JP2017090405A - ガスセンサの検知電極、ガスセンサ、および、ガスセンサの製造方法 - Google Patents

ガスセンサの検知電極、ガスセンサ、および、ガスセンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】検出感度の優れたガスセンサを提供する。【解決手段】被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を測定する混成電位型のガスセンサに設けられた、前記所定ガス成分を検知するための検知電極が、貴金属と酸素イオン伝導性を有する固体電解質とのサーメットからなり、前記貴金属がPtとAuであり、前記検知電極を構成する貴金属粒子の表面から少なくとも1.5nmまでの範囲が、Au濃度比が10%以上のAu濃化領域である、ようにした。【選択図】図6

Description

本発明は、被測定ガス中の所定ガス成分を検知するガスセンサに関し、特にその検知電極に関する。
被測定ガス中の所定ガス成分を検知してその濃度を求めるガスセンサには、半導体型、接触燃焼型、酸素濃度差検知型、限界電流型、混成電位型など、種々の方式のものがある(例えば、特許文献1ないし特許文献4参照)。そのなかには、ジルコニアなどの固体電解質たるセラミックスを主たる構成材料としたセンサ素子に、貴金属を主成分とする電極を設けたものがある。
特許文献1および特許文献4には、固体電解質から成るセンサ素子を備えた、限界電流型のガスセンサであって、ポンピング用の電極として、Pt−Au合金からなる電極を備えるものが開示されている。
特許文献2には、金属酸化物と金とからなる電極と固体電解質との密着性を補うべくPtまたはAuのいずれかを主成分とする薄層を設けたガスセンサが開示されている。
特許文献3には、混成電位型のガスセンサであって、第1電極をPt−Auペーストの塗布により形成し、第2電極をPtペーストの塗布およびAuめっきにより形成してなるものが開示されている。
特許第3566089号公報 特許第4405643号公報 特許第4914447号公報 特許第5323752号公報
近年、排ガス規制が強化されたことを受けて、ガソリンエンジンにおける排ガス浄化装置(TWC:三元触媒)における未燃炭化水素浄化性能の故障診断や、ディーゼルエンジンにおける排気ガス浄化装置(DOC:ディーゼル酸化触媒)における未燃炭化水素浄化性能の故障診断の要望が高まっている。これらの用途のために、未燃炭化水素ガスを検出し、その濃度を特定することができるガスセンサが求められている。
本発明の発明者は、鋭意検討の結果、電極粒子の表面近傍におけるAuの存在比率を高めたPt−Au合金からなる検知電極において、炭化水素ガスに対する触媒活性が不能化させられ、炭化水素ガス濃度と相関のある混成電位が発現するという知見を得た。そして、係る知見に基づけば、炭化水素ガスを感度よく検知可能なガスセンサが実現されるものと思い至った。
なお、特許文献3に開示された発明では、第1の電極および第2の電極が程度の差はあれともに触媒活性を有することを前提としてガス成分濃度を求めるものとなっている。また特許文献2においては、電極の合金組成と検出感度との関係が明確ではない。
また、特許文献3には、限界電流型のガスセンサのポンピング電極を、Pt−Au合金にて電極粒子表面におけるAu存在比が0.01以上0.3以下となるように形成することで、ポンピング電極における酸素に対する選択的分解能が高めることができること、および、Au存在比が0.3を上回ると電極インピーダンスが増加して好ましくないことが開示されてはいるが、混成電位型のガスセンサについては(当然ながらその検知電極については)、何らの開示も示唆もなされてはいない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、検出感度の優れたガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の発明は、被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を測定する混成電位型のガスセンサに設けられた、前記所定ガス成分を検知するための検知電極であって、貴金属と酸素イオン伝導性を有する固体電解質とのサーメットからなり、前記貴金属がPtとAuであり、前記検知電極を構成する貴金属粒子の表面から少なくとも1.5nmまでの範囲が、Au濃度が10%以上のAu濃化領域である、ことを特徴とする。
第2の発明は、被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を測定する混成電位型のガスセンサであって、酸素イオン伝導性の固体電解質を主たる構成材料とするセンサ素子と、前記センサ素子の表面に設けられた、第1の発明に係る検知電極と、Ptと酸素イオン伝導性を有する固体電解質とのサーメットからなる基準電極と、を備え、前記検知電極と前記基準電極との間の電位差に基づいて前記所定ガス成分の濃度を求める、ことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明に係るガスセンサであって、少なくとも前記検知電極を被覆する多孔質層である電極保護層、をさらに備えることを特徴とする。
第4の発明は、第2または第3の発明に係るガスセンサであって、前記センサ素子が、前記被測定ガスが存在する空間と隔絶されてなり、基準ガスが導入される基準ガス導入空間、をさらに備え、前記基準電極が前記基準ガスの雰囲気下に配置される、ことを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明に係るガスセンサであって、前記センサ素子が、前記基準ガス導入空間に連通する多孔質層である基準ガス導入層、をさらに備え、前記基準電極が前記基準ガス導入層に被覆されてなる、ことを特徴とする。
第6の発明は、第4の発明に係るガスセンサであって、前記基準電極を前記基準ガス導入空間に露出させて配置してなる、ことを特徴とする。
第7の発明は、第2または第3の発明に係るガスセンサであって、前記検知電極と前記基準電極が前記センサ素子の表面に配置されてなる、ことを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明に係るガスセンサであって、前記検知電極と前記基準電極とが電極保護層に被覆されてなる、ことを特徴とする。
第9の発明は、第2ないし第8の発明のいずれかに係るガスセンサであって、前記所定ガス成分が炭化水素または一酸化炭素の少なくとも一種類である、ことを特徴とする。
第10の発明は、第2ないし第9の発明のいずれかに係るガスセンサの製造方法であって、いずれもが前記固体電解質からなる複数のグリーンシートを用意する工程と、前記複数のグリーンシートのうちの1つに貴金属成分中のAuの重量比率が10wt%以上である導電性ペーストを塗布することによって前記検知電極のパターンを形成する工程と、前記検知電極のパターンを形成してなるグリーンシートを含む前記複数のグリーンシートの積層体を作成する工程と、前記積層体を焼成することにより、前記検知電極が前記固体電解質と一体焼成する工程と、を備え、前記積層体を焼成する際の前記検知電極のパターンの近傍におけるAuの蒸気圧を10−6atm以上とする、ことを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明に係るガスセンサの製造方法であって、前記積層体を焼成する際に前記積層体を所定の部材にて囲繞することにより前記検知電極のパターンの近傍におけるAuの蒸気圧を10−6atm以上とする、ことを特徴とする。
第1ないし第11の発明によれば、初期の感度特性に優れるとともに、経時的な出力低下が抑制された、耐久性の優れたガスセンサが実現される。
第1の構成に係るガスセンサ100Aの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。 ガスセンサ100Aの変形例であるガスセンサ100Bの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。 第2の構成に係るガスセンサ100Cの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。 センサ素子101Aないし101Cを作製する際の処理の流れを示す図である。 検知電極10の走査顕微鏡(SEM)像である。 検知電極10の詳細構成を模式的に示す図である。 検知電極10周りのAuの蒸気圧を10−6atm以上とするための具体的な方策の一つを例示する図である。 実施例の各試料の初期特性を示す図である。 試料a−1と試料b−1の劣化加速試験の結果を示す図である。
<第1の構成>
図1は、本発明の第1の構成に係るガスセンサ100Aの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図1(a)は、ガスセンサ100Aの主たる構成要素であるセンサ素子101Aの長手方向に沿った垂直断面図である。また、図1(b)は、図1(a)のA−A’位置におけるセンサ素子101Aの長手方向に垂直な断面を含む図である。
本発明の第1の構成に係るガスセンサ100Aは、いわゆる混成電位型のガスセンサである。ガスセンサ100Aは、概略的にいえば、ジルコニア(YSZ)等の酸素イオン伝導性固体電解質たるセラミックスを主たる構成材料とするセンサ素子101Aの表面に設けた検知電極10と、該センサ素子101Aの内部に設けた基準電極20との間に、混成電位の原理に基づいて両電極近傍における測定対象たるガス成分の濃度の相違に起因して電位差が生じることを利用して、被測定ガス中の当該ガス成分の濃度を求めるものである。
より具体的には、ガスセンサ100Aは、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関の排気管内に存在する排ガスを被測定ガスとし、該被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を、好適に求めるためのものである。なお、本明細書においては、測定対象たる所定ガス成分が未燃炭化水素ガスである場合を例として、説明を行うものとする。係る場合において、未燃炭化水素ガスには、C、C、n−C8などの典型的な炭化水素ガス(化学式上、炭化水素に分類されるもの)に加えて、一酸化炭素(CO)も含むものとする。なお、被測定ガス中に複数種類の未燃炭化水素ガスが存在する場合は、検知電極10と基準電極20の間に生じる電位差はそれら複数種類の未燃炭化水素ガスの全てが寄与した値となるので、求められる濃度値も、それら複数種類の未燃炭化水素ガスの濃度の総和となる。
また、センサ素子101Aには、上述した検知電極10および基準電極20に加えて、基準ガス導入層30と、基準ガス導入空間40と、表面保護層50とが主に設けられてなる。
なお、本発明の第1の構成においては、センサ素子101Aが、それぞれが酸素イオン伝導性固体電解質からなる第1固体電解質層1と、第2固体電解質層2と、第3固体電解質層3と、第4固体電解質層4と、第5固体電解質層5と、第6固体電解質層6との6つの層を、図面視で下側からこの順に積層した構造を有し、かつ、主としてそれらの層間あるいは素子外周面に他の構成要素を設けてなるものとする。なお、それら6つの層を形成する固体電界質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101Aは、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
ただし、ガスセンサ100Aがセンサ素子101Aをこのような6つの層の積層体として備えることは必須の態様ではない。センサ素子101Aは、より多数あるいは少数の層の積層体として構成されていてもよいし、あるいは積層構造を有していなくともよい。
以下の説明においては、便宜上、図面視で第6固体電解質層6の上側に位置する面をセンサ素子101Aの表面Saと称し、第1固体電解質層1の下側に位置する面をセンサ素子101Aの裏面Sbと称する。また、ガスセンサ100Aを使用して被測定ガス中の未燃炭化水素ガスの濃度を求める際には、センサ素子101Aの一方端部である先端部E1から少なくとも検知電極10を含む所定の範囲が、被測定ガス雰囲気中に配置され、他方端部である基端部E2を含むその他の部分は、被測定ガス雰囲気と接触しないように配置されるものとする。
検知電極10は、被測定ガスを検知するための電極である。検知電極10は、Auを所定の比率で含むPt、つまりはPt−Au合金と、ジルコニアとの多孔質サーメット電極として形成されてなる。係る検知電極10は、センサ素子101Aの表面Saであって、長手方向の一方端部たる先端部E1寄りの位置に平面視略矩形状に設けられてなる。なお、ガスセンサ100Aが使用される際には、センサ素子101Aのうち、少なくとも係る検知電極10が設けられている部分までが、被測定ガス中に露出する態様にて配置される。
また、検知電極10は、その構成材料たるPt−Au合金の組成を好適に定めることによって、未燃炭化水素ガスに対する触媒活性が不能化されてなる。つまりは、検知電極10での未燃炭化水素ガスの分解反応を抑制させられてなる。これにより、ガスセンサ100Aにおいては、検知電極10の電位が未燃炭化水素ガスに対して選択的に、その濃度に応じて変動する(相関を有する)ようになっている。換言すれば、検知電極10は、未燃炭化水素ガスに対しては電位の濃度依存性が高い一方で、他の被測定ガスの成分に対しては電位の濃度依存性が小さいという特性を有するように、設けられてなる。
より詳細には、本発明の第1の構成に係るガスセンサ100Aのセンサ素子101Aにおいては、検知電極10を構成するPt−Au合金粒子の表面におけるAu濃度を好適に定めることで、少なくとも2000ppmC以下の濃度範囲において電位の濃度依存性が顕著であるように、検知電極10が設けられてなる。これはすなわち、検知電極10が、2000ppmC以下の濃度範囲において未燃炭化水素ガス濃度を好適に検知できるように設けられていることを意味する。
加えて、ガスセンサ100Aにおいては、検知電極10を構成するPt−Au合金粒子の表面から深さ方向(粒径方向)の所定範囲がAu濃度の大きいAu濃化領域とされてなる。これにより、検知電極10からのAuの脱離に起因した検知電極10の経時劣化が抑制されてなり、ガスセンサ100Aにおいては、経時的な出力低下が抑制され、長期的な安定性(耐久性)が確保されてなる。
なお、本明細書において、Au濃度とは、本来的には検知電極10を構成する貴金属粒子の表面のうち、Auが被覆している部分の面積比率を意味する。本明細書においては、貴金属粒子の表面に対しAES(オージェ電子分光法)による測定を行うことにより得られるオージェスペクトルにおけるAuとPtとについての検出値を用い、
Au濃度(%)=100×Au検出値/(Au検出値+Pt検出値)・・・(1)
なる式にてAu濃度を算出する。ただし、本明細書においては、検知電極10を構成する貴金属粒子についてAESにより深さ方向分析を行うことで得られるAu検出値とPt検出値とを用い、(1)式に基づいて算出した値についても、当該深さ位置における(当該深さ位置が粒子表面であったと仮定した場合の)Au濃度であるとする。
AES測定は、後述する表面保護層50がなく検知電極10が露出している場合は、当該検知電極10の表面に存在する貴金属粒子を測定対象として行えばよく、検知電極10が露出していない場合は、当該検知電極10の部分を破断し、破断面に存在する貴金属粒子の表面を測定対象として行えばよい。
また、Au濃化領域とは、(1)式によって算出されるAu濃度が10%以上の領域であるとする。
検知電極10の詳細については後述する。
基準電極20は、センサ素子101Aの内部に設けられた、被測定ガスの濃度を求める際に基準となる平面視略矩形状の電極である。基準電極20は、Ptとジルコニアとの多孔質サーメット電極として形成されてなる。
基準電極20は、気孔率が10%以上30%以下であり、厚みが5μm以上15μm以下であるように形成されればよい。また、基準電極20の平面サイズは、図1に例示するように検知電極10に比して小さくてもよいし、後述する第2の構成のように検知電極10と同程度でもよい(図3参照)。
基準ガス導入層30は、センサ素子101Aの内部において基準電極20を覆うように設けられた、多孔質のアルミナからなる層であり、基準ガス導入空間40は、センサ素子101Aの基端部E2側に設けられた内部空間である。基準ガス導入空間40には、未燃炭化水素ガス濃度を求める際の基準ガスとしての大気(酸素)が外部より導入される。
これら基準ガス導入空間40と基準ガス導入層30は互いに連通しているので、ガスセンサ100Aが使用される際には基準ガス導入空間40および基準ガス導入層30を通じて基準電極20の周囲が絶えず大気(酸素)で満たされるようになっている。それゆえ、ガスセンサ100Aの使用時、基準電極20は、常に一定の電位を有してなる。
なお、基準ガス導入空間40および基準ガス導入層30は周囲の固体電解質によって被測定ガスと接触しないようになっているので、検知電極10が被測定ガスに曝されている状態であっても、基準電極20が被測定ガスと接触することはない。
図1に例示する場合であれば、センサ素子101Aの基端部E2の側において第5固体電解質層5の一部が外部と連通する空間とされる態様にて基準ガス導入空間40が設けられてなる。また、第5固体電解質層5と第6固体電解質層6との間においてセンサ素子101Aの長手方向に延在させる態様にて基準ガス導入層30が設けられてなる。そして、センサ素子101Aの重心の図面視下方の位置に、基準電極20が設けられてなる。
表面保護層50は、センサ素子101Aの表面Saにおいて少なくとも検知電極10を被覆する態様にて設けられた、アルミナからなる多孔質層である。表面保護層50は、ガスセンサ100Aの使用時に被測定ガスに連続的に曝されることによる検知電極10の劣化を抑制する電極保護層として設けられてなる。図1に例示する場合においては、表面保護層50は、検知電極10のみならず、センサ素子101Aの表面Saのうち先端部E1から所定の範囲を除くほぼ全ての部分を覆う態様にて設けられてなる。
また、図1(b)に示すように、ガスセンサ100Aにおいては、検知電極10と基準電極20との間の電位差を測定可能な電位差計60が備わっている。なお、図1(b)においては検知電極10および基準電極20と電位差計60との間の配線を簡略化して示しているが、実際のセンサ素子101Aにおいては、基端部E2側の表面Saもしくは裏面Sbに図示しない接続端子がそれぞれの電極に対応させて設けられてなるとともに、それぞれの電極と対応する接続端子とを結ぶ図示しない配線パターンが表面Saおよび素子内部に形成されてなる。そして、検知電極10および基準電極20と電位差計60とは配線パターンおよび接続端子を通じて電気的に接続されてなる。以降、電位差計60で測定される検知電極10と基準電極20との間の電位差をセンサ出力とも称する。
さらに、センサ素子101Aは、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101Aを加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74、圧力放散孔75とを備えている。
ヒータ電極71は、センサ素子101Aの裏面Sb(図1においては第1固体電解質層1の下面)に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータ電極71を図示しない外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、センサ素子101Aの内部に設けられた電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータ電極71と接続されており、該ヒータ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101Aを形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
図1に例示する場合であれば、ヒータ72は第2固体電解質層2と第3固体電解質層3とに上下から挟まれた態様にて、かつ、基端部E2から先端部E1近傍の検知電極10の下方の位置に渡って埋設されてなる。これにより、センサ素子101A全体を固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2固体電解質層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3固体電解質層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3固体電解質層3を貫通し、基準ガス導入空間40に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
以上のような構成を有するガスセンサ100Aを用いて被測定ガスにおける未燃炭化水素ガス濃度を求める際には、上述したように、センサ素子101Aのうち先端部E1から少なくとも検知電極10を含む所定の範囲のみを、被測定ガスが存在する空間に配置する一方で、基端部E2の側は当該空間とは隔絶させて配置し、基準ガス導入空間40に対し大気(酸素)を供給する。また、ヒータ72によりセンサ素子101Aを適宜の温度400℃〜800℃に、好ましくは500℃〜700℃、より好ましくは500℃〜600℃に加熱する。
係る状態においては、被測定ガスに曝されてなる検知電極10と大気中に配置されてなる基準電極20との間に電位差が生じる。ただし、上述のように、大気(酸素濃度一定)雰囲気下に配置されてなる基準電極20の電位は一定に保たれている一方で、検知電極10の電位は、被測定ガス中の未燃炭化水素ガスに対して選択的に濃度依存性を有するものとなっているので、その電位差(センサ出力)は実質的に、検知電極10の周囲に存在する被測定ガスの組成に応じた値となる。それゆえ、未燃炭化水素ガス濃度と、センサ出力との間には一定の関数関係(これを感度特性と称する)が成り立つ。以降の説明においては、係る感度特性につき、検知電極10についての感度特性などと称することがある。
実際に未燃炭化水素ガス濃度を求めるにあたっては、あらかじめ、それぞれの未燃炭化水素ガス濃度が既知である相異なる複数の混合ガスを被測定ガスとしてセンサ出力を測定することで、感度特性を実験的に特定しておく。これにより、ガスセンサ100Aを実使用する際には、被測定ガス中の未燃炭化水素ガスの濃度に応じて時々刻々変化するセンサ出力を、図示しない演算処理部において感度特性に基づき未燃炭化水素ガス濃度に換算することによって、被測定ガス中の未燃炭化水素ガス濃度をほぼリアルタイムで求めることができる。
<第1の構成の変形例>
図2は、ガスセンサ100Aの変形例であるガスセンサ100Bの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図2(a)は、ガスセンサ100Bの主たる構成要素であるセンサ素子101Bの長手方向に沿った垂直断面図である。また、図2(b)は、図2(a)のB−B’位置におけるセンサ素子101Bの長手方向に垂直な断面を含む図である。
ガスセンサ100Bは、ガスセンサ100Aのセンサ素子101Aの基準ガス導入空間40を検知電極10の下方にまで延在させる一方で、基準ガス導入層30を省略し、かつ、基準電極20を基準ガス導入空間40に露出させる態様にて設けたものである。それ以外の構成についてはガスセンサ100Aと同じである。それゆえ、センサ出力の生じ方や、検知電極10におけるAu濃化領域の形成態様についても、ガスセンサ100Aの場合と同じである。すなわち、ガスセンサ100Bも、ガスセンサ100Aと同様に、いわゆる混成電位型のガスセンサであり、検知電極10の経時劣化が抑制されてなる。
よって、以上のような構成を有するガスセンサ100Bにおいても、ガスセンサ100Aによると同様にセンサ素子101Bを配置し、あらかじめ感度特性を特定しておくことで、被測定ガス中の未燃炭化水素ガス濃度を求めることができる。また、経時的な出力低下が抑制され、出力の長期的な安定性(耐久性)が確保されてなる。
<第2の構成>
図3は、本発明の第2の構成に係るガスセンサ100Cの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図3(a)は、ガスセンサ100Cの主たる構成要素であるセンサ素子101Cの長手方向に沿った垂直断面図である。また、図3(b)は、図3(a)のC−C’位置におけるセンサ素子101Cの長手方向に垂直な断面を含む図である。
ガスセンサ100Cも、ガスセンサ100Aおよび100Bと同様に、いわゆる混成電位型のガスセンサである。ただし、ガスセンサ100Cのセンサ素子101Cは、上述したセンサ素子101Aやセンサ素子101Bとは異なり、検知電極10のみならず基準電極20についてもセンサ素子101Cの表面Saに配置してなるとともに表面保護層50で被覆してなる。なお、それぞれの電極の構成材料自体は、ガスセンサ100Aおよび100Bと同じである。
その一方で、内部に基準ガス導入空間40(さらには基準ガス導入層30)および圧力放散孔75は備えていない。その他の構成要素についてはガスセンサ100Aおよび100Bと同様である。なお、図3に示す場合においては、検知電極10と基準電極20とは、長手方向において同じ位置に設けられてなる(図3(b)参照)が、これは必須の態様ではなく、長手方向に沿って配置されていてもよい。
以上のような構成を有するガスセンサ100Cを用いて被測定ガスにおける未燃炭化水素ガス濃度を求める際には、ガスセンサ100Aおよび100Bとは異なり、検知電極10に加えて基準電極20もが被測定ガスに曝される態様にて、センサ素子101Cを配置する。それゆえ、検知電極10と基準電極20とは同じ雰囲気に曝されることになるが、両電極の構成材料はガスセンサ100Aおよび100Bと同じであるので、検知電極10の電位が未燃炭化水素ガス濃度に対して選択的に変動する点も同じである。一方で、Ptとジルコニアとの多孔質サーメット電極として形成されてなる基準電極20では、検知電極10とは異なり、特定のガス成分に対し触媒活性が抑制されているわけではないことから、結果として、未燃炭化水素ガス以外のガス成分に対する挙動は検知電極10と基準電極20とにおいて同じとなる。それゆえ、ガスセンサ100Cにおいても、センサ出力は実質的に、被測定ガス中に存在する未燃炭化水素ガスに応じて変動することになる。
また、ガスセンサ100Cにおいても、ガスセンサ100Aおよび100Bと同様に、検知電極10はAu濃化領域を有するように形成されてなるので、検知電極10の経時劣化が抑制されてなる。
従って、ガスセンサ100Cにおいても、ガスセンサ100Aおよび100Bによると同様に、あらかじめ感度特性を特定しておくことで、被測定ガス中の未燃炭化水素ガス濃度を求めることができる。また、経時的な出力低下が抑制され、出力の長期的な安定性(耐久性)が確保されてなる。
<センサ素子の製造プロセスの概要>
次に、図1ないし図3に例示するような層構造を有する場合を例として、センサ素子101Aないし101Cを製造するプロセスについて説明する。概略的にいえば、図1ないし図3に例示するセンサ素子101Aないし101Cは、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含むグリーンシートからなる積層体を形成し、該積層体を切断・焼成することによって作製される。酸素イオン伝導性固体電解質としては、例えば、イットリウム部分安定化ジルコニア(YSZ)などが例示される。
図4は、センサ素子101Aないし101Cを作製する際の処理の流れを示す図である。センサ素子101Aないし101Cを作製する場合、まず、パターンが形成されていないグリーンシートであるブランクシート(図示せず)を用意する(ステップS1)。具体的には第1ないし第6固体電解質層1〜6に対応する6枚のブランクシートが用意される。併せて、表面保護層50を形成するためのブランクシートも用意される。ブランクシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いる複数のシート穴が設けられている。係るシート穴は、パンチング装置による打ち抜き処理などで、あらかじめ形成されている。なお、対応する層が内部空間を構成するグリーンシートの場合、該内部空間に対応する貫通部も、同様の打ち抜き処理などによってあらかじめ設けられる。また、センサ素子101Aないし101Cの各層に対応するそれぞれのブランクシートの厚みは、全て同じである必要はない。
各層に対応したブランクシートが用意できると、それぞれのブランクシートに対して種々のパターンを形成するパターン印刷・乾燥処理を行う(ステップS2)。具体的には、検知電極10および基準電極20などの電極パターンや、基準ガス導入層30や、図示を省略している内部配線などが形成される。なお、第1固体電解質層1に対しては、後工程において積層体を切断するときに切断位置の基準とされるカットマークも印刷される。
各々のパターンの印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してブランクシートに塗布することにより行う。印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。
パターン印刷が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う(ステップS3)。接着用ペーストの印刷には、公知のスクリーン印刷技術を利用可能であり、印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。
続いて、接着剤が塗布されたグリーンシートを所定の順序に積み重ねて、所定の温度・圧力条件を与えることで圧着させ、一の積層体とする圧着処理を行う(ステップS4)。具体的には、図示しない所定の積層治具に積層対象となるグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ積み重ねて保持し、公知の油圧プレス機などの積層機によって積層治具ごと加熱・加圧することによって行う。加熱・加圧を行う圧力・温度・時間については、用いる積層機にも依存するものであるが、良好な積層が実現できるよう、適宜の条件が定められればよい。
上述のようにして積層体が得られると、続いて、係る積層体の複数個所を切断してセンサ素子101Aないし101Cの個々の単位(素子体と称する)に切り出す(ステップS5)。切り出された素子体を、所定の条件下で焼成することにより、上述のようなセンサ素子101Aないし101Cが生成される(ステップS6)。すなわち、センサ素子101Aないし101Cは、固体電解質層と電極との一体焼成によって生成されるものである。その際の焼成温度は、1200℃以上1500℃以下が好適である。なお、係る態様にて一体焼成がなされることで、センサ素子101Aないし101Cにおいては、各電極が十分な密着強度を有するものとなっている。
このようにして得られたセンサ素子101Aないし101Cは、所定のハウジングに収容され、ガスセンサ100Aないし100Cの本体(図示せず)に組み込まれる。
<検知電極の詳細>
図5は、検知電極10の走査顕微鏡(SEM)像である。図5(a)は断面像であり、図5(b)は表面像である。また、図6は、検知電極10の詳細構成を模式的に示す図である。上述したように、検知電極10は多孔質サーメット電極として形成されてなるが、これは、より詳細には、図5に示すように、あるいはさらに図6(a)に模式的に示すように、多数のPt−Au合金粒子10A(図5においては白色に観察される)と多数のジルコニア(YSZ)粒子10B(図5においては灰色に観察される)とが、第6固体電解質層6上の所定の範囲内において、所々に孔部10C(図5においては黒色に観察される)を形成しつつランダムに隣接し合う状態で存在することによって実現されてなる。
加えて、ガスセンサ100Aないし100Cにおいては、上述のように、検知電極10を、未燃炭化水素ガスに対する触媒活性が不能化されるように、かつ、検知電極10を構成するPt−Au合金粒子の表面近傍の所定範囲がAu濃化領域となるように、形成する。図6(b)は、図6(a)に例示した検知電極10を構成するPt−Au合金粒子10Aを拡大した図であり、図6(c)は、図6(b)のPt−Au合金粒子10Aの表面近傍の部分Eにおける原子配列の模式図であるが、図6(c)に示すように、Pt−Au合金粒子10Aの表面近傍のAu濃化領域は、それよりも粒子表面から遠い領域である非濃化領域に比して、Au原子の存在比率が高い領域として形成される。
具体的には、検知電極10を構成するPt−Au合金粒子10Aの表面から少なくとも深さ1.5nmまでの範囲がAu濃化領域となるように、検知電極10を形成する。係る場合、Au濃化領域が形成されない場合に比して検出感度が高くなるという効果に加えて、ガスセンサ100Aないし100Cにおける出力の経時的な変化(出力低下)が抑制されるという効果が得られる。
前者は、未燃炭化水素ガスに対する触媒活性を有するPtよりも触媒活性を有さないAuの方がPt−Au合金粒子10Aの表面における存在比(粒子表面におけるAuの面積比率)が大きいほど、検知電極10の触媒活性が不能化されやすくなって検知電極10における電位が大きくなることによる効果である。
一方、後者は、ガスセンサ100Aないし100Cの使用を継続するなかでPt−Au合金粒子10Aの表面に存在するAuが当該表面から脱離したとしても、Au濃化領域がPt−Au合金粒子10Aの深さ方向にも存在する検知電極10ではAuが脱離した後の表面においてもAuの存在比の低下が抑制されてなる、ということの効果である。
後者についてより具体的に説明すると、ガスセンサ100Aないし100Cを構成するセンサ素子101Aないし101Cはその使用時、ヒータ部70によって加熱され、また被測定ガス雰囲気からも熱を受ける。これにより、検知電極10も加熱されるが、係る加熱に伴って飽和蒸気圧の高いAuがPt−Au合金粒子10Aの表面から脱離する。仮に、Pt−Au合金粒子10Aにおいて表面から深さ1.5nm未満の範囲のみにAu濃化領域が存在する場合、ガスセンサ100Aないし100Cの使用開始当初は、Pt−Au合金粒子10Aの表面におけるAuの存在比は高いので、検知電極10の触媒活性は良好に不能化され、好適なセンサ出力が得られるものの、使用が継続するにつれてPt−Au合金粒子10Aの表面からのAuの脱離が進行してAuの存在比が低下してしまい、センサ出力が顕著に低下してしまうという不具合が生じる。
これに対し、センサ素子101Aないし101Cの場合は、検知電極10を構成するPt−Au合金粒子10Aにおいて最表面のみならず深さ方向にもAuの存在比率が高いAu濃化領域が存在しているので、Pt−Au合金粒子10Aの表面からのAuの脱離が進行してもAuの存在比の低下は抑制される。それゆえ、センサ出力の経時的な低下も抑制される。
このような作用効果を奏するAu濃化領域は、検知電極10の形成に用いるパターン形成用ペースト(導電性ペースト)におけるAu仕込み量を所定の値以上とするとともに、センサ素子101Aないし101Cとなる素子体の焼成を、Auの蒸気圧が高い雰囲気にて行うことで実現される。例えば、焼成温度が1300℃〜1400℃の場合には、理論上、検知電極10周りの雰囲気が、Auの蒸気圧が10−6atm以上であるAu過剰雰囲気となるように焼成条件を調整することで、深さ方向にもAu濃化領域を有する検知電極10が形成される。
図7は、検知電極10周りのAuの蒸気圧を10−6atm以上とするための具体的な方策の一つを例示する図である。図7に示す場合においては、図示を省略する焼成炉の内部に配置されてなる、焼成によってセンサ素子101Aないし101Cのいずれかとなる素子体101αが、例えば緻密アルミナ製の鞘材(蓋部材)Sなどの囲繞部材にて囲繞される(所定の間隙を有しつつ覆われる)ことで、焼成炉の内容積に比して充分狭い空間内に素子体101αが配置された状態が実現されてなる。
係る状態にて素子体101αを焼成すると、その途中過程において、図7(a)に示すように、焼成によって検知電極10となるペースト膜10αから、Auが蒸発(脱離)する。しかしながら、素子体101αが鞘材Sにて囲繞されてなることで、鞘材S内部のペースト膜10αの近傍においては、比較的少ない量のAu原子が蒸発しただけであっても、図7(b)に示すようなAu過剰雰囲気が実現される。そして、このAu過剰雰囲気下では、ペースト膜10αからのAuの蒸発は生じにくくなるので、ペースト膜10αの焼成が進行して検知電極10が形成される過程においては、ペースト膜10α内に存在するAu原子がPt−Au合金粒子10Aの表面に偏在する状態が実現され、最終的にAu濃化領域が形成される。
係る態様でのAu濃化領域の形成は、「鞘材の内容積をAu平衡蒸気圧とするのに要するAu量<<ペースト膜10αにおけるAu量」の関係が達成されれば実現される。その場合におけるペースト膜10αにおけるAu混合比、鞘材Sのサイズ(内容積)や素子体101αとの間隙距離、焼成条件などの具体的な条件は、作製しようとするセンサ素子101Aないし10Cのサイズや検知電極10のサイズなどを勘案しつつ、適宜に定められればよい。
仮に、鞘材Sを設けない場合、「焼成炉の内容積をAu平衡蒸気圧とするのに要するAu量>>ペースト膜10αにおけるAu量」の関係が成立するため、十分なAu濃化の達成は見込めない。
なお、検知電極10周りのAuの蒸気圧を10−6atm以上とするに際しては、図7に例示した態様での鞘材Sの配置と併せ、ペースト膜10αを低気孔率の保護層で覆うことなどを行ってもよい。
なお、検知電極10における貴金属成分とジルコニアとの体積比率は、4:6から8:2程度であればよい。
また、ガスセンサ100Aないし100Cがその機能を好適に発現するには、検知電極10の気孔率が10%以上30%以下であり、検知電極10の厚みは、5μm以上であることが好ましい。
また、検知電極10の平面サイズは適宜に定められてよいが、例えば、センサ素子長手方向の長さが2mm〜10mm程度で、これに垂直な方向の長さが1mm〜5mm程度であればよい。
<検知電極形成用の導電性ペースト>
次に、検知電極10の形成に用いる導電性ペーストについて説明する。検知電極形成用の導電性ペーストは、Auの出発原料としてAuイオン含有液体を用い、該Auイオン含有液体を、Pt粉末と、ジルコニア粉末と、バインダーとを混合することによって作製する。なお、バインダーとしては、他の原料を印刷可能な程度に分散させることができ、焼成によりすべて焼失するものを適宜選べばよい。係る態様での導電性ペーストの作製を、Au液体混合と称することとする。
ここで、Auイオン含有液体とは、Auイオンを含む塩もしくは有機金属錯体を、溶媒へ溶解させたものである。Auイオンを含む塩としては、例えばテトラクロロ金(III)酸(HAuCl)、塩化金(III)ナトリウム(NaAuCl)、二シアノ金(I)カリウム(KAu(CN))などを用いることができる。Auイオンを含む有機金属錯体としては、ジエチレンジアミン金(III)塩化物([Au(en)]Cl)、ジクロロ(1,10-フェナントロリン)金(III)塩化物([Au(phen)Cl]Cl)、ジメチル(トリフルオロアセチルアセトナト)金あるいはジメチル(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)金などを用いることができる。なお、NaやKなどの不純物が電極中に残留しない、取り扱いが容易である、あるいは溶媒へ溶解しやすい、などの観点からは、テトラクロロ金(III)酸やジエチレンジアミン金(III)塩化物([Au(en)]Cl)を用いることが好ましい。また、溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類の他、アセトン、アセトニトリル、ホルムアミドなどを用いることができる。
なお、混合は、滴下などの公知の手段を用いて行うことができる。また、得られた導電性ペースト中においては、Auはイオン(もしくは錯イオン)の状態で存在しているが、上述した作製プロセスを経て得られたセンサ素子101Aないし101Cに形成されてなる検知電極10においては、Auは主としてPtとの合金の状態で存在することになる。
本実施の形態において、Au液体混合にて検知電極形成用の導電性ペーストを作製する場合には、出発原料における全貴金属元素の重量(PtとAuの重量の総和)に対するAuの重量比率(Au混合比)を、10wt%以上とする。係る場合、焼成時に例えば上述のように鞘材Sを使用するなどして、検知電極10周りのAuの蒸気圧を10−6atm以上とすることで、Pt−Au合金粒子10Aの表面から少なくとも深さ1.5nmまでの範囲にAu濃化領域を形成することができる。なお、Au混合比を10wt%とし、焼成時に鞘材Sを用いた場合には、Pt−Au合金粒子10Aの表面におけるAu濃度を20%〜30%とすることができる。
なお、Au液体混合にて作製した導電性ペーストを用いて検知電極10を形成する場合には、Au混合比を高くするほどPt−Au合金粒子10Aの表面におけるAu濃度を高くでき、表面からより深い領域にまでAu濃化領域を形成できる可能性はあるが、導電性ペースト作製時〜焼成時にAu粒子が凝集しやすくなるために結果として検知電極10そのものが好適に形成されなくなることがある。実用的には、Pt−Au合金粒子10Aの表面におけるAu濃度が少なくとも10%程度あれば検知電極10は好適に機能するので、表面におけるAu濃度のみが極めて高い(例えば30%を大きく超えるような)Pt−Au合金粒子10Aが実現されることよりはむしろ、Pt−Au合金粒子10Aの表面からより深い範囲において10%以上というAu濃度が実現されることの方が、耐久性の観点からは好ましいといえる。なお、Pt−Au合金粒子10Aの表面におけるAu濃度が9%よりも小さい場合は、検知電極10において触媒活性が不能化されず、被測定ガスが検知電極10の表面においてPtの触媒作用によって燃焼してしまうため、センサ出力が得られず好ましくない。
<検知電極形成の別態様>
検知電極10を作製する手法は、上述のようにAu液体混合によって作製した導電性ペーストを用いる態様に限られるものではない。例えば、Ptの粉末にAuをコーティングしたコーティング粉末や、Pt−Au合金粉末を出発原料として導電性ペーストを作製する態様であってもよく、スパッタなどの薄膜電極形成手法を採用する態様であってもよい。あるいは、検知電極10を形成することなく焼成によってセンサ素子を得た後、検知電極形成用の導電性ペーストを用いた印刷・乾燥を行い、さらに焼成を行う2次焼成(2段階焼成)の手法によって、検知電極10を形成する態様であってもよい。採用する手法によっては、表面におけるAu濃度が30%を大きく超え、かつ、Au濃化領域が表面から1.5nmという範囲を大きく超える範囲にまで形成されるPt−Au合金粒子10Aを実現することも可能である。
<変形例>
上述の実施の形態においては、Au濃度の算出にAES分析の結果を使用しているが、Au濃度の算出手法はこれに限られるものではなく、他の分析手法で得られる分析値を使用する態様あってもよい。例えば、SIMS(二次イオン質量分析)による深さ方向の分析結果を用いてAu濃度を算出する態様であってもよい。
上述の実施の形態においては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関の排気管内に存在する排ガスを被測定ガスとし、該被測定ガス中の未燃炭化水素ガスの濃度を求める場合について説明しているが、ガスセンサ100Aないし100Cの測定対象は炭化水素ガスに限られるものではない。ガスセンサ100Aないし100Cによれば、NHおよびNOxについても、上述の実施の形態において説明した態様と同様に、混成電位の原理に基づいて測定をすることが可能である。
作製条件を条件A、条件B、および条件Cの3通りに違えてセンサ素子101Aを作製し、その初期特性(作製直後の感度特性)を評価するとともに、AESにより検知電極10を構成するPt−Au合金粒子10Aについて深さ方向分析を行い、(1)式に基づいてAu濃度を算出した。
具体的には、いずれのセンサ素子101Aにおいても検知電極10の形成にはAu液体混合にて作製した導電性ペーストを用いることとする一方で、条件Aでは原料におけるAu混合比を10wt%とし、焼成時に検知電極10周りのAuの蒸気圧を10−6atm以上とするべく鞘材Sを使用した。条件Bでは原料におけるAu混合比を10wt%とし、焼成時に鞘材Sを使用しなかった。条件Cでは原料におけるAu混合比を5wt%とし、焼成時に鞘材Sを使用しなかった。条件Aおよび条件Bについてはそれぞれ、3つの試料(条件A:a−1〜a−3、条件B:b−1〜b−3)を作製し、条件Cについては2つの試料(c−1〜c−2)を作製した。
初期特性の評価に用いた評価用ガスの条件は以下の通りである。なお、以下においてHCとは具体的にはCである。
流量:5L/min;
圧力:1atm;
ガス温度;250℃(センサの駆動温度は600℃);
組成:O=10%、HO=5%、HC=200〜2000ppmC、N=残余。
また、AES分析条件は以下の通りである。
装置:電界放射型オージェ電子分光装置(米Physical Electronics社製 SAM680);
測定条件:加速電圧20keV;
分析領域:約50nmφ(検知電極10の表面に露出している貴金属粒子のスポット分析);
スパッタイオン種:Ar(スパッタ深さはAu標準サンプルにて補正)。
センサ素子101Aの作製条件と、Au濃度の深さ方向分析の結果とを表1に示す。なお、表中の「−」は検出限界以下であったことを示す。
表1に示すように、条件Aにて作製した試料a−1〜a−3の場合、Pt−Au合金粒子10Aの表面におけるAu濃度は24%〜30%であり、表面から1.5nmの深さにおいても13%以上という値が得られていたが、表面から3nmの深さにおけるAu濃度は7%以下であった。これにより、条件Aにて検知電極10を作製した場合、Pt−Au合金粒子10Aの表面から少なくとも深さ1.5nmまでの範囲には、Au濃度が10%以上であるAu濃化領域が形成されることが確認された。なお、別途に行ったPt−Au合金粒子10Aの断面に対するEPMA測定により、AESにおいては検出限界以下であったPt−Au合金粒子10Aの内部においても、Auが存在していることは確認された。
一方、条件Bにて作製した試料b−1〜b−3の場合、Pt−Au合金粒子10Aの表面におけるAu濃度は13%〜15%であったが、表面から0.75nmの深さにおいて7%以下にまでAu濃度が低下し、さらに深いところではAuは検出されなかった。これにより、条件Bにて検知電極10を作製した場合、少なくともPt−Au合金粒子10Aの表面では、Au濃度が10%以上であるAu濃化領域が形成されることが確認された。
しかしながら、条件Cにて作製した試料c−1〜c−2の場合、Pt−Au合金粒子10Aの表面においてもAu濃度は8%以下に留まった。すなわち、条件Cにて検知電極10を作製した場合、Au濃化領域は形成されないことが確認された。
以上の結果からは、条件Aおよび条件BのようにAu混合比を10wt%として検知電極10を形成することで少なくともPt−Au合金粒子10Aの表面においてAu濃化領域を形成可能であること、および、条件Aのように焼成時に鞘材Sを用いて検知電極10周りのAuの蒸気圧を10−6atm以上とすることで、これを用いない場合に比してPt−Au合金粒子10Aの表面からより深い範囲にまでAu濃化領域を形成できること、より具体的には、表面から少なくとも深さ1.5nmまでの範囲にかけてAu混合領域が形成できることが、わかる。
図8は、各試料の初期特性を示す図である。初期特性については、1000ppmCにおいて250mV以上のセンサ出力が得られていれば良好であり、100mV以上であれば250mV未満であれば許容範囲であり、100mV未満であれば不適と判断されるところ、図8に示すように、条件Aにて作製した試料a−1〜a−3では250mVを上回る280mV〜300mV程度のセンサ出力が得られた。また、条件Bにて作製した試料b−1〜b−3では150mV前後のセンサ出力が得られた。これに対し、条件Cにて作製した試料c−1〜c−2では、センサ出力は20mV程度に留まった。
係る結果から得られる、センサ素子101Aの条件ごとの初期特性の評価を、表1に併せて示している。具体的には、作製した試料におけるセンサ出力がいずれも良好と判断される条件Aには「◎」印を付し、許容範囲と判断される条件Bには「○」を付し、不適と判断される条件Cについては「×」印を付している。
Pt−Au合金粒子10Aにおける表面濃度と、初期特性の評価結果とを併せ鑑みると、センサ素子101Aが少なくとも使用初期において被測定ガスの濃度を特定可能な感度特性を有するためには、Pt−Au合金粒子10Aの表面にAu濃化領域が形成されることが必要であるといえる。
続いて、初期特性がいずれも許容範囲以上であった条件Aの試料a−1および条件Bの試料b−1につき、劣化加速試験による検知電極10の耐久性評価を行った。具体的には、以下に示す条件の評価用ガスの雰囲気下に各試料を配置した状態でセンサ出力を連続的にモニタした。試験時間は13時間とした。
流量:0.5L/min;
圧力:1atm;
ガス温度;120℃(センサの駆動温度は600℃);
組成:O=10%、HC=8000ppmC、N=残余。
図9は、各試料の劣化加速試験の結果を示す図である。検知電極10の耐久性については、試験開始直後のセンサ出力に対する試験開始から10時間経過後のセンサ出力の比が75%以上であれば良好と判断され、75%未満であれば不適と判断されるところ、条件Aにて作製した試料a−1では試験開始から10時間経過後のセンサ出力が260mVであり、試験開始後のセンサ出力の330mVの79%という値であったのに対し、条件Bにて作製した試料b−1では試験開始から10時間経過後のセンサ出力が75mVであり、試験開始後のセンサ出力の286mVの26%という値であった。すなわち、試料a−1の方が試料b−1よりも、初期のセンサ出力値が大きく、その後の出力変化も小さかった。
なお、図8と図9でセンサ出力の大きさが異なるが、これは、劣化加速試験では電極劣化を加速させるため、ガスセンサの外側に装着する保護カバーを変更していることが一因である。
係る結果から得られる、センサ素子101Aの耐久性の評価を、表1に併せて示している。具体的には、耐久性が良好と判断される条件Aには「◎」印を付し、不適と判断される条件Bについては「×」印を付している。
係る耐久性の評価結果と、上述したAu濃化領域の形成態様とを併せ鑑みると、少なくともPt−Au合金粒子10Aの表面から少なくとも深さ1.5nmまでの範囲にAu濃化領域が形成されるようにすることで、耐久性に優れた検知電極10を具備するセンサ素子101Aが実現されることがわかる。
1〜6 第1〜第6固体電解質層
10 検知電極
10A (検知電極の)Pt−Au合金粒子
10B (検知電極の)ジルコニア粒子
10C (検知電極の)孔部
20 基準電極
30 基準ガス導入層
40 基準ガス導入空間
50 表面保護層
60 電位差計
70 ヒータ部
71 ヒータ電極
72 ヒータ
73 スルーホール
74 ヒータ絶縁層
75 圧力放散孔
100A、100B、100C ガスセンサ
101A、101B、101C センサ素子
E1 (センサ素子の)先端部
E2 (センサ素子の)基端部
S 鞘材
Sa (センサ素子の)表面
Sb (センサ素子の)裏面
また、特許文献には、限界電流型のガスセンサのポンピング電極を、Pt−Au合金にて電極粒子表面におけるAu存在比が0.01以上0.3以下となるように形成することで、ポンピング電極における酸素に対する選択的分解能が高めることができること、および、Au存在比が0.3を上回ると電極インピーダンスが増加して好ましくないことが開示されてはいるが、混成電位型のガスセンサについては(当然ながらその検知電極については)、何らの開示も示唆もなされてはいない。
上記課題を解決するため、第1の発明は、被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を測定する混成電位型のガスセンサに設けられた、前記所定ガス成分を検知するための検知電極であって、貴金属と酸素イオン伝導性を有する固体電解質とのサーメットからなり、前記貴金属がPtとAuであり、前記検知電極を構成する貴金属粒子の表面から少なくとも1.5nmまでの範囲が、前記貴金属粒子の表面に対しオージェ電子分光法による測定を行うことにより得られるオージェスペクトルにおけるAu検出値とPt検出値とを用いた、Au濃度(%)=100×Au検出値/(Au検出値+Pt検出値)なる式から算出される値であるAu濃度が10%以上のAu濃化領域である、ことを特徴とする。

Claims (11)

  1. 被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を測定する混成電位型のガスセンサに設けられた、前記所定ガス成分を検知するための検知電極であって、
    貴金属と酸素イオン伝導性を有する固体電解質とのサーメットからなり、
    前記貴金属がPtとAuであり、
    前記検知電極を構成する貴金属粒子の表面から少なくとも1.5nmまでの範囲が、Au濃度が10%以上のAu濃化領域である、
    ことを特徴とするガスセンサの検知電極。
  2. 被測定ガス中の所定ガス成分の濃度を測定する混成電位型のガスセンサであって、
    酸素イオン伝導性の固体電解質を主たる構成材料とするセンサ素子と、
    前記センサ素子の表面に設けられた、請求項1に記載の検知電極と、
    Ptと酸素イオン伝導性を有する固体電解質とのサーメットからなる基準電極と、
    を備え、
    前記検知電極と前記基準電極との間の電位差に基づいて前記所定ガス成分の濃度を求める、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  3. 請求項2に記載のガスセンサであって、
    少なくとも前記検知電極を被覆する多孔質層である電極保護層、
    をさらに備えることを特徴とするガスセンサ。
  4. 請求項2または請求項3に記載のガスセンサであって、
    前記センサ素子が、
    前記被測定ガスが存在する空間と隔絶されてなり、基準ガスが導入される基準ガス導入空間、
    をさらに備え、
    前記基準電極が前記基準ガスの雰囲気下に配置される、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  5. 請求項4に記載のガスセンサであって、
    前記センサ素子が、
    前記基準ガス導入空間に連通する多孔質層である基準ガス導入層、
    をさらに備え、
    前記基準電極が前記基準ガス導入層に被覆されてなる、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  6. 請求項4に記載のガスセンサであって、
    前記基準電極を前記基準ガス導入空間に露出させて配置してなる、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  7. 請求項2または請求項3に記載のガスセンサであって、
    前記検知電極と前記基準電極が前記センサ素子の表面に配置されてなる、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  8. 請求項7に記載のガスセンサであって、
    前記検知電極と前記基準電極とが電極保護層に被覆されてなる、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  9. 請求項2ないし請求項8のいずれかに記載のガスセンサであって、
    前記所定ガス成分が炭化水素または一酸化炭素の少なくとも一種類である、
    ことを特徴とするガスセンサ。
  10. 請求項2ないし請求項9のいずれかに記載のガスセンサの製造方法であって、
    いずれもが前記固体電解質からなる複数のグリーンシートを用意する工程と、
    前記複数のグリーンシートのうちの1つに貴金属成分中のAuの重量比率が10wt%以上である導電性ペーストを塗布することによって前記検知電極のパターンを形成する工程と、
    前記検知電極のパターンを形成してなるグリーンシートを含む前記複数のグリーンシートの積層体を作成する工程と、
    前記積層体を焼成することにより、前記検知電極が前記固体電解質と一体焼成する工程と、
    を備え、
    前記積層体を焼成する際の前記検知電極のパターンの近傍におけるAuの蒸気圧を10−6atm以上とする、
    ことを特徴とするガスセンサの製造方法。
  11. 請求項10に記載のガスセンサの製造方法であって、
    前記積層体を焼成する際に前記積層体を所定の部材にて囲繞することにより前記検知電極のパターンの近傍におけるAuの蒸気圧を10−6atm以上とする、
    ことを特徴とするガスセンサの製造方法。
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