本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。以下の説明では、便宜的に、図1の右下側、左上側、左下側、右上側、上側、下側を、それぞれテープ印字装置1及びテープカセット30の前側、後側、左側、右側、上側、下側とする。本実施形態では、テープカセット30に収納される各種テープ(例えば、感熱紙テープ、後述する被印字テープ57、両面粘着テープ、チューブテープ、フィルムテープ)を、総称してテープという。
図1〜図3を参照して、テープ印字装置1を説明する。図2では、理解を容易にするために、カセットケース31の上面を取り除いている。テープ印字装置1は、1台でサーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、チューブタイプ等、各種のテープカセットが使用可能な汎用のテープ印字装置である。
図1に示すように、テープ印字装置1(印刷装置に相当)は、略直方体形状の本体カバー2を備えている。本体カバー2の前面に、テープ印字装置1の電源スイッチ等、テープ印字装置1を操作するためのスイッチ3が配置されている。本体カバー2の背面側には、開閉蓋で開閉される電池収納部(図示省略)が設けられている。電池収納部には、テープ駆動モータ711(後述の図4参照)、カッタ駆動モータ90、サーマルヘッド10等に給電するための電池150(後述の図14参照)が収納される。テープ印字装置1は、ケーブル(図示せず)等を介してパーソナルコンピュータ(図示せず。以下、PCという。)に接続可能である。テープ印字装置1は、例えばPCから送信されるキャラクタ(文字、数字、図形等)のデータに基づいて、被印字テープ57にキャラクタの印字を行う。
テープ印字装置1の上面に、テープカセット30の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられている。カセットカバー6は、平面視略長方形状の蓋部である。カセットカバー6は、本体カバー2の背面上方の左右両端部で軸支され、閉鎖位置(図示せず)と、図1に示す開放位置との間で回動可能である。本体カバー2に、テープカセット30を着脱可能な領域であるカセット装着部8が設けられている。カセット装着部8は、カセットカバー6が閉鎖位置にあるときに被覆され、カセットカバー6が開放位置にあるときに露出する。
本体カバー2の左側面に、排出口111が設けられている。排出口111は、上記被印字テープ57に印字が形成された後の印字済みテープがカセット装着部8から排出される開口である。本体カバー2は、カセット装着部8と排出口111との間に、印字済みテープの搬送経路を形成するテープ排出部110を有する。テープ排出部110の内部に、後述の切断機構80(後述の図3参照)が設けられている。
図1及び図2に示すように、カセット装着部8の前部に、ヘッドホルダ74が立設されている。ヘッドホルダ74の前面に、発熱体(図示せず)を備えるサーマルヘッド10(印字手段に相当)が設けられている。ヘッドホルダ74の後方に、リボン巻取軸95が立設されている。リボン巻取軸95は、テープカセット30のリボン巻取スプール44に着脱可能な軸体である。ヘッドホルダ74の左側に、テープ駆動軸100が立設されている。テープ駆動軸100は、テープカセット30のテープ駆動ローラ46に着脱可能な軸体である。
ヘッドホルダ74の前側に、左右方向に延びるアーム状のプラテンホルダ12が配置されている。プラテンホルダ12は、軸支部121を中心に揺動可能に軸支されている。プラテンホルダ12の左端部に、プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14が回転可能に軸支されている。プラテンローラ15は、サーマルヘッド10に相対して、サーマルヘッド10と接離可能である。可動搬送ローラ14は、テープ駆動軸100に装着されているテープ駆動ローラ46に相対して、テープ駆動ローラ46と接離可能である。カセット装着部8の下側に、ステッピングモータであるテープ駆動モータ711(後述の図4参照)が配置されている。
図2及び図3に示すように、カセットカバー6(図1参照)が閉鎖されると、プラテンホルダ12が印字位置に向けて移動する。印字位置に移動したプラテンホルダ12は、カセット装着部8に近接する。このとき、プラテンローラ15の下側に設けられたギア722がギア721と噛み合い、且つ、可動搬送ローラ14の下側に設けられたギア723がギア720と噛み合う。
図1及び図2を参照して、テープカセット30を説明する。テープカセット30は、内部に収納されるテープの種類、及び、インクリボンの有無などを適宜変更することによって、前述のサーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、チューブタイプ等に実装可能な汎用カセットである。図2は、レセプタタイプのテープカセット30を例示している。
図1及び図2に示すように、テープカセット30は、箱状のカセットケース31を備えている。カセットケース31の左前部に、テープカセット30から排出されるテープを案内する排出案内部49が設けられている。カセットケース31は、カセットケース31内に装着されるスプール類を回転可能に支持するための支持孔65〜68を有する。
支持孔65は、第一のテープが巻回された第一テープスプール40を回転可能に支持する。支持孔67は、未使用のインクリボン60が巻回されたリボンスプール42を回転可能に支持する。支持孔68は、使用済みのインクリボン60を巻き取るためのリボン巻取スプール44を回転可能に支持する。支持孔66は、第二のテープが巻回された第二テープスプール(図示せず)を回転可能に支持する。
図2に示すレセプタタイプのテープカセット30では、支持孔65は第一のテープである被印字テープ57(被印字媒体に相当)が巻回された第一テープスプール40を支持している。本実施形態の被印字テープ57は、印字層と剥離層とが接着剤を介して積層されている積層テープである。レセプタタイプのテープカセット30では第二のテープが使用されないため、支持孔66は第二テープスプールを支持していない。図示しないが、ラミネートカセットのテープカセット30では、支持孔65は第一のテープである両面粘着テープが巻回された第一テープスプール40を支持する。支持孔66は第二のテープであるフィルムテープが巻回された第二テープスプールを支持する。
図3及び図4を参照して、印字形成ユニット70を説明する。図3の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側は、図1及び図2に示すテープ印字装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側に対応する。図3及び図4では、図2に示すプラテンホルダ12の外装を省略している。図4では、制御部20を省略している。
ユニット70は、第一フレーム701、第二フレーム702、印字機構71、切断機構80等を備えている。第一フレーム701は、前後左右に延びる板状の金属フレームであり、カセット装着部8(図1参照)の下側に配置される。印字機構71は第一フレーム701に配置されている。印字機構71は、カセット装着部8に装着されているテープカセット30を用いて、テープにキャラクタを印字するための機構である。
印字機構71は、ヘッドホルダ74、サーマルヘッド10(図2参照)、プラテンホルダ12、プラテンローラ15、可動搬送ローラ14、リボン巻取軸95、テープ駆動軸100、テープ駆動モータ711、ギア715〜723等を含む。プラテンホルダ12の軸支部121の下端部は、第一フレーム701の右前部に軸支されている。
第一フレーム701の下側に、テープ駆動モータ711及び制御部20が配置されている。テープ駆動モータ711の駆動軸713は、第一フレーム701に設けられた孔(図示略)を介して第一フレーム701の上側に突出している。第一フレーム701の上側において、駆動軸713にギア715が固着されている。ギア715は、ギア716と噛み合う。ギア717は、ギア716及びギア718と噛み合う。ギア719は、ギア718、ギア720、及びギア721に噛み合う。リボン巻取軸95は、ギア717の上面に立設されている。テープ駆動軸100は、ギア720の上面に立設されている。
制御部20は、CPU162(後述の図14参照)、ROM、RAM等を有する電気基板である。制御部20は、CPU162がROMに記憶されているプログラムを実行することで、テープ印字装置1の各種動作を制御する。
第二フレーム702は、前後左右に延びる板状の金属フレームであり、第一フレーム701の左側にねじ止めされている。第二フレーム702は、テープ排出部110(図1参照)の下側に配置される。第二フレーム702は、第二フレーム702の左端から上方に延びる支持板730を有する。切断機構80は第二フレーム702に配置されている。切断機構80は、印字済みテープを所定の長さで切断するための機構である。支持板730の上端部に、支持板730から右側に延びる取付板731が設けられている。取付板731の右面に、後述のカッタ駆動モータ90(モータに相当)が固定されている。
図2を参照して、テープ印字装置1の動作概要を説明する。図2に示す例では、レセプタタイプのテープカセット30が、カセット装着部8に装着されている。この場合、プラテンホルダ12が印字位置に向けて移動すると、プラテンローラ15が被印字テープ57及びインクリボン60を介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が被印字テープ57を介してテープ駆動ローラ46(搬送手段に相当)を押圧する。
制御部20(図3参照)は印字動作の実行時に、テープ駆動モータ711(図4参照)を駆動する。テープ駆動モータ711が駆動されると、ギア715〜723(図3参照)を介してリボン巻取軸95、テープ駆動軸100、可動搬送ローラ14、及びプラテンローラ15が回転する。
リボン巻取軸95がリボン巻取スプール44を回転することで、リボンスプール42から未使用のインクリボン60が引き出される。テープ駆動軸100がテープ駆動ローラ46を回転することで、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14とに挟まれる被印字テープ57が搬送されて、第一テープスプール40から未使用の被印字テープ57が引き出される。プラテンローラ15とサーマルヘッド10との間では、サーマルヘッド10が未使用のインクリボン60を使用して、未使用の被印字テープ57の印字層に印字する。印字済みの被印字テープ57は、テープ排出部110に搬送されて、後述するように切断機構80(図3参照)によって切断される。切断された被印字テープ57は、排出口111から排出される。
図3〜図13を参照して、切断機構80を説明する。以下の説明では、便宜的に、図3の左上側、右下側、右上側、左下側、上側、下側を、それぞれ切断機構80の前側、後側、左側、右側、上側、下側とする。理解を容易にするために、図8及び図9では、フルカット機構300から引張バネ330を取り除いている。図8では、カム板760と併せて第1検出センサ91、第2検出センサ92を図示している。
<切断機構80>
図3〜図5に示すように、切断機構80は、ハーフカット機構200、フルカット機構300、搬送機構400、カッタ駆動モータ90、ギア751〜755、駆動カム76等を含む。テープ排出部110(図1参照)の内部では、テープの搬送経路に沿って、フルカット機構300、ハーフカット機構200、及び搬送機構400が配置されている。フルカット機構300は、カセット装着部8の後側に配置されている。搬送機構400は、排出口111の前側に配置されている。ハーフカット機構200は、フルカット機構300と搬送機構400との間に配置されている。
カッタ駆動モータ90の駆動軸(図示略)に取り付けられたギア751は、取付板731を貫通する孔部732の内側に配置されている。ギア752〜755は、いずれも取付板731から前方に延びる軸部を中心に回転可能である。ギア752は、ギア751と噛み合う。ギア753は、ギア752と噛み合う。ギア754は、ギア753と噛み合う。ギア755は、ギア754と噛み合う。
<駆動カム76の周辺>
図5〜図9に示すように、駆動カム76は、ギア755、カム板760、軸部761を含む。カム板760は、ギア755よりも大きい円盤状であり、ギア755の前側に固着されている。ギア755及びカム板760は、前後方向に延びる軸部761を中心に一体で回転可能である。カム板760は、突出部762を除いて、軸部761から周面までの距離(つまり、半径)が略等しい。突出部762は、カム板760のうちで径方向外側に突出する部位である。
図6及び図8に示すように、第一駆動ピン763、第二駆動ピン764、第一検出板765、及び第二検出板766が、カム板760に設けられている。第一駆動ピン763及び第二駆動ピン764は、いずれもカム板760から前側に突出する円柱体である。詳細には、第二駆動ピン764は、突出部762から前側に突出する。第一駆動ピン763は、突出部762とは異なるカム板760の外縁部から前側に突出する。第一駆動ピン763は、第二駆動ピン764に対して、正面視で軸部761を中心として時計回り方向に略90度回転した位置に設けられる。第一駆動ピン763は、第二駆動ピン764よりも前側に延びている(図8及び図9参照)
図7及び図9に示すように、カム板760の周面は、カム板760の前後方向略中心よりも前側の周面である前周面760Aと、カム板760の前後方向略中心よりも後側の周面である後周面760Bとを含む。第一検出板765及び第二検出板766は、いずれも前周面760Aから径方向外側に突出する板状体である。
詳細には、第一検出板765は、突出部762から軸部761を中心として時計回り方向に延びる、正面視で円弧状である。第二検出板766は、突出部762の周面とは異なるカム板760の周面から径方向外側に突出する、正面視で台形状である。第二検出板766は、正面視で、軸部761を挟んで第一駆動ピン763の反対側に設けられている。第一検出板765の突出端及び第二検出板766の突出端は、いずれも軸部761からの距離が等しい。
<検出センサ91,92>
図5及び図8に示すように、カム板760の下側に、第1、第2の二つの検出センサ91,92が設けられている。第1検出センサ91は、カム板760の右端部下方に設けられた、可動ピン91Aを有する機械式センサである。可動ピン91Aは、前後方向に延びる回転軸(図示せず)から、前周面760Aに向けて上方に延びている。可動ピン91Aが上方に延びる定常状態である場合、第1検出センサ91はOFF信号を出力する。可動ピン91Aが正面視で時計回り方向に回転すると、可動ピン91Aは傾斜状態に変化する。可動ピン91Aが傾斜状態である場合、第1検出センサ91はON信号を出力する(以下適宜、「ON状態」という)。
第2検出センサ92は、カム板760の左端部下方に設けられた、可動ピン92Aを有する機械式センサである。可動ピン92Aは、前後方向に延びる回転軸(図示せず)から、後周面760Bに向けて上方に延びている。可動ピン92Aが上方に延びる定常状態である場合、第2検出センサ92はOFF信号を出力する。可動ピン92Aが定常状態から正面視で反時計回り方向に回転すると、可動ピン92Aは傾斜状態に変化する。可動ピン92Aが傾斜状態である場合、第2検出センサ92はON信号を出力する。
<ハーフカット機構200>
図6及び図7を参照して、ハーフカット機構200を説明する。ハーフカット機構200は、複数層が積層されたテープのうち、一部の層のみを切断する(すなわち厚さ方向に部分切断する)ための機構である。ハーフカット機構200は、固定部210、可動部220、引張バネ230、及び押圧バネ240を含む。
固定部210は、正面視で略Lの字型の板状部材であり、第一板部211、第二板部212、及び受台213を含む。第一板部211は、左右方向に延びる板状部であり、第二フレーム702(図3〜図5参照)に固定されている。第二板部212は、第一板部211の右端部から上方向に延びる板状部である。受台213は、第二板部212の左辺部から後方に突出した、前後方向及び上下方向に平行な面部である。受台213は、上下方向に長く且つ前後方向に短い矩形状である。第一板部211の上辺部215は、第一板部211の左端部から受台213の下端部に向けて、右上方向に傾斜している。
可動部220は、正面視で略Lの字型の板状部材であり、第一板部221、第二板部222、切断刃223等を含む。可動部220は、固定部210の背面に重ねて配置され、且つ、カム板760の前側に配置されている。第一板部221は、略左右方向に延びる板状部であり、固定部210の背面からカム板760の右側まで延びている。第二板部222は、第一板部221の左端部から、第一板部221に対して略90度傾斜して上側に延びる板状部である。切断刃223(可動刃に相当)は、第二板部222の右辺部に沿って延び、受台213(刃受け部材に相当)に対して左側から対向する刃部である。
係止板225,227,229、バネ軸部226、逃がし溝228、及びガイド溝233が、第一板部221に設けられている。バネ軸部226は、正面視で第二板部212とカム板760との間において、第一板部221から前方に延びる。係止板225,227,229は、いずれも第一板部221から前方に突出する突出片である。係止板225は、第一板部221の右上端部から前方に突出する。係止板227は、バネ軸部226の下側から前方に突出する。係止板229は、バネ軸部226の上側且つ第二板部212の右側から前方に突出する。逃がし溝228は、正面視で第二板部212とバネ軸部226との間に設けられた、第一板部221の下辺部から上方に凹む溝部である。
押圧バネ240は、第一板部221に保持されるねじりコイルバネであり、コイル部241と一対の腕部242,243とを含む。一対の腕部242,243は、コイル部241の両端部から同一方向に延びる。後側の腕部242は、前側の腕部243よりもコイル部241からの突出幅が大きい。押圧バネ240が第一板部221に取付けられた状態では、コイル部241の軸穴にバネ軸部226が挿通されている。腕部242の先端部は、係止板225を下側から付勢することで、係止板225に係止されている。腕部243の先端部は、係止板227を上側から付勢することで、係止板227に係止されている。
ガイド溝233は、正面視で第一駆動ピン763の下側に設けられた、第一板部221の上辺部から下方に凹む溝部である。ガイド溝233は、係止板225に係止されている腕部242よりも下側まで、正面視で円弧状に凹んでいる。
隙間形成部231及び支持ピン232が、第二板部222に設けられている。隙間形成部231は、切断刃223の上側から、切断刃223よりも受台213に向けて僅かに突出している。支持ピン232は、切断刃223の下側に設けられた、第二板部222から前方に延びる軸体である。支持ピン232は、上辺部215に載置され、且つ上辺部215に沿って摺動可能である。可動部220は、支持ピン232によって第二板部212と重なる状態で支持されている。
引張バネ230の一端部は、第二板部222に設けられた取付穴224に連結されている。引張バネ230の他端部は、第一板部211の左端部に設けられた取付穴214に連結されている。引張バネ230の弾性力によって、第二板部222は左側に付勢されている。したがって、可動部220に外力が加えられていない状態では、上辺部215に沿って摺動する支持ピン232に案内されながら、可動部220は左側に移動する。係止板229が第二板部212に係止されると、可動部220の左側移動が規制される。これにより可動部220は、切断刃223が受台213から離隔する退避位置に保持される。
<フルカット機構300>
図8及び図9を参照して、フルカット機構300を説明する。フルカット機構300は、複数層が積層されたテープの全ての層を切断(全切断)するための機構である。フルカット機構300は、固定部310、可動部320、及び引張バネ330を含む。
固定部310は、正面視で略Lの字型の板状部材であり、第一板部311、第二板部312、及び固定刃314を含む。第一板部311は、左右方向に延びる板状部であり、第二フレーム702(図3〜図5参照)に固定されている。第二板部312は、第一板部311の右端部から上方向に延びる板状部である。固定刃314は、第二板部312の左辺部に設けられた、上下方向に延びる刃部である。
可動部320は、正面視で略Lの字型の板状部材であり、第一板部321、第二板部322、可動刃324等を含む。可動部320は、固定部310の背面に重ねて配置され、且つ、カム板760の前側に配置されている。第一板部321は、略左右方向に延びる板状部であり、固定部310の背面からカム板760の前側まで延びている。第二板部322は、第一板部321の左端部から、第一板部321に対して略90度傾斜して上側に延びる板状部である。可動刃324は、第二板部322の右辺部に沿って延び、固定刃314に対して左側から対向する刃部である。
第一板部311及び第二板部312が連接する部位に、固定部310を貫通する支持穴(図示せず)が設けられている。第一板部321及び第二板部322が連接する部位に、可動部320を貫通する支持穴(図示せず)が設けられている。固定部310及び可動部320の各支持穴に、前後方向に延びる回転軸301が挿通されている。つまり、回転軸301は、固定部310及び可動部320を互いに重ねた状態で回転可能に軸支する。
ガイド溝323、ガイド穴325、及び逃がし溝328が、第一板部321に設けられている。ガイド溝323は、第一板部321の先端側に設けられた、第一板部321の上辺部から下方に凹む溝部である。ガイド穴325は、第一板部321の長手方向略中心に設けられた、第一板部321を貫通する穴である。ガイド穴325は、第一板部321の長手方向と平行に延びる長穴である。第一板部321の左端部近傍は、固定部310の背面に向けて前方に傾斜し(図9参照)、且つ逃がし溝328が設けられている。逃がし溝328は、第一板部321の上辺部から下方に凹む溝部である。
引張バネ330(図5参照)の一端部は、第一板部311の左端部に設けられた取付穴313に連結されている。引張バネ330の他端部は、第二板部322に設けられた取付穴329に連結されている。引張バネ330の弾性力によって、第二板部322は左側に付勢されている。したがって、可動部320に外力が加えられていない状態では、可動部320は回転軸301を中心に正面視で反時計回り方向に回転する。これにより可動部320は、可動刃324が固定刃314から離隔する退避位置に保持される。
<搬送機構400>
図8及び図9、図13を参照して、搬送機構400を説明する。搬送機構400は、フルカット機構300によって切断されたテープを、排出口111(図1参照)に向けて搬送するための機構である。搬送機構400は、第一リンク410、第二リンク420、可動ローラ430、固定ローラ440等を含む。
テープ排出部110(図1参照)におけるテープの搬送経路に沿って、ガイド部材770(図3、図4参照)が設けられている。ガイド部材770は、第二フレーム702(図3、図4参照)に立設されており、テープ排出部110で搬送される印字済みテープを排出口111に向けて案内するガイド面を有する。固定ローラ440は、ガイド部材770に設けられ、上下方向に延びる軸を中心に回転可能な回転体である。
固定ローラ440は、固定刃314の後方に設けられている。固定ローラ440の下方に、第一リンク410及び第二リンク420を前後に並べて軸支する回転軸401が設けられている。回転軸401は、ガイド部材770に設けられた、前後方向に延びる軸部である。
第一リンク410は、可動部320の後側に配置された略左右方向を長い板状部材であり、且つ第二リンク420の前側で回転軸401を中心に回転可能である。第一リンク410は、回転軸401から右方向に延び、且つガイド穴325の後側まで延びている。第一リンク410の右端部に、第一リンク410から前方に突出する係止ピン411が設けられている。係止ピン411は、ガイド穴325に挿入されている。第一リンク410は、回転軸401から左上方向に延び、且つ可動ローラ430の左側まで延びている。第一リンク410の左上端部に、可動ローラ430を回転させる作動機構412が設けられている。
第二リンク420は、第一リンク410の後側で回転軸401を中心に回転可能な板状部材であり、回転軸401から左上方向に延びている。第二リンク420は、第一リンク410に対して、回転軸401に設けられた連結バネ402を介して連結されている。回転軸401の左上端部に、回転体である可動ローラ430を回転支持するローラホルダ414が設けられている。ローラホルダ414は、作動機構412の右側に配置されている。可動ローラ430は、固定ローラ440に対して左側から対向している。
作動機構412及びローラホルダ414の構造及び作用は、例えば特開平2000−71523号公報に記載されているように公知であるため、概略的に説明する。ローラホルダ414は、可動ローラ430を右側に向けて付勢するバネ(図示せず)を有する。作動機構412は、ローラ押圧部材412A、フック部材412B、バネ412C等を有する。
ローラ押圧部材412Aは、平面視で可動ローラ430の前側に配置された、略左右方向に移動可能な可動体である。バネ412Cは、ローラ押圧部材412Aを可動ローラ430に向けて付勢する。ローラ押圧部材412Aは、バネ412Cの弾性力によって、可動ローラ430に設けられた第一突出部(図示せず)を押圧する。フック部材412Bは、平面視で可動ローラ430の後側に配置され、可動ローラ430に設けられた第二突出部(図示せず)に接触する。
フルカット機構300の可動部320が回転するのに伴って、ガイド穴325に沿って係止ピン411が移動する。係止ピン411の移動に伴って、第一リンク410が回転軸301を中心に回転する。第一リンク410の回転に伴って、連結バネ402を介して第二リンク420も回転する。図8及び図9に示すように、フルカット機構300の可動部320が退避位置に向けて移動すると、係止ピン411はガイド穴325の左端部に向けて移動する。第一リンク410及び第二リンク420は、正面視で反時計回り方向に回転する。これにより第二リンク420は、可動ローラ430が固定ローラ440から離隔する退避位置に保持される。
<切断機構80の連結構造>
図5〜図9を参照して、切断機構80の連結構造を説明する。図5に示すようにハーフカット機構200の可動部220は、フルカット機構300の可動部320の逃がし溝328(図8参照)を跨って、左右方向に延びている。ハーフカット機構200の逃がし溝228(図6参照)は、逃がし溝328に対して上側から対向している。
図5、図7及び図9に示すように、切断機構80の左側部分では、フルカット機構300の固定刃314、ハーフカット機構200の受台213、搬送機構400の固定ローラ440の順に、前側から後方に向けて並ぶ。フルカット機構300の可動刃324、ハーフカット機構200の切断刃223、及び搬送機構400の可動ローラ430が、前側から後方に向けて並ぶ。
カッタ駆動モータ90が駆動されていない場合、切断機構80は待機状態(図5〜図9参照)にある。待機状態の切断機構80では、可動部220,320及び第二リンク420が、いずれも退避位置にある。固定刃314と可動刃324との隙間、受台213と切断刃223との隙間、及び固定ローラ440と可動ローラ430との隙間が、互いに前後方向に連通する。テープ排出部110(図1参照)におけるテープの搬送経路は、これらの前後方向に連通する隙間を経由する。印字済みテープは、固定刃314、受台213、固定ローラ440に沿って搬送される。
切断機構80の右側部分では、ハーフカット機構200の第一板部221が、フルカット機構300の第一板部321の前側に配置され、且つ第一板部321よりも右側に延びている。搬送機構400の係止ピン411は、駆動カム76よりも左側で、フルカット機構300のガイド穴325に連結している。
図5、図6及び図8に示すように、切断機構80が待機状態にある場合、カム板760の回転位置は、突出部762が左側を向く基準位置にある。カム板760が基準位置にある場合、第一駆動ピン763は、軸部761の上方に位置する。第二駆動ピン764は、軸部761の左方に位置する。
図6及び図7に示すように第一駆動ピン763は、ハーフカット機構200の第一板部221の上側まで前方に延びている。切断機構80が待機状態にある場合、第一駆動ピン763は係止板225に係止された押圧バネ240の腕部242に上側から接触する。図8及び図9に示すように第二駆動ピン764は、フルカット機構300の第一板部321の上側まで前方に延びている。切断機構80が待機状態にある場合、第二駆動ピン764は第一板部321のガイド溝323に上側から接触する。
<切断機構80の作動態様>
図5〜図13を参照して、切断機構80の作動態様を説明する。以下の説明では、印字済みの被印字テープ57(図2参照)を切断する場合を例示する。切断機構80は、待機状態(図5〜図9参照)から切断動作を開始する。図8に示すように、基準位置のカム板760では、可動ピン91Aは第一検出板765及び第二検出板766から離隔している。可動ピン91Aは定常状態であるため、第1検出センサ91はOFF状態である。可動ピン92Aは突出部762から離隔している。可動ピン92Aは定常状態であるため、第2検出センサ92はOFF状態である。
<ハーフカット機構200の作動態様>
ハーフカット機構200の作動態様を説明する。図10及び図11に示すように、制御部20(図3参照)は、ハーフカット機構200に被印字テープ57を切断させる場合、カッタ駆動モータ90を正方向に回転(以下、正転)させる。カッタ駆動モータ90が正転すると、ギア751〜755(図3〜図5参照)を介してカム板760が正面視で時計回り方向に回転する。カム板760の回転に伴って、第一駆動ピン763は第一作動方向に回転する。第一作動方向は、軸部761を中心として正面視で時計回り方向である。
第一作動方向に回転する第一駆動ピン763は、腕部242を下方に付勢する。付勢された腕部242は、弾性変形して係止板225から下方に離れる。腕部242を付勢する第一駆動ピン763は、ガイド溝233に接触する。第一作動方向に回転する第一駆動ピン763は、ガイド溝233の右端部から左端部に向けて摺動しながら、第一板部221を下方に付勢する。第一板部221が下方に移動するのに伴って、支持ピン232を中心に可動部220を回転させる付勢力が生じる。この付勢力によって支持ピン232は、引張バネ230の弾性力に抗って、上辺部215に沿って右方向に移動する。つまり第二板部222に設けられた切断刃223が右側に移動する。
上記のように第一板部221が下方に移動する場合、第一板部221の逃がし溝228が第一板部321の逃がし溝328(図8参照)に交差して嵌まる。したがって、ハーフカット機構200は、フルカット機構300と干渉することなく、部分切断(ハーフカット)の切断動作を実行できる。
図10に示すように、カム板760が基準位置から第一作動方向に略180度回転すると、可動部220が退避位置から切断位置に移動する。切断位置は、切断刃223が受台213と近接する位置である。可動部220が切断位置にある場合、隙間形成部231(図11参照)が受台213に接触する。切断刃223と受台213との間に、被印字テープ57の厚みよりも狭い隙間(具体的には、印字層の厚みと略等しい隙間)が形成される
可動部220を切断位置に移動させるカム板760の回転位置を、第一変位位置という。カム板760が基準位置から第一作動方向に回転するのに伴って、可動ピン91A(図8参照)は前周面760A(図7参照)に沿って相対的に移動する。カム板760が第一変位位置まで回転すると、第一検出板765が可動ピン91Aに接触する。可動ピン91Aが定常状態から傾斜状態に変化するため、第1検出センサ91はOFF状態からON状態に変化する。
カム板760が基準位置から第一変位位置まで回転するのに伴って、可動ピン92A(図8参照)は第二検出板766の後方を通って、後周面760B(図7参照)に沿って相対的に移動する。可動ピン92Aは突出部762に接触しないため、第2検出センサ92(図8参照)はOFF状態に保持される。したがって、カッタ駆動モータ90の正転中において、第1検出センサ91がON状態且つ第2検出センサ92がOFF状態になった場合、制御部20はカム板760が第一変位位置まで回転したと判断する。
制御部20は、カム板760が第一変位位置まで回転したと判断した場合、カッタ駆動モータ90をさらに所定量だけ正転させて、第一駆動ピン763をガイド溝233の左端部まで摺動させる。第一駆動ピン763をガイド溝233の左端部まで摺動させるカム板760の回転位置を、カム保持位置という。制御部20は、カッタ駆動モータ90を所定量正転させたのち、カッタ駆動モータ90の駆動を所定時間停止する。
図11に示すように、カム板760が第一変位位置からカム保持位置まで回転するのに伴って、第一駆動ピン763が第一板部221を下方に付勢しながら、ガイド溝233において左方向に摺動する。第一板部221が下方に付勢されるのに伴って、切断刃223は受台213に対してより強く押圧される。第一駆動ピン763は、ガイド溝233において所定量移動すると、ガイド溝233の左端部を形成する壁部233Aに接触する。壁部233Aは、第一駆動ピン763が回転する第一作動方向とは反対方向(後述の第二作動方向)から第一駆動ピン763に接触して、第一駆動ピン763の左方向への摺動を規制する。
腕部242は、ガイド溝233に沿って摺動する第一駆動ピン763を、腕部243とは反対側に向けて付勢している。腕部242の付勢力は、第一駆動ピン763から腕部242に延びる垂線Pと平行に、腕部242の上側に向けて作用する。壁部233Aに接触している第一駆動ピン763は、第一駆動ピン763から腕部242に延びる垂線Pよりも第一作動方向に位置している。
この場合、腕部242の付勢力によって、第一駆動ピン763を第一作動方向に回転させる作用が働く。第一駆動ピン763は、壁部233Aによって左方向への移動が規制されているため、第一作動方向に回転しない。腕部242が第一駆動ピン763を壁部233Aに付勢するため、第一駆動ピン763の移動(つまり、カム板760の回転)が規制される。カッタ駆動モータ90の駆動が停止されても、第一駆動ピン763はガイド溝233の左端部に保持される。
以上の動作によって、印字済みの被印字テープ57は次のように部分的に切断される。カム板760が基準位置から第一変位位置まで回転するのに伴って、切断刃223は受台213に近づく。テープ排出部110(図1参照)に搬送された被印字テープ57が、切断刃223によって受台213に押圧される。被印字テープ57は、切断刃223と受台213との隙間に配置される。カム板760が第一変位位置からカム保持位置まで回転する間、及びカム板760がカム保持位置に保持される間、切断刃223が被印字テープ57を受台213に向けて強く付勢する。被印字テープ57の一部の層(具体的には、剥離層)が、切断刃223によって切断される。すなわち、被印字テープ57が部分切断(ハーフカット)される。
その後、制御部20は、カッタ駆動モータ90を逆方向に回転(以下、反転)させる。カッタ駆動モータ90が反転すると、ギア751〜755を介してカム板760が正面視で反時計回り方向に回転する。カム板760の回転に伴って、第一駆動ピン763は第二作動方向に回転する。第二作動方向は、軸部761を中心として正面視で反時計回り方向である。第一駆動ピン763は、腕部242の付勢力に抗って、ガイド溝233の左端部から右端部に向けて摺動する。つまりカム板760がカム保持位置(図11参照)から第一変位位置(図10参照)まで回転する。
第1検出センサ91がON状態からOFF状態に変化するまで(つまり、第一検出板765が可動ピン91Aから離れるまで)、制御部20はカム板760を第二作動方向に回転させる。第1検出センサ91がON状態からOFF状態に変化した場合、制御部20はカッタ駆動モータ90の駆動を停止する。
これにより、腕部242は第一駆動ピン763を持ち上げるように弾性移動して、係止板225に係止される。第一駆動ピン763の移動に伴って、カム板760が基準位置まで回転する。引張バネ230の弾性力によって、支持ピン232が上辺部215に沿って左側に移動する。係止板229が第二板部212に接触するまで、可動部220は左側に移動する。可動部220は、切断位置から退避位置に移動する。
以上の動作により、切断機構80は待機状態に復帰する。可動部220が退避位置に移動したのち、制御部20はテープ駆動モータ711(図4参照)を所定量駆動する。これにより、剥離層が切断された被印字テープ57は、排出口111に向けて搬送される。
<フルカット機構300及び搬送機構400の作動態様>
フルカット機構300及び搬送機構400の作動態様を説明する。制御部20は、フルカット機構300に被印字テープ57を切断させる場合、カッタ駆動モータ90を反転して、カム板760を基準位置から第二作動方向に回転させる。
図12及び図13に示すように、第二作動方向に回転する第二駆動ピン764は、ガイド溝323において第一板部321を下方に付勢する。第一板部321が下方に移動するのに伴って、可動部320が引張バネ330の弾性力に抗って、回転軸301を中心に正面視で時計回り方向に回転する。カム板760が基準位置から第二作動方向に略45度回転すると、可動部320が退避位置から切断位置に移動する。切断位置は、可動刃324が固定刃314と交差する位置である。
可動部320を切断位置に移動させるカム板760の回転位置を、第二変位位置という。カム板760が基準位置から第二作動方向に回転するのに伴って、可動ピン91Aは前周面760Aに沿って相対的に移動する。カム板760が第二変位位置まで回転すると、第二検出板766が可動ピン91Aに接触する。可動ピン91Aが定常状態から傾斜状態に変化するため、第1検出センサ91はOFF状態からON状態に変化する。
カム板760が基準位置から第二変位位置まで回転するのに伴って、可動ピン92Aは後周面760Bに沿って相対的に移動する。カム板760が第二変位位置まで回転すると、突出部762が可動ピン92Aに接触する。可動ピン92Aが定常状態から傾斜状態に変化するため、第2検出センサ92はOFF状態からON状態に変化する。したがって、カッタ駆動モータ90の反転中において、検出センサ91,92がいずれもON状態になった場合、制御部20はカム板760が第二変位位置まで回転したと判断して、カッタ駆動モータ90の駆動を停止する。
カム板760が基準位置から第二変位位置まで回転するのに伴って、第一リンク410の係止ピン411がガイド穴325の右端部に向けて移動する。係止ピン411の移動に伴って、第一リンク410が回転軸401を中心に正面視で時計回り方向に回転する。連結バネ402を介して、第二リンク420も第一リンク410と連動して回転する。
これにより、第二リンク420は退避位置から搬送位置に移動する。搬送位置は、可動ローラ430が固定刃314と対向する印字済みテープに接触する位置である。第二リンク420が搬送位置にある場合、可動ローラ430が固定ローラ440を付勢する。第一リンク410の回転に伴って、作動機構412のローラ押圧部材412Aが、バネ412Cの弾性力によって可動ローラ430の第一突出部(図示せず)を付勢する。これにより可動ローラ430は、固定ローラ440を付勢しながら半回転する。
以上の動作によって、印字済みの被印字テープ57は次のように切断される。カム板760が基準位置から第二変位位置まで回転するのに伴って、テープ排出部110(図1参照)に搬送された被印字テープ57を、可動ローラ430が固定ローラ440に押し付ける。可動ローラ430と固定ローラ440とに挟まれている被印字テープ57の全ての層が、可動刃324と固定刃314との間で切断される。すなわち、被印字テープ57が全切断(フルカット)される。このとき、可動ローラ430に近接する作動機構412が、ローラ押圧部材412Aによって可動ローラ430を半回転させる。切断された被印字テープ57が、可動ローラ430を半回転に相当する距離分、排出口111に向けて搬送される。
その後、制御部20はカッタ駆動モータ90を正転して、カム板760を第二変位位置から第一作動方向に回転させる。第2検出センサ92がON状態からOFF状態に変化するまで(つまり、突出部762が可動ピン92Aから離れるまで)、制御部20はカム板760を第一作動方向に回転させる。第2検出センサ92がON状態からOFF状態に変化した場合、制御部20はカッタ駆動モータ90の駆動を停止する。
これにより、引張バネ330の弾性力によって、可動部320が回転軸301を中心に正面視で反時計回り方向に回転する。可動部320は、切断位置から退避位置に移動する。可動部320の回転に伴って、ガイド溝323に接触する第二駆動ピン764が第一作動方向に回転して、カム板760が基準位置まで回転する。可動部320の回転に伴って、係止ピン411がガイド穴325の左端部に向けて移動して、第一リンク410及び第二リンク420が回転軸401を中心に正面視で反時計回り方向に回転する。
第二リンク420は搬送位置から退避位置に移動する。第一リンク410の回転に伴って、作動機構412のフック部材412Bが、可動ローラ430の第二突出部(図示せず)を付勢する。これにより、可動ローラ430が固定ローラ440から離れる前に、可動ローラ430は固定ローラ440を付勢しながら半回転する。切断された被印字テープ57が、可動ローラ430を半回転に相当する距離分、排出口111に向けて搬送される。
以上の動作により、切断機構80は待機状態に復帰する。上記のように作動機構412が可動ローラ430の半回転を二回(つまり、一回転)行うことで、全ての層が切断された被印字テープ57は排出口111に向けて搬送される。
<電力供給系>
図14は、上記構成のテープ印刷装置1に設けられた電力供給系160を表すブロック図である。
<概略構成>
図14において、この電力供給系160は、上記電池収納部に収納される電池150と、電池150からの電流によって駆動される上記テープ駆動モータ711、上記サーマルヘッド、及び上記カッタ駆動モータ90と、テープ駆動モータ711の駆動を制御するテープ駆動モータ制御回路710と、カッタ駆動モータ90の駆動を制御するカッタ駆動モータ制御回路153と、定電圧回路152と、を有している。
上記カッタ駆動モータ90は、既に述べたように、上記ハーフカット機構200の切断刃223の進退動作、及び、フルカット機構300の可動刃320の進退動作を行うための駆動力を発生する。このとき、カッタ駆動モータ90への供給電圧が過渡的に過大にならないように(例えばモータ90の定格電圧よりも大きくならないように)、上記定電圧回路152が設けられている。定電圧回路152は、上記電池150から供給される1次側電圧に基づき、2次側に所定の定電圧を出力する。この定電圧回路152の2次側が、上記カッタ駆動モータ制御回路153に接続されている。
<定電圧回路の電圧降下>
ところで、定電圧回路152が上記電圧調整機能を発揮するためには、当該定電圧回路152の内部においてある程度の電圧降下(約1.5V)が避けられない。したがって、テープ印刷装置1の使用によって電池150が消耗し起電力が徐々に小さくなっていったとき、上記カッタ駆動モータ90への供給電圧値が、上記定電圧回路での電圧降下によって比較的早いタイミングで、切断刃223を駆動可能な最小限電圧(約4V)以下となってしまう可能性がある。この場合、切断刃223が上記被印字テープ57の部分切断を完全には実行できなくなる恐れがある。
<電流供給ルートの切替>
そこで、本実施形態では、電池150からカッタ駆動モータ90への電流供給経路として、第1経路L1及び第2経路L2が選択的に使用可能に設けられている。第1経路L1は、電池150からの1次側電圧VHに基づく定電圧回路152からの2次側の定電圧が(モータ駆動電圧VMとして)カッタモータ駆動回路153へ供給されるルートである。第2経路L2は、電池150からの1次側電圧VHが定電圧回路152を介すことなくそのまま(モータ駆動電圧VMとして)カッタモータ駆動回路153へ供給されるルートである。
そして、上記切断刃223による部分切断が完全に実行されたか否かが、上記制御部20に備えられたCPU162によって検出され、部分切断の実行が検出されなかったのを契機に、電池150からモータ90への電流供給経路が、上記第1経路L1から上記第2経路L2へと切り替えられる。この経路切替のために、電池150に並列接続された第1スイッチSH1(経路切替手段に相当)及び第2スイッチSH2(経路切替手段に相当)が設けられている。
第1スイッチSH1は、上記第1経路L1において、電池150と定電圧回路152とを接続する。すなわち、第1経路L1は、電池150から第1スイッチSH1及び定電圧回路152を経てカッタ駆動モータ制御回路153へ至る電流供給経路として構成される。第1経路L1では、電池150の出力電圧(例えば7.5[V])が1次側電圧VHとして定電圧回路152に入力され、定電圧回路152で定電圧制御された電圧(例えば6.0[V])が2次側電圧としてカッタ駆動モータ制御回路153へ出力され、カッタ駆動モータ制御回路153で電流制御した電流がカッタ駆動モータ90へと供給される。なお、上記サーマルヘッド10及び上記テープ駆動モータ制御回路710が、上記定電圧回路152とともに第1スイッチSH1に対し並列に接続される。
第2スイッチSH2は、上記第2経路L2において、(安定化回路152を経ずに)直接、電池150とカッタ駆動モータ制御回路153とを接続する。すなわち、第2経路L2は、電池150から第2スイッチSH2を経てカッタ駆動モータ制御回路153へ至る電流供給経路として構成される。第2経路L2では、電池150の出力電圧(すなわち1次側電圧VH)がそのままカッタ駆動モータ制御回路153へ出力され、カッタ駆動モータ制御回路153で電流制御した電流がカッタ駆動モータ90へと供給される。
上記第1経路L1と第2経路L2とを切り替えるための、上記第1スイッチSH1と第2スイッチSH2の開閉制御は、CPU162によって行われる。すなわち、CPU162には、上記第1検出センサ91(切断検出手段に相当。以下適宜、単に「切断センサ91」という)及び第2検出センサ92が接続されており、これらセンサ91,92の検出結果が入力される。また、CPU162は、電池150の1次側電圧VHと、上記モータ駆動電圧VMとが入力される。そして、CPU162は、上記切断センサ91の検出結果や、上記1次側電圧VH及び上記モータ駆動電圧VMの値に応じて、第1スイッチSH1及び第2スイッチSH2の開閉制御信号を出力することにより、第1経路L1及び第2経路L2を切り替える(詳細は後述)。また、CPU162は、カッタ駆動モータ制御回路153に駆動制御信号を出力することにより、カッタ駆動モータ90の正転・逆転動作を行わせる(詳細は後述)。
<制御手順>
上記手法を実現するために、上記ハーフカット機構200による部分切断の実行時において、CPU162によって実行される制御手順を図15に示す。
図15において、まず、ステップS5で、CPU162は、第1スイッチSH1及び第2スイッチSH2に対し開閉制御信号を出力し、第1スイッチSH1をON(閉じ状態)、第2スイッチSH2をOFF(開き状態)とする。これにより、電池150からカッタ駆動モータ90への電流供給経路を、定電圧回路152を経由する第1経路L1に切り替える。ステップS5が終了すると、ステップS10へ移る。
ステップS10では、CPU162は、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90を正転駆動させる。これにより、ハーフ切断機構200のカム板760が基準位置から第一変位位置へ向けて第一作動方向(正面視で時計方向)に回転する。ステップS10が終了すると、ステップS15へ移る。
ステップS15では、CPU162は、上記ステップS10における上記カム板760の回転に伴い、所定時間内に切断センサ91がON状態となったか否かを判定する。カッタ駆動モータ90の正転によりカム板760が上記第一変位位置まで回転すると、前述したように第一検出板765が可動ピン91Aに接触し、切断センサ91がON状態となる。カム板760が上記第一変位位置まで回転した(切断センサ91がON状態となった)時点で、被印字テープ57は切断刃223によって受台213に押圧される。上記所定時間は、例えば、正常時にカム板760が基準位置から第一変位位置まで回転するのに要する所要時間よりも長く設定されている。上記ステップS10における上記カム板760の回転開始後、上記所定時間内に切断センサがON状態となればこのステップS15の判定が満たされ(ステップS15:YES)、ステップS20へ移る。所定時間内に切断センサがON状態とならなければ判定が満たされず(ステップS15:NO)、後述のステップS45へ移る。
ステップS20では、CPU162は、切断センサ91がON状態となってからカッタ駆動モータ90がさらに所定量だけ正転したか否かを判定する。カッタ駆動モータ90は、切断センサがON状態となった後、カム板760の回転位置を上記カム保持位置へとするためにさらに所定量回転する。所定量の回転によりカム保持位置へ移動したカム板760は、前述したように、第一駆動ピン763を挿入したガイド溝233による移動規制により、カム保持位置に保持される。そして、切断刃223は、カム板760が第一変位位置からカム保持位置まで回転する間、被印字テープ57を受台213に向けて強く付勢する。カッタ駆動モータ90が上記所定量だけ正転するまではステップS20の判定が満たされず(ステップS20:NO)、ループ待機する。カッタ駆動モータ90が上記所定量だけ正転すると判定が満たされ(ステップS20:YES)、ステップS25へ移る。
ステップS25では、CPU162は、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90の駆動を所定時間停止させる。上記のようにカム保持位置に保持されたカム板760は、このカッタ駆動モータ90の所定時間の駆動停止により、カム保持位置に所定時間保持される。上述したように、カム板760がカム保持位置まで回転する間に被印字テープ57を受台213に向けて強く付勢した切断刃223は、カム板760がカム保持位置に保持される間、引き続き被印字テープ57を受台213に向けて強く付勢する。これにより、切断刃223による被印字テープ57の部分切断が実行され、被印字テープ57の一部(この例では剥離層)が切断される。ステップS25が終了すると、ステップS30へ移る。
ステップS30では、CPU162は、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90を逆転駆動させる。これにより、上述したように、カム板760がカム保持位置から第一変位位置へ向けて第二作動方向(ここでは正面視で反時計方向)に回転する。ステップS30が終了すると、ステップS35へ移る。
ステップS35では、CPU162は、切断センサ91がOFF状態となったか否かを判定する。すなわち、上述したように、カッタ駆動モータ90の逆転駆動により、カム板760が第一変位位置まで回転し、第一検出板765が可動ピン91Aから離れると、切断センサ91がOFF状態となる。切断センサ91がOFF状態となっていない場合は判定が満たされず(ステップS35:NO)、上記ステップS30へ戻って、同様の手順を繰り返す。切断センサ91がOFF状態となった場合は判定が満たされ(ステップS35:YES)、ステップS40へ移る。
ステップS40では、CPU162は、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90の駆動を停止する。これにより、上述したように、第一駆動ピン763が腕部242により移動され、第一駆動ピン763の移動に伴って、カム板760が基準位置まで回転する。その後、このフローを終了する。
一方、上記ステップS15での判定が満たされず(ステップS15:NO)移行したステップS45では、CPU162は、上記のようにして入力される、(電池150の出力電圧である)1次側電圧VHが、カッタ駆動モータ90について予め定めた所定のしきい値(例えば、切断刃223を駆動可能な上記最小限電圧よりもあるオフセット分だけ高い値。一例としてはモータ定格電圧の6.0[V])以上であるか否かを判定する。すなわち、テープ印刷装置1の繰り返し使用により電池150が消耗すると、電池150の起電力、すなわち1次側電圧VHが低下する。1次側電圧VHがモータ90のしきい値以上であれば判定が満たされ(ステップS45:YES)、ステップS105へ移る。
ステップS105では、CPU162は、切断刃223が機械的な阻害要因(例えば異物が挟まることによる切断刃223の可動阻害)によって部分切断が実行できない状態であるとみなし、テープ印刷装置1の適宜の表示部(図示せず。表示手段に相当)に制御信号を出力し、機械的阻害を表す警告表示(第1警告表示に相当。例えば「カッタエラー」の文字表示等)の表示を行わせる。その後、このフローを終了する。
一方、ステップS45において、1次側電圧VHがモータ90のしきい値未満であれば判定が満たされず(ステップS45:NO)、ステップS50へ移る。ステップS50では、CPU162は、第1スイッチSH1及び第2スイッチSH2に対しそれぞれ開閉制御信号を出力し、第1スイッチSH1をOFF(開き状態)、第2スイッチSH2をON(閉じ状態)とする。これにより、電池150からカッタ駆動モータ90への電流供給経路を、定電圧回路151を経由する第1経路L1から、定電圧回路152を経由しない第2経路L2に切り替える。ステップS50が終了すると、ステップS55へ移る。
ステップS55では、CPU162は、上記ステップS10と同様、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ制御回路153によりカッタ駆動モータ90を正転駆動させる。これにより、上述したように、カム板760が基準位置から第一変位位置へ向けて回転する。ステップS55が終了すると、ステップS60へ移る。
ステップS60では、CPU162は、上記ステップS15と同様、所定時間内に切断センサ91がON状態となったか否かを判定する。上記所定時間は、上記同様、例えば、正常時にカム板760が基準位置から第一変位位置まで回転するのに要する所要時間よりも長く設定されている。上記ステップS55におけるカム板760の回転開始後、上記所定時間内に切断センサがON状態となっていなければ判定が満たされず(ステップS60:NO)、ステップS100へ移る。
ステップS100では、CPU162は、電池150の起電力がハーフカット機構200による部分切断動作が困難なレベルにまで小さくなったとみなし、上記表示部に制御信号を出力し、表示部に、電池150の起電力の実質的な欠如を表す警告表示(第3警告表示に相当。例えば「Battery Empty」の文字表示等)を行わせる。その後、このフローを終了する。
一方、上記所定時間内に切断センサがON状態となればステップS60の判定が満たされ(ステップS60:YES)、ステップS65へ移る。ステップS65では、CPU162は、上記ステップS20と同様、切断センサ91がON状態となってからカッタ駆動モータ90がさらに所定量だけ正転したか否かを判定する。上述したように、所定量の回転によりカム保持位置へ移動したカム板760は、カム保持位置に保持される。切断刃223は、カム板760が第一変位位置からカム保持位置まで回転する間、被印字テープ57を受台213に向けて強く付勢する。カッタ駆動モータ90が上記所定量だけ正転するまでは判定が満たされず(ステップS65:NO)、ループ待機する。カッタ駆動モータ90が上記所定量だけ正転すると判定が満たされ(ステップS65:YES)、ステップS70へ移る。
ステップS70では、CPU162は、上記ステップS25と同様、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90の駆動を所定時間停止させる。上述したように、カッタ駆動モータ90の所定時間の駆動停止により、カム保持位置に所定時間保持されるカム板760は、カム保持位置に保持される間、引き続き被印字テープ57を受台213に向けて強く付勢する。ステップS70が終了すると、ステップS75へ移る。
ステップS75では、CPU162は、上記ステップS30と同様、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90を逆転駆動させる。これにより、上述したように、カム板760がカム保持位置から第一変位位置へ向けて第二作動方向(ここでは正面視で反時計方向)に回転する。ステップS75が終了すると、ステップS80へ移る。
ステップS80では、CPU162は、上記ステップS35と同様、切断センサ91がOFF状態となったか否かを判定する。上述したように、カッタ駆動モータ90の逆転駆動により、カム板760が第一変位位置まで回転し、第一検出板765が可動ピン91Aから離れると、切断センサ91がOFF状態となる。切断センサ91がOFF状態となっていない場合は判定が満たされず(ステップS80:NO)、上記ステップS75へ戻って、同様の手順を繰り返す。切断センサ91がOFF状態となった場合は判定が満たされ(ステップS80:YES)、ステップS85へ移る。
ステップS85では、上記ステップS40と同様、CPU162は、カッタ駆動モータ制御回路153に対し駆動制御信号を出力し、カッタ駆動モータ90の駆動を停止する。これにより、上述したように、第一駆動ピン763が腕部242により移動され、第一駆動ピン763の移動に伴って、カム板760が基準位置まで回転する。その後、ステップS90に移る。
ステップS90では、CPU162は、モータ駆動電圧VM(この時点では第1経路L1に切り替えられていることから、上記2次側電圧に相当する)が予め設定した所定の低い電圧Vweak未満である(VM<Vweak)か否かを判定する。このときの所定電圧Vweakは、カッタ駆動モータ90の定格電圧(例えば6.0[V])よりも低いが、モータ90を駆動可能な電圧値(例えば4.5[V])に設定される。VM<Vweakであった場合はステップS90の判定が満たされ(ステップS90:YES)、ステップS95へ移る。
ステップS95では、CPU162は、電池150の起電力が要注意レベルにまで小さくなってきたとみなして上記表示部(図示せず)に制御信号を出力し、上記表示部に、電池150の起電力の低下を表す警告表示(第2警告表示に相当。例えば「Battery Weak」の文字表示等)を行わせる。その後、このフローを終了する。
一方、上記ステップS90において、VM≧Vweakである場合は、判定が満たされず(ステップS90:NO)、電池150の起電力は(上記電流供給経路の切替を行うことで)まだ問題なく使用可能なレベルであるとみなされ、そのままこのフローを終了する。
なお、以上の図15のフローにおいて、上記ステップS15を実行するCPU162が各請求項記載の1次側電圧検出手段及び第1判定手段として機能し、上記ステップS50を実行するCPU162が各請求項記載の切替制御手段として機能する。また、上記ステップS95を実行するCPU162が、各請求項記載の第2表示制御手段として機能し、上記ステップS100を実行するCPU162が各請求項記載の第3表示制御手段として機能し、上記ステップS105を実行するCPU162が各請求項記載の第1表示制御手段として機能する。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のテープ印刷装置1では、テープ駆動ローラ46により搬送される被印字テープ57に対し、サーマルヘッド10によって所望の印字が形成される。印字形成後の被印字テープ57は、切断刃223と受台213との協働によって厚さ方向に部分切断された後、ユーザの使用に供される。上記部分切断を行う切断刃223の進退動作は、カッタ駆動モータ90の駆動力によって行われる。
上記カッタ駆動モータ90は、電池収納部に収納された電池150からの電流によって駆動される。このとき、モータ90への供給電圧が過渡的に過大にならないように定電圧回路152が設けられている。その際、本実施形態では、電池152からカッタ駆動モータ90への電流供給経路が第1経路L1と第2経路L2との2つ、用意される。そして、本実施形態のテープ印刷装置1では、まず、電池150からカッタ駆動モータ90への電流供給経路が上記第1経路L1に切り替えられる(ステップS5参照)。これにより、安定化された定電圧をカッタモータ駆動回路を介しカッタモータ90へ供給することができる。その後、テープ印刷装置1の使用による消耗によって電池150の起電力が小さくなり、カッタモータ90への供給電圧値が上記最小限電圧未満となると、切断刃223が上記部分切断を実行できなくなる。すると、部分切断の実行が切断センサ91で検出されなかったことを契機に(ステップS15参照)、電池150からカッタ駆動モータ90への電流供給経路が上記第2経路L2に切り替えられる(ステップS50参照)。これにより、電池150からの電流は上記定電圧回路152を介すことなくモータ90へ供給されるので、上記定電圧回路152での電圧降下が消失する分、モータ90への供給電圧値を増大させることができる。この結果、切断刃223を駆動して上記被印字テープ57の部分切断を実行することができる(ステップS55〜ステップS85参照)ので、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、検出された1次側電圧VHが前述のしきい値以上であると判定された場合(ステップS45参照)には、切断刃223の進退動作に対する機械的阻害を表す上記第1警告表示が行われる(ステップS105参照)。これには以下のような意義がある。
すなわち、部分切断の実行が切断センサ91で検出されなかったとしても、その原因が上記のような電池150の消耗による起電力の低下である以外に、切断刃223の進退動作に対して何らかの機械的阻害(機械的にロックされている、等)が生じている可能性がある。これに対応し、本実施形態では上記のように部分切断の実行が切断センサ91で検出されなかった場合に、上記検出された1次側電圧VHが、上記所定のしきい値であるか否かを判定する。この判定が満たされる場合には、カッタ駆動モータ90へ供給される電圧は十分に高いにもかかわらず切断刃223が動いていないこととなる。したがって、表示部において、上記切断刃223の機械的阻害を表す第1警告表示が実行される。これにより、ユーザは、切断刃223の部分切断動作が行えない原因が、電池150の消耗ではなく他の機械的な要因であることを正しく認識することができる。
また、本実施形態では特に、上記電流供給経路が上記第2経路L2に切り替わった状態で切断センサ91による部分切断の実行の検出がなされた場合には、(この例ではさらにVM<Vweakであることを条件として)、電池150の起電力の低下を表す上記第2警告表示が行われる(ステップS95参照)。これには以下のような意義がある。
すなわち、上述の第1経路L1から第2経路L2への電流供給経路の切替によって切断刃223を動かすことができた場合は、定電圧回路152での電圧降下が生じるとカッタ駆動モータ90への供給電圧値が上記最小限電圧未満となる一方、当該電圧降下が消失すればモータ90への供給電圧値が上記最小限電圧以上となる状態である。すなわち、電池150はある程度消耗し、起電力が低下した状態である。
そこで、本実施形態においては、このような場合には、上記表示部において、上記電池150の起電力の低下を表す第2警告表示が実行される。これにより、ユーザは、切断刃223の部分切断動作が行えなかった原因が電池150の消耗であった(=電池150は既にある程度消耗している)ことを正しく認識することができる。
また、本実施形態では特に、上記電流供給経路が第2経路L2に切り替わった状態で、切断センサ91による部分切断の実行の検出がなされなかった場合には、電池150の起電力の実質的な欠如を表す上記第3警告表示が行われる(ステップS100参照)。これには以下のような意義がある。
上述の第1経路L1から第2経路L2への電流供給経路の切替によっても切断刃223を動かすことができなかった場合は、定電圧回路152での上記電圧降下が消失してもカッタ駆動モータ90への供給電圧値が上記最小限電圧未満の状態である。すなわち、電池150はかなり消耗し、テープ印刷装置1を動作させるための起電力が実質的に欠如した状態である。
そこで、本実施形態においては、このような場合には、上記表示部において、上記電池150の起電力の実質的欠如を表す上記第3警告表示が実行される。これにより、ユーザは、電池150が著しく消耗していることを正しく認識することができる。
なお、以上において、図14中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図15に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。