JP2017080951A - ハードコートフィルムおよび透明導電性フィルム - Google Patents

ハードコートフィルムおよび透明導電性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐ブロッキング性および外観に優れる、ハードコートフィルムおよびそれを備える透明導電性フィルムを提供すること。【解決手段】ハードコートフィルム1は、透明基材2と、ハードコート層3とを順に備える。ハードコート層3は、樹脂および粒子を含む組成物からなる。粒子は、40nm以上、100nm以下の平均粒子径を有する第1無機粒子と、10nm以上、20nm以下の平均粒子径を有する第2無機粒子とを含有する。粒子の配合割合が組成物に対して、65質量%超過し、80質量%未満である。第1無機粒子の配合割合が組成物に対して、10質量%以上、65質量%以下である。第2無機粒子の配合割合が組成物に対して、0質量%超過し、60質量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコートフィルムおよび透明導電性フィルム、詳しくは、ハードコートフィルム、および、それを備える透明導電性フィルムに関する。
従来、基材シートにハードコート層が積層された積層フィルムが知られている。
例えば、基材シートと、その表面に積層されるハードコート層とを備え、ハードコート層は、一次平均粒子径が500nm以下の異なる粒子径の2種類もしくは3種類の粒子を含有した積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の積層フィルムは、粒子径の組み合わせによって、ブロッキングを防止している。
特開2012−66477号公報
近年、積層フィルムには、より一層優れた耐ブロッキング性が必要とされている。しかし、特許文献1の積層フィルムは、上記した要求を満足することができないという不具合がある。
一方、積層フィルムには、優れた外観も要求される。
本発明の目的は、耐ブロッキング性および外観に優れる、ハードコートフィルムおよびそれを備える透明導電性フィルムを提供することにある。
本発明は、以下の通りである。
[1]透明基材と、前記透明基材の厚み方向一方面に配置されるハードコート層とを備え、前記ハードコート層は、樹脂および粒子を含む組成物からなり、前記粒子は、40nm以上、100nm以下の平均粒子径を有する第1無機粒子と、10nm以上、20nm以下の平均粒子径を有する第2無機粒子とを含有し、前記粒子の配合割合が、前記組成物に対して、65質量%超過し、80質量%未満であり、前記第1無機粒子の配合割合が、前記組成物に対して、10質量%以上、65質量%以下であり、前記第2無機粒子の配合割合が、前記組成物に対して、0質量%超過し、60質量%以下であることを特徴とする、ハードコートフィルム、
[2]前記粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする、上記[1]に記載のハードコートフィルム、
[3]前記ハードコート層の厚みが、0.5μm以上であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載のハードコートフィルム、
[4]上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のハードコートフィルムと、光学調整層と、透明導電層とを順に備えることを特徴とする、透明導電性フィルム、
[5]前記透明導電層が、ITOからなることを特徴とする、上記[4]に記載の透明導電性フィルム
である。
本発明のハードコートフィルムは、優れた耐ブロッキング性および優れた外観を有することができる。
本発明の透明導電性フィルムは、上記したハードコートフィルムを備えるので、優れた耐ブロッキング性および優れた外観を有することができる。
図1は、本発明のハードコートフィルムの一実施形態の断面図を示す。 図2は、図1に示すハードコートフィルムを備える透明導電性フィルムの断面図を示す。
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向、第1方向)であって、紙面上側が、上側(厚み方向一方側、第1方向一方側)、紙面下側が、下側(厚み方向他方側、第1方向他方側)である。図1において、紙面左右方向は、左右方向(幅方向、第1方向に直交する第2方向)であり、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。図1において、紙厚方向は、前後方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)であり、紙面手前側が前側(第3方向一方側)、紙面奥側が後側(第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
1.ハードコートフィルム
本発明の一実施形態であるハードコートフィルム1は、図1に示すように、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)をなし、厚み方向と直交する所定方向(前後方向および左右方向、すなわち、面方向)に延び、平坦な上面および平坦な下面(2つの主面)を有する。
ハードコートフィルム1は、例えば、後述する透明導電性フィルム6(図2参照)に備えられる一部品であり、つまり、透明導電性フィルム6ではない。すなわち、ハードコートフィルム1は、透明導電性フィルム6を作製するための部品であり、光学調整層4および透明導電層5などの機能層を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
具体的には、ハードコートフィルム1は、透明基材2と、ハードコート層3とを備える。つまり、ハードコートフィルム1は、透明基材2と、透明基材2の上面に配置されるハードコート層3とを備える。また、好ましくは、ハードコートフィルム1は、透明基材2と、ハードコート層3とのみからなる。以下、各層について詳述する。
2.透明基材
透明基材2は、ハードコートフィルム1の下層であって、ハードコートフィルム1の機械強度を確保する支持材である。また、透明基材2は、面方向に延びるフィルム形状を有しており、平坦な平面および平坦な下面(2つの主面)を有する。
透明基材2は、高分子フィルムからなる。高分子フィルムは、透明性を有する。高分子フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、ポリメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)などのオレフィン樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、例えば、ポリエーテルスルフォン樹脂、例えば、ポリアリレート樹脂、例えば、メラミン樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、例えば、ポリイミド樹脂、例えば、セルロース樹脂、例えば、ポリスチレン樹脂、例えば、ノルボルネン樹脂などが挙げられる。これら高分子フィルムは、単独使用または2種以上併用することができる。透明性、機械特性などの観点から、好ましくは、オレフィン樹脂が挙げられ、より好ましくは、COPが挙げられる。
透明基材2の表面粗さは、例えば、1nm以下、好ましくは、0.3nm以下であり、また、例えば、0.1nm以上である。
透明基材2の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
3.ハードコート層
ハードコート層3は、ハードコートフィルム1の上層であって、ハードコートフィルム1に耐ブロッキング性を付与するための、アンチブロッキング層である。ハードコート層3は、面方向に延びるフィルム形状を有しており、平坦な上面および平坦な下面(2つの主面)を有する。
ハードコート層3は、フィルム形状(シート形状を含む)を有しており、透明基材2の上面全面に接触するように、配置されている。
ハードコート層3は、樹脂組成物からなる(から調製されている)。樹脂組成物は、樹脂と、粒子とを含有する。好ましくは、樹脂組成物は、樹脂と、粒子とのみからなる。
樹脂としては、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂、例えば、ウレタン樹脂、例えば、メラミン樹脂、例えば、アルキド樹脂、例えば、シロキサン系ポリマー、例えば、有機シラン縮合物などが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂、より好ましくは、ウレタンアクリレートが挙げられる。
樹脂の配合割合は、組成物に対して、例えば、35質量%未満、好ましくは、30質量%以下であり、また、例えば、25質量%以上である。
これら樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
粒子としては、例えば、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫などからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。粒子は、単独種類を単独使用でき、あるいは、複数種類を併用することもできる。粒子として、好ましくは、無機粒子、より好ましくは、シリカ粒子が挙げられる。シリカ粒子は、低価格でありながら、物性面に優れるため、ハードコートフィルム1の製造コストを低減しながら、高品質のハードコートフィルム1を得ることができる。
粒子は、例えば、略球形状、略針形状、略板形状、不定形状を有しており、好ましくは、略球形状を有している。
そして、粒子は、40nm以上、100nm以下の平均粒子径を有する第1無機粒子と、10nm以上、20nm以下の平均粒子径を有する第2無機粒子とを含有する。好ましくは、粒子は、第1無機粒子と、第2無機粒子とのみからなる。
第1無機粒子は、粒子のうち平均粒子径が大きい大粒子であって、ハードコートフィルム1に優れた耐ブロッキング性を付与するアンチブロッキング粒子(アンチブロッキング剤)である。
第1無機粒子は、40nm以上、100nm以下の平均粒子径を有しており、好ましくは、40nm超過、より好ましくは、45nm以上、また、好ましくは、90nm以下、より好ましくは、80nm以下、さらに好ましくは、70nm以下、とりわけ好ましくは、60nm以下の平均粒子径を有する。第1無機粒子の平均粒子径が上記した下限を上回ると、ハードコートフィルム1が優れた耐ブロッキング性を有することができる。第1無機粒子の平均粒子径が上記した上限を下回ると、ハードコートフィルム1が優れた外観を有することができる。
なお、平均粒子径は、BET法で測定される体積平均粒子径である。
また、第1無機粒子の平均粒子径は、第1無機粒子の1次粒子の平均粒子径である。また、好ましくは、第1無機粒子は、粒子径の分布の標準偏差が10%以内の単分散粒子である。
第1無機粒子の配合割合は、組成物に対して、10質量%以上であり、好ましくは、10質量%超過、より好ましくは、15質量%以上、さらに好ましくは、20質量%以上、とりわけ好ましくは、25質量%以上である。また、第1無機粒子の配合割合は、粒子の総量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上である。第1無機粒子の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、25質量部以上、好ましくは、50質量部以上、より好ましくは、75質量部以上である。
また、第1無機粒子の配合割合は、組成物に対して、65質量%以下であり、好ましくは、65質量%未満、より好ましくは、60質量%以下、さらに好ましくは、55質量%以下、とりわけ好ましくは、50質量%以下である。また、第1無機粒子の配合割合は、粒子の総量に対して、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。また、第1無機粒子の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、250質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
第1無機粒子の配合割合が上記した下限を上回れば、ハードコートフィルム1は、優れた耐ブロッキング性を有することができ、また、優れた外観を有することができる。第1無機粒子の配合割合が上記した上限を下回れば、ハードコートフィルム1は、ヘイズを低減することができ、また、優れた透明性を確保することができるので、優れた外観を有することができる。
第2無機粒子は、粒子のうち平均粒子径が小さい小粒子である。第2無機粒子は、第1無機粒子の耐ブロッキング性を補助するアンチブロッキング補助剤であって、また、ハードコート層3の嵩を増大させる増量剤でもある。
第2無機粒子は、10nm以上、20nm以下の平均粒子径を有しており、好ましくは、20nm未満、より好ましくは、15nm以下の平均粒子径を有する。
第2無機粒子の平均粒子径が上記した上限を下回れば、ハードコートフィルム1が優れた外観を有することができる。
また、第2無機粒子の平均粒子径は、第2無機粒子の1次粒子の平均粒子径である。また、好ましくは、第2無機粒子は、粒子径の分布の標準偏差が10%以内の単分散粒子である。
第2無機粒子の配合割合は、組成物に対して、0質量%超過し、好ましくは、5質量%以上、好ましくは、5質量%を超過する。また、第2無機粒子の配合割合は、粒子の総量に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上である。また、第2無機粒子の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、25質量部以上である。
また、第2無機粒子の配合割合は、組成物に対して、60質量%以下であり、好ましくは、60質量%未満、より好ましくは、55質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下、とりわけ好ましくは、50質量%未満、最も好ましくは、45質量%以下、さらには、40質量%以下である。また、第2無機粒子の配合割合は、粒子の総量に対して、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、70質量%以下、さらに好ましくは、65質量%以下である。第2無機粒子の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、200質量部以下、好ましくは、175質量部以下、より好ましくは、150質量部以下である。
第2無機粒子の配合割合が上記した下限を上回れば、優れた外観を有することができる。第2無機粒子の配合割合が上記した上限を下回れば、ハードコートフィルム1は、優れた外観をすることができる。
また、第2無機粒子に対する第1無機粒子の割合R(第1無機粒子の配合部数/第2無機粒子の配合部数)は、例えば、0.1以上、好ましくは、0.3以上、より好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、10以下、より好ましくは、3.0以下である。上記した割合Rが上記した下限以上であれば、ハードコートフィルム1の耐ブロッキング性を向上させることができる。上記した割合Rが上記した上限以下であれば、ハードコートフィルム1が優れた外観を有することができる。
粒子の配合割合は、組成物に対して、65質量%超過し、好ましくは、70質量%以上であり、また、80質量%未満、好ましくは、75質量%以下である。また、粒子の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、200質量部以上、好ましくは、230質量部以上であり、また、400質量部未満、好ましくは、300質量部以下、より好ましくは、250質量部以下である。
粒子の配合割合が上記した下限を下回ると、ハードコートフィルム1に十分な耐ブロッキング性を付与することができない。一方、粒子の配合割合が上記した上限を上回ると、優れた透明性を確保することができず、そのため、優れた外観を有することができない。
ハードコート層3の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、5.0μm以下である。
ハードコート層3の厚みが上記した下限以上であれば、ハードコート層3に十分な耐ブロッキング性を付与することができる。ハードコート層3の厚みが上記した上限以下であれば、ハードコート層3に十分な耐ブロッキング性を付与することができる。
ハードコート層3の厚みは、大塚電子社製の瞬間マルチ測光システム「MCPD2000」(商品名)を用いて測定される。具体的には、特開2015−141674号公報などに記載の方法に従って測定される。
4.ハードコートフィルムの製造方法
次に、ハードコートフィルム1の製造方法について説明する。
このハードコートフィルム1は、例えば、ロール・トゥ・ロール法によって、以下の各層が製造される。
この方法では、まず、ハードコートフィルム1を用意する。
その後、透明基材2をハードコートフィルム1の上面に配置する。具体的には、組成物をハードコートフィルム1の上面に、例えば、湿式により、配置する。
より具体的には、まず、組成物を溶媒で希釈した塗布液(ワニス)を調製する。
溶媒を、組成物の塗布液における濃度(固形分濃度)が、例えば、1質量%以上、好ましくは、10質量%以上、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下となるように、組成物に対して配合する。
また、樹脂と、第1無機粒子と、第2無機粒子とを配合して、組成物を調製する。あるいは、樹脂と、第1無機粒子および第2無機粒子のいずれか一方とが予め混合された粒子樹脂混合物を用意し、この粒子樹脂混合物と、他方の粒子とを混合することもできる。
好ましくは、樹脂と第2無機粒子とが予め混合された粒子樹脂混合物を用意し、この粒子樹脂混合物と、第1無機粒子とを混合する。この場合、第1無機粒子を有機溶媒に分散したスラリー(第1無機粒子がシリカ粒子である場合には、オルガノシリカゾル)として調製し、このスラリーを粒子樹脂混合物に配合することもできる。有機溶媒は、特に限定されず、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール−モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒などが挙げられる。有機溶媒は、第1無機粒子の配合割合が、スラリーに対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下となるように、配合される。
好ましくは、まず、粒子樹脂混合物を用意し、次いで、粒子樹脂混合物と、スラリーとを混合する。なお、粒子樹脂混合物として、市販品(オプスターシリーズ、JSR社製)を用いることができる。また、スラリーも、市販品(オルガノシリカゾルシリーズ、日産化学工業社製)を用いることができる。この方法であれば、平均粒子径が小さいために均一な混合が困難な第2無機粒子を、樹脂に対して予め均一に混合した粒子樹脂混合物を調製する。続いて、粒子樹脂混合物に、平均粒子径が大きいために均一な混合が容易な第1無機粒子を配合する。そのため、第1無機粒子および第2無機粒子の両方を樹脂に対して均一かつ短時間で分散させることができる。
粒子樹脂混合物における第2無機粒子および樹脂の配合割合と、組成物における粒子樹脂混合物および第1無機粒子の配合割合とは、樹脂、第1無機粒子および第2無機粒子の上記した配合割合となるように、適宜調整される。
その後、組成物を、固形分濃度が上記範囲となるように、溶媒で希釈するこれにより、塗布液(ワニス)を調製する。
続いて、塗布液(ワニス)をハードコートフィルム1の上面全面に塗布する。
その後、溶剤を加熱により除去する。加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上であり、また、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。加熱時間は、例えば、10秒以上、好ましくは、30秒以上であり、また、例えば、5分以下、好ましくは、3分以下である。
これにより、組成物からなる塗膜を形成する。
その後、樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂である場合には、塗膜に活性エネルギー線を照射する。これによって、樹脂を硬化させる。
これによって、ハードコート層3を透明基材2の上面に形成する。
これによって、透明基材2およびハードコート層3を備えるハードコートフィルム1を製造する。
なお、このハードコートフィルム1におけるハードコート層3に含有される粒子は、例えば、ハードコートフィルム1を燃焼させた後、得られた灰分を元素分析することにより定性分析(同定)される。第1無機粒子および第2無機粒子は、粒子をレーザ回折式粒度分布測定装置などで粒径測定することにより、定量分析される。上記した定量分析では、第1無機粒子および第2無機粒子の、2つの平均粒子径(メジアン径)に基づく2つのピークを有する粒度分布曲線が得られ、それらのピークから、第1無機粒子および第2無機粒子の平均粒子径および配合割合がそれぞれ得られる。
そして、このハードコートフィルム1は、各産業用途に用いられ、例えば、透明導電性フィルム、調光フィルムなどの光学用途、さらには、電磁シールド用途などに用いられる。好ましくは、光学用途、より好ましくは、透明導電性フィルムに用いられる。
5.透明導電性フィルム
次に、ハードコートフィルム1を備える透明導電性フィルム6について図2を参照して説明する。
透明導電性フィルム6は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)をなし、面方向に延び、平坦な上面および平坦な下面(2つの主面)を有する。透明導電性フィルム6は、例えば、光学装置(例えば、画像表示装置、調光装置)に備えられるタッチパネル用基材や調光パネルなどの一部品であり、つまり、光学装置ではない。すなわち、透明導電性フィルム6は、光学装置などを作製するための部品であり、LCDモジュールなどの画像表示素子や、LEDなどの光源を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
そして、この透明導電性フィルム6は、ハードコートフィルム1と、光学調整層4と、透明導電層5とを順に備える。具体的には、透明導電性フィルム6は、透明基材2と、ハードコート層3と、光学調整層4と、透明導電層5とを順に備える。好ましくは、透明導電性フィルム6は、透明基材2と、ハードコート層3と、光学調整層4と、透明導電層5とのみからなる。
光学調整層4は、透明導電層5が後の工程で配線パターンに形成された後に、非パターン部とパターン部との相違が認識されないように(すなわち、配線パターンの視認を抑制するように)、透明導電性フィルム6の光学物性を調整する層である。
光学調整層4は、ハードコート層3の上面全面に配置されている。光学調整層4は、面方向に延びるフィルム形状を有しており、平坦な平面および凹凸状の下面(図示せず)(2つの主面)を有する。
光学調整層4は、樹脂組成物から調製されている。樹脂組成物は、例えば、樹脂と、粒子とを含有する。樹脂組成物は、好ましくは、樹脂のみを含有し、より好ましくは、樹脂のみからなる。樹脂としては、上記した樹脂が挙げられる。
光学調整層4の厚みは、例えば、30nm以上、好ましくは、80nm以上であり、また、例えば、150nm以下、好ましくは、130nm以下である。
透明導電層5は、後の工程で配線パターンに形成して、パターン部を形成するための導電層である。透明導電層5は、透明導電性フィルム6の最上層であって、面方向に延びるフィルム形状(シート形状を含む)を有しており、平坦な下面および平坦な上面を有している。
透明導電層5を形成する材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子をドープすることができる。
材料としては、好ましくは、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)などが挙げられ、より好ましくは、ITOが挙げられる。ITOであれば、ITOであれば、優れた透明性と、低い比抵抗とを確保することができる。
透明導電層5の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、35nm以下、好ましくは、30nm以下である。
透明導電性フィルム6は、ハードコートフィルム1に、光学調整層4および透明導電層5を順次配置することによって、得られる。
6.効果
このハードコートフィルム1は、優れた耐ブロッキング性および優れた外観を有することができる。
また、粒子がシリカ粒子であれば、シリカ粒子が低価格でありながら、物性面に優れるため、ハードコートフィルム1の製造コストを低減しながら、高品質のハードコートフィルム1を得ることができる。
さらに、ハードコート層3の厚みが上記した下限以上であれば、ハードコート層3に十分な耐ブロッキング性を付与することができる。
また、透明導電性フィルム6は、ハードコートフィルム1と、光学調整層4と、透明導電層5を順に備えるので、ハードコートフィルム1によって透明導電層5を確実に支持して、また、光学調整層4によって、後の工程でパターンニングされる透明導電層5の視認を抑制しつつ、透明導電層5によって優れた導電性を確保することができる。
また、透明導電層5がITOからなれば、透明導電層5は、優れた透明性と、低い比抵抗とを確保することができる。
7.変形例
図1に示す一実施形態では、ハードコートフィルム1は、透明基材2の上面のみに配置されたハードコート層3を備える。しかし、ハードコート層3の配置は上記に限定されず、例えば、図示しないが、透明基材2の上面および下面(両面)に配置されたハードコート層3を備えることもできる。
この変形例のハードコートフィルム1によっても、一実施形態のハードコートフィルム1と同様の作用効果を奏することができる。
図2に示す一実施形態では、透明導電性フィルム6は、透明基材2の上側のみに配置されたハードコート層3、光学調整層4および透明導電層5を備えるが、ハードコート層3、光学調整層4および透明導電層5の配置は上記に限定されず、例えば、透明基材2の両側に、それぞれ順次配置された、ハードコート層3、光学調整層4および透明導電層5を備えることもできる。
この変形例の透明導電性フィルム6によっても、一実施形態の透明導電性フィルム6と同様の作用効果を奏することができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
また、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
(塗布液の調製)
調製例1
紫外線硬化性樹脂としてウレタンアクリレートおよび第2無機粒子として平均粒子径が10nmのシリカ粒子が予め配合された粒子樹脂混合物(JSR社製、品名「オプスターKZ6507」、第2無機粒子の含有割合:40質量%)を固形分として100質量部と、第1無機粒子として平均粒子径が50nmであるシリカ粒子がメチルエトン中に分散したオルガノシリカゾル(日産化学社製、製品名「MEK−ST−L」)を固形分として190質量部、および、第2無機粒子として平均粒子径が10nmであるシリカ粒子がメチルエトン中に分散したオルガノシリカゾル(日産化学社製、製品名「MEK−ST」)を固形分として4質量部とを混合し、続いて、酢酸ブチルを用いて固形分16質量%となるように、組成物を希釈して、塗布液(ハードコート剤)を調製した。
調製例2〜9および比較調製例1〜13
表1および表2の記載に従って、配合処方を変更した以外は、調製例1と同様にして、塗布液を調製した。
(ハードコートフィルムの作製)
実施例1
まず、透明基材2として100μmの厚さのCOPフィルム(ZEONOR ZF−16、表面粗さ0.2nm、日本ゼオン社製)を用意した。
続いて、調製例1の塗布液を、ワイヤーバー#6を用いて、透明基材2の表面に塗布し、その後、乾燥オーブンで、80℃の雰囲気下で1分間乾燥させて、酢酸ブチルを揮発させ、組成物からなる塗膜を形成した。続いて、塗膜を、酸素濃度2500ppm雰囲気下で160W/cmの空冷水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度60mW/cm、照射量280mJ/cmの紫外線を照射して、塗膜を硬化させた。
これによって、厚み1μmのハードコート層3を、透明基材2の表面に形成した。つまり、透明基材2と、その表面に積層されたハードコート層3とを備えるハードコートフィルム1を製造した。
実施例2〜9および比較例1〜13
表3の記載に従って、配合処方を変更した以外は、実施例1と同様にして、ハードコート層3を備えるハードコートフィルム1を製造した。
なお、実施例2〜9および比較例1〜13については、それぞれ、調製例2〜9および比較調製例1〜13の塗布液を用いた。
評価
以下の項目を評価し、その結果を表3に記載する。
[ハードコート層の厚み]
各実施例および各比較例のハードコート層3の厚みを、MCPD2000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
[耐ブロッキング性]
各実施例および各比較例のハードコート層3の表面に、別の透明基材2(ZEONOR ZF−16、日本ゼオン社製)を指圧で圧着させ、別の透明基材2のハードコート層3に対する張り付き(耐ブロッキング性)を以下の通りに、評価した。
○: 別の透明基材2のハードコート層3に対する張り付きが起こらなかった。
△: 別の透明基材2は、ハードコート層3に一旦貼りつくが、10秒経過するとハードコート層3から離れた。
×: 別の透明基材2は、ハードコート層3に対して張り付き、その後、10秒経過しても、ハードコート層3から離れなかった。
[外観]
各実施例および各比較例のハードコートフィルム1について、下記の項目を評価した。
(1)透明性
各実施例および各比較例のハードコートフィルム1を目視で観察して、下記の基準に従って、透明性を評価した。
○: ほぼ透明であった。
△: 薄い濁りが見られた。
×: 濃い濁りが見られた。
(2)ヘイズ
各実施例および各比較例のハードコートフィルム1のヘイズをヘイズメータ(HM−150、村上色彩技術研究所社製)により測定し、下記の基準に従って、曇りの程度を評価した。
○: ヘイズが、0.5%未満であった。
△: ヘイズが、0.5%以上1.0%未満であった。
×: ヘイズが、1.0%以上であった。
Figure 2017080951
Figure 2017080951
Figure 2017080951
1 ハードコートフィルム
2 透明基材
3 ハードコート層
4 光学調整層
5 透明導電層
6 透明導電性フィルム

Claims (5)

  1. 透明基材と、ハードコート層とを順に備え、
    前記ハードコート層は、樹脂および粒子を含む組成物からなり、
    前記粒子は、
    40nm以上、100nm以下の平均粒子径を有する第1無機粒子と、
    10nm以上、20nm以下の平均粒子径を有する第2無機粒子とを含有し、
    前記粒子の配合割合が、前記組成物に対して、65質量%超過し、80質量%未満であり、
    前記第1無機粒子の配合割合が、前記組成物に対して、10質量%以上、65質量%以下であり、
    前記第2無機粒子の配合割合が、前記組成物に対して、0質量%超過し、60質量%以下であることを特徴とする、ハードコートフィルム。
  2. 前記粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記ハードコート層の厚みが、0.5μm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のハードコートフィルムと、光学調整層と、透明導電層とを順に備えることを特徴とする、透明導電性フィルム。
  5. 前記透明導電層が、ITOからなることを特徴とする、請求項4に記載の透明導電性フィルム。
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