JP2009288756A - 光学用積層フィルム、およびそれを得るための密着性改質基材フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる基材フィルム、基材フィルムの表面上に直接積層されたアクリル樹脂からなるハードコート層、ハードコート層とは反対側の基材フィルムの表面上に形成された塗布層を有する積層フィルムであって、基材フィルムとハードコート層との境界領域に点在する有機−無機複合体を有し、該有機−無機複合体は、平均粒径40nm以上の無機粒子を有し、更に塗布層は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれるいずれか1種以上の樹脂から構成される厚さ50〜600nmの樹脂層であって、ハードコート層の屈折率が1.60〜1.70である光学用積層フィルム。
【選択図】なし
Description
(1)の発明は、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム、基材フィルムの表面上に直接積層されたアクリル樹脂からなるハードコート層、ハードコート層とは反対側の基材フィルムの表面上に形成された塗布層を有する積層フィルムであって、基材フィルムとハードコート層との境界領域に点在する有機−無機複合体を有し、該有機−無機複合体は、平均粒径40nm以上の無機粒子を有し、更に塗布層は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれるいずれか1種以上の樹脂から構成される厚さ50〜600nmの樹脂層であって、ハードコート層の屈折率が1.60〜1.70である光学用積層フィルムである。
(2)有機−無機複合体が、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれるいずれか1種以上の樹脂の中に平均粒径40nm以上の無機粒子が埋め込まれた構造をもつ、(1)に記載の光学用積層フィルム。
(3)の発明は、有機−無機複合体が、共重合ポリエステル及びポリウレタンを含む混合樹脂の中に無機粒子が埋め込まれた構造をもつ、(1)の光学用積層フィルムである。
(4)の発明は、基材フィルムが3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、少なくとも中間層に紫外線吸収剤を含み、波長380nmの吸光度が1.5以上である、(1)〜(3)の光学用積層フィルムである。
(5)の発明は、ハードコート層がアクリル樹脂中に無機微粒子が分散している構造をもち、ハードコート層における無機粒子の含有量が20〜80質量%である、(1)〜(4)の光学用積層フィルムである。
(6)の発明は、基材フィルム内には粒子が存在しないか、または基材フィルム内の粒子の含有量が50ppm以下である、(1)〜(5)の光学用積層フィルム。
(7)の発明は、有機−無機複合体における無機粒子がシリカ粒子である(1)〜(6)の光学用積層フィルムである。
(8)の発明は、(1)〜(7)の光学積層フィルムのハードコート層の上に、反射防止層または防汚層が積層された光学機能性フィルムである。
(9)の発明は、光学用積層フィルムを製造するための、密着性改質基材フィルムであって、当該密着性改質基材フィルムは熱可塑性樹脂により構成される基材フィルムと、その表面に積層された密着性改質層とを有し、密着性改質層はポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種ならびに無機粒子を含有し、かつ、密着性改質層の表面に上記未硬化の硬化型樹脂が塗布されることによって、透過型電子顕微鏡による8万倍の拡大像において密着性改質層の存在が認められなくなる程度にまで密着性改質層に含まれていた樹脂および未硬化の硬化型樹脂が混ざり合う、密着性改質基材フィルムである。
(1)ハードコート層/基材フィルム界面に境界領域に点在する有機−無機複合体
(2)ハードコート層反対面の塗布層厚み
干渉斑を抑制する為には、屈折率の低い塗布層をなくすことが好ましい。しかし、樹脂材質の異なるハードコート層と基材フィルムの密着性を保つには界面に密着性を持たせるのは不可欠である。そこで、本願発明者らは、ハードコート層/基材フィルム界面に境界領域に点在する有機−無機複合体を形成させることで、密着性と干渉斑低減の両立を図ることを見出した。有機−無機複合体が、密着性に作用するメカニズムは明らかでないが、有機樹脂をまとった無機粒子が、ハードコート層に対し凸構造を形成し、あたかもアンカーのような役割を果たし、両面を良好に密着させているものと考えている。
本願発明者らは、リワーク時に劈開が発生するのは、主として基材フィルム内であることを見いだした。例えば、基材フィルムがポリエステル樹脂のような比較的脆い樹脂で構成されている場合は、衝撃に対し凝集破壊を生じやすい。本願発明者らは鋭意検討した結果、リワーク時に生じる衝撃を緩和させるには、積層フィルム全体として、弾性性(耐衝撃性)を持たせることが有効であることを見いだした。特に、干渉斑対策として塗布層を薄層化した場合、積層フィルム全体としての弾性が低下する為、リワーク時に衝撃が発生しやすい傾向にあった。そこで、本発明では干渉斑対策として、前記(1)の手段を講じるとともに、ハードコート層の反対面の塗布層の厚みを制御することで、積層フィルム全体としての耐衝撃性をもたせることとした。これにより、干渉斑の低減とリワーク時の劈開低減の両立を図ることができた。
本発明の基材フィルムは熱可塑性樹脂からなる。本発明の基材フィルムとして使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、ポリエステルやポリアミドのような極性官能基を有する樹脂は、接着性改質層との密着性の点から好ましい。
本発明で用いる複合体は、平均粒径40nm以上の無機粒子を有し、好ましくはポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の中に無機粒子が埋め込まれた構造をもつ。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
本発明において、塗布法を用いる場合、塗布液(A)に用いる材料は、樹脂及び分散媒あるいは溶媒である。本発明において、塗布液は、水性であることが好ましい。また、本発明では、樹脂成分以外に、粒子及び界面活性剤を併用することが好ましい。さらに、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を用いることができる。
本発明において、複合体を構成する樹脂として、共重合ポリエステル(PEs)とポリウレタン(PU)を用いるのが密着性の観点から好ましい。この場合、塗布液(A)中の共重合ポリエステル(PEs)とポリウレタン(PU)の固形分基準の質量比は、(PEs)/(PU)=70/30〜30/70が好ましく、特に好ましくは60/40〜40/60である。なお、複合体の樹脂は、前記の共重合ポリエステルとポリウレタン以外の第3の樹脂を併用することもできる。また、架橋剤を併用してもかまわない。
例えば、複合体に共重合ポリエステル用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分と、グリコール成分としてエチレングリコールと分岐状グリコールを構成成分とすることが好ましい。前記の分岐状グリコールとは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
ポリウレタン系樹脂として複合体が含み得るポリウレタンは、熱反応型ポリウレタン樹脂が好ましく、例えば、末端イソシアネート基を活性水素基で封鎖(以下ブロックと言う)した、水溶性または水分散性ポリウレタンなどが挙げられる。
また、複合体にアクリル樹脂を用いる場合の水分散性または水溶性のアクリル樹脂とは、例えば、アクリレートおよび/またはメタクリレート樹脂、あるいは、これらと、スチレンなどの不飽和二重結合を有する、アクリル樹脂と共重合可能な脂肪族化合物または芳香族化合物との共重合体が挙げられる。ハードコート層に対する密着性の優れた密着性改質層として親水性に優れたアクリル−スチレン共重合樹脂として、乳化重合による水分散性アクリル−スチレンランダム共重合樹脂が最も好ましい。
本発明においては、溶媒とは、樹脂を溶解する液だけではなく、樹脂を粒子状に分散させるために用いる分散媒も広義的に含むものである。本発明を実施するためには、有機溶媒、水性溶媒等の各種溶媒を用いることができる。
前記の水性塗布液(A)を熱可塑性樹脂フィルム(基材フィルム)の表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液(A)を均一に塗布するために一般に界面活性剤が使用される。
基材フィルムのヘイズは1.5%以下であることが、透明性が高度に要求される用途でハードコートフィルムや該フィルムを用いた光学機能性フィルムを使用する際に好ましい。前記のヘイズは1.0%以下であることがさらに好ましい。ヘイズが1.5%を超えると、フィルムをLCD用のレンズフィルムや、バックライト用基材フィルム等に用いた場合、画面の鮮明度が低下するので好ましくない。
粒子を電子顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均一次粒径または平均粒径とする。また、積層フィルムの密着性改質層中の粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、複合体の粒子の最大径を求めることができる。凝集体からなる粒子Bの平均粒径は、積層フィルムの密着性改質層の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で20〜500個撮影し、その最大径を測定する。平均粒径の異なる2種以上の無機粒子がある場合は、総粒子の平均粒子径をとして算出するか、もしくは、測定した粒子の粒径分布曲線を作成し、各粒子の粒径と個数の測定結果から各ピークのそれぞれの粒子の平均粒子径としてもよい。平均粒子径の異なる複数の粒子種の平均粒径をそれぞれ算出した場合は、そのいずれか1種の平均粒子径が40nm以上であることが望ましい。
携帯電話、PDA、モバイル型コンピュータのように、情報端末を屋外で使用する機会が増えている。さらに、カーナビゲーションなどに用いられるタッチパネルのように、夏場に高温になる車内で使用される材料も増えている。したがって、このような高温、高湿の過酷な環境下でも品質変化が少ないハードコートフィルム、すなわち、耐湿熱密着性に優れたフィルムが、このような用途では要望されている。
前記の水性塗布液(A)を塗布する工程は、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。水性塗布液(A)中の固形分濃度は、2質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは1質量%以下である。固形分濃度の下限は0.1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.3質量%である。該水性塗布液(A)の塗布量該水性塗布液(A)が塗布されたフィルムは、配向および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、密着性改質基材フィルムとなる。
本発明の密着性改質層は乾燥後の層厚みが7nm以下になるように塗布することが好ましい。層厚みが7nmであれば、塗布液(A)に含まれる無機粒子が密着に有効な凸構造を形成することができる。乾燥後の密着性改質層厚みが7nm以下であれば、ハードコート層形成時に電顕により観察可能な層構造がほとんどなくなる。これにより、無機粒子を含む有機−無機複合体が形成され、無機粒子を含む複合体が凸状構造を示し、アンカリングとしての機能を発揮する。そのため、塗布量(以下、ウェット塗布量と略す)は、2g/m2以上10g/m2未満とすることが好ましい。ウェット塗布量が2g/m2未満で、設計のドライ塗布量(最終密着性改質層の塗布量)を得ようとすると、塗布液(A)の固形分濃度を高くする必要がある。塗布液(A)の固形分濃度を高くすると、コート量の変動が大きくなり好ましくない。一方、ウェット塗布量が10g/m2以上では、乾燥炉内の乾燥風の影響を受けやすく、塗布斑が発生しやすい。なお、埃の付着による欠点を防止するために、クリーン度をクラス5000以下のクリーンな環境下で塗布液(A)を塗布することが好ましい。
本発明の光学用積層フィルムは、ハードコート層とは反対側の基材フィルムの表面上に形成された塗布層を有する。塗布層は、基材フィルムに塗布液を塗布して、その後、乾燥することにより得られる。上述したとおり、この塗布層を得るために塗布する塗布液を「塗布液(B)」と定義する。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
次に、本発明の光学積層フィルムを構成するハードコート層を説明する。本発明のハードコート層を構成するアクリル樹脂としては、電離放射線硬化型アクリル樹脂が好ましい。電離放射線硬化型アクリル樹脂は、アクリレート系官能基を有する樹脂であり、特に好ましくは、ポリエステルアクリレート、あるいはウレタンアクリレートである。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーのアクリレートまたはメタクリレート(以下、アクリレート及び/またはメタクリレートを、(メタ)アクリレートと記載する場合がある)、あるいはその混合物から構成される。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物からなるオリゴマーを(メタ)アクリレート化したものから構成される。
(a)ハードコート層とは反対面に、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される、少なくとも1層の光学機能層を積層した光学機能性フィルム。
(b)ハードコート層の上に、反射防止層または防汚層を積層した光学機能性フィルム。
両面テープを貼り付けた厚さ5mmのガラス板に、実施例及び比較例で得られた積層フィルムのハードコート層を表側とし、反対面を貼り付けた。次いで、ハードコート層を貫通して、基材フィルムに達する100個の升目(1辺長:2mm)状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付けた。貼り付け時に界面に残った空気を消しゴムで押して、完全に密着させた後、粘着テープを勢いよく垂直に引き剥がして下記の式から密着性を目視により求めた。なお、1個の升目内で部分的に剥がれているものも、剥がれた個数に含める。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
積層フィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作成した。得られた試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせた。この試料フィルムのハードコート面を上面にして、3波長形昼白色(ナショナル パルック、F.L 15EX-N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。目視で観察した結果を、下記の基準でランク分けをする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、最も多いランクを評価ランクとする。仮に、2つのランクで同数となった場合には、3つに分かれたランクの中心を採用した。例えば、◎と○が各2名で△が1名の場合は○を、◎が1名で○と△が各2名の場合には○を、◎と△が各2名で○が1名の場合には○を、それぞれ採用する。
◎:あらゆる角度からの観察でも虹彩状色彩が見られない
○:ある角度によっては僅かに虹彩状色彩が見られる
△:僅かに虹彩状色彩が観察される
×:はっきりとした虹彩状色彩が観察される
ハードコート層に用いる各樹脂を硬化させた膜について、JIS K 7142に基づき、アッベ屈折率計を用いて測定を行った。
積層フィルムの試料を可視光硬化型樹脂(日本新EM社製、D−800)に包埋し、室温で可視光にさらして硬化させた。得られた包埋ブロックから、ダイアモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて70〜100nm程度の厚みの超薄切片を作製し、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。さらにカーボン蒸着を施した後、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて、ハードコート層Cの断面を観察し、写真を撮影した。なお、撮影は、10,000〜100,000倍の範囲で適宜設定する。なお、本発明の実施例1では、拡大倍率を80,000倍(加速電圧200kv)とした。
リワーク時の基材フィルムの劈開しやすさを評価するため、下記のような評価を実施した。積層フィルムを約10cm×約15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作成した。試料フィルムのハードコート層と反対の面に、約0.5gの無溶剤光硬化型アクリル樹脂(JSR株式会社製、KZ9590)をワイヤーバーで塗工し、清浄に保った厚さ5mmのガラス板上に、アクリル樹脂を塗工した面が接するように幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで貼り付けた。次いでガラス板側から、高圧水銀灯で1000mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、紫外線を照射して、アクリル樹脂を硬化させた。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
(1)複合体用塗布液(塗布液A)の調合
複合体を得るための塗布液を以下の方法に従って調製した。
ジメチルテレフタレート(95質量部)、ジメチルイソフタレート(95質量部)、エチレングリコール(35質量部)、ネオペンチルグリコール(145質量部)、酢酸亜鉛(0.1質量部)および三酸化アンチモン(0.1質量部)を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(6.0質量部)を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量が19,500で、軟化点が60℃である共重合ポリエステル(a)を得た。
(1)で得られた共重合ポリエステル(a)の30質量%の水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタンの20質量%の水溶液を11.3質量部、有機スズ系触媒を0.3質量部、水を37.9質量部およびイソプロピルアルコールを39.6質量部、それぞれ混合した。さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤の10質量%水溶液を0.3質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した。次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液Bを調整した。
乾燥させた紫外線吸収剤CYASORB UV−3638サイアテック社製(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン))10重量部、粒子を含有しない固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂90重量部を混合し、混練押出機を用い、マスターバッチを作製した。この時の押し出し温度は285℃であり、押し出し時間は7分であった。
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しない固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂ペレット90重量部と紫外線吸収剤含有マスターバッチ(A)10部とを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層B層用)に、粒子を含有しない固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂ペレットを押出機1(外層A層用)及び3(外層C層用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2つのポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、A層、B層、C層の厚さの比は1.5:7:1.5となるように各押し出し機の吐出量を調整した。次にこの未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
次いで、基材フィルムに下記方法によりハードコート層を設け、積層フィルムを得た。
ハードコート層を形成させるためのハードコート剤(1)として、紫外線硬化型アクリレートモノマー、酸化ジルコニウム超微粒子、メチルエチルケトンを主成分とする、有機/無機ハイブリッド系ハードコート剤(JSR株式会社製、デソライト Z7410B;固形分濃度:50質量%、無機粒子含有量:61%)を準備した。このハードコート剤(1)を、ドライ厚みで3μmとなるようにワイヤーバーで塗布し、80℃で3分間乾燥させた。次いで、高圧水銀灯で1000mJ/cm2の照射距離15cm、走行速度5m/分条件下で紫外線を照射し、樹脂を硬化させ、ハードコート層を形成させた。得られたハードコート層の屈折率は1.65であった。また、自記分光光度計(日立U−3500型)を用いて測定した、波長380nmの吸光度は2.25であった。
実施例1において、塗布液Aのウェット塗布量を9g/m2に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、ハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、ハードコート剤(1)を下記に示すハードコート剤(2)に変更すること以外は実施例1と同様の方法で、ハードコート層を有する積層フィルムを得た。
(1)ハードコート剤(2)の調整
二酸化チタン微粒子(石原産業(株)製、TTO−55B)32.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(東亞合成(株)製、アロニクスM−5300)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、平均粒子径が55nmの二酸化チタン微粒子の分散液を調製した。
前記の二酸化チタン微粒子の分散液に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)と、光ラジカル重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184;モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとアニオン性モノマーの合計量)に対し5質量%)とを混合し、ハードコート層の屈折率が1.60になるように調整した。なお、ハードコート層に含まれる無機粒子含有量は39%であった。
実施例1において、ハードコート剤(1)を下記に示すハードコート剤(3)に変更すること以外は実施例1と同様の方法で、ハードコート層を有する積層フィルムを得た。
(1)ハードコート剤(3)の調整
二酸化チタン微粒子(石原産業(株)製、TTO−55B)32.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(東亞合成(株)製、アロニクスM−5300)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、平均粒子径が55nmの二酸化チタン微粒子の分散液を調製した。
前記の二酸化チタン微粒子の分散液に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)と、光ラジカル重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184;モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとアニオン性モノマーの合計量)に対し5質量%)とを混合し、ハードコート層の屈折率が1.69になるように調整した。なお、ハードコート層に含まれる無機粒子含有量は74%であった。
実施例1において、塗布液Bの塗布厚みが120nmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、塗布液Bの塗布厚みが300nmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、塗布液Bの塗布厚みが600nmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、粒子を含有しない固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂ペレットを押出機1(外層A層用)、押出機2(中間層B層用)及び、押出機3(外層C層用)にそれぞれ供給した以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、塗布液Aを塗布しない、つまり複合体を形成させなかったこと以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、塗布液(A)を塗布液(B)に変更し、ウェット塗布量を8g/m2とした以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。しかし、この比較例では、基材フィルムとハードコート層との境界領域に複合体が点在するのではなく、基材フィルムとハードコート層との間に、塗布液(B)に由来する独立した層が形成されるに至った。
実施例1において、ハードコート剤(1)を下記に示すハードコート剤(4)に変更すること以外は実施例1と同様の方法で、ハードコート層を有する積層フィルムを得た。
(1)ハードコート剤(4)の調整
ハードコート剤(大日精化製、セイカビームEXF01(B))67質量部、トルエン13質量部、およびメチルエチルケトン20質量部を混合し、ハードコート剤(4)とした。得られたハードコート層の屈折率は1.53であった。
実施例1において、塗布液(B)の塗布層厚みが45nmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
実施例1において、塗布液(B)の塗布層厚みが20nmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法でハードコート層を有する積層フィルムを得た。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂からなる基材フィルム、基材フィルムの表面上に直接積層されたアクリル樹脂からなるハードコート層、ハードコート層とは反対側の基材フィルムの表面上に形成された塗布層を有する積層フィルムであって、基材フィルムとハードコート層との境界領域に点在する有機−無機複合体を有し、該有機−無機複合体は、平均粒径40nm以上の無機粒子を有し、更に塗布層は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれるいずれか1種以上の樹脂から構成される厚さ50〜600nmの樹脂層であって、ハードコート層の屈折率が1.60〜1.70である光学用積層フィルム。
- 有機−無機複合体が、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれるいずれか1種以上の樹脂の中に平均粒径40nm以上の無機粒子が埋め込まれた構造をもつ、請求項1に記載の光学用積層フィルム。
- 有機−無機複合体が、共重合ポリエステル及びポリウレタンを含む混合樹脂の中に無機粒子が埋め込まれた構造をもつ、請求項1に記載の光学用積層フィルム。
- 基材フィルムが3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、少なくとも中間層に紫外線吸収剤を含み、波長380nmの吸光度が1.5以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
- ハードコート層がアクリル樹脂中に無機微粒子が分散している構造をもち、ハードコート層における無機粒子の含有量が20〜80質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
- 基材フィルム内には粒子が存在しないか、または基材フィルム内の粒子の含有量が50ppm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
- 有機−無機複合体における無機粒子がシリカ粒子である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学積層フィルムのハードコート層の上に、反射防止層または防汚層が積層された光学機能性フィルム。
- 光学用積層フィルムを製造するための、密着性改質基材フィルムであって、当該密着性改質基材フィルムは熱可塑性樹脂により構成される基材フィルムと、その表面に積層された密着性改質層とを有し、密着性改質層はポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種ならびに無機粒子を含有し、かつ、密着性改質層の表面に上記未硬化の硬化型樹脂が塗布されることによって、透過型電子顕微鏡による8万倍の拡大像において密着性改質層の存在が認められなくなる程度にまで密着性改質層に含まれていた樹脂および未硬化の硬化型樹脂が混ざり合う、密着性改質基材フィルム。
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