JP6390603B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Description
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明に係る車両Vの前部車体1の構造を概略的に示す斜視図である。図1には、車両Vの前後方向における「前」及び「後」の矢印、車幅方向における「左」及び「右」の矢印、並びに、車高方向における「上」及び「下」の矢印を付記している。以下の図に付している「前」「後」「上」「下」「左」「右」の矢印は、図1の方向表示に従っている。
図2は、前部車体1における、右側のサスハウジング5の組み付け部分の斜視図である。この場合、左方が車幅方向内側(方向表示に「内」と表示)、右方が車幅方向外側(同「外」と表示)となる。図3は、図2のIII−III線の概略的な断面図、図4は、図2の状態から後述のフロントフレームインナ31を取り外した状態の斜視図である。
フロントフレーム3は、前後方向に延びる閉断面部C1を形成する車体剛性部材であり、例えば鋼材等の優れた剛性を有する板材の折り曲げ加工品からなる。フロントフレーム3は、断面形状が左右方向幅の比較的広い略コ字型からなるフロントフレームインナ31と、断面形状が左右方向幅の比較的広い略コ字型からなるフロントフレームアウタ32とからなる。図3に示されているように、フロントフレーム3(閉断面部C1)は、断面形状が上下方向に長い矩形の形状を有している。フロントフレーム3は、その外周に、車幅方向外側(右)に向く外面3Aと、車幅方向内側(左)に向く内面3Bと、外面3Aと内面3Bとの間の上部に位置する上面3C及び下部に位置する下面3Dとを備えている。
エプロンレイン4は、例えば鋼材等の優れた剛性を有する板材をL字型に折り曲げたレインフォースメント部材であり、水平板41と、該水平板4の右端から下方に垂下する垂直板42とを含む。エプロンレイン4の後端43(図11参照)は、図略のプロントピラーに固定されている。
図2〜図4に加え、図5〜図7を参照する。図5は、サスハウジング5の上面視の平面図、図6は、サスハウジング5の下面視の平面図、図7は、サスハウジング5の下端付近の拡大斜視図である。サスハウジング5は、ハウジング本体51、サストップ部52、第1開断面部53及び第2開断面部54を備えている。サスハウジング5の右端側がエプロンレイン4に固定される上端501であり、左端側がフロントフレーム3に固定される下端502である。上端501の高さ位置と下端502の高さ位置との間には、エプロンレイン4とフロントフレーム3の上面3Cとの高低差に応じた高低差が存在する。
続いて、サスハウジング5の上端501側及び下端502側の連結構造部について説明する。上端501においてエプロンレイン4との連結部を構成するのは、上面部503及び上端フランジ504である。図3を参照して、上面部503は、エプロンレイン4の水平板41における左方部分と上下方向に重ね合わされている。上端フランジ504の右端付近は、垂直板42の下部フランジと重ね合わされている。これら重ね合わせ部分において、上端501とエプロンレイン4とが固定されている。
サスハウジング5は、第1、第2開断面部53、54を備えることで、車幅方向の変形耐性が高められているが、これらに加えて、さらなる補強構造を有している。この補強構造として、サスハウジング5は、第1縦リブ536(補強部)、第2縦リブ546(補強部)、第1横リブ537、第2横リブ547、厚肉部56及び内リブ571〜579(図6)を備えている。
図4に示されているように、フロントフレーム3の閉断面部C1内には、その断面補強のための第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6Bが配設されている。第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6Bは、鋼材等の優れた剛性を有する板材に、打ち抜き及び折り曲げ加工等を施して形成された部材であり、閉断面部C1を仕切るように配置されることにより、当該閉断面部C1の剛性を高める役目を果たす。後記で詳述するが、第1バルクヘッド6Aは、概ね第1開断面部53を下方に延長した延長領域に、第2バルクヘッド6Bは概ね第2開断面部54を下方に延長した延長領域に、それぞれ配置されている。
上記以外に、前部車体1には、マットガード8、ホイールエプロン9が備えられている(図4参照)。マットガード8は、ホイールハウスWHの上方を覆う部材であり、タイヤが跳ね上げる汚泥、小石或いは水滴等が車体に衝突、侵入することを防止する部材である。マットガード8は、サスハウジング5の下方に配置され、サスハウジング5に対する取り付け部を有している。また、マットガード8は、第1開断面部53及び第2開断面部54の裏面の開口部を、下端付近において塞ぐ延長部(図略)を備えている。ホイールエプロン9は、サスハウジング5の後方且つ下方に配置され、専らタイヤの走行音の遮音のために設けられている。
本実施形態においては、サスハウジング5が備える第1開断面部53及び第2開断面部54と、フロントフレーム3の閉断面部C1内に配設される第1バルクヘッド6A及び第2バルクヘッド6Bとの位置関係に工夫を施すことによって、サストップ部52から入力される荷重に対する耐性を高めている。この点について、図10を参照して説明する。図10は、第1、第2開断面部53、54と、第1、第2バルクヘッド6A、6Bとの配置関係を説明するための斜視図である。図10において、フロントフレーム3はフロントフレームインナ31が取り外された状態とされている。
以上説明した本実施形態に係る車両の前部車体構造によれば、次のような作用効果を奏する。サスハウジング5は、フロントフレーム3とエプロンレイン4とを橋絡するように車幅方向に延びる第1開断面部53及び第2開断面部54を備える。第1開断面部53は、車幅方向に延びる前稜線部533及び後稜線部534を高剛性部として有する。また、第2開断面部54は、車幅方向に延びる前稜線部543及び後稜線部544を高剛性部として有する。従って、サスハウジング5の車幅方向の変形耐性が高められている。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を取ることができる。例えば、上記実施形態では、第1、第2接続部535、545の補強部として、第1、第2縦リブ536、546及び厚肉部56を例示した。補強部は、第1、第2接続部535、545の車幅方向への曲げ変形を抑制するものであれば良く、その具体的形態は問わない。例えば補強部は、第1、第2縦リブ536、546の突出長程度に第1、第2接続部535、545全体を厚肉化したものであっても良い。或いは、他の補強部材を第1、第2接続部535、545に組み付けるものであっても良い。さらに、第1、第2接続部535、545の強度が担保できる限りにおいて、製造作業性を向上させるための作業孔等を、第1、第2接続部535、545に設けても良い。
3 フロントフレーム
4 エプロンレイン
5 サスハウジング
52 サストップ部
53 第1開断面部
531 一対の側板
532 連結板
535 第1接続部
536 第1縦リブ(補強部)
537 第1横リブ
54 第2開断面部
541 一対の側板
542 連結板
545 第2接続部
546 第2縦リブ(補強部)
547 第2横リブ
55 分断部
56 厚肉部
Claims (6)
- 車両前後方向に延び、閉断面部を形成するフロントフレームと、
前記フロントフレームの車幅方向外側且つ上方に配置され、車両前後方向に延びるエプロンレインと、
サスペンションの構成部材が取り付けられ、前記フロントフレームと前記エプロンレインとを連結するサスハウジングと、を備え、
前記フロントフレームは、車幅方向外側に向く外面と、車幅方向内側に向く内面と、前記外面と前記内面との間の上部に位置する上面とを備え、
前記サスハウジングは、
前記フロントフレームと前記エプロンレインとを橋絡するように車幅方向に延びる開断面部と、
前記開断面部の前記フロントフレーム側の端部と、前記フロントフレームの前記上面とを非接触とするための分断部と、
前記開断面部と前記フロントフレームの前記内面とを接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、車幅方向への曲げ変形を抑制する補強部を有する、車両の前部車体構造。 - 請求項1に記載の車両の前部車体構造において、
前記補強部は、前記接続部において上下方向に延びる縦リブを含む、車両の前部車体構造。 - 請求項1又は2に記載の車両の前部車体構造において、
前記開断面部の少なくとも前記フロントフレーム側の端部は、前記フロントフレームの前記上面の車幅方向の幅に対応する幅を有する一対の側板と、前記一対の側板の車幅方向内側の端縁を連結する連結板とによって形成され、当該端部は前記分断部を介して前記上面と対向しており、
前記接続部は、前記連結板に連設されている、車両の前部車体構造。 - 請求項3に記載の車両の前部車体構造において、
前記一対の側板の少なくとも一方に配置され、車幅方向に延びる横リブをさらに備える、車両の前部車体構造 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、
前記補強部は、前記接続部において板厚を前記サスハウジングの他の部分より増加させた厚肉部を含む、車両の前部車体構造。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、
前記サスハウジングが、アルミダイキャストからなる部材であり、
前記フロントフレームが、前記サスハウジングとは異種の金属からなる、車両の前部車体構造。
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