付近はハウジング本体51の右側部に繋がっている。
一対の側板531と連結板532とは、概ね互いに直交して交差する面である。前方側の側板531と連結板532とが交差する部分が前稜線部533であり、後方側の側板531と連結板532とが交差する部分が後稜線部534である。前稜線部533は、概ねフロントフレーム3からエプロンレイン4まで車幅方向に延びている。後稜線部534は、概ねフロントフレーム3から平面部511まで延びている。但し、後稜線部534の右端は、連結板532とハウジング本体51の前方側の立壁とが交差する稜線に繋がっており、実質的に高剛性部としての後稜線部534はエプロンレイン4付近まで延びている。これら前稜線部533及び後稜線部534は、第1開断面部53において剛性を高める高剛性部としての機能を果たし、サスハウジング5の断面二次モーメントの向上に寄与する。
第2開断面部54は、ハウジング本体51の後方側において、フロントフレーム3とエプロンレイン4とを橋絡するように車幅方向に延びている。第1開断面部53と同様に第2開断面部54は、前後一対の側板541と連結板542とによって形成されたハット型の開断面部である。一対の側板541もまた、フロントフレーム3側の端部付近において、フロントフレーム3の上面3Cの車幅方向の幅に対応する幅dを有している。連結板542は、一対の側板541の上端縁(一対の側板541の車幅方向内側の端縁)を連結している。
連結板542の前後方向の幅が第1開断面部53の連結板532よりも広幅であることを除き、側板541及び連結板542は、第1開断面部53の側板531及び連結板532と同様である。前方側の側板541と連結板542とが交差する部分が前稜線部543であり、後方側の側板541と連結板542とが交差する部分が後稜線部544である。後稜線部544が第1開断面部53の前稜線部533に相当する稜線であり、前稜線部543が後稜線部534に相当する稜線である。これら前稜線部543及び後稜線部544は、第2開断面部54において剛性を高める高剛性部としての機能を果たし、サスハウジング5の断面二次モーメントの向上に寄与する。
<サスハウジングの連結構造部の説明>
続いて、サスハウジング5の上端501側及び下端502側の連結構造部について説明する。上端501においてエプロンレイン4との連結部を構成するのは、上面部503及び上端フランジ504である。図3を参照して、上面部503は、エプロンレイン4の水平板41における左方部分と上下方向に重ね合わされている。上端フランジ504の右端付近は、垂直板42の下部フランジと重ね合わされている。これら重ね合わせ部分において、上端501とエプロンレイン4とが固定されている。
このような上端501とエプロンレイン4との連結部が形成される結果、当該連結部には前後方向に延びる閉断面部C2が形成されている。すなわち、水平板41の右方部分と上端フランジ504の左方部分、並びに垂直板42と垂直板505とは、それぞれ間隔を置いて対峙しており、これらによって囲まれた空間が閉断面部C2である。当該閉断面部C2の形成によって、サスハウジング5の上端501側の剛性が高められている。
次に、下端502側の連結構造部を説明する。サスハウジング5は、フロントフレーム3に対する連結部分となる下端502に、分断部55と、第1接続部535(第2結合部)および第2接続部545(第2結合部)とを有している。分断部55は、第1開断面部53及び第2開断面部54の下端502側の端部(フロントフレーム3側の端部)と、フロントフレーム3の上面5Cとを非接触とするために形成されている。図7には、第1開断面部53の下端縁53E及び第2開断面部54の下端縁54Eが示されている。分断部55の形成によって、これら下端縁53E、54Eは、上面5Cに対して分断部55の隙間を介して対向している。つまり、第1、第2開断面部53、54は、分断部55の位置で途切れている。
フロントフレーム3は、ホイールハウスWHに隣接している。このため、雨天走行時等において、ホイールハウスWH側からフロントフレーム3の上面5Cに水滴が跳ね上げられることが想定される。仮に、第1、第2開断面部53、54の下端縁53E、54Eが上面5Cに密接するほどに下方に延びていると、その密接部分に前記水滴が滞留し易くなる。しかし、本実施形態のように、分断部55を設けて下端縁53E、54Eと上面5Cとを離間させることで、上面5Cへの水溜まりの発生を未然に防止することができる。
また、本実施形態では、サスハウジング5がアルミダイキャストによって形成され、フロントフレーム3が鋼材によって形成されている。すなわち、サスハウジング5とフロントフレーム3とは異種金属となるが、分断部55の形成によって両者が当接する部分を可及的に少なくすることができる。従って、異種金属の接触による腐食等の問題、特に水が介在することによる電食の問題を抑制することができる。
第1、第2接続部535、545は、第1、第2開断面部53、54とフロントフレーム3の内面3Bとを接続するために設けられている。第1接続部535は、第1開断面部53の連結板532の下端から下方に連設された平板部分である。同様に、第2接続部545は、第2開断面部54の連結板532の下端から下方に連設された平板部分である。第1、第2接続部535、545は、分断部55を跨ぎ、内面3Bの上方部分と左右方向に重なり合うように、下方に延びている。第1、第2接続部535、545は、内面3Bとの重なり合う部分において、スポット溶接等で当該内面3Bに結合される。図3では、その固定部を内側固定部P2として模式的に示している。
サスハウジング5は、下端502側において、フロントフレーム3のフランジ部3F(外面3A側)に対する連結部(結合部)も有している。この連結部を形成するために、サスハウジング5は第1延長部512、第2延長部513及び第3延長部514(以上、第1結合部)を備えている。第1延長部512は、平面部511の下端に連設された平板部であって、第1開断面部53と第2開断面部54との間に位置している。第2延長部513は、第1開断面部53の前方側に隣接して設けられた平板部である。第3延長部514は、第2開断面部54の後方側に隣接して設けられた平板部である。
図2、図7に示すように、第1、第2開断面部53、54の下端縁53E、54Eと、第1、第2、第3延長部512、513、514の下端縁とは面一である。また、図6に示すように、第1〜第3延長部512〜514は、左右方向のほぼ同じ位置に配置され、前後方向に直線状に並んでいる。第1、第2開断面部53、54のフロントフレーム3側の端部は、第1〜第3延長部512〜514が形成する平面から左方に突出している。
フロントフレーム3のフランジ部3Fには、既述の通り上下幅が他の部分よりも長い幅広部321Aが備えられている。幅広部321Aは、第1〜第3延長部512〜514の全てと対向できる前後幅を有している。第1〜第3延長部512〜514は、幅広部321Aと左右方向に重ね合され、その重なり合う部分において、スポット溶接等で幅広部321Aに固定される。図3では、その固定部を外側固定部P3として示している。車両前後方向で見ると、前方側から第2延長部513(第1結合部)、第1接続部535(第2結合部)、第1延長部512(第1結合部)、第2接続部545(第2結合部)及び第3延長部514(第1結合部)の順に並んでいる。すなわち、下端502側において、外側固定部P3と内側固定部P2とが、車両前後方向に交互に並ぶように配置されている。この点については、図10、図11に基づき、後記で詳述する。
<サスハウジングの補強構造>
サスハウジング5は、第1、第2開断面部53、54を備えることで、車幅方向の変形耐性が高められているが、これらに加えて、さらなる補強構造を有している。この補強構造として、サスハウジング5は、第1縦リブ536、第2縦リブ546、第1横リブ537、第2横リブ547、厚肉部56及び内リブ571〜579(図6)を備えている。
第1縦リブ536は、第1開断面部53に連設されている第1接続部535に、第2縦リブ546は、第2開断面部54に連設されている第2接続部545に各々設けられている。第1、第2縦リブ536、546は、それぞれ第1接続部535、第2接続部545の車幅方向への曲げ変形を抑制する補強部である。分断部55を設けたことにより、サスハウジング5の下端502とフロントフレーム3の内面3Bとは、開断面構造を持たない第1、第2接続部535、545で繋がれるため、当該部分が機械的強度の弱点部となり得る。しかし、第1、第2縦リブ536、546を設けることで、第1、第2接続部535、545の剛性を高めることができ、ひいてはサスハウジング5の内倒れ変形を抑止することができる。
第1縦リブ536は、第1接続部535の左面に突設され、上下方向に延びる細長いリブである。ここでは、2本の第1縦リブ536が、前後方向に間隔を置いて平行に設けられている例を示している。同様に、第2縦リブ546は、第2接続部545の左面に突設され、上下方向に延びる細長いリブである。第2接続部545は比較的幅広であるので、3本の第2縦リブ546が、前後方向に間隔を置いて平行に設けられている。
第1横リブ537は、第1開断面部53の一対の側板531の下端付近に各々突設され、第2横リブ547は、第2開断面部54の一対の側板541の下端付近に各々突設されている。第1、第2横リブ537、547の形成によって、一対の側板531、541の左右方向の撓み変形が抑止される。すなわち、分断部55の形成によって、側板531、541は下端縁53E、54E付近において脆弱となるが、第1、第2横リブ537、547によって剛性が高められる。
第1横リブ537は、左方に向けて下り傾斜する細長いリブであり、前側の第1横リブ537は第2延長部513から、後側の第1横リブ537は第1延長部512から、それぞれ第1接続部535まで延びている。同様に第2横リブ547は、左方に向けて下り傾斜する細長いリブであり、前側の第2横リブ547は第1延長部512から、後側の第2横リブ547は第3延長部514から、それぞれ第2接続部545まで延びている。なお、第1、第2横リブ537、547を、一対の側板531、541のいずれか一方に配置する態様としても良い。
厚肉部56は、開断面構造を持たない第1、第2接続部535、545を、第1、第2縦リブ536、546に加えて補強するために設けられている。厚肉部56は、分断部55に向かい合う部分に形成され、当該厚肉部56の形成箇所において、第1、第2接続部535、545は、板厚がサスハウジング5の他の部分より増加されている。図6に示されているように、厚肉部56は、第1、第2接続部535、545の裏面側において、下方から上方に向けて厚みが増加するよう突出した部分である。このような厚肉部56は、アルミダイキャストによれば容易に形成できる。第1接続部535においては、前後一対の第1縦リブ536間に厚肉部56が配置されている。また、第2接続部545において、前後端の第2縦リブ546間に厚肉部56が配置されている。3つのうち、中央の第2縦リブ546は、厚肉部56上に突設されている。このような厚肉部56の配置によって、第1、第2接続部535、545の剛性がより高められている。
内リブ571〜579は、図6に示すように、第1開断面部53及び第2開断面部54の開断面空間CAを仕切る、前後方向に延びるリブである。第1開断面部53の開断面空間CAには、4つの内リブ571、572、573、574が、適宜な間隔を置いて配置されている。内リブ571〜574は一対の側板531間に亘って延び、第1開断面部53の開断面空間CAを複数の空間に仕切っている。第2開断面部54の開断面空間CAには、5つの内リブ575、576、577、578、579が、適宜な間隔を置いて配置されている。内リブ575〜579は一対の側板541間に亘って延び、第2開断面部54の開断面空間CAを複数の空間に仕切っている。
<バルクヘッド>
図4に示されているように、フロントフレーム3の閉断面部C1内には、その断面補強のための第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6Bが配設されている。第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6Bは、鋼材等の優れた剛性を有する板材に、打ち抜き及び折り曲げ加工等を施して形成された部材であり、閉断面部C1を仕切るように配置されることにより、当該閉断面部C1の剛性を高める役目を果たす。第1バルクヘッド6Aは、概ね第1開断面部53を下方に延長した延長領域に、第2バルクヘッド6Bは概ね第2開断面部54を下方に延長した延長領域に、それぞれ配置されている。
図8は、第1バルクヘッド6Aの斜視図である。第1バルクヘッド6Aは、閉断面部C1が延びる前後方向と直交する上下及び左右方向に延びる平板からなる仕切面部61を含む。仕切面部61は上下に長い矩形形状を有し、そのサイズは、概ね閉断面部C1の断面サイズと同じである。この仕切面部61によって、閉断面部C1の空間が前後に仕切られている。
仕切面部61の4つの辺からは、上フランジ621、下フランジ622、右フランジ623及び左フランジ624が各々突設されている。これらフランジ621、622、623、624は舌片状の形状を有し、仕切面部61に対してほぼ直角に各々折り曲げられることによって形成されている。その折り曲げ方向は、左フランジ624が後方である他は、全て前方である。
フランジ621、622、623、624は、フロントフレーム3に対する接合部となる。図3、図4を参照して、上フランジ621はフロントフレームインナ31の上板311に、下フランジ622は下板312に、右フランジ623はフロントフレームアウタ32の側板320に、左フランジ624はフロントフレームインナ31の側板310に、それぞれスポット溶接によって固着される。
仕切面部61と左フランジ624との境界の稜線部63には、バルクヘッド6Aの剛性を高める2つの凹部631が設けられている。また、仕切面部61には、前後方向に貫通する大貫通孔611と、2つの小貫通孔612とが設けられている。大貫通孔611は、車体に防錆剤を電着塗装する工程において、電着液を前後に流通させるための孔である。小貫通孔612は、電着液を流通させ得る孔であるが、専らスポット溶接用に設けられた孔である。また、大貫通孔611及び小貫通孔612の形成によって、第1バルクヘッド6Aの軽量化が図られる。大貫通孔611の縁部には、バーリング加工によって形成されたフランジ部613が備えられている。フランジ部613の形成によって、仕切面部61の剛性、特に第1バルクヘッド6Aに対して上下方向に加わる荷重に対する仕切面部61の剛性が高められている。
図9は、第2バルクヘッド6Bの斜視図である。第2バルクヘッド6Bも、上記仕切面部61と同様な、閉断面部C1の空間を前後に仕切る仕切面部64を備える。仕切面部64は、前後方向に緩く湾曲した平板であり、上下に長い矩形形状を有する。そのサイズは、概ね閉断面部C1の断面サイズと同じである。仕切面部64の4つの辺からは、上フランジ651、下フランジ(図9には表れていない)、右フランジ652及び左フランジ653が各々突設されている。これらフランジ651、652、653は舌片状の形状を有し、仕切面部64に対してほぼ直角に各々折り曲げられることによって形成されている。その折り曲げ方向は、右フランジ652が後方である他は、全て前方である。
フランジ651、652、653は、フロントフレーム3に対する接合部となる。図3、図4を参照して、上フランジ651はフロントフレームインナ31の上板311に、不図示の下フランジは下板312に、右フランジ652はフロントフレームアウタ32の側板320に、左フランジ653はフロントフレームインナ31の側板310に、それぞれスポット溶接によって固着される。
仕切面部64には、小貫通孔641と、上下方向に延びる2本の剛性補強部642とが備えられている。小貫通孔641は、電着液の流通用、スポット溶接用に設けられた孔である。剛性補強部642は、仕切面部64の一部を断面半円状に後方に突出するよう、絞り加工を施すことによって形成されている。剛性補強部642の形成によって、仕切面部64の剛性が高められている。剛性補強部642は上下方向に長い形状を有するので、第2バルクヘッド6Bに対して上下方向に加わる荷重に対する仕切面部64の耐性を高めることができる。すなわち、第2開断面部54を介してサストップ部52から加わる荷重に対して、仕切面部64は強い耐性を有している。
<前部車体の他の構造部>
上記以外に、前部車体1には、マットガード8、ホイールエプロン9が備えられている(図4参照)。マットガード8は、ホイールハウスWHの上方を覆う部材であり、タイヤが跳ね上げる汚泥、小石或いは水滴等が車体に衝突、侵入することを防止する部材である。マットガード8は、サスハウジング5の下方に配置され、サスハウジング5に対する取り付け部を有している。また、マットガード8は、第1開断面部53及び第2開断面部54の裏面の開口部を、下端付近において塞ぐ延長部(図略)を備えている。ホイールエプロン9は、サスハウジング5の後方且つ下方に配置され、専らタイヤの走行音の遮音のために設けられている。
[サスハウジングのフロントフレームに対する結合部の詳細]
図10は、サスハウジング5のフロントフレーム3に対する結合部を説明するための斜視図である。先に説明した通り、フロントフレーム3に対する結合部として、サスハウジング5の下端502側には、第1、第2接続部535、545と第1、第2、第3延長部512、513、514とが備えられている。第1、第2接続部535、545は、フロントフレーム3の内面3Bに対する結合部であり、第1〜第3延長部512〜514は、外面3A(フランジ部3F)に対する結合部である。図10では、第1、第2、第3延長部512、513、514による結合部を、それぞれ第1結合部H1、H2、H3と示し、第1、第2接続部535、545による結合部を、それぞれ第2結合部G1、G2と示している。
図3も参照して、当該結合部の第1の特徴は、フロントフレーム3を左右方向から挟み込むように、第1結合部H1、H2、H3と第2結合部G1、G2とが配置されている点である。図3において、第2結合部G1、G2による結合部が内側固定部P2、第1結合部H1、H2、H3による結合部が外側固定部P3である。このように、フロントフレーム3の内面3Bだけでなく、外面3Aに対する結合部を具備させることで、サスハウジング5のフロントフレーム3に対する結合部が強固なものとなる。
さらに、荷重入力部P1により近い点に、フロントフレーム3に対する結合部を配置することができる。荷重入力部P1に対して、フランジ部3Fは内面3Bよりも距離的に近い位置にある。仮に、第2結合部G1、G2のみでサスハウジング5とフロントフレーム3とを結合させた場合、その内側固定部P2は荷重入力部P1から比較的遠い位置に存在することになる。これに対し、本実施形態では、荷重入力部P1により近い外側固定部P3を有する。従って、外側固定部P3が内側固定部P2よりも荷重入力部P1に近い分だけ、サスハウジング5について矢印Fの内倒れ変形力が発生した場合における、曲げモーメントが弱くなる。
当該結合部の第2の特徴は、第1結合部H1、H2、H3と第2結合部G1、G2とが、車両前後方向に交互に並ぶように配置されている点である。図10に示す通り、前方から後方に向けて、第1結合部H2、第2結合部G1、第1結合部H1、第2結合部G2及び第1結合部H3の順に並んでいる。このような結合部の配置は、第2結合部G1、G2の前後が、第1結合部H1、H2、H3で挟まれている配置ということができる。すなわち、前方側の第2結合部G1は、第1結合部H1、H2によって前後方向に挟まれ、後方側の第2結合部G2は、第1結合部H1、H3によって前後方向に挟まれている。
第2結合部G1、G2を構成する第1、第2接続部535、545は、連結板532、542の下端部に連設された部分であって、開断面構造を具備しない。第1、第2開断面部53、54が存在する車両前後方向の領域については、サスハウジング5は第1、第2接続部535、545によってフロントフレーム3に結合されている。補強部として第1、第2縦リブ536、546を備えるものの、第1、第2開断面部53、54に比べて剛性はどうしても劣る。しかし、このような機械的強度が比較的弱い第1、第2接続部535、545よる第2結合部G1、G2をアシストするように、曲げモーメントを小さくする作用を果たす第1結合部H1、H2、H3が、第2結合部G1、G2を前後方向で挟み込んでいる。
図11は、サスハウジング5のフロントフレーム3に対する結合部を説明するための模式的な側面図である。図11では、第1接続部535(第2結合部G1)の前後幅をa1、第2接続部545(第2結合部G2)の前後幅をa2として各々示している。第1結合部H1、H2、H3と第2結合部G1、G2とは概ね前後方向に交互に並んでいれば良く、両者間に間隔が存在したり、両者が一部重複したりしても良い。例えば、第1結合部H2と第2結合部G1との間に、前後方向において隙間が存在していても良い。或いは、例えば結合面積を大きくするために、第1接続部535の前後幅を第1開断面部53よりも広くすることによって、第1結合部H2と第2結合部G1及び/又は第1結合部H1と第2結合部G1とが、前後方向に部分的に重複していても良い。
また、少なくとも、内面3Bに対する一の結合部(第2結合部)の前後が、外面3Aに対する二つの結合部(第1結合部)で挟まれていれば良い。例えば、前後方向に長い第1延長部512の中間に肉抜きの分断部を設けた場合、前後方向には、第2結合部G1、第1結合部H1の前側、分断部、第1結合部H1の後側、第2結合部G2の順に並ぶことになる。このような態様も、「前後方向に交互に並ぶ」の一態様である。
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係る車両の前部車体構造によれば、次のような作用効果を奏する。まず、車両前後方向に交互に並ぶサスハウジング5の第1結合部H1、H2、H3と第2結合部G1、G2とによって、フロントフレーム3の外面3Aと内面3Bとを挟み込むようにして、サスハウジング5がフロントフレーム3に結合されている。このような挟み込み結合の態様を取ることによって、サスハウジング5の荷重入力部P1(サストップ部52)に入力される荷重をフロントフレーム3に分散して伝達させることができる。その結果、サスハウジング5の車幅方向の変形耐性を高めることができる。
特に、第1結合部H1、H2、H3は、荷重入力部P1により近いフロントフレーム3の外面3Aに対して結合部(外側固定部P3)を形成している。このため、荷重入力部P1にサスペンションの荷重が入力され、サスハウジング5に図3の矢印Fで示す力が作用した場合に、その曲げモーメント力を弱くすることができる。従って、当該結合構造は、サスハウジング5の内倒れ変形の防止に貢献する。
サスハウジング5は、フロントフレーム3とエプロンレイン4とを橋絡するように車幅方向に延びる第1開断面部53及び第2開断面部54を備える。第1開断面部53は、車幅方向に延びる前稜線部533及び後稜線部534を高剛性部として有する。また、第2開断面部54は、車幅方向に延びる前稜線部543及び後稜線部544を高剛性部として有する。従って、サスハウジング5の車幅方向の変形耐性が高められている。
また、第1、第2開断面部53、54が存在する領域については、第2結合部G1、G2を構成する第1、第2接続部535、545によって、フロントフレーム3の内面3Bに対する結合部が形成され、それ以外の領域については外面3Aに対する第1結合部H1、H2、H3が存在するので、結合のバランスを良好にすることができる。さらに、第1、第2接続部535、545は、連結板532、542の下端部に連設された部分である。このため、第1、第2開断面部53、54の形状的特徴を利用して、第2結合部G1、G2をシンプルな形態でサスハウジング5に具備させることができる。
サスハウジング5は、サスペンションが取り付けられるサストップ部52と、該サストップ部52から下方に垂下する平面部511とを含む。図3に示す通り、平面部511はフランジ部3Fの直上に延びる垂直壁である。このような平面部511の下端に、第1結合部H1となる第1延長部512が連設されている。この構造によれば、サストップ部52に入力される荷重を、平面部511を介して垂直にフロントフレーム3へ伝達させることができる。そして、フロントフレーム3内には、第1、第2バルクヘッド6A、6Bが内設されている。これにより、サスハウジングの内倒れ変形を一層効果的に抑止することができる。また、平面部511を延長した形態の第1延長部512によって、外面3Aに対する強固な第1結合部H1を構築できる。
また、前方側の第2結合部G1は、第1結合部H1、H2によって前後方向に挟まれ、後方側の第2結合部G2は、第1結合部H1、H3によって前後方向に挟まれてなる構造を備える。第2結合部を構成する第1、第2接続部535、545は、開断面構造を具備しないため比較的強度が弱くなりがちとなる。しかし、上記構造によれば、そのような第1接続部535、第2接続部545を、第1延長部512と第2延長部513、並びに第1延長部512と第3延長部514とで車両前後方向に挟み込む形態となる。従って、第1、第2接続部535、545が比較的強度が弱くとも、第1〜第3延長部512〜514が形成する第1結合部H1、H2、H3によって補強することができる。
さらに、図11に模式的に示したように、第1開断面部53の前後幅a1に対して、第2開断面部54の前後幅a2の方が広幅とされている。エプロンレイン4の後端43は、図略のプロントピラーに固定されており、この後端43を支点としてエプロンレイン4の前方側、サスハウジング5は車幅方向内側へ揺動し得る。この揺動力も、サスハウジング5の横倒れ変形の要因となり得る。この点に鑑みて、後端43(揺動支点)に近い第2開断面部54の前後幅a2を比較的広幅として、後端43を起点とする曲げモーメントの低減に有利な構造としている。この構造的な特徴によっても、サスハウジング5の内倒れ変形が抑止されている。
以上説明した本発明に係る車両の前部車体構造よれば、サストップ部52に大きな荷重が加わった場合でも、サスハウジング5の車幅方向の変形力に対する断面二次モーメントを向上させることができる。従って、サスハウジング5の横倒れ変形を効果的に防止することができる。
1 前部車体
3 フロントフレーム
3A 外面
3B 内面
3C 上面
4 エプロンレイン
5 サスハウジング
511 平面部
512 第1延長部(第1結合部)
513 第2延長部(第1結合部)
514 第3延長部(第1結合部)
52 サストップ部
53 第1開断面部
531 一対の側板
532 連結板
535 第1接続部(第2結合部)
54 第2開断面部
541 一対の側板
542 連結板
545 第2接続部(第2結合部)
H1、H2、H3 第1結合部
G1、G2 第2結合部

Claims (5)

  1. 車両前後方向に延び、閉断面部を形成するフロントフレームと、
    前記フロントフレームの車幅方向外側且つ上方に配置され、車両前後方向に延びるエプロンレインと、
    サスペンションの構成部材が取り付けられ、前記フロントフレームと前記エプロンレインとを連結するサスハウジングと、を備え、
    前記フロントフレームは、車幅方向外側に向く外面と、車幅方向内側に向く内面と、前記外面と前記内面との間の上部に位置する上面とを含み、
    前記サスハウジングは、前記フロントフレームの前記外面に結合される第1結合部と、前記内面に結合される第2結合部とを含み、
    前記第1結合部と前記第2結合部とが、前記サスハウジングの前記フロントフレーム側の端部において、車両前後方向に交互に並ぶように配置されている、車両の前部車体構造。
  2. 請求項1に記載の車両の前部車体構造において、
    前記サスハウジングは、前記フロントフレームと前記エプロンレインとを橋絡するように車幅方向に延びる開断面部を、車両前後方向に離間して複数備え、
    前記サスハウジングの前記開断面部が存在する車両前後方向の領域は、前記第2結合部によって前記フロントフレームに結合されている、車両の前部車体構造。
  3. 請求項2に記載の車両の前部車体構造において、
    前記開断面部の少なくとも前記フロントフレーム側の端部は、前記フロントフレームの前記上面の車幅方向の幅に対応する幅を有する一対の側板と、前記一対の側板の車幅方向内側の端縁を連結する連結板とによって形成され、
    前記第2結合部は、前記連結板の端部に連設された接続部である、車両の前部車体構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、
    前記サスハウジングは、前記サスペンションが取り付けられるサストップ部と、該サストップ部から下方に垂下する平面部と、をさらに含み、
    前記平面部の下端に、前記第1結合部の一つを構成する第1延長部が連設されている、車両の前部車体構造。
  5. 請求項3を引用する請求項4に記載の車両の前部車体構造において、
    前記平面部を挟んで、車両前後方向に第1開断面部と第2開断面部とが並んでおり、
    前記サスハウジングは、他の前記第1結合部を構成する第2延長部及び第3延長部をさらに備え、
    車両前後方向において、前記第1延長部と前記第2延長部とで前記第1開断面部の前記接続部が挟まれ、前記第1延長部と前記第3延長部とで前記第2開断面部の前記接続部が挟まれている、車両の前部車体構造。
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