<1.印刷装置1の構成の概要>
本発明の実施形態の一例である印刷装置1を、図面を参照して説明する。以下、図1の上方、下方、左上方、右下方、左下方、及び右上方を、各々、印刷装置1の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方と定義して説明する。本例の印刷装置1は、印刷媒体9(図2参照)を印刷する装置である。本例の印刷媒体9は、透光性を有さないチューブである。以下の説明では、特段の説明がある場合を除いて、時計回り及び反時計回りは、いずれも、平面視における回転方向を示す。
図1に示すように、印刷装置1は、本体ケース11及び蓋部材12を含む筐体10を備える。本体ケース11は、左右方向に長い直方体状の箱状部材である。本体ケース11は、上方向を向く装着面11Aを備える。蓋部材12は、本体ケース11の上側に配置された板状部材である。蓋部材12の一端部は、本体ケース11の後端部上側で回転可能に支持される。蓋部材12は、閉鎖位置(図示略)と開放位置(図1参照)との間を回転可能である。閉鎖位置は、装着面11Aを覆う蓋部材12の回転位置である。開放位置は、装着面11Aを上方向へ開放させる蓋部材12の回転位置である。以下、開放位置から閉鎖位置へ蓋部材12が向かう方向を、閉方向といい、閉方向とは反対方向を開方向という。閉方向は、矢印A1が向く方向である。開方向は、矢印A2が向く方向である。
蓋部材12には、突出部4が設けられる。突出部4は、蓋部材12から閉方向へ突出する。本体ケース11の内部には、蓋センサ24(図7参照)が設けられる。蓋部材12が閉鎖位置にある場合、蓋センサ24は突出部4を検出する。即ち、蓋センサ24は、閉鎖位置にある蓋部材12を検出可能である。蓋部材12のうち、開方向の端面には、表示部5(図7参照)が設けられる。表示部5は、印刷装置1に関する各種情報を表示可能である。
本体ケース11の内部の右後部には、基板19が設けられる。基板19には、CPU41、ROM42、RAM44、及びフラッシュメモリ45(図7参照)等が設けられる。CPU41は、印刷装置1の動作を司る。
筐体10の側面には、操作部17、チューブ挿入口15、及びチューブ排出口16が設けられる。操作部17は、電源ボタン及びスタートボタンを含む複数の操作ボタンである。操作部17は、本体ケース11の前面の右側上部に設けられる。チューブ挿入口15は、印刷媒体9を筐体10の内部に案内するための開口である。チューブ挿入口15は、本体ケース11の右面の後側上部に設けられ且つ上下方向に若干長い矩形状である。チューブ排出口16は、印刷媒体9を筐体10の外部に排出するための開口である。チューブ排出口16は、本体ケース11の左面の後側上部に設けられ、且つ上下方向に若干長い矩形状である。チューブ排出口16は、チューブ挿入口15よりも若干前側にある。
装着面11Aには、印刷媒体装着部40とリボン装着部30とを含む装着部7が設けられる。装着部7は、上方に開口する凹部である。装着部7の底壁部は、本体ケース11の底壁部に対して、隙間を空けて上方から対向する。
印刷媒体装着部40は、チューブ挿入口15からチューブ排出口16の右側近傍まで直線状に延びる。印刷媒体装着部40は、印刷媒体9が搬送される空間である搬送領域58を内側に形成する。印刷媒体9は印刷媒体装着部40に対して着脱可能である。以下、印刷媒体装着部40が延びる方向を「搬送方向」といい、搬送方向に沿ってチューブ挿入口15からチューブ排出口16に向かう側を「下流側」といい、下流側とは反対側を「上流側」という。
リボン装着部30は、リボンカセット90が着脱可能な部位である。リボン装着部30は、平面視でリボンカセット90と略対応する開口形状で形成される。本例のリボン装着部30は、装着面11Aの左前部に設けられる。リボン装着部30は、印刷媒体装着部40の前側に位置する。
印刷媒体装着部40の延設方向の中央部のうち前端部に形成される空間と、リボン装着部30の後端部に形成される空間とは、連通する。印刷媒体装着部40とリボン装着部30とを連通させる空間を、連通空間8(図2参照)という。
図2に示すように、リボン装着部30には、リボンカセット90が装着される。リボンカセット90は、ケース101、リボンスプール81、及び巻取スプール300を備える。ケース101は、リボンスプール81及び巻取スプール300等を収容する箱状体である。リボンスプール81及び巻取スプール300は、それぞれ、上下方向に延びる略円筒状の部材である。リボンスプール81は、巻取スプール300の右方に配置される。巻取スプール300とリボンスプール81は、それぞれ、ケース101に設けられた第一支持孔(図示略)と第二支持孔(図示略)とによって、上下方向に延びる軸線回りに回転可能に支持される。第一支持孔は、リボン装着部30の底壁部から上方に延びるリボン巻取軸63によって支持される。リボン巻取軸63は、巻取スプール300と一体的に回転可能である。第二支持孔は、後述の検出用回転軸71によって支持される。検出用回転軸71は、リボンスプール81と一体的に回転可能である。
リボンスプール81及び巻取スプール300には、インクリボン96が、その幅方向が上下方向と略平行になる姿勢で巻回される。リボンスプール81と巻取スプール300とを架け渡すインクリボン96の一部は、ケース101の外側に露出しており、連通空間8に配置される。以下、ケース101から外側に露出するインクリボン96を特定インクリボン96Aという。
リボン巻取軸63は、ワンウェイクラッチ(図示略)を介して、駆動モータ88(図7参照)に連結する。駆動モータ88は本体ケース11内部に設けられたパルスモータであり、正転方向と逆転方向に回転可能である。正転方向は、モータが回転駆動する方向の一方向である。逆転方向は、正転方向とは反対方向である。ワンウェイクラッチは駆動モータ88の正転駆動力と逆転駆動力とのうち、逆転駆動力のみをリボン巻取軸63に伝達する。正転駆動力は、駆動モータ88の正転方向への回転駆動力であり、逆転駆動力は、駆動モータ88の逆転方向への回転駆動力である。リボン巻取軸63は、逆転駆動力によって、反時計回りに回転する。
<2.印刷機構80の構成>
図2を参照し、印刷機構80を説明する。印刷機構80は、印刷媒体9と特定インクリボン96Aを重ねた状態で挟み込み、印刷媒体9にキャラクタを印刷する機構である。キャラクタは、例えば、文字、図形、数字、及び記号等である。
図2に示すように、印刷機構80は、プラテンローラ27、第一搬送部21、第二搬送部22、上流側センサ23、下流側センサ25、及びヘッド60を含む。プラテンローラ27は、連通空間8の後方となる位置にて、搬送領域58に設けられる。
第一搬送部21は、プラテンローラ27に対して搬送方向の上流側で、搬送領域58に設けられる。第一搬送部21は、駆動ローラ21Aと、従動ローラ21Bとを含む。駆動ローラ21Aと従動ローラ21Bは、いずれも上下方向に沿う。従動ローラ21Bは、駆動ローラ21Aよりも前方で回転自在に設けられる。
第二搬送部22は、プラテンローラ27よりも搬送方向の下流側で、搬送領域58に設けられる。第二搬送部22は、駆動ローラ22Aと、従動ローラ22Bとを含む。駆動ローラ22Aと従動ローラ22Bは、いずれも上下方向に沿う。従動ローラ22Bは、駆動ローラ22Aよりも前方で回転自在に設けられる。
プラテンローラ27、駆動ローラ21A,22Aは、いずれも駆動モータ88(図7参照)に連結している。駆動モータ88が正転方向に回転駆動すると、プラテンローラ27、駆動ローラ21A,22Aは、それぞれ、時計回りに回転する。一方、駆動モータ88が逆転方向に回転駆動すると、プラテンローラ27、駆動ローラ21A,22Aは、それぞれ、反時計回りに回転する。
従動ローラ21B,22Bは、作用位置(図2参照)と、退避位置(図示略)との間を変位可能である。従動ローラ21B,22Bが作用位置にある場合、従動ローラ21B,22Bはそれぞれ、駆動ローラ21A,22Aに前方から近接して対向する。この場合、従動ローラ21B,22Bは、それぞれ、駆動ローラ21A,22Aとの間で、印刷媒体9を挟み込むことが可能である。一方、従動ローラ21B,22Bが退避位置にある場合、従動ローラ21B,22Bは、駆動ローラ21A,22Aから前方に離隔する。離隔位置にある従動ローラ21B,22Bは、いずれも、印刷媒体9から前方に離隔する。
従動ローラ21B,22Bはそれぞれ、レバー79(図1参照)の姿勢の変化に伴って、退避位置と作用位置との間を変位する。レバー79は、本体ケース11の内側であって、印刷媒体装着部40の後方に設けられる。レバー79は、本体ケース11から上方に延びる姿勢である開姿勢と、本体ケース11の内部で左右方向に延びる姿勢である閉姿勢との間を変位する。ユーザが、レバー79を開姿勢から閉姿勢にすると、従動ローラ21B,22Bは、それぞれ、退避位置から作用位置まで変位する。
上流側センサ23は、搬送方向において、第一搬送部21とチューブ挿入口15との間に設けられる。上流側センサ23は、搬送領域58から下方に退避した位置で、印刷媒体装着部40の底壁部に固定される。本例の上流側センサ23は、発光体(図示外)と受光体(図示外)を備えた透過型フォトセンサである。発光体と受光体の間に形成される隙間には、可動部材29が進入可能である。可動部材29は、搬送領域58に進入する位置である第一進入位置と、上流側センサ23の発光体と受光体との間に進入する位置である第二進入位置との間を、移動可能である。可動部材29は、付勢部材(図示外)によって、第二進入位置から第一進入位置へ向かう方向へ付勢されている。印刷媒体装着部40に装着された印刷媒体9は、可動部材29を、付勢部材の付勢力に抗って第一進入位置から第二進入位置へ移動させる。上流側センサ23は、第二進入位置にある可動部材29を検出することによって、印刷媒体9を検出する。
下流側センサ25は、搬送方向において、第二搬送部22とチューブ排出口16との間に設けられる。下流側センサ25は、発光体25Aと受光体25Bを備える。発光体25Aと受光体25Bは、前後方向に搬送領域58を挟んで対向する。発光体25Aと受光体25Bの間(即ち搬送領域58)に配置された印刷媒体9が、発光体25Aから受光体25Bに向けて照射される光を遮断することで、下流側センサ25は印刷媒体9を検出する。
ヘッド60は、発熱可能な発熱体を含む板状体であり、連通空間8に設けられる。ヘッド60は、本体ケース11内部に設けられたヘッドモータ89(図7参照)の駆動力によって、挟持位置(図2参照)と離隔位置(図示略)との間を移動可能である。挟持位置は、プラテンローラ27との間で、特定インクリボン96Aと印刷媒体9とを重ねた状態で挟み込むヘッド60の配置位置である。離隔位置は、搬送領域58に対してプラテンローラ27とは反対側にあるヘッド60の配置位置である。
<3.切断機構100の構造及び動作概要>
図2〜図6を参照し、切断機構100を説明する。図2では、切断機構100を模式的に図示し、図13では、後述の取付板109と第二センサ119(図3参照)との図示を省略する。
図2に示すように、切断機構100は、チューブ排出口16と下流側センサ25との間に設けられる。切断機構100は、印刷媒体9に対して切断動作を実行する機構である。本例の切断動作には、ハーフカットとフルカットとがある。ハーフカットは、印刷媒体9の周方向の一部を残して切断する切断動作である。フルカットは、印刷媒体9を周方向に亘って切断する切断動作である。
切断機構100の概要は以下の通りである。切断機構100は、切断刃275と受台180を備える。切断刃275と受台180は、前後方向に対向配置される。切断刃275は、上下方向に直線状に延びる刃部275Aを有し、前後方向に移動可能である。切断機構100は、受台180に印刷媒体9が配置された後に、切断刃275を受台180に向けて移動させる。切断刃275の刃部275Aは、受台180との間で印刷媒体9を挟み込む。切断刃275が印刷媒体9を受台180に向けて押圧することによって、印刷媒体9に対する切断動作は実行される。尚、切断機構100は、受台180の左右方向の位置を切り替えることによって、印刷媒体9に対する切断動作を、ハーフカット又はフルカットに切り替える。以下の説明では、印刷媒体9が切断刃275と受台180とによって挟み込まれる搬送方向の位置を、切断実行位置Sという。本例では、切断刃275の搬送方向の位置は、切断実行位置Sと一致する。
図3に示すように、切断機構100は、受台移動機構120及び切断刃移動機構200を備える。受台移動機構120は、受台180を左右方向に移動させる機構である。切断刃移動機構200は、切断刃275を前後方向に移動可能に支持する機構である。
<3−1.受台移動機構120>
受台移動機構120は、受台支持部150、受台180、DCモータ104、及び動力伝達部105(図4参照)等を備える。
<3−1−1.受台支持部150>
受台支持部150は、保持部材102、支持部材152、及び支持棒161,163を備える。保持部材102は、搬送領域58よりも下側に設けられた、側面視で略矩形状の板状部材である。
図3、図4に示すように、支持部材152は、保持部材102の上側に固定された板状部材である。支持部材152は、下壁部152A、左壁部152B、及び右壁部152Cを含む。下壁部152Aは、搬送領域58の下側に配置される。下壁部152Aは、平面視で、搬送領域58を跨ぐように前後方向に延びる略矩形状の壁部である。左壁部152B及び右壁部152Cは、それぞれ、下壁部152Aの左端部及び右端部から上方に立設する壁部である。左壁部152B及び右壁部152Cは、いずれも、左側面視でLの字状である。左壁部152Bと右壁部152Cの内側角部は、搬送領域58(図3参照)に近接する。
支持棒161,163は、左右方向に延びる棒状部材であり、上方から順に並んで設けられる。支持棒161,163は、いずれも、左壁部152Bと右壁部152Cによって支持される。
<3−1−2.受台180>
図4〜図6で示される受台180は、左壁部152B及び右壁部152Cの間に配置される。受台180は、支持部186(図4、図5参照)、装着部187(図6参照)、及び被覆部185(図6参照)を備える。尚、図6では、受台180の支持部186の図示を省略する。
支持部186は、上下方向に長い直方体状の箱状部材である。支持部186には、二つの上挿通孔186Aと、二つの下挿通孔186Bが形成されている。二つの上挿通孔186Aと二つの下挿通孔186Bは、左右方向に延びる。二つの上挿通孔186Aの一方は、支持部186の左壁部を貫通し、二つの上挿通孔186Aの他方は、支持部186の右壁部を貫通する。同様に、二つの下挿通孔186Bの一方は、支持部186の左壁部を貫通し、二つの下挿通孔186Bの他方は、支持部186の右壁部を貫通する。二つの上挿通孔186Aには支持棒161が挿通され、二つの下挿通孔186Bには支持棒163が挿通される。これにより、受台180は、支持棒161,163によって左右方向に移動可能に支持される。
支持棒161,163は、それぞれ、コイルバネ171,173(図5参照)を支持する。コイルバネ171は、上挿通孔186Aの内側に形成された当接壁部(図示外)と、左壁部152Bとの間で、圧縮された状態で配置される。コイルバネ173は、下挿通孔186Bの内側に形成された当接壁部(図示外)と、左壁部152Bとの間で、圧縮された状態で配置される。コイルバネ171,173は、それぞれ、当接壁部(図示外)を介して、受台180を右方に付勢している。
図6に示すように、装着部187は、支持部186(図5参照)の前面に装着される略直方体状の部材である。装着部187の前面187Aは、平面状に形成される。被覆部185は、薄板状の部材である。被覆部185は、装着部187の前面187Aの上端部、下端部、及び右部を被覆するように装着部187に取り付けられる。被覆部185は、装着部187の前面187Aの左部を前方に向けて露出させることで、被覆部185の板厚分の深さを有する凹部190を形成する。凹部190は、前方に向けて開口する。以下、前面187Aのうち被覆部185によって露出される部位を、対向面187Bという。
被覆部185の前面は、二つの第一接触面181と、第二接触面182とを含む。二つの第一接触面181は、凹部190を挟んで上下方向に隣接する。第二接触面182は、凹部190及び第一接触面181よりも右方に配置される。
上記構成を有する受台180は、支持棒161、163に沿って左右方向に、フルカット位置(図示略)と、ハーフカット位置(図3〜図5参照)との間を移動可能である。フルカット位置は、第二接触面182が切断実行位置Sにある受台180の左右方向位置である。換言すると、フルカット位置は、第二接触面182が切断刃275の刃部275Aと対向して接触する受台180の左右方向位置である。ハーフカット位置は、凹部190と二つの第一接触面181とが、切断実行位置Sに配置される受台180の左右方向位置である。換言すると、ハーフカット位置は、二つの第一接触面181が刃部275Aと対向して接触する受台180の左右方向位置である。ハーフカット位置からフルカット位置まで左右方向に沿って到る距離(以下、第一所定距離という)は、図6の寸法W1によって図示される。
<3−1−3.DCモータ104、動力伝達部105>
図3に示すように、DCモータ104は、保持部材102の右面の前部に固定される。DCモータ104の出力軸は、保持部材102を貫通し、保持部材102から左方へ突出する。DCモータ104の出力軸の先端部には、モータギヤ104Aが設けられる。
図4に示すように、動力伝達部105は、DCモータ104の駆動力を受台180に伝達するための機構である。動力伝達部105は、回転部材106(図3参照)、間欠ギヤ136、軸部154、カム駆動ギヤ156、カム部材160(図5参照)、及び接触部179(図5参照)を備える。回転部材106(図3参照)は、保持部材102の後部に対して左側に配置される。回転部材106は、左右方向に延びる軸線(図示外)を中心に回転な部材であり、左右方向に厚さを有する。回転部材106の右部には、第一歯部と第二歯部(図示略)が形成される。第一歯部は、右側面視で円環状に形成され、複数のギヤ(図示外)を介してモータギヤ104Aと連結する。第二歯部は、第一歯部の内側に配置され、右側面視で円形状である。本例の第二歯部は、第一歯部と一体的に形成される。
間欠ギヤ136は、保持部材102に対して回転部材106とは反対側に設けられる。間欠ギヤ136は、保持部材102を貫通して左右方向に延びる支軸132に設けられる。支軸132は、保持部材102によって回転可能に支持される。支軸132の左端部は中間ギヤ(図示外)を支持する。中間ギヤは、保持部材102に対して左側、且つ、回転部材106(図3参照)の第一歯部の内側に配置される。中間ギヤは、回転部材106の第二歯部(図示略)と噛み合う。これにより、DCモータ104の駆動力は、モータギヤ104A、回転部材106、中間ギヤ、及び支軸132を伝って、間欠ギヤ136に伝達される。間欠ギヤ136の周面のうち回転方向における一部には、歯部136Aが設けられる。
以下、支軸132を中心とした右側面視で反時計回り方向を「第一回転方向」といい、第一回転方向とは反対方向を「第二回転方向」という。第一回転方向は、矢印A1が向く方向である。第二回転方向は、矢印A2が向く方向である。DCモータ104が正転方向に回転駆動する場合、間欠ギヤ136は第一回転方向に回転する。一方、DCモータ104が逆転方向に回転駆動する場合、間欠ギヤ136は第二回転方向に回転する。
図10(a)に示すように、間欠ギヤ136は、壁部139と開口壁部137とを含む。壁部139は、支軸132から離隔した位置にて、支軸132を中心とした回転方向に延びる。開口壁部137は、支軸132を中心とした回転方向に、壁部139と並んで設けられる。開口壁部137は孔138を形成する。孔138は、間欠ギヤ136を前後方向に貫通し且つ支軸132を中心とした回転方向に延びる。開口壁部137は、第一端部137Aと第二端部137Bを含む。第一端部137Aは、孔138に対して第一回転方向側から対向する端部であり、第二端部137Bは、孔138に対して第二回転方向側から対向する壁部である。
図4に示すように、間欠ギヤ136の後方には、取付板107が設けられる。取付板107は、保持部材102の後端部から右方へ突出する。取付板107には、第一センサ117が設けられる。本例の第一センサ117は、発光体(図示外)と受光体(図示外)を備えた透過型フォトセンサである。発光体と受光体の間に形成される隙間には、壁部139、第一端部137A、孔138、及び第二端部137Bが通過可能である。以下、第一センサ117の発光体から受光体に向けて照射された光が、回転する間欠ギヤ136に交わる位置を、位置K(図10(a)参照)という。
壁部139、第一端部137A、及び第二端部137Bが位置Kを通過する場合、間欠ギヤ136は、第一センサ117の発光体から照射される光を、遮る。これにより、第一センサ117は、間欠ギヤ136を検出する。一方、孔138が位置Kを通過する場合、第一センサ117の発光体から照射される光は、孔138を通過して、第一センサ117の受光体によって受光される。これにより、第一センサ117は、間欠ギヤ136を検出しない。
間欠ギヤ136の回転範囲には、第一初期回転位置(図10(a)参照)、第一原点回転位置(図15参照)、及び第一作動回転位置(図10(b)参照)が含まれる。間欠ギヤ136が第一初期回転位置にある場合、歯部136Aの第二回転方向の端部は、支軸132の真上にある位置から第一回転方向に僅かに変位した回転位置にある。また、間欠ギヤ136が第一初期回転位置にある場合、第一端部137Aは、位置Kよりも僅かに第一回転方向に変位した位置にある。この場合、孔138が位置Kに配置されるので、第一センサ117は間欠ギヤ136を検出しない。
第一原点回転位置は、第一初期回転位置にある間欠ギヤ136が僅かに第一回転方向に回転した回転位置である。間欠ギヤ136が原点回転位置にある場合、第一端部137Aが位置Kに位置する(図2参照)。この場合、第一センサ117は間欠ギヤ136を検出する。第一作動回転位置は、歯部136Aの第一回転方向の端部が、支軸132の後方にある間欠ギヤ136の回転位置である。間欠ギヤ136が第一作動回転位置にある場合、第二端部137Bは位置Kから僅かに第二回転方向に変位した回転位置にある。この場合、孔138が位置Kに配置されるので、第一センサ117は間欠ギヤ136を検出しない。
図4に示すように、軸部154は、間欠ギヤ136よりも上方、且つ支持棒163よりも下方で左右方向に延びる軸部材である。軸部154は、支持部材152の左壁部152B及び右壁部152Cによって、回転可能に支持される。軸部154は、右壁部152Cよりも右方まで延びる。以下、軸部154を中心とした右側面視で反時計回り方向を「第三回転方向」といい、第三回転方向とは反対方向を「第四回転方向」という。第三回転方向は、図5で示す矢印A3が向く方向である。第四回転方向は、図5で示す矢印A4が向く方向である。
カム駆動ギヤ156は、軸部154の右端部に固定される。カム駆動ギヤ156は、軸部154と共に回転可能である。カム駆動ギヤ156の周面には、歯部156A(図5参照)が設けられる。歯部156Aは、間欠ギヤ136の歯部136Aと噛み合うことが可能である。歯部156Aが歯部136A(図4参照)と噛み合うことによって、カム駆動ギヤ156は、間欠ギヤ136によって回転させられる。尚、間欠ギヤ136が初期回転位置にある場合、歯部136Aの第二回転方向の端部は、歯部136Aの下端部よりも僅かに略前方に位置し、間欠ギヤ136とカム駆動ギヤ156は、互いに噛み合わない。
図5に示すように、カム部材160は、左壁部152Bと右壁部152Cとの間で、軸部154によって支持される。カム部材160は軸部154と共に回転可能である。カム部材160は、後述の接触部179に対して摺動するカム面162を備える。カム面162は、第一カム面162A、第二カム面162B、及び第三カム面162Cを含む。第一カム面162Aは、第四回転方向(矢印A4方向)と平行に延びる面であり、左方を向く。第二カム面162Bは、第一カム面162Aの第四回転方向の端部から、第四回転方向に沿って左側へ延びる面である。以下、軸部154を中心とした回転方向における第二カム面162Bの一端から他端まで、左右方向に沿って到る距離を第二所定距離という。第二所定距離は、図5の寸法W2によって図示される。第二所定距離は、第一所定距離(図6の寸法W1)と同じである。第三カム面162Cは、第二カム面162Bの第四方向の端部から、第四方向と平行に延びる面であり、左方を向く。
図5に示すカム部材160は、初期回転位置にある。カム部材160が初期回転位置にある場合、第一カム面162Aは、軸部154の真上に位置する。
接触部179は、受台180の支持部186の下壁部から下方に突出する半球状である。接触部179は、受台180と共に左右方向に移動可能である。カム部材160が初期回転位置にあり、且つ受台180がハーフカット位置にある場合(図3、図4参照)、接触部179は、コイルバネ171,173の付勢力によって、左方から第一カム面162Aに押圧される。
<3−1−4.受台移動機構120の動作概要>
図3〜図5を参照し、DCモータ104の回転駆動に伴う、受台180の動作概要を説明する。DCモータ104の回転駆動前において、受台移動機構120は、初期状態にある。
受台移動機構120が初期状態にある場合、間欠ギヤ136は第一初期回転位置にあり、カム部材160は初期回転位置にあり、受台180はハーフカット位置にある。
受台移動機構120が初期状態にある場合に、DCモータ104が正転方向に回転駆動すると、間欠ギヤ136(図4参照)は、第一回転方向(矢印A1方向)に回転する。間欠ギヤ136は、カム駆動ギヤ156と噛み合うことなく空転する。従って、受台180は、ハーフカット位置に位置する状態を維持する。
一方、受台移動機構120が初期状態にある場合に、DCモータ104が逆転方向に回転駆動すると、間欠ギヤ136(図4参照)は、第二回転方向(矢印A2方向)に回転する。間欠ギヤ136が第二回転方向への回転を開始した直後、間欠ギヤ136はカム駆動ギヤ156と噛み合う。間欠ギヤ136が第二回転方向に継続して回転することによって、カム駆動ギヤ156は第三回転方向(図5の矢印A3方向)に回転させられる。これにより、カム部材160は、初期回転位置から第三回転方向に回転する。第三回転方向に回転する第二カム面162Bは、第四回転方向の側から接触部179と接触する。接触部179は、第二カム面162Bによって、左方向へ付勢される。受台180は、コイルバネ171,173の付勢力に抗って、ハーフカット位置からフルカット位置へ向けて移動する。
接触部179が、第二カム面162Bに代えて第三カム面162Cの第三方向の端部と接触したとき(図示略)、受台180は、フルカット位置に到達する。DCモータ104が継続して逆転方向に回転駆動することで、接触部179は、第三カム面162Cに対して摺動する。この間、受台180の左右方向の位置は変わらず、受台180はフルカット位置に位置する。
<3−2.切断刃移動機構200>
図3を参照し、切断刃移動機構200を説明する。切断刃移動機構200は、回転部215を備える。回転部215は、上述した回転部材106(図3参照)の左部に形成される部分である。つまり、回転部215は、上述した第一歯部及び第二歯部(図示略)と一体的に回転可能である。回転部215の左面には、押圧ピン215Aが設けられる。押圧ピン215Aは、回転部215から左方へ突出する円柱体である。
以下、回転部材106の回転方向のうち、左側面視で反時計回り方向を「第一方向」といい、第一方向とは反対方向を「第二方向」という。第一方向は、図3で示す矢印B1が向く方向である。第二方向は、図3で示す矢印B2が向く方向である。DCモータ104が正転方向に回転駆動する場合、回転部215は第一方向に回転し、DCモータ104が逆転方向に回転駆動する場合、回転部215は第二方向に回転する。
回転部215の回転範囲には、第二初期回転位置(図3参照)、第二原点回転位置(図示略)、及び第二作動回転位置(図13参照)が含まれる。回転部215が第二初期回転位置にある場合、押圧ピン215Aは軸部106Aの真上にある回転位置から、第一方向に僅かに変位した回転位置にある。回転部215が第二原点回転位置にある場合、押圧ピン215Aは、軸部106Aの略真上にある。第二原点回転位置は、第二初期回転位置から第二方向に僅かに変位した回転位置である。回転部215が第二作動回転位置にある場合、押圧ピン215Aは、軸部106Aの下後方にある。間欠ギヤ136が、第一初期回転位置、第一原点回転位置、及び第一作動回転位置にあるそれぞれの場合において、回転部215は、第二初期回転位置、第二原点回転位置、及び第二作動回転位置にある。
回転部215よりも左方、且つ、モータギヤ104Aよりも左後方には、リンク部材220が設けられる。リンク部材220は、右側面視で略Lの字型の板状部材である。リンク部材220は、左右方向に延びるリンク軸部223を中心に回転可能である。リンク軸部223の右端部は、保持部材102の左面に固定される。以下、リンク軸部223を中心とした左側面視で反時計回り方向を第三方向といい、第三方向とは反対方向を第四方向という。第三方向は、図3で示す矢印B3が向く方向である。第四方向は、図3で示す矢印B4が向く方向である。リンク部材220は、リンク軸部223に設けられたバネ220Aによって、第四方向に付勢されている。
リンク部材220は、第一板状部221及び第二板状部222を備える。第一板状部221は、搬送領域58の下側で略前後方向に延びる板状部である。第二板状部222は、第一板状部221の前端部から、第一板状部221に対して略90°傾斜して上側に延びる板状部である。第二板状部222の上端部は、搬送領域58に対して前側に配置される。
第一板状部221には、バネ軸部226、係止片225,227が設けられる。バネ軸部226は、第一板状部221の左面から左方へ突出する。係止片225,227は、いずれも、バネ軸部226よりも後方で、第一板状部221から左方に向けて突出する。係止片225は、第一板状部221の上面の後端部に設けられる。係止片227は、第一板状部221の下面のうち、前後方向中心よりも後部に設けられる。
バネ軸部226には、トーションバネ235が弾性変形した状態で設けられる。トーションバネ235は、第一アーム部231及び第二アーム部232を備える。第一アーム部231は、係止片225を下側から付勢することによって、係止片225に係止される。第二アーム部232は、係止片227を上側から付勢することによって、係止片227に係止される。
リンク部材220の回転範囲には、第三初期回転位置(図3参照)、第三原点回転位置(図示略)、及び第三作動回転位置(図13参照)が含まれる。リンク部材220が第三初期回転位置にある場合、第一アーム部231は、第二初期回転位置にある回転部215の押圧ピン215Aに対して下側から接触する。リンク部材220が第三原点回転位置にある場合、第一アーム部231は、第二原点回転位置にある回転部215の押圧ピン215Aに対して下側から接触する。リンク部材220が第三作動回転位置にある場合、第一板状部221は、左側面視で下後方へ延びる(図13参照)。
回転部215が、第二初期回転位置、第二原点回転位置、及び第二作動回転位置にあるそれぞれの場合において、リンク部材220は、第三初期回転位置、第三原点回転位置、及び第三作用回転位置にある。
第一板状部221の後端部は、被検出部221Aである。リンク部材220が第三初期回転位置又は第三原点回転位置にある場合、被検出部221Aは、第二センサ119の上側にある。
第二センサ119は、回転部材106の後方で保持部材102から左方へ突出する取付板109に、取り付けられる。本例の第二センサ119は、発光体と受光体とを含む透過型センサである。リンク部材220が第三作動回転位置にある場合、被検出部221Aは、第二センサ119の発光体と受光体との間に形成された隙間に配置される。この場合、第二センサ119は、リンク部材220を検出する。
第二板状部222の上端部には、突出ピン238が設けられる。突出ピン238は、第二板状部222から右方に突出する。突出ピン238は、前後方向に延びるアーム部材277の前端部に連結する。アーム部材277の後端部は、突出ピン238よりも後方に配置された収容部材272に収容される。収容部材272は、保持部材102の下壁部152Aに前後方向に移動可能に載置され、且つ前後方向に開口する箱状部材である。収容部材272の内側には切断刃275(図12参照)が設けられており、アーム部材277の後端部と連結する。切断刃275(図12参照)は、左右方向に厚みを有する板状体であり、収容部材272の内側に設けられた取付バネ(図示外)によって前方に付勢される。
切断刃275の後端部には、上下方向に直線状に延びる刃部275A(図12(a)参照)が形成される。切断刃275は、アーム部材277と一体的に、前後方向に移動可能である。
切断刃275の移動範囲には、第一切断待機位置(図12(a)参照)、第二切断待機位置(図示略)、及び切断位置(図12(b)参照)が含まれる。リンク部材220が、第三初期回転位置、第三原点回転位置、及び第三作用回転位置にあるそれぞれの場合において、切断刃275は、第一切断待機位置、第二切断待機位置、及び切断位置にある。第二切断待機位置は、切断刃275の可動範囲の前端位置である。第一切断待機位置は、第二切断待機位置にある切断刃275が僅かに後方に変位した位置である。切断位置は、切断刃275のか可動範囲の後端位置である。切断刃275が切断位置にある場合、刃部275Aは、受台180の第一接触面181又は第二接触面182に接触可能である。
以下、切断刃275の第一切断待機位置から切断位置までの移動を「第一移動」といい、切断位置から第二切断待機位置までの所要時間を「第二移動」という。切断刃275の第一移動は、DCモータ104の正転方向への回転駆動に伴って実行され、切断刃275の第二移動は、DCモータ104の逆転方向への回転駆動に伴って実行される。本例では、第一移動と第二移動のそれぞれの所要時間は、いずれも、100msである。また、第一切断待機位置と第二切断待機位置を総称する場合、「切断待機位置」という。切断待機位置にある切断刃275は、搬送領域58よりも前側にある。
<3−3.切断刃移動機構200の動作概要>
DCモータ104の回転駆動に伴う、切断刃移動機構200の動作概要を説明する。DCモータ104の回転駆動前において、切断刃移動機構200は初期状態にある。切断刃移動機構200が初期状態にある場合、回転部215は第二初期回転位置にあり、リンク部材220は第三初期回転位置にあり、切断刃275は第一切断待機位置にある。
DCモータ104が正転方向に回転駆動すると、回転部215は、第一方向(矢印B1方向)に回転する。回転部215の第一方向への回転に伴って、押圧ピン215Aは、第一アーム部231を下方へ押圧する。リンク部材220は、第三方向(矢印B3方向)に回転し、突出ピン238は、アーム部材277を後方へ移動させる。アーム部材277と収容部材272は、可動範囲の前端位置から後方へ移動し、切断刃275は、第一切断待機位置から後方へ移動する。
一方、切断刃移動機構200が初期状態にある場合に、DCモータ104が逆転方向に回転駆動すると、回転部215は第二方向(矢印B2方向)に回転する。押圧ピン215Aは第一アーム部231と接触する。押圧ピン215Aと第一アーム部231との接触位置は、回転部215が第一方向に回転する場合と比べ、バネ軸部226に接近する。回転部215が第二方向に回転することで、押圧ピン215Aは、第一アーム部231を下方へ押圧する。リンク部材220は第三方向に回転する。アーム部材277と収容部材272は、可動範囲の前端位置から後方へ移動し、切断刃275は、第二切断待機位置から後方へ移動する。
<4.印刷装置1の電気的構成>
図5を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1の基板19には、CPU41、ROM42、RAM44、フラッシュメモリ45、及び入出力インターフェース49等を備え、これらがデータバスを介して接続される。
ROM42は、CPU41が後述の印刷処理(図8参照)を実行するためのプログラムを記憶する。RAM44は各種データを一時的に記憶する。RAM44は、切断回数記憶領域(図示略)及び回転方向記憶領域(図示略)を含む。切断回数記憶領域には、切断回数が記憶される。切断回数は、印刷装置1が印刷媒体9を切断した累積回数である。本例では、切断回数は、後述の印刷処理(図8参照)において印刷装置1が実行する印刷動作の回数と同じ値である。回転方向記憶領域には、切断機構100が印刷媒体9を切断する場合にDCモータ104が回転駆動する方向が記憶される。CPU41は、RAM44の回転方向記憶領域に、「正転方向」又は「逆転方向」を示す情報を記憶する。
入出力インターフェース49には、操作部17、上流側センサ23、下流側センサ25、蓋センサ24、第一センサ117、第二センサ119、及び駆動回路91〜95が接続される。操作部17は入力があった各種情報をCPU41に出力する。上流側センサ23は、可動部材29を検出した場合、CPU41にON信号を出力する一方、可動部材29を検出しない場合、CPU41にOFF信号を出力する。下流側センサ25は、印刷媒体9を検出した場合、CPU41にON信号を出力する一方、印刷媒体9を検出しない場合、CPU41にOFF信号を出力する。蓋センサ24は、突出部4を検出した場合、CPU41にON信号を出力する一方、突出部4を検出しない場合、CPU41にOFF信号を出力する。
第一センサ117は、間欠ギヤ136を検出した場合、CPU41にON信号を出力する一方、間欠ギヤ136を検出しない場合、CPU41にOFF信号を出力する。第一センサ117は、第一初期回転位置から第一原点回転位置まで移動した間欠ギヤ136を検出した場合、OFF信号に代えてON信号を出力する。即ち、第一センサ117は、切断刃275が第二切断待機位置にあるか否かを検出可能であり、検出結果に応じてON信号とOFF信号を出力する。第二センサ119は、被検出部221Aを検出した場合、CPU41にON信号を出力する一方、被検出部221Aを検出しない場合、CPU41OFF信号を出力する。第二センサ119が被検出部221Aを検出したとき、切断刃275は切断位置にある。従って、第二センサ119は、切断刃275が切断位置にあるか否かを検出可能であり、検出結果に応じてON信号とOFF信号を出力する。
駆動回路91〜95は、それぞれ、表示部5、ヘッド60、駆動モータ88、ヘッドモータ89、DCモータ104と接続する。CPU41は、駆動回路91を駆動制御することで、表示部5に各種情報を表示する。CPU41は、駆動回路92を駆動制御することで、ヘッド60の発熱体を発熱させる。CPU41は、駆動回路93〜95にそれぞれ駆動信号を送信することで、駆動モータ88、ヘッドモータ89、DCモータ104を駆動制御する。
<5.印刷媒体9及びリボンカセット90の装着方法>
図1、図2を参照し、印刷媒体9及びリボンカセット90の装着方法を説明する。蓋部材12は開放位置にあり、レバー79は開姿勢にあり、ヘッド60はヘッド離隔位置にある。ユーザは、印刷媒体9を印刷媒体装着部40に装着する。印刷媒体9は、チューブ挿入口15とチューブ排出口16との間に亘って、印刷媒体装着部40に装着される。その後、ユーザは、リボンカセット90をリボン装着部30に装着し、レバー79を開姿勢から閉姿勢に変位させる。従動ローラ21B,22Bは、いずれも、退避位置から作用位置まで変位する。第一搬送部21と第二搬送部22のそれぞれで挟持される印刷媒体9の部位は、押しつぶされるように弾性変形する。ユーザは、蓋部材12を閉鎖位置まで回転させる。これにより、印刷媒体9とリボンカセット90の装着は完了する。このとき、受台180の配置される印刷媒体9の搬送方向と直交する断面形状は、印刷媒体装着部40に装着される前の印刷媒体9の断面形状と略同じである(図12(a)参照)。印刷媒体装着部40に装着された直後に受台180に配置された印刷媒体9の肉厚は、図12の寸法L1に相当する。
<6.印刷処理>
図8〜図18を参照し、CPU41が実行する印刷処理を説明する。印刷処理が実行される前において、印刷媒体9は印刷媒体装着部40に装着されており、リボンカセット90はリボン装着部30に装着されており、蓋部材12は閉鎖位置にあり、切断機構100は、初期状態にある。切断機構100が初期状態である場合、受台移動機構120と切断刃移動機構200は、いずれも、初期状態である。第一センサ117と第二センサ119は、いずれも、OFF信号を出力している。ユーザが操作部17を操作して印刷装置1の電源を投入すると、CPU41は、印刷処理を実行するためのプログラムをROM42から読み出し、印刷処理を開始する。ユーザが電源を投入しても、駆動モータ88は、非通電状態である。
図2、図3、図8〜図15を参照し、一回目の印刷動作が実行される場合の印刷処理を説明する。図8に示すように、CPU41は、上流側センサ23と下流側センサ25のそれぞれの検出結果を取得することによって、印刷媒体装着部40に印刷媒体9が適正に装着されているか否かを判断する(S1)。上流側センサ23と下流側センサ25の少なくともいずれか一方のセンサが、印刷媒体9を検出していない場合、CPU41は、印刷媒体装着部40に印刷媒体9が適正に装着されていないと判断し(S1:NO)、待機状態になる。上流側センサ23と下流側センサ25がいずれも印刷媒体9を検出している場合、CPU41は、印刷媒体9が印刷媒体装着部40に適正に装着されていると判断し(S1:YES)、処理をS2に移行する。
CPU41は、ヘッドモータ89を駆動し、ヘッド60を、離隔位置から挟持位置まで移動させる(S2)。ヘッド60は、プラテンローラ27との間で印刷媒体9を挟み込む。図2に示すように、本例では、第一搬送部21と第二搬送部22との間にある印刷媒体9の部位は、搬送方向に亘って、押しつぶされるように弾性変形した状態になる。
CPU41は、RAM44の切断回数記憶領域(図示略)に、「0」を上書きして記憶し(S3)、駆動モータ88に対する通電を停止する(S4)。一回目の印刷動作においては、駆動モータ88は非通電状態である。CPU41は、駆動モータ88の非通電状態を維持する(S4)。
CPU41はDCモータ正転処理を実行する(S5)。図9に示すように、CPU41は、DCモータ104を正転方向に回転駆動する(S11)。DCモータ104の正転方向への回転駆動が開始されることで、第一初期回転位置にある間欠ギヤ136(図10(a)参照)は、第一回転方向(矢印A1方向)に回転する。この場合、第一センサ117はOFF信号を継続して出力する。
また、図3に示すように、DCモータ104の正転方向への回転駆動が開始されることで、第二初期回転位置にある回転部215は、第一方向(矢印B1方向)に回転し、第三初期回転位置にあるリンク部材220は、第三方向(矢印B3方向)に回転し、第一切断待機位置にある切断刃275(図12(a)参照)は、後方へ移動する。切断刃275の第一移動が開始される。図9に示すように、CPU41は、エラー判定処理を実行する(S12)。
図11を参照し、エラー判定処理を説明する。尚、エラー判定処理は、間欠ギヤ136の回転位置が、適正な回転位置にあるか否を、CPU41が判定するための処理である。CPU41は、回転駆動しているDCモータ104の方向を示す情報を、RAM44の回転方向記憶領域に記憶する(S21)。例えば、CPU41は、RAM44の回転方向記憶領域に、「正転方向」を示す情報を記憶する(S21)。
CPU41は、第一センサ117の出力している信号が切り替わったか否かを判断する(S22)。CPU41は、第一センサ117の出力する信号が切り替わってないと判断した場合(S22:NO)、処理をS23に移行する。
CPU41は、切断刃275の第一移動が開始されてから(図9、S11)、特定時間が経過したか否かを判断する(S23)。特定時間は、切断刃275の第一移動が開始されてから、切断刃275が、印刷媒体9に対して接触し始めるまでの時間に略等しい。切断刃275は、第一切断待機位置と切断位置との間で、印刷媒体9に対して接触し始める。つまり、特定時間は、切断刃275の第一移動の所要時間よりも、短い。換言すると、特定時間は、間欠ギヤ136が、第一初期回転位置(図10(a)参照)から第一作動回転位置(図10(b)参照)に回転するまでの所要時間よりも、短い。本例の特定時間は、一例として70msである。
CPU41は、特定時間が経過していないと判断した場合(S23:NO)、処理をS22に移行する。CPU41は、特定時間が経過するまでの間(S23:NO)、S22,S23を繰り返し実行する。CPU41は、特定時間が経過したと判断した場合(S23:YES)、S14(図9参照)に処理を移行する。尚、第一センサ117が出力する信号が、特定時間の経過前に切り替わった場合については(S22:YES)、後述する。
図9に示すように、CPU41は、エラー判定処理の実行後(S12)、第二センサ119がON信号を出力したか否かを判断する(S13)。切断位置へ向けて移動する切断刃275が、切断位置に到達していない場合、第二センサ119はOFF信号を継続して出力し(S13:NO)、CPU41は待機状態になる。切断位置へ移動する切断刃275は、印刷媒体9を受台180に向けて付勢する。これにより、印刷媒体9は、周方向の一部を凹部190に進入させながら、押しつぶされるように徐々に弾性変形する(図示略)。
図10(b)、図12(b)、図13に示すように、回転部215が第二作動回転位置まで回転したとき、第二センサ119は、被検出部221Aを検出し、OFF信号に代えてON信号を出力する(S13:YES)。このとき、リンク部材220は第三作動回転位置まで回転し、切断刃275は切断位置まで移動し、間欠ギヤ136は第一作動回転位置まで回転する。切断位置にある切断刃275は、受台180との間で、印刷媒体9を挟み込む(図12(b)参照)。切断刃275は、受台180の第一接触面181によって、切断位置から後方への移動を規制され、リンク部材220は、第三作動回転位置から第三方向に回転するのを規制される。切断刃275の第一移動は、終了する。
図9に示すように、CPU41は、DCモータ104を、一定の回転駆動量分、更に正転方向に回転駆動することによって、印刷媒体9を受台180に向けて更に付勢し、印刷媒体9をハーフカットする(S14)。図13に示すように、回転部215が第一作動回転位置(図13参照)から、更に第一方向(矢印B1方向)に回転する。被検出部221Aは、第二センサ119(図3参照)の発光体と受光体との間の隙間に配置された状態を維持し、第二センサ119は、継続してON信号を出力する。押圧ピン215Aは、トーションバネ235の第一アーム部231を下方に付勢することで、トーションバネ235の弾性力は、リンク部材220を介して切断刃275に伝わる。これにより、切断刃275は、印刷媒体9を受台180に向けて付勢する。切断刃275は、印刷媒体9の第一部位9Aを、凹部190に進入した部位を除いて切断する(図12(b)参照)。結果、印刷媒体9の第一部位9Aは、ハーフカットされる(S14)。CPU41は、DCモータ104の正転方向への回転駆動を終了し(S15)、処理を印刷処理(図8参照)に戻す。
本例では、CPU41は、DCモータ104が一定の回転駆動量分、更に正転方向に回転駆動したか否かを、第二センサ119がOFF信号に代えてON信号を出力してから、一定の時間が経過したか否かによって判断する。つまり、CPU41は、切断刃275がハーフカットを実行するために要する荷重を、印刷媒体9に加えたか否かを、第二センサ119の出力結果に基づき判断する。尚、S14を実行するCPU41は、一定の回転駆動量分DCモータ104を回転駆動する代わりに、印刷媒体9の大きさ及び材質等に応じて、DCモータ104の回転駆動量を変更してもよい。
CPU41は、切断回数記憶領域に記憶されている「0」に、「1」を加えた値である「1」を上書きして記憶する(S6)。CPU41は、DCモータ逆転処理を実行する(S7)。
図14に示すように、CPU41は、RAM44の切断回数記憶領域を参照することで、切断回数が「1」であるか否かを判断する(S31)。CPU41は、切断回数が「1」であると判断した場合(S31:YES)、DCモータ104の逆転方向への回転駆動を開始する(S32)。DCモータ104の逆転方向への駆動が開始されることで、間欠ギヤ136は、第一作動回転位置から第二回転方向(矢印A2方向)に回転し、回転部215は、第二作動回転位置よりも第一方向となる位置から第二方向(矢印B2方向)に回転する。回転部215が、第一作動回転位置を通過した後、リンク部材220は、第三作動回転位置から第四方向(矢印B4方向)に回転し、切断刃275は、切断位置から前方へ移動する。切断刃275の第二移動が開始され、第二センサ119は、ON信号に代えてOFF信号を出力する。尚、第一センサ117は継続してOFF信号を出力している。
CPU41は、第一センサ117がON信号を出力しているか否かを判断する(S33)。CPU41は、第一センサ117がON信号を出力していないと判断した場合(S33:NO)、待機状態になる。切断刃275は、ハーフカットされた印刷媒体9から前方へ離隔する(図示略)。間欠ギヤ136が、第一原点回転位置まで回転したとき(図15参照)、第一センサ117は、OFF信号に代えてON信号を出力する(S33:YES)。CPU41は、DCモータ104の逆転方向への回転駆動を終了する(S34)。DCモータ104が回転駆動を終了したとき(S34)、回転部215は第二原点回転位置で停止し、リンク部材220は第三回転位置で停止し、切断刃275は第二切断位置で停止する(S34)。これにより、切断刃275の第二移動は、終了する。
CPU41は、駆動モータ88の前励磁を実行する(S35)。前励磁は、非通電状態にあるモータを駆動開始可能な状態にする励磁である。前励磁が実行されることによって、駆動モータ88のロータ(図示略)の回転角位相は、S4の実行に伴い通電が停止されたときにおける駆動モータ88のロータの回転角位相と、同じになる。駆動モータ88は、前励磁が実行されることによって、非通電状態から通電状態に切り替わる(S35)。本例では、切断刃275が、第一センサ117が切断待機位置に到達したときと略同じタイミングで、CPU41は、駆動モータ88に対して前励磁を実行する(S35)。換言すると、CPU41は、第一センサ117が出力する信号に基づいて(S33:YES)、切断刃275の第二移動の終了時に(S34)、駆動モータ88の前励磁を実行する。
CPU41は、位置合わせを実行する(S36)初期位置合わせは、間欠ギヤ136を、第一原点回転位置から第一初期回転位置まで回転させる印刷装置1の動作である。CPU41は、DCモータ104を正転方向に回転駆動し、第一原点回転位置にある間欠ギヤ136を第一回転方向に回転させる。第一センサ117がON信号に代えてOFF信号を出力したとき、CPU41はDCモータ104の回転駆動を停止する。図10(b)に示すように、間欠ギヤ136は、第一初期回転位置にて停止する(S36)。初期位置合わせの実行に伴い、回転部215は第二原点回転位置から第二作動回転位置まで回転し、リンク部材220は第三作動回転位置から第三初期回転位置まで回転し、切断刃275は第二切断待機位置から第一切断待機位置まで移動する(S36)。CPU41は、DCモータ逆転処理を終了し、処理をS8に移行する。
CPU41は、印刷を実行する(S8)。具体的には、印刷装置1は、前励磁が実行されている駆動モータ88を正転方向に回転駆動すると同時に、ヘッド60を駆動する(S8)。駆動モータ88は、前励磁が実行されているので、短い時間で回転駆動を開始できる。
図2、図16に示すように、駆動モータ88が正転方向に回転駆動することで、プラテンローラ27、第一搬送部21、及び第二搬送部22は、印刷媒体9を搬送方向へ搬送し、リボン巻取軸63はインクリボン96を巻取スプール300に巻き取る。ヘッド60が駆動することで、発熱体は、特定インクリボン96Aを加熱して、印刷媒体9にキャラクタを印刷する。キャラクタを印刷された印刷媒体9は、搬送方向へ搬送される。使用済みの特定インクリボン96Aは、巻取スプール300によって、巻き取られ、リボンスプール81からは未使用のインクリボン96が繰り出される。
キャラクタが印刷媒体9に印刷された後、印刷媒体9の所定の部位は、受台180(切断実行位置S)まで搬送方向に搬送される(図16参照)。印刷媒体9の所定の部位が受台180まで搬送された後、駆動モータ88は、回転駆動を停止する。駆動モータ88は、通電状態を維持する。
以下、印刷媒体9のうち、受台180まで搬送された部位を、「第一部位9A」という。第一部位9Aは、キャラクタが印刷された印刷媒体9の部位であってもよいし、印刷が実行されていない印刷媒体9の部位であってもよい。本例では、第一部位9Aは、ヘッド60とプラテンローラ27とによって挟み込まれた部位である。従って、第一部位9Aは、第一部位9Aの肉厚(図17(a)の寸法L2に相当)は、一回目の切断動作時に受台180に配置された印刷媒体9の肉厚(図12(a)の寸法L1に相当)よりも薄い。
CPU41は、印刷動作を継続する指示を検出したか否かを判断することで、印刷動作を継続するか否かを判断する(S9)。例えば、ユーザが、印刷動作を終了する指示を操作部17に入力した場合(S9:NO)、CPU41は、印刷処理を終了する。一方、ユーザが印刷動作を継続する指示を操作部17に入力した場合(S9:YES)、CPU41は、処理をS4に移行し、印刷装置1は二回目の印刷動作を実行する。
図4、図8、図17を参照し、印刷装置1が二回目の印刷動作を実行する場合における印刷処理を説明する。尚、上述した処理と重複する処理については、説明を簡略化する。ユーザは、印刷動作を継続する指示を操作部17に入力している(S9:YES)。
CPU41は、駆動モータ88の通電を停止する(S4)。換言すると、CPU41は、S8の実行に伴って通電状態に制御している駆動モータ88に対して、通電を停止する。駆動モータ88は、通電状態から非通電状態に切替る(S4)。
CPU41は、DCモータ正転処理を実行する(S5)。CPU41は、S11〜S15を実行する。これにより、切断刃275は、第一切断待機位置から切断位置まで移動し(図17(a)、(b)参照)、第一部位9Aを受台180に向けて付勢する。第一部位9Aは、ハーフカットされる(S14)。CPU41は、RAM44の切断回数記憶領域に「1」に「1」を加えた値である「2」を記憶する(S6)。CPU41は、DCモータ逆転処理を実行する(S7)。
図14に示すように、RAM44は切断回数記憶領域に「2」を記憶しているので(S6)、CPU41は、切断回数が「1」ではないと判断する(S31:NO)。CPU41は、DCモータ104の逆転駆動を開始する(S41)。図4、図17に示すように、第一作動回転位置にある間欠ギヤ136は、第二回転方向に回転し、切断位置にある切断刃275は、前方へ移動する。従って、DCモータ104が逆転駆動を開始した後、第二センサ119はON信号に代えてOFF信号を出力する。
CPU41は、第二センサ119がON信号に代えてOFF信号を出力してから(S41)、第一待機時間が経過したか否かを判断する(S42)。本例の第一待機時間は、切断刃275の第二移動の所要時間に対して半分の時間であり、50msである。CPU41は、第一待機時間が経過するまで(S42:NO)、待機状態になる。第一待機時間が経過するまでの間に(S42:NO)、切断刃275は、ハーフカットされた第一部位9Aから前方へ離隔する(図示略)。本例の第一部位9Aの肉厚は、一回目の切断動作が実行される場合に受台180に配置された印刷媒体9の肉厚よりも薄い。従って、切断刃275は、一回目の切断動作が実行される場合に比べて、早いタイミングで第一部位9Aから離隔する。
CPU41は、第一待機時間が経過したと判断した場合(S42:YES)、駆動モータ88に対して前励磁を実行する(S43)。換言すると、CPU41は、第二センサ119が出力する信号に基づいて、切断刃275の第一移動の開始後、且つ切断刃275の第二移動の終了前に、前励磁を実行する(S43)。CPU41は、第一センサ117がON信号を出力しているか否かを判断する(S44)。切断刃275が第二切断待機位置に到達するまでの間、第一センサ117はOFF信号を出力する。CPU41は、第一センサ117がON信号を出力するまでの間(S44:NO)、待機状態になる。切断刃275が第二切断待機位置に到達したとき、第一センサ117がOFF信号に代えてON信号を出力する(S44:YES)。CPU41は、DCモータ104の逆転方向への回転駆動を終了する(S45)。CPU41は、位置合わせを実行した後(S36)、DCモータ逆転処理を終了する。
図8に示すように、CPU41は、印刷動作を実行する(S8)。つまり、CPU41は、S43の実行に伴って前励磁が実行されている駆動モータ88を正転方向に回転駆動する。印刷媒体9は、搬送方向の下流側に搬送されながら、キャラクタを印刷される。これにより、印刷装置1は、二回目の印刷動作を実行する。本例の二回目以降の印刷動作では、CPU41は、駆動モータ88に対する前励磁が実行されてから(S43)、一定時間の経過後に、印刷動作を実行する(S8)。本例では、一定時間は、80msである。一定時間と第一待機時間の合計値は、130msである。つまり、一定時間と第一待機時間の合計値は、第二移動の所要時間(100ms)と略等しい。「第二移動の所要時間と略等しい時間」は、第二移動の所要時間に対する増分量が数百ms以内となる時間であり、第二移動の所要時間を含む。ユーザが印刷継続の指示を操作部17に入力した場合(S9:YES)、CPU41は、三回目の印刷動作を実行する(S4〜S9)。
図11、図16を参照し、間欠ギヤ136が適正な回転位置にない場合におけるエラー判定処理を説明する。例えば、CPU41が正転方向へDCモータ104を回転駆動することに伴って(図9、S11)、間欠ギヤ136の回転位置が、突発的な要因によって、ずれる虞がある。具体的には、特定時間の経過前において、間欠ギヤ136が、第一作動回転位置よりも第一回転方向へ回転する虞がある。この場合、第二端部137Bが、位置Kを通過し、第一センサ117の出力する信号は、OFF信号からON信号に切り替わる(S22:YES)。CPU41は、DCモータ104の正転方向への回転駆動を停止する(S24)。
CPU41は、RAM44の回転方向記憶領域に記憶されている回転方向を示す情報とは反対方向に、DCモータ104を回転駆動する(S25)。回転方向記憶領域には「正転方向」を示す情報が記憶されている(S21)。CPU41は、DCモータ104の逆転方向への回転駆動を開始する(S25)。間欠ギヤ136は、第二回転方向に回転する。CPU41が、RAM44の回転方向記憶領域に記憶されている情報が示す回転方向とは反対方向に、駆動モータ88を回転駆動するので、印刷装置1は、間欠ギヤ136を確実に第一原点回転位置に向けて回転させることができる。
CPU41は、第一センサ117が出力する信号が二回切り替わったか否かを判断する(S213)。CPU41は、第一センサ117が出力する信号が二回切り替わったと判断するまで(S26:NO)、待機状態になる。CPU41が待機状態である間に、間欠ギヤ136は、第一作動回転位置と第一初期回転位置を順に通過して、第一原点回転位置まで回転する。これにより、第一センサ117が出力する信号は、二回切り替わる(S26:YES)。CPU41は、DCモータ104の逆転方向への回転駆動を停止する(S27)。間欠ギヤ136は、第一原点回転位置で停止する(S27)。
CPU41は、初期位置合わせを実行する(S28)。S28は、S36と同様の処理である。CPU41は、表示部5を駆動して、エラーの発生を報知し(S29)、処理を終了する。CPU41は、表示部5に例えば「エラー発生」と表示する(S29)。ユーザは、間欠ギヤ136の回転位置が、回転部215又はカム部材160との関係でずれたことを認識でき、印刷装置1に対する保守作業を実行できる。
以上、説明したように、CPU41が、印刷媒体9をーフカットする場合(S14)、切断刃275は、二切断待機位置から切断位置まで移動する。これにより、切断刃275は、受台180の第一接触面181との間で、印刷媒体9の第一部位9Aをハーフカットする。切断機構100が印刷媒体9をハーフカットする間、押圧ピン215Aが第一アーム部231を下方へ付勢するので、印刷装置1が消費する電力は増大する。しかしながら、CPU41は、印刷媒体9のハーフカット前に(S14)、駆動モータ88に対する通電を停止する(S4)。従って、印刷装置1は、印刷媒体9のハーフカットに伴う消費電力の増大を抑制できる。また、印刷装置1が、二回目以降の印刷動作を実行する場合、CPU41は、切断刃275の第二移動が終了する前に(S45)、駆動モータ88に前励磁を実行する(S43)。従って、CPU41は、印刷動作を実行する場合に(S8)、短時間で駆動モータ88の正転方向への回転駆動を開始できる。従って、印刷装置1は、三回目以降の印刷動作おける印刷時間の増大を抑制できる。以上より、印刷時間の増大と、印刷媒体9の切断に伴う消費電力の増大とを抑制できる印刷装置1が実現される。
CPU41は、第一待機時間を、第二センサ119がON信号に代えてOFF信号を出力してから計時する(S42)。CPU41が、第一センサ117がON信号に代えてOFF信号を出力したときから計時する場合に比べて、第一待機時間は短くなる。よって、印刷装置1は、駆動モータ88に対して前励磁を精度の良いタイミングで実行できる(S43)。
第一待機時間は、第二センサ119がON信号に代えてOFF信号を出力したときから、計時される。従って、駆動モータ88に対する前励磁は、印刷媒体9に対するハーフカットが実行された後に、実行される。よって、印刷装置1は、消費電力の増大を更に抑制できる。
第一待機時間(50ms)と一定時間(80ms)との合計値は(130ms)、第二移動の所要時間(100ms)に略等しい。よって、印刷装置1は、印刷時間の増大を更に抑制できる。
本例では、一回目の切断動作が実行される場合(S31:YES)、受台180に配置された印刷媒体9の部位は、弾性変形しておらず、印刷媒体装着部40に装着される前の印刷媒体9の肉厚と略等しい肉厚(図12の寸法L1)を有する。従って、一回目の切断動作において、前方へ移動する切断刃275が印刷媒体9から離隔するタミングが、二回目以降の切断動作に比較して、遅くなる傾向がある。しかしながら、一回目の切断動作では、第一センサ117が第二切断待機位置にある切断刃275を検出してから(S33:YES)、CPU41は、DCモータ104の前励磁を実行し(S35)、印刷動作を実行する(S8)。従って、一回目の切断動作が実行される場合において、切断刃275が印刷媒体9と接触している間に、印刷動作が実行されるのを、印刷装置1は抑制できる。よって、印刷装置1は、印刷動作を安定化できる。また、切断位置から後方へ移動する切断刃275が印刷媒体9と接触している間、切断刃275と印刷媒体9との間で生じる摩擦力によって、印刷装置1の消費電力が増大する場合がある。この場合であっても、切断刃275と印刷媒体9との接触中に前励磁が実行されないので、印刷装置1は消費電力の増大を抑制できる。よって、印刷装置1は、消費電力を安定化できる。
<7.その他>
上記実施形態において、プラテンローラ27は、本発明の「搬送ローラ」の一例である。駆動モータ88は、本発明の「搬送モータ」の一例である。DCモータ104は、本発明の「切断モータ」の一例である。第一待機時間は、本発明の「第一所定時間」の一例である。一定時間は、本発明の「第二所定時間」の一例である。
S8を実行するCPU41は、本発明の「搬送制御手段」の一例である。S4を実行するCPU41は、本発明の「通電停止制御手段」の一例である。S5、S7を実行するCPU41は、本発明の「切断制御手段」の一例である。S43を実行するCPU41は、本発明の「第一励磁制御手段」の一例である。S8を実行するCPU41は、本発明の「第一印刷制御手段」の一例である。S35を実行するCPU41は、本発明の「第二励磁制御手段」の一例である。S54を実行するCPU41は、本発明の「第三励磁制御手段」の一例である。S54の後にS8を実行するCPU41は、本発明の「第二印刷制御手段」の一例である。S35を実行するCPU41は、本発明の「第四励磁制御手段」の一例である。
尚、上記実施形態は、種々の変形が可能である。印刷装置1は、一回目の印刷動作を実行する前に、第一搬送部21によって挟持されていた印刷媒体9の部位を、受台180まで搬送してもよい。この場合、一回目の切断動作では、押しつぶされるように僅かに弾性変形した印刷媒体9の部位(図示略)を、切断機構100はハーフカットする。この印刷媒体9の部位の肉厚は、一例として、図12(a)で示す寸法L1よりも薄く、且つ図17(a)で示す寸法L2よりも厚い。印刷媒体9は、チューブに代えて、例えばシート状のラベルであってもよい。
CPU41は、エラー判定処理を、切断機構100がフルカット動作を実行する場合に実行してもよい。また、間欠ギヤ136が第一初期回転位置から第一作動回転位置に回転する間に第一センサ117がOFF信号を出力する構成に代えて、第一センサ117がON信号を出力する構成が採用されてもよい。この場合、例えば、支軸132を中心とした回転方向における、開口壁部137と壁部139との位置関係が互いに逆になった間欠ギヤ(図示略)が採用される。
印刷装置1は、第二センサ119を備えなくてもよい。この場合、CPU41は、実行する印刷動作の回数に関わらず、駆動モータ88に対する前励磁を、第一センサ117の検出結果に基づいて、切断刃275の第一移動中に実行してもよい。また、CPU41は、切断刃275が印刷媒体9をハーフカットしている間に(S14)、駆動モータ88に対して前励磁を実行してもよい。
図19を参照し、DCモータ逆転処理(S7)の変形例を説明する。図19で示されるDCモータ逆転処理では、図14で示されるDCモータ逆転処理と同じ処理に、同じ符号が付与される。
一回目の印刷動作における、変形例に係るDCモータ逆転処理を説明する。CPU41は、切断回数が「1」であると判断した場合(S31:YES)、DCモータ104を逆転方向に回転駆動する(S32)。DCモータ104の逆転方向への回転駆動が開始された後(S32)、切断刃275は第二移動を開始し、第二センサ119はON信号に代えてOFF信号を出力する。
CPU41は、第二センサ119がON信号に代えてOFF信号を出力してから、第二待機時間が経過したか否かを判断する(S53)。本例の第二待機時間は、切断刃275の第二移動の所要時間に対して半分の時間であり、50msである。CPU41は、第二待機時間が経過するまで(S53:NO)、待機状態になる。第二待機時間が経過するまでの間に(S533:NO)、切断刃275は、印刷媒体9から前方へ離隔する(図示略)。第二待機時間が経過したとき(S53:YES)、CPU41は、駆動モータ88の前励磁を実行する(S54)。
CPU41は、切断刃275が第二切断待機位置まで移動したと判断した場合(S33:YES)、DCモータ104の逆転方向の駆動を終了し(S34)、初期位置合わせを実行する(S36)。その後、CPU41は、印刷動作を実行する(S8)。換言すると、CPU41は、第一センサ117が出力するON信号に基づいて(S33:YES)、切断刃275の第二移動が終了した場合に(S23:YES)、印刷動作を実行する(S8)。
一方、二回目以降の切断動作では(S31:NO)、CPU41は、DCモータ104を逆転方向に回転駆動した後(S41)駆動モータ88の前励磁を実行する(S62)。換言すると、CPU41は、切断位置から後方へ移動する切断刃275が第一部位9Aに接触している間に、駆動モータ88の前励磁を実行する(S62)。CPU41は、S44、S45、S36を順に実行する
本変形例では、CPU41は、第二待機時間が経過した後に(S53:YES)、駆動モータ88に対して前励磁を実行する(S54)。切断刃275の第二移動中に駆動モータ88前励磁が実行されるので、印刷装置1は、印刷時間の増大を抑制できる。また、切断刃275が第二切断待機位置まで移動した後に(S33:YES)、印刷動作が実行される(S8)。印刷装置1は、切断刃275が印刷媒体9に接触している間に、印刷動作を実行しない。よって、印刷装置1は、消費電力を安定化できる。
本変形例において、S54を実行するCPU41は、本発明の「第三励磁制御手段」の一例である。一回目の印刷動作においてS8を実行するCPU41は、本発明の「第二印刷制御手段」の一例である。